深夜。みんなが床に就いた頃、私は月明かりでうっすらと照らされる廊下を歩いていた。行き先は誰あろう、先輩のところだ。
大した目的があるわけではない。ただ、先輩の顔をみて、「おやすみなさい」と一言言えればそれでいい。それ以外に望むことなんかない。
そう。決して、この前のように血を──魔力を分けてほしいなんてことはない。今日は蟲が身体を蝕んではいないのだから、その必要はどこにもないのだ。
ただ、先輩と──
「……私、なに考えて──」
一瞬、邪な考えが頭をよぎる。
だめだ、そんなこと。私なんかにあの人とそんなことをする資格なんかない。
だけれど、私の中にそういう欲望があることはどうしても消せなかった。私を守ると言ってくれたから。私を好きだと言ってくれたから。だから、私をあの人のものにしてほしいと、そう思ってしまうのだ。
「あ……」
そんなことを考えているうちに、私は先輩の部屋の前に立っていた。中からは僅かに布団が擦れる音がして、先輩がいることがわかった。
「あの、先輩」
控えめに呼びかける。もしかしたら先輩はもう眠っていて、今の声では気付かないかもしれない。
気付かないならそれでもいい。そうすれば、私の中のこの気持ちが少しでもおさまると思ったから。
「桜か。どうかしたか?」
だけれど先輩は答えてくれた。私の少しの躊躇を壊すように。
「入っても、いいですか?」
「ああ、構わないよ」
優しい先輩の返答。それに導かれるまま、障子を開けて中へ入った。先輩は布団から体を起こして私を見ていた。だけどその表情は、どこか疲れているような気もした。
「あ、起こしてしまいましたか?」
「いや、まだ眠ってなかったから問題ないよ。それよりどうしたんだ?」
「あ……その、まだ先輩におやすみなさいを言ってませんでしたから、それを言おうと思って」
本来の目的を口にする。だけれどそれは本心じゃない。
「ん、そっか。わざわざありがとう、桜」
「いえ。あの、それではおやすみなさい、先輩」
その言葉とともにお辞儀をする。でも、私のその言葉に先輩からの返答はなかった。
それを不思議に思って顔をあげると、先輩はただ私のことを見ていた。
「あ、あの……先輩? 大丈夫、ですか?」
「桜」
先輩は私の言葉には答えず、こっち、と私を手招きした。それにしたがって、先輩の前に座る。
そこで気付いた。先輩の目にはどこか不安な色が映っていた。疲れているように見えていたのはこのせいだったのだと理解した。
私がそう思ったのとほぼ同時。私の身体は先輩に抱きしめられていた。
「あ……先、輩……」
ぎゅ、と強く抱きしめられる。それは、あの雨の夜のような優しい抱擁とは少しだけ違った。
あの時は、私のことを全て受け止めてくれるような、そんな感触だった。今の抱擁にそれがないわけではない。ただ、それよりもっと先輩自身が私のことを求めてくれているような感じがした。
それが私にはただ嬉しかった。理由が何であろうとも。
「桜」
私の名を呼ぶ声。だけどそれは私を呼んだのではなく、ただ私がここにいることを確かめるような声だった。そしてそれを証拠づけるように、もっと強く私の身体を抱きしめてくれる。
「先輩……」
それに応えるように──いや、縋るように、先輩の首元に頬擦りをする。まるで主人に甘える猫みたいだ。鳴き声を上げて、愛情という餌をただ欲しがる雌猫。そんなことを頭の片隅で思った。
しばらくそうしていると、ふと先輩は腕の力をゆるめた。そして私と先輩の視線が絡まり合う。その時、お互いにどこかのスイッチがかちりと切り替わった。
そのまま、私たちの顔は磁石のように引き寄せ合った。私に意思とは無関係に、まるでそうすることが当たり前のように。
ダメだ。一瞬だけ、そんな警告が私の頭をよぎる。だけれど、この引力に抗うにはあまりにささいな力しかなかった。
「ん──」
唇から漏れたのは、そのくぐもった声だけ。他に言葉はない。
言葉の代わりに気持ちを伝え合うのは、交わした接吻。深くはない、だけれど決して浅くもないキスで甘く求めあう。
最初はただ触れ合うだけ。初めて触れるお互いの唇の感触を確かめるように、ほんの少しだけ擦り合わせる。それだけでも十分すぎるほどだった。私なんかが、好きな人と──先輩とこんな風に唇を交わしているという事実だけでもユメみたいだったから。
ほんの少し擦れる唇の味も、ときたま触れる鼻の感触も、鼻腔をくすぐる先輩のにおいも、いつまでも感じていたいと思った。
「ん、は……」
でも、いつまでもそうしているわけにはいかない、と。唇を離した。もうこれだけで十分すぎる。これ以上求めちゃダメだ。
だけれど、一度触れ合うことを知ってしまった私がそんな簡単にやめられるはずなどなかった。唇を離して僅か一瞬で全身を飢餓感が包んだ。
これじゃ足りない、もっと先輩に触れていたい、もっと深く愛してほしい、と。
「んっ、む──」
それはほとんど同時だったのだろう。私と先輩はお互いに唇を再び求め合った。私だけが一方的に欲しがったのではなく、先輩の方からも。
それがたまらなく嬉しかった。つい先ほどまで感じていた罪悪感も躊躇いも、一瞬で消え去ってしまうほどに。
その瞬間から、私の頭の中を埋め尽くしたのは先輩のことだけだった。軽く開けられたその上唇にはむ、と吸いついてさっきより深い接吻を味わう。そして先輩も私のその行為に応えるように私の下唇を啄んだ。
