※この作品はR-18です。

Fate/Last・Master Order   作:野菜戦艦トマト

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 ようやく投稿できた……ナイチンゲールさん案件はツラァイ……
風邪に腱鞘炎に脚の付け根の腫瘍?コブ?……一度にまとめてこないでほしい!

 今回はブーディカさんです!最後の方だけ嘔吐描写があります


第六話 私の勇気、負けないで(ブーディカ)☆

 その日、森にて……

 

「くっ……!」

 

 ブーディカの動きはいつにもまして精彩を欠いていた。ライダーの彼女が絶対的に有利をとれるキャスターの雑魚デーモン相手に、互角の戦い……実質的には一方的といっていいほど押されていた。

 唸り声とともに振り下ろされる爪を小型の丸盾(バックラー)で防ぎ、剣を振るう。肉を切る感触、吹き出す紫色の体液。

 

「――浅いっ!?」

 

 仕留めきれない踏み込みの甘さに舌打ちをする。痛みに怒りを増長させたのか、激しい咆哮とともに放たれたもう片方の爪が、ガードの上からブーディカの身体を跳ね飛ばす。

 

「ぐうぅぅっ!」

「ブーディカさん!?」

 

 追撃の構えを見せるデーモンに、マシュがフォローに入ろうとするが、ラミア達の一斉放火がその足を止める。

 デーモンが、飛び掛かる。体勢を崩したブーディカに防ぐ術はない。霊基消滅(死亡)はまだしも、戦線崩壊(重症)は免れないだろう。彼女は次に襲う痛みを覚悟した。

 そ(・)の(・)彼(・)女(・)の(・)前(・)に(・)、誰(・)か(・)が(・)飛(・)び(・)出(・)し(・)た(・)。

 

「――ガ(・)ン(・)ド(・)ッ!!」

 

 魔術礼装、発動。指を銃の形に構えた立香の狙いすました光弾が、デーモンの顎を捉え、弾き飛ばす。移動のベクトルを強制的に変えられた形になったデーモンが、悲鳴を上げながらもんどりうった。

 

「ティーチっ!」

「任されて」

 

 そこへ、あぱーっ!と奇声を上げ、立香の援護を受けたティーチがデーモンへと殴り掛かる。顔面ワンツーからの流れるようなヤクザキック、更にヤクザキック。2発目でデーモンの首がありえない方向に折れ曲がり、塵のように消える。そこから現れた宝箱をかっさらう黒ひげ。

 

「んんwww 心臓回収ですぞwwww」

「nice Blackbeard.(ナイス黒ひげ)!」

 

 中身を確認して、サムズアップする黒ひげに、立香はサムズアップで返した。

 

「で・も……」

「え? あの、黒ひげ=サン?」

 

 立香の頭を、黒ひげがむんずと掴む。そのまま拳骨とカギ爪の丸みで立香のこめかみをホールドすると、こめかみをぐりぐりと捻じりながら圧迫する……俗にいうウメボシ攻撃だ。

 

「あだだだだだだだだだ頭われる頭われる!」

「戦闘中に前に出るなって、拙者言わなかったっけ?」

「いやほらブーディカさん庇いたかったしガンドをちゃんと命中させるには真正面から狙い打った方がいいかと思っていだだだだだだだ!!」

 

 頭が砕けるーー! と絶叫する立香。黒ひげはニヤニヤ笑っているが、青筋が浮いているあたりかなり頭にきているようだ。

 

「あだだだ……黒ひー容赦ないなぁ……。ブーディカさん、大丈夫?」

「う、うん……ありがと」

 

 解放され、ズキズキ痛む頭を撫でながら差し出された立香の手につかまって立ち上がる。そうこうしているうちに、ラミアの群れを倒し終えたマシュと立(・)香(・)の(・)護(・)衛(・)であったロボが並び立って歩いてくる。

 ロボの口に咥えられた袋に、大量に包まれた丸い何かがある。目的の素材である、蛇の宝玉が豊作だったのだろう。

 

「あ、ロボ。ごめん急に飛び出しブッ!」

 

 返事は尻尾での顔面への一撃だった。べちんといい音がして、立香がひるむ。そこへ更にふわふわのしっぽが顔に頭にべちべちと叩きつけられる。

 

「あいだだだだ! ごめん! ごめんったらぁぁぁ!!」

 

 ふわふわの猛乱打に再度悲鳴を上げる立香。その様子に、知らずニヤリと口元を緩めるロボに、爆笑する黒ひげ。そんな様子を、ブーディカは複雑な表情で眺めていた。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 お(・)か(・)し(・)い(・)。

