卯月町の唯一のラブホテル、《ラヴラヴ》。ここの一室にて、一組の男女が、今日も身体を重ねていた。二人は、何度もこのホテルを利用していた。
男の名は、田中健太郎。卯月学園三年生。天下の進学校の生徒ではあるが、成績はそれほど良くない。生徒会も部活動もしていない。
しかも、女好きにして喧嘩早く、卯月町のみならず、隣町の葉月町にもその名を轟かす、所謂「札付きのワル」と言われている。しかし、それは事実とは異なる。彼の行動理念は、強い「正義感」や「筋」から来る物である。又、女の子に声をかける際にも、絶対に二股は掛けない。
そのせいか、卯月学園の学生には人気者だが、当の本人は何故か卯月学園の学生には興味を示していない。と言うのは、卯月学園の女子学生、特に幼馴染の結城瑞穂、瑞穂の友人の神山みこ、所謂コギャルの橘真由美、高飛車お嬢様の新藤麗子、美術部の加納涼子、瑞穂の後輩の皆川奈々、陸上部の飯島美雪と彼女の友人の南里愛、眼鏡っ娘の相馬あゆ美は、どこか好きになれなかった。留学生のティナ、帰国子女の伊原シャーロッタも然り。更に健太郎は年増好みでもない。そのため、ここまで彼女無しで過ごしていた。
そんなある日、健太郎は一人の女子学生と出会った。その女子こそ、今、健太郎が抱いている、葉月学園二年生、持田真歩子だった。
健太郎が初めて真歩子に出会ったのは、卯月町駅の近所の花屋《カトレア》である。
当初は健太郎に「花を買わないならば、お引き取りください」と言っていた真歩子。
しかし、健太郎が花や植木に興味を持ち、足繁く通う様になってから、次第に打ち解け、話をする様になっていた。
その後、健太郎は真歩子をデートに誘う様になった。デートの場所は町内の公園や図書館等の公共施設がメインである。
そんな春のある土曜日。健太郎がいつもの様に学校帰りに花屋に立ち寄った時の事。
真歩子は作業に没頭していた。彼女のミニスカートから、純白のパンティが見えていた。
健太郎は真歩子が作業に没頭している事から、指摘する事もなく、声を掛ける事もなくその場を去った。
しかし、純白のパンティと、尻、股間の食い込み、太腿が健太郎の目に焼き付き、その日の夜、初めて健太郎は真歩子を〈オカズ〉にした。彼女の裸身、乳房と乳首、女性器、アナル、ミルクの様な芳香と形容される女の子の匂い、喘ぎ声等を想像して…。
それから数日後。
卯月町駅で、あの事件が起こった。
花屋の店先でのパンチラからしばらくたった土曜日の夜。
卯月町駅で、健太郎の耳に悲鳴が聞こえた。
聞き覚えのある女の子の声。声の主は、真歩子だった。不良に、手を掴まれていた。
「離してください!!」
真歩子が叫ぶ。
「俺達が、どうしたって?」
リーゼント野郎が言った。
「貴方達が、わざと私にぶつかって来たんです」
真歩子が言った直後、真歩子のスカートのポケットから何かが落ちた。葉月学園の生徒手帳だった。
「あっ…」
真歩子は手を掴まれているため、身動きが取れない。
「おっと、何かな」
スキンヘッド野郎が拾った。
「何々…。持田真歩子、葉月学園二年生か…。真歩子の『ほ』を『ん』に代えると『まんこ』だなぁ」
街中で恥ずかし気も無くスキンヘッド野郎が言った。
「本当だぜ」
リーゼント野郎が相槌を打った。
「それにしても、か、可愛い子女の子だなぁ」
スキンヘッド野郎がだらしなく涎を垂らす。
「物事には、筋って物があるんだよ…な?」
リーゼント野郎が尋ねた。
「う、裏筋だってあるぞ」
呂律の回らない口調でスキンヘッド野郎が言った。
「お前はもう黙ってろ、あんたがぶつかるからこいつがおかしくなっちまったじゃあねぇか」
リーゼント野郎が更に言いがかりをつける。
「わ、私は…何もしてません」
真歩子が凜とした口調で言い返す。
「身体とお金、どっちが良い?処女だろ?やさしくしてやるからよ」
下品な笑い声を上げながらリーゼント野郎が迫る。
「ど、どっちもイヤです」
真歩子が叫ぶ。
「な、なんだとぉ!?」
リーゼント野郎が叫んだ。
「お、俺は身体が良いぞ。まんこちゃんの初物、頂くぜ」
スキンヘッド野郎が言った。
その直後、健太郎が割って入った。
「健太郎さん!!」
真歩子が叫ぶ。
真歩子に目配せする健太郎。彼は無言で不良に近づいた。
「な、何だ。てめえは?」
そう言ったスキンヘッド野郎の左手首を、健太郎は右手でやおら掴んだ。
「い、痛ぇ」
たまらずスキンヘッド野郎は真歩子の生徒手帳を落とした。しかし健太郎は手を離さず、更に力を入れた。
「止めろ。は、離せ」
余りの力にスキンヘッド野郎は崩れ落ちた。
健太郎は真歩子の生徒手帳を拾った。
「お前は何だ?関係ないだろう」
リーゼント野郎が叫ぶ。
「その娘は僕の彼女だ。すぐに解放しろ」
健太郎が言った。
「何言ってやがる。やってしまえ。俺もやるぞ」
リーゼント野郎が健太郎に殴り掛かる。
「お、おう」
スキンヘッド野郎も続く。
数発のパンチが健太郎に当たる。だが健太郎はびくともしない。
「な、何だ。こ、こいつ。兄貴、全然効いてねぇ」
スキンヘッド野郎が言った。
