※この作品はR-18です。

新勇者バーバラの冒険   作:ランスロス・マッキ

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 RA15年9月――

 新しい魔王である魔王ランスが魔王を辞めて、一ヶ月と少しが経とうとしていた。
 それではウラジオストックの様子を、一人の少女の視点から見てみよう。


ウラジオストック ⑨リセット近況

 月が高く昇り、星々が瞬く夜のウラジオストック。

 街の広場では酒樽が次々と運ばれ、大宴会場となっていた。そこに繋がる道路にも机が置かれ、飲み物と食事が立ち並ぶ。破壊された家屋の跡を利用して、大量の酒や食材が積み重なっている。参加する人は老若男女問わず、さながら一種のお祭りのようだ。

 誰もいなかった廃墟に、本来いるべき人達が戻ってきた。

 

「東ヘルマンにっ…………かんぱーーーーーーーーい!!」

「新勇者様に乾杯! 俺達の救世主に乾杯!」

 

 乾杯の音頭と共に酒を呷る人々は、今日まで地下で耐え忍んでいた避難民達だ。

 ウラジオストックの解放と共に、彼等もまた地上へ出る事が出来た。軍は耐え忍んだ日々と苦労に配慮し、食糧庫を解放して酒宴という形で国民を労う事にしていた。

 

「もっとジャンジャンウオッカ持ってこーい! 今日はタダなんだからよお!」

「あんた、明日からは復興作業なんだし酔い潰れないようにしなさいな」

「問題ねえよー! なーにせ勇者様がこっちにいるんだ、もう安心だー!」

 

 喧騒の中でも人々の顔は皆明るく、喧嘩が起きそうな気配が全くない。解放された安堵と希望に満ち、赤い顔には活力というものが漲っている。

 街そのものの損傷は激しいが、彼等の手によって一日一日と元の姿へ戻る事になるだろう。

 

「そこの美人さんも一緒にどうだい!? 俺と一緒に飲まないかい!」

 

 そんな中の一人が、私――リセット・カラーに声をかけてきた。

 せっかくの誘いだけど、私はそっとかぶりを振って断る。

 この体は見た目の上では大人になっているけど、力も魔力も変わらない。きっとお酒を飲んでも、元の身体のままならすぐに酔ってしまう。

 なおも誘おうと男の人が踏み出そうとしたが、連れの人が腕を引っ張って制した。

 

「あの人は討伐隊の主力だぞ。無謀な真似はやめとけ」

「ちぇー! きっと楽しいと思うのになー!」

 

 ずるずると引きずられて去る人へ向けて、手を振って別れを告げる。

 私は酒宴の音頭役を務めていた。本来は立案者がいるべきなのだが、バーバラちゃんは自分の分を確保すると中央の教会に引き籠ってしまった。

 面倒臭いと言っていたが、勇者と呼ばれる気恥ずかしさもあるんじゃないかなと思う。

 私は雑踏の中を掻き分けて教会への道を戻る。酒気が漂う路地を進んで、人々の笑顔を横目に街並みを歩く。

 普段の私ならば、人々の楽しそうな姿を見たら、つられて幸せな気分になったのかもしれない。

 でも、今日は無理だった。

 

「魔王ランスの死を願って!」

「魔王の子の死を願って! 勇者様ならエールといかいう奴も、まとめて殺してくれるさ!」

「今回ばかりは東ヘルマン万歳ってなあ! はははは……」

 

 人々は私達の……家族の死を当たり前のように願い、その成就を幸福と受け止めていた。

 ここは東ヘルマン、多かれ少なかれ魔王に恨みを持つ人達が住んでいる。何を幸福として考えるかとなると、やはりこうなるのだろう。

 誰が悪いと言われれば……それは、やはり父だ。

 

「はぁ……」

 