 最近のカルデアの様子に、ブーディカは疑問を覚えていた。

 変化があったのは事実だ。そしてそれは、決して悪いことじゃない。例えば、ろくに食事を摂らなかったマシュが食堂に顔を出すようになった。例えば、とりつかれた形相で業務に当たっていたダ・ヴィンチの表情が穏やかになった。

 あんなことがあって、沈んでいたカルデアの空気が上向きになったことは、彼女にとっては大歓迎だ。

 特にマシュとはセプテム……ローマの特異点から自分が召喚されてから肩を並べてきた長い付き合いだ。世話好きの彼女からすれば、特に娘とも取れるマシュが、マスターたる立香への裏切りを行ってしまったことに絶望の表情を浮かべるのは、自分の事のように辛い。

 そして、原因となったあのマジチンとかいう男は霊基を軋ませても(アヴェンジャーになっても)足りないほどの怒りを覚える。

 

 だが、その変化は、良(・)い(・)事(・)だ(・)け(・)の(・)も(・)の(・)なのだろうか。例えば、時折マシュが浮かべる、憂いを含んだ表情。例えば、ダ・ヴィンチが時々見せる、考え込むようなしぐさ。

 何より、彼女が案じているのはマスターである立香のことだ。あれほどの目に遭いながら……自分たちが遭わせながら、彼(・)は(・)、未(・)だ(・)に(・)マ(・)ス(・)タ(・)ー(・)で(・)い(・)て(・)く(・)れ(・)て(・)い(・)る(・)。それを喜ぶものも多いが、ブーディカはむしろ懸念していた。

 立(・)香(・)は(・)何(・)も(・)変(・)わ(・)っ(・)て(・)い(・)な(・)い(・)の(・)で(・)あ(・)る(・)。誰かに怒りを爆発させることも、恨みを叩きつけることもなく。彼は普段を過ごしていた。まるであのことをなかったことにするかのように。

 

 そして、あの日立香の部屋から出てきたナイチンゲール。本来はほのかに感じられる程度のマスターの魔力を、あの時の彼女は全身に満ち満ちに満たしていた。そして、去り際に残した、わずかな青臭さ。

 僅かに嫌な記憶を呼び起こさせる臭い。あれは間違いなく男性の精の臭いだ。

 

 もちろん、そのことを否定するつもりはない。マスターとサーヴァントという関係であれ、男女間の付き合いは悪いものではないだろう、とブーディカは考えている。

 だが、万が一……万が一にも立香がマシュやダ・ヴィンチ、ナイチンゲールに無理やりに関係を迫っているのならば、止めるべきだろう。……あの様子からすると、ナイチンゲールに関しては少々怪しいものがあるのだが。

 愛も情も伴わないセックスほどつらいものはない。彼女は経験でそれを知っている。マジチンに傷つけられ、立香にも傷つけられる、というのは三人にとって、とてもつらい事なのだろうから。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「……なんて言うか、久しぶりだね、この部屋に来るの」

「そう、だね。あたし自身久しぶりにマスターと二人っきりになれた、っていうか」

 

 その日の夜。ブーディカは自分の部屋に立香を呼び出した。

 立香がブーディカの部屋に来るのは、実は初めてではない。彼女が顕現して(セプテム)以来、立香の戦略や戦術の座学はブーディカが行ってきていたからだ。

 特に大局的な戦術……戦略論に関しては、ほぼ彼女仕込みといってもいい。マシュは教科書的な理論こそあるが実践が足りず、燕青、エミヤはどちらかといえば個々人による戦術が得意、狼であるロボは論外。

 同(・)期(・)であるマリー、モーツァルト、サンソンや、いかな万能の天才とはいえ本来は芸術家(非戦闘員)であるダ・ヴィンチははそもそも荒事に向いているとは言い難い。

 必然、立香への教師役はブーディカが請け負っていた。

 ちなみに彼女と同じく軍勢や大群を率いた経験のあるティーチやドレイク、モードレッドたちが召喚された際、彼や彼女たちを追加の講師とする案もあったのだが、全員が同工異曲に「人に教えるのは性に合わない」と口を揃えたためブーディカが引き続き教育係を引き受けている。

 

「……それで、どうしたの? ブーディカさん」

 

 問われる。腰掛けたベッドが、二人の間の沈黙を象徴するかのように、ぎしり、と音を立てる。

 ブーディカは、大きく、息を吸って吐いた。大丈夫、とそう言い聞かせるように。

 

「マスター。……今更だから、まだるっこしいことはなしで聞くよ。今……、マシュと、ダ・ヴィンチと、ナイチンゲールと……セックス……してる、よね?」

 

 ブーディカの問いかけに、立香は何も返さない。いつものように穏やかに笑みを浮かべているだけだ。その嫌な沈黙を振り払うように、ブーディカは言葉を重ねる。

 

