2コマ堕ち的ハーレムエロす in ガルパン 作:槇村 a.k.a. ゆきむらちひろ
生徒がいっぱい集まっている校舎の入口で、まほに頬ずりされたり、みほに抱きつかれたり、周囲の目に気がついたみほが真っ赤になって慌てたりと。わちゃわちゃしたやり取りがひと段落ついてから。オレとみほ、武部さんに五十鈴さんは、2年生の自分のクラスへと移動する。
廊下を歩きながら、みほは周囲にきょろきょろと目を向けている。生徒会室には何度か足を運んだことがあるものの、教室がある棟は初めてだからかな。でも周りに気を取られているせいで、少しばかり危なっかしい。
「ほら、ふらふらしない」
「ふわっ」
行き交う生徒や、廊下の壁などにぶつかりそうになる。そのたびに彼女を引き寄せる。オレたちのそんなやり取りを見つめる、武部さんと五十鈴さん。視線を感じはしたけれど、悪い感情ではなさそうなのでスルーした。
そんなこんなで、新しい2年生の教室に到着。
でも教室に入るなり、一瞬ざわついたような気がした。
なんだなんだと思う暇もなく、男友達連中が迫ってきた。そのままオレの手を引いて教室の隅に連れ込む。なんだなんだ。
あ、クラス分け表を見て分かってたことだけど、お前らも一緒のクラスだな。よろしくなー。
なんて軽く挨拶をしたもの、こいつらは「そんなことはどうでもいい」と一蹴してきやがった。それよりも校舎入り口でのことだ、とグイグイくる。小声だけれど、すごい勢いで。見てたのかお前ら。
いわく。
副会長の柚子さんと付き合ってるのは知っている。
でも違うタイプのお姉さんとイチャついていたじゃないか。
しかもまた別の女の子と親しそうにしている。
どういうことだ。
妬ましい。
うらやましい。
自分たちもモテたい。
カノジョが欲しい。
どうすればいいんだ教えてくれお願いします。
などなど。
最後は本音がダダ漏れで懇願になっていた。
お前ら「女の子と接するのがなんか怖い」とか言ってなかったっけ?
でも、いいね。素直で好感が持てるよ。
とりあえず、迫ってくる連中をなだめて。後でゆっくり話をしようじゃないかと落ち着かせる。
ホームルーム前の短い時間で適当に済ませていいのか?
そう言ったら、迫ってきた全員が受け入れてくれた。よしよし。
こちらが治まって、みほの方に目を向けてみると。武部さんと五十鈴さんを間に挟んで、新しいクラスメイトとなにやら話をしていた。どうやらふたりの紹介で、挨拶やおしゃべりのきっかけをつかむことができたようだ。
うん、いいね。みほにもっと友達が増えたら、オレも嬉しい。
ほんわかしてると、男友達連中がまた絡んできて。再び問い詰められる。
なんだあの可愛い子は。
お前えらく親しげじゃないか。
妬ましい。
うらやましい。
自分たちもモテたい。
紹介してくれお願いします。
などなど。
また同じようなやり取りになる。
思ったよりも必至だなお前ら。
でも最後の。みほを異性の相手として見るなら紹介しないよ。彼女はオレのモノだから。手を出そうとしたら全力で立ちふさがるからね。
そんなオレを見て、連中は揃って顔をひきつらせた。
後で聞いたら、えらい迫力で怖かったらしい。
……そんなに凄んだつもりはなかったんだけど。
さてさて。
そんなタイミングで担任の先生がやってきて。おしゃべりをしていた生徒たちが席に着く。ひとまず出席番号順に座り、先生が簡単な自己紹介と挨拶。これからの予定などを説明する。
それからすぐに、始業式をする体育館へと移動した。学校初日のお約束だよね。
でもまぁ、だからこそ。
「特に珍しいことはないな」
体育館でクラスごとに並びつつ、始業式が進むのをぼんやり眺める。男女問わずクラスメイトの連中はみんな「早く終わんねーかなー」みたいな顔をしてた。いや、みほだけはなんだかニコニコ顔だったけど。
そんなこんなで、ようやく式が終わったかと思ったら。続けて新設される必修選択科目なるものの説明会が始まった。
ぶっちゃけると、戦車道についてのオリエンテーションだ。
生徒会執行部の皆さんが、生徒たちの前にやってきて。さらに生徒会三役の、杏さん、柚子さん、桃ちゃん先輩が壇上に登場する。
キリッとした顔で、桃ちゃん先輩が戦車道が始まる経緯の説明をして。
柚子さんのナレーションで「戦車道入門」なる映像が流され。
杏さんがゆるい感じで「参加待ってるよー」みたいなことを言う。
そして、戦車道をやるとこんなに得だよという餌が撒かれた。柚子さんが「どうやって人を集めようか」って悩んでたけど。結局は分かりやすい特典を用意して釣り上げることにしたらしい。
でもこれが結構すごい。
食券だとか、遅刻見逃しだとか、通常より3倍の単位だとか。
本当なのかなコレ。
でもオレが女だったら、食いついて戦車道を選ぶと思う。
