Fate/Last・Master Order 作:野菜戦艦トマト
注意:うちのダ・ヴィンチちゃんはふたなりですので、そういうのがお嫌いな方は申し訳ありませんが後半見ないようにしていただけるとありがたいです……。
「おや、久しぶりに見た顔だな」
人の気配に、洗い物を中断する。キッチンカウンターの陰から、エミヤは食堂へ顔を出した。朝食からそれなりに過ぎた時間であり、各スタッフがそれぞれの仕事についている時間でもある。
マシュであった。規則正しい彼女にしては珍しい
「おはようございます、エミヤさん」
「……ああ、おはよう。今日は、何か食べられそうかね? 軽いものでよければ作ろう」
今しっかり食べてしまうと昼食に差し控える。わかりました。では、ココアとサンドイッチを。そんな会話をし、エミヤは厨房の奥へ引っ込んだ。
手を洗い、冷蔵庫の中身を確認すると、今日の朝食に使ったハムとレタスがいい感じに残っている。昼食に出そうかと思ったが、この際使ってしまおう。
時間をおいて少し硬くなってしまったパンをトースターで軽く炙り、その間に昼食の仕込みから洋風スープ出汁を少し取る。適当な野菜を細かく刻み、小鍋に注いだ出汁に入れ、少し考えパンの切れ端で軽くとろみをつける。
スープを温めている間に、もう一方のコンロに鍋をかけ、ココアパウダーを振る。軽く炒って香ばしさを増し、少しずつ牛乳を混ぜて伸ばしていく。
ドリンクとスープが上がったところで、温まったパンを取り出し、バターとマヨネーズソースを塗る。レタスとハムを挟み、包丁を一太刀。三角に切ったサンドイッチを皿に並べ、彩りにミニトマトを添える。
「さあ、出来たぞ」
「わあ、美味しそうです!」
キッチンカウンターにトレーを置くと、マシュが笑顔でそれを受け取る。早速ぱくついて笑顔になるマシュに、エミヤは相好を崩し、洗い物を再開する。
エミヤのサンドイッチセットは、それなりのボリュームではあったが、意外と健啖なマシュにとってまさにちょうどいい軽食だったのだろう。しっかりと平らげ、ごちそうさまでした、と手を合わせる。
「お粗末さまでした。……とりあえず、安心したよ」
「安心、ですか?」
返却されたトレーを受け取るエミヤの言葉に、マシュは首を傾げた。
「
これは私の経験談に近いのだがね、と語るエミヤに、マシュの顔が曇る。
「……どうかしたかね?」
「い、いえ! 何でもないです! 何でも……」
ありがとうございました、と頭を下げて去っていくマシュに、エミヤは静かに息をつく。
(どうやら、傷は治ってはいるが、傷痕は深い……といったところか)
だが、エミヤの胸にはどうしようもない、という本音も去来する。あの様子だと、おそらくマスターと肌を重ねたのだろう。
その優しさこそマシュにとっては薬であり毒でもあってしまった、というだけだ。そして、その心に折り合いをつけられるのは、マシュ本人でしかないというだけの話で。
(……ままならないな、デミサーヴァントでも……いや、サーヴァントより人に近いデミサーヴァントだからこそ、か)
エミヤはせめて、小さく彼女の心の幸せを願い、水回りの掃除を再開した。
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「……では、こちらを」
一方、立香はキャスター……ヴァン・ホーエンハイム・パラケルススの工房兼自室を訪れていた。
液体の入った小さな小瓶を十数本、紙袋に入れて手渡される。
「……ありがとう、パラケルスス」
「いえ、マスター経っての願いですので……」
渡された薬は、精神を鎮める薬草をいくつか煎じ、調合したものだ。
「ですが、多様は禁物です……軽いものとはいえ、薬は薬……マスターの体質上、毒は効果を発揮しないでしょうが、強すぎる薬効はわかりません……一日一度一瓶、という摂取量を守ってください……」