「まあ、その……。悪いことだっていうつもりはないよ? マスターだって、若いし、男の子だし……そういう欲望があるってのも分かってる。けれどね、その……」

「無理矢理(レイプ)はよくない、ってこと?」

 

 かぶされる立香の声に、ブーディカは動揺する。

 

「そう、ね。無理やりは……よく、ないよ」

「そっか……じゃあ、少し遅かったね」

 

 俺、もう3人にレ(・)イ(・)プ(・)しちゃったから。

 告げられた言葉に、咄嗟に二の句を返せなくなる。脳裏に蘇るフラッシュバックに、激昂して彼の胸ぐらを掴み上げないように踏みとどまる。

 

「あはは……失望した? 幻滅した?」

 

 光を失った瞳で変わらぬ笑顔を浮かべる立香に、ぎり、とブーディカは唇を噛む。

 

「……本当にしたの? マシュもデミ・サーヴァントだし、ダ・ヴィンチやナイチンゲールが……君のような普通の人間にそう抑え込まれるなんて思わないけれど」

「ブーディカさん、忘れたの?」

 

 俺にはこれがあるんだよ? 心を抑え……いや、彼女が縋るかように再度問いかけられた言葉は、紅く輝く光に遮られた。

 3(・)画(・)の(・)令(・)呪(・)。マスターが持つサーヴァントへの絶対命令権。ブ(・)ー(・)デ(・)ィ(・)カ(・)に(・)と(・)っ(・)て(・)、(・)最(・)も(・)示(・)し(・)て(・)ほ(・)し(・)く(・)な(・)か(・)っ(・)た(・)も(・)の(・)。

 

「……っマスターッ!!」

 

 肩をつかむ。交差する、凪いだ青い瞳と激情を孕む翡翠の瞳。だが、ぐにゃりと歪んだのは、翡翠の瞳。

 

「なんで……どうして……どうして、君が、そんな……」

 

 ブーディカの瞳から涙がこぼれる。 告げられた言葉に覚えたのは、失望か、怒りか、悲しみか――はたまた、あ(・)あ(・)、(・)や(・)っ(・)ぱ(・)り(・)という諦観か。

 彼は壊れていたのだ。原因は間違いなく自分たちだ。優しい子供に大の大人(カルデアや英霊)達が挙ってよってたかって縋って英雄に仕立て、追い立てて壊してしまった。

 そこにマジチンの介在があったかどうかはさておいて。彼が壊れてしまったのは、自分たちのせいだった。

 

「……俺もそういう男なんだよ、ブーディカさん。自分の欲望のために、誰かを傷つけるような奴なんだ」

「違うっ! 君は……そんな子じゃない。あたしたちは知ってる、君は……!」

 

 首を振る。否定する。否定したくてしょうがない。だが、返された立香の声はかえって穏やかで。

 

「……違わないよ。だから」

 

 今回は、ブーディカさんを抱きに来たんだ。立香の手が、震えるブーディカの顎に添えられる。

 

「けれど、きっとそれじゃブーディカさんは嫌だろうし納得だってしないよね。だから、俺とゲームしよう」

「ゲー……ム?」

「そう。俺が勝ったら、これからも俺の好きにする。ブーディカさんが勝ったら、俺をブーディカさんの好きにしていい。カルデアから追い出してもいいし、首(命)が欲しいなら、いくらでも」

 

 俺(・)の(・)生(・)殺(・)与(・)奪(・)を(・)す(・)べ(・)て(・)ブ(・)ー(・)デ(・)ィ(・)カ(・)さ(・)ん(・)に(・)委(・)ね(・)る(・)。立香の言葉に、ブーディカの表情が強張る。

 

「……ゲームの、内容は?」

「タイマーで10分間、俺がブーディカさんを愛撫する。ただし、セックスはなし。前戯だけでブーディカさんをイカせたら俺の勝ち。耐えきったらブーディカさんの勝ち。ただ、念のため令呪で動きは封じさせてもらうけど」

 

 単純でしょ? という立香の言葉に、ブーディカは頷いた。

 

「……分かった、あたしが勝ったら……あ(・)た(・)し(・)が(・)マ(・)ス(・)タ(・)ー(・)の(・)オ(・)ン(・)ナ(・)に(・)な(・)る(・)。いつでも、君の欲望を解消するために……シて、あげる。だから、もうみんなには手を出さないで」

 

 ブーディカの提案に立香は首を捻った。

 

「……それ、ブーディカさんに得がないけどいいの?」

「……それでいいよ」

 

 言葉少な気に頷くブーディカ。彼女からすれば、立香をカルデアから追放する気は毛頭ない。だが、それで立香が忍(・)耐(・)を強いられるならば……それを解(・)消(・)することに何の痛痒も感じない。