実際、戦車道に惹かれた女子生徒はそれなりにいたようで。
「戦車道ってすごいんだねー」
体育館から教室へと戻る道中、武部さんがすごく盛り上がっていた。その勢いで迫ってくる彼女に、みほはタジタジ。さらにその横で、五十鈴さんもなんだか陶然としているみたいだ。
「みぽりんみぽりん、戦車道をすればわたしもモテモテ?」
「モテモテはともかく、戦車道って素晴らしいじゃないですか。わたくしも、アグレッシブなことをやってみたかったんです」
どうやらふたり揃って戦車道に興味を持ったらしい。まっとうに。特典目当てで選びそうとか思っていた自分がなんだか恥ずかしくなってくる。すいませんでした。
オレのことはともあれ。みほは、盛り上がる友人ふたりを見てどことなく嬉しそうだ。自分が好きなものに興味を持ってもらえて、御機嫌といったところか。可愛い。
「戦車道って、もともと始まりは女性の……」
廊下を歩きながら、みほが戦車道について説明をし始めた。
武部さんと五十鈴さんが、その両隣で耳を傾けている。
話の内容が気になったのか、クラスメイトの女子も何人か集まってきた。
オレは口を挟まずに、微笑みながら彼女らの後ろを歩くだけ。
みほが楽しそうに話をして。
思いのほか大人数が聞いていることに気付いて顔を赤くしてしまい。
その慌てぶりに周囲がほんわかする。
「あー。よかったねぇ、みほちゃん」
なんて、あたたかな目を向けてしまうオレだった。
良きかな良きかな。
そんな風に教室まで戻って、軽いホームルームが終われば今日の学校は終了。始業式が終わればもう特にやることはなく。お昼前くらいには帰宅できてしまう。
みほは、武部さんと五十鈴さんと一緒にクラスメイトとのおしゃべりに参加していた。
まほも、クラスメイトたちと少し交流をしてから帰るというメールが。
オレはオレで男友達連中に捕まって、みほたちについて話を聞かせろと迫られていた。後で説明すると言っちゃってたし。今日はオレも男連中とつるむことにしようか。
となればさっそく繰り出そう。
その前に、恋人4人にその旨をメールしておく。
今日は男友達と連れ立って帰るよ、と。
送信するや否や。目の端に映っていたみほがスマホを取り出して。すぐさまこちらに顔を向けた。笑顔でうなずいて、ひらひらと小さく手を振ってくる。可愛い。オレも手を振り返してあげる。
そのやり取りを見た男友達連中が、揃って激情。話を聞かせてもらうと、オレの腕を取って引きずっていく。
同時に、みほの方も。「キャー」みたいな声を上げるクラスメイトの女子たちに囲まれて、キラキラした目で迫られていた。
問い詰められるのは確定だな、と。他人事のように思ってしまった。
さてさて。
男友達らと雁首並べて、恋人たちと付き合う経緯だとか惚気だとかを差しさわりのない程度に話したり。はたまた手を出したらどうなるか知らんぞと釘を刺したりして。久しぶりに男子同士のトークを楽しんだ。
帰宅してグダグダしているうちに時間は過ぎ。夕方近くになって、みほとまほが連れ立って部屋にやってきた。
「いらっしゃい」
「ただいまー」
「お邪魔するぞ」
上がり込むなり抱き着いてくる、みほとまほ。ハグは日課とはいえ、今のふたりはたいそう御機嫌だ。何があったかを聞くまでもなく、テーブルに着くなり話し始める。
ふたりともそれぞれ、新しいクラスメイトと仲良くなることができたようで。特に、戦車道が絡まずに接することができるのが新鮮だったらしい。
「たぶん、黒森峰で新学期を迎えていたらこうはならなかったよ」
「黒森峰は西住流のお膝元、という空気があるからな。どうしても戦車道ありき、で見られてしまうのは避けられないだろう」
「特にお姉ちゃんは、次の家元候補で、隊長だったから」
「同級生との会話で、戦車道のせの字も出てこないというのが新鮮だった。どれくらいぶりなのか分からないぞ」
みほも、まほも、笑顔で楽しそうに話をしている。オレはそれを眺めながら、ただニコニコと相槌を打つばかりだ。
他の話題としては、やっぱり恋人関係についても聞かれたらしい。
みほは、教室でオレに手を振ったのを見られた流れで、出会いから転入してきた経緯まで盛大に語ったらしい。大好きオーラを全開にして。マジかよ。
まほも、朝の校舎入り口でのスキンシップを見たクラスメイトがそれなりにいたようで。そこからいろいろ聞き出そうとしていたらしいんだけど。むしろまほの方から、同じように出会いから転入してきた理由まで全部語ってみせたんだとか。妹と一緒に恋人として受け入れてもらっていることも含めて。
さらに、その場には柚子さんと杏さんもいたらしく。ふたりも、オレとの付き合いを惚気始めて。その相手が同じ年下の男ということにざわついたとか。