「分かってるよ、これはいざというときのためだ」
“人類最後のマスター”が戦えない、なんてことがないようにね。笑顔でいうマスターに、パラケルススの顔が曇る。
「……マスター、私たちはサーヴァント……時に、聖杯戦争に勝つための駒とも言われますが、私たちは……あなたの隣に立つ者たちでもあります……どうか、ご自愛ください……」
「……ありがとう、その言葉だけでもうれしいよ」
にっこりと、笑顔を
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「……チ所長代理、……ヴィンチ所長代理。ダ・ヴィンチ所長代理!」
「!? あ、ああ、すまない。少しぼーっとしていたみたいだ」
目の前のスタッフに声をかけられ、ダ・ヴィンチは顔を上げる。
「……大丈夫ですか? お疲れのようでしたら、報告は後に……」
「いや、大丈夫だよ。カルデアの全権を委任されている身としては、これ以上協会のバカどもに付け入るスキは作れない」
それに睡眠はちゃんととれているし、ね。と笑う。驚いたことに、ダ・ヴィンチは彼女たちの中でほぼ唯一
……それでも、限度というものはあるのだが。
「それで、報告をお願いできるかい?」
「あ、はい。……あの男が持っていた魔術装置ですが、やはり魔術師協会が協力して持ち込ませたようです。ミスター・燕青の
「なるほど、動力源に関してはやはりクォンタムピースかい?」
「はい。
吐き捨てるスタッフに、ふむ、とダ・ヴィンチが顎に手を当てる。
「案外それが動機かもしれないね」
「と、いいますと?」
「こちらでも調べてみたんだ。……どうも、今モータネ家はかなり苦しいらしいよ、いろいろと」
どうして協会の後ろ盾を得られたのか、考えてみれば当然だ。魔術師としての実力としてはパッとしないモータネ家ではあるが、その出自は古く、その女性操作術は協会の勢力を拡大させるための一助となっていた。
そして、その時に秘密を握り、協会に便宜を図らせることで、自家の勢力を増やしてきた。
だが、時代が移り変わり、表立って女性操作を行えなくなると、逆にモータネ家は邪魔になった。とはいえ下手に潰そうとすれば、自分たちの暗部が暴露される可能性がある。
モータネ家にしても、洗脳操作補助機は起動、維持に魔力をドカ食いする厄介物ではあるが、捨てるに捨てられない至宝である。これを手放せば、協会に潰される可能性がある。
「……それで、うちですか」
「おおかた、馬鹿な上層部にカルデアを乗っ取ったら便宜を図ってやるとでも言われたんだろうさ。協会からすればカルデアを
成功すれば、パイの切り分けの労力のみ、失敗したとしても、それはマジチンの失敗であって、そのころには協会につながる部分は無くなっている。どう転んでも、協会が得をするという関係だったのだろう。奴らが一つミスをしたとするなら、男性サーヴァントを考えの埒外に置いておいたことだが。
「とはいえ、これは推察に過ぎない。
「……と、いいますと?」
「すまない、燕青に伝えてくれるかい?
変わらぬ微笑を浮かべるダ・ヴィンチの目に宿る剣呑な光に、スタッフが震えあがった。
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「……ふぅ」
書類に目を通し終え、ダ・ヴィンチは天井を見上げて息を吐いた。特異点を追いかけていた
いや、オーダー中のように常時警戒態勢というわけではないので減ってはいるのだが、ロマニを抜けた穴を埋めるという意味では、彼女の仕事の責任は重くなっていた。
なにより、マジチンによって滅茶苦茶にされたカルデアを立て直すというのは、これはこれで急務でもあった。いつ難癖をつけてくるかはわからない魔術師協会をかわしつつ、資材の補給や振り分けを考えるというのは骨が折れた。