 思わず溜息が漏れ出て、私は月夜を見上げる。

 世界は変わったはずなのに、父は何も変わらなかった。

 私達の旅は大成功に終わった。ビンタの成功だけではなく、父は魔王を辞める事が出来た。私達はもう魔王に苦しめられる事は無いはずだった。

 ところが父は好き勝手で、自分本位で、やりたい放題の男だ。新しいハーレムを築くと宣言していたが、まさかそれが理由で都市を落とすとは……いや、父らしいか。

 結局魔王であろうとなかろうと、人様に迷惑をかける事は変わらないらしい。バーバラちゃんが怒るのも当然だ。

 

 それでも、魔王の時よりは全然いい。

 鬼畜王戦争の時に退避出来なかった街の人々はこれ以上に酷い事になった。父が作った新魔人達が暴れると、思い出すのも辛い光景を何度も作り出していた。彼等に襲われた街で生きていても、笑顔を浮かべられた人なんていない。

 今父が従えているのが魔軍や魔人ではなく、盗賊団なのがどれだけ救いか。

 父が変わらない以上、シィルさんや妹達が一生懸命止めてくれてるから、ここの人達が笑い飛ばせる程度で済んでいるんだとも思う。

 でも……そろそろ迷惑では終わらなくなる。

 

「お疲れ様でした。よくぞトラブルも無く民をまとめたものです。しかし軍人ならば功績として讃えられるのに、ここを他の者に託してしまうのですか」

「やむを得ません。教義に反してしまいました」

「天使様の教えでしたか。卍の方は話せる方が多いが、皆教義には厳格ですな。おっと、失礼」

 

 猿顔の軍人と、三日月の教団員が話しているところを会釈して通り抜ける。明るい喧騒は遠ざかり、教会に少しずつ近づいていく。

 私達は明日ここを発ち、魔王ランスを討つべく山岳地帯のアジトを襲撃する予定だ。その時には先程の人が指揮官として動き、盗賊達を退治する事になっている。

 そこに待っているのは、千人対三万人による戦争――本物の、殺し合いだ。

 バーバラちゃんは圧倒的な戦力差で押し潰す事で被害を最小にしようと思ってるみたいだけど、それでも父なら勝ちかねない。そんな予感めいた何かがある。

 ただ、私が嫌なのは……双方どちらが勝つにせよ、多くの死者が出ることだ。

 本日捕まえた盗賊達から話を聞けば、盗賊達もまた父の被害者だった。盗賊稼業をしていたら、ある日台風のように襲ってきて、そのまま絶対服従の奴隷としてこき使われているとか。

 だから、明日の戦争は父の被害者と被害者の殺し合いという形になる。

 本当に全て父が悪い。殺されればいいという意見にも全く反論が出来ない。魔王だった時も、今も父は多くの人に迷惑をかけている。

 だけど…………それでも、死んで欲しくない。

 東ヘルマンが勝った場合、家族の命が危ない。死ぬかもしれない。

 父が勝った場合、多くの人が死んで、戦争は加速してより多くの人が死ぬ事になる。

 どちらも嫌で、それでも止める手立てが私には無くて、こんなところまで来てしまった。

 そんなことを考える内に、私はRECO教会の前に辿り着いていた。

 

「どうなるかわからないけど、もうこれしかないよねぇ……」

 

 自嘲気味に苦笑して、メリモの杖に目を落とす。

 私はバーバラちゃんに自分の正体を明かそうとしていた。そして全てを正直に話し、素直に自分の言いたい事を伝えるつもりだ。

 首都(コサック)で明かすのは危険だと志津香さんに止められていたし、バーバラちゃんの傍に立ちたいから身分を隠していたけど、明かすなら今しかない。

 私は教会の扉に手をかけて、押し開く前に大人になった自分の手をじっと見つめる。

 クラウゼンの手……これは、きっと父を止める為の手だ。

 チャージもなくなり、魔王もいない今では大した役には立たない。でも、それを与えられた私の役割は変わらない。

 父が罪のない人々を傷つけようとしたら、私はそれを止めなければならない。

 その上で、父と家族が幸せでいられる日々を守りたい。

 

「……っよし!」

 

 意を決して、私は教会の扉を押し開いた。

 

 

 

 

 

 メリモ・カラーが勇者の寝室に定められた部屋に入った時、バーバラは既にベッドの中にいた。

 

(あらら、もう寝ちゃったかな?)

