※この作品はR-18です。

Irregular ~存在を許されざるもの~   作:トド

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『警告』

 私の名は、カティア。リスレ神殿の司教を務めております。

 

 当神殿のシスターを妻として娶って下さった貴方様に向けて、一つの警告をお知らせさせて頂きたく、この内容を記しました。

 

 願わくは、私がこれから申し上げる『警告』が、貴女様たちの役に立つことを願います。

 

 

 この本は、神殿のシスターを娶った方が、彼女たちを含めて四人以上の女性と関係を持った場合か、資格を持たずに遊戯の開催まで一ヶ月を切った場合に、この内容が表示されるように作られております。

 

 どちらの場合であっても、もう猶予がないということをご理解下さい。

 

 

 

 まずは初めに、貴方様が今生活をしている、この年若い女ばかりの異常な世界についてご説明します。

 

 

 単刀直入に申し上げます。この世界は、自らをゲームマスターと称する一人の男によって作られた世界です。

 

 そう言われても、にわかには信じられないと思います。

 

 

 ですが、明らかにこの世界は異常だとは思いませんでしたか?

 

 自然の摂理とは大きくかけ離れた世界だと思ったことはないでしょうか?

 

 間違いなく、そのような疑問を抱かなかった方はいないはずです。

 

 

 もう一度、記します。この世界は、一人の男によって作られた世界です。

 その男が、遊興にふけるために作った世界なのです。

 

 

 そして、その男の遊興とは、この世界に生きる者たちを利用して行う、残忍な殺人遊戯です。

 貴方様は、これに参加するか否かを選択しなければなりません。

 

 

 もしも、貴方様が五人以上の女性と肉体関係を結んでしまった場合、先に申し上げた遊戯に強制的に参加することとなってしまいます。

 逆に言えば、五人以上の女性と関係を持たない限りは、遊戯に参加させられることはありません。

 

 ですが、参加しないのは、参加する場合以上に危険です。それは、抗うすべを放棄することに他ならないからです。

 

 

 遊戯の内容を知って頂くには、参加資格を有した際にゲームマスターからの手紙を見ていただくのが一番ご理解頂けると思いますので、一字一句違わずに、ここに記します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 おめでとうございます。貴方は資格を手に入れることができました。

 

 これだけたくさんの見目麗しい女性が存在するというのに、五人以上の女性と関係を持たないような軟弱者とは違うということが証明されました。

 

 さて、そのような男性としての向上心、野心をお持ちの貴方に、素晴らしいお知らせがあります。

 

 そのお知らせとは、この世界の隠されていた真実と、貴方が参加するゲームについてです。

 

 この世界は二年間を一つの周期として存在しています。

 最初の一年間を『準備期間』。次の一年間を『戦闘期間』とします。

 

 貴方は、資格を手に入れましたので、今年が終わった瞬間に始まる『戦闘期間』に入ることができます。

 そこでは、この私を含めた他の参加者の皆様との戦闘を、殺し合いを、デスゲームをして頂きます。

 

 ゲームの最終目的は、この私、ゲームマスターを探しだして殺すことです。

 

 私を殺す事ができた方は、この世界の全てを手に入れることができます。

 

 貴方が見てきたこの世界は、素晴らしいものではありませんでしたでしょうか?

 自分以外にはほとんど男がおらず、それ以外は美しい、愛らしい女性ばかり。そして、どの街も豊かであったはずです。

 

 食欲、睡眠欲、性欲。この三大欲求を満たすには、この上ない場を提供できていたと自負しております。

 

 この世界の全てを思うがままにできるというのが、このゲームの特典です。

 

 いかがでしょうか? 命をかけるに値するものだと思いませんか?

 

 もっとも、貴方に拒否権はありません。資格を手にしてしまった以上、ゲームに参加しないということはできませんし、自害することも不可能です。

 また、一度資格を手に入れた以上、貴方が生きている限り資格は失効しません。

 

 

 もしかすると、貴方は荒事が得意ではないかもしれません。ですが、ご安心を。

 このゲームはフェアなものです。

 

 貴方が関係を持った女性が、現在五名以上いるはずです。

 彼女たちが貴方の力になります。

 

 チェスと言う遊戯をご存知でしょうか? 

