※この作品はR-18です。

2コマ堕ち的ハーレムエロす in ガルパン   作:槇村 a.k.a. ゆきむらちひろ

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32:君に夢中ガール

 合流するなり起きた妙な衝突、というか盛り上がりというか。そんなものがひと心地ついて。オレたち大洗組と、ダージリンさんたち聖グログループは場所を変えた。

 聖グロ校舎の校門からほど近いところにあるカフェ。そのテラス席に腰を据える。円形のテーブルひとつに、ダージリンさん、アッサムさん、新入生コンビが。もうひとつにオレ、まほ、杏さんが座る。

 

「今さらかもしれませんが、自己紹介をしておきましょうか」

 

 賛成ですアッサムさん。考えてみるとオレ、オレンジちゃんと赤毛ちゃんにきちんと名前を言っていないような気がする。

 そんなわけで。

 

「大瀬良俊一です」

 

 改めてオレも自己紹介。

 聖グロの関係者じゃなくて、戦車道関連で視察に来た大洗学園の生徒であること。アッサムさんに学園艦を案内してもらっている最中に、置き引き男とぶつかって、あの騒ぎになったことなどを説明する。

 同時に、まほと杏さんのことも紹介。大洗学園に新しく戦車道チームが発足するため、それに先立って勉強会みたいなものをお願いしていて。今日はそのために聖グロに来たのだと話す。

 聞くところによると、オレンジちゃんも赤毛ちゃんも、聖グロの戦車道チームに憧れて入学したクチらしい。

 それを聞いた杏さんは。

 

「戦車道に関しては、わたしも1年生みたいなものだからさ。もし大会なんかで会ったら、よろしくね」

 

 なんて感じで、聖グロ新入生コンビに対してゆるやかに接している。さっきまで「お兄さまってどういうこと?」とか笑顔で迫っていたとは思えない穏やかさだ。

 まぁそれはいいんだけど。

 

「やっぱり、お兄さまはグロリアーナの人ではないのですね。残念です」

「頼りになるお兄さまと知り合えたと思ったんですのに……」

 

 だから聖グロは女子校だって言ってるじゃん。なんて当たり前の言葉がスルーされてしまうほど、オレンジちゃんと赤毛ちゃんにがっかりされた。オレが思ってる以上に慕われてるっぽいんだけど。そんなに好感度がアップするイベントだったのかアレ。

 名前を呼ぶより前に「お兄さま」呼びが定着してしまったことに戸惑う一方、そんな風に慕ってくれるのは素直に嬉しい。マンガなんかであるような「危機一髪を見知らぬ男が救ってくれる」ってシチュエーションは、実際に体験すると相当なインパクトがあるみたいだ。

 で、その置き引き男取り押さえ事件について。オレが説明することになったんだけど。

 オレでいいの?

 

「最初から最後まで中心にいて、率先して動いていたじゃないですか」

 

 アッサムさんがそんなことを言う。

 オレンジちゃんも赤毛ちゃんも、追随するようにうなずいている。

 まぁ、嫌なわけではないから問題はないけど。

 しばし順序を考えてから、話し始める。

 

「じゃあまずは……」

 

 戦車を見せてもらった後。喫茶店でアッサムさんとお茶をしながら戦車道についていろいろ教わっていたら、ダージリンさんから連絡がきて。合流するために店を出て、並んで歩いてたんだよね。

 

「あらあら」

「ダージリン。何ですかその顔は」

「別に、何でもないわよ? 仲がよろしいわね、と思っただけ」

 

 ダージリンさん、茶化さないで。

 アッサムさんも、実力行使で友情物語するのは後でお願いします。

 

「分かりました。そうします」

「え、ちょっと。お待ちなさいなアッサム」

 

 話を進めます。

 

「大瀬良くんもちょっと」

「ダージリン、静かにしてください」

 

 進めますね。

 オレとアッサムさんが普通に歩いていたところに、曲がり角の向こうから勢い良く駆け込んできた男がいて。相手の姿も見えず、気づくこともできなかったので。こう、ドーンと。アッサムさんにぶつかってしまった。

 幸い、とっさに手を伸ばして抱き留めるのが間に合ったので。アッサムさんが転んでケガをするとか、そういうことはなかった。うん、良かった良かった。

 

「アッサム、顔が赤いわよ?」

「なんでもありません」

「ねぇアッサム、こんな言葉を」

「なんでもありませんっ」

 

 えーと。

 こちらは大したことなかったけど、相手の方はそうでもなくて。勢いよくぶつかったせいで、持っていたバッグを落として、中身をぶちまけまして。

 で、その中身が女性向けのものばかりだったから。何かおかしいと思ったわけ。

 

