「おはようございます、先輩」
ㅤぼやけた頭に不意に聞きなれた声が聞こえた。誰かはすぐにわかる。約二年前から毎日のように、ここ最近は毎日聞いてきた声だから当然。俺の後輩であり、家族であり、恋人である、他の誰でもない、桜の声だ。
ㅤこうして彼女に起こされるのも、半分日常化したことだ。あんまりこうやって起こしてもらうなんて、先輩としてどうかとも思うのだが、好きな女の子の声で一日が始まるっていう嬉しさは、なかなかに手放しにくい。その場所は様々で、土蔵や今みたいに俺の部屋だったり、あるいは桜の部屋だったり。
「ん……ああ、おはよ、桜……」
ㅤ目はまだ閉じたまま、頭を覚醒させながら答える。すぐに目を開けて桜の顔を見たいものだが、頭がぼんやりしているとそれすらおぼろげに見えてしまうのだ。だから、まずは意識を明瞭にしてからだ。
ㅤそして、ようやくまともに機能し始めた感覚が、心地のよい温もりを伝えてきた。最近は段々と朝が冷え込むようになってきたので、その温かさには若干の違和感を覚える。
ㅤだが、それが桜から伝わるものだとすぐに気付いた。身体に触れる気持ちのよい感触や、鼻をくすぐる香りが、桜と一緒に眠ったときのものと似ていたのだ。
ㅤ……ということは、桜は今俺と添い寝でもしてるんだろうか。そう思い浮かべると、それだけでどきりとしてしまう。いや、そんなの今更という感じではあるのだが、桜は普段そういう大胆なことはあまりしないのだ。
ㅤまあでも、最近はバイトを再び始めたりして色々忙しく、桜との時間が足りていなかったようにも思う。それを考えると桜のこの行動も仕方がないと言えるかもしれない。
ㅤそれは少し悪いことをしたな、と考えながら、俺は半覚醒のまま目を開けた。
「……何やってるんだ、桜」
「何って、先輩を襲ってるんです」
ㅤそうして俺の目に飛び込んできたのは、隣で布団に入っている桜なんて生易しいものではなく、俺の上にまたがって性器を挿入した桜の姿だった。
ㅤ下半身は脚に引っかけた下着が一枚、上は一応寝巻きを身に付けていた。裸ではないのだが、中途半端に肌が見えているというその格好は、ある意味裸よりも淫靡に見える。
ㅤ一瞬、夢でも見ているのかと思ったが、それにしては桜の感触がリアル過ぎる。特に、生殖器に伝わる温もりと、それによって生じる快感は現実そのものだ。
「いや、襲ってるって……なんでさ」
「最近、全然していなかったので、久しぶりに先輩としたいなと思いまして」
ㅤ確かにそれは事実だろうけど、こうやって朝から俺を襲う理由にはならないだろう。したいのだったら、いつかのように部屋にきて欲しい、とか言ってくれればいいのだし。
ㅤ別に、こうされるのがイヤな訳ではないからいいのだけれど、桜らしからぬこの行動の意図が知りたかった。
「それに、いつもは先輩に気持ちよくしてもらってばっかりですから、たまには最初から最後まで私がしてあげたいんです」
ㅤそういえば、思い起こしてみると、桜の言う通りのような気がする。始めは桜に口や手でしてもらっても、結局は俺が桜を攻めて終わっている。桜に任せるとか言って上で動いてもらっておいて、最終的には俺だけが桜を突き上げていたなんてこともあった。
ㅤそれでも桜は満足そうにしてくれていたのだが、ずっと攻められっ放しという事実に思うところがあったのだろうか。
「……なるほど。理由はわかった。でも桜、俺を襲うにしても、この時間はまずいんじゃないのか?」
ㅤ朝はいつも起きてすぐに二人で朝食を作り、その途中で藤ねえや遠坂が家にやってくる。こんな時間に二人でしていたら、真っ最中を目撃される、なんてこともあるかもしれない。
ㅤ藤ねえはまだいいかもしれないが、あのあかいあくまに見られたらしばらくからかわれる羽目になるだろう。
「それは大丈夫ですよ、先輩。時計を見てみてください」
