いよいよ昼食時となり、ヴェリス神殿とリスレ神殿の代表者の食事会が開催されることになった。
神殿の大広間には、長テーブルと椅子が向かい合って並べられて、そこにうちの神殿とリスレ神殿のお歴々が、各四人も鎮座している。
「ふふっ、楽しみですね。食事は生きていくために欠くことが出来ないものです。そして、その人物がどのようなものを食べているのかを知ることで、互いの相互理解を深めることができると思います。
このような素敵な催しを提案してくださり、ありがとうございます。ルピア司教」
話しかけてくるカティア司教様に、ルピア様は満面な笑顔を浮かべている。……表面上は。
「あっ、ルピア様。罵詈雑言を必死で堪えている」
出来上がった料理を、カティア様をはじめとするリスレ神殿のお客様に給餌しながら、ルーアは懸命に笑顔を崩すまいと努力しているルピアに同情する。
もしも人の目がなければ、攻撃魔法を数十発は浴びせてやれるのに、と歯痒い思いをしているに違いない。
「あらっ、これが噂のカレーというものなのですね。ふふっ、素晴らしい香りですわ」
カティア司教の賞賛の言葉を、ルーアは笑顔で受け取る。
そして、彼女は他の給餌のシスターを下がらせて、自身はルピア達の座るテーブルの一番下座の席に腰を下ろした。
他の皆には悪いと思う。だが、自分の料理がどのような評価を受けるのか、そしてリスレ神殿の料理がどのようなものかを知るという役目がまだ残っているのだ。
本来ならば、自分のような年若いシスターが食事をともにすることなど許されないのだが、『よその料理を勉強することも必要でしょう』と、ナタリア司祭が同席することを許して下さったのだ。
杓子定規なところが目立ちすぎて誤解されているが、ナタリア司祭は、本当は優しい人柄だということをルーアはよく分かっている。
「さて、まず我々の料理を召し上がっていただこうと思います。冷めてしまってはせっかくのご馳走が台無しですので、料理の解説は、食べながらお聞き下さい」
ルピア様の言葉に、カティア司教達は食事前の祈りをフォルシア様に捧げる。そして、それが終わると、いよいよルーアの作ったカレーの実食となった。
自信がないわけではないが、ルーアの胸中にも不安な思いはいつもある。しかし、この気持ちはなくしてはいけないのだ。
料理を習い始めたときに、最初に先生に言われたこと。ルーアはその教えを片時も忘れたことはない。
ルーアはカティア司教達の反応をただ待つ。
カティア司教は優雅に匙を口に運び、目を大きく見開いた。そして、微笑んでくれた。
「これは素晴らしい味ですわ。今までに味わったことのない美味です」
カティア司教様の口から、感嘆の声が漏れる。
その言葉に、ルーアは内心で安堵の息をつく。
「ルーア。料理の説明を」
「はい。畏まりました、ルピア様」
ルピアの命を受け、ルーアは静かに立ち上がって簡単に料理の説明をする。
「皆様に召し上がって頂いているこの料理は、カレーライスといいます。カレーソースをライスの上に掛けることから、このような名前になっております。
肉と玉葱と人参を煮込んで、そこにいくつものスパイスを使用して味付けをした、深いソースの味わいとライスとのハーモニーを楽しんで頂く料理です。
肉は他のものでも大丈夫なのですが、カティア司教様は鳥肉がお好きでいらっしゃるとお聞きしましたので、鶏の肉で作らせて頂きました」
あれこれと試行錯誤をしてみたが、自分の今の腕では、やはり七面鳥の肉では満足の行くものを出来ないと判断し、ルーアは鶏肉を素材に選んだ。
悔しさがなかったといえば嘘になるが、料理は自分の腕を誇示するためのものではない。あくまでも美味しく食べて喜んでもらうためにあるのだと、ルーアは自身の信念のままにそうした。
「なるほど。これはこの上なく美味しい料理ですわね。この素晴らしい香りといい、食事をする人間に対する配慮のきめ細やかさといい、脱帽です」
カティア司教様たちは、本当に美味しそうにルーアの作ったカレーライスを完食してくれた。皆が笑顔を浮かべて食事を楽しみ、喜んでくれた。料理人冥利に尽きる瞬間だ。
けれど、ここでルーアは一つの事柄に気づく。
「私の料理を楽しんで下さったのは嬉しい事この上ないけれど、皆さんは、一度も不安げな顔をしなかった。お互いの神殿の名誉がかかったこの料理勝負で、笑顔を崩さないでいられるわけは一つしかないわね」
