刻まれる悲痕 作:甘夏
私の名前は栂 結衣。
高校3年生で1年の頃から付き合ってる彼氏がいる。
私より頭も運動神経も良くてクラスからは人気者で……。
デートスポットの場所選びもうまい。
でもそんな彼は1年前から豹変してしまった。
「うぅ……」
「いい格好だな。結衣……」
狂った笑みを浮かべ彼の手には血がついた金属バットが握られている。
何度も私の身体を叩いた証だ。
私と彼……田邊一樹は彼の家のある一室にいる。
上半身は下着下半身はスカートのみで手と足を紐で拘束され私は動くこともままならない。
ただ一方的に彼の暴力を受けるだけ。
「チクショウ!あの野郎!」
「くっ……!」
暴鎚がまた私のお腹に突き刺さる。
お腹が焼けるように傷む。
内蔵という内蔵から出血してるのかも。
彼がこうなった理由。
1年前彼のお祖母ちゃんが介護施設でなくなった。
祖母の身体には痣がついており介護員に虐待され死亡したことが警察の調査により判明した。
その日以来彼は変わってしまった。
小さい頃から育ててくれて自分を認めてくれる祖母が死んだことにより彼は荒れ始めた。
手首に傷を付け自傷行為をしたり、自殺未遂を何度か謀った。
一樹を愛する彼女としてそんな彼をほったらかしに出来なかった。
「もう!やめて!一樹が自分を傷付けたってお祖母ちゃんは戻って来ないんだよ!」
「うるさい……!。婆ちゃんはもう死んだんだ……もう生きていたくない!あの世で婆ちゃんに会いたい……!」
その時の弱って泣いた彼の顔は今でも思いだす。
私が支えてあげなきゃと本気で思った。
「駄目だよ……死んじゃ駄目だよ……。自殺してあなたのお祖母ちゃんが喜ぶと思う?。どんなにあなたが泣いても生きることが嫌になっても私が支えてあげる。だから生きよう?」
母親が我が子を抱き締めるように私は一樹を抱き締めた。
「結衣……ありがとう。じゃあ俺のこの悲壮を取り除く為に協力してくれ」
「うん。いいよ!」
そこから私の地獄が始まった。
顔には手を挙げられなかったがお腹を痣がつくまで叩き、カッターで手首に傷を付けられたり熱されたフライパンを太股に当てられたりした。
私は馬鹿だ。
だけど一樹を憎む気にはなれない。
毎回暴力行為が終わった後泣きながら、ごめんな、ごめんな……と謝ってくるからだ。
一樹は罪悪感を感じても私に暴力を振るうほど追い詰められているんだ。
だから私は耐える
例えこの人に殺されるまで殴られたとしても。
むしろ愛する人に殺されるなんて幸せだよ。
「ああぁああぁぁぁ!」
大振りの金属バットが胸を直撃し私は気を失った。
次回は学校内の様子を描きます。