ㅤそう桜に言われるがまま、枕元に置いてある時計に目をやる。時計の針が示すのは午前四時。おまけに今日は俺も桜も一日特に用事はない。
「そうだな、確かにこれなら問題ない」
「はい、ですから私に襲われてくれませんか?ㅤ先輩」
ㅤぐちゅ、と腰を動かしつつ、微笑みながら桜は言った。
「桜。逆に聞くけど、俺がお前からの誘いを断ると思うのか?」
「いいえ、きっと先輩は応じてくれると思ってましたけど……その、本当は少し、不安でした」
「ばか、そんな心配なんてするな。俺は桜が好きだし、こうやって桜とするのも好きだ。それに、こんな風に桜からしてくれるの、俺は凄く嬉しかったよ」
ㅤとはいえ、最近桜とそういう時間を作ってなかったのは、素直に俺の落ち度だ。桜がこういう行動をとるに至ったのは、寂しさもあったはずだろうし。
ㅤだからその詫びに、今日は桜に全部任せよう。
「ありがとうございます、先輩……それじゃあ改めて──先輩を襲っちゃいますね」
「ああ、桜の好きなようにして欲しい」
ㅤ満面の笑みで嬉しげに言う桜に、俺も笑って答えた。
ㅤ……ただひとつだけ心配がある。桜が俺に口や手でしてくれる奉仕は、どうにかなりそうな程に気持ちがいい。そんなことを好き勝手にされるのを想像すると、少しだけ怖くなった。
ㅤだが、そんな一抹の不安も、その後に交わした激しいキスでどこかへ吹っ飛んでいった。その口付けも程々に、唇を離したあと桜は一度俺との繋がりをほどいた。
ㅤただ、その時妙なものが見えた。俺のものを引き抜いた桜の花びらからこぼれた液に、僅かに白いものが混じっていたような気がした。まだ起きたてだから見間違えかもしれないが、そうじゃなかったら、俺は既に一度桜に搾られたということになる。それを桜に尋ねようか迷ったが、知らないほうがいいような気がしたのでやめておいた。
「最初は手でしてあげますね」
ㅤ桜はそう言って俺の隣へ横たわると、屹立した俺のものをそっと包んだ。しかし、そのまましごき始めると思ったら、不意に俺の頭の横へ顔を寄せてきた。
「それと、先輩のお耳も犯してあげます」
ㅤそして否応なしに俺の耳をはむ、と口に含んだ。それと同時に始まる性器への手淫。性器を滑る桜の手は、そう速いスピードではないが、耳への愛撫と合わさって大きな快感を伝えてくる。
「う……桜っ、それ……す、ご……」
ㅤそのあまりの気持ちよさに、身体を痙攣させてうめき声を漏らしてしまう。桜は俺のその反応が嬉しかったのか、愛撫を激しくし始めた。
ㅤだが、それは性器のほうではなく、耳のほうだった。入り口のあたりを唇で挟んだり、キスをしたりするだけだったのが、穴へ舌を侵入させてきた。
ㅤその快感にぞくぞくと背筋に電流が走る。耳の穴をぐちょぐちょと舌で犯される感覚が、未知の快感を運んでくる。また、快感はそれだけではなく、耳を舐められる時の淫らな水音や、桜の湿った吐息の感触も、俺の脳を溶かしていく。
ㅤしかし、それとは反対に、性器への愛撫は優しいものだった。もちろん、一番感じるところを刺激されているのだから、気持ちいいのは確かなのだが、射精を促されるほど激しくはない。
ㅤ桜が今している手淫は、俺を焦らすような、そんな感覚だ。多分、桜はわかっててやっているのだろう。どうすれば俺が気持ちいいのかを桜は知っているのだから、焦らすなんて簡単だ。射精をギリギリで我慢するのも結構大変だが、こうして焦らされるのもきついものがある。
ㅤだが、その足りない快楽を耳舐めが補ってくれる。好きな女の子に口と舌で耳を犯されているという事実が、背徳的な快感に変わる。しかし、それは精神的なものが大きい。いくら熱く耳を愛撫されても、それだけで射精してしまう訳ではないのだ。よっぽど溜まっているのなら話は別かもしれないが。
「ん、は……先輩、どうですか……?ㅤ気持ち、いいですか……?」