あのシスター、ハルカが作る料理に絶対の自信があるのだ。私の渾身のカレーに負けない料理だという自信があるのだ。
「ふっ、ふふふっ。楽しみで仕方ないわ。このカレーは私が工夫に工夫を重ねた物。でも、私と同い年の女の子が作る料理が、それには決して負けないという信頼を受けているなんて」
ついつい素の笑みになるのを自制して、ルーアは余所行きの微笑みを作る。
「本当に、この上なく素晴らしい歓待の料理でしたわ。それでは、ここからは我々がご用意させていただきました料理をお楽しみ頂ければと思います」
カティア司教様の言葉が終わるとともに、一番下座に座っていた司祭様が席を立ち、この部屋のドアを開いた。
すると、出番を待っていたのだろう。あのシスター、ハルカ達が、一礼して料理台車を押しながら入室してくる。
「失礼いたします。お料理をお持ちいたしました」
ハルカ達はそう言って、ルーア達のテーブルに給餌を始めたが、最初にテーブルに置かれたのは、三つの陶器製の容器。だが、その中身がメイン料理でないことは明らかだった。
まずは最初の丸い容器に入っているのは、淡い黄色のソース。間違いなくタルタルソースだ。そして、次に置かれたのは注ぎ口のある少し縦長の容器。上部に蓋がついているため中身が見えないが、その注ぎ口の小ささから、これもソースの一種だろう。
そして最後はひと目で分かるソース入れ――シーシェルだ。中には黒に近いほど濃厚な色のソースで満たされている。
「タルタルソースといえば、揚げ物よね。ふふっ、何の揚げ物かしら?」
ルーアが期待して待っていると、程なくして料理の皿も配膳された。
その自分の前に給餌された皿には、黄金色の衣をまとったフライらしきもの三種類がキャベツの千切りとともに綺麗に盛りつけされている。
フライの一つは握りこぶし大の楕円形の形で、もう一つは完全な円形。そして、他の二つと比べると随分小さな楕円状のものが三個乗せられていていた。
「三種類の揚げ物に三種類のソース? それぞれに別な味付けをするというの?」
早く味を確認したい気持ちを押さえて、ルーアはあまり料理に目をやりすぎないように懸命に我慢する。
料理を給餌していたハルカは、他の仲間を下げさせて、彼女のために用意されたリスレ神殿側の末席に腰を下ろす。
そんな彼女と目が合うと、ハルカは口の端を僅かに上げた。その挑発的な笑顔に、ルーアも同じ笑顔を返す。
「これは、素晴らしい色のフライですね。見るからに美味しそうです」
ルピア様が笑顔で感想を述べ、カティア司教様とハルカに笑みを向けた。
カティア司教様も微笑みを返し、ハルカは一礼でそれを受け取る。
「さて、こちらの料理も冷めてしまっては味が落ちてしまいますので、ぜひ熱いうちにお召し上がり頂ければと思います。ですが、それぞれの料理の美味しい食べ方を説明いたしますので、それをお聞きになってからお召し上がり下さいませ」
カティア司教様の言葉に、ルピア司教様は「分かりましたと」と答えて、食事前の祈りを捧げ始める。当然、ルーアもそれに倣う。
そして、祈りが終わり、待ちに待った実食の時間がやって来る。
「それでは、ハルカ。説明をお願い致します」
「はい。畏まりました」
カティア司教様の言葉に、ハルカは静かに立ち上がった。
「本日のメニューをご説明させて頂きます。ですが、長々と解説をしてしまい、冷めてしまっては味を損ねてしまいますので、一品説明する度にお召し上がりになって頂けましたら幸いです」
ハルカは優雅に一礼をし、言葉を続ける。
「まずは、一番小さなフライから味をご確認願います。大変熱くなっておりますので、火傷にお気をつけくださいませ。ソースは皆様のお手元のタルタルソースか、小瓶に入ったソースを少量掛けてお楽しみ下さい」
ハルカは熱くなっていることと、ソースのことしか口にしない。中身は食べてからのお楽しみということなのだろう。
「はい。分かりました。それでは、頂きましょう、皆さん」
ルピア様が皆にそう言い、ナイフとフォークで小さなフライを二つに切り分ける。ルーアもそれに倣って小さなフライを切り分けると、磯の香りが漂ってきた。
「これは、牡蠣。牡蠣のフライね」
一般的に、牡蠣は焼くか蒸すかが定番だが、フライにするとどのように味が変わるのだろうか?