 

 そっとメリモは寝室に近寄り、バーバラの状態を確認する。

 

「う~ん……痛い、痛いよぉ……」

 

 そこには、涙の痕がありありとあるバーバラが寝込んでいた。苦しげに顔を歪め、恐怖に耐えるかのように強く布団を掴んでいる。

 明らかに悪夢を見ているようで、普段の明るさは影も無い。

 

「ああ、いらっしゃい。悪いけど主様は既にお休みなんだ、お疲れでね」

 

 その傍らには、従者アキラが控えていた。

 彼女はバーバラの頭に氷水で濡れたタオルを乗せ、首筋の汗を拭きとっている。

 

「アキラさん……これは一体?」

「実は割と毎日こんな感じなんだよ。でも今日は特に酷いな。これもやっぱり魔王の影響かな」

「うっ……」

 

 魔王の影響という言葉が、リセットの胸に棘となって突き刺さる。

 見た目では明るく振る舞っていても、やはり犯されたという経験は少女には重すぎる負荷だったのか。

 主の心中を察してか、アキラは眉間を抑えて首を振る。

 

「ああ全く、ランスって奴は女の敵だよ。あんな鬼畜な事をするなんて最低の変態だ。お陰で主様がそれを見るなり寝込んでしまった」

「うーん……アキラ……痛い、痛いよぉ……」

 

 勇者の呻きは苦渋に満ちており、意識は地獄の中にあるようだ。

 せめて心が穏やかになるようにと、メリモがバーバラの頬を撫でる。

 

「……お父さんは、今度は何をやっていたんですか?」

 

 最早隠す事もせず、メリモはアキラをじっと見つめた。

 悲しげな瞳に晒されて、アキラは胸に手をやり……少し躊躇した後に、写真を取り出した。

 

「ウラジオストックで捜索をしていたらこんな写真が見つかった。何枚も、何枚もだよ」

「ひゃ、ひゃあっ!?」

 

 その写真には、あられもないバーバラの裸身が映っていた。

 精液と粘液に塗れて惚けた少女の表情。ぱっくりと開いた性器と血と精液の混じった膣内。処女を失った日の涙と屈辱と快楽を切り取った、珠玉のハメ撮り写真だ。

 動揺のあまり写真を取り落とし、メリモは耳まで真っ赤になる。

 

「こんな、こんなっ、こんなぁっ……」

「ランスは主様の性行為を何枚も何枚も記録している。恐らくこれはごく一部に過ぎない。全く、なんて奴だ」

 

 さらに罪業を明らかにするべく、傍にあった調書を読み上げる。

 

「ランスは記録まで残していたよ。処女を散らしてからの射精回数は12回、4回は外出しで勇者を白く染めるのが目的だった。愛撫からカウントした総時間は4時間51分23秒、一流の娼婦でも耐えられないような性的暴力をあいつはやったんだ。最初から説明すると、ランスは主様を縛り――」

「あう、あうあうあうあう……」

 

 メリモはまるで生で見てきたかのような報告に目を回した。

 写真にランスが映っている事とか、本人にも知り得ないような情報が混じっていたのだが、怒涛の勢いで伝えられてる情報を前に、正常な思考を働かせる事が出来ない。

 

「ここまでの情報がボロボロ見つかってるのは、ランスはむしろ見せつけているんだよ」

「そ、それはどうして……?」

「これ以上進んで主様が勝つようなら、このハメ撮り画像を全世界にバラ撒くんだろうさ」

 

 アキラは深く溜息を吐く。

 

「主様は既に東ヘルマン中では知らぬ者なき有名人だし、じきに世界中に知れ渡るようになる。そんな世界的大アイドルの処女喪失シーンなんて一度流出してみたらどうなるか。瞬く間に拡散されて主様は全ての男達のオナペットになるだろうね。そうなれば……」

 

