ワルキューレ奇行 作:√ワルキューレ
凍えた世界にも、生き物の姿はある。
ラグナロクの折、この世の大半の生物は死滅してしまったが、生き残った人間と巨人、そして一部の魔獣は幸いにして現代まで命を繋いできた。それは奇跡というに相応しい出来事ではあった。
その奇跡は今でも続いている。
当の昔に滅び去っているはずの北欧神代が脈々と命脈を繋げているのだ。
見事なまでに美しい氷の城を遠目にヴィズルは道なき道に足を踏み入れた。雪は小康状態だ。ふわふわとした雪の塊が、時折思い出したように舞い降りてくる程度。雲間からは光の柱が覗くこともある。
「勇士様」
地面を覆う雪に足跡を残すことなく、中空を漂うワルキューレが話しかけてくる。
フードで顔を隠した少女――――ヴィズルの傍仕えを命じられたという量産型ワルキューレの一騎ラグズである。フードの向こうから表情の読み取れない赤い瞳でヴィズルを見ている。
「どちらに行かれるのですか?」
「散歩だ。日がな一日城の中では気が滅入るだろう?」
「気が滅入る?」
ワルキューレ……特に量産型は感情が極めて希薄だ。人の姿に似ているが思考回路は全く異なるし、物事に対する認識や受け取り方も違う。彼女たちは自らに個を認めず、肉体を装置のようなものとして認識しているようだった。そういった考え方は人間をベースにしたヴィズルには理解できないものであった。
ラグズのみならず、量産型ワルキューレは同じ作業を何万通りも同じ手順で繰り返せるだろう。機械的な作業を機械的にこなすのに向いている。オルトリンデやヒルドならば、まだ別の反応もあっただろうが。
「城での生活にご不満があるのですか?」
「いや、それはない。まったくな」
「ならば、どういうことでしょうか?」
「なんというかな、生き物ってのは刺激がないとダメなんだってことだな。飽きるってヤツだ。窓から見える景色はいつも同じってのは俺的にはよろしくない。偶には外に出て、身体を動かないと鈍っちまう」
厳密には、すでに死人であるヴィズルに肉体的な停滞はない。しかし、こればかりは気分の問題も大きい。本質的にヴィズルは戦士だ。戦いもなく、停滞した景色に囚われている環境では、どうしても落ち着かないのだ。外を出歩くだけでも、無聊の慰めにはなってくれる。
「どこぞに人間の集落があるみたいだな」
「はい、しかしそこは」
「立ち入り禁止だろう。分かってる」
ヴィズルに課せられた制約の一つが人間との接触の禁止だ。この世界の人間はその出生から死に至るまで完全に管理されている。何も知らず、どんな希望も抱かず、生まれてから死ぬまでがワンセットだ。そんな閉じた世界にヴィズルが足を踏み入れたら、どんな反応が返ってくるか想像もできない。
「人間は弱いからな。仕方がない」
人間は基本的に脆弱だ。厳しい自然の中では満足に生存することは不可能だ。まして、この神代北欧の環境は人間には過酷すぎる。常時雪が降り積もり、魔獣と巨人が跋扈する世界で、英雄と呼ばれる戦士もない。ワルキューレによる管理を受けなければ、日々の食にも事欠くであろう。この世界に人間の居場所など本来はないのだ。それを無理矢理スカディが存続させているから人類種は生存を許されている。
今となっては人間は絶滅危惧種で、彼らの生存は小さな村の中だけで保障されている。
そして、この世界は人間の繁栄を許すほど余力はない。人間が食い荒らせるほどの資源はなく、人間の分け与えられるほどの命もない。どの道、この世界の人間に未来はないのだ。
「勇士様、この先、巨人種の生息域に入ります。ご注意ください」
無機質な声音で忠告が入る。
「ああ、分かった」
とだけヴィズルは答える。