ㅤ口を離して桜はそう聞いてきた。桜にされている時点で気持ちよくないはずないのだが、こういうことはお互い初めてだから、桜も不安に思ったのだろうか。
「ん……気持ちいい、ぞ……すごく……でも桜、こんなの、どこで覚えたんだ……?」
「ええと、その……ラ──い、いや、自分で考えたんです、先輩、こういうの気持ちいいかな、って……」
ㅤ「ラ──」とは何だろうか。いや、大体予想はつくけど、ここではあえて追及しないでおこう。後で直接本人に聞けばいい。
「そ、それより先輩、そろそろ、もう少し激しくしてあげますね」
「うん、頼んだ」
ㅤ桜は再度耳へしゃぶりつくと、そちらの愛撫はそのままに、性器を少し速くしごき始めた。増したスピードは僅かだが、快感は数倍に膨れ上がる。
ㅤさらに桜はその手の動き自体にも変化をさせてきた。人差し指を先端に這わせ、くりくりと撫でるように動かし始めた。その快感に思わず腰が跳ねる。性器の中でも最も敏感な部分を竿と共に刺激される快感は、先ほどとは全く違った。
ㅤ亀頭だけへの刺激ならば射精してしまうことはないのだが、竿をしごかれている状態だと、射精感は性器の中に少しずつ溜まっていく。その上、耳舐めまでされているとなれば、この遅い動きのままでも出してしまいかねない。
「ん……ぢゅ、ちゅ、ぅ……は……」
ㅤそして、桜は耳への愛撫も段々と激しくし始めた。口を大きく開けて俺の耳全体を覆い、舌で激しく舐め回す。耳の凹凸を丁寧になぞったり、穴の深くへ舌をねじ込んできたりと、まるで片耳を桜に食べられているようだった。
ㅤ耳から与えられるその快感は、徐々に全身へと染み渡っていく。もちろん、手淫をされている生殖器も例外ではない。それによって桜からの愛撫に感覚が敏感になっていき、少しずつ射精への欲求も高まってきてしまう。
ㅤそれは桜もわかることだったようで、手の動きが射精を促すそれへと変わってきた。竿を掌全体で包んで激しく上下させつつ、亀頭に添えた人差し指で優しく撫で回される。
ㅤそんないやらしい愛撫に、否応なしに射精感を引き上げられる。性器は桜の手の中で軽く痙攣し、腰も少し浮いてきた。
「ちゅ、ぢゅる、ぅ……あ……先輩の、びくびくして……もう、いっちゃうんですか……?」
「う、ああ……そろそろ、まずい、かな……」
「じゃあ、もっと激しくしちゃいますから、好きなときに私の手の中に出しちゃってください」
ㅤ囁くように桜は言って、その言葉通りにしゅこしゅこと射精に向けて俺のものをしごき始めた。その瞬間に俺を襲ったあまりの快感に、のけ反りそうになる。
ㅤそれはなんとかこらえたが、桜が耳を舐めたり、性器を擦る度に、何度も身体を反応させてしまう。桜はそうやって俺が反応するほど、嬉しそうに俺への攻めを強くしてくる。
ㅤさらに、そうやっているうちに桜も熱が入ってきたのか、俺に自らの身体を密着させてきた。脚と脚を絡ませ、脇腹の辺りにその豊満な胸を押し付けてくる。
ㅤ桜の肉付きの良い身体を押し当てられ、勝手に俺の情欲はかきたてられる。それと同時に高まる射精感。このまま耳を犯されながら、柔らかい桜の手を白く汚してしまいたい。
「さくらっ……もう、出る……!」
「ぢゅぅ……っ、んちゅ……ぷは……はい、先輩の精液、私にください……!」
ㅤ桜の舌が耳の奥深くに入れられるのと同時に、その手が精を搾り取るように強く性器を締め付けた。その桜の誘いに促されるまま、どく、と精液を吐き出した。
ㅤ堰を切ったようにあふれる白濁。それが桜の綺麗な手を汚していく。桜はそんなの構わないとばかりに、射精中も俺のものをしごき続ける。それに導かれ、どくん、どくん、と幾度となく桜の手の中で精を放った。
「すごい……先輩の、いっぱい出てます……」