 ……裏切ってしまった罪滅ぼし、と言われればそれまでだ。壊れた彼を繋ぎ止めるためだけの自己満足だといわれれば首肯するだろう。だが、それでもブーディカは立香にいてほしかった。

 サーヴァントの肉体を経た今生で、心から愛を捧げたいと思った少年(ヒト)だから。

 

 

 テーブルの上に、端末を置いてタイマーを起動する。テーブルの上、簡易スタンドに置かれたそれの画面は、10分に設定されている。

 ブーディカは、ベッドに座った立香に腰かけるようにして座る。所謂後座位の体勢だ。

 

「それじゃ、10分。俺が令呪でブーディカさんの力を抜いたらスタート。ブーディカさんが絶頂し(イッ)たらカウンターがストップするから」

「……いつでもいいよ」

 

 静かに、ブーディカが返す。策がある、わけではない。それでも、ブーディカには賭けに出るだけの一縷の望みがあった。

 ブ(・)ー(・)デ(・)ィ(・)カ(・)は(・)、不(・)感(・)症(・)に(・)近(・)い(・)。セックスで感じないわけではないのだが、レイプや強引な手法な快楽に対してはめっぽう鈍(・)る(・)のだ。

 おそらくは生(・)前(・)の(・)経(・)験(・)によるものだろう、とブーディカはアタリをつけていた。これに関しては、ダ・ヴィンチやナイチンゲール達メディカルスタッフはもとより、立香にも話していない彼女だけの秘密だった。

 実際、マジチンに犯されていた時も強制的な絶頂による不快感に近いものしかろくに感じてはいなかった。それでもその身に魔力を宿(膣内射精)されてしまったために洗脳されてしまったというのは笑い話にもならないが。

 

 立香の手法がどのようなものかはわからないが、レイプするといっている以上、強引に迫ってくるならば、たとえ自由を奪われても耐えきれるだろう。

 時間制限があるなら、彼女が感じないことで焦りも生まれる。そうなれば、勝ちは揺るがない。

 

(絶対に、負けない……! マスターを、あたしの……あたしたちの立香を……取り戻して見せる!!)

 

 立香と、ブーディカ。二人の運命を決める10分が始まる。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 タイマーが残り5分を指し示す。その様子を冷静に観察しながら、ブーディカは困惑していた。

 立香の手はブーディカの全身をくまなくもみほぐしている。が、一向に乳や膣といった性感帯に触れないのだ。

 時折、腿の付け根や脇に近い部分に触れることはあっても、直接的な刺激は一切ない。

 

「ブーディカさんって、肌綺麗だよね、全身柔らかいけど、ちゃんと筋肉もあって」

「……あはは、ありがと」

 

 困惑と苦笑とともに、ぐにぐにとイタ気持ちい強さで二の腕を揉まれる。その強さのままゆっくりと両手が上がっていき、肩から背中にかけてぐっと指を押し込まれる。

 つまるところ、彼のやっているのはただのマッサージだ。確かに気持ちがいいのは事実だが、とても女性を快楽漬けにするような手練手管ではない。

 

(……あたしの、勘違いだったかな?)

 

 拍子抜けと、少しの楽観と、女性としての気持ちよさを持てそうにない状況に、知らずほんのわずかの失望を覚えるブーディカ。

 

「……そろそろいいかな」

 

 だから、立香の呟きを気にも留めていなかった。挿入するにしても、自分は濡れてすらいない。この状態で性交に至ったところで、何の意味もないのだ。

 

 だが、立(・)香(・)の(・)手(・)は(・)別(・)の(・)場(・)所(・)に(・)触(・)れ(・)た(・)。今まで一切触ってこなかった、ブーディカの豊かな胸。片側を下から持ち上げるように強く揉む。

 

「!?」

 

 動揺するブーディカを畳みかける様に、もう片方の手がするりと膣に触れる。

 

「やっ……!?」

 

 咄嗟に脚を閉じて手の動きを封じるも、胸を揉んでいた方の手が乳輪をギュウと摘まむ。

 

「んっ……! んんっ!!」

「……ブーディカさん、陥没乳首だったんだ」

 

 耳元で囁かれ、どきりと脈拍が跳ね上がる。親指と中指に挟まれた乳輪の口に、指が差し込まれる。

 

「ひっ♡ いっううううぅっ!?♡」

 

 乳肉に包まれた敏感な乳頭。そこを突如として侵略してきた指が強く乳肉の内部を穿る。痛みを感じる限界ギリギリを責め立てられ、ブーディカは歯を食いしばった。

 

「……乳首だけでもだいぶ感じてるね」

「そんっ♡ なっ♡ ことぉっ♡」

 

 苛烈な責めに反比例するかのように、淡々とした立香。その手が、いつの間にか力の緩んだ脚の間に……膣に触れる。

 

