2コマ堕ち的ハーレムエロす in ガルパン 作:槇村 a.k.a. ゆきむらちひろ
まさかのアンチョビさんからのお誘い。顔を真っ赤にさせて、言うにつれて声のボリュームが小さくなっていくあたり、むちゃくちゃ恥ずかしさを感じているんだろう。
でもそんな彼女が可愛らしくて、愛おしい。
改めてアンチョビさんを抱きしめて、耳元で囁く。
「もちろん、お誘いを受けますよ」
その途端、アンチョビさんが一気に表情を明るくさせた。
彼女の笑顔にときめいて、またしつこく彼女を抱きしめてしまう。
せっかく笑顔になったアンチョビさんが、あわあわと慌てた様子を見せる。もうちょっとまぶしい笑顔を堪能したかったオレは、しくじったかと少し思った。
あと、真実の口を離れる前に、杏さんのためにもう一回手を突っ込んだりした。愛を叫びつつ、無事に手を抜き出すことに成功。杏さんとのラブラブも問題がないことを証明してみせる。前回の時はまだ恋仲じゃなかったからね。
アンチョビさんとふたりきりだというのに、他の女の子のことを話題に出すのは申し訳ないとは思うんだけど。やっぱり杏さんの分もやっておかないと不公平だし。
というわけで、手をつっこむ前の真実の口の写真をスマホで撮り、杏さんに送信。
さらに、真実の口に手を突っ込んだ写真と、無事に手を引き抜いた写真を改めて送信する。
しばらくして、「ありがとう」というシンプルな返信がきた。
ちなみに、大洗に帰ってから杏さんに聞いたところ。恥ずかしさのあまり悶えてしまい、素っ気ない返事になってしまったと言っていた。可愛い。
―・―・―・―・―・―・―・―
さて。
真実の口から離れて、アンチョビさんと手を繋ぎながら歩き出す。
目指すはアンチョビさんの部屋、と言いたいところだけど。その前にスーパーに立ち寄って買い物をすることになった。なんと、手作り料理を振る舞ってくれるという。
「ほら、あれだ。恋人にご飯を作ってあげる、というのをだな、やってみたいと……」
そんな可愛いことを言ってくるわけですよ、アンチョビさんが。可愛過ぎる。
もちろん、そんなおねだりならいくらでも叶えますとも。
というかオレの方から、ぜひともお願いしたい。
「アンチョビさんの手料理、楽しみだなぁ」
「ふふん。期待してくれて構わないぞ」
ドヤ顔で胸を張るアンチョビさん。やっぱり可愛い。
前回、アンツィオへ来た時に、レストランで料理についての話で盛り上がった。その際にアンチョビさんは料理好きというのを教えてもらっていたので。どんなものを振る舞ってもらえるか、ワクワクが止まらない。
でも。もてなされるだけっていうのも、オレ的にちょっとアレだな。
「それじゃあ、オレはなにかデザートを作ろうか」
アンチョビさんが食事を作ってくれるなら、オレは別のことでおもてなししよう。
そう思い立って提案すると、アンチョビさんがコテンと首をかしげる。
「む? そう言えば、大洗ではチームのおやつ作り担当と言ってたな」
「うん。皆にはかなり好評なので、アンチョビさんにもぜひ食べてほしいな」
「正直、めちゃくちゃ嬉しいんだが。私が食事をごちそうすると言っているのに、逆にごちそうされてしまうというのも、なんだか複雑な気持ちに……」
「細かいことはいいじゃない。というか、あれだよ。キッチンで、恋人と肩を並べて、一緒に料理をするっていうシチュエーション。アンチョビさんの乙女心的に、どうかなそういうのは」
「……いいな。それはすごくいいぞ」
「あと、今日は何を食べるー、とか言い合いながら、恋人と一緒に買い物に行くんだ。オレがカゴを持ってさ、アンチョビさんがメニューを考えながら必要な食材をポイポイ入れていく、みたいな」
「おぉ……。いいぞ、すごくいいぞ」
どうやらお気に召した様子。アンチョビさんが嬉しそうに声を弾ませる。