ㅤ大きな快感の波が去ってからも、とくとくと緩やかな射精が続いていた。そしてそれを促すように、耳に浅いキスをしながら、桜は優しく俺のものをしごいてくれる。そして最後にとぷん、と勢いよく精液を吹き出して、射精は終わった。
ㅤ桜は俺のものからそっと手を離すと、そこについた精を丁寧に舐めとる。まるでそれを生クリームかのように、桜はおいしそうに飲み込んでくれる。
「先輩、気持ち良かったですか?」
「ああ。すごく良かった。耳を舐められるのも、少し驚いたけど気持ち良かったよ」
ㅤ一通り桜が精を舐め終わった後、二人で布団で横になりながらそう言葉を交わす。桜はその間、いとおしそうに俺のものを撫でていた。その手の中の生殖器は、未だに固さを保っている。
「なら、良かったです。……でも、まだまだいっぱい気持ちよくしてあげますからね」
ㅤ桜はそう言うと、俺の股間の前に移動し、俺に脚を開くよう促した。桜は俺の脚の間に座ると、今度は腰を浮かせるように言ってきた。それに従って腰を上げると、桜はその下に正座した膝を滑り込ませた。
ㅤそのまま口でするのかと予想したが、桜は自らの寝巻きのボタンを外し始めた。上から順にひとつずつ、焦らすように自らの肌をさらしていく。
ㅤそして全てのボタンを外し終わると、桜は肩をはだけさせてその綺麗な素肌を俺の目にさらした。最初からうすうす気付いてはいたが、桜は下着を身に付けていなかった。
ㅤ必然的に、その美しい形の乳房が俺の目に映る。何度も見ているとはいえ、やはり桜は綺麗だ。みずみずしい肌も、その恥ずかしげな表情も、すべて魅力にあふれている。
「次はおっぱいで先輩の、気持ちよくしちゃいますね」
ㅤしばらく桜の姿に見とれていたが、その言葉で現実に引き戻された。桜は二つの胸をそれぞれ自らの手で支えながら、その谷間に俺のものを挟んだ。
ㅤその、桜の豊満な胸に自分のものが埋もれているという光景に、ごくりと唾を飲む。桜もこの行為に緊張しているのか、触れている胸から心臓の鼓動が伝わってくる。
「え、えっと……ぱいずり、っていうんですよね、これ……初めてですけど、頑張ります」
ㅤ自分を奮い立たせるように桜は言って、両手でゆっくりと胸を上下に動かし始めた。先の手淫によって肉棒が濡れているため、スムーズに乳房が擦り合わさられる。
ㅤその摩擦によって、柔らかな快感が性器を包み込んだ。口とも、膣内とも違う感触。こうして性器が触れていると、手で触ったり揉んだりする時よりも、鋭敏にそれを感じ取れる。
ㅤ確かな熱と弾力をもったそれが生殖器と擦れるだけで、心地の良い快感がもたらされる。桜が自身のを上に持ち上げると、その豊かな胸の中へ性器がすっぽりと飲み込まれてしまう。まるで桜の胸に溶かされるような感覚。
ㅤそうやってしばらくその甘い快楽を味わっていたが、不意に桜が顔を性器へと寄せてきた。そのまま口で亀頭を愛撫するのかと思ったが、桜は性器へ自らの唾液を落とし始めた。それは谷間へ少しずつ溜まっていき、俺の精液と混ざり合う。
ㅤそれによって性器と肌の滑りがよくなり、自然と胸の動きは速さを増していく。そうすると、当然生じる快楽は大きくなる。しかし、それは射精感を高めてくるような激しいものではなく、感覚ごと俺を溶かしてくるような甘美な快感だった。
「先輩……ごめんなさい、ちょっと我慢できなくて……先輩の、食べちゃいますね……」
ㅤしかし、桜はそうして俺のものを挟んでいるうちに興奮してきたのか、熱い吐息混じりにそう言った。そして、俺がそれに反応する前に先端をぱくりと口に含んだ。
ㅤそれと同時に訪れる痺れるような快感。既に敏感になっていた亀頭に桜の柔らかな唇が触れるだけで気持ちいい。そして、ぬめった舌で舐められると、腰が抜けそうな快感が襲ってくる。
ㅤ桜が亀頭を口に含んだ、ただそれだけなのに、快楽は大きくその色を変えた。胸の動きはそれほど速いわけではないにも関わらず、口での愛撫と合わさると、強く射精を促してくる。
