※この作品はR-18です。

2コマ堕ち的ハーレムエロす in ガルパン   作:槇村 a.k.a. ゆきむらちひろ

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新たな大洗学園の始まり そのちょっと前に
35:ごはんができたよ/角谷杏


 視察から戻ってきた次の日。生徒会長の杏さんはもちろん、柚子さんや河嶋先輩など生徒会メンバーの皆さんは、新学期開始前の雑事あれこれで大忙しだった。

 まほとみほも、戦車道関係のことでいろいろと確認することがあったりだとかで呼び出されていた。なんだかすごく忙しない。

 できる範囲であればオレも生徒会の仕事を手伝おうかと言ったんだけど、個人情報やら重要書類やらの処理が多いらしく。一般生徒のオレが手伝うのはちょっと問題があるとのこと。それなら仕方ない。

 そんな中でオレは、杏さんに時間を作ってくれと頼まれていた。

 手伝いじゃないならなんだろう、と思ったけど。生徒会の仕事じゃなくて、プライベートな方らしい。今日の分の仕事は夕方までにケリをつけるから、その後にちょっとつき合ってほしい。そんなことを言われた。

 何をするのかは分からないけれど、恋人のひとりのお願いなら断る理由なんてない。お疲れだろう杏さんをどう癒してあげようか、なんてことを考えながら。夕方、指定の時間に、オレは彼女が住んでいる部屋へとお邪魔する。

 

「杏さん、寮住まいじゃなかったのか」

 

 柚子さんと河嶋先輩は学生寮に住んでいるけど、杏さんは外部の学生向けアパートでひとり暮らしをしてると聞いていた。

 目の前にあるアパートは、造りが結構しっかりした3階建て。オレが住んでるところよりも綺麗で立派だ。さすが生徒会長。

 なんてことを考えながら階段を上って、3階にある彼女の部屋の前に到着。

 インターフォンを鳴らすと。

 

「いらっしゃーい」

 

 すぐに、笑顔の杏さんが扉を開けて出迎えてくれた。

 まぶしいくらいの笑みを浮かべた彼女は、大洗の制服の上からエプロンをつけている。

 エプロン?

 何事だと一瞬思ったけど。

 

「エプロン姿の杏さん、可愛い」

「うわっ」

 

 あまりに新鮮でグッドな格好だったので、つい無意識に抱きしめてしまった。

 普段は見られない姿に、とっても胸がキュンキュンする。可愛い。

 

「なんの用で呼ばれたのか気になってたけど。エプロン姿の杏さんが見れたから、オレ的にはもう満足かなぁ」

「あのさ、大瀬良くん。喜んでくれるのも抱きしめてくれるのも嬉しいんだけど、そこは本題じゃないから。これだけで満足して帰られたら、わたしが困っちゃうよ」

 

 抱きしめていた腕の中から、杏さんがスルリと抜け出してしまう。オレの態度に苦笑しながら、指をさして、ツインテールの彼女が見上げてくる。可愛い。

 とにかく上がってくれ、と。杏さんに促されるまま、お部屋訪問と相成った。

 

「ほぉー」

「なにさ。別に変わったものがあるわけでもないのに」

「いやいや。女の子の、ましてや恋人の部屋ともなればいろいろ違うでしょ」

 

 ちょっと広めの1DK。8畳くらいの部屋と、ゆとりのあるキッチン部分。オレはまず、部屋の雰囲気とかを気にするよりも前に、料理の最中ですといった感じの台所部分に目が行ってしまった。

 

「おぉ、杏さんの手作り料理? これは嬉しい」

「こう見えて料理は得意だからねー」

「年末にあんこう鍋を振る舞ってくれたじゃないですか。あれ、美味しかったなぁ」

「鍋ばっかりっていうのもアレだからさ。今日は定番な料理をお披露目するよ」

 

 去年の末、柚子さんとまったりしようと思ってたところに、杏さんと河嶋先輩が乗り込んできて。4人であんこう鍋をつついたけど。今日はそれとは違う普通の「家庭料理」を食べさせてくれるという。

 もう、期待しかない。

 

