※この作品はR-18です。

東方恋焦れ   作:サバ缶みそ味

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 R18なのにえっちい事が書けない‥‥でもエロくしたい
 まだまだえっちく絡み合うシーンは先になりそうです
 本当に申し訳ない(メタルマン風


3幕 毒の香

「つ、疲れたぁ‥‥」

 

 私は溜まりに溜まった疲れとやっと解放されたことの安堵のため息を大きくついた。

 

 私、妖怪の山の鴉天狗が姫海棠はたてはヘロヘロになりながら妖怪の山へと戻ろうと飛んでいた。

 

 数日前からだろうか、守矢神社から私達妖怪の山の天狗に助けを求めてきた。

 彼女達が助けを求めてきたという事は余程の事態でも起こっているのかと来てみれば大量の人で溢れ、神輿や出店やらで騒がしく賑わう守矢神社。守矢神社の柱神がひとり、八坂神奈子が言うには守矢神社で豊穣祭が行われ、唯一のこの神社の巫女である早苗一人だけでは対処しきれいない状況になっていると、人手が足りないので手伝ってくれとのことだった。

 

 おかげで私達天狗は正装である装束を着て、絵馬や何かよく分からない御利益のあるお守りの販売やお酒の席に出されたり、出店の食材を買い出しに出されたり、何故か舞いを舞わされたりと朝昼晩休むことなく手伝わされた。一昨日くらいにひょこっとやって来た萃香の話によると人里の村もやんややんやのお祭り騒ぎだとか。

 

 この装束を着ているせいか参拝客には大好評で、更に守矢神社に参拝する人達が押し寄せてきた。酔っ払いのおじいちゃんとかおじさんとか何かいやらしい目で見てくる人が多かったわー‥‥

 

 私はやったことがないのに舞いを躍らされヘトヘト。疲労困憊だった私に文が交代してくれて助かったわー‥‥豊穣祭とやらが終わったら何か奢ってあげなきゃ、文には感謝しないとね

 

 そしてやっと休憩できる時間が手に入れたので隙を見て守矢神社から脱出。今はこうして同僚に見つからないように妖怪の山にある私の家へと帰ろうとしているところ。

 

 あーもう汗でべとべと。帰って水浴びして、お酒飲んで、早く寝たーい‥‥って、あっちに飛んで来てるのって白狼天狗の犬走椛じゃないの!?

 他にも白狼天狗の面々もいるし‥‥彼女達も守矢神社へと来るみたい。鴉天狗だけじゃ手に負えない状況になって来たから白狼天狗までも応援に呼ばれた、としか思えないわ‥‥って冷静に分析してる場合じゃないわ!

 

 ここで椛に見つかったら抜け出したのがバレるし‥‥だからと言って誤魔化すこともできないし、ああもう!このままだと連れ戻されてタダ働きよ‼

 

 

 私は疲労で頭が回らず、その場でアタフタと狼狽える

 

 

 何か、何かいい手はないのか

 

 

 

 あ、そうだ‥‥‥あいつの所へ行けばいいじゃない!あそこなら他の天狗達もむやみやたらとやってこないしね!

 

 

 そうと決まれば善は急げ、私は家とは違う方角へと飛んだ。向かう先は妖怪の山の奥にある渓流。あいつの家、あいつのアトリエへ‥‥!

 

 

 

 

「あれ?椛先輩、あれって花果子念報新聞の姫海棠はたてさんじゃないっすか?どこ行くんすかねー?」

「さあ、たぶんサボりじゃないですか?後で文さんにチクっときましょう」

 

___

 

 

 ふぅ、なんとかバレずに上手く撒けたわね。

 

 辿り着いた場所は妖怪の山奥地にある渓流。静かに流れる渓流、土や石にもびっしりと覆う苔による緑の絨毯のような足場、新緑に覆われた森林とこの場所は静かだ。よくわかんないけど溜まった疲れが消えて、穏やかな気分にんわるわー

 