ㅤ口からの強い快感と、胸からの甘い快楽。そんな、二つの全く違う刺激にさらされ、俺の脳はみるみるうちに淫楽で溶けていく。
「は、む……ん、んっ……ちゅ……は……先輩……すっごい気持ち良さそうな顔してます……」
ㅤそのせいで表情まで緩んでいたらしい。それを想像すると少し恥ずかしくなったが、そんな体裁なんかを気にしている余裕はない。それに、桜にだったらそういう顔を見られてもいいとも思った。
ㅤ桜はそんな俺をもっと気持ちよくさせようと、胸を上下させる速さを激しくしてきた。しかもそれだけではなく、二つの乳房の動きを左右交互にさせてきた。
ㅤそれによって、快楽はさらにその形を変えてくる。さざなみのように優しかったものが、津波のようになって睾丸に溜まった精液を押しだそうとしてくる。
ㅤしかしそれでも、二つの乳房に埋もれた生殖器が溶けていくような感覚だけは変わらなかった。桜の柔らかな感触が為せる技だろうか。
ㅤその谷間に挟まれながら、淫らな水音と共に激しく愛撫される。それが俺の脳髄を犯しながら、生殖器を快楽に染め上げる。
「ん、ぁむ……っ、はっ……ちゅ……ふぇん、はい……」
ㅤ段々と熱を帯びていく桜の奉仕。特に口での愛撫は、先端の形がわからなくなってしまうほどに激しかった。さらに、竿への刺激も決して弱くはなく、ずりゅずりゅときつく締め付けながら擦り上げてくる。もう、生殖器の中で桜の感覚で染まっていない場所はなく、本当に桜に食べられているようだ。
ㅤ桜のほうもかなりその行為に夢中になっている様子で、俺のものを愛撫するその表情が嬉しげだった。おいしそうに亀頭を口に含みながら、肉棒を包む胸の動きに緩急をつけて俺を悦ばせようとしてくれている。
ㅤ生殖器全体を快楽に浸されながら、そんな光景まで見せられて、俺の限界は強制的に近付いてくる。頭の中はもう、溶けるような感触の中で果てることだけでいっぱいだ。
ㅤ考えられることはそれだけ。溜まった熱い白濁を、桜の胸に思い切り射精してしまうことだけだ。
「さくら……もう、だして……いいかな……」
「ん、ぷは……はい、いいですよ、私のおっぱいに、たくさん出してください……」
ㅤ桜も俺と同じで、胸に出して欲しいと思っていたのか、口を離して胸だけで愛撫を始めた。いや、もしかしたら俺の意思を汲み取ってくれたのかもしれないが、それを考えていられる程今の俺の頭はまともじゃない。
ㅤ桜は俺を射精させようと、容赦なく胸を上下させてくる。両手でぎゅっと胸を押し付けて、まるで膣内のように強く生殖器が締め付けられる。
ㅤそれによって否応なしに引き上げられる射精感。精液は尿道を限界まで上ってきて、あと僅かで出口に到達してしまいそうだ。
ㅤそして最後の一押しとばかりに、桜はこれ以上ないほど速く胸を動かす。それが俺の肌とぶつかり合い、まるで激しく腰を打ち付けているときのような乾いた音をたてる。
ㅤその激しい桜の愛撫に、とうとう俺も耐えられなかった。
「きゃっ……!ㅤあは……先輩の、でた……」
ㅤ桜の胸の中で勢いよく吹き出す白い精液。それが桜の顔や胸を汚す。しかし、桜はそれを嬉しそうに受け止めながら、優しく胸を揺らす。
ㅤそんな桜に甘えて、躊躇うことなく桜の胸に精液を吐き出す。びく、びく、と何度も性器を痙攣させて、溶けるような快楽に浸ったまま射精し続けた。
ㅤそうしてほとんどの精を出し終わった後、残ったものが緩やかに流れ出る。桜はそれを、亀頭に口をつけて優しく吸い出し始めた。
ㅤそこから伝わるびりびりした快感。多少のくすぐったさも混ざったそれに流されるまま、桜の口内にとろとろと精を注いだ。
「ん、は……先輩の、おいしいです……」
ㅤ俺の出したものを全て飲み下し、桜は顔を恍惚とした色に染めて言った。その表情は、こびりついた白濁と合わさって、おさまったはずの俺の情欲をかきたてる。