ルーアはルピアがフライを口に入れたのを確認し、まずは何もソースを付けない状態で、ハルカの料理を味わう。
「…………」
ルーアは、予想以上のサクサクとした食感と口いっぱいに広がる牡蠣の旨味に絶句した。
「これはもう、言葉にできない程の美味ですね」
ルピア様はたおやかに微笑み、牡蠣のフライを絶賛する。
他の皆も、口々に美味しいと賛辞の言葉を述べる。なんと、普段あまり感情を表に出すことのない、ナタリア司祭まで控えめながらも驚きの表情を浮かべていた。
「ふっくらとして旨味が、はちきれんばかりに溢れ出てくるこの揚げ方。今の私にできるかしら? 揚げ時間が足りなければ旨味が出ないし、かと言って揚げ過ぎたら貝類は固くなってしまう。そのどちらでもない最高のタイミングを完璧に理解した調理法だわ。
それに、この衣のサクサク感は何なの? 揚げ方? 違うわね。特別なパン粉ね、これは」
ルーアは、内心でそう呟くと、残った半身のフライにタルタルソースを掛けて口に運ぶ。
「うん。当然、この組み合わせは間違いないわ。私でもタルタルソースを添える。でも、ハルカはまだ別のソースも用意している。これと同じくらい合うソースがあるというの?」
心のなかで思うばかりで、ルーアは言葉を発することなく試食を続ける。次のフライには、小瓶に入っているソースを少し掛けてみた。
「変わった香り。魚醤? でも、魚臭さはないわね」
ルーアは再び半分に切り分けて、フライを口に運ぶ。
「ぬぅ、美味しい。悔しいけれど、このソースも絶品だわ。合うわ、このフライに」
やはりこのソースは魚醤に近い。ただ、魚醤では牡蠣の味と喧嘩してしまうだろうが、このソースは、ただただ牡蠣の旨味を引き立てている。
「珍しい調味料ですね。これは醤油でしょうか? この牡蠣のフライにとても良く適合していますね」
ルピア様の言葉に、皆の視線が彼女に集まる。当然その中にはルーアも含まれていた。
「はい。さすがはルピア様。仰るとおりです。こちらの小さな陶器には『醤油』が入っております。豆から作られるもので、貝類の他にも様々な料理と相性がいい万能な調味料です」
ハルカは微笑んで答える。そして、
「さて、それでは、皆様に最初の料理、『カキフライ』の味を確認していただきましたので、次の料理の説明に入らせて頂きます」
そう続いた言葉に、ルーアはいつの間にか最後の一個も自分が完食していたことに気づく。あまりの美味しさに、無我夢中で食べてしまったようだ。
だが、それはルーアだけではないようで、ルピアを始め、皆が『カキフライ』という名の揚げ物を三個全て食べ尽くしていた。
「それでは、料理の説明を続けさせて頂きます。二種類の揚げ物が残っておりますが、実はこの二種類は同じ料理です。ですが、少し仕掛けがありますので、まずは楕円形のフライの方からお召し上がり下さいませ。
また、このフライには、お手元のソーシエルに入ったソースを掛けてお召し上がり下さい」
説明を受けて、今一度楕円形のフライを凝視し、ルーアは笑みを浮かべる。やはり、このハルカは素晴らしい料理人だ。そんな人物の料理を味わう機会を得たのは、この上ない幸運に他ならない。
「てっきり三種類の揚げ物だと思っていたけれど、二種類なのね。それで肩透かしを食わせてしまった感は否めないけれど、その穴埋めする仕掛けがあるというわけね」
楕円形の方も円形の方も随分と厚いフライだ。中身が何かは分からないが、これもかなり火加減が難しいのではないだろうか?
