※この作品はR-18です。

新勇者バーバラの冒険   作:ランスロス・マッキ

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 ●●●● ダメ ゼッタイ
 皆さんも気をつけましょう。
 2部後のインフレ、物語のスタート地点にしてturn1の山場をお楽しみください。
 ルド世界で遊ぼ………うん?


ウラジオストック⑤ やらかした

くさったゆうしゃ が あらわれた !

 

 

 

「遅いよー! 長田君どこ行ってたの!」

「そう言うなって! バウンドにお前の父ちゃんへの戦利品渡してたんだよ!」

 

 足をぽーんと投げ出して座り込み、文句を言うエール。取り成すように慌てて近づく長田。

 最終決戦を前にして、やはりこの二人は一緒だった。

 

「なんで?」

「相棒が俺がいない時にやらかしたら絶対叱られるからな……手土産無いとヤバそうじゃね?」

「失敗なんてしないよ。もうこの計画は最終段階さ!」

「あんっ」

 

 破砕音と共に陶器が割れ、エールは立ち上がる。

 

「後は大神官アキラとやらをぶっ倒せば終わり――――」

「もう来てるよ」

「えっ」

 

 音も無く、一瞬前までいなかったミニスカートの女性が立っていた。

 

「その通り、君達の勝ちだ。僕はこれから戦って時間を稼いで兵士を逃がす。でもその前に――」

 

 仮面を頭に乗せ、素顔を晒したアキラは白旗を掲げていた。

 

「移動しつつ、お話をしないかい? この街、あんまり壊されたくないんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 ウラジオストック西区画。

 エール達はアキラと共に歩いている。

 

「本気を出し始めた魔王ランスはマジヤバだった! 次々と戦闘不能になる中で、相棒は飛び出したんだよ!」

「そしてボクの大立ち回りによって隙が出来てお姉ちゃんのビンタが決まったんだ!」

「それは凄いね! 魔王に一対一で隙を作るなんて偉業だ!」

「でしょー? それで魔王は正気に戻ってボク達は世界を救ったの!」

「でも、それで終わりじゃないんだろう? 翔竜山の観測班は異常を報告していた。まだ何かあったはずだ」

「ふふっ……それはねー……」

 

 アキラは暇潰しとして、エールの魔王退治に興味を示していた。

 アキラが襲撃について謝罪したことで溜飲(りゅういん)を下げたのもあり、エールは気持ち良く自慢している。

 話はテンポ良く進み、シィルの解凍、お茶会、クエルプランの暴走、魔王の血との戦いまで来たところで、

 

「凄い、なんて凄いんだ。信じられない! 君達は本当に世界を救ったよ!」

「でしょー? まあボクは主人公だからね!」

「知らなかったのかもしれないけどね、魔王は殺しちゃいけないんだ。もしランスを殺してしまったら君達の誰かが次の魔王になった。その絶望の連鎖を君達は終わらせたんだ。ああ……」

 

 声を詰まらせて、魔王討伐隊の顛末(てんまつ)を称賛する。

 大団円に胸を打たれ、これから戦う相手で都市を落とそうとする敵に惜しみない拍手を贈る。

 アキラは心から、心から嬉しそうだった。

 

「……いいんすか? こんなに喜んじゃって。東ヘルマンって魔王の子嫌いなんじゃ?」

「東ヘルマンの存在価値は半ば失われちゃったけど、人類が勝利した日だ。喜ばない方がおかしいよ。この朗報はもっと早く聞きたかった!」

 

 外交筋をもっと確保出来ればなあとぼやくアキラ。喜色を湛(たた)えエールの肩を叩いて労(ねぎら)う。

 

「もう僕が東ヘルマンにいる意味も、戦う意味もほとんど無くなった。こんな英雄と戦うなんて、胸が痛むよ」

「ふふーん! でもその方が面白そうだからね。戦ってもらうよ!」

「面白そう、か……ならもっと面白いことがあるから、やらないかい?」

「え、なに? なんかあるの?」

 

 興味をそそられたエールは、アキラに肩を触られたまま彼女の顔を覗き込んだ。

 この時、アキラは浮かれていた。

 過去二千年も得られなかった平和に、人類の問題が解決した喜びに、かつてなく興奮し浮かれていた。

 故に、彼女は間違えた。

 

 

「それは、セックスだ!」

 

 

「…………え?」

「セックスだ! 僕と君ではレズセックスだけどそんなの些細な事さ! 人類に平和が訪れたからセックスパーティをしよう!」

 

 アキラの息は荒く、腰は淫猥(いんわい)にうねりエールの体に纏(まと)わりつく。胸を押しつけ、肩に回された手は脇に伸び、神経の集中しているところを触らんとしている。