「ほら、もうこんなに濡れてる」

「……っ♡♡♡」

 

 ぬぢゅり、と音を立てて、立香の指にブーディカの愛液が絡みつく。今度こそ、ブーディカの顔が朱に染まった。

 その隙を見逃さず、立香の指がぬるりと挿入される。細くて、戦いを経て少しごつごつとした指がブーディカのなかをゆっくりとかき回す。

 

「……この辺り、かな」

 

 下腹部の裏のあたりで、立香の指が曲がり、とん、とんとそこを叩く。感じるはずのない、軽い衝撃。

 

――どくんっ!♡

「―――っ!?♡♡」

 

 刹那、ブーディカの身体に閃光が迸った。まるでばね仕掛けのように全身が反り返り、雷に打たれたかのようにびくんびくんと痙攣する。

 翡翠の瞳が驚愕に見開かれ、両手がシーツを握りつぶさんばかりに強く握りしめる……そうしなければ、おそらく立香ごと後ろに倒れこんでいたと思わせるような強い衝撃だった。

 

「いっ♡ いまっ!?♡ な♡ 何っ♡♡ なにしてぇっ♡♡♡」

 

 生まれたての小鹿のようにがくがくと震える声のブーディカには答えず、立香は再度同じ場所を、今度は強く、こりこりと指の腹でひっかく。

 

「ん゛い゛い゛っ♡ お゛っお゛お゛っ♡ まっ待って、まってへえぇぇ!♡」

「……やっぱりか」

 

 ブーディカさん、多分奥より入り口のほうが感じるでしょ? 立香の言葉を、快楽で煙った彼女の頭が理解するまでわずかに時間を要した。

 

「いっ、いり……ぐち……?」

「……なんとなく、だけど。今の反応で確信したって感じで」

 

 自惚れるつもりはないけど、俺、多分みんながどこを感じるのかがなんとなくわかる気がする。その言葉に、ブーディカの瞳が驚愕に彩られた。

 

「そ、んなはなし……ぃぃっ!♡」

 

 聞いてない。言おうとしたブーディカを、再度快楽が襲う。今度は胸と膣の同時攻撃。感じるポイントを的確に責める指使い。ぐちゅんぐちゅんと愛液が掻き混ぜられる音が耳に届く。

 今や、ブーディカの身体は完全に立香に掌握されていた。触れられる場所、弄られる場所が、今まで眠っていた感覚が目覚めるかのように、新たな性感帯になるかのように、立香の二本の腕に翻弄されていた。

 

(待ってっ♡ まってえっ!♡ し、知らないっ♡♡ あ(・)た(・)し(・)、(・)こ(・)ん(・)な(・)の(・)し(・)ら(・)な(・)い(・)ぃ(・)ぃ(・)っ(・)♡♡♡♡)

 

 生前受けた、輪姦・レイプによる精神防御のための強制的な肉体の快楽。マジチンによる、魔術による強制的な快楽。

 立香の放つ快楽は、そのいずれも違っていた。純(・)粋(・)な(・)快(・)楽(・)というある種の暴力。夫を除けば、屈辱に服従させられるだけだったブーディカの性経験にはない存在。

 気づけば、トラウマによる不感症のブーディカの身体は、藤丸立香という若者ただ一人に、まるで生娘のように喘がされていた。

 

 ぐちゅぐちゅという音が止められない。食いしばった口からふーっ♡ふーっ♡と喘ぎ声と涎が止められない。反り返ったからだが、快楽に上気した美しい脚がつま先まで一直線になる。膣を中心にして全身がふわふわと飛んでいきそうな浮遊感。

 

(ダメッ♡ イッ、イッちゃダメッ♡♡)

 

 歯を食いしばるブーディカの意志と反比例するかのように、彼女の肢体は快楽を貪ろうと立香に縋りついていた。こみ上げる快楽が、爆発寸前の火薬のようになった身体が、視界の端でタイマーの時間を捉える。

 

(あっ……後♡ あといっぷんっっ!♡♡)

 

 あと一分で、この責めも終わる。そうしたら――。そうしたら?

 そ(・)う(・)し(・)た(・)ら(・)、(・)イ(・)カ(・)せ(・)て(・)も(・)ら(・)え(・)な(・)い(・)? た(・)だ(・)気(・)持(・)ち(・)い(・)い(・)だ(・)け(・)で(・)、(・)終(・)わ(・)っ(・)て(・)し(・)ま(・)う(・)?