立香が残ってくれた、というのはダ・ヴィンチにとっては福音ですらあった。何しろ、サーヴァントの中には平時から、燕青やロボを筆頭に、マスターが立香でないなら従う義理はなく、それこそ彼がマスターの座を下ろされるならば、自らも即刻座に還ると公言するメンバーも少なくない。
もしそうなっていれば、カルデアはまず間違いなく立て直し不可能となっていたのだから。
「……そう、本当に福音だ」
彼を傷つけた身でどうこう言えたことではないが、ダ・ヴィンチ自身、立香が残ってくれたことを喜ぶ一人でもある。もし、最初から彼のサーヴァントとして召喚されていたなら、まず間違いなく座に還る側になっていたとまで思うぐらいには。
同時に、今の彼を見ていると、とてもつらい。今の彼は、全身余すところなくひびの入ったガラス細工と同じだ。それが奇跡的に形をとどめ、光の乱反射で輝いているように見えるだけ。もし、どこからかつつかれれば、すぐに粉々になってしまうだろう。
(せめて、誰かに頼ってくれればいいんだけど)
……それこそ、自分の言えた義理じゃないだろう、と首を振った。マジチンがくる前から、彼は“マスター”だったのだ。あの薄氷を渡るような戦いを延々と続けてきた、“人類最後のマスター”。誰も変わることができず、故に誰も共感できず、理解もされない。たった一人のマスターだった。
サーヴァントはマスターを支える存在だが、
そして、彼は凡人だ。ただ、善良であるだけの、凡人。それでも、彼は歯を食いしばって歩み続けた。小さなことを投げ出さず、時に非合理的な選択をして、それによる絆で救われる
マスターとサーヴァント、一人で完結する天才と周囲に支えられる凡人。ダ・ヴィンチとはいわば対極に当たる存在だ。だからこそ、尊いのだ。自分にない輝きを放つ彼が。
歯がゆい。万能の天才と呼ばれた自分だが、決して全能ではないと思い知らされてしまう。大切に思う相手一人すら救う事ができないのだ。
(……こんな時、キミだったらどうしただろうね……Dr.ロマン)
今は
トントン、と扉をノックされる。うつらうつらと舟をこいでいた意識を引きずり出され、声こそ変わらぬがダ・ヴィンチは不機嫌に答える
「……すまないが、今日はもう閉店だよ、書類の提出は明日に……」
「……夜にごめん、ダ・ヴィンチちゃん。俺だけど」
予想だにしなかった立香の声に意識が急速に覚醒した。ちょっと両手が上手く使えないから開けてもらっていい? と問われ、扉を開くと、立香がトレーをもって立っていた。その中には、温かい湯気を立てるコップが二つ。
「おやおや、夜更けに女性の部屋に来るなんて、ピロートークのお誘いかな?」
「まあ、ピロートークっていうか……ダ・ヴィンチちゃんと最近話してないなって。工房にもマナプリズムや聖晶片の交換で来ているだけだし、忙しそうだったし」
「おや、それは気を遣わせたかな? とはいえ、来てくれて嬉しいよ」
さあ、入って入って。弾む声を上げ、ダ・ヴィンチは彼を迎え入れた。
ダ・ヴィンチ工房の応接室ともいうべき、簡素にテーブルと椅子が置かれたエリア。渡されたカップの紅茶を一口。茶葉とミルクの香りが口に広がる。
「おや……」
普段とは違う味わいにキミが淹れてくれたのかい? と聞くと、恥ずかしそうに頬をかきながら、実はそう、と肯定される。
「マリー達やエミヤに教わってて、だけどね。まだまだあの二人には及ばないよ」
「いやぁ、充分大したものだよ。あたたかくて、やさしい味だ」
流石に料理のプロやティータイム文化の本場に比べれは確かに味は落ちるかもしれないが、彼が自分のために手ずからというのはそれだけで心が躍る。心で味が変わるというのは新発見だなぁ、ともう一口。