ルーアはやはり最初はソースを掛けずに味を見ようとし、ナイフをフライに当てた。
「あらっ? 随分柔らかい」
その厚さから硬いものだと思っていたそのフライは、何の抵抗もなくナイフを通した。
「中身は白いけれど、ソースではないわね。黒い粒が入っているけれど、これは……」
とにかく、味を見るのが先だとルーアは切り分けたフライを口に運ぶ。
サクサクの衣の食感の後に、ホクホクとした食感と旨味が口に広がっていく。揚げて時間が経っていないのだろう。そのため熱々なのだが、この熱さもまた味の一つだ。
「あっ、熱い。でも、美味しい! 何、何なの、この料理は!」
ルーアは口を半開きにして空気を貪り、口内の揚げ物を冷ます。お世辞にも上品な振る舞いではないのだが、そんな事を気にしている余裕はなかった。
このホクホクとした旨味はじゃがいもだ。それを茹でて潰したものにひき肉を加えているのだろう。
「これを食べて連想する料理といえば……」
ルーアがそう考え出すのを読んでいたかのようなタイミングで、ハルカが料理のさらなる説明を口にする。
「この料理と似ている料理を、皆さまはご存知だと思います。肉や魚、野菜などにホワイトソースを和えまして、小麦粉、溶き卵、パン粉をまぶして揚げた料理。つまり、お馴染みのクロケットです」
「うん。そう、クロケットよ。でも、クロケットにじゃがいもを使うなんて、聞いたことがないわ」
ルーアは心のうちで頷き、ハルカの説明を待つ。
「この料理は、クロケットが元となった料理で、その名を『コロッケ』といいます。これも、クロケットの名前が変化したからではないかと言われているそうです」
「『コロッケ』ですか? 何とも面白い響きですね。ですが、この味わいはとても力強い美味しさに満ちています。これも大変素晴らしい料理です」
ルピアのそんな絶賛の言葉に、ハルカは『ありがとうございます』と慇懃な礼を返す。
ルーアはその様子を横目で確認しながら、今度はソーシエルからソースを取り、それを掛けてから一口分を口に運ぶ。
「くっ、くぅぅぅぅっ! 果物や野菜の旨味が詰まったこのソースが、ものすごく合う! じゃがいもとひき肉の織りなす素朴な美味しさが、濃厚なこのソースによって更に際立っているわ」
このソースも一朝一夕で作られたものではないだろう。これほど複雑に絡まった旨味でありながらも、後味がすごく軽い。
これに負けないソースを作るとなると、一筋縄では行かないことは間違いないだろう。もっとも、できないなどと言って諦めるつもりなど全く無いが。
「さて、いよいよ私どもの料理も最後の一種類となりました。ですが、これは先に申し上げましたとおり、先程と同じ料理ですので、全く同じ食べ方をして頂ければ問題ありません」
結構なボリュームが有ったというのに、ルーア達は楕円状の『コロッケ』なる料理を食べ尽くしていた。そして、その勢いのまま、最後の一つも食べたい気持ちに駆られてしまう。
「ふふっ、同じ料理を強調するところに何かありそうですね。楽しみです」
ルピア様は微笑んで、最後に残った円形の『コロッケ』にナイフを入れる。ルーアや他の皆も同じようにナイフで切り分ける。すると、その切り分けた断面の中心部分に、先程とは違う何かが入っていることに気づいた。
淡い黄色で、とろりと溶けているこれは、間違いなく……。
