※この作品はR-18です。

時間よ止まれ   作:雨降り

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ちょっとした内容紹介。

いつものクソクオリティー、思い付きはご愛嬌。
ドッキリ系。微妙にエロい。グロい表現あり(主人公が誰かを殺したりとかじゃないです)。
かなり設定ぶっとんでる。あ、いつもか。
今回のエロは人選ぶかも。



スプラッターハウス

ここは白露型が集まるお部屋。

部屋の扉には『白露と愉快な妹たち』という札が掛けられている。

そしてその室内では、テーブルの周りに丸く集った白露型の艦娘たちが何やら話し合っている。

話題は提督がはまっているゲームについてだ。

 

「てーとくがさぁ、最近構ってくんないわけよ!そんでさ、その理由がさぁ…まさかのゲーム!」

 

「はぁ、提督も罰当たりだね…。僕たちみたいな可愛い娘に囲われてるっていうのにさ」

 

白露の言葉に時雨が「分かる分かる」と言わんばかりに同調する。そして時雨は、同じように頷いていた他の白露型にも目線を送りながら、言葉を続ける。

 

「てかさ、提督のやってるゲーム…スプラッ○ーゲームとか言ったっけ?…あんなの本当に面白いのかね?」

 

「提督さん、まあまあ年取ってるっぽい!だからああいうゲームの方が似合うって、夕立は思うの!」

 

「ゲームばっかり…司令官、仕事ちゃんとしてんのかなぁ?」

 

思い思いの言葉を口にする彼女たちだったが、何やら一人スマホを弄っていた村雨が唐突に叫んだ。

 

「……うえぇ!こんなクソゲーやってるんだぁ~!ただのグロの力押しじゃん!」

 

村雨が「見てみなよ!」と言ってスマホを差し出したので、皆はそれを覗き込むようにする。そこには何やらゲームの実況動画らしき映像が映されていた。

 

そして気が付いた。

 

どうやらこの映像のゲーム。これこそが提督がはまっているスプラッ○ーハウスというゲームらしいのだ。

内容はマスクを付けた男が気味の悪いモンスターを薙ぎ倒していくというものらしいのだが、まぁ古いゲームらしくグラフィックがまぁひどい。

 

「レトロっぽい?うわぁww」

 

「うっわぁ~!古くさっ!提督こんなのにはまってんだぁ、受けるんだけどwww」

 

「…プフッ、提督……ダサい…ww」

 

「ちょっ、山風!今更ぁ!?僕はもっと前から知ってたけどww」

 

こんなグラフィックがグチャグチャのレトロゲームにはまっている提督があまりに滑稽で、笑いを堪えきれず吹き出す。

そして一頻り嗤うと、一人が思い付いたように言った。

 

「ねぇ、面白いことしない?」

 

その言葉に残りの五人は「なになに~?」と興味津々な表情を覗かせ、その言い出しっぺの次の言葉を待った。

 

「…フフ、それはねぇ」

 

コソコソと話す六人。

そしてその話が終わった頃、一斉にあげられた顔は一様に同じ表情を見せていた。

ニヤニヤといたずらっぽい笑みを浮かべた白露型。

 

「…じゃあさ、早速明石さんと青葉さんに協力してもらわないとね!」

 

「…?明石さんは分かるけど、青葉さんはなんでっぽい?」

 

「…あぁ、カメラだね?なるほどww提督の間抜け面を画像に収めるわけかww」

 

「うわぁww悪趣味ww」

 

「よーしww提督にちょっとオイタしちゃおっかww」

 

「「おぉーー!!!」」

 

部屋にはとんでもないイタズラを敢行することで一致団結した白露型の声が響き渡った。

 

◇

 

数日後。

 

この鎮守府の提督は、執拗に外出を迫る白露に促され、近くの山林へと赴いていた。

 

「白露、こんなところまで連れてきて…一体なにが…」

 

そこまで言うと彼は後頭部に衝撃を受け、そのまま意識を失った。彼の身に何が起きたのだろうか?