巨人の生息域だということは初めから織り込み済みだ。何せ、そこが今日の目的地でもある。時折、魔獣の視線を感じることはある。しかし、戦闘は一度もなかった。一睨みすれば彼我の実力差を感じて彼らは去っていく。余計な殺生を禁じられているここでは、無意味な戦闘は避けるに越したことはない。
「おお……」
雪景色が一変して、花が咲く緑の大地が現れた。
ところどころから湯気が吹き上げっている。
活火山の近くということであろうか。この一帯は気温が高く、雪化粧とは無縁の様子だ。暖かい空気が滞留しているのか、緑の野山が形成され、この極僅かなスポットが氷の世界のオアシスのように生物たちの憩いの場となっているのだった。
「懐かしき緑! ははは、すばらしいな!」
これには思わずテンションも上がってしまうというものだ。
土と草花の香りなど、この世界の召喚されてから縁がなかったものだ。
山麓にぽつぽつと点在する温暖な場所は、あちらこちらから温水が吹きあがっている。氷に閉ざされた世界にあって、ここだけは大地の熱を感じることのできる場所となっていた。
巨人種が寝そべり、水を飲み、のっそりと歩いている。氷よりも温暖な気候を好む性質であるという巨人たちは、この土地の熱を求めて集まっているということなのだろう。
結果、この緑ある領域は生態系の頂点に君臨する巨人種のものとなったのだった。
「勇士様、ご満足なさいましたか?」
「ああ、そうだな。ラグズはあまり関心がないか」
「何にでしょうか?」
「いや、いいんだ。そこまで重要な話じゃない」
量産型らしく、環境の変化に興味の欠片もないようだ。もっとも彼女たちにとっては氷原だろうが草原だろうが製造されてから当たり前に存在した景色だ。別段、珍しくもないのだろう。
ヴィズルは足元に咲く花に目を落とした。指先に乗る程度の大きさの黄色い花をいくつも付けている。そこから一輪詰んで、ルーン魔術で結晶の中に閉じ込める。
小さな花を閉じ込めた透明な結晶に糸を通す。手早く作ったアクセサリーをラグズに手渡した。
「……これは?」
「首飾りだ」
「それは分かりますが、なぜわたしに?」
「ラグズは他の量産型と顔立ちが似すぎてるからな、それをつけてパッと見て分かるようにしといてくれ」
「わたしたちに個体の別は不要かと思いますが、勇士様が仰るのでしたらそのように」
ラグズは首飾りを首にかける。
個体識別の必要はないというラグズではあるが、相手にするヴィズルはそうはいかない。顔立ちが似すぎているといったが、実際には完全に同一だ。同じ型から作られた全く同じ肉体を持つワルキューレが量産型ワルキューレなのだ。記憶も感情も時共有しているという彼女たちを見た目で判別するのは困難だった。
「この場合、ありがとうございます、とお伝えすればよいのでしょうか」
「そうだな。まあ、一般的にはそうだろうな」
「承知しました。ありがとうございます、勇士様」
ラグズは少しだけ口角を上げて言った。
☆
その晩は晴れて、月がよく見えた。
氷の城の一室で月明りに照らされたラグズが佇んでいる。
金色の髪も白い肌も青く澄んだ月光を吸って輝いている。深紅の瞳はさら紅く煌めいて、頬を朱に染め上げる。
衣服を取り払ったラグズに残されたのは、ヴィズルが与えた首飾りだけだ。
「それは外さないのか?」
「勇士様からいただいた物を外すことはできません」
ラグズは首飾りを指で撫でて、そう答えた。
少し前のことだ。
日が暮れて、城の明かりが消えたころ、首飾りのお礼がしたいとラグズがやってきた。
その時から心なしか頬に赤みを帯びていて、目がとろんとしていた。
「勇士様にお礼をしようにも、お渡しできるものもなく、わたしの自由になるものと言えばこの身体のみ。どうか、勇士様の好きなように扱っていただきたく」