水音すらほとんどしなかった最初のキスとは違って、少しだけ深く、情熱的な唇同士の愛撫。雛鳥が戯れるようにお互いの唇を啄みあって、その感覚を味わう。そしてときおり、唾液に濡れた部分が触れ合ってぴちゃん、と弾けるような音が響く。
そうして続けているうちに息苦しくなって、仕方なく唇を離した。だけれどお互いの顔は零距離のまま。はあ、と口から漏れる吐息の感触さえ恐ろしいほど心地いい。
たまらず目をうっすらと開けると、先輩の綺麗な瞳と視線が合う。それが再び合図となった。
「さくら」
ささやくような声色で私の名を呼ぶと、先輩は私の唇をそっと塞いだ。たったそれだけのことなのに、全身をぞくぞくとした快感が走った。でもそんなの当然だ。大好きな先輩から、あんな優しい声で呼ばれてキスをされるなんて。こんな幸せ、いくら夢見ただろうか。
だから私もそのお返しにと、先輩の唇に精一杯の奉仕をする。湿らせた唇で何度も先輩のを啄んで、私の感触をたくさん味わってもらう。私なんかの唇で気持ちよくなってくれるかはわからなかったけれど、今の私にできることを精一杯した。
すると先輩の方からも私の唇をたくさん愛撫してくれた。私がはむ、と吸いつくと、まるでそれに返事をするようにちゅ、とキスを返してくれる。そして私たちのその愛撫はだんだんとタイミングが合ってきて、いつの間にか完全に同じになった。
触れて、吸って、啄んで、離して、また触れて。そして時折お互いの名前を呼ぶ。「さくら」「せんぱい」と、お互いの気持ちを確かめ合うように。
部屋に響くのは、私たちのその声と雫のような静かな水音だけ。今この瞬間だけ、それだけが世界の全部のような気がした。
「んぁ、ふ……せん、ぱ……好き……」
少しずつ、けれど確かに熱を増していくその行為に流されるまま、先輩への気持ちをただ口にする。そのせいだったのか、先輩が私の身体を抱きしめる力が強くなった。それと同時により深まる接吻。
静かだった水音はくちゅくちゅとした淫らな音に変わっていき、どちらのものがわからない唾液が口から垂れ始める。そんな刺激的な触れ合いに私の理性はアイスクリームみたいに溶けて、その唾液と共に流れ落ちていく。
だから、自分が抜け出せないほど深く深くまで入り込んでしまっていることに気付きもしなかった。全身を先輩の温もりで包まれて、唇の感触と吐息を交換し合う背徳的なまでに幸福なこの行為に。
あとはもう、どこまでも落ちていくだけだ。さながら食虫植物にとらわれた虫のように。
「ん……っ、んぁ、ん──っ……」
そして、もう何十回目かの接触のとき、れろ、と私の口内に先輩の舌が入ってきた。何か特別なきっかけがあったわけではない。当然のようにそうなった。
だから、私もその行為に大して驚きはなかった。あったのは、震えるほどの喜びとぞっとするほどの快感。
唾液で濡れた先輩の舌が口腔内を少し動くだけで、背筋がぞくぞくとして気持ちがいい。そしてひとたび私の舌と触れあうと、びくん、と身体がいやらしく痙攣してしまう。
その反応がきっかけになったのか、先輩はより深く私の舌に絡めてきた。喉に届くかと思うほど奥まで侵入されて、舌の隅々まで愛撫される。つう、と奥から先端まで舐められたり、びちゃびちゃと音を立てながら舌全体で擦り合ったりと、その行為はあまりに濃厚だった。
頭の中がぼうっとしてきて、まともな思考なんかまるでできない。夢心地というのはこういうことをいうのだろう。
そんな私のことは構わず、先輩のキスはどんどん激しさを増していく。その快感で、うまく力が入れられない。私だって先輩にたくさん舌と唇で応えてあげたいけれど、好きに唇を貪られることが気持ちよくてたまらない。
口の中全部を蹂躙されて、征服されて、唾液までもすすられる。私の唇はとっくに先輩のものになっていた。
それが私を一層興奮させる。溶けていく理性とは反対に、情欲の炎はごうごうと燃え盛っていく。もっと私を求めて、唇だけじゃなくて私の身体も心もすべて先輩のものにしてほしかった。
私のその欲望が身体を動かす。控えめに先輩の背中に回していた両腕を首元まで滑らせ、ぎゅっと抱きしめた。離れたくない、ずっとこうしていたい、愛してほしい、と。
「ん……っ……!」
その行為が引き金となったのだろう。先輩は私の身体を布団の上に押し倒した。唇は縫い付けたかのようにくっついたまま。どさ、と背中への衝撃がやけに心地よかった。
そしてその勢いのまま、さらに激しく唇を求められる。無遠慮に突っ込まれた先輩ので、舌はもちろん歯列の一つ一つまでも犯されていく。
お互いの口の中は二人分の唾液が混ざりあってどろどろで、そのカクテルをこくん、と飲み干すと五臓六腑まで酔ってしまいそう。その味は私を中毒にさせるには十分すぎるほどで、情欲という名の酔いが身も心も侵していく。
そこから溢れてくる愛欲が、知らないうちに私の下着を濡らしていた。少し脚を動かすだけでも、ぬちゃりとした感触が走る。そしてその事実を知ってしまうと、余計にこの気持ちは加速する。
だけど、そんな風に興奮しているのは私だけではなかった。気付くと、先輩は私のと絡めた脚をもどかしそうに動かしていた。その原因が私の太ももに当たる熱いふくらみであることは容易に理解できた。
それを先輩は意識的にかわからないが、私に擦りつけている様子だった。
──先輩が私で興奮してくれている。
そう思うだけで嬉しくて、他のことは何もかもどうでもよくなった。
