「なんだ、マサムネ君。大事なお願いというのは」
俺は千寿ムラマサ先輩を家に呼び出した。言っておいたとおりセーラー服を着ている。和服も捨てがたいけどね。先輩は玄関の前で、少し興奮した様子で立っていた。
「ムラマサ先輩、先輩は、俺の、大ファン、ですよね」
「むっ! そ、そうとも。誰よりも君の作品のファンという自信がある!」
その豊かな胸に手を当てて、目を閉じる先輩。うん、やっぱりこの人は俺のファンで居てくれている。これなら、きっと大丈夫だ。
「俺が書く小説のために、協力して欲しいことがあって」
「君のために私ができることがあるなら、もちろん協力は惜しまない。なんだ、新作を書くのか?」
「実は、そうなんです。妹と同人誌を出そうと思っていて。俺が小説を書いて、紗霧がイラストを」
「な、なんと! それは絶対に買わなくては」
目をきらきらさせて微笑むムラマサ先輩。うーん、やはり可愛いな……そして見事な胸だ。ごくり。
「まぁそれでちょっとお願いがあって。あがってください」
玄関から階段を登るよう誘導する。いつものリビングではないことに多少の疑問はありつつも、おとなしく階段をあがる先輩。
「紗霧―、入るぞ」
ドアを開けると、紗霧はすでにペンタブを持って待ち構えていた。
「待ってた。協力してくれて、嬉しい」
テンションはいつもどおりの低さだが、目は肉食獣のようにになっている。妹としてはアレだが、創作の相棒としては頼もしいことだ。
「協力、というのは……」
不穏な空気というか、妹の邪悪な目線によって不安になったのか、俺に質問してくる先輩。まぁ、ここまでくれば大丈夫だろ。普通は無理だけど、ムラマサ先輩なら。
「妹は、いや、エロマンガ先生は実際に見たものしか描けないんだ」
「ああ、そうだったな」
「だから、おっぱいを見せて欲しいんだ」
「ああ、わかった……ってええ!? な、な、なにを!?」
「だから、おっぱいを見せて欲しいんだ」
「な、な、な……」
「だから、おっぱいを見せて欲しいんだ」
「ふええええ!? 同じことしか言わない!?」
「だから、おっぱいを見せて欲しいんだ」
「うう……」
必殺、ロールプレイングゲームの無限ループ選択肢の術! これから逃れられるやつなどいない。
「ムラマサちゃん、おっぱい見せて」
「う、ううう!」
紗霧もお願いしたが、あっさり見せてくれるということはなさそうだ。
「先輩、聞いてくれ」
「う、うう……なんだ後輩」
涙目になっているムラマサ先輩だが、ここまでは思ったとおりだ。あっさり「見たまえ! これがおっぱいだぞ! 揉む? 吸う?」などと言ってくれるわけがないんだ。えっちな身体をしているからといってえっちな態度を取ってくれるわけではない。
「これは神野めぐみや山田エルフ先生にはお願いできないことなんだ」
「ふぇ?」
説得で重要なポイントの一つ、あなたにしかできないということを強調する。
「貧乳じゃ駄目なんだ! 先輩みたいな立派なおっぱいじゃないと駄目なんだよ! 大きくてけしからんおっぱいじゃないと!」
続いて説得で重要なポイントの一つ、褒めて褒めて褒めちぎる。人間、褒められると弱いものさ。書く気がなかった小説だって、褒められたら続きを書いちゃう。そういうものだろ?