 ブーディカの胸に去来した、たった一筋の綻び。だが、限界まで張り詰めた彼女の意志にひびを入れるには、その一つで充分であった。

 そして、自覚してしまった彼女の身体は、貪欲に快楽を貪ろうと腰を浮かせ、身体の痙攣を激しくさせた。

 

「だっ♡ だめだめダメぇぇぇぇっ!?♡♡」

 

 予兆に、彼女の口から悲鳴が迸る。だが、止まらない。止められない。

 亀裂の入ったダムから水がしみだしていくように、強固な彼女の意志が、快楽の濁流を叩きつけられる事でひびわれ、崩されていく。

 快楽と自らの意志のはざまで揺れるブーディカの耳へ、立香が口を寄せた。

 

「……いいよ、ブーディカさん」

「――っ!?」(それ、を……言われたらっ……♡)

 

 囁かれる耳すら性感帯のように感じる彼女に、立香からとどめの一撃。

 

「イ(・)ッ(・)ち(・)ゃ(・)え(・)」

 

 言葉と同時に、手のひらの中で膣のポイントとクリトリスが潰される。

 

「―――っっ!!♡♡♡♡」

 

 彼女の中で、快楽が爆発した。

 

 

 長い絶頂が終わりを告げ、ブーディカは糸の切れた人形のように立香にしな垂れかかった。全身が絶頂の余波による強い倦怠感に包まれる。

 絶頂時に噴出し、床に水たまりとなった潮と小水を後で片付けなくちゃとどこか他人事のように見ていた。

 倦怠感が弱まり、タイマーに目線が行く。画面に表示された時間は、残り10秒。それが示すことはただ一つ。

 

「俺の勝ちだね、ブーディカさん」

 

 ぺろりと指に突いた愛液を舐める立香。桜色に火照ったブーディカは、それにこたえる力もない。

 立香は、彼女の身体をベッドにそっと横たえると、自らも服を脱いだ。

 シャツを脱ぎ捨てると、今までの戦いを物語るかのように引き締まった筋肉と、その躰についた無数の傷が露になる。まさに、歴戦の勇士のそれだった。

 そして、ブーディカのうるんだ瞳が、立香の臍まで反り返った雄々しいペニスを捉える。

 

(ひっ、えっ……♡)

 

 びくん、びくんとカウパーを漏らし、獰猛な痙攣を繰り返す逸物に、ブーディカが息を呑んだ。

 火傷しそうなほどの熱を持った肉の塊が、彼女の中の雌を支配せんとばかりのばかりの威容を見せつけてくる。

 

(あ、あんなの……挿れられたらっ……♡)

 

 ごくり、と喉が鳴る。期待と恐怖がせめぎあう中、立香の手がブーディカの手と身体の間に差し込まれた。

 

「まっ、待っ……♡」

「待たないよ。ブーディカさん、約束したよね?」

 

 勝ったら俺の好きにしていい、って。立香の手が、震えるブーディカの膣めがけてペニスを構えた。

 

「イッたばかりだし、負担にならないようにゆっくり挿れるから」

「待っ……♡」

 

 ぬぢゅり、と音を立てて、肉の棒が膣口に触れる。

 

「待っ……てぇ……♡」

 

 宣言通り、立香はゆっくりと腰を突き出してきた。ブーディカの身体を、熱の塊がかき分けていく。

 

「だっ……めぇ……♡」

 

 ブーディカの手が、弱々しく立香の身体を押し返そうとする。だが、令呪による脱力がまだ効いている上、快楽に弱った体では、震える手を添えるだけが精いっぱいだ。

 

――ぐにゅにゅにゅにゅっ……♡

 

 ひだの一枚一枚が、壁の一辺一辺が、かき分ける肉の塊を知覚させる。ゆっくりと侵(・)略(・)する熱量に、否が応でも雌としての性感帯が掘り起こされていく。

 

「おっ……くぅっ……♡」

 

 みちみちと、熱の塊がブーディカの胎内を甘く炙る。熱が伝わるたびに、奥に眠るブーディカ自身の熱が、まるで活火山のように滾らせられる。

 ほんの数秒のストローク。だが、ブーディカ自身には何十倍もの時間に感じるそれは、立香のペニスが奥に突き当たったことで終わりを告げた。

 

「……奥まで入ったよ、ブーディカさ……ん……?」

 

 腰と腰を密着させた立香が、身体の下のブーディカを見た。

 ブーディカは、泣いていた。立香の下で、腕で顔を隠し、その隙間から涙がこぼれ、流れていく。歯を食いしばり、嗚咽を殺して彼女は泣いていた。

 

「お……願い……、もう……やめて……」

 

 それは強すぎる快楽に対する防衛本能か、あるいはまったく別の要因なのか。いずれにしろ、彼女は、立香に、哀願していた。

 

 その姿を見た立香の心臓が、ドクリと跳ね上がった。腹に形容しがたい不快感が盛り上がり、自(・)己(・)嫌(・)悪(・)と(・)自(・)身(・)に(・)対(・)す(・)る(・)憎(・)悪(・)に吐き気がこみ上げる。