心なしか足取りも軽やかに。というか、ちょっとスキップになっていた。ボリュームのあるツインテールの髪がフリフリと揺れる。
「あっ」
合わせてというか、つないでいた手が、スキップをした勢いで離れてしまった。
アンチョビさんが慌てたように足を止めて、離したオレの手をまた握ってくる。
手をつなぎ直してから、照れくさそうな笑みを向けるアンチョビさん。
「あぁもう、可愛いなぁ本当に」
「なっ」
「アンチョビさん、可愛い」
つなぎ直した手を持ち上げて、彼女の細くて綺麗な指に口づけをする。
案の定、アンチョビさんは顔をさらに赤くさせた。
クサくて恥ずかしいくらいのことをすると、アンチョビさんは面白いくらいに反応してくれる。羞恥で目を泳がせて、それでいてチラチラとオレの方を窺う感じ。恥ずかしいけれど、悪い気はしない、みたいな。
度が過ぎて嫌がられたら即止めるけど、アンチョビさんの反応は悪くないようなので。これからも乙女チックなことを思いついたら積極的に振っていくことにしよう。
そんなことを考えながらアンチョビさんに目を向けると、タイミングよく目が合った。
慌てて目をそらすアンチョビさん。相変わらず顔は真っ赤っかだ。
「これからもいっぱい、恥ずかしがらせちゃうから。加減が必要なら言ってね」
「そういう言い方は卑怯だぞ」
嫌なわけじゃないんだと、アンチョビさんは小さな声でごにょごにょと口ごもる。
可愛いなぁ、とつぶやきながら。オレはもう一度、彼女の手に口づけをした。
アンチョビさんをしばらく恥ずかしがらせてから、思考をデザートの方に戻す。
作ると言ったのはいいものの。何を作ればいいものか。
イタリアのデザートと言えば何だろう。
さっき食べたのはジェラート。
となると他には、ティラミスとか?
「でもティラミスは作ったことがないなぁ」
「考えてみると、私もデザート方面は明るくないな……」
「ふむ。ちょっと調べてみようか」
そう言いつつスマホを取り出して、ささっと作り方を調べてみる。
足を止めて、あれこれスマホをいじるオレの手元を、アンチョビさんが覗き込んでくる。
さりげなく身を寄せて、彼女の方から自然と身体に触れてくる、近い距離感。
無意識に出てくるちょっとしたスキンシップが嬉しくて。つい顔がにやけてしまう。
「それはそれとして、だ」
調べ物の方はちゃんとしなければ。
そう、ティラミスの作り方だ。
いろいろなサイトの作り方を流し読みしてみた限り、割と手軽に作れるっぽい。
「じゃあアンチョビさんが食事を作ってる横で、オレはデザート作りに勤しもう」
「何と言うか、そんな簡単に作れるものなのか?」
「こう見えて、おやつ作りのレパートリーは広いから。その感覚からすると、戸惑いそうなところはないっぽいし。平気だと思うよ?」
「すごいな、心強い」
「それはこっちのセリフだよ。アンチョビさんの手料理、すっごい楽しみ」
「いや、そんなに期待されても困るぞ。豪勢なものは作れないからな」
「よそ行きじゃないってことでしょ? オレはむしろそっちの方が嬉しいかな」
アンチョビさんの手作り料理、楽しみだなぁ。
ウキウキ気分でそう言うと、アンチョビさんは顔に手を当てて、照れくさそうにする。可愛い。
「オレもそこそこ料理は出来るつもりだけど、家庭料理の域を出ないものしか作れないよ。それこそ、カレーとかハンバーグとか肉じゃがとか。お洒落で気取った感じのものは作れません」
「いやいや十分だろ、それだけ作れれば」
「じゃあ、今日はデザートだけど、明日はオレが何か料理を作ろうか?」
「……彼氏の手料理とか。これはこれで魅力的な響きがあるぞ」
なんてことを、あれこれとお喋りしながら歩く。
歩いているうちに、周りの風景から観光地らしさが抜けていって。たたずまいがごく普通の住宅街っぽくなってきた。
