2コマ堕ち的ハーレムエロす in ガルパン 作:槇村 a.k.a. ゆきむらちひろ
新学期が始まったってことは、毎日登校しなけりゃいけないってこと。春休みの時みたいにダラダラ過ごせないし、前日に恋人4人とどれだけ頑張っていても「もうダメ」と寝こけるわけにもいかない。
辛くはないよ? 恋人たちから連続して求められるなんて男冥利に尽きるというものだ。ただちょっと張り切り過ぎたせいか、太陽が黄色く見えるっていうのを実体験してしまった。
まぁ、オレの昨夜の頑張りは置いておいて。
新学期になって大きく変わったのはやっぱり、戦車道に関わるようになったこと。関わると言っても、オレは何をすればいいのかなんて不確定もいいところなんだけど。
「とりあえず、何かお菓子を作ってくれない?」
杏さんにはそんなことを言われた。なんでも、初日の授業からちょっと無茶ぶりをするそうなので。おやつで気を逸らしてなだめよう、というつもりらしい。
何をさせるつもりなのやら。なんて思いながら、俺は朝からシュークリームを作る用意をしていた。割と手軽に作れて、持ち運びもできるから振る舞うのもやりやすいので、おやつとしてチョイスすることが多い。
そんなこんなで、放課後。新設された必修選択科目「戦車道」を選んだ生徒たちが、初めて顔を合わせることになったんだけども。
「これって、多いのかな。それとも少ないのかな」
校庭の端にある5棟建てのガレージ。その前に並んでいる戦車道を選んだ女の子たちを眺めながら、ついつい口から出てしまう。もちろん、男はオレひとりだけだ。
「全部で18人。わたしたちを入れて21人。あ、まほさんと俊一くんを除いてだよ」
「思ったよりも集まりませんでしたね」
「いやー、こんなもんでしょ。上出来上出来」
横にいるオレのつぶやきに応えるように、柚子さんが参加メンバーを数える。
桃ちゃん先輩は、実際に集まった人数にやや不満があるようだ。
でも杏さんは笑いながら、悪くない結果だと言い切った。
まぁ確かに、人が集まるのかっていうのが心配どころだったわけだし。そこそこの人数が来たっていうのは喜ぶべきことだろう。オレが言うのもなんだけどさ。
ともあれ。大洗学園の新生戦車道チーム、記念すべき第一歩だ。杏さん、柚子さん、桃ちゃん先輩が、戦車道履修者たちの前に立つ。
オレ? オレは目立つ立場の人間じゃないので、後ろの方で待機。ちなみに、みほは履修者側の方で、武部さんと五十鈴さんと一緒にいる。
戦車道への参加に集まったのは、主に2年生と1年生だった。しかも意外なことに、顔見知りがけっこういる。
「みほちゃんたち、仲が良さそうで何より」
みほはもちろんだけど、武部さんと五十鈴さんも戦車道をすることにしたらしい。みほの後ろの方にもうひとり立っているけど、その娘は知らない顔だ。
「バレー以外に目を向けるとは思わなかったな」
バレー部の4人、磯辺さん、近藤さん、河西さん、佐々木さんもいた。体操服やユニフォーム姿で、妙に気合いが入っている。こないだの勧誘騒動の時に、オレを入部させる条件云々と言っていたから。ひょっとすると戦車道への参加がそれだったのかもしれない。
「おりょうさんも、意外な感じがする」
歴史大好きな歴女グループ4人もいた。といっても、実際に顔見知りなのはそのなかのひとり、おりょうさんだけだけど。歴史好きの友達といつもつるんでいるという話は聞いたことがあるので、おそらく彼女たちがそうなんだろう。制服の上から羽織っているものとか、服装がそれぞれ個性を出していて、どの国のどの時代が好きなのかがなんとなく分かる。
「そして、1年生グループが6人か」
新入生なんだから、もちろん知っている顔はいない。ただ、オレの方をやたらとチラチラと見ている。女子生徒ばかりのところに男がひとりだけいるんだから、気にはなるよね。うん。
「これより戦車道の授業を開始する」
そんな面々の前に立って、桃ちゃん先輩が堂々と宣言した。普段の、どこかポンコツで、杏さん至上主義なところはまったくうかがえない。キリッとした態度のまま、あれこれと説明が進められる。実にそつがない。
けれど、肝心の戦車が見当たらない。疑問に思ったんだろう、女子生徒のひとりが声を漏らした。
そこに、ガレージの中からエンジン音が響き。西住姉妹と自動車部の面々が修理した戦車が姿を現す。ちなみに運転しているのは、まほである。
「おぉー」
動く戦車を目の当たりにして声を上げる女子生徒たち。オレもそうだったけど、実際に動く戦車を見ると「すげー」とか思っちゃうよね。
「あの、1輌しかないのですか?」
再び上がる、疑問の声。確かに、1輌だけ済むわけがない。戦車道っていうのは、複数の戦車でチーム戦をするのが基本だと聞いた。聖グロに訪れた際にアッサムさんは、大会に出るなら最低5輌は必要だと言ってたし。ということは、あと4輌はないといけないわけなんだけど。