歯止めなんかきかなくて、私も脚をくねらせてズボンのふくらみを優しく擦り上げる。そうすると先輩のそれは一度びくん、と可愛らしい反応をしてから、より一層強く私の身体に押し付け始めた。
擦れるたびにどくん、どくん、と跳ねるその膨らみは、暴れだす寸前の獣のよう。私の肌でいくらなだめても、その獣は一向に大人しくなんてなってくれなくて、快楽を貪ることを今か今と待ちわびているみたいだ。
そのあまりに野性的な本能を身体に感じて、私もいやらしい雌の欲望が抑えられなくなる。さっきよりも脚を開いて、その間の湿ったトコロを押し付けた。
「んっ──! ぁ、はっ……ちゅ、んん……!」
興奮でてっぺんぎりぎりまで高められた感度のせいか、弾丸が突き抜けていったような快感が走る。それでとうとう我慢できなくなって、先輩の熱いものに敏感なところを押し付けた。
どくん、と二人分の心臓が跳ねる音。それが合図となって、私たちのいやらしい戯れが始まった。
腰をぎゅう、とぴったりと押し付け合って、互いの一番熱いところを擦り合う。先輩は下着の布を突き破ってしまいそうなほど腰を何度も振って、私はそれをなんの抵抗もなく受け入れながら自分の気持ちいいように腰を動かす。私たちのその動きは、性行為と何ら変わりなかった。
だけれど、私たちの性の象徴は一つになるどころか、直接触れあってすらいない。すでに身体を突き抜ける快感は今まで体験したことのないほどだけれど、狂ってしまいそうなもどかしさが胸の奥に蓄積していくだけだ。
それを紛らわすために二人で本能のまま腰を振る。そうするほど切なくなることがわかっていながらやめることができない。そのもどかしさですら気持ちがいい。それは、愛を確かめ合う行為のようで、その実、お互いの満たされない心と身体を慰め合う戯れでしかなかった。
「っ、はあっ……! は、ぁ……あ、はぁ……っ……」
不意に唇が離れた。私たちの意思ではない。あまりにその行為に夢中になりすぎて、呼吸を忘れていた。
はぁ、はぁ、と二人分の荒い吐息が混じり合う。濃い香水みたいなそれに、酔ってしまいそうだ。
肩で息をしながらようやく呼吸が整ってきたころ、ふと先輩と目が合う。その瞳の奥には、野生の獣が獲物を見据えた時のような激しい炎が宿っていた。だけれど、私のことを気遣ってくれているのだろう。その炎は、温かい毛布のようなベールで隠されていた。
私ことを大事に思ってくれるその優しさは本当に嬉しかった。でも今だけは、その瞳の奥の本能を私にさらけ出してほしい。
「いい、ですよ──先輩」
ただ一言、口にする。なにが、とまで言葉にする必要などなかった。
それだけで先輩の瞳の色が変わった。
「桜──」
先輩は愛おしむようにそう言うと、もう言葉はいらないとばかりにもう一度私の唇を塞いだ。今度は優しいキス。舌まで絡め合う濃厚なものではなく、唇だけで愛を交わし合う甘い接触。
その甘美な快感に浸りながら、心の中で思った。
──ああ、いまから私、この人のものになるんだ。
しばらく口付けをした後、先輩は身体を起こして自らのベルトに手をかけてそれを外し始めた。それが立てるカチャカチャとした無機質な金属音が、やけに私の緊張を煽る。
そしてズボンを下着とともにずる、と下に落とすと、先輩の鉄の棒のように固くなったものが顔を出した。それが主張する先輩の興奮に、私の秘部がきゅん、と疼く。
先輩は私のその興奮をさらけ出すかの如く、スカートの下の下着へと手を伸ばした。そしてゆっくりとそれを脱がされる。あそこに触れていたところから、いやらしい粘液が糸を引いているのが自分でもわかった。
そして、する、とつま先からそれを抜き取られると、敏感なところが外気に晒されて恥ずかしさがこみあげてくる。スカートがあるからまだ先輩に濡れたトコロを見られることはないけれど、顔が熱くなることを止めることができない。
先輩はそんな私の両脚をそっと掴むと、花びらを開くように広げた。そしてそのまま私の身体を自らの方へ引き寄せた。すると必然的に私と先輩の陰部がぴと、と触れあう。
「ん……っ」
緊張と興奮で余計に敏感になったせいで、身体がびくん、と反応する。触れた先輩のものは先輩の情欲でどくどくと脈打っている。
肌に伝わるその感触と熱に侵されて、私の中の雌の本能が疼きだす。先輩とひとつになって、意識まで混濁するほど愛し合いたい、と。
「桜──いれる、ぞ……」
その私の興奮が先輩にも伝わったのか、荒い吐息とともに先輩はそう言った。
「はい──どうぞ、そのまま……」
先輩は私の言葉にうん、と頷くと、先端を入口にぐっ、と押し付けた。十分すぎるほど濡れた私の秘所は、それを容易く受け入れる。まだほんの少ししか入っていないのに、私たちの身体は共鳴するように快感に震えてしまった。
びりびりと痺れるような感覚が全身に走って気持ちがいい。でも、まだ全然足りない。もっと先輩と深くまで繋がって快感を共有したい。
私のその気持ちを見透かしたかのように、先輩は腰をさらに突き出して挿入を深くし始めた。
「あ……っ、ん、ぁ、あ、ああ、んっ……っ、せん、ぱ……おっき、い……っ」
少し奥に入れられる度に快感が何倍にも膨れ上がって、こみあげる嬌声をおさえることすらままならない。できるのは、与えられる快楽に身を震わせながら先輩の熱い男根を受け入れることだけ。
