日は既に高く、盗賊達は略奪が終わってねぐらに戻っていた。
ここは
略奪は簡単だ。近くの無防備な村を適当に襲い、武器で脅し、見せしめに何人か殺して金銭や女を要求する。たったそれだけで、村人が何年もコツコツと働いてきた収入が一度に手に入る。
才能限界の世界は過酷だ。ここをまとめている軍人上がりの頭領はレベルが30に届いている。そうなれば一般人が束になろうが敵わない。盗賊達は彼に従うだけで飯も女も保証されていた。
「あ~……この前の女はどうした?」
「イッた瞬間に即死させると、締め付けが凄いって噂を試したら失敗しちまったぜ。汚いだけだわ」
洞窟の入り口、見張りの男達が下種な会話をしていた。自分達が女をどう扱ったかという自慢大会だ。
「またかよ。あっさり壊すんじゃねーよ。俺はまだ途中だったのに」
「歯を一本一本抜いて感触の違いを楽しむのはいいが、下手糞だな。顔が歪んじまって抱く気がしなくなっちまった」
「いい器具がないんだよ。シヴァイツァーとか襲えば手に入りそうだが……」
盗賊は血の跡が滲むレンチをくるくると回す。また一つ女を潰してしまった。補充しなければならない。女は盗賊達にとっては消耗品だった。
「ねえ、あなたたち。ちょっといい?」
「へっ?」
気づくと森林に少女が立っていた。安物の冒険者服とスカート、護身用の長剣、良くある旅人の服装だ。迷ってここまで来たのだろうか?
「お、おお……これはすげぇ……」
「お嬢ちゃん、どうしたんだい?」
声をかけて来た人間は、盗賊達が見たこともないような美少女だった。そこにいるだけで周囲の全てが輝いているように見える。野暮ったい服装なのだが、それが素材の良さを際立たせている。金塊を見つけた時だってここまでの興奮はないだろう。
見張り達は、勇者特性によって完全に魅了されていた。
「盗賊、でいいのね?」
「あ、ああそうだぜ。俺達はこのあたりで活動しているんだ」
「そう。ここのボスに用事があるから、連れて来てくれると嬉しいんだけど」
バーバラは形だけの愛想笑いで――――盗賊達にとっては、腰が砕けるような笑顔でお願いをした。
「いいぜ! ちょっと待ってろ!」
頭の悪い、完全にバーバラの虜となった盗賊は素直に洞窟の中に入っていった。残るは自分達の仕事を多少は覚えている盗賊達。
彼等は皆下品な視線を送り、この少女をどう組み敷こうかということに頭が一杯になっている。
「ボスが来るのを待つ間に、俺達と遊ばないか?」
「こんな場所より、ゆっくり座るところも寝るところもあるぜ? 中に入ってくれよ」
少しづつ、バーバラに対して前のめりに近づいていく。勇者特性は男性なら惚れっぽくなるで済むが、女性だと相手の知性次第では直接的な行動になる。今のところ、こればっかりだ。
「――――そうねー。じゃあこっちから行くから」
バーバラは軽やかに盗賊の真ん中を突っ切り、二、三歩で洞窟の入り口に立っていた。その間に、何度か腕が振られたのを一人も気づけなかった。
「……はっ?」
惚けるのは一瞬、効果は劇的。ある盗賊の首が落ちる。一人は心臓が抉られ、一人は喉笛が貫かれていた。ばたばたと、あるいはぼたぼたと致命的な部位がこぼれて盗賊達が倒れ込む。
「な、なんだこれ……!?」
無事だったのは、殺戮圏から離れて座っていたレンチを持つ男だけ。慌てて立ち上がると、その手首がついていかずに下に落ちて金属音が鳴った。
「あー、ごめんね。一息に出来なかった」
「――――ッ!」
すぐ横から声がしたが、見れることはない。手首を切り払ったバーバラの剣は次の一太刀で盗賊の首を斬り落としていたのだから。
金属音に驚いて下を見た男の首が、一泊遅れて地面に転がった。
逡巡モードの勇者は、レベル一桁の人間では目に止まらない速さで動く。適当に剣を振ったら全員死んでしまった。これでは戦いではなく、素振りだった。