そうして、二人で会話した。普段の生活、ちょっとした愚痴。穏やかな時間が流れる。
「……まあ、そういうわけで。正直そろそろレイシフト側にも加わりたいねとは思っているわけさ」
「ふーん……じゃあ、明日殺の修練場だからダ・ヴィンチちゃん
「いいのかい?」
「むしろ俺のほうがお願いしたいよ。ダ・ヴィンチちゃん忙しそうだったら無理しなくてもいいけど……」
「なーに、望むところさ! ダ・ヴィンチちゃん謹製、全戦局対応型万能籠手がうなりを上げるよ!」
そういって立ち上がり、茶目っ気たっぷりにガッツポーズをするダ・ヴィンチ。その視界の外で、
「……おっと?」
突如、膝が折れた。立香の腕が伸ばされ、支えられるも、身体がずしりと耐えがたい重みを訴える。
「あれれ~~? おっかしいなぁ~~?」
「ダ・ヴィンチちゃん、大丈夫?」
口調こそ穏やかなものの、その頭脳はフル回転している。突如の体調不良にしては、違和感がある。
「……働き過ぎなんじゃない、ダ・ヴィンチちゃん」
「そうかなぁ、体調管理は完璧だったはずなんだけどねぇ」
見た目よりもたくましい立香の身体に抱きかかえられ、ダ・ヴィンチは奥のプライベートルームに進む。プライベートなだけあって、そこには大きめの寝台といくつかの調度品が置かれた簡素なものだ。
そこに入る際、立香は後ろ手でそっと鍵をかけた。
ダ・ヴィンチをベッドに寝かせる。ふう、と息を吐いてベッドサイドに腰かける立香に、ダ・ヴィンチの唇が動く。
「……キミの仕業か、マスター」
その顔は、困惑と苦笑が浮かんでいた。
「どうしてそう思うの?」
ぎしり、と寝台が軋む。立香が、仰向けのダ・ヴィンチにのしかかる。
切れ長の美しい瞳と、光を失い、青く凪いだ瞳が交わった。
「ほかに考えられないからさ、もし、経口摂取による毒や薬だとしたら、侵入経路はすぐにわかる。なにしろ今日、私が工房外のものでまともに口をつけたのは、キミがさっき淹れてくれた紅茶ぐらいなのさ」
「……ダ・ヴィンチちゃん、それ絶対不健康だよ、三食ちゃんと食べなよ」
凪いだ瞳に呆れの色が浮かんだ。
「とはいえ、毒や薬の類じゃない。あの紅茶に何も入っていないのは、私の舌が証明するよ。あれはたしかにキミの善意だ」
じゃあ、あと考えられるのは令呪だろう? ダ・ヴィンチの言葉に、立香は何も答えない。ただ、色が抜け落ちたような笑顔を浮かべているだけだ。
「……もし、キミが誰かに脅されているなら、私が力になろう。大丈夫、
「……ダ・ヴィンチちゃん、こうは考えないの?」
俺がダ・ヴィンチちゃんをレイプしたいがために令呪を使って縛ったって。立香の一言にも、ダ・ヴィンチの自信に満ちた笑みは崩れない。
「レイプをしたい、という理由がないな。はっきり言って、私はキミにだいぶ絆されている。キミがもし望むならば、私はキミの望むままの存在になれるんだぜ?」
「……じゃあ、きっと失望するよ。だって……」
俺、マシュをレイプしたんだ。罪悪感を盾にして、言い寄って。今みたいにこうやって、令呪で動きを奪って。その一言に、初めてダ・ヴィンチの表情が驚愕に代わる。
「あはは、軽蔑したでしょ? 本当はそういうやつなんだよ、俺。だから、軽蔑していいよ。ダ・ヴィンチちゃん抱くのも、そういう欲望でしたいだけだから」
立香の乾いた声がダ・ヴィンチの耳を打つ。なら、どうして……。
(キミは、どうして、そんな泣きそうな顔をしているんだい……)
ダ・ヴィンチの心の問いも届かず、立香は彼女の服に手をかけた。
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「……ダ・ヴィンチちゃん、綺麗だね」
「ふふ、素直な称賛は、実に嬉しいね。この身体は私にとっての理想と誇りだから」
