「……ファリア!」
名前を呼ばれた。
そして振り向きざまに頭を押さえつけられて、もう一度唇を奪われる。
そのまま舌を口の中に入れられて、口の中を犯されていく。
胸にも手が伸びてきた。恐る恐るといった感じで乳房を触る手は、次第に乱暴になって行き、好き勝手に乳房を揉みしだく。
荒く息を乱しながら、自分の身体を貪るユウヤに、ファリアは今までに味わったことのない肉の快楽に、そしてそれとは別の湧き上がってくる思いに酔いしれた。
それは女としての愉悦。
ファリアが産まれて初めて感じる感情だった。
ユウヤに心底から惚れてしまった事に気づき、そして自分のこの気持ちは決して報われることはないと思い、涙したあの時には、まさかこのようなことになるとは思いもしなかった。
泣いて、泣いて、涙が枯れるまで泣き続けたファリアは、しかし、この家に戻るなり、ユウヤに突然強引に唇を奪われてしまった。
最初は何が起こったのか分からなかった。驚きのあまり抵抗しようとしてしまった。
だが、ユウヤは自分の顔を離さず、そのまま唇を、口腔を犯してきた。荒い息づかいで、一心不乱にこの身体を求めてきたのだ。
そう、求められた。激しい情欲を向けられた。恋しい男に。誰よりも愛しいと感じている男に。
いつも他の女たちから向けられる、羨望や嫉妬のような負の感情ではない。
自分を排斥しようとする行為ではない。
手に入れたいと、私を欲しいと想ってくれている。強引な口づけはそういった気持ちの現われに他ならない。
美しいと言われ続けてきた。そして、忌避され続けてきた。だから、ファリアは自身の容姿も躰も大嫌いだった。
だが、ユウヤが自分を拒絶しようとした際にも、この躰はユウヤを魅了して繋ぎ止めてくれた。
愛しい男を陶酔させてくれた。そして、今も私を欲しいと想わせてくれている。
「……もっと、もっと私を求めてください。私が貴方を求めているように……」
情熱的にユウヤの舌に自分の舌を絡めていき、ファリアは行動で胸から溢れ出てくる熱い想いをユウヤに伝える。
この容姿も卑猥な身体も、この人に求めてもらうために、この人に愛してもらうためにあるのだとファリアは理解した。
そしてようやく、彼女は自身のそれを受け入れ、好きになることができたのだった。
「……ファリア……。僕は、君を……君に……」
長くて卑猥な口づけを一段落させたいユウヤは、泣きそうな顔でそう告げてくる。
その提案を拒否されないかと不安を抱いているのだろう。
そんな心配をする必要などないのに……。
「……はい。私を貴方のものにしてください。この身体も心も、全てを捧げます。どうか、貰ってください……」
私の全ては、貴方のためにあるのだから。
「……あっ、えっ?」
不意にファリアの体が宙に浮いた。それは、ユウヤが彼女の身体を抱きかかえたためだった。
「……はぁ、はぁ……」
ランプを一つ掴み、ユウヤは興奮で息が乱しながらも、ファリアを抱えて奥の部屋に向かっていく。
神殿でしっかりとした教育を受けているため、ファリアも知識としては男の人の性衝動を理解している。女とは違う刹那的で激しい衝動なのだと。
それならば、きっと今すぐにあの場でユウヤは行為に及びたかったのだろう。そして、ファリアもそれに応えるつもりだった。だが、彼はそれをしなかった。
「お優しいのですね、ユウヤ様……」
ファリアはユウヤの気遣いを理解し、なされるがままにすべてを任せた。
やがてユウヤの寝室に運ばれたファリアは、そのまま彼のベッドの上に置かれた。
それは決して丁寧な置き方ではなかったが、興奮と情欲に身体を支配されるなかでは最大級の優しい配慮なのだとファリアは理解している。
ベッドに横たわるとユウヤの匂いがした。ずっと嗅ぎ続けていた匂い、ファリアを陶酔させる、興奮させる香りだった。
「はぁ、はぁ、ファリア……」