先輩はそんな私の腰を両手でがっちりと掴んで、雫が石を穿つように、ゆっくりと、でも確実に私の一番奥へと入ってくる。そして、私の中を征服せんばかりの先輩の生殖器は、快感に喘ぐようにびくびくと痙攣している。私の中で先輩がそんな風に可愛らしく反応してくれていることが、私をひどく興奮させた。
「は──ぁ、さくら……全部、入った……」
「は、い……んっ、先輩の、おくまで、きてます……っ」
そうして私たちの身体は結ばれた。繋がっている場所はほんの一部分だけなのに、身体の芯までひとつになったような幸福感があった。
それに浸りながら、乱れた呼吸を整える。その間、突き入れられた先輩のものが時々ぴくん、と跳ねるのが気持ちよかった。
「桜……動いても平気か?」
「はい……先輩の好きなようにシて、ください……」
先輩は返事の代わりにと、私に一つ軽いキスを落としてその腰を動かし始めた。ずん、とおなかの奥まで貫いてしまいそうな一突き。
その瞬間、電気ショックを受けたみたいな激しい衝撃が走った。一歩間違えたら痛みと見まがうほど、その衝撃は気持ちよかった。
その快感は当然一回では終わらない。ずぷり、と私の子宮を突き刺した先輩のものが名残惜しさを私に与えながら引き抜かれて、再度ナカの壁を擦りながら一番奥にキスをされる。緊張や羞恥に邪魔されて動きはまだ速くないけれど、快感に慣れていない今、激しく腰を叩きつけられていたら一分も持たずに果てていただろう。
「あっ……っく、ぁ、は、んん……あ、せん、ぱい……っ、ぁん、はぁっ……」
ずぷ、ずぷ、と振り子時計のように一定のリズムで熱いものを抜き差しされると、その度に快感で押し上げられたいやらしい声が漏れてしまう。
ごつごつしたカタチの生殖器が私の膣壁を擦り上げると、小さな突起のひとつひとつ、浮き上がった血管ですらもが私の快感を刺激する。そしてその行き止まりまで到達されると、子宮口と亀頭がぴったりと繋がって果ててしまいそう。願わくばそのまま精を注ぎ入れて欲しいとさえ思ってしまうほどだ。
でもそれはおあずけだといわんばかりにすぐに逃げて行ってしまう。その瞬間全身が切なさで染まって、引き抜かれていく先輩のものを無意識に締め付けてしまう。そうすると、締まった隘路を切り裂くように熱いものが挿入されて、ぞくぞくとした震えが止まらない。
「は、あっ……桜──さく、ら……っ」
「んっ、せん、ぱい……あっ、う、あんっ、ん、ぁ、は、ぁんっ……」
二人で熱い吐息を漏らしながら、じっくりとお互いの躰を味わう。まるで、生温い快楽の海に下半身を浸しているよう。ぬちゃりぬちゃりと擦れる粘膜がどちらものかまるでわからない。溶け合った感覚が伝えてくる快楽で骨の髄まで先輩への愛欲で染まっているみたいだ。
そんな状態の身体を絡め合って腰を振るうちに、だんだんとその揺れ返しが速まっていく。それは至極当然のことだった。
私の味を確かめるような先輩の動きは、両手で掴んだ私の腰に叩きつけるような激しい抽送に変わっていく。だけど、私の身体に一切の苦痛などなくて、ただただ焼けるような快楽が溜まっていくだけだ。
それが弾けて絶頂するところを自然と想像してしまう。そして願わくば先輩と一緒にそうなりたい。そう考えているだけでも身体の感度が上がって仕方がない。
「あぅ──っ! あっ、んっ、ぁん、や、ひぁっ……せん、ぱっ、い……っ、あ、んんっ……!」
ぱん、ぱん、と二人の躰が求めあう音が室内に響く。それが発情した私たちの心をさらに淫蕩な色に染めていく。
それは甘い毒のように幸福な味。先輩とひとつになって同じ快感に震えているなんて、その事実だけでも嬉しくて仕方がなかった。
その気持ちに拍車をかけるみたいに、私と先輩の淫らな交わりはより激しく、深くなっていく。まるで剣で貫かれるみたいな先輩の動きに、私の口から漏れるいやらしい声もどんどん止まらなくなっていく。自分がそんな痴態を先輩に晒していることが恥ずかしくて仕方がなかったけれど、私がそうして声を上げてよがる度に、私の中の先輩ものが悦ぶみたいにびくん、と反応していた。
「っ……! さくら──っ……!」
「ひゃっ、あ、せん、ぱ……! あっ、や、ん、ぁ、そこ……っ、ぁ、きもち、いっ……ぁ、あんっ、んっ──!」
それでついに我慢できなくなったのか、先輩は片手を腰から離して、激しい性交でゆさゆさと揺れる私の胸を鷲掴みにした。すでに頂上まで押し上げられた感度のせいで、服を着ているのにも関わらずびくびくとはしたない反応を晒してしまった。
それが先輩の興奮に油を注いでしまったのか、ついに両手で私の乳房を揉みしだき始めた。その感触を手のひら全体で味わうみたいに、目いっぱいに広げられた五指で柔らかい丘を愛撫される。
自らの好きなカタチに歪まさんとするその愛撫に、全身がびくびくと小さく飛び跳ねる。撫でるみたいに優しく揉まれている間は小さな痙攣を馬鹿みたいに繰り返して、ほんの少し強く鷲掴みにされるとびくんっ、と跳ねてしまう身体。その私の姿は、底の見えない快楽の海に溺れてもがく鳥のようだった。
そのせいで凝縮されていく先輩への愛欲と情欲で、激しく出し入れされる生殖器をぎゅう、と締め付けてしまう。私のそのわがままに喘ぐみたいに、熱いそれがぶるぶると震えるのが心地いい。そしてその反応は熱い衝動が外に出たがっていることの証拠だった。
だけどそれは私も同じ。子宮の奥のところに、噴火寸前の火山みたいに快感の溶岩が溜まっているのがわかる。