と、部屋に入るなりラグズは言った。
「好きなように、か」
「はい」
「そうか」
さて、どうするか。
ヴィズルとしてはラグズを抱くことに抵抗はない。彼女とはすでにセックスをしているし、美女を抱けるのなら願ったり叶ったりである。
しかしながら気になることもある。突然の来室とラグズ自身が高揚しているように見えることだ。量産型ワルキューレにしては表情が豊かではないか。ヴィズルと関わることで個性が出てきたのか。それはそれで嬉しいことだが、そうなると少しばかり意地悪をしてみたくなるのも男の性ではある。
「そうはいっても、俺にはお礼はいらないぞ。気持ちはありがたいが、無理する必要はない」
「無理ではありません。わたしは、勇士様に報いたいのです」
「変わったことを。『わたしは』と来たか……量産型としてでなく、ラグズとしてそう思ってるというように聞こえるな」
「それは……分かりません。しかし、首飾りをいただいたのがラグズである以上、ラグズが奉仕するのが筋ではないかと」
「他の個体と同期して判断したのか?」
「ぁ……同期はしていませんが……」
他の個体と同期するということ自体を今思い至ったというようにラグズは言葉に詰まった。
結局のところ、ヴィズルのもとに来たのは彼女独自の判断だ。
「そうだな、お礼というのならオルトリンデを呼んでくれ」
「統率個体を……? しかし、それでは」
「お礼というのなら、それで十分だ。彼女を呼ぶ手間が省ける」
「ぁ……いえ、しかし……」
ラグズに浮かぶ迷いの感情。
主人と定めた相手からの命を拒否するなどあり得ない。そこに疑問を差し挟むこともまたあり得ない。ワルキューレは命令に対して問い投げかけることはない。ただ言われるがままに行動するだけの存在だ。そういうシステムなのだ。
しかし、ラグズは「オルトリンデを呼ぶ」という命令に抵抗してしまっている。本来ならば分かりましたの一言でオルトリンデを呼び出さなければならない。
「これは、どうして……勇士様の命を果たせない」
強烈な自己矛盾。
ワルキューレとしてヴィズルの命に正しく従わなければならないという当然の機能と従いたくないという正体不明のノイズがせめぎ合っている。
「いや、分かった。すまなかった。ちょっとした意地悪だよ。オルトリンデを呼ぶ必要はない」
「そう、ですか……」
ラグズはほっとしたように吐息を漏らす。
「申し訳ありません。少々ノイズが」
「そのノイズこそが感情ってヤツなんだけどな。俺みたいのを相手に感情を揺らがせてくれるのは嬉しい限りだけど、お礼なんて言葉に感情を包んでいるから、そんな意地悪もしてみたくなる」
「感情を包むとはどういうことでしょうか?」
「……そもそも、ラグズはどうして俺の部屋に来た?」
「先ほどもお伝えしたとおり、この首飾りのお礼をするためです」
「ああ、それも理由の一つではあるだろう。なら、どうしてそんなに物欲しそうにしているんだろうな?」
「物欲しそう……?」
ヴィズルはラグズに歩み寄った。
ラグズは意味が分からないと小首を傾げる。その一方で、頬は上気し、汗ばんでいる。いかにも発情しているという風である。
「俺の部屋に来た時に、どういうわけか発情していただろ? それなのに、いかにも俺のためにお礼をしたいなんていうもんだから、意地悪してしまうのも仕方ないだろ?」
「発情というのは、どういう状態か分かりませんが……身体の変調は認めます」
「とりあえず、その前掛け捲ってみろ」
「はい、承知しました」
ワルキューレに共通する白い衣装の前掛けをラグズは言われた通りに捲り上げる。あらわになる白い下着。すでに濡れて、太ももまで雫が零れているほどだった。