「そこで、私たちが追いついたんですね」

「捕まえろーって声を上げながら、ふたりして追いかけてたんですのよ」

 

 そうそう。新入生コンビが叫んでる声を聞いて、こいつはヤバい奴なんじゃないかと。

 でも、何かの間違いだったら問題になっちゃうから。一応は事情を聞こうと、アッサムさんとふたりして声を掛けてみたんだけど。

 オレ、いきなりぶん殴られたんだよね。

 

「野蛮です」

「まったくですわ!」

 

 まるで自分のことのように、憤りの声を上げて、頬を膨らませるオレンジちゃんと赤毛ちゃん。アッサムさんも、何だかムスッとしてる。なんというか、オレのことで怒ってくれているのが嬉しい。ありがとうございます。

 で、まぁ。そんな感じで、置き引き男が力づくで逃げ出そうとしやがったので。こう、相手の腕を取って、ほいほいとねじ伏せてやったわけ。

 

「スムーズに鎮圧してみせた手並み。すごいものを目の当たりにしました」

「暴れていた男があっという間に抑えつけられて。すごかったです、お兄さま」

「何が起きたか分からないうちにのしてしまって。超速くて超強い腕前でしたわ!」

 

 アッサムさん、オレンジちゃん、赤毛ちゃんが、逃げようとした置き引き男を取り押さえた一幕を思い返しながら褒めくれる。可愛い女の子たちに笑顔で持ち上げられるのは、とてもくすぐったい。でも嬉しくなってつい笑みが浮かんでしまう。

 でも、笑ってばかりもいられなくて。

 取り押さえたはいいけれど。警察を呼ぼうとしたら、置き引き男がまた暴れ出したんだよね。

 

「一連の捕り物に驚きっぱなしだったので、警察への連絡が遅れてしまいました……」

 

 少しうつむいて、しゅんとした顔になるアッサムさん。

 ちょっと待ってほしい。通報のタイミングが多少前後したところで、あの場に警察が到着するまでどのみち時間が掛かるから。そこは気に病むポイントじゃないと思うよ?

 

「私も、荷物を盗られた本人だったのに、実際に犯人の男の人を前にしたら何もできませんでした。いち早く対応して、動いてみせたお兄さまに頼りきりでしたし……」

 

 オレンジちゃんもつられるように、落ち込んだような顔してみせる。

 でもそれは仕方ないんじゃないかな。

 置き引き男は、オレが抑えつけてても暴れてたし。オレンジちゃんとかが断罪よろしく迫ってたら、逆ギレしてもっと大暴れしてた可能性もある。だからオレが相手をしたのは妥当だと思う。アッサムさんたちに怪我でもされてたら、オレとしても気分は良くなかったろうしさ。

 

「そ、そうですか……」

「はぅ……」

 

 頬を染めるアッサムさんとオレンジちゃん。可愛い。

 可愛いふたりの反応はさておいて。

 オレンジちゃんと赤毛ちゃんの荷物も一応無事だったし、アッサムさんも怪我はしなかった。後からこうすればよかったとか考えてもキリがないし。変に思い込むのはなしってことにしようよ。

 警察に同じ話はしてるから、何かやり取りがあったとしても、それはもう先生たちとかがやるべき仕事じゃないかな。

 

「確かに、そうですね」

「あんな男のせいで気持ちが陰鬱になるのも、バカバカしいですし」

「それに比べてお兄さまは本当にカッコよかったですわ!」

 

 アッサムさんとオレンジちゃんが、納得いったのかうんうんとうなずいて。一方で赤毛ちゃんは、にっこにこの笑顔でオレの捕り物タイムを褒め称える。身振りもぶんぶん入れながら。

 それからなぜか、オレがいかにカッコ良かったかをテンション高くしゃべり出した。なぜに。

 いやさ、そんな風に持ち上げてくれるのは嬉しいんだけど。面と向かって激褒めされるのはむちゃくちゃ恥ずかしい。お兄さま呼びもそうだけど、好意的なフィルターを通して見過ぎじゃなかろうか。

