※この作品はR-18です。

2コマ堕ち的ハーレムエロす in ガルパン   作:槇村 a.k.a. ゆきむらちひろ

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主人公の回想エピソードです。



47:ときめきのアクシデント/ナカジマ&ホシノ

 オレが自動車部の4人と知り合ったのは、2カ月ちょっと前。1月中旬くらいのこと。学園艦の外周を走る通りで鉢合わせしたのが切っ掛けだ。

 

「夜の学園艦をうろついてみよう」

 

 その日、オレはそんなことを思い立ち。スクーターで寒空の中をツーリングに出掛けた。

 街そのものといっていい学園艦。その外周に沿って大きな通りが走っている。そこを夜風と潮風を感じながら、のんびり運転していた。

 艦尾付近で、大きなカーブの向こうから車のライトが向かってくるのが見えた。

 と思うや否や、派手なドリフトをしながらコーナーを突っ込んでくる車が目の前に現れる。

 

「うおっ」

 

 いきなり飛び込んできたライトと、ギャギャギャとタイヤを軋ませる車の勢いに驚いて。オレは慌ててハンドルを切ってしまい、路肩に突進。スクーターごと派手にすっ転んだ。

 幸い、転んで全身を強く打っただけで、骨が折れたとかそういうのはなかった。声が出なくなるくらい息が詰まって、えらく苦しかったけど。

 でも車の方からみれば、そうとは分からないわけで。轢いてしまったかと、乗っていた人たちが慌てて車から降りて、駆け寄ってくる。

 それが自動車部の4人。ナカジマさん、ホシノさん、スズキさん、ツチヤさんだった。

 

「大丈夫ですか!」

「馬鹿かナカジマ、大丈夫なわけないだろ!」

「病院、病院に連れていかないと!」

「じゃあ早く、早く乗せて!」

 

 うずくまってなにやら苦しんでいるオレを見て、彼女たちは大パニック。大変だ、病院に連れていかなきゃ、という感じで、彼女たちの車に連れ込まれて。そのまま病院へ直行した。

 ハンドルを握るツチヤさんが、ドリフトをキメながら飛ばし。

 助手席に座ったナカジマさんが、携帯電話で病院に連絡して。

 後部座席のホシノさんとスズキさんが、シートに横になったオレに声を掛け続ける。この時、狭い後部座席で密着していたから、ふたりの身体がかなり押しつけられていた。これは今でもふたりには秘密にしている。

 後から考えてみると、救急車を呼んだ方が良かったんじゃないかなぁ、と思う。でも実際の症状は強い打ち身程度で済んでいたので、結果的に大事にならなくて良かった、と言えなくもない。接触事故ならともかく、オレが勝手に転んだだけだしね。

 とりあえず、診察では大きな異常は見られなかった。意識もはっきりしていて、歩くこともできる。念のため明日改めて検査をしよう、ということで、その晩は解放された。

 でもその後、ツナギ姿の女の子4人に捕まって。大丈夫なのかと問い詰められた。

 夜の病院の待合室。そんなところで女の子4人が頭を下げながら声高に謝ってくる。誰もいない病院に「ごめんなさい」の声が響くわけだ。時間が時間なので他に来診の人はいないけど、お医者さんや看護師さんはもちろんいるわけで。

 

「とりあえず外に出よう。なんならメシでも食べて落ち着こう。な?」

 

 変な目で見られる前に病院を退散。夜のファミレスに5人で乗り込んで、自己紹介をしながら、彼女たちを落ち着かせることに。病院で言われた自分の容態みたいなものを伝えると、ものすごくホッとした感じになった。

 そこで改めて、彼女たちは謝ってきた。特に運転していたツチヤさんのヘコみようはすごくて。調子の乗らなかったら前方不注意もしなくて済んだのにと、ガチヘコみ。

 頭を下げたり気落ちしたりと、なんだか訳ありな感じの女の子たちに囲まれてるわけですよ。ファミレスで。周りに人目があるわけですよ。さらし者ですよ?