一糸まとわぬ姿になったダ・ヴィンチの肌を、同じく裸になった立香の指がなでる。上質の絹のように滑らかな髪、白磁のようなきめ細やかな肌に、形よく膨らんだ胸、程よく肉がついて、なだらかな曲線を描く腰、女性としての丸みと美しさを最大限に維持した尻。
この姿こそが往年のレオナルド・ダ・ヴィンチが求めた、
「……その分、
「んっ♡ ……何もおかしなところはないさ。私が求めたのは、女性としても男性としても理想の美だ。男性の美という意味で、
立香の指が、ダ・ヴィンチの
「それとも、ペニスがついている女性は嫌かい?」
「……正直、ダ・ヴィンチちゃんらしいなとは思うけれど、嫌悪感はないよ」
手の中でヒクつくペニスをくりくりといじりながら、立香は返す。手の中でダ・ヴィンチのペニスは硬度を増し、びくびくと熱を放つ
「はは……キミの手が気持ちよくて、こんなに大きくなってしまったよ♡」
「……そうなると、一回ぐらいは射精しておいた方がいいかな」
勃起したペニスを右手で逆手に扱きつつ、左手でたわわな胸を柔らかくつかむ。寂しげに震えるもう片方の乳首を、舌と歯で嘗め回し、甘噛みする。
「くひぃ♡ ず、いぶんと手馴れているじゃないかぁ♡」
ダ・ヴィンチの身体が、快楽に反り返る。くちゅくちゅと音を立てて、先走りが泡立てられる。
「ダ・ヴィンチちゃん、イキそう?」
「ああっ♡ ふぅっ、ふぅっ♡ ああっ射精するよっ♡ マスターの手で出してしまうけどいいかなっ♡」
立香は何も答えず、両手の速度と舌の動きを速める。ダ・ヴィンチの手がシーツを握りしめ、形のいい唇がぎゅうっと力を込めて食いしばられる。
「ああっ♡ すまないっ、出るよっ♡」
――びゅうっ♡ びゅるっ♡ びゅるるっ……♡
どろり、と腹に白く濁った精液が広がる。粘度はそれほどでもないが、腹部を覆って広がるほどの量の精子があふれ出していた。
一度射精してふにゃりと柔らかくなったペニスに、粘度の薄い精液が絡みつく。
「……ダ・ヴィンチちゃんのこれって、本物?」
「いや……♡ 受肉しているとはいえ私はサーヴァント……♡ あくまで生殖機能に似たものさ、吐き出されているのは魔力だよ♡」
一方で、射精したダ・ヴィンチの身体は快楽と多幸感に包まれていた。かつては男性としての肉体をもっていた身、自慰を行った経験がないわけではない。
だが、人の手による射精の快感は、それとは形が異なっていた。何より、理想のためとはいえ、立香が自らの異形を受け入れてくれた、理解してくれたという思いが去来する。
肩で荒く息を吐くダ・ヴィンチに、立香が体勢を変えてのしかかる。彼のペニスも、すでにぎちぎちと勃起し、張りつめている。
「おお……なかなかに芸術的な逸物じゃないか……ほれぼれしてしまうよ♡」
「……これからレイプされるのに、のんきだね。ダ・ヴィンチちゃん」
なおも光を失ったままの立香の瞳が、寂しげにほほ笑むダ・ヴィンチを捉える。ぬちゅりと濡れそぼったそこに押し当てられても、その表情は変わらない。
「言っただろう? 私はキミを愛している。キミが私をレイプしたいというなら、それも一つの愛として受け入れるさ……正直、抱いてくれるなんて思ってもいなかったからね」
私は、一番最初にキミを裏切った身だ。天才と呼ばれながら、あっさりと思考を放棄して肉欲に媚びたのさ。ダ・ヴィンチは自虐的に笑った。
「もっとも、あの男は私の
だから、キミはキミの思うままに私を抱いていい。乱暴に、乱雑に私を抱き捨てていい。
「何なら……私を抱いた後、
その言葉に、立香の身体がびくり、と体を震わせた。ダ・ヴィンチからは表情をうかがい知ることはできないが、俯き加減になって震えている。
その立香の手が、ダ・ヴィンチの腰をがっちりつかんだ。
――ズンッ!