 しかもそれに、オレンジちゃんまで乗っかってきた。

 ふんす、と、意気込む感じでしゃべる姿はどこか小動物っぽくってほんわかさせられる。可愛い。座ってる席が離れていなかったら、ぐりぐりと頭を撫でていたに違いない。

 でも、なんだ。大人しめな女の子に、正面からベタ褒めされるのは実にこそばゆい。恥ずかしさに身悶えてしまいそうだ。嬉しいけど。

 さらに、アッサムさんが静かに参戦してきた。

 美人のお姉さんが、少し顔を赤らめつつ、オレの言動を事細かに上げながら称賛する。その様子はむっちゃ真剣だった。

 今日会ったばかりの女の子たちに、寄ってたかって好意的な評価をいただくとか。何コレどういうことなの。やばい。恥ずかしい。羞恥にまみれて溺れ死んでしまいそうだ。

 さらにさらに。まほと杏さんが、わざわざ椅子ごと移動して、彼女たちの称賛話に加わってきた。すっごく興味深そうに耳を傾けてる。

 しかも、オレのいいところ探しなら負けないぞと言わんばかりに、オレとのエピソードをあれこれ語り始めた。なぜに。

 聖グロの3人も食いついてる。他人の口からオレの日常話や武勇伝が次々と語られて、みんなすげぇ興味津々。何だこの羞恥プレイは。誰か助けてくれ。

 

「大瀬良さん、こんな言葉をご存じ? 『初恋とは少しばかりの愚かさと、あり余る好奇心のことである』」

「バーナード・ショーかよ……」

「あら。分かってもらえて嬉しいわ」

 

 置いてきぼりにされたダージリンさんが、身悶えているオレに話し掛けてくる。この人、今の状況を楽しんでるでしょ絶対。オレが恥ずかしがってるのを見て、クスクス笑ってるしな。

 

「というか、まほちゃんと杏さんはもう恋仲だからともかく。アッサムさんたちに初恋云々はどうかと思うんですけど。女性から見たら、オレみたいなのはむしろ避けるべき男でしょ」

「確かに、驚かされましたわ。普通なら大瀬良さんのような方は、不誠実とそしりを受けておかしくないと思いますもの」

 

 うん。オレもそう思うよ。

 でもダージリンさんの態度からは、嫌悪感とか「フケツです!」みたいなものは窺えないんだよね。

 どういうことかと、ズバリ尋ねてみれば。

 

「5人の恋人さんたちに慕われて、うまくやっていけているのであれば。むしろ大物として一目置いた方がいいのではないかしら」

 

 ……そういう意味では、大物なのはオレよりも女の子たちの方だと思うよ。オレの方は、彼女たちに釣り合おうと背伸びするのに精一杯だもの。カッコいいところを見せなきゃ、と気張っているのは事実としてあるし。

 

「変に卑下してみせたりすると、怒られるので。自分を下げるような言動はしないように心掛けてますよ」

「それは素晴らしいですわ」

 

 女性に応えようとする態度が好かれるポイントなのかしらね、と、ダージリンさん。

 また、女子校生活ゆえに異性に触れる機会がないから、男性への認識が置き引き男に定着することが避けられて幸いだとも。置き引き男とオレの態度や行動の違い、落差が、オレへの興味につながっているんだろうと、ダージリンさんは言う。だから、オレのことを知ってみようと思ってるんだろうと。

 

「彼女たちが貴方に好意的なのは分かるでしょう?」

「まぁ、ねぇ。向けられた好意には好意で返したいと思っている奴なので。無碍な態度を取るつもりはないんだけど……」

 

 何人もの女の子と日頃からイチャついてる奴なので、自分に向けられる好意に関してはそこそこ敏感だと自負してる。アッサムさんたちの悪からぬ感情や、そういう想いに応えたいっていう強欲さも自覚してるし。

 でもさ。いくらきっかけがあったからといっても。とんとん拍子過ぎないかなとも思うわけで。昨日はアンチョビさんと杏さん、さらに今日も女の子に色目を使うっていうのは、オレ的にもどうかと……。

 まさか「強欲さが足りない」とでもいうのだろうか。

 

「私も、乙女として恋愛ごとに興味があるというのもありますが。もっと真面目な意味でも、大瀬良さんがいてくださって良かった、と思っていますの」

 

 ありがとうございます、と。綺麗な姿勢で、頭を下げて礼を述べるダージリンさん。

 いわく。偶然ではあるけれど、置き引き事件を未然に防ぐことが出来た。これは新入生ふたり、オレンジちゃんと赤毛ちゃんのメンタル的に、とても強い影響を与えかねなかったという。

 

「後輩たちの危険なところを救っていただいた。これは大瀬良さんが思ってらっしゃるよりも、私たちが強く感謝すべきことなのですよ?」

 

 キリッと、真面目な顔をしたダージリンさんが言う。

 言うまでもなく、聖グロは女子校だ。まったくいないわけではないけれど、やっぱり男性の数は少ない。しかも学園艦というのはある種閉鎖された空間だから。同年代の異性とまったく会うことなく卒業まで過ごすということも皆無ではないらしい。