 バーバラは二度と街を歩けなくなる。

 魔王に負けて処女を失った美少女勇者。欲望の捌け口としてはこれ以上のものはなく、生涯彼女の二つ名になるだろう。下世話な者なら「魔王のチンポはどうだった?」とか挨拶にしかねない。こうなれば、人生としては悲惨そのものだ。

 あえて濁したアキラはメリモを眺める。彼女も最悪の事態を察したか、目を泳がせていた。

 

「お、お父さんは流石にそんな事をしないと思うけど……」

「絶対、あり得ないって言い切れるかい? ここにある写真はそのまま流出するリスクだよ」

「うううっ……」

 

 バーバラに対する同情と罪悪感、そんな思いがメリモの華奢な双肩に襲い掛かる。

 悩まし気なメリモの肩を、アキラが優しく叩いた。

 

「でもね、これを安全に解決する方法があるんだよ。その為に君が力になれると僕は思っている」

「わ、私に……?」

 

 アキラは頷き、カメラを取り出した。

 

「こっちも同じような写真を取ってしまえばいいんだ」

「え、ええっ!?」

「ランスも人の子さ。魔王の子の危ない写真を見せれば交換条件で破棄してくれるよ」

 

 アキラは軽い調子でなんでもない事のように説明する。その合間合間でシャッターを切り、メリモの全身を撮っていた。

 

「話は簡単だ。主様の時のような不名誉で性的なものである必要はない。ただちょっとセクシーで、流出したら危ないなと感じるものであればいいんだ。クリスタルを青くする必要はないし、実際には何もしない、ただのお芝居だよ。ちょっと過激なグラビアって言えばわかるかな?」

 

 メリモは縮こませて、露出の多い体を抱き締める。フラッシュに照らされて、少女の華奢な身体が浮き彫りになる。

 断るべきだと理性が警鐘を鳴らす。だがバーバラの黒歴史はここにあり、彼女は目の前で苦しんでいる。だから人の良いメリモは逡巡してしまう。

 

「心配もわかるが、僕を信じて欲しい。ランスが既に拡散してたとしても、絶対に君の分は流れる事はない。信用出来ないならば、全ての写真を渡して君が主導で進めてもいいんだよ」

「………………」

「これも主様を救うためなんだ。どうか彼女の心配事を減らす為に協力してくれないか」

「わ、わかり、ました……」

 

 メリモは体を縮めて、こっくりと頷いた。

 

「お父さんはとんでもない事をしてるし……それでバーバラちゃんが楽なるんだったら……」

「ありがとう。君は優しい子だね」

 

 優しく背中を叩き、アキラはメリモをそっと引き寄せる。

 

「撮影には別の部屋が用意してある。まずはそこにいこうか」

「う、うん…………」

 

 アキラはメリモの腰に手を回した。優しく、されど逃がさないようにホールドして寝室を出る。

 

(完璧だ。主様はダウンしたし魔想姉妹もウズメにも別の仕事を与えている。後はエロシーン判定がつけば……ふふふ……)

 

 用意された部屋に向かうアキラの下着は、既にうっすらと濡れていた。

 

 

 

 その部屋は、アキラが個人的な趣味を果たすのに適した部屋だった。

 今回の趣向は高級ラブホテルの一室。光量を落としたピンク色の灯りが薄く照らし出され、撮影にはもってこいだ。マッサージ用のオイルが寝台にあり、アロマの香が炊かれている。ハンガーに目を向ければ危ない水着やセーラー服など、多岐に渡る可愛い服装が並べられている。

 東ヘルマンの教会には、必ずと言っていいほどこういう隠れエロ部屋がある。大神官はこれがないと働かないからだった。

 その部屋に、今回の生贄が訪れる。

 カラー特有の青い瞳に青い髪、健康的で引き締まっているが、肉感という意味では乏しいスレンダーな肢体――メリモ・カラーだ。

 メリモはあえて周りのものを見ないようにしながら、ベッドに腰掛けた。ギシと、スプリングが柔らかい音を立てて、少女の腰を受け止める。

 