「それじゃあ、戦車を探そっか」
「はぁ?」
あっけらかんと、わけの分からないことを言う杏さん。思わず声を上げてしまったオレは悪くないと思う。実際、1年生のひとりが「探すってどういうことなのか」って聞いてたし。
杏さんは悪戯っぽい笑みを浮かべて、ちょっとだけオレの方に目を向けた。その一方で桃ちゃん先輩が、後を継ぐように説明を続ける。
いわく。かつて大洗学園は戦車道をやっていた。だが事情があって活動しなくなり、多くの戦車が売却なり処分なりされてしまった。だがその中で処分を免れた戦車が何輌か、この学園艦のどこかにあるはずだという。
「明後日、戦車道の教官がお見えになる。それまでに最低4輌、見つけ出す必要がある。そこで、今日は皆に戦車探索を行ってもらう」
まさか「自分の足で探せ」なんて言い出すとは思わなかった。
ではその戦車はどこにあるのか、と質問が上がれば。
「いやー、それが分かんないから探すの」
なんてことを臆面もなく言ってきた。杏さんマジかよ。オレ聖グロで、ウチの生徒会長は下準備をきっちりして物事に臨むタイプなんだ、とか言ってたのに。
手掛かりはないのかと、1年生の娘が食い下がったけど。杏さんは「ない!」とバッサリ。明るく言い切ることじゃないでしょソレ。
思わずジト目になってしまうオレ。もちろんと言うべきか、杏さんも桃ちゃん先輩も涼しい顔をして、こちらを気に止めようともしない。
ただ柚子さんだけは微妙な顔をして、目を逸らしていた。あ、少なからず無茶なことを言ってる自覚はあるんだ。よかった。改めて、柚子さんは生徒会メンバーの良心だなと再認識した。
「それでは、捜索開始!」
桃ちゃん先輩が、さっさと行けと解散を促す。集まったばかりなのに早々に散れと言われた女の子たちは、ゆるゆるとこの場を離れていった。
「なんか思ってたのと違うー」
武部さんのぼやく声が聞こえた。まぁそりゃぼやきたくもなるわな。思わず同情してしまう。
「戦車のあてが放置車輌、というのも驚きだな」
運転していた戦車から降りてきたまほが、そんなことを言う。声音はどこか、感心しているというか呆れているというか。うん、分からんでもない。
「大洗学園が戦車道をやっていたのは20年前だろう? それからずっと放置されていた戦車が、使い物になるのか?」
「平気じゃないかなー。ガレージにあったやつも、ずっとほったらかしにされてたやつじゃん。なんのかんので動くようになったし。自動車部のみんなならできるでしょ」
さらっと、さらなる無茶ぶりをする杏さん。自動車部の4人は、戦車が発見されたらすぐ回収に向かうための準備をしているのでこの場にはいない。ナカジマさん、ホシノさん、スズキさん、ツチヤさんに、内心で合掌する。後で何か差し入れして労わってあげよう。
「確かにあの4人なら、ちょっとした故障程度ならあらかた直してしまうだろうが。そもそも見つからなかったらどうするつもりだ?」
「あー、そうだよね。あるかどうか定かじゃないものを探せっていうのは、さすがに無茶ぶりが過ぎない?」
まほの言葉に、オレもうなずきながら同調する。でも杏さんは悪びれる様子もない。まるでオレたちのツッコミは想定内だとばかりだ。
「だから言ったじゃん。今日は無茶させるよー、って」
「確かに言ってたけどさ」
無茶にも程があるんじゃなかろうか。地図もなしに宝探ししろって言ってるようなものじゃん。
と思っていたんだけど。実は何輌かはもう場所を特定してるらしい。
「少なくとも全国大会の最低参加車輌分はカバーできるよ」
なるほど。やっぱり抜かりはなかったのか。丸投げしっ放しとか考えてごめんなさい。内心で杏さん謝っておく。
「でもさ、それならあらかじめ回収しておけばよかったんじゃないの?」
「んー、そこまで手を回す余裕がなかったっていうのもあるけど。やっぱり、戦車道履修者がどれだけ集まるか分からないのに、たくさん戦車を抱えても仕方ないかなと思って。だから後回しにしちゃった、っていうのが本音かな」
「ふむ。一理あるかもしれん」
ふと思ったことを聞いてみれば、杏さんは淀みなく答えてくれる。やっぱいろいろと考えていたようだ。まほも、その考えには納得できたらしい。
確かに、戦車を用意して参加者を待っていたら、みほしか履修者がいなかった、なんてこともあり得たわけだしね。もしそうだった場合は、回収して修理するのが無駄になってしまう。
「もっと言うなら、回収しちゃうと学園の備品として手続きを取らなきゃいけないし、維持費とかも計算しなきゃいけなくなるからさ。表現は悪いけど、打ち捨てられた状態なら未処理の放置車輌として扱えるし。予算的に見て見ぬふりができるんだよね」
……なんだか生々しい話になった。そうか、学園内部での手続き云々とかの関係があるんだ。生徒会って、生徒会長って大変だなぁ。