「要らないところでは基本のんべんだらりとしてるのに、こんな風に料理が上手いとかさ。ギャップというか萌えというか、いいよね。うん」

「あれ。ひょっとしてわたし、少しディスられた?」

「そういうつもりはないけど。あ、でも、必要なことはきっちりやるタイプだから、杏さんって。料理好きなのは不思議でもないのかな」

「ごちゃごちゃ言ってるけど、なに? わたしの料理を食べたくないの?」

「めっちゃ食べたいです。なんでもこなしてみせる杏お姉さま、素敵!」

「ふふん。分かればよろしい」

 

 互いに予定調和っぽいやり取りをゆるゆるとしてから。杏さんは笑顔で台所へ。

 

「もう少しで作り終えるからねー。座って待っててよ」

 

 杏さんはそう言いつつ、オレを部屋中央に置かれたテーブルの前に座らせて。自分はウキウキと台所に戻っていく。

 座ったまま、杏さんの方に目を向けた。彼女が料理をしている後ろ姿をじっと眺める。

 ……新鮮だなぁ、こういうの。

 こういってはなんだけど。みほとまほに対しては、熊本時代、むしろオレが料理を作って振る舞う側だった。オレが黒森峰の学園艦に行くわけにもいかなかったから、会う時は彼女たちがこちらに来るのがもっぱらだったし。ウチの母さんがふたりを気に入ったってこともあって、自宅で食事をするのも多かったしね。その時の食事当番は主にオレだった。

 柚子さんは、女子寮住まいだから。男のオレがお邪魔するわけにはいかない。料理云々で言えば、お弁当のやり取りばかりだったな。時々、生徒会メンバーにプリンとかお菓子系を作って持っていったこともある。

 アンチョビさんも、料理が上手いらしいんだよね。アンツィオ高校って、料理の専門学校かよってくらいに食のレベルが高かったから。そこで名を馳せているんなら、料理の腕前のほどもうかがい知れる。

 ……なにか違うような気もするけど、まぁいいや。

 そんなわけで。今日の杏さんみたいに、招かれた上で、料理を振る舞ってもらうというのは初めての経験だ。

 恋人の部屋で、恋人のエプロン姿を眺めながら、恋人の手料理を待つオレ。

 男なら誰もが羨むだろうシチュエーション。なんという多幸感か。

 大洗の制服の上にエプロンという恰好で、台所を行き来する小柄な彼女の後ろ姿。

 動くたびに揺れるミニスカートとお尻、ツインテールの髪。

 鼻歌を口ずさみながら、料理の味見をして、うんうんと笑顔でうなずく表情。

 やべぇ。杏さん、可愛過ぎる。

 ラブコメ漫画なんかに、料理中の恋人に後ろから抱きついて邪魔扱いされるシーンとかあるけどさ。分かるわ。後ろから抱きつきたくなるものコレ。

 でもここはじっと我慢して、彼女の邪魔はしない。料理をしている姿を堪能するにとどめる。それだけでも十分にご馳走だけどね。

 そうこうしているうちに。

 

「お待ちどうさまー」

 

 テーブルに彼女の手作り料理が並んでいく。もちろん、お皿を並べるくらいは手伝った。

 さて。杏さんお手製のメニューは。

 肉じゃが。

 鳥の照り焼き。

 豚汁。

 ひじきの煮物。

 ほうれんそうのおひたし。

 そして、ほかほかのご飯。

 ……なにこれオレを堕としに来てるでしょ、胃袋から。

 

「杏さん、冗談抜きでメチャクチャ美味そうなんだけど」

「おかわりもあるからさ。いっぱいお食べー」

 

 手ずからご飯をよそって、茶碗を手渡してくれる杏さん。

 受け取るオレの目は、きっとキラキラしていたに違いない。

 

「では、いただきます」

 

 待ちきれずに、美味しそうな料理に箸を伸ばした。

 まずは、肉じゃが。

 ひと口大に切られたじゃがいもと、牛肉、玉ねぎ、人参というオーソドックスなもの。

 じゃがいもはとてもホックリしていて、柔らかくほぐれる。

 味が染みてしんなりした玉ねぎがとてもいい。好き。

 人参も芯が固いとかいうこともなく、食べやすく、甘くなっていて美味しい。

 牛肉も、じゃがいもと一緒に食べると味が濃くなってご飯が止まらない。

 

「あぁ……。肉じゃが美味しい。じゃがいも、ホロホロ……」

 

 鳥の照り焼きは、皮が少しカリッとしたところが好き。

 皮にタレの色目が綺麗について、肉の部分の白との対比が妙に食欲をそそる。

 これまたご飯が進んでしまう。

 