小さなムシが踏みつぶされるように、入口の盗賊達は全滅した。
「はい皆どーぞ。ミルキーさん、お願いね」
そうしてからやっと、魔法で隠蔽されたパーティが姿を見せる。このパーティは最初から全員一緒で、視認阻害の領域から一人バーバラが前に出ていただけだった。
「遠隔目玉は先の男につけている。暫くしたらボスが誰かわかるだろう」
「そう。じゃあここで出待ちする?」
「勇者特性は見なければ効果はありません。頭がわざわざ来ますかねー」
マップを見ながら従者が呟く。既に盗賊の拠点にはバツ印が刻まれているものがある。
「……これで三つ目だからね。ここで決めよう!」
バーバラは足早に洞窟へ入っていった。
盗賊退治はバーバラ達にとって楽勝だった。罠の多くはサチコやクルックーが指摘して回避してくれる。後は雑魚を屠るだけ。バーバラが剣を振るえば敵は死んだ。
だが、最初の盗賊の拠点を潰した時に問題は発生した。
盗賊の拠点を潰したのに、溜め込んでいるはずの金が無い。
盗賊達は金や女を盗んでいるのに、多くは女だった悲惨な死体ぐらいで、goldや装飾物がないのだ。生き残った下っ端に聞いてもなしのつぶて。ほとんどボスが持っていったの一点張り。ボスだった死体をコーラに漁らせても、ほとんど持っていなかった。
クルックー達の結論としては、ここは枝葉で根本を断たないと意味がないということになった。
二つ目の拠点は、砦跡だった。すわ大きい組織と期待して襲撃したがやはり金はなかった。戦いの中で、バーバラがうっかりボスを殺していたため情報も無し。
仕事そのものは簡単なのに、3つ目に雪崩れ込んでいた。強すぎるというのも考えものだ。
(う、うう……早くしないと……!)
そんなこんなで既にお昼を過ぎている。今日中に終わらせてみせると言った手前、バーバラは焦っていた。先頭切って道なりに広い分岐へと進む。
「あ、そっちはトラップだらけで行き止まりだと思いますよ」
「きゃああああああ!!!」
クルックーの忠告は間に合わなかった。罠として用意されたスライムの群れが襲い掛かかってきた。あか、みどり、あお……様々な粘液がバーバラの体にまとわりつく。
「死ね死ね死ねーーー!! ああもう、なんでこんなものがあるのーーーーー!」
粘液塗れでぐちゃぐちゃになりながら切り払う。エスクードソードを振り回すが再生能力のせいで効果が薄い。そうこうしてる内に深く絡みつき、動けなくなっていった。
従者としては溜息を吐くしかない。またか、またなのか。
「…………あれが、今の私の主です」
「はははははは! 道化だな!」
「コーラ、助けてーーーー!!!」
バーバラはここ数日間ですっかり決まり文句となった言葉を叫んだ。今日もノルマ達成だ。
戦闘は無敵だが、大体それ以外で何かしらやらかすのがこのポンコツ勇者たる
せめて大声で叫ぶのは勘弁して欲しかった。罠にかかった馬鹿を袋叩きにするぐらいの用意は、どの盗賊にもあるのだから。
「マヌケが引っかかったぞ。囲め!」
「こいつは上玉だぁ! ひん剥いて犯すぞぉ!」
わらわらと、盗賊達が気づいて次々と近づいて来た。
「ひぃーっ! 勘弁してええええ!!!」
「これは助けないといけないんじゃ……」
泣き叫ぶ勇者。コーラは前に出ようとするサチコの腕を掴んで止めた。遅いか早いかだが、未来は分かっている。口を開くだけでいい。
「口は動くんですから、魔法を使えばいいでしょう?」
「――ッ、火爆破ぁ!!!」
「おわっ……」
盗賊達が接近しきる前に、勇者の詠唱が間に合った。手首だけで方向を調整した魔法が盗賊達を襲った。適量無視で魔力をぶち込んだ爆炎が盗賊達を焼いていく。
「「ぎゃああああああああああ!!!」」
「火爆破! 火爆破! げほっ……」
一度では足りない、二度三度と身の危険を排除する為に打ち込めばバーバラの近くまで被害は及ぶ。煙がこっちまで来た。術者であるバーバラは煙の中だ。