 まだ、声は響くけど誰もいなかった病院の待合室の方がマシだったかもしれない。変な目で見られたらたまったもんじゃないと、必死こいて「気にしなくていいからやめてくれ」と説得したのは言うまでもない。

 なんやかやあって、ファミレスを出て。ひとり暮らしの部屋まで車で送ってもらった。

 この時、事故ったスクーターを放置していたことに気付いたけど。明日、病院に行った帰りにでも拾いに行けばいいか、なんて考えて。その晩はもうすぐに寝てしまった。

 で、翌朝。クラスの担任の先生と、恋人の柚子さんに連絡を入れてから病院へ向かう。柚子さんにはえらく驚かれて、むちゃくちゃ心配された。申し訳ないと思いつつ、嬉しくもあったね。なだめるのに時間がかかって、病院へ行く時間が少し遅くなってしまった。

 幸い、思わぬ訪問者で解決したけれど。

 

「おはよう、大瀬良君」

「ナカジマさん?」

 

 玄関を開けたら、制服姿のナカジマさんがいた。

 昨夜は送ってもらったから、オレの家を知っているのは不思議じゃない。でもこんな朝からどうしたの? と思ったら。なんでも病院まで送るつもりでわざわざ来てくれたらしい。

 なんて律儀な。でもものすごく助かる。

 

「ナカジマさん、ありがとうございます」

「いやいや、お礼なんて言われたら困っちゃうよ」

 

 彼女としては少しでも罪滅ぼしを、という気持ちなんだとか。しかもホシノさん、スズキさん、ツチヤさんと4人揃ってのお出迎え。さらにスクーターを回収するため、オレを病院へ送る車とは別に軽トラまで駆り出していた。なんて律儀な。でもものすごく嬉しい。

 

「本当に、ありがとうございます」

 

 本気で感謝の気持ちを込めて、頭を下げた。途端に、ホシノさんもスズキさんもツチヤさんも、同じように慌て出す。「悪いのはこっちだから、これくらいは」と彼女たちは言うけれど、オレは自分で勝手に転んだと思っているので。どうにも申し訳なさの方が大きくなってしまう。

 でも助かることは事実なので。お言葉に甘えることにした。ナカジマさんとツチヤさんの車で、オレは病院へ送ってもらい。ホシノさんとスズキさんの軽トラ組は、昨夜オレが転んだところへスクーターを回収に向かう。いやもう、本当にありがたい。

 わざわざ送り迎えまでしてもらって、病院で午前中からいろいろ検診やらをした結果。やっぱり異常なし。骨が折れたとか内臓を痛めたとか、そういうのはまったくなかった。痛かったところも一晩寝たらなんともなくなったしね。良かった良かった。

 なぜか病院でオレを待っていたナカジマさんとツチヤさん、さらにスクーターの回収を終えて合流してきたホシノさんとスズキさんにも、異常なしの旨を伝える。すごくホッとしたようで、胸を撫で下ろしていた。

 彼女たちのその反応が、起こした事故が大事にならずに済んだってことじゃなく、純粋にオレのことを心配してくれていたのが伝わってきて。なんだがすごくありがたくなってくる。

 自然とお礼を言いながら、頭を下げてしまうくらいに。それを見て4人がまた慌てたりするわけだけど。ついつい笑みを浮かべてしまったのは、許してほしい。

 

「とりあえず、大瀬良君のスクーターはあずかるよ」

「きっちり直してみせるからな」

「これでも腕前は車両整備のプロにも認められてるからね」

「むしろ前よりも乗り心地良くしてあげるから。期待してていいよ」

 

 昨夜のことから学習して、オレは早々に病院の外へと出る。

 駐車場へと移動しながら、4人と話をしたんだけれども。その流れで、ナカジマさんたちに事故ったスクーターを修理してもらうことになった。

 そこまでしてもらうのはどうかと思ったけど、「任せろ」と意気込む制服姿のナカジマさん、ホシノさん、スズキさん、ツチヤさんの意気込む姿がなんだか可愛らしくて。負担にならないのなら、と前置きをした上でお願いすることにした。もっとも、自動車部を名乗る彼女たちにしてみると朝飯前のことらしいんだけどね。

 オレとしては、それだけでも十分なのに。

 

「他に何か、お詫びにできることってないかな」

 

 なんてことを言うナカジマさん。

 いや本当に充分ですよ。マジで。

 

「でも修理だけでいいなんて、申し訳なくてこちらの気が済まない」

「なんでもするから、遠慮しなくていいよ?」

「そうそう。何か思いつくこと言ってみて」

 

 スクーターの修理も相当なものだと思うんだけど、どうやら本気で言っているようだ。どれだけ遠慮しても、ナカジマさんたちは引こうとしない。困った。そこまで気にしなくてもいいんだけどなぁ。

 あと、女の子がうかつに「なんでもする」とか言うのは危険だと思う。彼女たちが弱みに感じていると分かったら、そこにつけ込むような奴だっているかもしれないのに。

 でも、そうだな。

 弱味につけ込むようなお願いをして、お礼はもういいよってことを分からせてしまおうか。ついでに「なんでもする」っていう言葉の危険性にも気づかせよう。

 そんなことを思いついてしまって。

 