理由は明快。後ろから近付いて来た時雨と春雨が振り下ろした鉄パイプが彼の頭にヒットしたのだ。

 

「よーし、運ぶよー!」

 

そして白露の声を合図に三人に抱えられた彼の体は、山林の奥深くに鎮座する廃墟へと運ばれることになった。

ちなみにこの廃墟は、その昔ものすごい豪華絢爛な洋館として有名だったらしい(青葉調べ)。

 

◇

 

「うーん、ここは…?」

 

提督が目覚めると、そこは見知らぬ場所だった。

こじんまりとした部屋のようだが、壁の至るところには気味の悪い染みが沢山ついている。そしてカビ臭い。

ぼんやりと青白い照明が彼の居る場所を不気味に照らしているのだが、どうやら埃まみれのベッドに寝かされていたようだ。彼はおもむろに上体を起こし、軋むベッドから飛び下りると、窓辺に近付く。

 

「…なっ!?もう、夜なのか?」

 

彼は驚いた。

白露と山林を歩いていた時はまだ太陽が照っていたというのに、今は暗闇に真っ青な月が浮かんでいる。

 

「…そう言えば、白露は?」

 

辺りを見回しても誰もいない。

彼は意識が途絶えるまで側にいた彼女の行方を探す為、その部屋を出ることにした。

 

◇

 

「…明石!?お前、明石か!?一体どうした?」

 

「う、うぅ…提督」

 

どこまでも続いているような長い廊下を突き進んでいた彼の目の前に突如として現れたのは、彼の鎮守府に所属している艦娘…明石だった。

ところどころ傷ついた彼女を優しく抱き寄せると一体何があったのか訪ねようと彼は口を開こうとしたが、それを制するように明石が先に喋りだした。

 

「て、提督!ここは鎮守府、チンジュフです。し、しかし謎の敵の攻撃を受け、廃墟と化してしまいました。ああ、悲しい。それでですねー、孤軍奮闘していた白露型の皆さんがですね、敵に捕まったらしいんですよ?なんで、助けてあげてください。お願いします」

 

「すんごい棒読みなんだけど… 」

 

…かなり早口で捲し立てるように彼女は言うと、急に白い煙が廊下に充満し始めた。そして煙がはれた時には、抱き寄せていたはずの明石の姿はどこにもなかった。

 

「い、一体何が?」

 

彼は鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしていた。

 

後に明石は語った。

 

「いやー、台詞はちゃんと覚えてたんですけどね!提督が抱き寄せるもんだから、焦っちゃったんですよ、いやはや面目ない!」

 

◇

 

とりあえず彼は明石の言葉を信じるか信じないかは別として、この状況は異常事態と判断し、探索を続けることにした。

そしてまずたどり着いたのは、足を踏み出せば甲高い金属音が軋む螺旋階段だ。

 

「慎重に行かねばな…」

 

彼が足を踏み外さないように螺旋階段を下り始めると、どこからともなく恐ろしい唸り声が聞こえた気がした。

 

「オァ ア ア ア ァ ァ ァ ァ ァ ア!!!」

 

耳を澄ましていた彼の鼓膜に届いたのは、おどろおどろしい声。そしてその声は彼が今下り降りている螺旋階段の下から聞こえているようで、さらにどんどん駆け上がって来ているのか、足音と共に甲高い金属音が何度も軋んだ。

 

そして彼が目にしたのは……青白い照明に照らされて、その不気味さを最高潮にした皮膚の焼け爛れた化け物の姿だった。手を前に突き出しているのだが、なぜかその手からは何かが垂れ下がっているようで、ブラーンブラーンと揺れている。

そしてそれが皮膚だと分かった時には、その化け物は彼の目と鼻の先まで近付いて来ていた。

髪が緑色なのは、腐乱しているからだろうか。

彼はそんなことを思いながら、どうやってこの状況を乗り越えるかを考えていた。

 

「ヴ ァ ア ア ア ア ア ! ! !」

 

一心不乱に緑色の髪を揺らしながら、その化け物は彼の腕を掴もうと動き出す。

だが如何せん背が小さい化け物なので、彼が軽くいなすとその化け物はジタバタしている内に転んでしまった。

 

それを好機とばかりに彼は何とか化け物を倒そうと自分のポケット探ると、ありましたありました!

 

パンパカパーン!!!