「写真を聞く前に聞きたいけど、どっちがいい?」

「え……」

「元の身体と、今の偽りの身体さ。全て君に任せるよ」

 

 少し悩み、メリモは杖を取り出した。

 

「こっちの方だと、お父さんが私だとわからないと思うから……元の姿でお願いします」

 

 煙と共に、83cmの肉体が現れる。

 子供服が似合う幼子そのものの肢体。先程までは一応性行為に耐えうる少女だったが、これでは男の性器がしっかりと入るか怪しい幼子だ。

 ラブホテルのような部屋にこの幼子がいるという時点で犯罪の匂いしかしない。普通の人ならこれに欲情するようでは論外である。

 だがその背徳感こそがアキラにとって何よりのスパイスとなり、羞恥に染まった表情を前に生唾を飲み込んだ。

 

「ああ、最ッ高に可愛いよ。なんて父想いで、優しくて、可愛いんだ……天使だね……」

「う、うぅぅぅ……!」

 

 この映像を永久に残すべく、シャッターが切られていく。リセットは一枚撮るごとに怯えるように枕を引き寄せ、時折顔を埋める。

 

「これぐらいで恥ずかしがってたらキリがないよ。これからもっと過激なものを撮るんだから」

「わ、分かっています。でもこればっかりは、しょうがないっていうか……」

(まぁ、その感情を切り取った方がランスには効くだろう。これを見た時、彼がどんな表情をするか楽しみだ。絶対負けるよりショックだろうね)

 

 さて、どういう形式にしようかとアキラは考える。

 エロシーン判定が発生すれば不思議空間を作ってやりたい放題が出来る。しかしその前に素面でリセットに恥ずかしい行動をさせるのが後でいいのではないだろうか。

 実はここはシャッターだけではなく、既にラレラレ石の撮影も始まっているし、ありとあらゆるものは永久保存版だ。魔王の子とのセックスを最高のものとするべく、アキラにぬかりはない。

 とりあえず、欲望のままに前戯から入る事にした。

 言葉責めである。

 

「そうだね。まずは固さをほぐす為に自己紹介から初めてみようか」

「自己紹介、ですか……?」

「今自分が何をしているのか、これからどんな事をされるのか、口に出すんだ。勿論、実際にやる訳じゃないけど、そこを受け入れてみれば撮影ぐらいはなんでもないと肝が据わる」

「え、でも、そこから上手く答えられないかもしれませんし……」

「じゃあカンペを用意しよう。それを読み上げていけばほぐれるよ」

 

 どこからか取り出した台紙の束に、アキラは何事かをペンで書き込んでいく。そしてリセットにわかるように見せて、自分の傍に置いた。

 

「それじゃ始めるよ。これはあくまで緊張を解すためのものだから本当じゃない。…………君の名前はなんだい?」

「『リセット・カラーです。魔王の子達の長女で、シャングリラの外交官をやっています』」

「年齢は幾つになるかな?」

「『17歳です』」

「へえ、それじゃもう立派な大人だね。でもセックスはまだしてないんだ、クリスタルが赤い」

「…………う、うぅ」

 

 リセットは羞恥に頬を染めて顔を背けた。スカートの端をぎゅっと掴み、身じろぎをする。

 台本が一枚剥かれる度に、リセットはそれを読み上げる。アダルトビデオのセックス前のようなやり取りだった。

 

「今日はなんでここにいるんだい?」

「……っ『お父さんが酷いことをしたから、私はそれを償うためにいます』」

「そうだね。君の父親は君の友人を犯した。だからリセットちゃんには少し彼女の心境を理解して貰う必要があった。具体的にはどんな事をされると思う?」

「……うぅ、『えっちなこと、だと思います』……ッ」

「そう、これからリセットちゃんは僕にえっちなことをされるんだ」

 

 アキラは笑みを深め、カンペをめくった。

 

「リセットちゃんは、えっちな事を見た事があるかい?」

「え、ええっ……!」

 