興奮しきったユウヤは、ランプを枕元に置き、煩わしそうに自らの服を脱ぎ捨てた。着物と下腹部を覆う下着がなくなり、ユウヤの股間が顕になる。
天を突きそうなほどその剛直を、男性器を、ペニスを目にして、ファリアは自身の股間が熱くなってくるのを感じていた。
「なんて、なんて大きい……。そして、卑猥な形なのでしょうか……」
そう思いながらも、ファリアは自分が喜んでいることに気づいた。
あの男性器の硬さは興奮しているからだ。そして、そうさせているのは自分なのだという優越感を感じる。
それに、あのペニスが卑猥なのは当たり前なのだ。あれは、今から私の最も卑猥で恥ずかしい部分に挿入するためのものなのだから。
そのためにあるものなのだから。
「……ファリア……」
もう一度名前を呼ばれ、そしてそれが意味することを悟り、ファリアは静かに股を開いた。
飾り気が少なく、白い清純なはずの股間を覆う布は、ファリアの欲望の液体に濡れてグシャグシャになっていた。
あの最初の長い口づけのなかで、ファリアは二度達してしまった。
そして、次の口づけと愛撫でもう一度達してしまっていたのだ。下着が濡れるのも当然だった。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
興奮した荒い息が股間に、自分の女の部分にかかる。
食い入るほどユウヤがその部分を凝視しているのだと思うと、一層股間は熱くなり、欲望の液を滴らせていくのがわかった。
「……脱がすよ」
そういうのと同時に、ユウヤはファリアの湿りきった卑猥な布を脱がせていく。
ファリアは脱がせやすいように体と足を動かしてそれを手伝う。
覚悟していた。この身体と心を捧げると言ったときから。
だが、自身の最も淫らな部分をユウヤに晒す行為に、ファリアはこの上ない羞恥を感じてしまう。
こんなに股間を濡らすはしたない女を、ユウヤが嫌わないだろうかと不安だった。
「……綺麗だ。信じられないくらい。そして、いやらしい……」
ファリアの股間には、陰毛は生えていない。
興奮のため、ファリアのその女の部分は割れ目が開き、淡い桃色の小陰唇が僅かに姿を見せ、ぬらぬらと愛液に浸っている。
「……ああっ、本当に綺麗だ……」
そう言うとユウヤは躊躇うことなくファリアの股間を、美しい桃色の部分を舐め始めた。
「んっ、あっ……。駄目……駄目です。……ユウヤ様……」
ファリアの静止の声は、しかしユウヤの耳には届かない。
そこは排泄器官だ。舐めていいところではない。
そう思いながらも、愛しい男が自分の濡れた女の部分を舐めているという事実が、ファリアを興奮させる。
「なんて嫌らしい匂い……。愛液って、こんな味なんだ……」
「いや。そんな、そんな恥ずかしいことを言わないで下さ……。あっ! また!」
ファリアの抗議の声はまた無視され、ユウヤは再びファリアの股間を舐め続ける。
そればかりか、ファリアの小陰唇を啄んで吸い始める。
「いや、だめ、駄目で…す。そんな事をされたら、わっ、私……」
少しずつ刺激が上に動いていく。そしてユウヤの口がファリアの充血した大きくなった肉芽に触れた瞬間、
「あっ、ああああっ!」
ファリアは深く絶頂した。
今まで一度も経験はなかったが、卑猥な液体を股間から噴出したのがわかった。
そしてそれと同時に未知の快感がファリアの全身を駆け抜ける。
頭が真っ白になる。何も考えられない。意識がまとまらない。
ファリアは激しく呼吸を乱し、体を小刻みに震わせながら全身に未だに残る快楽の余波を味わっていた。
初めてだ。こんなことは。昨日の自慰にも戸惑ったが、これはあの時以上の快感だった。
「……そんな。こっ、こんなに、こんなに気持ちいいなんて……」
ファリアは自分の肉体を恐ろしいと思った。いったいこの淫らな身体はどこまでの快楽を私に与えてくるのだろうかと。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ。……ファリア……もう、限界だ……」