 

「ローションンンン!!!」

 

…この前、酒保で買ったカプセル式ローションという商品が運良く彼のポケットに入っていた。ちなみにどういう商品なのかというと、携帯電話くらいのサイズの小型カプセルにベチョベチョのローションがたんまり(容量は四次元式だ。カプセルのサイズに似合わず大量のローションが入っている)入っている。

そのカプセルを開くと、彼は思いっきり化け物にローションを浴びせかけた。

 

「…ひゃあっ!!!」

 

化け物にしては可愛らしい悲鳴だと彼は感じたが、そのローションに足をとられている内に、彼は化け物の体に何か弱点はないものかとその体を弄くり回すことにした。爛れた皮膚が手にまとわりついたが彼は構わずその体をまさぐり続ける。

 

「……ないのか?いいや!あるはずなんだどこかに!どこかにあるはずなんだ、弱点が!!!」

 

彼は必死に探した。

必死の形相で化け物の体を触り続けたのだ。

 

「んんんんんんんんッ!?」

 

先程からこの華奢な化け物の胸部らしき部分を触り続けているのだが、化け物の息が荒々しくなってきている。

 

ま、まさか!?ここが弱点なのか!!?

 

いや、考えるな!

 

もうやるしかない!!!

 

彼は化け物の胸部、とくに脂肪の集まりなのだろうか突起部分を強く揉み続けることにした。

 

俺は、俺は生きて帰るんだ!!!

 

「あ、ああああッッ!!!」

 

「や、やめひぇええええ!!!!」

 

化け物が苦しがっている。今だ!今が正念場だ!

 

彼はトドメをささんと言わんばかりに力強く突起物を揉んだ。

 

「て、てぇ、ていとくうッ!!んんッ!!ゆ、ゆるしてぇ!!!」

 

なっ!?

 

提督、だと!?

 

そこで初めて彼は気が付いた。

自分を呼びながら許しを請い続けるその化け物の正体、それは彼の鎮守府に所属する艦娘…山風だったのだ。

そしてピクピクと体を痙攣させながら彼女ら目を閉じてしまった。

 

そして彼は悟った。

 

ああ、そうか。

スプラッ○ーハウスと一緒だ。恋人がゲームの最後に化け物になってしまうように、自分の愛する艦娘たちもまた化け物になってしまったのだと。

この異様な空間。間違いないのだと。

彼は優しく山風の体を抱き締めると、そっと呟いた。

 

「…安らかに眠れ、山風」

 

彼は覚悟した。きっと化け物と化した仲間は他にもいるのだろう。彼は力強く立ち上がるとその場を後にした。

 

「…ZZZ」

 

◇

 

螺旋階段をやっとのことで降り、しばらく進むと彼は中庭のようなところに出た。

風が吹くと中庭に生えた木々のざわめきが煩い。

そしてザアザアと葉っぱの擦れる音の中に獣の咆哮が聞こえたと思った時には、彼の目の前に巨大な尻尾を揺らし、緋色の眼を爛々と耀かせた狼の化け物が立っていたのだ。

 

「ヴ ヴ ヴ ウ ウ ウ ウ ウ!!」

 

唸り声を挙げながら迫る化け狼。それは引っ掻かれたらひとたまりもない黒い爪を地面に這わせながら、ゆっくりと彼に近付いてくる。

だが、彼は分かっていた。この狼の化け物はかつての仲間だ。ゆえにその名を大声で呼んだ。

 

「夕立!」

 

「…ぽいっ!?」

 

彼は確信した。

そして同時に胸を痛めた。やはり大事な仲間たちは、何らかの方法で化け物にされてしまったようだ。

 

ならば!

 

せめて!

 

この俺が!!

 

引導を渡してやろうではないか!!!

 

彼はポケットに入っていたカプセル式ローションを取り出すと、かつての夕立だった者の成れの果てへと突っ込んでいく。そして突っ込まれた獣の化け物はその行動が想定外だったようで、思わず後退りしたが、さすがはかつての夕立さん。

すんでのところで彼の攻撃を避けると、体勢を立て直す。

 

「…ぽ、ぽい~」

 

彼の様子を伺っているのか、化け物はヨツンヴァインになると体を震わしている。

そしてその彼はというと、接近戦では分が悪いと思ったようで、何か別の作戦はないかと頭を捻っていた。

だがカプセル式ローションしか持ち得ない彼にとって、この状況を打開するのは難しいだろう。でも思考を止めてはならない、止めれば死あるのみだ。

 

…まずはこの広大なフィールドではヤツの思う壺だ。ほれならッ!