「バリア。ははははははははは!!! あれだけの実力があってこうなるのか!」
「げほげほげほーっ!! た、助けてえーーー!!!」
煙に巻かれて、息をするのが辛くなった少女は助けを求めている。過剰火力で盗賊は消し炭だが自分まで灰まみれだ。
「…………ポンコツ勇者」
この馬鹿のお守りをずっと継続するのか。神異変はいつ終わるのか。
コーラの行く末は視界より暗い。
程なくして、粘液まみれ、灰かぶりの勇者は助け出された。
「ああもう、最悪ー! なんでこうなるのよー!」
バーバラはタオルで少しでも汚れを払おうとしている。得体のしれない粘液が大量に付着した衣服、煙と灰が付着して汚れた手足、凌辱後の少女といういで立ちになっていた。
「休憩を入れた方が良さそうですね」
バーバラの精神状態を考慮してクルックーが提案した。予想以上に駄目な子だった。冒険に関しては、半年前の自分の娘より未熟だ。焦ってまた失敗しかねない。
「うむ。そうしてやりたいが……盗賊の頭領が逃げるぞ。遠隔目玉でボスを掴んだのはいいが、先の戦いで不利を悟ったらしい。方針が逃走に変わりつつある」
「逃げ場二つはありそうですしねー……」
サチコは風の通り道を感じることで、逃走用の経路がある事を理解していた。このままでは、地の利ある相手に撒かれる。
「あーもう……なんか良い魔法とかないの!? 私一人で突っ走って追いついちゃうから!」
「ふむ。ではマッピングは終わっているので、頭の中に叩き込んでみるか」
ミラクルは隠蔽魔法が施された遠隔目玉達の操作で、洞窟の内部全てを理解していた。罠、マッピング、現在の頭領の位置をバーバラに同期させていく。
「う、うわっ……なんか、こう、ぐるぐるする……」
自分の視界の端に異物が差し込まれるような感覚。視点をズラせば端にある全体地図も向きを変える。ただ、慣れればそれが便利なものと理解出来る。
「これならば、先程のような無様を晒す事もないだろう」
「うん、うん、うん……今なら全然追いつけそう。行ってきます!」
勇者は頭領を追いかける一つの風となった。止める者は最初からいない。足止めを命じられた盗賊はすれ違いざまに切り裂かれて崩れ落ちる。バリケードの類は膂力に任せて壊す。
罠の類はミラクルによって見破られている。迷いはない。
洞窟の出口を一目散に目指し、あっさりと抜けた。
「ひ、ひぃっ! あいつだ! あいつですぜ!」
「いいから黙って逃げろ!」
洞窟の出口を出ると、頭領ともう一人が逃げているのが見えた。距離はあるが視認可能。追いつくこともできるだろう。だが、バーバラはもう一つの力を使うべきだと判断した。
「よーし……」
詠唱開始。しっかり時間をかけて練り込む。成功率は高くなったが確実ではない。
(集中、集中……)
船の上では文無しだったが魔導教本があった。コーラに練習しろと言われて、さかなモンスター相手にストレス解消として試していた。今こそあの魔法を使うべきだ。
狙いは頭目ではない方の盗賊。あいつを消し飛ばす。
バーバラが最も得意とする炎系魔法、その上級。使えれば一人前と認められる、憧れた魔法が今は手中にある。
「……ファイヤー、レーーザー――ー!!」
一本の熱戦が左手から飛び出し、逃げる盗賊の男にグングンと迫り―――――狙い
「あぎゃあっ!!!」
知識も技術も未熟だが、勇者が完全詠唱で打ち放った上級魔法だ。炭化どころか溶解を起こして盗賊の下半身を潰した。
「そこの頭目! まだ逃げるならこの魔法を打ちこむわよ!!!」
「………………ッ」
大声は頭領にも聞こえたらしい。足が止まり、視線は盗賊が撃ち抜かれたところへ。
「お、俺……どうなって……下の、感触が……ない……」