「俺が触れてもいないのに、もう濡れているじゃないか。この部屋に来る前からだろう?」
「それは……その通りです」
「俺にお礼をしたいという気持ちはありがたいが、その裏側にあったのはもっと単純な気持ち……いや、目的だな。とてもシンプルに、セックスしたかったんだろう? 初めから、そう言っていればよかったのに」
「それは人の肉欲です。ワルキューレにそのような情動はなく、わたしの身体にそのような欲求が生じるのは不可解です。この変調の原因は、おそらくはスカディ様より賜った愛のルーンだと考えますが」
「愛のルーン? なんか、ヒルドもそんなことを言っていたような」
「統率個体ヒルドに刻まれたものは、プロトタイプと聞いています。わたしのこれは、その発展型とのことです」
そう言うラグズは前掛けをさらに上に捲り上げる。鼠径部までヴィズルに見せることになるが、そこにはハートを描く一対の翼の文様が刻まれていた。曇りのない白い肌に赤黒い魔力が脈動している。
「これはまた見事な術式だな。スカディ様の手によるものだな。ヒルドのヤツとは比べられないくらいに精緻だ」
思わずその術式の美しさに見惚れてしまう。
ヴィズルもまた、北欧に伝わる原初のルーンをオーディンから授けられた魔法剣士の一人である。ラグズに刻まれたルーンがどれほど優れた逸品か、一目で分かる。そして、ラグズでは読み解けなかったその効力も察しがついた。
(なるほど、感情を高ぶらせる程度のものか。無から有を生み出しはしない。ラグズのもともとの感情を表出するだけか)
あまり、意味のない効力に思えるが、感情がそもそも存在しないと言えるレベルのワルキューレを変化させるには十分すぎる。感情があるということを前提としたルーンだ。量産型ワルキューレは感情がないわけではないのだと、スカディ自身が認めたわけだ。あるいは、感情の有無を想定していなかったが故に感情の芽生えを喜んでいるのか。
「ラグズ、これ、いつからだ? いつからこのルーンは起動してる?」
「勇士様から首飾りをいただいた時からです。その時はここまでの変調はありませんでしたが、城の戻ってから急に悪化しました」
「城に戻ってから?」
「はい」
「ずいぶんと時間が経ってるはずだけど」
ヴィズルとラグズが城に戻ったのは、まだ太陽が顔を出している時間帯だ。西の空が橙色に染まり始めたころである。
「……ん……ふぅ……ぁっ」
急にラグズが膝が震えた。
顔を歪めて、熱い吐息を漏らす。滲み出る愛液の量が見るからに増えた。
「まさか、今イッたのか? 触ってもいないのに?」
「分かり、ません。勇士様の視線が気になって、そうしたら身体が不可思議な反応を示しました……は、ぁ……ぅ」
「俺に見られただけで果てたのか。そういう才能があるのか?」
それはそれで興味深いことではある。
「城に戻ってから、今までどうしてたんだ? こんなに股を濡らすほど感じてたんだろう?」
「もちろん、身体の変調に対応していました。このノイズを共有するわけにはいかないので、他個体との同期をカットした上で変調の解消に努めていました」
「解消?」
「この感覚は勇士様と交わった時の感覚に酷似しているため、同様に膣に刺激を与えれば変調を解消可能と推測しました」
「ほう……それで、今の今まで一人で慰めていたってことか」
「身体の変調を放置することはできません。あくまでも、この個体の調整のための行為です……は、ぁ……ん……」
ラグズの吐息が次第に色を帯びてくる。見るからに体温が上昇しているというように興奮の度合いが高まっているようだ。
「それで、調整の結果は? 日が暮れてから、今までずっと、何時間もかけて調整してどうだった?」