 

「こっちだ!付いてこい!」

 

彼は今来た道を後戻りし、螺旋階段の方まで誘う。

狭い空間の方が戦い易いと感じたのだ。

 

「あ、待つっぽい!」

 

…どうやら化け物は誘いに乗ったらしい。

追い掛けてくる捕食者に捕まらぬよう一定の距離を保ちながら彼は走る。

そして彼はすぐさま螺旋階段へと登ると、残り少ないカプセル式ローションを開け、階段にローションを流した。チョロチョロと階段を流れるローション。

 

「提督さん、鬼ごっこをするっぽい?」

 

…なんと惨いことだと彼は思った。

今や屍と化した夕立の口調を真似して、自分を誘うとはなんと狡猾な化け物なのだろうと。

そしてそのまま化け物は階段を登ろうとして、ローションに足をとられスッ転んだ。

 

そしてひっくりかえって露になった化け物の腹部にすぐに飛び掛かると彼は最後のローションを腹部に浴びせ掛け、必死でそこを撫でまくる。

 

「て、提督さんッ!!?な、なにするっぽい!?」

 

「うおぉぉぉ!悪霊退散!悪霊退散!!!」

 

彼は昔飼っていた犬の腹を撫でるかのように、必死にでも優しさを忘れずに撫でまくった。

 

「あ、あううぅぅッ!!!」

 

「て、てぇとくさんッ!お、おふざけが…あ、おふざけが過ぎる…ッぽいッ!?」

 

身を縮こませ、特に腹部は痙攣しているのかブルブルと小刻みに震えている。

 

夕立、今楽にしてやるからな!!!

 

「あッ!ひゃあああぁぁぁぁんんッ!!!」

 

「だ、だめぇ!!ダメッぽいィィィィッ!!」

 

「や、やめてええぇ!てぇとくさ、んッ!」

 

「んああああああぁぁぁぁぁッッッッ!!」

 

…そのままかつての夕立だった者は沈黙した。

彼は静かに合唱するとそのまま螺旋階段、中庭を抜け、次の場所へと向かって行った。

 

◇

 

彼が次に踏み入れた場所はおそらく大広間と呼ばれるようなところだ。蜘蛛の巣が張られたシャンデリアが天井に幾つもぶら下がる一方で、洋式造りの壁は廃れた今でもその荘厳さを失っていないようだった。

 

特に何者かの気配は感じない。

 

なので早足にこの場を去ろうとする彼だったが、彼の耳に何かが蠢く音、そして巨大な羽音が聞こえた。

 

それはどんどん彼に近付いて来たかと思えば、突如としてシャンデリアが光を灯し、辺りが明るく照らされた。

一瞬眩い光に眼を眩ました彼だったが、次第に目が慣れてくると、彼の目の前に何かがいるようだった。

 

そして彼は息を飲んだ。

 

「やっほー!てーとくう!!村雨だよぉ!」

 

「し れ い か ん!みーつけた!!」

 

彼の目の前には、巨大な昆虫の羽を背中から生やした女の子とまるで蜘蛛のように細長い足を背中から何本も生やした女の子が立っていた。

そして彼を見ると、ニタァと嗤う姿はその外見に劣らずおぞましい。

 

彼は涙した。

 

だが恐怖からではない。彼は悲しかったのだ。

どうやら化け物となった艦娘はその意識がないにも関わらず、生前と変わらぬ声で話し、たち振る舞うようだ。

彼は悲しんだ、本当に悲しんだ。

そしてかつての仲間をこんな風にしてしまった原因を絶対に突き止めようと心に誓うのだった。

 

「てーとくぅ!村雨のこと怖くないのー?」

 

「司令官?春雨は可愛いですか?」

 

彼は化け物のあまりにひどい仕打ちに怒りに震えた。

死体を使って…こんなひどいことを言わせるなど言語道断だったのだ。

 

絶対に眠らしてやろう。

 

「あーあ、怖くて身動きとれないんだぁwwてーとく、かーあいいよぉ!」

 