「んお゛っ!?♡♡♡」
いきなり奥まで突き込まれた。
「なんで、そんなこと言うの?」
激しい衝撃と快楽に揺れるダ・ヴィンチの耳に、立香の声が届いた。暗く、ドスの効いている、普段の彼とは全く違う声。ふーっ♡ ふーっ♡ と荒く息を吐き出すダ・ヴィンチに、容赦ない立香のストロークが襲いかかる。
「……俺が甘かったよ、ダ・ヴィンチちゃん。座に還る何て二度と言わせないように、徹底的にレイプするべきなんだね」
「ん゛お゛お゛っ♡ ま、待っへぇ♡ へぎゅっ♡ 待っへぇっ♡」
ごちゅごちゅと膣液を泡立てて、立香のぺニスがダ・ヴィンチを蹂躙する。カリ首がふたなりペニスの裏側をえぐり、突き込まれれば自分の感じるポイントを的確に直撃する。
(これがっ♡ レイプだってぇ!?♡
甘い快楽を全身に吐き出しながら、ダ・ヴィンチの頭脳はこれがレイプではないと訴えていた。動きこそ激しいものの、その動きは緩急自在に満ちており、ダ・ヴィンチの眠っていた性感から自分が知らなかった未知の性感までを掘り起こし、耕していく。
そのくせ、快楽よりも苦痛が勝りそうなスポットには軽く触れる程度に済ませ、よりよい快楽を掘り起こすためにごりごりと立香のペニスがダ・ヴィンチの中をかき混ぜていく。
「ダ・ヴィンチちゃん、レイプされているのに感じてるの?」
立香の嘲る声も、快楽に変換されていく。こんな、抱かれる相手に気を使うレイプがあるわけがない。こんなに優しいレイプがあるわけがない。
「ああっ♡ ああっ♡ 最高だよぉっ♡」
歓喜の嬌声を上げる。ぶるんぶるんと胸が揺れる。奥を、入り口を、左右をのべつ幕無しに突かれ、ダ・ヴィンチの身体は享楽に跳ねた。
「すっ、すまないマスター♡ 気持ちよすぎてっ♡ 私はもうっ♡ イッ……♡」
皆まで言い終わらせず、ごつんっ♡と音を立てて奥にたたきつけられる。瞬間、ダ・ヴィンチの頭で快楽が弾けた。
「~~~~~~~~っ♡♡♡」
背骨が変形するのではないかとばかりにエビ反りになりながら、ダ・ヴィンチは精を噴き出し、同時に絶頂した。
(すご……い……♡)
女の快楽を知らないわけではない。肉体を改造した際、研究者として一通りのチェックはしたし、バイブやローターを使ったオナニーをしたこともある。不愉快だが、あの男に抱かれたときは脳が灼けるような快感を味わった。
だが、これは違う。文字通りの爆発だ。何もかもを根こそぎ更地にするような快感。がくがくと、生まれたての小鹿のように震える身体が制御できない。
それだけ、立香から与えられた快楽が激しかった証左だった。
「ダ・ヴィンチちゃん、俺はまだイッてないよ?」
立香の無慈悲な一言に、ダ・ヴィンチの瞳が僅かな怯えとそれを塗りつぶす期待に揺れる。ただ自分が絶頂しただけでこの快楽なら、膣内射精でどれほどの絶頂を得られるのか。
その視線に応える様に、立香の腰が再度のストロークを開始した。今度はイッたばかりのダ・ヴィンチに負担をかけないゆっくりとしたアプローチ。だが、絶頂で締まった膣内には、そのゆっくりとした動きで逆にペニスの動きが如実に感じられてしまう。
「ひっお゛っ♡ き、キミのがっ、熱くて太いのがっ♡ 私の中に゛っいっ♡」
ぬちぃ♡と音を立てて引き抜き、ぐちゅぅ♡と音を立てて押し込まれる。まるで感じる場所をなぞるかのようなゆっくりとした動きだが、ダ・ヴィンチの欲求は溜まる。
(欲しい……♡ あのすごいのがもう一度ほしい……♡)
動いてほしい、えぐってほしい。腰をくねらせるも、まるでその動きがわかるかのようにひらりと交わされてしまう。
「ダ・ヴィンチちゃん、腰が動いてるよ」
「そ、そんなのっ♡ ずるいじゃないかっ♡ あんなに気持ちいい思いさせてっ♡ ここまで来てお預けなんてひどいじゃないかっ♡♡」
欲しいんだ、キミのがっ、欲しくてたまらないだっ♡♡ 必死に訴えるダ・ヴィンチに、立香がふっと口元を緩める。
「じゃあ、思いっ切り行くよ」
「ああっ♡ ああっ♡ もちろんだあああっ♡♡」
最後まで言い終わらないうちに力強く奥まで突き入れられる。打って変わって乱暴なストロークに、彼自身の限界の近さを感じ取る。
「射精すよ、ダ・ヴィンチちゃんっ!」
「いいともっ♡♡ 私を満たしてくれっ♡♡ 私を孕ませるつもりでっ♡♡ 射精してくれぇっ♡♡」
その言葉に合わせるかのように、ひときわ奥に突き入れられた瞬間。
――ごぶっっ!!ぶびゅびゅっっ!!ぼびゅっっ!!