「はぁ、っあ、あ、せん、ぱい……っ、わた、私……っ、んっ……! も、ぉ……っ、んっ、あっ、イきそ……っ、う、あっ、あ……!」
「く、っは──ああ、俺も、でる……!」
絶頂に向かって一層速くなる抜き差し。先輩の先走りと私の愛液で濡れた結合部分が立てる卑猥な音もそれを加速させているみたいだ。
燃え上がってしまいそうなほど激しく擦れ合う互いの一番気持ちいいところ。絶え間ない津波のような快楽に、意識も身体でさえも飛んで行ってしまいそう。少しでも気を抜いたらすぐにでも果ててしまう。
でも果てるなら先輩と一緒がいい。二人で震えながら大きな快感を味わいたい。ぱん、と子宮口にキスをされるたびにその時を私の体と心が待ちわびている。
「っく──! さく、ら──!」
「あっ……! せん、ぱぁい──!」
今まで一番深く挿入された瞬間。びくっ、と拳銃を撃ったときみたいに先輩のものが跳ねて、それと同時に子宮の入口に突き入れられた先端から熱いものが放出された。それで今まで溜め込んでいたものが一瞬で爆発して共に絶頂した。
「っあ……ぁ、あ……せん、ぱ、ふ、あ──ぁ、あん……」
どくん、どくん、と何度も一番奥を熱い精で撃ち抜かれる。それが子宮の壁に当たってたぷたぷとそこに溜まっていくのが死んでしまいそうなほど気持ちいい。
その間、余震が続くみたいに小刻みに身体が震える。先輩の射精を受け止めているのは子宮なのに、全身までその勢いが届いているみたいな感覚。
「う、あ……っさくら……まだ……っ」
「は、い……んっ、あっ、どう、ぞ……っ、好きな、だけ……」
止まらない絶頂。二人でふるふると身を震わせながら、快感しかないこの時間に浸る。
射精の脈動でもたらされる快感できゅん、とあそこが締まると、それに反応してびゅくん、と精を吐き出される。無間地獄のような快楽。
飛びそうな意識をなんとか繋ぎとめようと、私の胸をぎゅっとつかんでいる先輩の腕を握りしめた。するとそれに反応して、思い出したように優しく両胸を弄ばれる。そこから伝わる羽のように柔らかな刺激が心地いい。
「は、ぁ──ん、あ……たくさん、でましたね……」
ふわふわと空を飛んでいるようなぼやけた意識のなか、気付くと先輩の精は止まっていた。
「ああ……。悪い、桜、こんなに……」
「いいえ、いいんです。わたし、とっても嬉しいです──」
そう。あんなに激しく求めてもらえて、その証をたくさん注いでくれたのだから。
私の言葉に先輩は、少し照れくさそうに笑ってからくしゃりと頭を撫でてくれた。そして軽く挨拶するみたいに口付けを落とされる。それを優しく受け止めて、少しの間啄みあった。愛し合った後の余韻を楽しむように。
「ん……じゃあ、桜。抜くから……」
「あ……はい、──っん、ぁ……」
唇を離した後、先輩は身体を起こしてゆっくりと繋がったトコロをほどき始めた。ぬる、と擦れ合う互いのものは私が思っていた以上にどろどろで、さっきまでの行為の激しさを物語っていた。
そしてほとんどが引き抜かれて、最後にぷくりと膨らんだ先端がずるん、と外気に晒される。さっきまであった温もりが身体から出て行ってしまったことが少しだけ寂しかった。
脱力していた身体に力を入れて上体を起こしてみると、先輩のものを受け入れていたところからどろりと精液と愛液が混ざったものが流れ出ていた。
「あは……すごいです、こんなにあふれてきて……」
それを指ですくって口に含むと、まるで媚薬みたいに私を興奮させた。これが私と先輩が交わった味なんだ、と。
そんなことをしながらふと先輩をみると、私のその行為を見つめる瞳と目が合う。それで一気に冷静になった。
「あ……ごっ、ごめんなさい! はしたないですよね、こんな……」
「いいや。そんなことないよ、桜。──それより桜のそういうところ、俺はもっと見たい」
「え……?」
なにか言う前に先輩に抱きとめられた。背中に回された手でさすさすと撫でるように触られる。それがぞくぞくとした僅かな快感を私に与えて、消えかけたはずの情欲の残り火が再び燃え上がり始める。
「桜──まだ足りない。桜がもっと欲しい」
そこへ薪をくべるかのような先輩の言葉。それに抗う術も理由も私には無かった。
「はい……嬉しい、です。私もずっと先輩とこうしていたいです──」
そうして完全に火が付いた情に流されるまま、先輩の首筋にキスを一つ落とした。それと同時に、忍び寄るみたいに先輩のシャツの下に手を滑らせた。
そのままするすると脱がせていく。先輩は私に身を任せて、じっとしてくれている。その行為が私の胸をどきどきと高鳴らせる。服をめくり上げるほど露になる鍛えられた先輩の逞しいカラダや、それが想起させるこれから行う秘め事がどうしようもなく私を興奮させた。
そうして、衣が擦れる音を立てながらそれを脱がし終わり、先輩の温もりが残るものをぱさりと落とした。すると先輩が私にひとこと。
「桜のは俺が脱がすよ」
柔らかなその言葉にはい、とうなずく。先輩はそれを確認すると、私の上着のボタンに手をかけた。ぷち、とほんの僅かな音が空気を揺らす。
先輩はそれをすべて外すと、さなぎを開くようにそれを脱がせた。布団にそれが落ちた後、その下に着ていた服にそっと手をかけられる。それをさっき私がしたように、ゆっくりと脱がせてくれる。
その間、素肌が外気に晒されていくたびに心臓の鼓動が速くなっていくのを感じた。
「桜──綺麗だ、すごく……」