ユウヤが自分と同じくらいの荒い息で、そう呟く。
そしてペニスを、欲情で反り返った肉の棒をファリアの陰裂に近づけてきた。
「……はぁっ、はぁっ……。ぼっ、僕も初めてだから、上手くいかないかもしれないけれど……。痛くさせてしまうかもしれないけれど……。もう、我慢ができない……」
ユウヤの言葉に、ファリアは自分の耳を疑った。
「……初めて? いま、ユウヤ様は、初めてと……」
それはつまり、ユウヤ様は今まで女を抱いたことがないという事。
そんなユウヤ様と私は今から契りを結ぶ。交合するのだ。世界中のどの女よりも先に。
ゾクゾクっと悪寒めいた何かが、ファリアの背中を走った。だがそれは、背徳感に満ちたたまらなく心地の良い興奮と愉悦だった。
「私が、この方の最初の女……。いいえ、もう絶対に他の女になんて渡しはしない。この人は、この人は、私のもの……」
黒い炎のような欲望が、独占欲が、心に沸き上がって燃え広がっていく。
だが、そんな胸中を更に深い部分に仕舞い込み、ファリアは優しく微笑む。
それは、穏やかで柔らかな笑顔。聖母のような、天使のような、相手の全てを受け入れるという意思を込めた笑顔。
胸底の欲望を全く感じさせずに、男を絡め取ろうとする女の笑みだった。
「……ファリア……」
「はっ、はい。きっ、来て……来て下さ…い……。私の……わっ、私の中に……」
全身に残る快楽の余波と激しい興奮で呂律が回らない。
だが、ファリアは慈愛に満ちた笑顔で、ユウヤの初めての女になるべく彼の剛直を、熱い欲望の塊を受け入れようとする。
きっとこの肉棒を迎え入れたら、この淫らな穴に入れてもらえたのなら、今まで以上の快楽がやってくるに違いない。
そして、私はユウヤ様を自分だけのものにする。この淫らな躰をすべて使ってこの人を虜にしてみせる。
そんな下卑た欲望を隠し、ファリアは優しく微笑み続ける。
「……はぁ、はぁ……。どうぞ、ユウヤ様……」
「……いっ、挿れるよ……」
ユウヤの熱い肉棒が、自分の卑猥な穴に擦り付けられるのが分かった。
「……あっ、ああっ、ついに……」
待ちきれない。早く、早く挿れて。そして、私をもっと気持ち良くし……。
「――――っぅ――――」
ユウヤのペニスが、濡れそぼった自分の女性器をこじ開けようとしたのを感じた次の瞬間、今までの快楽が吹き飛ぶほどの激しい痛みが、ファリアの股間から全身を駆け巡った。
待ち望んでいた快楽は一切なかった。ただただ痛い。身体を股間から真っ二つにされてしまったのではと錯覚してしまうほどに。
「……うっ、あっ……。くっ……」
あまりの激痛に声が漏れ、目の端から涙が滲んでくる。
自分は痛みには強いと思っていたが、この鈍くて重い痛みには耐えられそうにない。
どうして、どうして……。あんなに濡れていたのに。ユウヤ様はしっかりと前戯をしてくださったのに。
「……はぁっ、はぁっ、……ファリア……。いっ、痛いのかい?」
ユウヤが息を乱しながらも、腰を動かすのを止めて心配そうな視線を向けてくる。
いや、駄目……。もしも私が痛がっていることを知ったら、ユウヤ様はきっと挿れるのを止めてしまう。
「……だっ、大丈夫です。私も……はっ、初めてですので、おっ、驚いてしまった……だけです……」
激痛をこらえて、震える声でそう言い、ファリアは心配させまいと笑顔を作る。
「……でっ、でも……」
「……大丈夫です……大丈夫ですから……」
痛い、痛い、痛い……。
ファリアの知識では、行為に及ぶ前にしっかりと女性器を、プッシーを濡らしておけば、破瓜の痛みは和らぐはずだった。それなのにこの激痛は。
……私とユウヤ様の躰の相性が良くない……。
その考えに至り、ファリアは全身の血が凍るような絶望感に包まれた。