「あ……ん……それは……調整は難航して……どういうわけか、何度上り詰めても解消には至らず、むしろ、悪化しているようにも思われます」
「上り詰めたか。何回イッた? ワルキューレなのだから、記録は残っているだろう?」
「確実な記録は十五回です。それ以降は不明瞭です」
自慰で十五回も絶頂していて、満足するどころかどんどん欲求不満を募らせるというのもすごい性欲だ。こればかりは愛のルーンの影響を受けてのものだろうが。
「不明瞭というのは解せないな……ワルキューレの記憶は人間のそれとは別だろう。記録として残すものじゃないのか?」
「詳細不明です。気が付けば夜が更けていたのです。記録も残しておりません。ただ、疲労とより強まった変調のみが、は……あ、ふうッ」
びく、びく、とラグズは全身を痙攣させた。そして膝から崩れ落ちる。
「あ……は、あ……か、身体が痺れて、力が抜ける……何故……こんな……勇士様に現況の報告を、しただけなのに」
顔を真っ赤にしてラグズは絶頂を迎えた。弄っているわけではない。ヴィズルに愛液に濡れた膣口を見られ、自慰の詳細の報告を自らの口から語った。それだけでラグズは今まで意識したこともない「羞恥心」からオーガズムに達したのだ。
「はあ……はあ……はあ……ぅ、あ……あ……ゆ、勇士様……ノイズが、頭に溢れて……はあ、はあ、調整にご協力を、ふぅ、ふう……はあ……」
「だから初めからそう言えばよかったんだ。首飾りのお礼なんて綺麗な言葉で飾らないで、セックスしたいと言えば分かりがいいのに」
ラグズはぺたんと床に座ったままヴィズルを見上げてくる。無機質だった表情はどこへやら、ラグズの表情はすっかり熱を帯びている。
ラグズとしては性欲の自覚はまだない。人間を始めとする生き物たちの生殖活動を知ってはいても、自分の関わるものとは思っていない。もちろん、経験はある。勇士の相手をするのがワルキューレの仕事なのだから、機能も備わっている。しかし機能を有していることと自覚があるということは別問題だ。ラグズの中ではまだ曖昧だった個人としての欲望――――ヴィズルと行為に及びたいという欲求を首飾りへのお礼をするという理由付けで包み込んだ。そう無理に解釈していたというだけだ。ラグズは嘘をついたわけではなく、自分の常識の中で自分の湧き上がった感覚にラベルを張っただけだ。
セックスをする理由を、自分が承知していない願望ではなく自分でも納得のいくお礼にすり替えてしまった。愛のルーンも悪い方向で作用した。ラグズの願望がセックスであるのなら、自慰で解消することはできない。感情を表出させるルーンは性欲という形でラグズの願望を表出させたが、ヴィズルとのセックスでなければ満たされることはない。
「勇士様、この身体を調整してください」
ラグズは呼吸を荒げて懇願した。
機械染みたワルキューレではなく、愛らしい少女そのものの顔で頼んできたラグズを拒否することはできない。ヴィズルも意地悪を重ねた手前、拒絶はありえないことだ。
邪魔な衣服を脱いで、月光に素肌を曝すラグズを抱きしめる。すべすべの肌と肌を合わせて、唇を重ねる。柔らかな唇の感触は人間のそれと変わりがない。
「勇士様のご奉仕します」
言うや否や、ラグズはヴィズルのペニスを手に取って、舌を伸ばした。湿った舌のざらつきが亀頭をゆっくりとなぞっていく。
「ん……ぁ……れろぉ」
はあはあ、と物欲しそうに吐息を吹き付けながらラグズの舌がペニスの上を這いまわる。赤い舌に粘性を増した涎が纏わりついていて、それがペニスに塗り付けられていく。
「れろ……れろ……れろ……れろ……ん、ちゅ……は、ぁう……ん……んじゅる……ん、んんぅ♡」