思わず、杏さんの頭を撫でてしまう。彼女の方は、なんで撫でられたのか分からなかったみたいだけど。嬉しそうに笑顔を見せてくれた。
「まぁとにかく。いざとなったら戦車がある場所をナビするなりなんなりして、見つけたって流れにすることもできるし。あれだよ、これから乗るかもしれない車輌なんだから。自分たちで見つけたモノの方が、多少ボロでも愛着がわいてくるじゃん?」
なるほど。分からんでもない。
ガレージに眠っていた戦車を、みほとまほ、それに自動車部の4人が自分たちで直していた。実際に動いたところを見た時は、関わってないオレでも、なんだか感動的だったからなぁ。自分たちで発見して、磨き上げて、戦車道の実力を一緒に揚げていくとか、なんだか熱血青春ドラマっぽさがあるね。
そんなことを考えて、ちょっと感心させられたオレだった。
とはいっても、学園艦はひとつの町といって過言ではない広さを持っている。その中で女子高生たちに、どこにあるとも知れない戦車を探せというわけだから。そう簡単にはいかないだろうと思ってたんだけど。
夕方までに4台の戦車が発見された。すげぇ。
発見の連絡が入るたびに、自動車部が出張って回収に回ったらしい。これまたすげぇ。ナカジマさんも、ホシノさんも、スズキさんも、ツチヤさんも、揃いも揃ってスキル高過ぎだろ。
ちなみに、らしい、って言ってるのは、その場にオレがいなかったせい。戦車探しのためにみんなが解散してから、オレは自分の部屋に戻って、頼まれていたおやつ作りの仕上げをしていた。学園艦中を駆け回ったであろう女の子たちのため、お疲れさまということで甘いものを振る舞おうというわけだ。
ワンパターンだけど、シュークリームを人数分作った。手渡しがしやすくて、後処理も不要だから、差し入れとかには勝手がいいんだよね。これがプリンとかだと、人数分の容器やスプーンとか、食べ終わった後はどうするかとか、いろいろあるし。
で、作ったシュークリームがいい感じに冷えた夕方頃。柚子さんからスマホに連絡がきたので、タッパーに詰めたシュークリームを手にして再びガレージに戻る。オレが着いた時には、みほたちのチームがもう戻ってきていた。
「俊一くん俊一くん!」
すっごい嬉しそうに、みほが駆け寄ってきて、勢いよく抱きついてきた。
タッパー入りのバッグを守りつつ、片手で彼女を受け止める。なんというか、みほだけじゃなくてまほもだけど、ことあるごとに抱きついてくるので。オレの方も受け止め方とか勢いの逃がし方とかが上手くなったような気がする。
一方で、みほは抱きついて、抱きしめられてから、周囲の目に気付いてわたわたするのがお約束になっていて。直る気配が見られない。まぁ可愛らしいから一向に構わないんだけどね。
でも今日は何やら様子が違う。みほは、抱きついたまま顔を上げて、興奮したように言い募ってくる。
「俊一くん、新しいお友達ができたの!」
ばばーん、みたいな感じで、みほは自分の後ろに向けて手を向ける。さぁ見ろとばかりにテンション高く。その先には、戦車道の授業が始まる前にちょっと離れた場所にいた女の子。
「秋山優花里であります!」
これまた、びしーっ、みたいな感じで、敬礼しながら自己紹介してきた。
……ちょっと虚を突かれたけど、すぐに復活して。オレの方からも自己紹介する。でもなんだか、彼女の反応がいちいち大袈裟な気がするんだけど。
「西住殿の彼氏殿とお聞きしました。お会いできて光栄であります!」
敬礼したと思ったら、今度は頭を下げてきた。いやいや、そんなことされたらかえって困ってしまう。
「そんなにかしこまらなくていいよ。オレのことは、みほちゃんのついでくらいに思ってくれれば」
「いえっ、そんなことはできませんっ!」
なんでこんな持ち上げるような対応なのか。戸惑うオレ。何があった。
秋山さんの後ろにいる、武部さんと五十鈴さんに目を向けて助けを求めれば。ふたりとも微笑ましそうなものを見るような顔でやり取りを見つめている。本当に何があった。
「油断してると、ちょっかい出されちゃうよー」
しかも変なベクトルで煽ってきたぞ。おのれ武部さん。でも現状五股男なオレが違う違うと言っても、説得力皆無なんだよな。
「いえそんな、わたしなんて何もいいところなんてありませんしっ」
「そんなことないよっ。優花里さん可愛いよ、可愛いよっ」
みほが、秋山さんの卑下するような言葉を即座に両断する。かと思ったら、可愛い可愛いと褒め始めた。
秋山さんは途端に顔を真っ赤にさせて。照れからだろうか、癖のある髪を自分でわしゃわしゃとかき回しながら悶える。
うん、確かに可愛いな。
「会ったばかりですぐに目をつけるなんて。大瀬良さん、さすがです」
五十鈴さんまで、ずいぶんと人聞きの悪いことを言ってきたぞ。冗談にしたって言いようってものがあるだろうに。……冗談だよね?