「またオレは有名人になっちまったか……」
「いや、さほど悪い印象は持たれていないと思うぞ?」
「そうなの? 贔屓目なしで?」
「贔屓目なしで、だ」
自信満々に言う、まほ。ちょっとドヤ顔なのが、らしくなくて可愛らしい。思わず彼女の頭を撫でてしまう。
ともあれ。ふたりとも、男に囲われているみたいな意味で疎まれようなことはなかったようだ。むしろ生徒の比率が女子の方が多い大洗学園において、貴重な恋バナの発信元みたいな立ち位置になったらしい。なんだそれ。思わぬ展開にちょっと驚かされた。
でもまぁ、うん。
「みほちゃんも、まほちゃんも、大洗デビューは大成功だったみたいだね」
ふたりが転入初日の今日にあったことを楽しそうにしゃべっているのを見ていると、本当に良かったなぁと思う。
「これも全部、俊一くんのおかげだね」
……いやいや、さすがにそれはないでしょう。
みほの言うことに思わず「ないない」と手を振ってしまった。
でも、まほは妹の言葉になにやら深くうなずいている。
「私も、気負うことなく転入できたのは、俊一のおかげだと思ってるぞ」
「えー。まほちゃんも、それは言い過ぎじゃないかなさすがに」
姉妹揃って持ち上げてくるけれど、オレがそこまで何かしたってのはないんじゃないかなぁ。これは自分を卑下するとかそういうんじゃなく、マジで。
このオレの物言いも、西住姉妹は気に入らなかったらしい。
「でも、今のわたしが前向きでいられるのは、俊一くんが支えてくれてるっていう頼もしさを感じてるからだよ」
「私が黒森峰の外に出ようと決めることができたのは、俊一がいたからだ。この大洗に来て、柚子や杏という仲間のおかげで早々に馴染めたのも、俊一のおかげだぞ」
確かに、彼女たちが甘えてくると、思う存分甘やかしてしまうね。オレ自身も自覚はある。それが癒しというか安心感というか、ふたりの助けになっているなら、こんなに嬉しいことはない。
熊本で出会ったばかりの頃と比べて、みほもまほも、明らかに笑顔が増えた。オレと一緒にいることで、彼女たちが安らぎを覚えてくれてるというなら、男冥利に尽きるというもの。末永く想いに応えたいと思ってしまう。
……やべぇ。なんだかオレの方が恥ずかしくなってきたぞ。
少し照れ臭くなって。お茶のおかわりを淹れるふりをして、電気ポットを手にその場を立った。
テーブルを離れて、冷蔵庫からミネラルウォーターのペットボトルを取り出し、ポットに水を注ぎ入れる。その間、ふたりに見えないように顔を緩めてしまう。
いや、だってさ。
「そこまで言われたら、男冥利に尽きるってもんでしょ」
嬉しくなっちゃうよ男としては。
しかもオレにはもったいないような、性格も顔も何もかもレベルの高い女の子が、好意と信頼を向けてくれているわけだから。その想いに応えられるように精進していかなければ。もちろん、柚子さん、杏さん、アンチョビさんのためにも。
なんて風に、密かに意気込みを新たにして。
振り返ってテーブルに戻ろうとしたら、
「あれ?」
みほとまほは、ソファの方に移動していた。ふたりは間にスペースを空けて座り、空いているところをポンポンと叩いている。
オレは苦笑しながら、手にしたポットをテーブルに置いて電源をセットして。それから、促されるままにソファへと腰を下ろす。
座るや否や。
「えいっ」
「んっ」
みほは、オレの胴に腕を回して抱きついて。
まほは、オレの腕を抱き込むようにしてしがみついてきた。
右わき腹と、左腕全体に、何度味わっても最高な柔らかい感触が広がる。
この無防備さが、嬉しい。
自由になる右手で、みほの頭をかき抱く。
左腕は抱きつかれるに任せて、まほの太ももを軽く撫でた。
もう定位置になっている、3人での横並び。その状態で、身体を密着させたままイチャつく。
みほの頭を撫でながら、サラサラの髪に頬ずりをして。
まほに顔だけ近づけて、おでこに軽くキスをする。
するとふたりは嬉しそうに表情をゆるませながら、もっと身体を押しつけてくる。可愛いなぁ。可愛い。
「好き。大好き。みほちゃんも、まほちゃんも、ふたりとも大好き」
左手側、まほの頭に頬をおしつけて。右手側のみほを引き寄せる。
あー、幸せ。幸せ過ぎるだろオレ。
「わたしも大好きだし、幸せだよ」
「好きな人と一緒にいられて、こんなに満たされてるぞ」
みほと、まほが、ふたり揃って顔を近づけてくる。
そして。
ちゅっ、ちゅっ、と。同時に頬へキスをしてくれた。
はにかむふたりに、ときめきが止められなくなって。
思い切り抱きしめた。
―続く―
原作では描かれていない隙間を想像するのが大好きです。
槇村です。御機嫌如何。
転入初日のあれこれを、
恋人にあれこれ話している西住姉妹。
というのを描きたかっただけ。
次話は、少々お待ちください。