 オレンジちゃんと赤毛ちゃんは、新1年生として学園艦に乗り込んだ。期待や希望でいっぱいだったろう第1歩でいきなり、置き引き被害に遭ってしまったわけだ。

 もし、置き引き男がオレとアッサムさんに出くわすことなく逃げおおせていたら、どうなっていたか。

 彼女たちの荷物が戻ってこないのはもちろんのこと。さらに入学前から盗難に遭ったというマイナスの意識を抱えたまま、聖グロでの新生活をスタートさせることになる。

 しかも、荷物を奪った犯人の男を目撃している。そのため、男性に対する苦手意識、あるいは嫌悪感が生まれることも考えられる。そうなると、卒業までの3年間、それを改善する機会のないまま過ごすことになりかねない。

 

「つまり、男性不信になる可能性があったと?」

「ひどい男嫌いにまで拗れるかもしれませんわね」

 

 なるほど、と素直に思った。

 新生活初日に生まれた男性への不信感や不快感が、3年間の女子校暮らしで拗れに拗れていく。女子校暮らしの間ならまだしも、卒業後は人間関係に問題が生じるだろうことは想像に難くない。

 

「新入生である彼女たちが、聖グロリアーナで過ごす前につまづかずに済んだ。要らぬトラウマを抱えずに済んだ。そして我が校が、いたずらに男性排除に傾きかねない事件を未然に防げたということ。いろいろな理由から、私は大瀬良さんに感謝していますわ」

「考え過ぎ、と一笑に出来ないリアルさがありますねぇ」

「やや大袈裟に言ってはいますが、あり得ない話ではありませんので。ここだけの話、実際に『男子禁制にすべし』という声も少なからずありまして……」

 

 男尊女卑ならぬ、女尊男卑みたいなものがあるらしい。

 しかも戦車道の名門として名を馳せる聖グロは、上下の関係がとても密になっている。それにはメリットもデメリットもあり、デメリットのひとつが「異性に対する軽視や悪感情の伝播」なんだとか。

 

「怖いな、名門女子校」

「ほんの一部ですわ。私もアッサムも、殿方というだけで毛嫌いしたりはしませんもの」

「でも、男はちゃんと選んだ方がいいと思うんだけどなぁ」

「片端から男性を避けるようになってしまうくらいなら、異性に対して多少だらしない方でもつき合いがあった方が、まだ健全だと思うのです」

 

 ダージリンさん、もう少しオブラートに包んでください。オレみたいな奴でもいないよりマシ、と言われてることくらい読み取れますよ?

 

「でもまぁ、だらしない自覚はあるけどさ」

「本当に嫌悪感があるなら、正面からこんなことは言いませんわよ?」

「なるほど。あれだな。嫌いという言葉は愛ゆえのもの、本当に嫌っている相手にはわざわざ嫌いなんて言葉は使わない。みたいな」

「あら、なかなか含蓄に富んだ言葉ですわね。何かの格言でして?」

「格言? どこかで見たか聞いたか、うろ覚えな言葉が出てきただけですよ」

 

 もっと言えば、これは誰かの言葉じゃなくて。自分自身の経験から出てきたものでもある。

 例えばの話。みほとじゃれ合ってたらちょっとエスカレートしちゃって、癇癪を起こした彼女が駄々っ子パンチしながらキライキライと言ってきても、本当に嫌われたとは思わない。むしろふくれた姿が可愛らしくてタマランよ。笑いながら謝って、抱きしめて頭を撫でて、めちゃくちゃ甘やかしてしまう。そうこうしているうちに仲直りだ。むしろ「嫌い」と口にして言われているうちは、全然嫌われてないよ。

 ……何の話だったっけ?

 

「格言っていっても、それが何であれ言葉で促しているだけ、注意喚起してるだけであって。知識としていくら知っていても、経験を通して身にならないことには仕方ないでしょ」

 

 そうそう。格言云々の話だった。

 過去の偉人の言葉ってのは、どれだけ吸収していたとしても、どれだけ実践に活用できるかが大切なんじゃなかろうか。ちょっと例えは悪いけど、恋愛ハウツー本には詳しいけど、実際に自分は恋愛したことがない、みたいな人は結構いるんじゃない?