「そんな人聞きの悪いことをいう武部さんと五十鈴さんには、差し入れをあげるのはやめとこうかな」
うん、そうだな。そうしよう。その分は、みほと秋山さんにあげて、シュークリームを頬張る姿を見て癒されることにしよう。
オレは手持ちのバッグからタッパーを取り出す。みほはそれが何を見当がついたようで、見ただけ喜びの声を上げる。ふたを開けたら、秋山さんに加えて、武部さんと五十鈴さんも感嘆の声を漏らした。
「これは大瀬良殿が作ったのでありますか?」
「料理だけじゃなくてお菓子も作れるんだ。大瀬良くん、レベル高いねー」
「すごいです大瀬良さん。美味しそうなものを作れるって、尊敬します」
……秋山さんはともかく、武部さんと五十鈴さんが急によいしょしてきた。
でもやっぱり、何かを作る人間としては褒められると嬉しい。仕方ない、武部さんと五十鈴さんにもシュークリームをあげることにしよう。
同時に、オレが手あたり次第に女に手を出すみたいなことをいうなとクギを刺しておいた。同意もなしに変なことをしたりしないからなオレは。
「ということは、同意があればそういったことをすることも……」
「五十鈴さん、ずいぶんエグいことを言ってる自覚ある?」
「えっ。じゃあ、わたしって魅力がないのかな……」
「武部さんは女子としてかなりレベル高いと思うけど。いやそうじゃない。論点がズレてる。オレが武部さんを狙ってるみたいに聞こえるぞ」
「自分は、男子からそういう目で見られたことがないので……。どうお答えすればいいのか分かりません」
「ちょっと待って秋山さん。なんで口説いてるみたいなノリになってるの」
「わたしとしては、みんなが恋人仲間になるのはむしろ大歓迎だけど」
「みほちゃんステイ。まほちゃんもそうだけど、自分から恋人に女の子をあてがおうとするのは普通じゃないから。いい加減に学びなさい」
なんだか、変にわちゃわちゃしたやり取りに。どうしてこうなった。
みほ、秋山さん、武部さんや五十鈴さんと、シュークリームを片手に他愛もない会話を繰り広げる。友人付き合いというか、意味のないやり取りが気軽にできる仲っていうのは嬉しいよね。
でも、みほはやたらと恋人仲間を増やそうとする節がある。オレとしては、女の子と仲良くなれるのは嬉しいんだけど。女の子側からしてみれば、五股男を薦められるのはたまったものじゃなかろうに。
おまけに、知り合う女の子たちがあまり嫌悪感を見せないものだから。オレの方も勘違いしてしまいそうになる。そのたびに「自制しろオレ」と言い聞かせているくらいだ。
みほ、まほ、柚子さん、杏さん、アンチョビさん。自分にはもったいないくらいに魅力的な女の子たちが、オレのことを好いてくれている。恋人たちを失望させるような真似はしないように、身を律しないと。
……5人も女の子に手を出してる時点で、「何言ってんだオマエ」と突っ込みたくなるけれど。自分でも、「もう恋人は増えません」と胸を張って言えなくなってる気がするんだよなぁ。
オレってこんなに強欲だったんだと、再認識するのだった。
―続く―
主人公、強欲な自分を自覚する。(今さら)
槇村です。御機嫌如何。
原作1話後半から2話部分。
まずはあんこうチームメインで。
秋山殿と初邂逅。
西住殿の大事な人なら同じように対さねば、みたいなスタンスでいくつもり。
次回は、書ききれなかった他の戦車道メンバーと絡みます。
見知ったメンツや、初めて顔を合わせる面々とのお話です。
あと本文中で生徒会の裏事情をいろいろ言ってますが、
当作品のオレルールということで。
劇場版で紛失の書類云々って描写があったからでっち上げました。