そして、目的地に到着。アンチョビさんとやってきたのは、ごく普通のスーパーだ。
「気合いを入れた食事も魅力的だけど、まだお昼過ぎだし。肩に力が入らないようなものがいいかな」
「それじゃあ、このアンチョビご自慢のパスタとピザを振る舞ってやろう!」
ということで、食材を買いにやってきたわけだ。
異国風とかそういう雰囲気はなく、よくあるような内装や品揃えのスーパー。買い物をする側としては、変に奇をてらったりしていないお店は買い物がしやすくてありがたい。それでもアンツィオの校風ゆえか、イタリアンっぽい品揃えが強い気がする。
そんな店内を、ふたり並んで歩く。アンチョビさんが先頭に立ってあれこれ食材を吟味し、その後にオレが買い物かごを持ってついていく。
「パスタだと、オレはペペロンチーノが好きだな。王道だよね」
「アーリオ・オーリオか。大瀬良お前、地味に腕が問われるやつにしてきたな」
「簡単だけど、作るのをしくじると味気なくなるよね。素パスタになるっていうかさ」
「素パスタって。いやまぁ確かにそうだが」
「美味いペペロンチーノって、いくらでも食べられる気がするのってオレだけかな」
「分かる。にんにく、オリーブオイル、唐辛子だけなのに、止まらなくなるな」
「自分で作っててさ、これはうまくできたって感動して。もっと食べたくなったから分量を増やして続けて作ったのはいいけど、今度は微妙だったみたいなことも」
「あるな。あるある。全部平らげるのが苦しくなるやつだな」
「そうそう。美味しかったペペロンチーノを食べるのが苦行に思えるなんて……」
「でも残すことはできない」
「もちろん。何が悪かったのかを考えながら、全部平らげます」
「うむ。料理の道は険しいからな」
まさに、色気よりも食い気、という会話。
でも、それが楽しい。
パスタの太さはどれくらいが好きかだの。
唐辛子は丸々入れるべきか、輪切りで入れるべきかだの。
ピザは端っこまでカリカリの方がいいだの。
チーズの種類を変えるとどれだけ味に変化が出てくるのかだの。
肉のパックを見比べながら何を作るならこれがいいだの。
棚に並ぶ食材や調味料を実際に手に取りつつ、あれこれ料理トークを交わす。
アンチョビさんも楽しそうに笑顔を振りまきながら、おしゃべりが止まらない。
一緒に、楽しい時間を過ごせる。
それが嬉しい。
「ふむ。こんなもんか」
「思ったよりいっぱいになったね」
ひと通りスーパーの中を歩いて、アンチョビさんの料理の材料や、オレが作るデザートの材料などを、買い物かごに突っ込んだ。あとはお会計、というところで、アンチョビさんにちょっとした疑問をぶつけてみる。
「アンチョビさん。このスーパーって、なんだか品揃えがよくない?」
「お、分かるのか」
「しかも心なしか、全体的に値段がお安めのような」
「そうだろうそうだろう。食にこだわるアンツィオは、こういう店で支えられていると言っても過言ではないぞ」
「いいなー。素直にうらやましい」
もちろん、大洗の学園艦にあるスーパーに不満があるわけじゃない。
でも事実として、アンツィオの方がいろいろとちょっとだけ安い。
肉や野菜、調味料なんかの値段を比べたり、どんな材料で何を作るかなんて話で盛り上がる。
色気はないけれど、心の距離がすごく近くに感じられて、嬉しい。
そんなことを言うとアンチョビさんは、はにかみながら、嬉しそうな顔をする。
可愛いなぁ。
ちなみにお会計の際、アンチョビさんが「私がごちそうするんだから、私が支払う」と言い出して。いやいやそれはちょっと、オレも払うべきなのでは、みたいに、少しばかり言い合いになったりした。結局、食材分はアンチョビさんが、おやつの材料分はオレが支払うということで落ち着いたけど。
でだ。お店のレジ前でそんなことをしていたから、会計係のおばさまや周りの買い物客の人たちから温かい目を向けられてしまい。その視線に気が付いたアンチョビさんがまた顔を赤くする、という一幕があった。