「……ファリア……。無理をしなくて……いいよ……」
ユウヤは優しくそう言ってくれた。
だが、ファリアは彼の方が無理をしているのが分かった。
一度勃起してしまった男性器がそう簡単に治まるものではないことをファリアは知っている。自分の膣の中に入れたいとユウヤはまだ思っているのだ。
ユウヤが腰を引こうとしたのを察知し、ファリアは懸命に痛みをこらえて両足を彼の腰に回してそれを阻止する。だが、その衝撃で、ユウヤの熱くて硬いペニスが更に膣をこじ開けたのだろう。一層つらい痛みがファリアを襲う。
「……ファリア……。駄目だ、そんな事をされたら、僕は……君を……」
「……おっ、お願いします。つっ、続けて下さい……。わっ、私はちゃんと、ユウヤ様を満足させてみせますから……。私の躰は、そうして頂くために……あっ、あるのですか…ら……」
ファリアは大粒の涙をこぼしながら微笑む。
「わっ、私は、貴方に全てを……捧げたいのです。貴方に気持ちよくなって欲しい、喜んでほしいのです……。ですから……」
言葉に出して理解した。
自分は何を思い上がっていたのだろう。私はユウヤ様に身も心も捧げると言ったのだ。それなのにユウヤ様を自分のものにしようなどと……。
私がユウヤ様を手に入れるのではない。私を貰って頂くのだ。こんな思い上がった考えを抱く、傲慢で淫乱などうしようもない女に情けをかけて頂くのだ。
「……あっ……」
痛みですっかり乾いてしまっていた自分の女の部分が、再び濡れ始めたことにファリアは気づいた。
それは、ユウヤが動かずに居てくれたことで膣が慣れ始めただけだったのかもしれない。
けれど、ファリアには、いままで神様が、フォルシア様が自分に罰を与えていたように思えてならなかった。
そして、今、心から反省をした自分を許してくれたのだと。
「……ああっ、ユウヤ様……。きっと、もう大丈夫です。どうか、動いて下さい……」
「……ファリア。……痛かったら言って……」
ファリアの表情からもう大丈夫だと察したのだろう。
ユウヤは腰に力を込めてファリアの濡れたプッシーに自分のペニスを埋め込んでくる。
「……あっ、ああっ。分かります。ユウヤ様が、私の…中に……」
ファリアはまだ痛みを感じたものの、先ほどまでの我慢できないほどのものではなかった。
そして、忘れていた快感が、悦楽が躰を再び陶酔させていく。
やがて柔らかな下腹部に、ユウヤの硬い同じ部分の感覚を感じ、ファリアはユウヤのペニスを全て迎え入れたことを理解した。
「……はぁっ、はぁっ……。ファリア。入った。全部、君の中に……」
結合された男と女の部分を軸にして、ユウヤがファリアに息がかかるくらいに顔を近づけて、その事実を教えてくれた。
ファリアは涙を流しながら、ユウヤの後頭部に手を回して彼の唇に自分の唇を重ねる。
「……わっ、私……。ユウヤ様を……。受け止めることができたのですね……」
下腹部に存在を感じる。ユウヤ様の分身が、私の膣を貫いて、お腹の最奥に触れているのが分かる。
嬉しくてたまらない。幸せな気持ちが溢れてくる。
躰の相性が悪いなどということはない。むしろ、そう誂えたかのように思えるほど馴染んでいると感じる。きっと私のこの躰はユウヤ様に喜んで頂ける。愛して頂ける。
安堵の気持ちと多幸感で胸が一杯になるのを感じる。でも、これで満足をしてはいけない。まだ、ユウヤ様が満足されていない。
「……ユウヤ様……。どうか動いて下さい。そして、私を完全に貴方の、貴方だけのものにして下さい……」
ユウヤの耳元でファリアはそうねだる。
「うっ、うん。でも、あまり我慢できそうにないんだ……。いま、こうしているだけでも、もう……」
ユウヤが言わんとしていることをファリアは察し、穏やかに微笑む。
ユウヤを迎え入れる前に浮かべていた偽りの笑みではない。心からの笑顔だった。