そしてそれさえも脱がし終えて、あと私の身体を覆っているのは白いブラジャーとスカートだけ。その姿を見て先輩はそう一言つぶやいた。
その一言が喜びで満たされたコップにぴちゃん、と落ちる。その一押しで、ついに入りきらなくなったものがあふれ出た。
「先輩……っ」
ぎゅっ、と今一度先輩の身体に抱きつく。覆うものが無くなった二つの躰が伝え合う体温が私をアルコールと見まがうほどの幸福で満たす。
その酩酊感に身を任せて、その硬い胸板に口付けた。そしてそれは一度だけじゃ止まらなくて、なんども場所を変えてキスを繰り返す。
先輩は欲望に飲まれた私の頭をそっと撫でてくれた。それが、私のこの行為を優しく受け止めてくれているみたいで嬉しかった。
「んっ……ちゅ、ふ、ぅ……」
口付けする場所を少しずつ下へ下へと移動させていく。まるで絡みつく蛇のように。
そうして、私の唇はついにそこに触れた。少し切なげな声とともに、それがびくん、と跳ねる。
「先輩……たくさん気持ちよくなってください──。ん……」
私と先輩の淫液でどろどろのそれをはむ、と口に含む。一度出したせいか、交わっていた時は硬くいきり立っていた先輩の陰茎は少し小さくなっていた。だけど大きさは変わってもその活気は全く衰えていなくて、じゅる、と少しすすっただけで大きく跳ねた。
それを舌と唇で優しく愛撫する。根元をはむ、はむと刺激を与えながら、口内では舌先で敏感な先端をぺろぺろと舐める。まだ大きくなっていないからなのか、その優しい刺激でも先輩は可愛らしい声を漏らしてくれた。
それがもっと聞きたくて、片手を陰嚢に伸ばした。きゅ、と軽くつかむとずっしりとした重みがのしかかってきて、まだまだ先輩の欲望が溜まっていることを主張していた。
どく、どくと僅かに脈動するソレを優しく揉みながら口内のものを舐め上げると、その砲身は小刻みに痙攣しながら少しずつ大きくなっていく。そしてとどめとばかりに、口をすぼめてそれを吸い上げると一瞬で硬さと大きさを取り戻した。
「ん、はっ……、すごいです、もうこんなおっきくなって……」
ちゅぽん、と口から男根を引き抜いて目の前にすると、よりそれを実感する。竿に浮き出た血管と先走りが少し出ている先端。それは、まぎれもなくさらなる快感を欲しがっている証拠だった。
「続き、しますね……先輩──んっ、ん……」
かぷ、と再び先輩のものを咥えこむ。さっきと違って大きくなっているから、口に含むのは先端だけ。それを唇で挟み込んだまま、顔を前後に動かす。
ちゅぱ、ちゅぱ、と淫らな水音が響く。そしてそれに共鳴するように震える先輩のもの。先走りもとろとろと流れ出てきて、それを余さずに飲み下す。
それをさらに促すように、両手で根元の部分をぎゅ、と掴んだ。そしてそのまましゅっ、しゅっ、と暴れだしそうな陰茎を扱く。
「は、ぁ……、桜、気持ち、いい……」
そうこぼした先輩の顔を見上げると、苦しさ半分、快感半分といった具合の表情をしていた。それを全て快楽で塗りつぶしてあげたくて、奉仕を激しくし始めた。
両手で包んでいた竿から片手を離して陰嚢を優しく揉みほぐして、熱い白濁をもっと作ってと煽る。そして凝縮されたソレを気持ちよく出せるようにと、壊してしまいそうなほど激しい手淫をする。
その快感に涙するみたいに、口に含んだ鈴口からとぷとぷと先走りがあふれ出てくる。その量は私の口に入りきらずにこぼれ出てしまうほどで、射精が近くまで迫ってきていることを露骨に表していた。
「桜……っ、もう、出るから……っ」
これ以上ないほど切なげな先輩の声に一度口を離す。でも片手で包んだ竿は強くしごき続けたまま。
「はい、いいですよ……全部飲みますから、このまま好きなときに……ん、ぁむ……」
そして、熱い熱い精を受け止めるため暴発寸前の砲身を再度口に含む。舌でそっと受け止めた先輩のものはすでに限界ぎりぎりとばかりに痙攣しっぱなしで、ぺろ、と舐めるだけで爆発してしまいそう。
でもそれをいたずらに焦らす必要なんてない。先輩に気持ちよくなってほしかったし、私も早くその白い情欲をぶつけて欲しかった。
だから、最後に思いっきりじゅるる、とそれを吸い上げた。
「っ──! 桜っ、出る……!」
「んんっ!!」
びちゃん、と喉に走るどろどろに湿った衝撃。それが二度、三度ととめどなく続く。少しの苦しさと悦びに全身が震えてイってしまいそう。口の中はほんの一瞬で精香が満ちて脳髄まで侵されているみたい。
そんな風に先輩の感覚で満たされたまま精液を受け止めるのが心地よくてたまらない。最初の大きな波がようやく去って勢いは少しだけ弱まったけれど、注がれる白濁の濃厚さは全く変わらない。
そして、ほんの戯れにと軽く竿に手を滑らせると、どくん、と獣が目覚めるみたいな脈動とともに勢いよく精を放出してくれる。
「は──ぁ、さくら……」
心地よさげな吐息とともに、とく、とく、と射精が続く。もうだいぶ勢いも弱くなってきたけど、その最後の一滴までも私のものにしたくてこくこくと最後まで飲み込む。
「んっ、はぁ……っ、ぁふ……」
そして先端からの白濁が完全に止まったころ、私はそっと口を離した。少しだけ残っているねばついたものが唇と亀頭の間で糸を引いている。私の涎と混ざったそれは、やがてぷつりと切れて布団に落ちた。
「桜」
先輩に呼ばれて顔を上げる。その瞬間、待ち構えていたのだろう、有無を言わさず唇を塞がれた。
「んっ……!」