羽を羽ばたかせ、彼の元へと近付く昆虫の化け物は、彼の耳元でわざとらしく羽音を鳴らした。

 

ちなみにこの時昆虫の化け物もとい村雨は思っていた。

 

(フフ、提督ったら怖くて声も出ないみたいwwさすがに可哀想な気もするけど、もうちょっと虐めてからネタバラシでいいやwww!ほーら、やってる村雨自身も気持ち悪いけどこの気味の悪い羽音を聞きなさーいww)

 

だが彼はまさかの行動に出たのだ。

彼は化け物(以下村雨)のまあまあ豊満な胸を鷲掴みにすると、乱暴に揉みしだいた。

 

「え?え、えええぇぇぇぇぇ!!!!」

 

思わず村雨は後退するが、彼もまたそのまま前進してくるので結局胸を揉まれ続ける。

 

「ちょ、ちょっと!?提督?村雨怒るよ!?」

 

この時彼は思っていた。

 

な、なに!?

 

この化け物、胸部が弱点ではないのか?

 

なるほど。敵も徐々に一筋縄ではいかなくなっているのだな…と。

 

そして一旦村雨から距離をとろうと後退りした彼は小石に躓き、倒れそうになった。

 

「て、提督!危ない!!!」

 

転倒しそうになる彼を支えようと村雨は手を伸ばし、その手を掴んだが結局二人は倒れてしまう。

 

「ーッ!」

 

…どうやら村雨は膝を擦りむいてしまったようだ。

だが村雨はその主旨を忘れ、彼に問いかけていた。

 

「提督、怪我はない?大丈夫?」

 

心配そうな顔付きで彼を見つめる村雨。

だが彼はすぐに立ち上がると、彼女から距離をとった。

 

「…あ」

 

思わず手を伸ばす。

だがこんな格好(昆虫の羽が背中から生えてる)なのだ、彼が逃げるのも無理もないだろう。

そう思い直すと彼女は再び彼を驚かそうと、目元を乱暴に拭って立ち上がる。

 

そんなことは露知らず。

彼は大広間を見渡し、次の一手を考える。そして気が付いた。どうやら大広間の隅にキッチンらしきものがある。彼はそこへ走ると、あるものを探した。そして目当てのものを手に取ると、素早くポケットにしまいこむ。

 

そして羽屍○と化した村雨に向かって走り出す。

 

「てーとくぅ!さっきはよくも…!」

 

ギュッ!

 

村雨は声が出なかった。

それは驚いたからだ。村雨の体は今、彼に力強く抱き締められている。まるで恋人のように、彼は村雨を抱き締めた。

 

「…て、てぇとくぅ」

 

村雨は後悔していた。

提督をドッキリに嵌め、その困った顔を写真におさめようとした自分を恥じていた。

だから言おうとした。

 

ごめんなさい。

 

その一言を言わなければ、彼に抱き締めてもらう資格がないと彼女は思ったのだ。

そして謝罪を口にしようとしたその時。

 

「傷口に塩を塗り込んでやるZE!」

 

彼は素早く塩をポケットから取り出すと、大量に掌に塩を盛ったかと思えば、先程村雨の膝に出来た擦り傷にそれを塗り込む。

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」

 

村雨は悶絶した。

 

◇

 

この光景を目の当たりにしていた春雨は恐怖に震えていた。

おかしな話だ。

自分は背中から蜘蛛の足を生やした化け物…いや本当に化け物ってわけではないけど、相手の恐怖は想像に容易いはずだった。なのに、今は自分の方が司令官に恐怖してしまっている。

 

村雨と先程まで「どっちが大きな悲鳴を出させられるか競争ね!」と言っていたのが懐かしい。

 

そして倒れた村雨の体がピクピクとしているのを眺めながら、春雨は自分もああなるのかと悟ったような表情を見せる。だが気が付いた。自分はどこにも傷を負っていないじゃないか、それなら…。

 

逃げられる!

 

春雨は彼に背を向け、全力で走り出した。

 

いやだ!いやだいやだ!!

 

まだ、まだ○にたくないッ!