「……私は、ユウヤ様のものにして頂けるだけで幸せです。それに、お互い初めてなのです。最初から上手くいくはずはありません。
今は、気持ちよくなることだけを考えて下さい……。そして、私の膣内に、ユウヤ様の想いを注ぎ込んで下さい……」
「……ファリア。……ファリア!」
ファリアに促され、ユウヤは自分の欲望を満たそうと激しく動き始める。
「……くっ……、あっ……」
腰をがっしり掴まれ、膣内をペニスが引き抜かれては刺し挿れられる。ファリアはシーツを掴み、そのピストン運動による痛みに耐える。
「……ごめんなさい。ずっと我慢をさせてしまって……」
本当は、一秒でも早くユウヤ様はこうしたかったはず。それなのに、私のことを気にかけてくれて……。
痛みよりも愛おしさが込み上げてくる。
優しく、思いやりに溢れたこの人の心根に感謝をしながら、ファリアは懸命な表情で射精しようと腰を振るユウヤを見つめていた。
「私は十分気持ちよくして頂きました。今度は、私がユウヤ様を……」
その思いで痛みを堪えて、ユウヤに笑顔を向けていたファリアだったが、ユウヤの引き抜くペニスが膣のどこかの箇所を擦った瞬間、
「……あっ、んんっっ!」
思わず声を上げてしまった。
「……そっ、そん…なっ、んっ……。ゆっ、ユウ…ヤ様、すっ、すみません、わっ、私、私の…ほう……、んっ! あっ……」
膣内で感じた快楽に意識を向けてしまうと、だんだん痛みが引いていくのに合わせて、その部分から未知なる快感が溢れ出してきた。
ユウヤの腰が動く度に、熱いペニスが膣の肉癖をこする度に、とめどなく快楽が強くなっていく。
ユウヤ様を気持ちよくしたいと、喜ばせたいと思ったのに、これでは自分だけが……。
「そっ、そんっ、そんな、わっ、わた……」
甘い痺れが止まらない。呂律が回らない。思考が何度も飛びそうになるほどの快楽が襲ってくる。
「あっ、はっ! んっ……、あっ、はっ、ああっ……」
ファリアの口から漏れるのはもう言葉ではない。悲鳴じみた嬌声だった。
「……だめ。ユウヤ様……。ユウヤ様に、先に……」
懸命に心のうちでそれだけを思いながら、ファリアはシーツを破かんばかりに握りしめ、懸命に快楽に耐える。
ユウヤはもう限界だと言っていたのに、まだ射精してくれない。
絶対に、絶対に先に達してはいけない。そう自分に言い聞かせて懸命に意識を繋ぎ止めるファリア。
だが、そこに……。
「……あっ……。ああっ……」
不意に、連続して押し寄せ続けていた波が治まった。
けれど、ゆっくりと、しかし今までの波とは比較にならないほどの巨大な波が来るのを感じた。
絶対に意識を保てない、そう確信できるほどの、今までの波など全く比較にならない巨大な波が押し寄せてくる。
自身を飲み干す、巨大な、未知の、恐ろしい波がゆっくりとやってきたのだ。
「あっ、だっ、駄目! いやっ、ユウヤ様! ユウヤ様!」
悲鳴を上げて懸命に逃げ場を探しても、逃れることはできない。
「あっ、あああああああっ!」
あまりの恐怖に涙を流しながら、ファリアは巨大な快楽の波に飲みこまれてしまった。
「……ファリア!」
暴力的な快楽に白く溶けていく意識の中で、ファリアは自分を呼ぶユウヤの声を聞いた。
そして、ファリアの意識はそこで途切れ落ちた。
◇
「……はぁ、はぁ……」
懸命に酸素を貪り、呼吸を整える。
体の中身が全て放出されるかのような、長い射精だった。
ユウヤは激しい虚脱感に、そのまま前に倒れてしまいそうになるのを懸命に堪える。このまま倒れてしまっては、ファリアを苦しめてしまう。
こんな自分を受け入れてくれた少女を、これ以上苦しませたくない。
「……よかった、気を失っているだけみたいだ……」
激しかったファリアの呼吸も落ち着いてきた。大事ないことを確認して、ユウヤは少しだけ安堵する。
全身を包んでいた原因不明の熱が少し治まったことで、頭が働くようになったようだ。