 興奮のあまり、ここでおっぱじめかねなかった。

 

「セックスは最高の娯楽だよ。二千年やっても飽きない。誰とどんな事をやっても新しい発見がある。今の僕は君のような女の子に快楽を教えてあげるのがマイブームでね、天国に連れて行ってあげ――――ぶへぇっ!?」

 

 アキラは吹き飛んだ。エールの全力の一撃を顔に喰らい、民家に大穴を開けて叩きつけられる。

 

「えっちなのはやめて!」

 

 エールの顔は真っ赤に染まり、涙が滲(にじ)む。

 女性に弄られ、あられもない声を上げて、自分の知らない感覚を教え込まれて逃げ出した経験。

 シィ―ウィードのトラウマが発動していた。

 

「えー……セックスは世界を救うよ? 神様だってドハマりするぐらい気持ちいいように出来てるんだから、やらないと損だよ」

 

 大穴を開けた民家の奥から、先程と変わらぬ声が聞こえた。

 

「平和で最高の提案だと思うんだけどな。気持ち良ければ何もかもどうでも良くなるよ? 僕無しではいられないぐらい染め上げられる自信があるのに……」

「ふざけんな! ウチのエールに何を教えようとしてんだ!」

「セックス」

 

 アキラは満面の笑みを浮かべてエールを見定める。

 初心な反応、貧しい身体に無駄のない筋肉が固め、さりとて女の子の柔らかさがある。

 抱いたらすっごく気持ち良さそうだ。逃がす気はない。

 

「今は大神官だけど辞職予定。ならばこう名乗るべきだろう……人類史上最高のセックスマスター、アキラだ! セックスなら僕に任せろ!」

「なんだコイツ! 大体エールはそういう年齢じゃないだろ! まだ13歳だぞ!」

「セックスに年齢は関係ないよ。僕は産まれたばかりの赤子から死にそうな老婆までセックス経験がある」

 

 アキラは人が好きだ、性的に大好きだ。老若男女(ろうにゃくなんにょ)問わず、ストライクゾーンは無限大。

 ルド世界史上最高の勇者は、エロかった。

 

「変態だ! コイツとんでもない変態だよ!」

「さあ僕とセックスしようか。魔王の子とは是非セックスしたかったんだ! ホーネットは魔人だから無理だったけど、コンプには欠かせない。隠れる前に一人ぐらいやっちゃっていいよね!」

 

 下品な指の動きをしながら近づくアキラの目線は、エールの下半身や胸に集中している。

 

(あ、ヤバい……これは、ヤバい……)

 

 この場にいる全員が悟った。

 この女――――このイキモノは、危険だ。

 

「あああああああっ! 死ねーーーーーー! AL魔法剣!」

「おわっ!?」

 

 エールは民家ごと危険人物を爆砕した。

 白い光が満ち、家屋を真っ二つに割り割いてアキラに迫る。だが黒い剣で凌ぎつつ、身体を捻(ひね)って避けた。

 崩落する石造りの家からアキラは脱出し手を上げる。

 

「ちょっ、タンマ! まだ戦闘はしたくないんだ! 色々壊れちゃう!」

「知るかあああああああ! 変態は殺す! 絶対殺す!」

 

 エールは顔を真っ赤にして両刀を抜いていた。

 もうアキラを排除する事しか頭になく、民家の被害は避けようがなかった。

 

「しまったあああああああああああ! まーた僕はセックスしたさに失敗した!」

「アホだ! この人アホだー!」

「死ねええええええええええええええええーー!」

 

 エールがアキラに襲い掛かる。

 戦闘が始まった。

 

 

 

 

Slapping Fight(R7)

 

 

 

 

 魔剣と聖刀が噛み合う。

 ティルヴィングと日光、両者は嫌な音を立ててお互いを食い破らんと軋(きし)みを上げる。

 魔人級の力が加わる均衡(きんこう)の中、アキラは顔を近づけてエールを舐めるように見た。

 

「最初に宣言しておこう。僕は勝ったら君とセックスする。処女膜があるなら君の意志次第で放置しよう。ま、大概が懇願(こんがん)するんだけどね」

「死ね! 変態は死ねー!」

 

 神官剣がアキラの頭を襲い、紙一重で避ける。

 蹴りを腕で止め、次の一刀を剣で止め、剣を手刀でズラし、刀を、蹴りを剣を膝を刀を剣を――――悉(ことごとく)く受け流される。

 怒涛の連撃を受けて尚、アキラは涼しい顔をしていた。

 

