2コマ堕ち的ハーレムエロす in ガルパン 作:槇村 a.k.a. ゆきむらちひろ
学園艦・大洗学園は、新学期を前にして母港である大洗港に帰港している。
新年度前といってもまだ3月末だからか、学園関係者の忙しさには波があるらしい。今日はその波が高い日のようで、先生方も生徒会もいろいろやることが多くて大わらわだとか。
柚子さんと杏さんは、その渦中で生徒会室に詰めっ放しになる様子。帰りも遅くなりそうとのことで、今日はウチに立ち寄らずに直帰するという連絡があった。
「その代わり、明日の登校前に、大瀬良くんのところに寄るから」
「俊一くん成分を充電させてもらうためにね」
……直帰っていう言葉の使い方に少し違和感を覚えたけど、可愛いことを言ってくれる恋人たちの前では些細なことだな。うん。
ちなみに今日は、まほも不在だ。
「ナカジマたちと、学園艦を降りてくる」
なんでも、内地の自動車工場に出向く用事ができたらしい。
戦車の整備絡みで、ナカジマさん、ホシノさん、スズキさん、ツチヤさんの4人が馴染みにしているという工場で、なにやら都合してもらうとかどうとか。
……女子校生が行きつけにしている工場、か。えらいパワーワードだな。
「俊一くんを独り占め~」
そんなこんなで。オレの側にいるのは、みほだけになる。彼女は下艦するのについていかなったらしく、思わぬところでふたりきりになれて御機嫌だ。可愛い。
せっかくなので、みほちゃんを存分に愛でる。
頭を撫でながらイチャついたり。
そのままエッチなことに雪崩れ込んだり。
一戦終えてそのままダラダラしたりと。
まったりとした時間を過ごしていた。
「ちょっと早いけど、夕食の買い物に行こうか」
「行くっ」
夕方近くになって、みほと連れ立って夕食の買い物に出掛ける。
……さっきまで裸で抱き合ってた女の子が、思い切りナカに注いだモノを溜めたまま、オレのすぐ隣を笑顔で歩いてる。そう考えると、申し訳ないと思いながらも興奮してしまう。
いかんいかん。外では自分を律すること。エロいことは部屋の中だけ。
そんなオレのリビドーと葛藤を知ることなく、みほは、オレと手をつなぎながらニコニコ顔で歩いている。可愛い。
ほっこりして、気持ちを改めてから。夕食の献立に頭をひねる。
「さて、何を作ろうかな」
とりあえず用意するのは、みほとオレのふたり分。でも、まほ、柚子さん、杏さんにも、帰ってきた後なり明日以降なりに食べてもらうのもいいなぁと考える。
ならば、作り置きができて、なおかつお疲れさまな3人の疲れが癒せそうなもの。あるいは力が出てきそうなものがいいかな、と考えて。
「ハンバーグにしようか」
「俊一くんのハンバーグ!」
みほが、オレの言葉に即反応して、手を上げる。可愛い。
というわけで、ハンバーグ。タネを多めに作り置きしておいて、不在の3人には後々、良きところで振る舞えばいいかな。
めでたく夕食に作るものが決まって。みほを連れたオレはスーパーに来店して、もろもろの材料をカゴに入れていく。
やや多めのひき肉。
玉ねぎ。
牛乳にパン粉。
卵はまだ冷蔵庫にあったはず。
調味料は足りないものはないはずだから……。
気がつけば、そこそこの量になってしまった。
金銭的にもそこそこいったが、まぁ、恋人たちが喜んでくれると思えば。
「俊一くん。袋、持つよ?」
「じゃあ、ひとつお願い」
「はーい」
いっぱいになった買い物袋がふたつ。みほにひとつを渡して、空いた片方の手を、彼女の方に差し出す。すると、みほは嬉しそうにオレの手を取った。
みほとオレ、それぞれが片手に買い物袋を提げて。もう片方の手は互いに握ったまま歩き出す。仲良く手をつないで、オレの部屋への家路につく。
「あっ」
その道中で、みほが声を上げた。
何かと思えば、誰か知っている人を見つけたらしい。この学園艦に上がって早々に知り合って、友達になった同級生だという。
「そういえば、話は聞いてたけど、どんな人かはまだ知らないな」
「俊一くん、紹介するよ」
言うやいなや、みほは買い物袋を手にしたまま駆け出そうとする。
オレは待ったを掛けて、彼女が持っている買い物袋を引き受ける。
みほは礼を言ってから、改めて駆け出して行った。
その先には、私服姿の女の子が、ふたり。
「沙織さん! 華さん!」
みほが声を上げると、相手も気がついたようで。手を振って応えてくる。
あぁ、みほの交友関係が確実に広がっている。良きかな。
そんな保護者目線で見てしまうのは、熊本時代のどんより顔を知っているからだろうか。
「あれー。みぽりん、何してるの?」
「こんにちは、みほさん」
親し気に挨拶を返すふたり。
みほいわく、同じ学年だということだけど。オレ自身は見覚えがない。1年の時のクラスメイトじゃないとすれば、違うクラスの女子生徒なんだろうと、少し頭をめぐらせながらそんなことを考える。
笑顔でおしゃべりをしてる、みほにほんわかしながら。買い物袋を両手に提げたオレはゆっくりと彼女たちに近づいていく。
女の子たちふたりも、オレに気付いたようだ。
「ねぇねぇ、みぽりん。後ろの人って」
「あら。もしかしてその方が、みほさんが以前におっしゃっていた……」
「うん。俊一くんだよ」
わたしの大切な人です!
