リナは帰宅するとすぐに、今回の顛末をファリアに打ち明けた。
すると、ファリアは優しく微笑み、「辛かったでしょうが、よく頑張りましたね」と優しく頭を撫でてくれた。
そして、「今日は貴女の番ですよ、リナ。しっかりとユウヤ様に愛して頂ければ、少しは気持ちも晴れると思います」と言ってくれた。
コリィを泣かせておいて、自分だけがユウヤに愛される事に戸惑いがなかったわけではない。
けれど、つらい気持ちがあるからこそ、ユウヤに抱かれたいと思ってしまう。
彼に、夫に愛されているということを確かめたいと思ってしまう。
「……あの、ファリアさん。そのことについて少し相談したいことが……」
心からユウヤさんに愛されたい。
そう思いながらも、初めての二人だけの情事に不安があることをリナは正直に話すことにする。
すると、ファリアはそのようなはしたない相談事にも真摯に対応してくれた。
そして、
「大丈夫です。貴女の不安は分かりました。原因の一端は間違いなくあのときの私にもあることですし、どうにかできるようにユウヤ様にお願いしてみます」
そう言ってくれたのだ。
リナはファリアに深く感謝をし、家事を懸命にこなしながら、その時を不安と期待を入り交えながら待った。
「それでは、後のことはお任せ下さい。どうかリナのことを可愛がってあげて下さい」
ファリアが微笑みながら部屋を出ていった。
そして、巨大ベッドの置いてある寝室に、ユウヤと二人きりで残されたリナは、ユウヤの顔を見つめて頬を赤らめる。
リナも数回肌を重ねているのだが、二人きりで同衾するのは今晩が初めてだ。
「あっ、あの、ユウヤさん……」
「うん、分かっているよ。今日はできるだけ優しくするから」
リナの美しい赤髪を撫でながら、ユウヤは優しい笑みを浮かべてそう言ってくれた。
初めての性交で、少し強引にユウヤの大きなモノを秘所に押し込まれてしまったリナは、ユウヤと交わる際にその時のことが思い出されてしまうようになってしまっていた。
純血を捧げ、ユウヤの子種を子宮に注ぎ込まれた。
もちろん、そのことには後悔などない。
ただ、その後はずっと優しく抱いてもらっているにもかかわらず、その時の恐怖の気持ちが無くならないことが不安だったのだ。
「私も、昨晩はすっかりユウヤ様に甘えてしまいました」
夕食の準備をしている際に、ファリアがそう話してくれた。
満面の笑顔を、心から幸せそうな笑みを浮かべながら。
だから、自分もファリアのようになりたいと思い、自分の中にある僅かな不安な気持ちを打ち明けた。
愛する人に抱かれて嬉しい気持ちはもちろんあるのだが、ユウヤに自身の全てを委ねることに少しだけ不安な気持ちもあるのだと。
ファリアは親身に相談に乗ってくれて、自分では言い辛いその事柄をユウヤに相談してくれた。
ファリアとユウヤが何を話したのかは知らないが、リナはただユウヤを信じようと心を決める。
ユウヤが服を脱ぎだしたのを見て、リナも静かに白いローブを脱いで下着姿になった。
そして、その下着も脱いで綺麗にたたんで全てを衣類籠に入れる。
陶磁器のような白く美しい肌。
燃えるような赤髪との対比が一層肌の白さを際立たせる。
そして、ローブの上からでは分からない意外と質量のある乳房。
その突起の桃色がとても可憐だ。
「その、ユウヤさん。不束者ですが、よろしくお願いします」
リナは小さく深呼吸をし、自分と同じように生まれたままの姿になったユウヤに頭を下げる。
「うん。すごく綺麗だよ、リナ」
ユウヤはリナを抱き寄せて、静かに唇を重ねてきた。
「あっ、んっ……」
いつも最初は優しい口づけからユウヤは始めてくれる。
リナがキスをするのが好きだと分かっているからだ。
お互いの唇の感触を確かめ合うような、優しくも情熱的な口づけ。
舌を入れられて口の中まで愛されるのも嫌いではないが、この口づけがやはり一番心地いい。
心地よさと興奮で顔が熱くなってくるのを感じる。
そして、リナはユウヤになされるがままに、ベッドに身体を預けた。
「リナ……」
ベッドに仰向けに寝るリナに、ユウヤが覆いかぶさるようにして近づいてくる。
「あっ……」
決意をしたのに、やはり駄目だった。
身体が硬直してしまう。
あの初めての夜に、強引にペニスをねじ込まれた恐怖が湧き上がってきてしまう。
ファリアと一緒の時であれば、ユウヤとファリアの行為が何時も先だったこともあり、興奮で紛らわせることができた。
けれど、今は……。
「……大丈夫。優しくするよ、リナ」
ユウヤは硬直するリナの頬を優しく撫でて、その部分にキスをしてくれた。
「あっ、ユウヤ様。あっ、んんっ、くっ、くすぐったいです……」
ユウヤは何故か執拗にリナの顔を優しく愛撫しながら、キスを繰り返す。