「ッ――――雷撃!」

「バリア」

「からの、AL(えーる)魔法剣!」

「ほいっと」

 

 本物と紛うような落雷を一瞬だけ展開した防壁で受け切り、必殺の一刀を滑り込んで避ける。

 そしてその拍子に足を掴んで放り投げた。

 

「あらよっと!」

「う、うわっ―ーー!?」

 

 物凄い勢いで投げたされたエールは内防壁の一つに激突。轟音と共に石の中に埋まった。

 

「んー……あれが外壁だったら良かったんだけど、西門まではあと一つあるもんなー」

 

 どこまでも自然体。戦闘域が市街地な為、多くの力を抑えてアキラは戦っていた。

 しかしそれですら、エールが、魔人級が相手にならない。

 

「お、おかしいだろ!」

 

 一部始終の攻防を見ていた長田が叫んだ。

 

「どうしたの?」

「相棒はlv300だぞ!? なんでそんな普通に受けきれるんだよ。いや、むしろ押してた! 魔人なのか!?」

「ああ、違うよ」

 

 とんとんとティルヴィングを肩で叩いたアキラの視線は、エールから離れない。

 エールは頭を多少打ったらしく、かぶりを振って朦朧(もうろう)としていた。復活するまでの時間は少しあるだろう。

 

「僕は魔人でも使徒でもない。勇者だったけど辞めてしまった」

「勇者って……ゲイマルクみたいな化け物と同じ奴か!?」

「あいつと一緒にされたくはないけどね。勇者の時の力はもう失っているし」

 

 アキラは二千年前、勇者だった。勇者としての強さを極めた勇者だった。

 汚染人間となった身はリミッターが外れた人間と一緒であり、勇者の頃より力は落ちた。

 

「でもね、そこから鍛える事は出来た。僕の才能限界は本来99じゃなかったんだ。人としてはまだ鍛える余地があった。そこから二千年分、鍛えてきた」

「はあ!? 二千年分!?」

「勇者はレベルが下がらない。それは勇者を辞めても変わらない。幸福きゃんきゃんにマルグリット深層、数多の冒険や裏技もやったし、レアアイテムもたっぷり収集した」

 

 思ったより早くエールは復活し、こちらに突貫してくる。

 二本の剣と体重を乗せた一撃。それをアキラは真っ向から受けて――遥か彼方に弾き飛ばした。

 

「そして二千年経って――――僕はまだ、自分の才能限界に届いてないんだよねー」

 

 アキラのレベルは、300を裕に超えていた。

 純粋にエールよりレベルが高く、サボりが発動しないため強い。

 汚染人間アキラは人類の頂点。そして未だ更新し続けている存在である。

 

「ホームラン! 飛距離250メートルってとこかな。まあ受け身取れたら大丈夫でしょ」

 

 じゃあねと手を振って長田から離れるアキラ。その跳躍力は人のそれも、魔人のそれも明らかに越えたもので。

 

「…………魔王かよ。こんなのエールの父ちゃん以外見た事ねえぞ」

 

 魔王級。その末端に人の身で踏み入った者だった。

 彼女は悪魔にも、AL教にも追われたが捕らえられた事がない。捕らえようがない。

 何故なら、ただ強いから。

 

 

 

 

 

 

 

「げほっ、げほっ! な、何これ……!?」

 

 盛大に吹き飛ばされたエールは民家を幾つか壊しつつも、なんとか立ち上がる。

 埃塗れになった服を払い、ヒーリングをかける。

 

「まさか、変態がこんなに強いなんて……」

「負けを認めてくれないかな」

「!?」

 

 やはり音も無く、傍に立っている。

 汚染勇者アキラ。彼女の歩法は気配がなく、立ち上るように現れる。

 

「そしたらあそこにベッドがあるし、気持ち良くなれるよ? 人を痛い目に合わせるのは好きじゃないんだ。レイプより、合意の上がいいなあ……」

 

 びきりと、エールのこめかみに青筋が立った。

 

「だ、れ、が、認めるかあああああああああーーーーー! 電磁結界!」

「バリア」

 

 真球の幕はアキラを覆う。紫電の走る世界を最低限に覆い隠し、斬りかからんとするエールが入ったところで消える。

 剣が打ちつけられ、今度は猛烈な力に押されて飛び退り、エールはたたらを踏む。

 こんなはずではない。自分は最強なはずだ。あの冒険を通して、家族以外に勝てるはずがない。

 今までの自信と誇りが現状を信じられず、素直に技巧を駆使して斬りかかる。

 

「神の鉄槌! ぎっ、ぬっ、このっ! ライトニングレーザー!」

 