ばばーん、みたいな感じでそう紹介してくれる。
みほ、めっちゃ、嬉しそうなんだけど。
躊躇いなく「大切な人」と言ってくれることに、少し恥ずかしさを感じながら、もっと大きな嬉しさがこみ上げてくる。
「はじめまして。みほちゃんとお付き合いしてる、大瀬良俊一です」
自分からも名乗りながら、頭を下げる。両手に買い物袋を提げたままだから、全然さまになってないけどな。
顔を上げると、なにやらオレを凝視しているふたりが。
あれ、会ったことあったっけ?
なんて思っていたら、彼女たちの方から話し掛けてきた。
「気になっていたのですが、もしかして生徒会の……」
「あっ、そうだよ。転入早々に、あの副会長をオトしたっていう有名人!」
君たち、初対面なのにずいぶんとズバズバくるね。
まぁ、そういう言われ方をするのは想定内だし、仕方ないこと。オレの不徳の致すところではあるけれど、今さら改めるつもりはない。
「自分で言うのもなんだけど。うん、その人です」
「俊一くん、本当に有名人だったんだ」
「こういうことで有名になっても、普通は嬉しくないと思うんだけど」
「でも柚子さんみたいな先輩とくっついたなら、騒がれても仕方ないんじゃないかな。柚子さん、いろいろ慕われてても不思議じゃないし」
「そうだよなー。柚子さん、魅力的だもんなー」
「そんな柚子さんをオトした俊一くんも、魅力的だよ?」
「みほちゃん、オトしたって言い方は止めない?」
屈託のないやり取りを、笑いながら交わすオレとみほ。ついついいつものノリで、目の前の女の子たちを置いてけぼりにしてしまったけど。
放置するのはよろしくないと、みほを促せば。慌てて彼女たちに謝り出す。あわあわした身振り手振りが可愛らしくて、またしてもほっこりしてしまう。
彼女たちの方も、気を悪くしているようには見えなかった。というより、唖然としているというか、呆れているというか。そんな感じ。
「みほちゃん、落ち着いて。はい、深呼吸深呼吸」
「はううううう」
買い物袋をひとつ、地面に置いて。片手を空けてから、みほの頭を撫でて落ち着かせようとする。彼女は慌てた様子を少しクールダウンさせて、言われた通りに息を吸い、息を吐く。
……頭にオレの手を置いたまま深呼吸する、みほ。うん、可愛い。
なんてことをしていたら、目の前のふたりの方が先に我に返ったようで。
「いいなぁ。仲の良さが自然な感じで、うらやましい……」
「想像していたよりも、普通の男性なのですね……」
なにやら、オレたちをうらやむ声と、弄ばれているのではないかと危惧していたような言葉が向けられた。みほからいろいろなことを聞いていたようで、実際にオレを見て漏れ出たみたいだ。
さて。
みほも落ち着いてきたあたりで、改めてお互いに自己紹介をする。
武部沙織さんと、五十鈴華さん。
新学期から2年生になる、みほやオレと同い年。
なんでも、学園艦に上がったばかりのみほが、コンビニを探していた時に道を尋ねて、それをきっかけに知り合ったとか。転入してきたこととかを話しているうちに仲良くなったんだという。
恥ずかしがりなところがあるみほが、コミュニケーション能力を上げているのが感じられて感涙を禁じ得ない。いいことだ。
「新学期から新しく同級生になるとか、彼氏を追い掛けて転入してきたとか。恋愛マンガみたいなことって、本当にあるんだね」
「行動力があって、まぶしいくらいですわ。わたくしも見習いたいです」
「でも、俊一くんと出会ってなかったら、こんな思い切ったことできてなかったかもしれないし」