 

「うぐっ」

「どうしました。持病の癪?」

 

 あれ。ダージリンさんが胸に手を置いて苦しそうにしてる。

 

「これは素なのかしら。それとも私をあげつらっている? 『賢者はことわざを生み、愚者はそれを繰り返す』とでも言わんばかりに」

「パーマーのそんな言葉がさらっと出てくるなら、格言好きもそれほど無駄にはなっていないでしょう」

「あらアッサム。大瀬良さんの好き好きポイント発表会はひと段落ついたのかしら?」

 

 あ、アッサムさんがこちらに入ってきた。

 あとダージリンさん。それ、オレからコメントしづらいから止めてくれないかなぁ。

 あとあとアッサムさん。好き好き云々は否定しないんですかね。顔を赤くしてダージリンさんを睨みつけてる顔、とても可愛くてぞくぞくする。

 

「ダージリンと大瀬良さんが、真面目な話をしているようでしたので」

「そうね。後輩たちを助けてくださってありがとう、という話よ」

「なるほど」

 

 表情が少し改まって、納得の顔をするアッサムさん。本当に真面目な話だったみたいですね、とかつぶやいたのはツッコミをいれた方がいいのだろうか。

 ダージリンさんに「好き好きポイント発表会」とか言われて、アッサムさんの顔は真っ赤っかだ。改めて自分たちが何の話で盛り上がっていたのか、自覚したのかも。

 でもムキになって否定してこないのは、言い返してもダージリンさんには効果がないとあきらめているのか。それとも、って感じ。オレの自惚れじゃなければ嬉しいけど、それはそれでどうしたらいいものか……。

 なんてことを考えていると。アッサムさんの後ろから、杏さんまで顔を出す。

 

「でも本当は、仲良さそうに話をしてるふたりが気になって仕方なかったんだよねぇ」

「なっ。杏さん何を言ってっ」

「まぁまぁアッサムさん。ムキになって言い返しても、可愛いだけだよ?」

 

 杏さんがニヤニヤしながら、アッサムさんをなだめる。というか絡んでくる。絶対に楽しんでるでしょコレ。

 

「そうそう、落ち着きなさいな。嫉妬なんてしなくても、大瀬良さんはきちんとアッサムのことも構ってくれるわよ」

 

 ダージリンさんまで、煽る煽る。

 ぱっと見た限り、彼女は落ち着いて紅茶を飲みながら、淑女然としているように見える。でも口元がにやけてるのは、カップだけじゃ隠せてないぞ。

 ダージリンさんと杏さんの愉快犯タッグが、人の悪い笑みを浮かべ見つめてくる。

 まほは、オレンジちゃんと赤毛ちゃんを相手にまだ「好き好きポイント発表会」とやらをしているみたいで。この3人はこちらをスルーしている状態。

 結果、アッサムさんは孤立無援で、からかいの魔手にさらされる寸前だ。

 

「くっ」

 

 状況を理解したのか、にやつくダージリンさんと杏さんから距離を取ろうとするアッサムさん。さらに助けを求めるように、彼女はオレの方に目を向けてくる。

 気持ちは分かるよ。でも思わず苦笑してしまう。

 その反応は、からかうネタをさらに提供するだけだと思うなぁ。

 なんてことを思いながら。自分のすぐ隣に空いた椅子を持ってきて。

 

「アッサムさん」

 

 ぽんぽんと、座面を叩く。

 彼女は顔を赤くさせて、促されるままにオレの横に来る。

 そして、今日一番の近い距離で、アッサムさんは自分から座り込んだ。

 

「あらあら」

「おー」

 

 声を上げるダージリンさんと杏さんを、アッサムさんは無言で睨みつける。

 おぉ、怖い怖い。

 

「でもそれ以上に、可愛いよね」

 

 あ、声に出ちゃった。

 

「おっ、おおせらさんあなたはなにをっ」

「すごいわ、ストレートに口説かれてるわよアッサム」

「あれをかなりの素でやってるんだから、大瀬良くんも罪作りだよねぇ」

 

 肩が触れそうなほどのすぐ隣で、真っ赤になって慌てふためくクール系お姉さん。

 可愛過ぎだろ。

 あまりに可愛くて、からかいの言葉は耳に入ってこなかった。

 

 

 

 ―続く―




オレ、何を書いてるんだろう……。
槇村です。御機嫌如何。


男慣れしていない淑女候補たちが、
インパクトのある出会いと対応を経験してコロッといった。
そんな感じだ。
これが吊り橋効果ってやつか……。

あとダー様について。
自分で書いてて思ったんだけど。
ダー様をネタキャラに振りきらないようにするのが大変でした。
日常会話の端々に格言を突っ込んでくるようなひとは、そりゃあネタキャラ扱いされるよ。
一方で、そういう人だから、ネタが分かってくれる人にはむっちゃ懐きそうな気がする。

ちなみに聖グロ編は次回が最後の予定です。


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