「桜……」
「はい、先ぱ……んむっ……!?」
ㅤそれで我慢できずに、身体を起こして桜の唇を奪った。段階なんて無視して、強引に舌をねじ込ませる。舌や歯茎まで口内の隅々を犯し、桜の力が抜けた頃にそっと舌を絡ませた。
ㅤ桜もそれにすぐ順応し、舌を俺のほうへと突き出してきた。それを受け止め、互いの口の間で濃厚に絡ませ合う。戯れるようにつつき合ったり、激しく貪り合ったり、満足のいくまで舌と舌での愛撫を楽しんでから唇を離した。
「は……っ、あ……ふふ、我慢できなくなっちゃったんですか?ㅤ先輩」
「いや……あんなコト桜にされて、我慢しろってほうが無理だ」
「じゃあ……ちゃんと責任取らないと、ですね」
ㅤ桜はそう言うと、脚を俺の腰の下から引き抜き、その上にまたがった。そうすると自然と俺の目にさらされる、桜の花びら。その様子から、俺を攻めているだけで桜も興奮していたことがわかった。
「最後は私の中で気持ち良くなってください、先輩」
ㅤその言葉を合図にしたかのように、桜は生殖器同士の接合を始めた。入り口と先端がそっと触れ合うと、それだけで互いの身体に快感が走る。
ㅤそれに身体を震わせながらも、桜はゆっくりと俺のものを飲み込んでいく。桜の花びらももうどろどろになっているから、挿入は容易い。桜が腰を下ろす動作には、まったく抵抗がなかった。
「ん……っ、先輩……このまま、動きます、ね……」
ㅤ全てを挿入しきって間もなく、桜は腰を動かし始めた。布団に手を突き、上下に生殖器を出し入れされる。それは、動き始めにしてはやや激しいものだった。桜も我慢の限界だったのかもしれない。
ㅤさらに、桜は俺の腕を掴むと、掌を自らの乳房に触れさせた。その感触に、桜の中でびくん、と生殖器が反応する。
ㅤそれを、高ぶる情欲のまま愛撫する。でも、今は桜に任せると決めているのだから、激しくはしない。掌全体で包みこんで、撫でるように触れる。俺はそれだけでも満足だし、桜もそれが気持ちよさそうだった。
「あ、ぁん……っ、先輩……は、んっ、先輩の手、あったかい……」
ㅤ俺の腕を掴んでいた桜の手が、俺の手に重ねられる。そして、桜のほうから俺の手を動かしてくる。その動きに任せて、桜の胸の形を歪める。
ㅤ円を描くようなその動きが桜は気持ち良かったのか、生殖器を抜き差しするその動きが熱くなり始めた。ぐちゅ、ぐちゅ、と生殖器の中で互いの液がかき混ぜられて、いやらしい音が響く。
ㅤそれと同時に高まる快楽に、こっちも腰を動かしたくなるが、それはこらえる。獣のように激しく求め合う性交も好きだが、こうして桜の望むままに快楽を与えられるこの交わりも、それとは別の良さがあった。
ㅤ桜が俺を気持ち良くさせようとする気持ちが、快感と共に伝わってくる。それに応えるように、胸に這わせた手に少しだけ力を込める。桜はその刺激に対して心地よさげに身体を震わせてくれる。それだけでも充分嬉しかった。
「はぁ、んっ、先輩、あっ……きもちい、いっ……」
ㅤ少しずつ桜の声から理性が抜けていき、代わりに快感の色が混ざり始める。そしてその色が強くなるほど、桜の動きも激しさを増していく。互いの肌がぶつかる音が大きくなっていくのも、それを証拠付けていた。
ㅤさらに、結合部からもれた互いの淫水がその音と混じり、ぱちゅ、ぱちゅ、と淫らな音をたてる。それは、桜の口から漏れる甘い嬌声と共に、俺の脳を壊してくる。
ㅤ既に目は桜のことしか見えなくなって、気が付けばとっくに俺は桜に溺れていた。でも、溺れていようが何だろうが、お互いに気持ち良くなれるならどうだっていいだろう。何より、そうして俺が快感に染まっているのが、桜は嬉しそうだった。
「先輩……ぁ、はっ、あん、すきっ、せんぱい……っ、ふぁ、あ……すき、です……っ」