そうして流れるように舌を挿入される。ぞくん、とした快感に身体の力が一気に奪われた。そして無防備な私の舌をするりと絡めとられると、口淫で昂った劣情が一気に燃え上がる。
そのまま唾液を混ぜ合わせるみたいに舌同士でキスをする。そのせいで、先ほど出された精液と先輩の唾液が混ざった味が私の味覚器官を淫蕩なもので染め上げる。
「んぁ、は……せんぱ、ぁい……」
そして唇が離れるころには、私の頭の中は口内と同じようにとろとろにされてしまっていた。その状態のまま、そっと身体を抱かれて耳元で囁かれる。
「桜──もう一回したい」
たった一言だけなのに、神経を直接撫でられたみたいな感覚が走る。鳥肌まで立ってしまいそうなその声に、じゅん、とあそこから淫らなものが染みだしたのがわかった。
「はい……何回だって、いいですよ──先輩の望むままに私の体、抱いてください──」
先輩はちゅ、と首筋にキスをすると、私に後ろを向くよう促した。それにしたがって、先輩のほうに臀部を向けて四つん這いになる。
すると先輩は私に合わせて膝立ちになると、さわ、とスカートの上から私のお尻を撫でまわしてきた。
「ん……っ……」
ぶる、と反応する身体。自分で触ったところで全く気持ちよくもないのに、先輩に触れられるだけでこんなにも感じてしまう。それが普段触れられないトコロであればなおさら。
先輩は少しの間そうして撫でまわしたあと、太もものほうへと手を滑らせていく。そしてスカートの裾にたどり着くと、するりとその中へと入り込んできた。
今度は再びお尻の方へと手が昇っていく。そのままお尻を直接触られるのかと思っていたが、先輩の手は脚付け根あたりで止まった。
どうしたんだろうと思ったその瞬間、快感が全身を突き抜けた。
「ひぁっ! あっ、せんぱい、そ、こ……っ、あっ、だ、め……っ、あ、あんっ……!」
液が滴るほどに濡れたあそこに先輩の指が突き入れられていた。それだけでも倒れてしまいそうなほど気持ちがいいのに、先輩はそれを抜き差しし始めた。
動きは大して速くはない。だけど、散々先輩と交わした淫らな行為で敏感になったソコは、過剰な快感を私に与えてくる。いや、それ以上にこんな格好で後ろから手であそこをいじられているという現実に、羞恥でおかしくなってしまいそうだった。
「桜、すごいな……こんなにどろどろになってる」
「だっ、あっ、ん……だって、んっ……あっ、わた、しっ……もう、はぁ、あ、ほし、くて……っ」
恥ずかしさと快楽で言葉がうまく紡げない。頭にあるのは先輩とひとつになって愛し合うことだけ。
でも先輩はその愛撫をやめてくれない。くちゅくちゅと淫らな音を立てて、先輩のものを欲しがる秘部を弄ばれる。そこから全身に波紋のようにに伝わる快感に、脳の細胞が焼き切れておかしくなってしまいそうだ。
「はっ──ぁ、あ、っはぁ、あ、んっ、あ……は、あ……」
しばらくそうされた後、ようやくぐちゅ、と指を引き抜かれた。狂う一歩手前の快楽を味わい続けた頭は白紙状態で、まともな思考はとてもできない。身体はまだ余韻が抜けきらなくて、何度も痙攣してしまう。
そんな状態の私に、先輩は再び臀部に手を添えた。そしてする、とスカートをめくりあげられる。それが何を意味するのか、蕩けた私の頭でも理解できた。
その期待通り、ぴと、とさっきまで弄られていたところに熱いものが触れた。後ろからだから見えないけれど、その熱で硬く勃起していることは容易に想像できた。
そして、散々焦らされたことを全部忘れさせるように、ずぶん、と先端が押し入れられる。
「ん、んっ……ぁ、せん、ぱ……っ」
一回目の比じゃないくらい濡れているから、その動きには抵抗がない。だから、先輩が私の奥にたどり着くまではあっという間だった。
「桜、このまま動く、から……」
「は、い……っ、いっぱい、シてくださ……あっ!」
言い切る前にぱん、と一突き。それだけで軽くイった。焦らされて感度が上がっているせいだ。
でも先輩は構わずに抽送を続ける。その動きは既に野生の獣みたいな激しさで、私はなすすべなくよがってしまう。
臀部の肉を跡がつきそうなほど鷲掴みにされて、乾いた音とともに腰を打ち付けられる。その時にはじけ飛んだ汗と愛液が背中にまで届いて、その勢いの強さを物語っていた。
始めてから一分もたっていないのに、私たちの性交は本能むき出しのものになっていた。それをさらに加速させるように、先輩は身体を倒して私に覆いかぶさってきた。そして、まだ下着に包まれた乳房を掴まれる。
「ひゃっ、ぁ、あ、おっぱい、ぁ、きもち、い、ですっ、んっ、あ……! もっと、さわってっ、あんっ、あ、んっ……!」
ぐにゅん、と欲望のまま揉みしだかれると、それだけでいやらしい声があふれ出てしまう。しかもそれと同時にあそこも激しく抜き差しされているのだからたまらない。
それがあまりにも気持ちよすぎて、先輩にもっと、とはしたなくねだってしまう。すると先輩もそれに応えて強く私を求めてくれる。雄が雌に覆いかぶさって激しく腰を振っているその私たちの姿は、まさしく獣の交尾同然だった。
その交尾の激しさはとどまることを知らず、部屋全体をいやらしい空間に変えていく。二人分の荒い吐息と嬌声が響いて、その吐息のむわりとした熱気で溶けてしまいそう。さらに、結合部からは私たちの性徴から漏れ出すものに加えて、一度目の時の淫液までもがどろどろと私の脚をつたっていく。
