Fate blackattention 作:ギルギルマシーン
「おはようセイバー、そこに座っててくれ。」
「?…わかりました。」
すぐ近くの部屋なのだが、間桐が起きてこないので起こしに行く。ちなみに今は朝の5時半だ。
「おい間桐!早く起きろ…っ!」
〔ふぇ?…朝早いのねアオト君…〕
「な…ちょ…えっと朝飯!朝飯出来てるから!」
扉を開けた後は、猫の被り物を着て布団を支えに座っている間桐だった。
それから1時間後、全員朝食を食べ終わった頃。
ふと口ずさんだ言葉が地雷だったとは…
「猫…被り物…」〔?!〕
お茶を飲んでいた優魔が机を叩いて飛び上がる。
〔あ、あんた!〕〔マスター…取り乱すとはらしくないな。クラスでは1番でも想い人に…〕〔アーチャー!〕〔私のマスターだろう?これくらい耐えてみせろ。〕〔っ~~!〕
今日の朝は平和だった。
その日は1日家で休んだ時に昼寝をした。
起きたのは夕方7時程だった。
場所を移動して、家の裏の小屋へ。
「マスター、ここにいましたか…この部屋は…」
「この部屋は俺の魔術の修行場所みたいな所だよ。」
「沢山の銃ですね、どれも綺麗です。」
慈しむ目で銃を見つめているセイバーは、戦闘では見せないような乙女の顔をしていた。
夜食を済ませた俺達はさっさと寝床に付き、寝るはずだった。二人を除いて…
暗い、黒い、見えない、何もかも。
昔から一人が堪らなく苦手だった俺は、5年前に心に深い傷を負った。
『ーけて、…すけて……助けてっ…』
原因不明の炎上事件。
外へ必死に歩いた幼い自分、
瓦礫に潰され此方へ助けを求める誰かの声、
黒い煙と充満する悲鳴と絶望、大量の死、
何故助かったかはもう解らない。
確かなのは、あれからなんでも助けようと奮闘していた事、暗闇と孤独が酷く心に残った事位、
あれからずっと夢に出る。暗闇と孤独が…
「うああああぁぁあ!!!」
セイバーは口に出さずも不満を抱えていた。
アーチャーの口振りが、私のマスターがいるかいないかで少し違う事、必要の無い食事を与えてくれるマスター、たまに見える一人の時のマスターの顔、
1つ目は材料不足でなんとも言えない。
2つ目は恐らく自分を人間として見てくれているのだろう、もう逸脱した存在だと知って。
3つ目は深刻なはずだ。テレビ番組で取り上げられた火災事件、マスターは酷い顔色をしていた。恐らく…
「うああああぁぁあ!!!」「!!」
マスターの部屋に入ると、ぼんやりと明かりが付いた布団の隅に踞るマスターがいた。
「怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ…」
「マスター…!」
戦闘時はあんなにも強気なのに、ここまで何かに弱いマスターは初めてだった。壊れたテープの様に孤独と暗闇を拒み続けている。そんなマスターを私はどうすればいいか解らなかった。彼女が来てくれるまでは。
「誰か…誰か…」〔アオト君っ!〕
虚ろな目で涙を流し弱々しく手を伸ばすアオトに、私は夢中で抱きついた。これが一番熱を伝えやすく、気付かせるに足る行為だと思ったからだ。
私だって鈍くない。教室で彼の悲しい顔を見て心を痛めていた私には、彼を治す絶好の機会と踏んだのだ。
〔私もセイバーもちゃんといるよ、ここにいるから、一人じゃないよ。ほら、セイバーも〕「は、はい」
5分にも満たない時間、短い時間だったけど彼の目には光が戻っていた。
「間桐も…セイバーもいる。良かった、一人じゃない」
「あっ、マスター…」〔安心して眠っただけよ。今日は私、アオト君が起きても大丈夫なようにここで寝ることにするわ。セイバーは?〕「ご一緒します/////」
翌日アオトの話によると、自分が起きた時に間桐とセイバーが隣で寝てて気絶しかけたのと、部屋を出た瞬間にアーチャーに殺されかけたらしい。