みほの、出会った頃から何度も聞いている「オレのおかげ」という言葉。
きっかけにはなったかもしれないけど、実際に行動に移したのは、みほだし。悩んだのも考えたのも、決めたのも、みほ自身だ。オレがどうこうというのは持ち上げすぎだと思うんだけど。それを口にするとムキになって反論されるので黙っている。
まぁ、悪い気はしないけど、ね。
にやけそうになる顔を、力を入れてこらえながら。
ごまかすように、みほの頭をまた撫でてしまう。
「あれ? みぽりんと付き合ってるってことは、副会長は?」
「柚子さんも恋人ですよ?」
不思議そうに首を傾げた武部さんに、ストレートな答えを返したオレ。
途端に、彼女の表情が引きつった。
うん。そういう反応が普通だよね。
「ということは、みほさんと副会長のおふたりとお付き合いを?」
「うん、そう。彼女たちの公認を得たうえで」
訝し気な顔をした五十鈴さんに、これまた素直に答えるオレ。
聞くや否や、彼女の表情がより険しくなった。
うん。何を言いたいのか良く分かるよ。
そんなふたりの内心を知ってか知らずか。
「俊一くんのことが大好きな恋人仲間は、いまのところ5人いるから」
みほがあっけらかんとぶっこんだ。
さすがに五股とまでは想像できなかったんだろう。武部さんも五十鈴さんもびっくり顔だ。
さらに、みほとまほの姉妹で熊本時代からお付き合いをしているとか、西住姉妹と柚子さんはオレの両親に紹介済みだとか、みほが勢いよく吹き込んでいく。
これ、止めた方がいいのかなオレ。
「なんだろう。うらやましいというか、なんというか……」
「ここまでくると、不誠実ですとかふしだらなどと言うのも、空しい気がしますね……」
毒気を抜かれたような顔になったふたり。言いたいことはあるけれど、みほが当事者なのにむっちゃ笑顔で幸せそうにしてるから。部外者がどうこう言うのもなぁ、みたいな感じなのかも。
彼女たちの心境が窺えて、つい苦笑してしまう。
「まぁ、ほめられたもんじゃないことは自覚してるから。でも、オレのことは悪しざまに言ってもいいけど、みほちゃんのことは嫌わないでくれないかな。この娘、すごくいい子だからさ」
学校を移ってきて、自分で得た友達なわけだから。オレのせいで付き合いがなくなっちゃうのは、あまりに申し訳ない。
なんてことを思いつつ、深々と頭を下げてお願いをする。
「……」
頭を上げたら、さっきとは一転、驚いた顔をした武部さんと五十鈴さん。
と思えば、みほはなんだか苦笑いしてる。
え? オレって何かした?
「うぅん。なにもないよ、全然」
笑みを崩すことなく、みほは、オレの手をきゅっと握った。
なんなのか分からないオレを置き去りに、みほがいきなり張り切りだす。
「そうだ。沙織さんも華さんも、この後は予定ある?」
「え、ううん。別に何もないけど」
「はい。これといってすることは特に」
いきなりのお誘い。勢いにつられてか、ふたりは素に戻って返事をする。
それを聞いて嬉しそうに。
「じゃあ、夕ご飯を一緒にどうかな?」
みほが、武部さんと五十鈴さんをナンパした。
……あぁ、なるほど。オレと晩飯を食べるのは、ある意味いつでもできるわけだから。せっかく会った友達とご飯に行く、っていうのもいいかもしれないな。友達付き合いってやつだ、うん。
ならばオレはお邪魔だろうと考えて。食材の入った買い物袋を手にして、ひと足先に帰ろうとしたんだけど。
「ねぇ、俊一くん。あとふたり分追加することってできる?」
「は?」
みほから、虚をつくような言葉が。
もしかしてさっきのは、オレたちの晩飯に誘おうって意味だったの?