「あっ、あんっ、ぁ、んっ……あ、先、輩……?」
ふと、先輩は一度腰の動きを止めた。すると、先輩は一度自らの身体を起こすと、私のおなかに手を回してきた。そしてぎゅっと引き寄せられて、私も同じように身体を起こされる。
そのままぱん、ぱん、とピストン運動が再開される。でも、感じる快楽は先ほど以上だった。
さっきまでは両手を前についていたから快楽を受け流せていたけれど、それが宙ぶらりんになっているこの状況じゃそれができない。先輩から与えられる快楽が余すことなく伝わってきて、うまく呼吸すらできない。
「あっ──! や、ぁんっ、せん、あっ、ぱい……っ! それ、あ、すご──っ!」
さらにその状態のまま胸も愛撫される。ブラの下からするりと指を入れられて、一番敏感なところをいじられる。
きゅ、と少し強くつままれてころころと弄ばれると、刺すような快楽が背中まで届きそう。それを両胸から与えられているから、全身ががくがく震えるほど感じてしまって、受け入れている先輩のものを無意識に締め付けてしまう。
それに抗うように子宮口を何度も突かれる。その度にきゅぽ、とパズルがはまるみたいに亀頭と最奥がくっ付いて、果ててしまいそうなほど気持ちがいい。
いや、実際は既に何度か軽い絶頂を迎えている。抉るような先輩の攻めに耐えきれなくなって、全身の痙攣と一緒にイってしまうのだ。
多分先輩も気付いているのだろうけど、その激しい腰振りはまったく勢いを弱めない。でも私もそれで良かった。私だけ気持ちよくなって終わりなんてイヤだ。先輩と一緒じゃなきゃ満足なんてできない。
「はぁっ、あっ、あん、あ、あ、ぁは……っ、せん、ぱ、あっ、すご、いっ……! わた、しっ、んっ、あっ、こわれ、ちゃい、そう、んっ、ぁ……です……!」
「さくら……っ、は、あっ、俺も、おかしく、なりそう、だ──!」
そして、その時は刻一刻と近づいてくる。ぱん、と肌と肌がぶつかる音が響く度、カウントダウンのようにソレが迫ってくるのがわかった。
そしてそこへ一直線に向かうように、さらに激しく腰を打ち付けられる。抜き差しを絶え間なく繰り返されて、今にも終わってしまいそう。
そこへ至るまでの僅かな時間を噛みしめるように、私たちは互いの名前を呼び合う。でも、そうやって先輩に熱い声で呼ばれることが嬉しくて、ぎち、ぎち、と絞るみたいに男根を圧迫してしまう。それが最後に一押しになったようで、急に先輩のそれがびくびくと痙攣して、射精の訪れを教えた。
「っさくら──いく、出る……っ!」
「あっ、ぁ、ああっ!! わたし、もぉ……っ!」
どくん、と心臓が止まってしまいそうなほどの衝撃。それで二人とも果てた。
ぴったりと子宮口に亀頭を押し入れられたまま、びゅるびゅると精を注がれる。まともに力の入らない身体をその鼓動が揺らす。
三度目の射精なのに、その勢いも量も一番だ。びゅく、と子宮の内側に精液が当たる快楽で何度もイってしまう。絶頂が終わらないうちに次の噴火がくる、苦痛すれすれの恍惚の最果て。
「あ……ぁ、あぁ、んっ、あ……す、ご……いっぱい、せんぱいの、でて……あっ、は、あ──っ」
視界がちかちかして、昼か夜かもうつろ。確かなのは先輩に抱きしめられて一緒に快楽に震えていること。
壊れたポンプみたいな射精に、私も壊れたように恍惚の声を漏らすことしかできない。どぷ、どぷ、と子宮の中にずっしりと白濁が溜まっていくのをやけに鮮明に感じる。その重さですらも心地いい。
「はぁっ、あ、さくら……もう、少し……」
うわごとのように先輩はつぶやくと、浅く腰を引いてぱちゅん、と再び深く挿入した。その瞬間、今までで一番大きな精液の塊がびゅる、と放出された。
「あっ──!!」
気絶しそうなほどの絶頂。それが最後だったみたいで、そのまま絶頂の波が止まるまで先輩の腕に抱かれていた。
「は、ぁ──せん、ぱい……ぁ、は、あ、っく、ん……」
絶頂の余韻も去っていき、ようやく頭がまともに働くようになったころ、先輩はゆっくりと私の身体を布団に寝かせてくれた。だけど性の象徴は繋がったままだから、満たされた感覚はいまだ全身を包んでいる。
「せん、ぱい……気持ち、良かったですか……?」
朦朧とした意識の中問いかける。
「ああ、すごく気持ちよかったよ……桜」
良かった、と言葉がこぼれる。ちゃんと私だけじゃなくて先輩も一緒に気持ちよくなれたのだから。
でも、私はちゃんと気付いていた。まだ中に入ったままの先輩のものがまったく萎えていないことに。
だから。
「あの、先輩……その、先輩が良ければ、なんですけど……わたし、もっとシたいです──」
今度は私から求めた。
「ん……ああ、構わないよ。……本当は俺ももう少ししたいから」
耳元で囁かれる。その声色の中には、既に小さく燃える炎があった。そしてそれは私の情欲にも燃え移って、またすぐに求め合い始めた。
──それからのことは、あまりよく覚えていない。ただひたすらに愛し合って、何度も果てた。
でもいくらそうしても、どうしてか私たちの心は満たされなかった。肉体的な快感だけじゃダメなんだと薄々わかっていながら、それをやめることはできなかった。
だから、そうしてただ慰め合った。どちらかの体力が尽きるまで、心の傷を身体で舐めあうような秘め事を交わし続けた。
「ん──先輩……私、もう……」
「ああ──俺、も……」
先に限界が来たのはどちらだったか。悪夢みたいに幸せな時間は、そうして終わった。