「う、うう、ううう~」
胸を全力で隠して身体を守るように逃げた。おかしい。こんなに全力で褒められて、変質者に会ったみたいな反応になるはずがないのに。仕方がない。こうなったら最終手段だ。
「ムラマサ先輩」
「うう?」
俺は先輩の両肩に手を置いて、まっすぐに目を見据える。
「俺の小説のためならなんでもするって言ったよね。これは俺の次回作に必要なことなんだよ?」
「ううう!」
脅迫だ。例え俺が理不尽なことを言っていたとしても、約束を守らないのはそちらだと言われれば、悪いのは自分かもしれないと思ってしまうのだ。
「あれは嘘なの? 先輩は俺に嘘をついていたの?」
「い、いや、そんなことは……」
こうして罪悪感を植え付ける。そして、次に与えるのは絶望。
「先輩。実は、俺達が書こうとしている同人誌は十八禁なんだ」
「な、なんと」
「つまり、俺の次の新作小説は、十八歳未満である先輩には買うことが出来ない」
「な、なん……と……」
「先輩には売れないんだ、だから読むことが出来ないんだ」
「読めない……マサムネ君の新作が、読めない……」
目から光が失われていく。さて、ここから取引に持ちかけるんだ。負い目を感じて絶望したところに、甘い言葉をかけられると人間は弱いものだ。
「でも、サークル側なら別だよ、先輩」
「サークル側」
「そう、サークル側。ほら、俺と紗霧だって十八歳未満なわけだけど、こっちは売る側だからね。買わなくても、出来上がった本は読むことができる」
「そ、そうか。そうか!」
そう。冴えない彼女の育て方の英梨々だって、十八禁の同人誌を買うことは出来ないが描くことはできたからね。えっちな本が無ければ作ればいい。えっちな同人誌を読むためなら、手段を選んではいられません。
「で、先輩に何ができるの? 何もしないでサークルの仲間とは言えないよね」
「そ、それはそうだな……」
「俺は小説を書く。紗霧はイラストを描く。先輩にできるのは何かな~?」
「……胸を、見せればいいのか」
「おやおや~。何か勘違いしてない? そんな俺が要求したことを渋々みたいなさぁ。それはちょっと仲間とは呼べないなあ」
「くうっ」
目をぎゅうっと閉じるムラマサ先輩。さて、仕上げだ。
「ま、いいよ。先輩は嘘ばっかり、口先だけだってよくわかったからね。俺の書く小説のためなら何でもするなんて言っておきながら何も協力してくれない、俺達の仲間に誘ってもイヤイヤ仕方なくという態度。その程度なんでしょ。別に俺の新作小説なんて読めなくてもいいんだ。わかった、よ~くわかったよ、ごめんね先輩、こんなところに呼び出して。紗霧、先輩は帰るってさ」
「ま、待ってくれ! 待ってくれマサムネ君!」
――計画通り!
親はニヤリと邪悪に笑う。紗霧も同じ顔をしていた。
セーラー服を着たまま、後ろ手にブラジャーのホックを外している。顔は羞恥で紅潮しきっていた。口は真一文字に結ばれている。いい顔だ。紗霧はすでに筆を走らせている。
「わ、私の、私のおっぱいを見てくれ!」
先輩はセーラー服を勢いよくめくった。白い肌の上に形の良い双丘がぷるんと揺れる。その山頂は小さくて可愛らしい桃色だった。
「きれいなおっぱい」
率直な感想を述べる紗霧。ただでさえ大きな瞳が更に見開かれ、ランランと輝いていた。俺も同じ目をしているに違いない。
「くうっ」
恥ずかしがる先輩の表情がたまらない。胸と顔に視線が行ったり来たりだ。
「兄さん、揉んで」
「わかった」
「ええっ!? な、なんだって!?」
ぼしゅーっと頭から湯気を沸騰させる先輩。やれやれ、十八禁の小説のイラストなんだからただ普通におっぱいを描くだけなんてことはありえない。揉むなんて当然だろ。
「揉まれているところのイラストなんだよ、先輩。だから俺がこの部屋にいるんじゃないか」
「そ、そうか」
冷静に、当然のように言い放つとムラマサ先輩は納得した。もう正常な思考ができなくなったのだろう。いいぞいいぞ。
「後ろから揉んだほうがいいか?」
「うん、兄さん、最初はそっとね」
ムラマサ先輩の背後に立つと、女の子らしい香りとともに緊張が伝わってきた。俺は後ろから抱きしめるように、できるだけ優しく胸に手をそえる。すべすべした、絹のような肌触り。
「ふう、ん」
敏感なのだろう、少し触れただけでびくんと身体を震わせた。
「さすが兄さん、触り方がえっち」
紗霧に褒められた。妹に胸の触り方を褒められるほど嬉しいこともないし、エロマンガ先生にえっちだと褒められるなんて光栄の極み。
「次はもうちょっと強めに揉んで」
「了解」
触れた指に力を入れると、その形に胸が潰れていく。指と指の間から肉が盛り上がり、その柔らかさを主張する。乳首は人差し指と中指の間からぷっくりと漏れて形を変化させた。
「いいよいいよ~」