 

だが悲しいものだ。

自身の背中から生えた蜘蛛の足に引っ掛かって、そのまま前のめりに倒れ込むと、見事なまでのスライディングをみせる春雨。

 

「…う、うぁあ」

 

それでも。それでもなんとか這って。

ほふく前進の要領で、少しでも前へと進む春雨。

 

そして小柄な彼女の体を黒い影が包み込む。

 

首だけ後ろを振り向けば、じっーとこちらを見つめる司令官の姿が。手には塩の入った小瓶を持っている。

 

春雨は涙混じりに、張り裂けそうな声で叫んだ。

 

「し、司令官!ごめんなさい!!ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!!司令官のこと騙してごめんなさい!司令官のこと馬鹿にしてごめんなさい!本当にごめんなさい!許してぇ!!!」

 

「あ、ああああーッ!!司令官、なんでも言うこと聞きます!!司令官と一緒にスプラッ○ーハウスのゲームやります!もうレトロゲームのこと馬鹿にしません!お願いします!許してぐだざい!なんでもしますからぁ!」

 

ん?

 

今、なんでもするって言ったよね?

 

愚かな化け物にー鉄槌を!

 

「い、嫌!こ、来ないでぇ!!!」

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」

 

◇

 

「来ないなぁ、提督!早くおどかしてやりたいなぁ!」

 

ワクワクとした表情を浮かべ、今か今かとその来訪者が目の前の扉を開けるのを待っている少女。

彼女は血で真っ赤になったナース服を纏い、その手には大きな鉈が握られている。

 

「あ、もしかして他の皆におどかされて気絶しちゃったのかなぁww」

 

いたずらっぽく笑みを見せる彼女は、退屈そうに伸びをすると、一度部屋を出ようと歩みだした。

 

だが。

 

「らっしああああぁぁぁぁぁぁい!!!」

 

「う、うわあああああぁぁぁぁ!!!!」

 

部屋に転がり込んできたのは、待ちに待った待望の人。

少女は一瞬驚いてしまったことを失態だと思ったが、すぐに気持ちを切り替えて鉈を振り回しながらその人物に迫ることにした。しかも普通に歩いては恐怖感を与えられないと、以前無料動画サイトで見たカクカク動く看護服のお化けを真似して、彼に迫ることにした。

 

「フ フ フ!提督~!僕だよ~!!!」

 

ニタァと嗤いながら、大きく鉈を振り上げる。きっと彼はあまりの恐怖に竦み上がっているのだろう…何も発せず少女の顔を見つめている。

 

だけどその鉈を大きく振り上げたのは間違いだった。

彼は恐怖を感じてなどいなかったのだ、大きな隙を見せた少女にタックルをすると、そのまま押し倒す。

 

「…いったあッ!!!」

 

背中を強くぶつけた少女は、のたうち回ろうと体を捻るが、彼がその体に跨がっているのでただ苦悶の表情を浮かべることしか出来ない。

 

だが彼は容赦なく、その少女(彼は化け物だと思ってる)に鉄槌を下そうとする。

 

「化け物よ、大人しく眠ってくれ」

 

するとその男は何かを振りかざそうと手を高く挙げる。

少女は気が付いた。

 

…あれ!?鉈は!?どこいった!?

 

そして脳を過るのは最悪の事態。

突然消えた鉈、振り上げられた手、よく見えないが何かが握られているようだ。

 

この状況、かなりヤバイのでは?

 

彼女は血の気が引いた。そして恐怖で体が震えだす。

 

「て、提督!ま、待ってよぉ!僕だよ、僕!時雨なんだよぉ!」

 

何とか絞り出した震える声に返答はない。

 

「ま、待って!!待ってください!や、やめてえ!!」

 

涙が零れ落ち、どんどん霞んでいく視界。

 

「や、やだあああぁぁぁ!ごめんなさい!!」

 

「ごめんなさい!許してよぉ!!提督ッ!」

 

必死で謝罪を口にする時雨に、男の手に握られた黒い物体が降り降ろされる。それを間近で直に見ることになった者は、絶叫した。

 

「いやあああああああぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

カポッ!