 カンペにはただ一言、『正直に答えて』とだけ書かれていた。

 慌ててリセットはアキラを見るが、変わらずに促すだけだ。

 

「リセットちゃんは、えっちな事を見た事があるかい?」

「う、ううぅぅ……!?」

「リセットちゃんは、えっちな事を見た事があるかい?」

 

 アキラは被虐的な笑みを浮かべて、リセットを嬲る。

 梯子は外されて言葉は繰り返され、逃げ場はどこにもない。解答を求められていた。

 やがてリセットはうつむいて、か細い声で絞りだす。

 

「……………………あり、ます」

「それじゃあ、一番えっちなものを教えてくれないかな。真っ先に頭に浮かんだものでいいよ」

「…………お父さんが、正気じゃなくなった時に、私の知っている人を、何度も何度も犯してました」

「そう、どう思った?」

「酷いことをしているなと……お父さんは、やっぱり悪人なんだなぁって、思いました」

 

 もうカンペは必要ない。

 アキラはするりと近づいて、リセットの隣に座った。

 

「酷いこと、か……まあ、同意がなければ酷いことだよね。無理やりすれば痛いし辛いし、悲しい事になる。主様もそうだった」

「………………」

 

 隠し撮りされたカメラには、美女と頭二つ小さい幼子が並んで座っているのが映されている。

 アキラはリセットの肩に触って、軽く抱き寄せた。

 

「でもね、そこまで自分を責める事はないよ。君のお父さんはそんなに悪い事をしていない」

「え……?」

「セックスってね、すっごく気持ちいいんだ。痛みも辛さも悲しさも、どうでも良くなるぐらい気持ちよくなれるんだよ。気持ち良くなっちゃったら和姦だから、軽犯罪」

 

 蠱惑的な笑みを浮かべ、性の喜びを知らぬ幼子に毒を吹き込む。

 

「ランスがやってる女の子もどんどん気持ち良くなって、中にはまたやってみたいと思う人も出たさ。主様も性欲は強いから、もしかしたら……」

「そ、そんな事ないよ! バーバラちゃんはそんな子じゃないよ!」

「ま、快楽を知らない人はそう思うよね。だから今日は――――ちょっと大人の事を学んでみようか」

「は、はにゃあっ!?」

 

 アキラは体重をかけて、リセットを押し倒した。

 

「ふふふ、軽いなぁ……犯罪的だぁ……♪」

「あのあのあの、アキラさん……!? これって写真撮影じゃ……!?」

「大丈夫大丈夫、これはあくまでフリだから、フリだから本当に手は出さない」

 

 そう言いながらも、巧みな手がリセットのスカートと上着の間に伸び、ボタンを一個、一個と外していく。スカートのネックも外し、下着が露わになる。

 そうして身体で最初に露出したのは、ぷにぷにとしたお腹だった。

 

(ああ……イカッ腹だ! やっぱり幼女はここが最高なんだよね!)

 

 胸よりも広く大きい腹、小学校低学年ぐらいまでにみられる未成熟の象徴。

 年齢こそ大人だが、リセットの身体は未熟そのもので、女ですらない。その子供の身体に快楽を教え込み、懇願させて女へと変えるのだ。暗い喜びとともに嗤いが漏れる。

 

「ふふふ……まあ、気持ちいいことぐらい覚えてないといけない年ごろさ。ランスの代わりに僕が性教育してあげるよ」

「あっ、あっ、あっ、ダメダメダメぇ……!」

 

 押し退けようとリセットはもがくが、アキラは止まらない。あっという間にスカートも上着も脱がされ、彼女を守るのは純白の下着一枚となってしまった。

 せめて乙女の大事なところは守ろうと、リセットは両手で胸を覆い隠す。

 

「こら、これは撮影会だよ」

 

 リセットの目の前に、カメラが示された。

 

「主様はこんなもんじゃないんだ。もっと遥かに過激なものだっただろう」

「うっ……そ、そうだけど……」

「まずはここで一枚撮るよ。その後下着を降ろして一枚、そしてあのローションを塗って何枚か。全部で10枚ぐらいだけど、最初の一枚で躓いていたらやってられないよ」

 