紗霧はペンを物凄い速さで走らせていた。ムラマサ先輩はただ突っ立ったまま、無言を貫いていた。声をあげないように我慢しているように見える。さぞ全身が敏感になっているのだろう。
しかし、この歪んだ形の乳首はなんと魅惑的なのだろう。
「なぁ、紗霧。乳首舐めてもいいか?」
「うーん、もうちょっと待って。まだちくび描いてるから」
「えっ、許可を出すのはそっちなのか!? 私の立場は!?」
変なことを言う先輩。紗霧は今乳首を描いているのだから、舐めたら描けない。だから勝手には出来ないわけだが、なぜ先輩の乳首を舐めるのに先輩の許可が必要なのか。俺は舐めることができるよう背後から彼女の横に位置を変えた。
「ん、いいよ兄さん」
「よっしゃ」
俺は餌を食べるのを許可された犬のようにむしゃぶりついた。甘い。気のせいだろうけど、甘い。
「あ、ああ……んんっ」
先輩から漏れる声は、さらに甘いものだった。聞いているだけで脳がくらくらしてくる。そして下半身はむらむらしてくる。
「舐めるのはもういい」
それほど描いていて面白くないのか、紗霧から終了の指示。ちゅぱっと音を立てて乳首に別れを告げると、先輩は「あっ……」とせつなそうな声を出した。どうやらもっと舐めて欲しかったようだ。えっちだなあ。
「ぱいずり」
「わかった」
次に描くのはパイズリらしい。俺はそんなシーンを書いていないのだが、紗霧が描きたいのなら仕方がない。
「ぱいずり……?」
ムラマサ先輩は言葉の意味がわからないみたいだが、もはや嫌がっている感じは全くなかった。むしろ期待しているように聞こえる。
「先輩、膝をついて」
「う、うん」
従順な態度だ。こんな純粋で清純なのにえっちなことに目覚めつつあるセーラー服の美少女がおっぱいまるだして跪いていたら、どうなるかなんて火を見るより明らか。もどかしくズボンを下ろすと、俺はすっかり勃起しきったペニスを出した。
「なっ、なっ、なにを」
「ナニだよ、先輩」
俺はバッキバキのチンポを大きな胸の間に持っていく。指の隙間から俺のチンポを見ていた彼女の手をしっかりと握り、おっぱいを挟み込むように移動させる。
「先輩、このまま挟んでて」
ゆっくりと腰をストロークさせる。なんという快感。肉体的な気持ちよさもそうだが、精神的なものが大きいように思う。
「こ、これがぱいずり……」
なにやらえっちなワクワクを感じている模様。そんな先輩に紗霧監督から次の指示が飛ぶ。
「そのまま、ムラマサちゃんはぱくっと咥えて」
「……いや、それは無理だが」
ごめんね!? そこまで大きくなくてごめんね!?
「むう。ぱいずりのままで、ふぇらちおが良かった」
いや、特別に俺が小さいわけじゃないと思うよ? あれはファンタジーだよ。きっと。
「じゃあもう中出しでいいよ。騎乗位でがんがん腰を振って、おっぱい揺らして」
「わかった」
「え、え、何!? 何をされるんだ!?」
パイズリフェラの絵が描けないのは残念だったようだが、俺はこっちのほうがいいな。
紗霧のベッドに寝る。
「先輩、ここに腰を落として」
「そ、それは、せ、せっくすなんじゃ」
「そうだよ?」
「そ、そうだよって!?」
先輩はいまだにごちゃごちゃ言っている。
「いいから」
「うう……ゴムは?」
「無しに決まってるでしょ。紗霧が中出しって言ってるんだから」
「そ、そうか……」
ここでは紗霧が絶対で、自分はただ言うことを聞くだけという立場をようやく理解したようだ。
「あ、ああ」
「ううう」
なんという熱さ。処女に生で挿入するとこんな感じになるのか。こんなに気持ちよかったら……
「あ、ああーっ! ……はぁ……はぁ」
「ちょっと兄さん。なんでもうイッてるの。ちゃんとムラマサちゃんのおっぱい揺らして」
「わ、わたしが動けばいいのか?」
「ま、待って、今は動かないで」
イッたばかりで動かれたらちょっと……
「ムラマサちゃん、兄さんの言うことは無視していい」
「わかった」
くうう! ムラマサ先輩は理解しすぎ!
ぶるんぶるん胸が弾むように腰を振る先輩。あ、あ、も、もうだめ。
「――ッ!」
二度目の絶頂。しかし、ムラマサ先輩は止まらない。
「ふん、ふん、まだか?」
「うん、今描いてるから。すっごくいい感じ」
「わかった」
ああー。も、もういい、もういいのに……
「なんか、ぬるぬるして気持ちよくなってきたぞ、後輩」
そりゃ二回も中出ししてるからな。先輩は中出しの意味をよくわかっていないみたいだが、もはやどうでもいい。もう休憩させて欲しい……
「ムラマサちゃん、ほんとにえっち」
「そうか? まだまだ動けるぞっ」
俺はこの日、何度射精したか、自分ではわからなかった。
これが一番読みたい、という声を受けて書きました。
やっぱり読みたいっていう声を聞くと、書きたくなります。