 川のせせらぎと鳥のさえずりと風で葉がこすれる音しか響かない渓流を登っていくと見えてきた。あちこちに岩肌が剝き出した場所に佇む苔むした茅葺屋根の大きな家。

 すぐ近くには小さな滝が流れている場所もあって眺めもいい。夏には鮎を釣れ、秋に深まればあちこちの木々が紅葉に染まって見栄えもいい。

 

 漸く辿り着いて一息入れてさっそく扉を開けてお邪魔しまーす。

 

 え?勝手に入っていいのかって?心配ご無用、私はあいつとの仲だし勝手に入っても怒られはしない。

 

 ただ、邪魔しなければの話だけど

 

 あいつは絵師。肖像画然り風景画然り、毎日この家で絵を描いているのだ。

 一筋一筋、一色一色に集中して丹念に慎重に描いていく。一発本番なので失敗は許されない。

 

 その時は音や声を出してはいけないし騒いではいけない。気が逸れて絵が失敗してしまう。絵の邪魔をした者には容赦ない。一度お酒に酔って騒いだ時はマジで殺されるかと思った。

 

 だから妖怪の山から落ち着いて絵が描ける静かな場所に移り住んできたのだ。たぶん今日も絵を描いてるんだろうなー‥‥慎重に静かにあいつの様子を伺いに行こう。

 

 奥の間にはいない‥‥ということは今日は縁側で風景画でも描いてるのかなー?廊下を通って、縁側のある場所へと行けば‥‥いたいた。

 

 文鎮を置いて和紙に筆で色を付けて描いているあいつが。白と青の模様の入った着物を着た黒いのツンツン頭で絵描きになると私が来てることも全く気付かないあいつ。

 背中には青緑色の翼がある。珍しくて綺麗な羽だと思って無暗に触れてはいけない。あいつの羽には毒があるのだ。羽に毒が塗られているだけでなく、羽ばたくと毒の香をも放つ。だから天狗も他の妖怪もむやみやたらと近づこうとはしない。

 今はあいつの能力『致死量を操る程度の能力』で無毒の状態。致死量を調節することであいつの毒の羽根や毒の香はただ癒すだけの無害な物から良薬になり、劇毒になり、時として媚薬にもなる。

 

 ふわりとあいつは翼を動かした。静かに翼をはばたかせるだけで仄かにいい香りが漂い鼻にも入る。

 

 あぁ‥‥いい香り‥‥あ、やば、くしゃみでそう‥‥へ、へ‥‥へっ

 

 

「…へくしっ‼」

 

思わずくしゃみが出てしまった。その瞬間、ビッとあいつの筆がずれびしりと体を硬直させた。

 

 

 あ、やば‥‥

 

 あいつはわなわなと体を震わせ、ゆっくりとこちらへ振り向く。長い眉毛に鋭い目つき、猛禽類のように睨む視線からしてめっちゃくちゃ怒ってる。

 

 

「はぁぁぁぁぁたぁぁぁぁぁてぇぇぇぇぇぇ‥‥‼」

「ひゃ、ひゃあああ‼ご、ごめんなさぁぁぁい‼」

 

 

 どたどたと広い部屋の中で私はあいつに追われつつ逃げまわった

 

 

「ったく、てめえがくしゃみしたせいでカワセミが逃げちまったじゃねえか」

 

 逃げ回ること数分、観念したあいつはプンスカと怒りながら未完成の絵を渡しに押し付けた。外の竹の柵に一羽の青いカワセミがとまっている絵だ。未完成というが何処をどう見ても完成しているように見えるが本人曰く細部まで描けていないとの事。

 

「ご、ごめんって。今度念写したもの渡すからさ」

「だから目に見えるもんじゃねえと意味がねえつってんだろ。まあ一応貰っとくけどよ」

 

 念写して写したものはちゃんともらってちゃんと描いてくれるくせに、素直じゃないんだから。

 

 言い忘れてた、彼の名前は雲日ぜん。鳥の妖怪の中で唯一毒を持つと言われている妖鳥、鴆という妖怪である。ぜんはむすっとした様子でそそくさと絵具を片付けていく。

 

「随分と絵を取りに来るの遅かったじゃねえか。俺の絵がもう必要がねえと思っちまったぜ」

「むぅ‥‥」

 