 こみ上げるものに歯を食いしばって、堪える。ともすれば、大爆発しそうな感情を抑え込む。口から炎のように吹き出しそうになる憎悪を、噛み砕いて吐き気とともに飲み下す。

 

「……マスター?」

 

 涙の痕を残したブーディカが、立香を見上げる。

 立(・)香(・)の(・)瞳(・)は(・)、(・)光(・)が(・)戻(・)っ(・)て(・)い(・)た(・)。だが、その目は大きく見開かれ、こわばった顔からは強い後悔と、絶望が見え隠れしている。

 

(……! 今、マスターの目が……)

「マス……んむっ!?♡」

 

 その様子に声をかけようとしたブーディカの唇が、立香の唇に寄って塞がれた。ディープキスではなく、唇同士が啄むような軽いキス。そんな軽い刺激でも、ブーディカの身体は快楽を捉えてしまう。

 ちゅ、ちゅとキスの音。名残惜し気に唇が離れるときには、立香の瞳からまた光が失われていた。

 

(あ……)

「……ダメだよ、ブーディカさん。言ったよね、俺(・)の(・)好(・)き(・)に(・)す(・)る(・)って。だから……」

 

 ブ(・)ー(・)デ(・)ィ(・)カ(・)さ(・)ん(・)に(・)嫌(・)わ(・)れ(・)て(・)も(・)、(・)す(・)る(・)か(・)ら(・)。立香はそう宣言すると、止まっていた腰のストロークを再開した。

 

「ふっうんっ♡ まっ、マスター♡ まっ……んんっ♡」

 

 身をよじるブーディカの唇を再度塞ぎ、指と指を絡ませる。空いたもう片方の手を、切なげに震える彼女の胸へ。全体を優しく搾り上げ、乳輪をつまむ。

 言葉とは裏腹に、立香の動きはブーディカに負担をかけない優しい攻めだ。みっちりと詰まった肉の槍は彼女を貫いてはいたが、その腰の動きはブーディカの快楽のポイントを優しく擦り、強引さとは無縁な速度と力でゆっくりと押し分けて挿入されていく。

 胸への攻めも、痛みを伴う力で握りつぶされるようなことはなく、ゆったりとマッサージのようだ。時折乳輪や内部の乳首へ指がいき、びりっと強い刺激が背筋を昇っていく。

 気持ちいい。抵抗するかのように身をよじっていたブーディカであったが、立香の腕にくにゃりと力を抜いてされるままになっている。

 

「ふっ……あ、ん、んんっ♡」

 

 唇を離れた立香の舌が、頬をなぞり、首から桜色に染まった白い肌を通って、胸元へ。空いた乳輪の中へ舌を差し込まれると、ぬるりとした熱に指とは段違いの快楽が走る。

 

「んあああっ♡♡」

 

 びくりと身体を反らせるブーディカを支えながら、立香の腰の動きが力強さを増していく。スピードこそ変わらないものの、その動きは彼女にあることを理解させた。

 

(あ、マスター……イキそう、なんだ……♡)

 

 胎内で膨れる熱量が、彼女のこころとからだを蕩かしていく。熱に浮かされたのか、それとも優しく抱かれたのに絆されたのか。ブーディカにはわからない。

 だが、立香の精を受け止めることに、悪感情はない。最初こそ悲しみに始まり、困惑と驚愕に包まれた彼とのセックスではあったが、立香に抱かれて彼がレイプをしていない、ということは理解していた。

 

(優しいんだからなぁ、もう……♡)

 

 生前、散々に屈辱にまみれ、凌辱に晒された身だ。相手が自分を抱く時にどのような感情を抱いているか、それぐらいはわかる。立香のそれは間違いなく相手をいとおしむそれだ。

 なぜ立香が、彼自身を嫌ってほしいのかはわからない。だが、彼は恐らく義務でも使命感でもなく、自分(ブーディカ)を求めて抱いてくれているのだろう。それは恐らく、彼に抱かれた3人も同じはずだ。

 

「んんんんっ!♡」

 

 立香の亀頭が、下腹部の裏を捏ね上げる。感じるポイントを的確にえぐる。今やパンパンに張り詰めた立香のペニスが、ブーディカの胎内をぎちぎちと埋め尽くしていた。

 溶ける、熔ける融ける蕩かされる! 立香の熱量と、ブーディカの身体が、どろどろに溶融して混ざり合うかのような錯覚すら覚える快楽の波。

 

「イくよ、ブーディカさん。射精(だ)すよ、胎内で射精(だ)すからね」

「うんっ♡ いいよ、お姉さんの中にいっぱいだしていいからね♡」

 

 もとより、自分だけがイカされていた。お預け状態だった立香はそれほど我慢できなかったのだろう。それでも、立香はブーディカを最後まで感じさせるように腰を動かしていく。

 

(あ……これ♡ あたしも、もう一回……♡)

 

 高まる、高められる。あの浮遊感が、またブーディカの身体を包む。

 

「……くっうっっっ!」

――ブゴッ!ブリュリュリュッ!ゴブッブビュルルルルルルルゥ!!