健太郎は宇宙人でも忍者でもサイボーグでもない。勿論、剣道の防具やアメリカンフットボールのプロテクターを仕込んでいた訳でもない。健太郎の鍛え上げた肉体のなせる技だった。
「こんなんじゃ、肩こりだって治りゃしないぜ。もっと腰を入れてピリッとやらんかい。唐変木!!僕の身体を、彼女の代わりに自由にしろよ」
健太郎はそう言ってブルース・リーの様に手招きして挑発した。ただでさえ少ない、二人足しても健太郎の10分の1いや、100分の1にもならない不良二人の思考能力が、完全にゼロになった。
「てめえ」
「こ、この野郎」
リーゼント野郎とスキンヘッド野郎が健太郎に同時に殴り掛かる。仮に健太郎が死体になっても、殴り続けただろう。それほど容赦がなかった。
「止めて!!止めてぇ!!」
真歩子が叫ぶ。そこまでは健太郎は覚えていた。その後、健太郎は僅かの間、意識と記憶を失った。
実はこの直後、真歩子と通行人が「お巡りさん」「誰か」と叫んでいた。更に別の通行人が交番に駆け込み、警察官を呼んだ。慌てて二人の不良は逃げ出し、健太郎は軽傷で済んだ。
不良二人組が退散してから少し後。健太郎は意識を回復した。
「だ、大丈夫ですか?」
真歩子が尋ねた。
「ははは…平気」
健太郎が答えた。
「ごめんなさい。私の為に」
真歩子が謝罪した。
「別にいいよ…僕、殴られ慣れているから」
健太郎が笑みを浮かべた。
「で、でも…唇から血が」
ポケットからハンカチを出そうとする真歩子を健太郎は制した。
「こんなのは怪我の内に入らないって。別にハンカチもいらないよ。ティッシュペーパー位は持っているから」
ズボンの左ポケットからポケットティッシュを出す健太郎。
真歩子は黙って健太郎の言葉に聞き入った。
「それと、生徒手帳を返すよ」
健太郎は、胸ポケットに入れていた生徒手帳を真歩子に渡した。
「あ、ありがとうございます」
礼を言う真歩子。
この時、健太郎には思わぬ役得があった。
因みに、真歩子は駅で父と待ち合わせしていたとの事。その様子を見ていた真歩子の父に、健太郎は挨拶した。又、真歩子も健太郎を紹介し、経緯も話した。これが後々、真歩子の母の説得に役立つ事になる。当初、真歩子の母親が健太郎と真歩子の交際に難色を示したが、真歩子の父親と実弟たけしが説得、更に健太郎と真歩子の両親が直接会ってOKが出たという経緯がある。
尚、健太郎と真歩子、真歩子の父は、駅の交番で警察官から事情聴取されたが、すぐに終了した。
思わぬ役得、1つは、真歩子が生徒手帳に挟んでいた生徒手帳用の写真である。健太郎が着ていたシャツのポケットに違和感があり、見てみると、中に3枚の真歩子の顔写真が入っていた。
後日、健太郎がカトレアに届けに行った際、3枚の内、1枚は、真歩子が健太郎に渡した。その写真は、現在は健太郎の生徒手帳に挟んである。
そしてもう1つは、真歩子のスカートの中、パンティが丸見えだった事である。
健太郎が仰向けに倒れていた時の事。
健太郎は夜の空を見ていた。
アスファルトの上だった事もあり、背中が気持ち良かった。
ふと、目をやると、健太郎の視線の先に、真歩子の純白のパンティが飛び込んで来た。
以前、花屋「カトレア」の店先でのパンチラ以上のインパクトだった。
スカートの中、クロッチからヒップラインが丸見え。しかも、恥丘のラインは、モロに見えた。尻の割れ目も、はっきりわかった。
健太郎の身体が熱くなる。
「ありゃ!?」
健太郎が叫ぶ。
「どこか痛いんですね。言ってください。痛い場所を」
真歩子が言った。
「い、いや、大丈夫」
健太郎が言った。
「一人で立てますか?」
再度真歩子が尋ねた。
「もう立ってる」
健太郎が答える。
「えっ!?」
きょとんとする真歩子。
「ほら。親指」
実はこの時、健太郎の男性器はフル勃起していた。それ故につい「立ってる」と言ってしまったが、それをごまかす為に右手の親指を立てた。
「あ…。ふふっ」
真歩子が微笑した。
「ほら、ね。一人で立てたでしょ」
立ち上がった健太郎が笑みを浮かべて言った。
「良かったです」
真歩子も笑みを浮かべた。
その後真歩子の父に挨拶し、帰宅した健太郎。
それから一週間、健太郎は夜の〈オカズ〉には困らなかった。
又、真歩子も健太郎の事を考えると、身体が熱くなる一週間を過ごした。
この事件の後、健太郎と真歩子は何度もデートを重ねた。
そして初めて結ばれたのは、夏休みの事。卯月町のプールでのデートの帰り。ラブホテルで、背面側位でだった。
その後、何度も身体を重ねている内に、健太郎の中に少しずつ、黒い欲望が頭をもたげ始めていた。
その黒い欲望とは、真歩子を調教したい、真歩子をより自分だけの物にしたい、真歩子とSMチックなセックスをしたい、いう物である。健太郎がそれを自覚したのは、何度目かの真歩子とのエッチをした時。真歩子を後ろから貫いた際に、真歩子の後ろの穴に自分の陰毛が触れた事が切っ掛けだった。
それ以来、真歩子を調教する計画を立てていたが、いきなりさせてくれる訳はない。そこで今日は、第1段階として、ある物を用意していた。
【続く】
次回から、本格的に進めて行きます。