 私の新聞、花果子念報新聞はぜんに協力してもらってぜんが描いた絵を記事にし続けているのだ。写真じゃ文の写真や文々。新聞に劣る、だから対抗して私の写真とぜんの絵を載せている。

 

 おかげで花果子念報新聞はそこそこ名が売れ、私が監修したぜんの絵集も出版してみると更に花果子念報の名が売れた。でも売れたのはぜんの絵のおかげ、彼が協力してくれなかったら只管家に引きこもって念写をし続けていただろう。

 

「‥‥そんなことないし、ぜんの絵はもっともっと必要だし‥‥」

「‥‥わーった、悪かった。ちょっと弄っただけだ。今後この先も協力すんのはお前の新聞だけだ」

 

 ぜんはぶっきらぼうに私の頭をわしゃわしゃして撫でてきた。強引で力強く撫でてくるけど優しさを感じられる。

 

「べ、べつにしょげてないもん‥‥私の為にもっと利用してやるんだから」

「へいへいっと、つかなんで正装なんだ?妖怪の山で何かあったのか?」

 

 ぜんは物珍しそうにまじまじと私の装束を注視してきた。太ももから腰、お腹に胸に鎖骨にうなじ、肩の部分の切れ込みから見える肩と二の腕をじっくりと見てきた。絵師だから?絵師だからそんなに舐めるように見てくるの!?

 

 それよりもぜんは妖怪の山の奥地の渓流にいたから守矢神社が祭り騒動になっている事を知らないんだっけか。とりあえず守矢神社が数日前から豊穣祭が開かれ天狗達までも出動する羽目になっていること、人里中もお祭り騒ぎになっている事を話した。

 

「ほぉー‥‥もう何日も祭り騒ぎってわけか」

「なんか興味なさそうね、これでもタダ働きでヘトヘトなのよもう」

 

 もうくたびれて畳の上で寝転がる。あぁもうはやくお風呂に入りたーい、お酒飲みたーい、ぜんの釣った鮎を塩焼きにして食べたーい、それからそれからお布団で寝転がって‥‥ぜんに‥‥

 

「てっきり異変が起きたから取材でもしに行っていたかと思ったぜ」

「!?」

 

 ぜんの一言でがばりと起き上がる。そうだ、なんで気が付かなかったんだろう‥‥

 

 そうよ、これは異変だわ‼どーりで毎日休まずやんややんやの祭り騒ぎになってるわけだわ‼

 

 これは休んでいる場合ではない。文よりも先に異変を取材して花果子念報新聞がより名が売れる絶好の機会!ついでに首謀者もとっちめて私が異変解決すれば更に更に名が上がるに違いないわ‼

 

「そか、頑張んな」

「って、あんたも手伝うの‼」

「はあ!?何でだ‼」

 

 そ、そりゃー‥‥あ、あれよ、ぜんの毒の能力があればちょちょいのちょいだし?そ、それにあんたも活躍すればそこそこ有名になるわよ?

 

「俺は気ままに絵が描けりゃあいい。それに毒の香でてめえまで巻き込む、他を当たんな」

 

「‥‥お願い、力を貸してよ‥‥けち」

 

 正直言って、文との弾幕勝負も飛ぶ速さも号外を出す速さも取材する力も勝った事が無い。文もそうそう祭りに流されるような天狗じゃないからもう異変に気づいているかもしれない。きっとそうだ、もう取材に出ているかもしれない‥‥

 

「‥‥ったく、えーとパネルは何処やったけか」

 

 ぜんはため息をついて唐草模様の風呂敷を敷いて画材道具を置き始めた。

 

「‥‥え?何してるの?」

「あぁ?人里が祭り騒ぎだって言うからその風景を描きたくなっただけだ」

「‼それって‥‥!」

 

 

「いいか、てめえは取材ついでに写真を撮れ。そんでついでに描いてやる‥‥ついでだからな!」

 

「ほ、ほんと!?あんたのそういう素直じゃない所が大好き!」

 

「うっせえ邪魔だ!抱き着いてくんなこんにゃろう‼」

 

 