 アキラは溜息を吐き、残念そうにリセットを眺める。

 

「それとも、やっぱりこの程度だったのかな。誰だって自分が傷つくのは怖いよね。そもそも他人を助けるなんて馬鹿げた事だった」

「わ、私は…………」

「親の不始末、子の難儀。父親の仕出かした責任を娘が取るという諺があるが、やはり覚悟がなければやるべきじゃない」

 

 アキラは押さえつけていた手を放し、カメラを構えた。キチキチと倍率が寄り、ピントが幼子の胸にフォーカスされる。

 

「僕は無理強いはしない。主様に悪いと思っているなら、腕を降ろして覚悟を決めて欲しい。駄目なら服を着て退出していいよ」

「うっ、うううううぅ……!」

 

 リセットは、体の上では解放されていた。

 だが、それ以上に罪悪感というものが彼女の心を雁字搦めに縛っている。アキラは少しづつ話をすり替えて、『バーバラに悪いと思っているか』を『性行為に同意するか』に繋げてしまった。

 頭の中が真っ赤になるような羞恥と恐怖。

 そしてそれ以上に感じるバーバラに対する罪悪感。

 二つの感情がぐちゃぐちゃに混じり合い、躊躇いの中でリセットはおずおずと腕を下に降ろしていく。あまりの羞恥に、もう目を開けられなかった。

 

「こ、これで……これでいいですか……?」

 

 そうして露わになったのは、膨らみの欠片もない平らな稜線だった。

 ただ可愛らしい乳頭が二つ、ぽつんとあるだけだ。どんな巨乳も最初はゼロだった。そんな原初の状態である。

 だが、そこには性感はある。むしろ小さいからこそ神経は集中して、本人の状態を示している。リセットの乳首は確かに、少し張っていた。

 性的な経験を思い出せる言葉責め、羞恥に炙られている状況、異常な状態を受け入れた自分。全てが合わさって、僅かに、僅かに幼子は自分の性行為を受け入れ始めている。

 目をぎゅっと瞑ったリセットを前に、アキラは遂に嗤う。

 

「ああ、リセットちゃんは本当優しいなあ…………! それじゃ始めるよ!」

「は、はい……!」

 

 リセットが目を閉じたのを良いことに、自分の服も脱ぎ始めるアキラ。

 これで前戯は終わりだ。後は少女の裸身を堪能した後は媚薬入りローションを塗りたくり、幼子に快楽を漬け込んで自分だけのお人形に出来る。

 喜悦満面となったアキラがカメラの引き金を押そうとして、

 

「アキラ―、夜食で何か作って……?」

 

 部屋の扉が開かれて、バーバラが姿を現した。

 

「げっ」

「あああああああっ……!」

「…………………………」

 

 バーバラが見たのは、下着一枚でほぼ全裸になっている幼子をアキラが押し倒し、カメラを構えている姿だった。どうみてもエロ専用の部屋で、アキラの表情は喜悦に染まっていて、おまけに下着まで脱ぎだしている。

 どう見てもアウトだ。即刻死刑で問題ない。

 

「ち、違うんです、主様、これはその……!」

 

 なおも言葉を紡ごうとするアキラを無視して、バーバラはエスクードソードを引き抜く。

 

 

 

「このド変態がーーーーーーーーーーー! 死になさい!!!」

 

 

 

 勇者の怒りが爆発し、エロシーンはおじゃんとなった。




 リセットセーフ。
 アウトが見たい人はいないと思う。
 ちなみに一日後に世界が滅びる。


 Q なんでこれをやろうと思った。吐け!
 A まずアキラが暴走した。後はエロシーンへ向けた練習。
 魔王の子の出番を増やそうと思えば思うほど、話が進まなくなる。
 でも増やしたいんだから仕方ない。臨界点まであと少しなんですが。
 次回、これは分割なので二日以内。
 このエロギャグやった後にまともな話持っていくのは無理だと判断。
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