 距離感、足取り、体裁き、剣の技巧、全てが格上。最後の雷魔法は自爆覚悟の至近距離だったが、アキラは立ち位置を変えて追う紫電を他のものに当てさせた。

 

「必中魔法は遅すぎて、僕(魔王級)相手では足を止めないと当たらないよ」

 

 全てがどこに来るか、何が次が来るか分かっているように動き、まともに当たらない。

 アキラはいくらでも攻撃するチャンスがあったが、悉くを放棄してエールを外へ押し出す行動に変えていた。

 如何に被害が少ないかを重点に置いている。戦いになっていない。

 

「………………ッ!」

 

 悔しさに歯ぎしりする。

 アキラは防御魔法以外一度も使っていない。先手を譲り続け、その上で傷をつけられない。

 攻めに回ればザンスだろうが手を焼くはずが、アキラには見透かされていなされる。

 

「これで13歳、信じられないな。力だけなら千年前の僕より強い。ふふっ……はははは……」

 

 そして相手は嬉しそうに笑う。

 人類最強の自負が子供と大人のように扱われて、ボロボロだった。

 

「そして僕はこの子を抱ける……うーん、最高……」

 

 黒い目は爬虫類のように細まり、少女の肢体を撫でまわす。

 アキラはエールを最初から抱く前提だ。美味しいご褒美の為に身体に傷をつけず、少女の心を折り、愉しむ事しか考えていない。エールの心の貞操はウラジオストックを出た日を最後に、今までとは違うものに作り替えられるだろう。

 自分の終焉という、一つの勝ち負けを越えるものを自覚したエールの背筋に怖気が走った。

 

「う、ううう……負けるかあーーーーーー!」

 

 追い詰められて、エールのキレが上がった。

 這うような斬撃、身体そのものを使った刺突、隙を消す為の魔法行使。全ての威力に必殺の意志が込められ、目には戦意が滾っている。

 

「おお-! 凄い、まだ上がるのか!」

 

 アキラは瞠目(どうもく)した。

 普通の少女ならこのあたりで心が折れて背中を向けるが、むしろ強くなった。

 この子の芯は、強い。

 エールの首筋の斬撃を避け、ショルダーアタックで飛ばす。すぐに強烈な魔法が飛ぶ。

 一歩、また一歩とウラジオストック西門に近づくほどエールの戦意が昂ぶっていく。魔法の威力も、剣の威力も底なしに上がる。

 

「こりゃ本当に英雄の資質があるな……」

 

 人類最高峰の戦いは、終始エールにペースを渡しつつも、アキラがリードしていた。

 崩落する石造りの家屋、余波で削れる防壁、割れる窓。エールが退がり、アキラが押す展開に変わりはない。ただ、その威力は上がるという事は街の被害が増えるということでもある。

 

(ちょっと卑怯な手札を使おうかなー)

「ファイヤーレーザー! スノーレーザー! ……ライトニング、レーザー!」

 

 家屋に飛び移り、廻り込んだところをアキラが叩き落したところで必中魔法。相手を空中に誘導した上での魔法ならば当てられるだろうとの読み。アームズの魔法を閉じ込められる指輪を利用しての多重速射魔法をアキラが襲う。

 アキラは笑って――――その魔法を全て受けた。

 轟音と爆発。建物を揺るがすような振動が起こる。爆風が巻き起こり、目を覆うような煙が一帯を支配する。

 

「やっ………!」

「てない」

 

 投げ飛ばされた。

 エールはウラジオストック西門に叩きつけられる。

 

「ぐっ……うぅぅぅ……」

 

 呻きを漏らし、地面に転がる。傷そのものは深くはないが、ショックは甚大(じんだい)だった。

 全てが、通じない。伝説級のアイテムまで行使しても駄目。

 痛痒(ダメージ)よりも無力感が、身体の節々を痛くして、頭を鈍くする。

 

「ゴール! 到着だー! さあお楽しみターイム!」

「な、なんで……生きて……」

「まあそうだね、即席のバリアじゃ流石に破られる威力だった。だ(・)か(・)ら(・)、(・)騙(・)し(・)た(・)」

 

 爆発した跡地には消し炭になったナニカだったものが、存在した。

 

「陰陽の式神、天志の法から視覚阻害、そして変装魔法、以上3つの組み合わせ。中々間違えるだろう?」

 

 対象指定そのものが間違えさせられていた。

 アキラは詠唱の割に魔法が飛んでこないのを見抜き、囮がエールの誘いに乗っていた。爆炎を打たせ、エールに隙を作ってもらい……自分のやりたい事を果たすため。

 