「~~~~~っ♡♡♡♡」

 

 マグマのように噴き出す熱量が、ブーディカの胎内に溢れ。彼女を再度高みへと押し上げた。

 

 

 たっぷりと、数十秒。腰を密着させて、最奥への膣内射精。絶頂してもなお、立香(オトコ)を求めるブーディカの胎内(カラダ)は、渇いた喉を潤すように、恵みの精を飲み干していく。

 

「……っ♡」

 

 ペニスが引き抜かれる。襞の一枚一枚が名残惜しそうに吸い付き、尿道内の精液を飲み干して、ようやく抜けた。

 立香の熱に桜色に色づいたブーディカが、絶頂の終わりに大きく息を吐く。その表情は穏やかそのものだ。

 

「……」

 

 一方で、立香の表情は硬く強張っていた。床に零れた水たまりを処理し、汗や体液に濡れ、疲労で動けないブーディカを乾いたタオルで拭い、汚れたシーツを手早く片づける。

 端末を回収すると、立香は言葉少な気に部屋を去ろうとした。

 

「立(・)香(・)」

 

 名前で呼ばれ、びくりと肩を震わせる。

 

「大丈夫だよ、怖くないよ……あたしが言っていいのかわからないけど……あたし……たちは、君を守る。だから……」

「……ごめんなさい、おやすみなさい、ブーディカさん」

 

 立香は、それだけを言い残すと、静かに退出した。

 

「……フラれちゃった、か」

 

 後には、少し憂いた笑みを浮かべたブーディカが残された。だが、その表情は一瞬で掻き消えると、歴戦の勇士を思わせる鋭い表情に変わる。

 その脳裏に浮かぶのは、あの時の立香の表情。激しい後悔と絶望、そして瞳に光が宿った、あの表情。

 

(……ダ・ヴィンチに相談してみた方がいいかもね)

 

 彼女(……彼?)ならば、立香と肌を重ねている。何か知っているかもしれない。……とりあえずは明日までゆっくり休んでから。絶頂による快楽の余波でほとんど動けないブーディカはそう決めたのであった。

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 同時刻。

 立香は、自室に駆け込むように戻っていた。誰にも会わなかったのは彼にとって僥倖だった。顔面蒼白の彼を見れば、間違いなく詰問されていただろうから。

 開きかけた扉に体をねじ込むようにして転がり込むと、震える後ろ手でがちゃがちゃと鍵を何とか閉じる。

 そこまでが、限界だった。

 

「……っ……!」

 

 次の瞬間。彼は床に胃の内容物をすべてぶちまけていた。げぇげぇと、限界まで開いた喉が世にも不愉快な音を空間に叩きつける。

 胃の腑をひっくり返したかのように嘔吐した立香は、がたがたと震える自分の手に、親指の付け根に思い切り噛み付いた。

 

(分かっていたはずだ……)

 

 頭のどこかで、自分が囁く。脳裏に蘇(フラッシュバックす)る、ブーディカの涙。ま(・)た(・)自(・)分(・)が(・)傷(・)つ(・)け(・)て(・)し(・)ま(・)っ(・)た(・)という恐怖が、咬力を引き上げる。ぶちり、と肉が裂ける感触。激痛が走り、わずかに鉄の味が口に広がったことで、ようやく冷静さを得る。

 もう片手でこじ開ける様に口から手を離すと、だらりと咬傷の付いた手が垂れさがる。のろのろと床の吐瀉物を片付けると、備え付けの救急キットを取り出す。消毒薬と外傷用の湿潤テープを取り出すと、手早く消毒して傷口に貼り付ける。

 ズキズキと沁みる傷をごまかすように、紙袋から乱暴に薬瓶を取り出すと、ぐいと一息に飲み干した。

 

(決めていたはずだ、例(・)え(・)ど(・)う(・)な(・)っ(・)て(・)も(・)や(・)り(・)遂(・)げ(・)る(・)って……)

「俺(・)は(・)人(・)類(・)最(・)後(・)の(・)マ(・)ス(・)タ(・)ー(・)な(・)ん(・)だ(・)……!」

 

 立香は薬瓶を握りしめる。その瞳からは光が失われ、僅かに濁りがあふれ出していた。




ブーディカさんは生前から凌辱があったせいかなんか書くのに罪悪感が……。
次回はドレイク船長! 個人的にもっとエロがあってもいいと思う人です。






(感想があると元気が出ます)(超小声)
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