舌先でペロペロと鈴口を舐めていたかと思えば、次の瞬間に喉奥までペニスを咥え込んでいた。
深くペニスを頬張ったままラグズは舌を蠢かせた。裏筋を舐めて鈴口をチロチロと愛撫し、頬を窄めて啜り上げる。
「じゅるるるるッ……じゅるるッ……んふ、はあ……んふう……ふう……んん……じゅる……ちゅぶ……んん……はふぅ♡ んあぁ♡ んむ……じゅるるるる……!」
激しく音を立ててラグズは頭を前後に揺らした。
啜り、舌で舐めるだけでなく頭を振って棹から愛撫することも覚えていたのだ。
強い快感がペニスを襲う。
ラグズの小さな口の中でヴィズルのペニスが膨れ上がっていく。
「んん……ちゅぷ……ん、はあぁ……ぁ、勇士様、すっかりお元気になりました。ん……ちゅッ、はあ、れろぉ♡」
愛おしそうにラグズは棹にキスをしてカリ首を舌先で舐めていく。
滲み出る先走り液も零さないように舌で掬って飲んでいる。
「ラグズ、そろそろ挿入するぞ」
「はい……はあ……勇士様はそのままで。今宵はわたしが……ん」
ラグズはペニスを握ったままヴィズルの腰の上に跨る。ガニ股になって自分の秘所にペニスの先端を導いた。
「ふ、う……い、れます……んんッ」
亀頭が膣口を押し広げる。
何時間も自慰に耽って濡れに濡れた膣口はペニスを受け入れる準備も万端だ。
「ふう……はあ……あ、ん……んく……大きい……う……ん」
亀頭を飲み込んで、一番太い場所を乗り越えてからは一気に入る。すとんとラグズは着地する。一番根本まで体重をかけて押し込んでしまう。
「ふッ、ん、ああ!?」
それはラグズにとっても想定外のことで、深々と一気に突き刺さったペニスの圧が子宮を突き上げた。無自覚な欲望に塗れた子宮口が不意の一撃を受ける形となる。
「く、ひぃ♡ ぃ、ぃぃ♡」
ラグズは引きつった笑みを浮かべて痙攣する。
根元まで挿入しただけで、飛び上がらんばかりの快感が駆け巡ってきたのだ。
「あ、ああ……あ……ぁ」
堪らない、と熱い吐息を漏らしうっとりとするラグズ。
「これだけでイクのか。どうも、ラグズはこっち方面の素養があるみたいだな」
「素養ですか?」
「ああ、気持ちよくなる素養だ」
ヴィズルは動きを止めたラグズを突き上げた。
「んはあッ!?」
驚いたラグズは目を見張る。
「今日はラグズがしてくれるはずだったんだけどな」
「申し訳ありません……オーガズムの余韻で……ん、すぐに動きます……ん、ん……ん……はあ……んん……ん……ん……ふう……ぁ」
ラグズは気を取り直して腰の上下運動を始める。
膣肉が引き締まってペニスを絞り上げる。そのまま腰を懸命に振って刷り上げてくる。狭い膣道はペニスの棹に密着し、抜ける時にはカリに引っかかって確実な快感を与えてくる。
「ひふ……んふ……あふ……うあ……くう……ふう……ん……ん……ん……ぁ……ぁ……はあ……うぁ……ん……ふう……はあ、はあ、はあ……あん……んあぁ♡ ……んふう……膣内、擦れる……はあ……はあ……んんくぅ♡」
身を捩りながらヴィズルの腰の上で踊るようにラグズは腰を振った。
ゆさゆさと身体を揺らしベッドを軋ませる。リズミカルな腰の動きと感じ入る表情。そして、大きすぎず小さすぎないという絶妙な大きなの乳房がワンテンポ遅れて上下に揺れる。
「はあ……はあ……はあ……はあ……はあ……ぅあ……んあ……すご、ぃ……はあ……勇士様の、すごいぃ♡ はあ、はあ、ん……ぅあ……んあ……はあぁ♡」
「今日はずっと自分でしていたんだろ?」
「はあ、んふうぅ……ああ……ち、違う……違いすぎます♡ はあ、勇士様のペニスッ、わたしの指と全然、違うッ……はあ、く……んふぅ♡」