「じゃあ、みんなに。思いっきり、ぎゅーっと、ハグさせてほしいな」

 

 口にしたのは、紛うことなきセクハラだった。

 もっとも、本当にする気はなかった。ナカジマさんもホシノさんもスズキさんもツチヤさんも、顔を赤くして身を固くした。それだけで満足する。

 ……今考えてみると、杏さんにもやった「バツの悪さにつけ込んでなにかさせる」って、この時が初めてだった気がする。

 

「なんでもするとか言うと、こんなことも言われかねないでしょ? 気持ちはすごく嬉しいけど、本当にもう十分だから」

 

 この時はもう、みほにまほに加えて、柚子さんも恋人だったから。女の子を抱きしめたいなら恋人を相手にするし。

 少し言葉を選べ、という気持ちを込めて、諭すように言う。

 言ったんだけど。

 

「よし、分かった。さぁ来い、大瀬良君!」

「はぁ?」

 

 ナカジマさんが、思い切るように拳を握ってから、両手を広げてそんなことを言い放つ。これにはオレも思わずびっくりだった。

 

「おい、ナカジマ!」

「ナカジマ、本気か!」

「うわぁ、思い切ったなぁー」

 

 顔を赤くしたまま、オレの言ったことを受け入れようとするナカジマさん。残りの3人は「マジかよ」みたいに驚きの声を上げる。

 というか、言った当人のオレが一番びっくりしてるよ。

 身長の小さめな、杏さんよりは高いけど、アッサムさんよりは低いかな、くらいのナカジマさんが。オレと向き合って、顔を赤くしながら両手を広げている。

 なにこれ可愛い。

 胸キュンしたオレは、気がつけばナカジマさんをハグしていた。

 

「うわっ。本当に抱きついたぞ」

「大瀬良君、なんだかいいこと言ってたっぽいのに」

「でもさすが、彼女持ちは慣れてるなぁ」

 

 囃し立てるような3人の声はとりあえずスルー。でもナカジマさんは仲間たちの声も届いていないみたいで。自分から「来い」と言ってきたにも関わらず、抱き着かれた状態で、手を広げたまま硬直していた。

 ナカジマさんとオレは身長差がそれなりにあったから、ちょっと覆いかぶさるような形に。抱きつく、というよりももたれ掛かるような感じだ。

 彼女の腰に手を回し、肩を支えるようにしているけれど、触れているのは手の甲。気休めではあるけれど、手のひらで触れないように、締めつけたりしないように気をつけながらハグをする。ナカジマさんの感触は十分伝わってくるけどね。

 

「ナカジマさん、ごめんね。ありがとう」

 

 身体を離しても、彼女は手を広げた状態で固まっていた。どうやら想像以上に衝撃を与えてしまった様子。

 あるいは、まさかとは思うけど。

 

「もっとハグして欲しかった?」

「え。いやっ、違うよ! いやいやいや!」

 

 我に返ったナカジマさんが、手と顔を思い切りぶんぶんと振りながら否定する。それはそれでちょっと傷つくぞ。

 まぁ、昨日会ったばかりの男に抱きつかれた、なんてのは拒否反応があって当然だろうし。わたわたと取り乱す赤面した女の子を見れて眼福、と思っておこう。

 

「ごめん。なんだか偉そうなこと言っといて、ナカジマさんをハグしたくなっちゃって」

「えーと、さぁ来いって言ったのは私の方だし……」

「勢いってのもあるかもしれないけどさ。でもいきなり男に抱きつかれるとか、女の子なら普通は苦痛でしかないんじゃない?」

 

 そう考えてみると、なんでもするとか言ってきたとはいえ、やっぱりやり過ぎたかな。

 なんてことを思っていたら、ナカジマさんはこれにもぶんぶんと手を振って否定してくる。

 

「私って、車いじりとかばっかりで、女の子っぽいところが特にないからさ。こういう扱いをされるのが新鮮だったというか」

 

 びっくりしたのと、恥ずかしさはあるけれど、嫌悪感みたいなものはあまりないみたいだった。まだ顔を赤くして、何かを取り繕うように笑うのがなんだか可愛い。

 でも、女の子っぽさがないとかどうとか言う彼女に、オレは首をかしげてしまう。

 

「えー。そうかなぁ」

 

 ハグした時に伝わってきた柔らかさとかはひとまず置いておいて。

 女の子っぽくないと言ってるけど、じゃあ男臭くて粗暴かと言われればそんなことない。明るくて、相手のことを気遣えるところは、男女関わらず好ましい。車いじりが好き、っていうのは趣味の問題だし。別に非難されることじゃないでしょ。