ㅤそして桜のほうも、かなり快感に溶けてきているようだった。その悩ましげな声が段々と舌足らずになり、腰の動きも自分の本能のままに動かしているようだった。
ㅤそうやって、二人で淫らに狂っていくのがたまらなく心地いい。馬鹿になったみたいに「好き」と言い合いながら、快楽の海に溺れていく。
「さくら、く、あっ……桜……俺、もう、いく……っ」
「はっ、あん、ぁ、せんぱい、わたし、ひあっ、は……わたし、も、です……っ」
ㅤそして、気付いた時にはもうすぐそこに絶頂の瞬間が迫ってきていた。しかし、もうとっくに後戻りできないところまで来てしまって、それを止めようとすら思えなかった。
ㅤそれに、桜も同じように限界を迎えようとしている。それならば、このまま共に果ててしまえばいい。淫楽の海で溺れたまま、二人で飛んでいくほど気持ちよくなってしまえばいい。
「桜、いく、出るっ……さくらっ……!」
「せんぱいっ、ぁ、あんっ、ふあああっ……!」
ㅤそして、どちらが導いた訳でもなく、俺たちは共に絶頂した。びくびく、と激しく身体を痙攣させて、熱く焼けそうな声をあげながら。
ㅤそして桜の一番奥へ、残っていた精を全て解き放った。亀頭を思い切り押し付けて、一滴残らず注ぐように射精する。
ㅤ桜はそのおかえしとばかりに、身体を倒して俺に口付けてくれた。そのまま優しく唇を啄み合う。時折軽く舌を絡ませながら、甘いキスを交わす。
ㅤそうやって、溶けてしまいそうな快感に二人で包まれながら、抱き合いながら俺たちはしばらく余韻に浸っていた。
「……結局、私も気持ちよくなっちゃいました」
ㅤ赤く染まった顔を布団で隠しながら、恥ずかしそうに桜は言った。
「別にいいじゃないか。ああして桜にしてもらうのも良かったけど、やっぱり二人で一緒っていうのが俺は一番好きだよ」
ㅤ頭の後ろに回した手で軽く髪を撫でながら言う。
ㅤ今は既に繋がりを解いて共に布団に入っている。服はお互いに半脱ぎのままだが、こうして抱き合っていれば充分暖かい。
「はい、そう言ってもらえると助かります……」
ㅤ未だに顔は赤いが、目はこちらをしっかりと見ながら桜はそう答えた。
ㅤその言葉に満足して、もう一度くしゃりと髪を撫でる。桜はそれに気持ちよさそうに目を細める。
ㅤ可愛らしいその反応を見ながら桜に一つ提案をする。
「なあ、桜。このまま、二人で寝たいんだけど、いいかな」
ㅤ実は今、かなり眠い。桜だけ残して一人で寝ないようにと頑張っているのだが、気を抜けばすぐに眠りに落ちてしまいそうだ。している真っ最中は全然眠くなかったのだが、終わってしまうと途端に眠気が襲ってきてしまう。
「あ、実は私もそうしたいな、って思ってたんです」
ㅤ若干の照れを見せながら桜は言った。
ㅤ桜がそう答えてくれるのは大体予想できていた。何故なら桜は今日、俺よりも確実に早起きなのだから。もしかしたら昨晩に早寝をしていたりもするのかもしれないが、それにしても休日にこんな早起きは少しきついだろう。
「じゃあ、二度寝しようか、桜」
「はい、先輩。おやすみなさい」
「ああ、おやすみ」
ㅤ軽い口付けをしてから共に目を閉じる。途端に襲ってくる強烈な眠気。それに身を任せて、俺たちは心地いい眠りについた。
「おっはよー!!」
ㅤ……という訳にはいかなかった。
ㅤ玄関が開く音と共に響いてきたのは、他の誰でもない、藤ねえの声だった。
「しまった。藤ねえがいるのを忘れてた」
ㅤさっきまでの眠気が嘘だったかのように、一瞬で脳までもが覚醒した。それは桜も同じで、俺とほぼ同時に目をぱちりと開け、困ったような笑みを浮かべながら言った。
「眠れなくなっちゃいましたね、先輩」
「ああ。仕方ない──よし、起きるぞ、桜」
「はい、藤村先生を待たせちゃ悪いですもんね」
ㅤそんな風に軽く言葉を交わしながら布団から出て、お互いに急いで服を着る。ついでに顔や身体についた汗なんかを拭いて、二人で台所へ向かった。