ずちゅ、ずちゅ、と愛液を掻き混ぜながら腰を上下させるラグズ。快楽に酔い、激しく踊り狂ながら膣を締め付けてくる。
「ひぃ、はあ、あ――――ふあ……はあ……んふぅ♡ あ、あ、あ、あ、ああッ……ん、ふあぁぁ♡ ひぃ、ひぃ、んひぃぃ♡」
ラグズの腰振りは徐々に激しさを増していく。根本まで飲み込んで引き出して、そして勢いよくまた奥までむしゃぶりつく。肉襞は狂ったようにペニスを求め、精液欲しさに愛液に濡れた媚肉が絡みついてくる。
「はあ、はあ、はあ、んはあ♡ あ、ぅあ♡ はぐぅ♡ ふあ……はああ……あ、い、イイッ、ふう、はあ……これ、すごいです。はあ、はあ……の、ノイズが増して、ああッ、頭、いっぱい、なのにッ、ひ、ぃ、ああッ」
腰をくねらせラグズは乱れる。
噴き出す汗が金色の髪に吸われて肌に張り付いてる。月光を弾く妖艶な白い肌が汗でしっとりと濡れているのだ。
そんなラグズの腰をヴィズルは両手で掴んだ。形の良い尻肉を撫でてから、しっかりとラグズが逃げられないよう抑えて腰を打ち込む。
「は――――ひぃぃ♡」
ラグズは舌を突き出して、ヴィズルの暴挙に喘いだ。
「あ゛、うぁ……勇士様、そんないきなりッ」
「ああ、俺もしてもらってばかりは申し訳ないからな」
「ひい、ああ……ああ……んああ……あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、ああッ、んふあ……あ、んひぃぃ♡ はあー、はあー、あがッ、あ、んあ、はへあぁ♡」
自分のペースを維持できなくなったラグズはますます乱れた。
意識も半分なくしているかもしれない。
とにかく快楽を貪るために腰を振り続ける。
「勇士様、勇士様、勇士様ぁ――――んあ、んあ、んああ♡ はあー♡ はあー♡ はあー♡ 調整を、もっと……わたしに、ん、ふう♡ はあ、あ、あ、ああ♡」
ラグズはヴィズルに身体を預ける。唇を寄せて、キスを求めた。情動的な行動だ。本人に自覚はないだろう。舌を絡ませて涎を交換しながら、腰を交えている。
「んふ……ちゅ……れろぉ♡ はあ、はあぁ♡ あ、んちゅ……ん、ふう……勇士様ぁ♡ はあぁ♡ んあ、い、イイ、んふ♡ はあ……あ、んあ、んああ♡」
ラグズの全身に緊張が走ったのをヴィズルは見逃さなかった。
「イクのか?」
「あ、あ、あッ、は、ぃ♡ ひい、あ……あ、来ますッ、わたし、あの感覚がッ、イクのが、来きますッ」
パンパンパンと強く腰を打ち付ける。
ペニスの先端が子宮口を叩く。
媚肉が抉られて燃えるような快楽が脳まで吹き上がっていく。
「あ――――あ、い、イクッ、勇士様のペニスで、イキ、ます♡」
「いいぞ、好きなだけイケ、ラグズ」
「んひぃああああああああああああああああ♡」
ラグズの絶叫が迸る。
同時にヴィズルも射精する。
待ちわびたオスの精が子宮まで注ぎ込まれて、ラグズの頭の中がノイズで満ち溢れる。
強烈なオーガズムの感覚にラグズは溺れた。
疲労困憊。しかし、何度絶頂しても味わえなかった満足感をラグズは味わえた。
「ふう……んふう……ちゅ……れちゅ……んん……はあ……勇士様……勇士様ぁ♡」
ラグズはペニスを膣肉で擦りながらヴィズルに甘えた声で迫る。口づけを交わし、舌を吸い、腰を捻る。身体を密着させて、相手のすべてを貪ろうとでもいうように身体を重ねる。
「ちゅ、ちゅ、れろぉ♡ はあ、はあ、はあ……んちゅ……ちゅぷ……れろぉ……はあ、あ、勇士様……もっと、調整してください……ちゅ……♡」
愛おしそうにキスを繰り返す。
ラグズの膣はヴィズルのペニスを掴んで離さない。まだまだ調整は終わっていないというように、食らい付いたままだ。
欲望に火が付いたラグズは、その晩、延々とヴィズルを求め続けた。