 つっけんどんだけど、ぜんは優しい‥‥私を勇気づけてくれる‥‥ああどうしよう、ドキドキする

 

「そうだ、協力してくれる代わりに‥‥抱かせてあげる」

 

「は」

 

「い、いっつも協力してくれるんだからさ、労いぐらいしてあげないとね!」

 

「いやだからなんで体なんだっての。酒とかねえのかお前は」

 

「あ、文より胸はないけど‥‥腕前は自信あるわよ?」

 

「人の話を聞け、この鳥頭」

 

 

 もうつべこべ言わず、抱いてきなさいよ!据え膳食わぬは男の恥とかいうじゃないの‼もうじれったい、目の前で装束を脱いでやるんだから!

 

「‥‥ちょっと待ってろ」

 

 ようやく観念したわね‥‥って、私を素通りしてどこ行くのよ!?なんなの!?胸がそんなにないから魅力的じゃないってわけ!?文の、文の大きい胸の方がいいってかこの野郎!

 

 暫く待ってたらやっとこさ戻って来た。鋭い眼差しで私の体を見つめてくる‥‥あ、いけない、ちょっと濡れてきた‥‥

 

「‥‥っと」

「へっ!?」

 

 ちょ、ちょっと!?なんで姫抱っこ!?こ、ここでやらないの‥‥あ、そうか画材があるもんね。濡れたらいけない物もあるし‥‥って、そんな場合じゃない!何処行くの、何処でやるの!?

 

 ドキドキが止まらない私を姫抱っこしたままぜんは、和室を無視して寝室を無視して廊下を進み‥‥脱衣所を蹴り開け、浴室の戸を蹴り開け‥‥え?お風呂?

 

 

 

 

「体洗え馬鹿野郎があああああ‼」

「ひゃああああっ!?」

 

 

 ぜんは怒声を飛ばして私をお風呂へと放り投げた。見事私はお湯が張ったヒノキのいい香りがするお風呂へとざぶんと投げ込まれた。

 

 

「さ、さいてー‼」

 

 ざばりとずぶ濡れになって訴えるがぜんはぴしゃりと戸を閉めていった。最低よさいってー‼女の子に体洗えとか何てこと言うのよ‼というか私のときめきを返せ‼

 

「ほんとあのバカっ‥‥」

 

 せ、折角文にも自慢できるチャンスだったのに‥‥

 

 仕方ない、お言葉に甘えてゆっくり浸かるとしよう‥‥

 

 

 

 

 

「おい、湯加減はどうだ」

 

「あ、いい湯加減です‥‥」

 

 

 

 ちゃっかり外で薪を焚いてくれてる‥‥

 

 

 

 

 

「あの、なんであんたの家に私のいつもの服と下着があるのよ‥‥」

「人んちに押しかけて来て寝泊まりしやがる奴の言う言葉か?ちゃんと洗って干して畳んでやったんだからな」

「あ、ほんとだいい香り‥‥って、私の下着もか!?」

 

「いい加減服を着ろバカ」

「じゃあまじまじと見んな‼」

 

 

 結局、やることなく着替える羽目に‥‥トホホ‥‥普段の服に着替えて準備良し。

 

 

「よし‥‥早速異変の首謀者を見つけて、取材を取りに行くわよ!」

「かっこつけてねえでさっさこいや」

「あーもう‼勝手に先先行かないでよ‼」





 雲日ぜん(うんじつ ぜん)

 性別:(男性)
 種族:妖鳥・鴆
 二つ名:絵描きのポイズンバード
 能力:致死量を操る程度の能力
 危険度:高
 人間関係:低

 妖怪の山の更に奥地の渓流に住んでいるという毒鳥の妖怪。
 羽根の毒は空気中にも分散されるため鴉天狗達も他の妖怪もめったに彼の所へ来ない。
 絵を描くことが趣味なようで時折人里に画材を買いに現れるという。
 彼の能力で毒の致死量が調節され、その毒は無毒だったり薬になったり、猛毒にもなり時として媚薬にもなる。


 致死量を操る力‥‥どっかで聞いたような‥‥(視線を逸らす
 
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