「これで聖刀日光は奪った。君に僕の剣を受けられるものはないよ」

 

 当たり前のように、アキラはエールの首筋に日光を突き付ける。

 

「伝説の剣を何で持てるの!? あれはボクだけしか……」

「――――僕を誰だと思っているんだい?」

 

 アキラの言葉に圧力が増した。そこには誇りと、歩んできた歴史がある。

 

「日(・)光(・)と(・)は(・)遥(・)か(・)昔(・)に(・)セ(・)ッ(・)ク(・)ス(・)済(・)み(・)だ(・)。セックスマスターを舐めるなよ」

 

 セックスマスターを自称するだけの、自負(プライド)だった。

 彼女は世俗の評価に関わらず、駄目勇者だったと思っている。その彼女が唯一、誰にも負けないものとして誇っているのがセックスだ。

 

「彼女の事については臍(へそ)の性感帯まで知り尽くしている。右の乳首も」

「………………やめて、ください」

「えー? あんなにあんあん喘がせたのに冷たいなあ」

 

 アキラは日光の反応に訝(いぶか)しみ、刀身を手元に引き寄せる。

 

「そりゃ人間形態の時に襲ってレイプ紛いだったのは謝罪するけどさ、気持ち良かったらいいじゃん。お礼に魔王戦争の時には協力したし――」

「何……なんの話なの……?」

「え、まさか知らない? って事は日光は昏睡レイプが好みだったのか。相手の弱いところを一方的に知ってるのはいいよね。羨ましいなぁ……」

 

 アキラは好色そうな表情で、エールをにやにやと見た。

 

「アキラ!」

 

 日光の言葉が飛んでも止まらない。言葉責めはアキラの前戯だ。ありとあらゆる方法でエールを気持ち良くさせようとして、また地雷を踏んだ。

 

「君は知らない内に、日光とセックスしているんだよ。日光は人間の女性形態になれて、適正のある相手と性行為をしないと使えないんだ」

「……………………え」

 

 全く慮外(りょがい)の言葉だった。

 セックス、性行為、意味は分かる。だが、日光がボクと――――?

 

「違います! この子はそうでないのに使えました!」

「僕と違って君が嘘を吐くとは珍しいな。一度もそんな話を聞いた事がないよ、神様が定めた規則はバグでもない限り絶対だ。主に女性体がある事を隠すのも、酷い裏切りだね」

 

 でもまあとアキラは言葉を継ぎ、

 

「君は心当たりはないかい? 女性体の日光を、日本人形みたいな美しい女性を……」

 

 ある。

 日光と呼ばれた女性が、師匠のアームズと入っていくのを。

 天幕の向こうで二人が水音と甘く色づいた声をあげ、隣で息を荒くしたレリコフに迫られて涙目で逃げ出して――

 トラウマの日々が蘇る。封じていた窯(かま)が開き、性的な状況がエールの思考を支配し、実は最後までやっていたと考えが及び。

 エールの目の前は、真っ暗になった。

 

「だからまあ、初めてじゃないよ。処女膜が無事かどうか確認する為にも僕と――」

 

 アキラの手が呆然としているエールの身体に伸び、胸に触ろうとした時。

 それは、起きた。

 

「あ、あああ…………」

 

 白い光が溢れる。

 

「これ、は……?」

 

 APが、魂が零れ出す。

 

「ああああああああああああああああああああああああああ!!!」

 

 暴走が、始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




エールちゃん本気モード
 すっごく強いよ。でも相手が悪すぎてまともに戦いにならない。
 魔法と高速戦闘、ヒーリングを駆使した継戦能力と不安定な大魔法、出は速いが躱す余地がある魔法剣。
 負けず嫌いな性格が災いしてザンスとの勝率は凄く悪い。
 弱点は紙防御低HP、あくまで魔人級のそれだが。

アキラ lv??? 
job セックスマスター、ついでにRECO教大神官、東ヘルマン元帥
勇者1、剣2、魔法2、神魔法3、天志2、陰陽2
 元勇者、完全汚染人間、AL教も悪魔も二千年回収できなかった魂。才能限界はある。
 彼女には神魔法以外、それぞれの分野で勝てない人物が歴史上に存在した。
 藤原石丸、ルーカ=ルーン、GI500年代の天志教大僧正だった光如、初代北条早雲。
 それでもアキラは人類の頂点である。人類版マギーボアと言えばわかりやすい。
 それよりもド変態の頂点であり、その座を譲る気だけは絶対にない。
 



 よし、追いつめられたら覚醒するし主人公だな!
 セックスで救われた世界は、セクハラで滅びる。
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