手遅れだ。背骨が見えるがそれすら溶解してジクジクと浸食している。焼き切られている為に出血はほとんどないが、火傷は広がって5分と持たずに死ぬだろう。
「自分からこっちに来るなら命だけは勘弁してあげてもいいわ! 武装を解除してね!」
「…………ッ畜生!」
ああはなりたくはない。魔法使いに視認されていては逃げられない。ファイヤーレーザーは必中だ。
剣を投げ捨てて、頭領は観念した。振り返り、両腕を上げてバーバラへ近づいていく。
「コーラはボロクソに言うけど、私ってやっぱり才能あるんじゃないかなー?」
最後は剣に頼らず、魔法で制した。ポンコツ勇者と馬鹿にされた中で得られた成果。
バーバラは頭領を満足そうに眺めつつ、エスクードソードを肩に乗せた。
頭領は捕まり、尋問の時間となった。クルックー達は慣れた手つきで、縛られた男に対する尋問の準備を整えていく。
「リーダーはもう使った。プロテクトの類も無し。いつでもいいぞ」
「ここまで来たんだ。嘘を言う気はねぇよ」
頭領はもう諦めていた。自分の末路を察しつつ、せめてマシな死に方を望んでいる。
「お前らが言いそうな事を先に言ってやる。金はどこだ、だろ?」
「……話が早くて助かりますね」
「おうともよ。俺は元々盗賊を率いる気なんて無かったんだ。胸元にタハコとジッポがあるから吸わせてくれ。最後の一服だ」
思ったよりも素直なので、クルックーは素直に従った。情報が得られるなら違法薬物でもなんでもいい。
煙を深く吐き出して、男は事の顛末を明かしていく。
「真面目に仕事するのが馬鹿らしくなってな、犯して奪って面白おかしく暮らしてたんだ。だが、ある日悪魔に囲まれた。従え、さもければ殺すってな」
「悪魔、ですか」
「あんたは神官さんだし契約を求めに来たと思ったんだろう。だが違った。あいつらは純粋に俺達を支配したんだ。金を集めろ集めろ、集めろってな。最近ではノルマは上がり、どんどん襲う日は増えて休みはありゃしねえ。軍人の時より働く羽目になっちまった。ぐっ……」
男の顔が苦悶に歪む。何かの代償、あるいは契約違反の呪いが来ていた。手足が腐っていく。発動した時点での解呪はクルックーでも不可能だ。
「……知られたら発動するタイプですか」
「どうせ、こうなったら、隠しても無駄だろ。酷い苦しみ方するらしいから早めにな……」
死にゆく者が、死ぬ覚悟を持って吐く言葉に嘘は無い。せめて手短に、楽にさせるべきだ。
「金はどうやって運ばれていますか? 悪魔はどこにいると思います?」
「転移魔法が、使える悪魔が来て運ぶ……そんなに離れていないだろうよ……」
「……その情報だけで十分ですね。ありがとうございました」
慈悲をもって、クルックーは頭領の命を絶った。そのまま手を組んで、信仰なき神に向けての祈りを捧げる。
「
「……何それ?」
「
「あ、ううっ……!?」
ミラクルがバーバラの頭の中にあるマッピングを切り替える。船酔いのような不快感と共に見える地図が切り替わり、全体構造も無理やり理解させられた。
「あ、ありがとう……じゃあそっち行って、倒せば任務完了、なのかな?」
「相手は悪魔ですか。大変ですねー……」
「場合によっては、ここで諦めるのも手かもしれませんね」
「へ?」
サチコとクルックーは深刻な顔をしていた。ここまで悠々とした二人が撤退を考えているのは以外だった。
「盗賊退治は余裕だったじゃない? 悪魔もぱぱーっと行けば……」
「場合によっては、相当高位の悪魔と当たる可能性があります。あそこは悪魔の巣窟なので」
「今回の運び屋は第六階級魔神、リターンデーモンだろう。黒幕がいるとしたらその上だな」
「ん、んー?」
悪魔が人より強い程度の知識はバーバラにもある。ただ、階級でどの程度強いのかが分からない。そもそも今まで悪魔との戦闘経験がなかった。
「まぁ、何とかなるでしょ。今の私に敵なんてほとんどいないからバサーッっとやっちゃおう!」