「っっっっっっっっっっっっっっっっっ♡♡」
マグマのような熱量を持った精液が、弾けた。
満たされる、満たされる、満たされる。まるで空っぽのコップに水を注ぐかのように、乾いた身体に魔力と精が満ちていく。
(ああ、成程……女の幸せとはこういう事か……♡)
自らが認める男に、自らを認めてもらえる、抱いてもらえる。世の女性たちが、愛されることを求める理由がわかる気がした。確かにこれはどのようなものにも代えがたい幸福だ。
世の中には、自分にもまだまだ知らないことがあったのだと、ダ・ヴィンチは感動すら覚えていた。
「んひぃっ♡」
その思考を遮るかのように、突如、ごちゅん、と音を立てて奥を突かれる。衝撃にふたなりぺニスがプルンッと震えた。
「ま、待ってくれマスター!?♡ 私はもうキミみたいには若くないんだぁっ♡ せめて、ちょっと休ませて……」
「待たない」
立香の手が、冗談交じりにもぞもぞと逃げようとする、ダ・ヴィンチの肉付きのいい腰をガッチリとつかむ。
「言ったよね……ダ・ヴィンチちゃんが二度と座に帰るなんて言わせないように、徹底的に
「(あ、目が据わってる……)ま、待った待った♡ わ、わかった、もう二度と言わないって約束するからっひぃんっっ♡♡ ほ、ほんとに待っ……あーーーーッ♡♡♡」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「ほんとに……むちゃくちゃ……するんだから……もうぅ……♡」
全身に絡み付く甘いしびれを吐き出すように、ダ・ヴィンチは息を付いた。何度
ねっとりと重い膣が、まるでどろどろに蕩けてしまったかのような下半身でやっと知覚できた。
「……無理やりするから嫌いになれ、だって……? まったく、あんなに
ようやっと真っ当に動くようになった身体をベッドに預け、ダ・ヴィンチは小さくつぶやいた。
この様子だと、立香の言うマシュを強姦したというのも信頼性に欠けてくる。というより、最近のマシュの様子を見れば、レイプされたわけではないのは明らかだ。
抱かれた今だからこそ確信する。彼女は確かに苦しんではいたが、それは自らの心にある、
なにより立香は、その類稀なる頭脳でも、辣腕を振るう能力でもなく、
天才に日々纏わりつく孤独に、その隙間に入り込んだ悪意に、その心の奥底に眠る罪悪感を、丸々抱きしめてくれたのだ。
モナ・リザに自分を改造したことを後悔したことはない。レオナルド・ダ・ヴィンチという存在は
それでも、人並みに愛される、ということは心のどこかで諦めていた。もとより、理解されると思っていなかったというのもある。
……その自分を、ここまで
だからこそ、今の彼は放っておけない。自分を愛しておきながら、死にたくないと歩んできながら、自ら何も見えぬ闇に飛び込もうとする彼は。
「……覚悟したまえよ、立香クン♡ 万能の天才たる私を、ここまで惚れさせたんだ……」
自分でも気付かなかったけれど、私は、存外重い
「それにしても……」
『いかないで……帰らないで……』
「本当に、
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
その日の夜。
立香の部屋で、ベッドの横に乱暴に空瓶が投げ捨てられている。
そのベッドの中で、立香は身体を丸めていた。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい……」
いつ開けぬともしれぬ暗闇の中、赤子のように指をしゃぶり、立香は夢の中で謝り続けていた……。
次回は……婦長かブーディカさん?