快感よりもくすぐったさが先に来てしまって、リナはユウヤに訴えかけたが、ユウヤはその行為を止めてくれない。
「リナ、可愛いよ……」
頭を優しく撫でてくれながら、ユウヤは愛撫とキスをする箇所を少しずつ下にずらして行く。
「ひゃっ!」
首筋にキスをされて、思わずおかしな声が出てしまった。
けれど、ユウヤは穏やかに微笑んだまま、入念にリナの身体を愛撫し続けていく。
キスも首から鎖骨の部分に移っていく。
きっとそのまま乳房に行くとリナは予想していたが、その予想は裏切られた。
「あっ、うっ、腕を……」
鎖骨から右腕に移った愛撫とキス。やはりくすぐったい。
そして、やがて掌まで行ったかと思うと、今度は指先まで愛撫を執拗に続ける。
「あっ、そんな、指まで。あっ、んっ……。えっ、あっ……」
くすぐったさを堪えていたリナだったが、不意にそれが別の感覚に変わってきたことに驚く。
「そんな、どうして……」
気持ちいい。
それは最初こそ僅かなものだったが、少しずつだが確実に強くなっていく。
「あっ、ユウヤさん。その、駄目、駄目です。なんだか、私、指で……。いえ、その、全身がおかしな感覚に……。あっ! んんっ!」
ユウヤの愛撫が指先からお腹に移った。
白く引き締まったその部分を優しく撫でながら、キスの雨を振らせてくる。
「いやっ、駄目、お腹を、そんなふうに優しく……」
リナは身悶えしながら、湧き上がってくる快楽に耐える。
「よかった。感じてくれているんだね、リナ……」
ユウヤはリナの静止の声を聞かずに、愛撫を更に下に移す。
「あっ、ユウヤさん。まさか私の……」
リナは心の中で、自分の最も女の部分に愛撫が来ると思った。
いや、それは正確ではない。
そこに来てくれるだろうと期待した。
けれど、ユウヤはまたしてもリナの予想を、期待を裏切る。
「あっ、どうして、私、足でまで……。ああっ……」
リナの期待していた部分を避けて、太ももに愛撫が移る。
そのことを一瞬残念に思ってしまった事に戸惑うリナだったが、すぐに太ももから伝わってくる快楽にそれどころではなくなってしまう。
「だっ、駄目です、そんな、足のゆっ、指まで……」
下に下にと向かっていた愛撫は、ついに足の指にまで及んだ。
もちろんその部分も綺麗に清めはしたが、床に接する部分だ。
そのようなところをユウヤにキスをさせるのは申し訳ない。
「はっ、んっ、あっ……」
リナの躰の奥底から快楽が止めどもなくにじみ出てくる。
胸やおしりや女性器に直接触れられたわけではないのにもかかわらず。
いや、そのような敏感な場所を触られたことで湧き上がってくる快楽は強いが短い。
今の全身を駆け巡る、弱いが持続的な心地よさは味わったことがない。
これは、今までの性交とはまるで違うものだ。
「このままでは、私、おかしくなってしまいます……」
気持ちいいのに一向に達することができない。
それは、あまりにも甘美な責めだった。
「リナ、すごく気持ちよさそうな顔をしているよ」
そう言うと、ユウヤはリナの身体とベッドの間に手を入れて、彼女の身体を抱え起こす。
そして、自らもベッドに腰をおろして、座ったままリナを抱きしめてくれた。
「あっ、ついに、挿れて……」
ようやくこの快楽から開放されて、達することが出来る。
そう考えたリナ。
しかし、彼女の期待は裏切られ続ける。
ユウヤは抱き起こしたリナの背中を両手で愛撫し続けるだけで、挿れようとしてくれないのだ。
「あっ、どうして……」
この身体に当たっている、ユウヤの男性の部分は固く反り返っているのに。
それを迎え入れるための自分の女の部分も濡れているのに。
「……そんな、私……。早くユウヤさんに挿れてほしいと思ってしまって……」
はしたないとは思いながらも、その欲求が強くなってくる。
早くあの熱い肉の棒を自分の中に受け入れたいと思ってしまう。
「……ユウヤさん、私、もう……」
ついには堪えきれなくなり、ユウヤにその事を告げようとしたときだった。
リナの小さいが柔らかいおしりに、ユウヤの手が伸びたのは。
「あっ、んっ! おっ、おしりをそんなふうに嫌らしく……」
ゆっくりと、その可愛らしい形を確認するかのように、その感触を楽しむようにおしりを撫で回される。
今までの、じれったいと思ってしまう愛撫とは違う快感。
でも、まだ達することはできない。
それどころか、よりいっそう躰に快楽が巡ってしまって力が入らなくなっていく。
リナの体中全てが、気持ちいいという感覚で一杯になる。
ただ触れているだけの箇所も、ユウヤの体温だけで感じてしまう。
「気持ちいい。気持ちいい。気持ちいい……。でも、足りない……」
リナは相反する二つの気持ちを抱えながら、快楽に完全に支配されてしまった。
もう、思考がまとまらない。ただ、この快楽による生殺しは切なくて仕方がない。