「行き着けのスーパーなのに……」
しばらく買い物に行けない、なんてボヤくアンチョビさんに、「ご愁傷様」と他人事のように言いながら。彼女の頭を撫でてあげた。
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なんのかんのといろいろ買い込んで、思ったよりも大荷物になった。買ったものを買い物袋ふたつに詰め込んで、両方とも持とうとしたら。
「さり気なく荷物持ちをしてくれるのは嬉しいが、片方は持つぞ?」
アンチョビさんから待ったが掛かる。
それじゃあ、お言葉に甘えてということで。
こっちの方が軽いかな、という袋の方をアンチョビさんに手渡した。
あと、空いた手をそのまま差し出す。
「恋人と一緒に買い物に行って、お互いに買い物袋をぶら下げて、手を繋いで帰宅する。こういうのって、アンチョビさん的にはどう?」
今のシチュエーションを言葉にして言ってみたら、またまたアンチョビさんの乙女心にヒットしたらしい。彼女の口元はゆるんで、目元が下がっていく。表情がニヤケてきて、恥ずかしいだけじゃないのは丸分かりだった。可愛いなぁ。
恥ずかしがりながら、彼女は差し出したオレの手を取る。
オレが、きゅっ、と手を握ると。アンチョビさんも握り返してきた。
「じゃあ、行こうか?」
「……おぉ? あ、うん。そうだな」
また乙女的な何かを噛みしめていたのか、にぎにぎとオレの手の感触を確かめてから、彼女はちょっとうわの空みたいな感じで返事をしてくる。
顔はゆるゆるになっていた。喜んでくれてるならなにより。
オレの方もにこにこしながら、ふたりしてスーパーを後にした。
買い物袋を片手にしつつ、アンチョビさんと手をつないで歩く。
さっきまではいろいろと会話をしながら歩いていた。でも今は打って変わって、これといって話しもせずに黙ったままだ。
とはいっても、オレも、たぶんアンチョビさんも、沈黙が辛いとかそういうのはない。むしろ何も言わなくても、つないでいる手を握ったり、握り返してきたりして。心のほんわか度はむしろ高い。
「……」
顔を赤くして黙ってるアンチョビさんだけど、はにかむ表情は嬉しそうに見える。
時折、オレの方をチラ見してきて。
目が合うと照れくさそうな顔をする。
可愛いなぁ。
そう思うたびに、彼女の手をにぎにぎと軽く握りしめる。
気が付けば、指を絡める恋人繋ぎになっていた。
「やっぱり、男子の手って大きいんだな……」
「アンチョビさんの手はちっこくて、スベスベしてて、可愛いよ」
「お前は本当に。なんでも可愛いと言っておけばいいと思ってるだろう」
「だって本当にそう思うんだもの。そういう気持ちはちゃんとその都度、言葉にして伝えておいた方がいいでしょ」
「嬉しいんだが、恥ずかしいんだぞ。嬉しいんだが」
バカップルよろしく、そんなやり取りをしながらしばらく歩いていると。
どうやら目的地に到着したらしい。
「ほら。あそこが私の住んでるところだ」
「おぉー」
アンチョビさんが指差す建物。レンガ調と言えばいいんだろうか、お洒落な感じで大きめな3階建てのマンションがある。
遂にアンチョビさんのお部屋にお邪魔することになるわけだ。
……あれ? なんだかちょっと緊張してきたぞ?
―続く―
アンチョビさんと肩を並べて買い物や料理をするとか、最高だと思わない?
槇村です。御機嫌如何。
ご無沙汰しております。いやマジで。
いろいろあって全然手をつけていなかったのだけれど、
気が付けば前話から半年も経っていた。マジかよ。
次もいつ更新とか、約束はできないんですが。
気が向いたら覗きにきてください。
「ガルパン最終章第4話」の戦車滑降バトル、「最終章」の中では一番好きかもしれん。