 

時雨の鼻の頭に押し当てられたのは、彼の靴だった。

何が起きたのか分からず、眼を丸くする時雨に彼は言った。

 

「…さらばだ。かつての友よ」

 

「……エンッ!?」

 

時雨は忘れていた。

迫る死に怯えるあまり、感覚が麻痺していた彼女だったが、安心感が出てきたのと同時に鼻をつく強烈な臭い。

 

時雨は失神した。

 

◇

 

「あ、提督!良かった、来てくれたんだ!」

 

「白露!」

 

彼が最後にたどり着いたのは、怪しげにネオンの光が灯るベッドルームだった。

そして古びたベッドの上に体育座りをしている白露を見つけ、駆け寄ろうとしたのだが、彼女はそれを手で制する。それを訝しげな表情で見つめる彼だったが…。

 

彼女の口からは残酷な現実が突き付けられた。

 

「ごめんね、提督。あたし、もう限界みたいなの」

 

「…どういうことだ?」

 

「…んんッ!そ、それはねぇ……こういうことだよぉぉぉ!!!」

 

「…!?」

 

白露が大きな声で叫んだかと思えば、彼女の体が光り始め、瞬く間に白い肌がズブズブと爛れた肌へと変貌を遂げ、まるでゾンビの様な姿へと変わる。

 

顔もドロドロと溶け出し、以前の可憐な顔は見る影もない。そして首をガクガクと震わせ、ゆっくりと彼に迫る姿はまさに筆舌に尽くし難い。

 

だがこの時の白露の心境としては…。

 

(やっぱり最高のモンスターといったら、誰が何と言おうとゾンビよね!それこそゲームでは雑魚キャラとされるゾンビだけど…普通に考えて、腐乱した屍が迫ってきたらビビるに決まってるじゃないの!えへへwごめんねぇww!てぇとくww)

 

内心ほくそ笑む白露だった。

 

しかしこの場所は、あまりにお膳立てされすぎというかなんというか…彼女は大きなミスを犯した。

 

それは二つある。

 

一つは、ヤベエ奴をドッキリにかけてしまったこと。

 

そしてもう一つは…。

 

ここがベッドルームだったことだ。

 

「てぇ~と~く~ぅ~!!!」

 

ゆっくりと彼に迫る白露はいつ彼が泣き出すのか、恐怖に怯えるのか楽しみにしていた。

 

だが俯いてしまっているのでその表情を拝むことが出来ない。なので白露は顔を上げさせようと、彼の肩を掴もうとしたまさにその時だった。

 

「てぇ……ッ!?!?ん、んんーーッ!!!」

 

白露の言葉が続かなかった理由。

それは簡単だ。彼女の口に覆い被さるようにして彼の唇が重なっているのだから。

 

突然のことに大パニックになる白露。

 

そしてなんとか彼を押し退けると、口をパクパクとさせている。その顔は紅潮し、沸騰しているようだ。

 

そんな彼女に彼は声を掛ける。

 

「…もはや残された武器は己の体のみ!IKUZO!」

 

形勢逆転。一転攻勢。

 

ジリジリと寄ってくる人間に、怯えるゾンビ。

 

「…あ、あの、あのぉ……」

 

白露はブルブルと震える体を必死でさすりながら、口を開く。

 

「て、提督、これはドッキリで……」

 

「な、なんで近付いてくるの…?」

 

「や、やだな~!提督ぅww冗談だよ冗談w」

 

「あ…えっとぉ、ほ、ほら!見てよこの体!」

 

「こんな体なのに抱けるの!?無理でしょ!?」

 

「………」

 

「…え?白露ならイケる?」

 

「……ウソ」

 

「…あ、あの!」

 

「ふ、不束者ですが…」

 

「どうぞよろしくお願いします」

 

その後、廃墟の一室で喘ぎ声が響き渡ったとかどうとか、ことの真相は闇の中である。




なんだこれは、たまげたなぁ。

※明石さんがいろいろとドッキリの用意をしてくれました。化け物への変身セットなど。

明石は何でも作れる。

つまり明石はド○えもんだった……?

Q E D

次の内容についてアンケートを取りたいと思います。お気軽にご参加下さい。※話が出来るのはいつになるか未定です。作品が前後する場合もあります。エロか非エロになるかはこちらで決めます。思ってたのと違う…ってのはご容赦下さい。

  • 朝霜が鎮守府の皆に嫌われている話。
  • 瑞鶴が提督を爆撃して殺してしまう話。
  • 霞がYoutuberになる話。
  • 潮がグレる話。
  • 五十鈴が牧場へ遊びに行く話。
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