「ふっ、ふふふふっ。なるほど。これはチーズですか。たしかにそれ以外は先程頂いた料理と同じですね。けれど、このチーズのひと味が加わったことで、味わいが大きく変化しています。これも素晴らしく美味しいです」
ルピア様の絶賛の言葉は、しかしルーアの耳には入らなかった。
彼女はただただ、このチーズの入った『コロッケ』に感動していたのだ。
「うん、うん。チーズの旨味がこの上なくじゃがいもとひき肉の旨味と組み合わさって、力強くコク深な豊かな味になっているわ。それに濃厚なソースを掛けてもチーズの塩気が嫌味にならないこの割合。ああっ、一体どれだけ試行錯誤を繰り返したのよ!」
この素晴らしい料理を作り上げた、ハルカという素晴らしい料理人に、呆れとそれ以上の敬意の気持ちを込めて、ルーアはしっかりと味わって彼女の力作を堪能した。
揚げ方が良いため、油っぽさはほとんど感じないのだが、添えられているキャベツの千切りを口にすることで、舌をリフレッシュさせて、またコロッケの旨味を味わうことができる。
「ああっ、この満足感。じゃがいもがたっぷりだから、すごい満足感があるわ。でも、この料理は、間違いなく……」
あまりにも美味しい道の料理を食べたことで、ルーアは不意に一つのアイデアが浮かんだ。
「綺麗に全て召し上がっていただけて、この上なく嬉しく思います」
皆が食事を終えたタイミングで、カティア司教が柔和な笑みとともに、感謝の言葉を口にする。
「我々が口にしている料理は、このように素朴なものが多いので、皆様のお口に合うか不安でしたが、ご満足いただけたようで何よりです」
カティア司教様のその言葉に、ルピア様の微笑みが一層強くなる。
「あっ、まずい……」
ルーアは心の内で呟き、冷や汗を浮かべる。あんな風にルピア様が笑みを強めるのは、必死に感情を押し殺している時なのだ。
あくまでもルーアの邪推だが、先ほどのカティア司教の言葉には、壮絶な皮肉が込められていたように思える。
『我々が口にしている料理は、このように素朴なものが多いので、(堕落してカレーライスのような高価で美味しいものを普段から口にしている)皆様のお口に合うか不安でしたが、(質素でも旬の食材をふんだんに使って工夫を重ねたうちの料理が)ご満足いただけたようで何よりです』
そう言っているような気がしてならない。
きっと今、ルピア様は、
『ああっ? カレーライスを食べたいと言って、こっちの都合も考えずにやって来ておいて、そんなことを言うの? なに、喧嘩を売っているの? 後で覚えてなさいよ』
と言った罵詈雑言を懸命に飲み込んでいるのだろう。
ルーアは満面の微笑みを浮かべ、こっそりルピア様に視線を送る。
その視線にすぐに気づいたルピア様は、ルーアに目で合図を返してくる。
「夕食と明日の朝食で、ぎゃふんと言わせてやりなさいよ」
ルーアはそんなルピアの指示を的確に読み取って、小さく頷いた。
リスレ神殿の皆さんが滞在する間の食事は、素晴らしいものにする。リスレ神殿の皆さんに喜んでもらえる、ありふれた旬の食材を利用した美味を作る。
ただそこに、少しだけ、うちの神殿の料理も贅沢なものばかりではないと分かってもらうための配慮をしても罰は当たらないだろう。
「あははっ。私って、やっぱり負けず嫌いなのよね」
ルーアは苦笑しながらも、明日のメニューをさっそく考え始めるのだった。