「このタレが絡んだ鶏肉の感触。そして皮が美味しい……」

 

 豚汁も。

 ひじきの煮物も。

 ほうれんそうのおひたしも。

 どれも美味しい。杏さん、美味しいよ。

 

「杏さん、おかわり」

「はいはい。たんとお食べ」

 

 空になった茶碗を差し出せば、杏さんはにこにこ顔でごはんをよそってくれる。

 しかし本当に、ご飯が進む。美味しい。お腹がふくれていくこの幸せよ。

 最初は味の感想もしっかり言ってたんだけど。そのうち、もくもくと箸を動かすだけになっちゃって。割りと静かな夕食の席になってしまった。

 その間ずっと、杏さんは笑顔のままだった。

 

 

 

 

 

「ごちそうさまでした」

「おそまつさま」

 

 作ってくれた杏さんの手料理を平らげて、お腹いっぱいになったオレ。

 空になったお皿をまとめて、流し場へと持っていって水に浸ける。オレがそのままごく自然に皿を洗おうとしたのに杏さんが驚くとか、そんなやり取りもありつつ。結局、オレと杏さんが並んで皿洗いなどの後始末を終わらせてしまい。

 

「はい。お茶どうぞ」

「ありがとう」

 

 ふたりしてまた座り込み。食後のお茶をすすりつつ、今はまったりとしている。でも杏さん、温かい緑茶が出てきたのはちょっと意外だったよ。嬉しいけど。

 

「それにしてもよく食べたねぇ。見ていて気持ちいいくらいだったよ」

「お世辞抜きで美味しかったですよ。つい夢中になっちゃった」

「あはは。本当にじっくり味わってたね。作り手としてはすごく嬉しいよ」

 

 食後の満腹感から、気の抜けたような雰囲気になって。オレと杏さんはなんてことのないことを駄弁り合う。ただ思いついたことを口にして、何となく言葉を返すような、肩ひじなんてこれっぽっちも張ってないもの。

 

「あー。こういうゆったりした空気、いいよねぇ」

 

 気の置けない相手とまったり過ごすって、いいよね。オレも同感。

 彼女もそう思ってくれていて、その相手がオレというのも、すごく嬉しい。

 

「昨日の今日でオレだけ呼び出されたから、何か特別なことでもあるのかなと思ったけど」

 

 いや、杏さんの手料理を堪能できたんだから、十分に特別なことだな。

 叶うなら、こういうのも普通のことになってくれるといいなと思う。

 なんだったら今度は、オレの方が料理を振る舞おうじゃないか。

 

「それは嬉しいねぇ。是非ともお願いしたいな」

「といっても、特別なものは作れませんよ? 作れるのはごく普通の、家族に出すような料理だけだから」

「いいじゃんそれで。わたしが今日作った料理だってありきたりなものだよ。大瀬良くん、気に入らなかった?」

「まさか。超最高」

「じゃあわたしにも、そういうので構わないでしょ」

 

 なるほど。そういうことなら、肩の力を抜いた「いつもの」料理を振る舞いましょうかね。

 でも杏さん、忙しいからなぁ。

 

「あれかな。超多忙な杏さんが疲れて帰ってくるのを、オレがご飯を作って出迎える、みたいな。今日の杏さんと同じことを、オレがやってあげるとかさ」

「いいねぇそれ。あ、でも。わたしだけしてもらったら、みんなから責められちゃうよ」

「杏さんだけズルいって?」

「そうそう。特に寮住まいの小山に」

「あー、そうか。みほちゃんとまほちゃんは普通のアパート、いやあれはマンションだな。どちらにしても、学園管理の部屋じゃないから」

「男を連れ込むのは難しいよねー」

「じゃあ公平にするために、あらかじめ日時を決めてオレの部屋に来ればいいんじゃない? 部活帰りにどこかで何か食っていこうぜー、みたいな感じで」

「そこはせめて、恋人の部屋にお邪魔するドキドキの時間とか、そういう表現をしようよ」

「でも、みほちゃんとまほちゃん、柚子さんはたまり場みたいな感覚で上がってくるよ?」

「それはそれで楽しそうだなぁ」

「もう合い鍵を渡して、好きに出入りしてもらってもいいかもしれない」

「お。その時はわたしにもちょうだいね」

「そりゃあもちろん」

 

 まったりとした雰囲気の中で、だらだらと駄弁り合うオレと杏さん。

 彼女が今日オレを呼び出した理由についても、なんとなく、ゆるゆると話し始める。

 

「あのさ。わたし、ファーストキスをどんなシチュエーションで演出しようかな、なんてことを言ってたじゃない?」

 

 うん、言ってたね。

 あれってアンチョビさんと折り合いをつけられたから、その余裕で出た言葉だと思ってたんだけど。本気だったの?