んー。
でもさ、みほは良くても、彼女たちにはよろしくないんじゃなかろうか。オレとは初対面で、なおかつ印象もあまり良くないだろうし。
さらに言うならば、だ。
「場所はオレの部屋だよ。武部さんと五十鈴さんは抵抗あるんじゃない?」
五股上等な男の部屋に上がり込むとか、普通は避けたいでしょ。
……みほに関しては、初めて会った時に自宅へ連れ込んでた気がする。
それは、みほの精神状態がアレで緊急事態だったから。ノーカンで。
「とにかく。友達の恋人とはいえ、初対面の男の部屋に誘うのはどうかと思うけど。ハードル高すぎるんじゃない?」
「初対面……。そっか。そうだよね」
テンションがくるくる変わる、みほ。今度はなにやら悩むように、腕を組み、片手をあごに押し当てて、ムムムという感じに唸っている。
忙しいなぁ。可愛い。
というか、悩むようなことかコレ。変なことを言ってるつもりはないんだけど。それともオレの考え方が、男女の観念的に古風とか古臭いとか、そういうことなのか。
などと、オレはオレでぐるぐると思い悩んでいたら。
「えっと。大瀬良くん、でいいんだよね」
「はいはい」
武部さんから話し掛けられる。
ふわふわな感じの長い髪と、おっとりした雰囲気。
ちょっと垂れ目きみで、明るくなったみほと、なんとなく似てる気が。
でも、みほよりも社交的な感じ。
ちょっと話をした限りではノリも良い。
場を賑やかにするムードメーカーっぽい、というべきか。
「みぽりんに誘われたけど、それって、自分たちが夕ご飯を作るから来なよ、ってことなのかな」
「オレもいきなりだったからびっくりしたけど。みほちゃんはそのつもりだったみたいだねぇ。作るのはオレだから、許可をもらおうとしたってことじゃないかな」
「あら。大瀬良さんが作られるんですか?」
今度は、五十鈴さんが会話に加わってきた。
綺麗なストレートのロングヘア。お淑やかな和風のお嬢様って印象。大和撫子ってやつか。
でも言うことはきっぱり言う、気の強さみたいなのを感じた。オレに対しても警戒するような目を向けてたし。うん、正しいと思うよオレは。
オレを見る目がちょっと険しかったのは、たぶん、女性に対してだらしない奴、というイメージを抱いたからだと思う。
でもその態度は、新しい友達のみほを思ってのことだというのは分かる。だからオレとしては、むしろ好ましい。
でもその割には、みほの誘いに乗り気味なのが意外だけど。
「もともと、みほちゃんと夕食の予定だったし。今日はいない娘たちの分も作る予定だったから。オレとしては人数が増えても問題はないけど」
いいのか? 五股男の部屋に上がることになるんだぞ?
オレなりにそう注意をしたつもりだったんだけどなぁ。
どうやら武部さんも五十鈴さんも、オレが心配しているようなことは気にも留めていないようだった。
これは信頼されているのか、それとも舐められているのか。
考え過ぎなのかな。そんなことないと思うんだけどなぁ。
心中複雑なオレを置いてけぼりにして、みほたちの話は進む。
「俊一くんのオッケーはもらえたから。沙織さんも華さんも、どうかな」
「んー。わたしは興味あるかな。みぽりんは、わたしの周りで初めての彼氏持ちだし。その彼氏も交えていろいろ話も聞きたいなーって」
「わたくしも構いません。むしろ同級生の殿方が作る料理に興味津々です」
結局、ふたり揃って我が家の夕ご飯にお呼ばれすることにしたらしい。
まぁ、細かいことを気にしてたら負けなのかも。みほは笑顔で喜んでるし。彼女が嬉しいなら、それでいいか。
「となると、もう少し食材を買っておいた方がいいかな」
手にした買い物袋を持ち上げながら、買ったものの内容と、冷蔵庫の中身を思い返す。武部さんと五十鈴さんの分は問題なくても、後で振る舞う予定だった、まほ、柚子さん、杏さんの分も用意するには足りないだろう。
「ってことだから、買い足してくる。みほちゃん、先に帰っててくれる?」
「うん、分かった」
返事をしながら、みほが手を差し出してくる。
じゃあよろしくと、買い物袋ふたつを手渡した。
オレはこのままスーパーに戻って、追加分の材料を買ってこよう。
「あ、ご飯だけは炊いておいて。ちょっと多めに」
「はーい」
なんて言葉を自然に交わしつつ、反転。
オレは再びスーパーへと向かった。
「みぽりん! 今のイチャラブ夫婦みたいなやり取り! うらやましい!」
「みほさん、今のは見ていてときめきました。ぜひともお話を」
なぜか、みほを問い詰める武部さんの姿が見えたけど、スルー。
何も聞こえないぞ。
申し訳ないけど、みほが慌てたような声を上げたのも、聞こえないのだ。
仲良きことは美しきことかな、ってね。
笑いをこらえつつ、その場を離れるオレだった。
―続く―
さおりんが妄想しそうなことは、ウチのみほ、ほとんど経験済みなのでは……。
槇村です。御機嫌如何。
はい。ようやくあんこうチームが登場です。
まずは沙織さんと華さん。
今回は顔合わせだけ。区切りが良かったからここで切った。
次回、食事が絡んだのほほんトークが展開されます。
華さんが、案外書くの難しい。言葉遣い、なのかな。
反面、さおりんが動かしやすい。
本文にも書いたけど、明るくなったみほって、さおりんっぽい気がする。
そう感じるのオレだけかな。