「……はぁっ、はぁっ。……僕は……なんてことを……」
こんなにも美しい少女を蹂躙した。そして、この少女の膣内に欲望のままに精液を注ぎ込んだのだ。
ユウヤは未だにファリアの中に挿入したままだったペニスを、彼女から引き抜く。
自分が出したとは思えないほどの量の白濁した液体が、ファリアの淡い桃色の女性器の穴から零れ落ちた。
そして、精液の中に赤い物が混じっている事にユウヤは気づく。
それは、ファリアの純潔を自分が奪った証に他ならない。深い罪悪感と後悔が込み上げてくる。
「……んっ……」
ユウヤが自責の念に苛まれていると、ファリアの口から声が漏れた。そして程なくして、彼女の瞼が開かれる。
「……あっ……。ユウヤ様……」
ファリアはユウヤを見て微笑んだが、すぐにそれが憂いを含んだものに変わる。
「…………」
ユウヤには、彼女に何と声をかければ良いのか分からなかった。
押し黙るしかないユウヤに、ファリアは静かに身体を起こして歩み寄ってくる。そして、彼女はユウヤに頭を下げた。
「……申し訳ありません、ユウヤ様……」
突然の謝罪に、ユウヤは面を喰らう。謝らなければいけないのは自分のはずなのに。
「……ユウヤ様に喜んで頂こうと思っていたのに、私一人が満足してしまって……。きちんと最後までお相手を出来ずに……」
そこまで言葉に出されて、ユウヤはようやく彼女の言わんとしていることが理解した。
「……ああ。この娘も、本当に優しい娘なんだな……」
胸が温かくなるのを感じる。
抱いた女は愛したくなる、と何かの本に書いてあったのを思い出す。まさか自分がそんな事を経験するとは夢にも思わなかったが、それは本当のようだ。
「いいや、気に病まないで、ファリア。君は気を失うまでずっと僕のために頑張ってくれたことは分かっているから。……僕の方こそ、突然あんなことをしてし……んっ!」
ユウヤは言葉を最後まで続けることが出来なかった。それは、不意にファリアがキスをしてきたためだった。
唇を優しく甘噛する愛情に溢れた口づけをしてきたかと思うと、舌を使ってユウヤのそれを絡める濃厚なディープキスに発展してきた。
甘い香りがまたユウヤの鼻孔を満たしてくる。それに伴い、全身をあの熱が再び駆け巡ってくる。また何も考えられなくなっていく……。
長い濃密なキスを終えると、ファリアは静かに口を離し、もう一度優しく唇を触れさせるだけのキスをしてきた。
「……謝らないで下さい。私が、ユウヤ様に抱いて欲しいとお願いしたのです。そして、ユウヤ様は私の願いを叶えてくださったのです。……何も謝らなければいけないことはありません」
ファリアはそう断言し、ユウヤに潤んだ瞳を向けてくる。
言葉にしなくても、彼女が何を望んでいるのかはユウヤにも分かった。
ユウヤは黙って頷き、ファリアを抱きしめようとする。ファリアはそれを嬉しそうに見つめ返して……。
「……あっ、ああ……」
不意にファリアの表情が驚きのそれに変わった。
ユウヤを見つめ返してきていた彼女の視線が、自分の更に後ろに向けられているのを理解し、ユウヤは慌てて部屋の入口の方を振り返る。
するとそこには、赤髪の少女が、リナがランプを手に立ちすくんでいた。
「……すっ、すみません。すみません。すぐに、出ていきますので……」
リナは泣き出しそうな声で謝罪をする。
ユウヤは部屋の鍵も掛けずに性行為に没入していたことを悔やんだが、後の祭りだった。
きっと目が覚めて、近くにファリアが居ないことに気づいたリナは、不安に思ってまだ明かりがついているこの部屋を訪ねてきたのだろう。
「……待って下さい、リナ……」
ファリアは至極落ち着いた声色でリナに声を掛ける。
その言葉にリナは不安げな表情のまま足を止めた。
それを確認すると、ファリアは微笑み、とんでもないことを口にした。
「……リナ。あなたも、ユウヤ様のものにして頂きませんか?」