「リナ……」
ユウヤは優しくリナをベッドの上に押し倒す。
ようやく、ようやくその時がきた。
やっと達することが出来る。
挿入されることを恐怖していた気持ちなど、もうどこにも残っていない。
早く止めを刺してもらいたいと願ってしまっている。
リナには、もう恥じらう思考も力も残っては居なかった。
最後の力を振り絞って、何とか股を開き、ユウヤを迎え入れようとする。
そして、リナの待ち望んでいた部分に、プッシーに、ユウヤの体の一部がゆっくりと入ってきた。
「えっ? どっ、どうして……。どうして……」
確かにリナの膣の中に、ユウヤの体の一部が挿入された。
だが、それはリナが待ち望んでいたユウヤの太い肉棒ではなかった。
「すごく、濡れているね、リナ……」
ユウヤは右手の中指をリナの濡れそぼった穴に挿れ、そのまま彼女の乳房の先端に口づけをする。
「あっ、んっ! はっ、いや、気持ちいい。でも、でも、違っ……」
乳首に感じたキスも一度だけ。
膣内の指の愛撫もゆっくりで達することができない。
そんな快楽攻めが更に続いた。
「……もう、もう、我慢ができません。ユウヤさん。意地悪をしないで下さい……」
リナは涙をこぼしながら懇願する。
その言葉に、ユウヤは申し訳なさそうな顔をしてリナの頭を撫でると、自身のペニスを手にとって、リナのびしょびしょに濡れたプッシーの穴の部分にあてがう。
「ごめんね、我慢させて。挿れるよ、リナ」
その言葉とともに、リナは待ち望んでいた感覚を感じた。
「あっ、んんっ。入ってきています、ユウヤさんのが、私の中に……」
ようやく、ようやく入って来てくれた。
その事に歓喜してリナは挿入で得られる快楽に酔いしれる。
「はぁ、はぁ、はぁ。ようやく、やっと……。あっ、ああ、きっ、気持ちいい……」
限界まで高まっていた躰は、挿入されただけで軽くイッてしまった。
「リナ、少しこのままで居させて」
リナの膣内にペニスを挿れたまま、ユウヤはリナの躰を抱きかかえて、再び座ったままリナを抱きしめる。
「はっ、はい……」
リナは喜びを感じていた。
ユウヤの大きなモノを自分の中に受け入れる行為に。
そして、それが今も自分の膣内に納まり続けていることに。
「んっ、あっ……」
小さな絶頂が止まらない。
躰が陶酔している。
ユウヤの体温と感触に酔い続けている。
身体の深い部分で結ばれて抱き合っているだけでも。
「もしも、今、動かれてしまったら。どうなってしまうのでしょうか?」
そんな考えが脳裏をよぎったことに、リナは戸惑う。
ユウヤのペニスを心の何処かで怖くて痛いものと思っていたのに。
けれど、今は……。
「リナ、少しだけ動くよ」
まるでリナの心を読んだかのタイミングで、ユウヤは腰を動かし始める。
ゆっくりとしたペースで、リナの膣からペニスを抜き差しする。
「あっ、ああ! どうして、身体中が感じ……んっ、あっ。きっ、気持ちいい、気持ちいいです……」
躰が蕩けていくかのような快楽に、リナは我慢できずに「気持ちいい」と口にする。
ユウヤはそんなリナの頭を愛おしそうに撫でながら、ゆっくりとした腰の動きは止めない。
「あっ、ああっ。いやっ。もっと、もっとこのままで居たいのに。きっ、来てしまっ、あっ、ああっ、あああっ!」
躰の最も深い部分から湧き上がってくる巨大な快楽の波に、リナは飲み込まれて絶頂を迎えた。
そしてユウヤも、そのタイミングに合わせてリナの中に子種を注ぎ込んでくる。
「あっ、ああっ……。気持ちいいのが、まだ、続いて……」
身体中に渦巻く快楽の長い残滓を感じながら、リナは身体中のすべての力が抜けてしまい、ユウヤの身体にもたれかかるしかなかった。
けれど、リナの愛しい夫は、自分の全てをしっかりと受け止めてくれた。
そして、力が抜けたままでは辛いと思ってくれたのだろう。
自分が下敷きになる形でベッドに倒れ、そして優しくベッドに横たわらせてくれた。
「大丈夫かい、リナ?」
自分を心配する温かな声に、リナは笑顔で「はい」と頷いた。
もう、ユウヤとの性行為への恐怖はなかった。
彼を迎え入れるという行為を怖いものだとは思わなくなっていた。
ただ、少し不安なことが一つだけ……。
「あっ、あの、ユウヤさん……」
「んっ? どうしたんだい、リナ?」
「わっ、私は、ユウヤさんに愛していただいて、どんどんはしたない女の子になってしまっています。ですが、お願いですから、私のことを嫌わないで下さい……」
リナの不安げな頼みに、ユウヤは驚き、そして苦笑しながら優しく頭を撫でてくれた。
「リナ、大丈夫だよ。これからも大切にする。君のことが大好きだから」
ユウヤのその言葉に、リナは安堵して彼の頬にキスをした。
「私も大好きです、ユウヤさん」
リナはそう言って満面の笑みを浮かべるのだった。