 

「それなりには。100%本気とは言わないけどね。こんな状況でできたらいいなー、みたいなことを、乙女チックに考えたりしてたのさ」

 

 でもねぇ、と。

 杏さん、いきなり溜め息。

 何があった。

 

「新学期が始まるまで、あと10日。その間に生徒会としてやることが山積みでね。新入生の受け入れ対応とか、選択科目に戦車道が入るあれこれとかさ、いろいろ。となると、甘々なことをする時間をまとめて取ろうなんて、無理っぽいんだよね」

 

 分かってたことなんだけどさ。

 杏さんが、力なく笑う。

 あ、これ精神的にいっぱいいっぱいな時に出てくる顔だ。久しぶりに見た気がする。

 

「それならもう、仕事の活力を得るためにって名目でさ。細切れの時間でも、大瀬良くんに甘えちゃうのもいいかなぁって」

 

 なるほど。スキンシップの時間を取るために、今日は呼ばれたということか。

 杏さんとそういうことをするのは初めてだから、みほたちも今日は遠慮をしてくれたのかもしれない。

 視察の時の宿でのあれこれ? あれはいろいろおあずけしてたから、ノーカンで。

 

「そういうことなら早速」

 

 オレは、杏さんに向かって手を広げる。おいで、という感じで。

 彼女は嬉しそうに、オレの前までやってきて。足の間に腰を下ろした。

 背中をこちらにあずけて、脱力した状態で身を任せてくる。

 杏さんの肩に腕を回して、背中から包み込むように抱きしめる。

 あすなろ抱き、というやつだ。

 抱きしめながら、杏さんの髪に顔を埋めた。

 彼女の小さな身体が腕の中にすっぽりと納まってしまい、なんとなく庇護欲みたいなものがかき立てられる。ものすごく構って、甘やかしたいみたいな。

 抱きしめる力を少し強くすると、杏さんはむずがるように身をよじる。その拍子に、彼女のツインテールが腕にかぶさってきて。その感触がこそばゆかった。

 

「あー、この抱きしめられる感じ。やっぱり心地いいなぁ……」

「お気に召したなら何より。これくらいいくらでもするよ」

 

 ハグは日課だからね。

 何より、抱きしめてるオレの方も心地いい。女の子の柔らかい感触を腕の中いっぱいに味わうのは何度やっても飽きることがない。

 杏さんの頭に頬ずりをすれば、彼女もそれを返してくる。こちらを見上げて、少し身をよじるようにして、互いに頬を擦りつけ合う。

 顔はもう言葉の通り、触れ合う距離だ。その気になれば、0.1秒で杏さんとキスできる。

 というか、キスしたい。

 

「杏さん、キスしてもいい?」

「シチュエーションがどうこうって言ってたのは私だけどさ。ここは大瀬良くんの方から迫って、唇を奪うところじゃない?」

「女心は難しいなぁ」

 

 お互いに苦笑い。

 オレは気を取り直して。杏さんの頭の後ろに手を置いて、少し引き寄せる。

 彼女は抱きしめられたまま、腕を首に回して身を寄せてくる。

 そして、求めるままに。

 オレと杏さんは、唇を重ねた。

 

 

 

 ―続く―




すまない、エロまで届かなかった(確定って言ってたのに)。
槇村です。御機嫌如何。

原作では寮住まいの杏さん。
二次創作的都合によりアパート暮らしになりました。
おかげでいつでも彼を連れ込めるよ!(最悪だ)

案の定というか、エロシーンだけで長くなりそうな予感がして。
まるまる次回へ持ち越しました。申し訳ない。
というか、
制服にエプロンの杏さんが「いらっしゃい」と出迎えてくれるシーンを思いついて。
「あ、今回はもうこれでいいかな」と満足してしまった。


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