魔人も魔王もいないならば、世界最強と言っても過言ではない。能天気にバーバラはそう判断した。迷いなく、悪魔回廊への道を走りだす。
逆に悪魔の強さが身に染みてるサチコは不安げに後衛二人に尋ねた。
「……どうしますか?」
「入口ぐらいはいいだろう。危ないなら引かせる。それぐらいか」
「いざという時は黙らせますので」
クルックーはメイスを振っていた。一行は若干警戒度を上げてバーバラの後を追っていく。
一足早く、バーバラは悪魔回廊の入り口に到着した。
(早速悪魔がいる……)
気配を消して近づく。先手必勝が取れるのは彼女特有の長所だ。冒険者になった時からそれだけは褒められていた。
その悪魔は、黒を基調とした鎧を着込んでいる。二つの角があるのだから悪魔なのは間違いない。身の丈程の歪で巨大な剣を持ち、悪魔回廊の奥を伺っていた。
「結局外れを掴まされたが、放置が出来ないものでもあるな……」
周囲には魔物の死体が散らばっている。この悪魔が倒したものと考えていいだろう。クルックー達の言う、高位の悪魔なのかもしれない。そして、もう一人。
「闘神都市で調べて結局こっちか。やっぱり悪魔界に逃げ込まれると調べきれないわね」
片翼の少女だ。これもモンスターの類か、悪魔か。神に似ているが、神ならば神々しさがあるという。昔見かけたレベル神とは大違いだ。
(敵と考えて斬りかかろう!)
剣を構えて、少しづつ距離を詰める。勇者の射程圏に天使の少女が入りかけた時、それは起こった。
「おらあっ!」
全く迷いなく、悪魔がこちらに斬りかかって来た。
「へっ?」
完全に虚を突かれた。今まで見た誰よりも早い。こちらが先に斬りかかる事だけを意識していたため、中腰で受けきれない。技巧とリーチを利用した一撃で剣を弾かれた。
「で、コイツは何だ? 俺達に用か?」
悪魔は冷めた目で、バーバラの喉元に剣を突き付けた。
「え、え、ええええ……?」
「冒険者か? 何故ここにいる? どうして俺達を狙った?」
負けた。完全に負けた。命は悪魔に握られている。勇者になって以来初めての経験とショックに、バーバラはまともな受け答えが出来ない。
「……あまり待たねーぞ。時間がないからな」
悪魔は剣を少し前に突き出した。剣の先端が少し喉に触った。このままだと、殺される。
「あ、あの私、冒険者です! 盗賊退治の依頼で! 悪魔が黒幕で! 悪魔だと思って!」
「あー……悪魔退治か。返り討ちにしてもいいんだが、この世代は弟や妹が結構いるから手をかけ辛いんだよな」
がしがしと、悪魔は頭を掻く。目の前の存在をどうするべきか悩んでいた。そこに殺気の無い声がかかった。
「
「げっ、クルックー……」
悪魔は少女の近くに向かっている存在がいたのは認識していた。だけど声とその言葉で、会いたくない身内だと理解してしまった。
「あ、クルックーさん達じゃない!」
「魔王討伐隊以来だな、ダークランス」
「ヌークさんもお久しぶりですねー」
どれもこれも十年来の知己ばかり。この少女に手粗な事をしたのは間違いだった。
「この様子だと、貴方達も悪魔回廊に用があるみたいですし、一緒に行きませんか?」
「へ、へ……皆知り合い?」
へたりこんで、完全に置いてきぼりになったバーバラは混乱した。ぐるぐると目を回してあたりを伺っている。
簡単な盗賊退治は終わり、黒幕の待つ悪魔回廊の前に役者は集う。
ダークランス lv260
魔王の子長兄。現時点での魔王の子比較では最強。
習熟度もそうだけどグラム持ってる時点で反則。
ヌーク77
天使ルート、闘神都市で二人っきりで調査してたけど色々な意味で進展無し。くすん……。
これでフルメンバー。
クエスト的には前衛DR、バーバラ、サチコ 後衛クルックー ミラクルの構成。正直勇者抜きでも余裕。(むしろいらない)
ポンコツ勇者も多少は成長する。してくれないと困る。