 

「ナカジマさんに限ったことじゃないけど、異性として避ける理由にはならないんじゃない?」

「……そう、かな」

「少なくともオレは気にしないかなぁ」

「でも、いつも機械油で汚れてるんだよ?」

「食事時とか、要所できちんと綺麗にしてれば、問題ないんじゃない?」

 

 むしろ汚れた手で食事を始めたら、オレはキレる自信がある。

 でも、そうか。趣味に没頭して周囲の目をあまり気にしていないから、異性に対しての警戒感が薄いのかもしれない。オレの場合は、車で轢きかけた、っていうのもあるだろうし。その弱みにつけ込んだお前が言うな、とか突っ込まれそうだけど。

 ともあれ。勢いでハグしてしまったとはいえ、嫌われたりはしていないようなので、良かった。

 と思ったら。

 

「よしっ! 次はホシノだ!」

「うっ。やっぱりそうなるのか」

 

 ナカジマさんが、はい次の人、とばかりに言ってくる。指名されたホシノさんが、やや顔を赤らめながらたじろいで見せる。

 ツナギ姿の時は、姉御というかイケメンというか、なんとなくキリッとした印象があったけど。制服姿でわたわたしている今は、なんだか親しみを感じて、可愛らしい。ナカジマさんとオレの顔を交互に見ながら、どうすればいいのか分からない感じだ。

 すでにナカジマさんをハグしてしまったので、ここで止めるわけにもいくまい。

 オレは腹を括って、ホシノさんに向けて両手を広げる。

 

「うぅ……」

 

 たじろぐホシノさん。

 ゴーゴーと、なぜか煽るナカジマさん。

 「おいで」とばかりに、飛び込んでくるのを待つオレ。

 ……今さらだけど、なんだこの状況。

 

「よしっ。行くぞ」

 

 意を決したようにホシノさんが一歩踏み出して、オレの正面に立つ。ただし、手を自分の胸に押さえ込むようにして、心なしか身を縮ませながら。

 怯えている、というわけじゃなさそうだけど、少しびくついているような様子。至近距離で、顔を赤くしながら不安げに見つめてくるのが可愛らしい。

 

「よいしょ」

「あっ」

 

 ホシノさんの背中から、腰の後ろ当たりに手を回す。もちろん、手のひらで彼女の身体に触れないように気をつけて。手の甲を当てながら、強くならない程度に引き寄せて。彼女の肩にあごを乗せる。

 密着、とまではいかない。ホシノさんとオレの身体の間には彼女の腕が差し込まれているから、胸を押しつぶしている感触もない。可愛い女の子を抱き寄せている、っていうことには変わりないけれど。

 でもホシノさんの場合、可愛いというよりもカッコイイに入るのかな。雰囲気や見た目的に。

 

「真っ赤になってもじもじしてるホシノさんは、すごい可愛いけど」

「え。いや、それは。えっと」

 

 いやマジで、可愛い。まなじりを下げる、というと言い方が悪いか。ツリ目の目尻をゆるめて、自信なさげというか儚げというか、そんな雰囲気にギャップを感じてしまう。

 しばしホシノさんをハグする感触を堪能して、離れる。彼女は胸の前で手を組んだ状態のまま、顔を真っ赤にして固まったままだ。

 ……あれ。今のオレ、思ってたことを実際に口にしてなかったか。彼女の耳元で。

 

「すごいな。ホシノが口説かれてたぞ」

「あんなにカチンコチンなホシノ、初めて見た」

「でも内心でパニクってるのが丸分かりだね」

 

 やっぱり、声に出してたらしい。気付かなかった。

 誉め言葉はきちんと苦にするのはいいことだとオレは思ってる。でも女の子相手にそれをやると口説いてるように聞こえるらしいんだよね。みほたちに良く言われる。恋人になる前の杏さんにも言われたなぁ。

 これ、今は特に自重した方がいいよね? 流れからすると、スズキさんとツチヤさんにもハグすることになるんだけど。どうしたものか

 口は禍の元?

 いやいや。正直、幸福でしかないでしょ。

 ちらりとスズキさんとツチヤさんに目を向けたら。

 ふたり揃って、顔を赤くさせた。

 

 

 

 ―続く―




中途半端にぶった切ってしまい、すまない。
槇村です。御機嫌如何。


アンツィオの「ローマの休日」編で言っていた事故云々は今回の話のこと。前振りの回収である。
本当は自動車部4人分を今回で全部書くつもりだったんだけど、書ききれなかった。

次回も回想編。スズキとツチヤをハグします。その後の話も少し。
次々話で時間軸が元に戻ります。


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