 キング、ポーン、ナイト、ルーク、ビショップ、クイーンの六つの駒を利用して、相手のキングを倒す遊びですが、これから始まるゲームはそれをベースにしています。

 

 

 簡単にルールを説明いたしますと、まず、貴方が『キング』になります。そして、貴方が関係を持った女性たちはランダムで他の駒に割り当てられています。

 自身を含めたそれらの駒を利用して、相手のキングを殺せば勝利です。

 

 

 少々入り組んでおりますので、さらに詳しく説明させて頂きます。

 

 

 

◎駒の能力について

 

◎王(キング) 

 ・必ず男性がなります。

 ・力は普通の人間と変わりません。

※個体による基礎力の差異はありませんが、配下の女性から有した力を使いこなすにはそれなりの修練が必要となります。

 ・自分の配下の女性(最大十五名)に絶対命令権があります。

 ・自分の配下の女性の力を、五人まで手に入れることができます。

※この『力』には後述する『能力』も含まれます。

 ・後述する、『拠点』の設定変更を行えます。

 ・原則、キングはキングでしか殺すことができません。(ダメージを負わせられません)

 ※ただし、配下の駒をすべて失ったキングは、その他の駒にも殺されます。

 

◎歩兵(ポーン)

 ・力は普通の人間と変わりません。

 ・ただし、多様な『能力』を二個有することができます。

 

◎騎士(ナイト)

 ・力は普通の人間よりも少し上です。

 ・規格外な機動力を有しています。(ある部分ではクイーンよりも上です)

 

◎戦車(ルーク)

 ・力は普通の人間よりも圧倒的に高いです。

 ・キャスリングの『能力』で、距離を関係なくキングのもとに駆けつけることができます。

 

◎僧侶(ビショップ)

 ・力はナイトと同じです。

 ・魔法という『能力』を使用することができます。

 

◎女王(クイーン)

 ・力は全駒中最強です。

 ・魔法という『能力』を使用することができます。

 ・上記の能力以外にもう一つ『能力』を有します。

 

 

 

◎『能力』について

 能力の一例を上げますと、『探知能力』が挙げられます。

 これは、ある一定距離に敵対するキング及びその配下の駒が、何処に居るかを感じ取れる能力です。

 こと戦いにおいて、その情報がどれほど有益化はおわかり頂けると思います。

 

 ですが、その能力を逆手に取る『隠密能力』というものもあります。

 これは自身の足音や物音を消す効果に加えて、『探知能力』に探知されないという特性を持っています。

 

 さらに、僧侶(ビショップ)の持つ『魔法』という能力は、多岐に渡る能力をある区分ごとに使い分けられるという、かなり汎用性に優れた便利な能力となっておりますので、手に入れた際にはいろいろお試しいただければと思います。

 

 能力はあまりにも多数あるため、紹介するのは以上の三つの能力だけにさせて頂きます。

 

 

『能力』は、原則としてその力を有する本人とその駒を所有するキングしか知りえません。ですが、あくまでも原則。それを看破する『能力』もあるかもしれません。

 

 駒の力以上に、この『能力』というものが戦いにおける鍵になるはずです。

 ですから、最弱の駒であるはずの歩兵(ポーン)も、その能力次第では凄まじい戦力となる可能性があります。

 これにより、様々な駆け引きをお楽しみ頂けると思います。

 

 

 

 まずは、手近の自分の抱いた女性に触れてみて下さい。それで、その女性の駒の種類と能力が分かるはずです。

 けれど、必ずこの五種類の駒全てが配布されるとは限りません。

 ポーンが五体という可能性もありますし、素晴らしく運が良ければ、クイーンが五体という可能性もあります。

 

 チェスの持ち駒がキングを含めて十六駒で有ることから、このゲームにおいても、女性を十五人まで手駒にすることができます。

 また、一度貴方の手駒になった女性は、死ぬまで貴方の忠実な下僕ですのでご安心を。

(相手に奪われて利用される事を防止するための措置です)

 

 ですが、キングである貴方の力に加算されるのは、最初に関係を持った五人だけです。

 それ以降はバックアップとなり、先の五人のうちの誰かが死亡するまで変更できません。

 

※女性が死亡すると、その女性が有していたキングへのプラスと能力が失われてしまいます。

 

※新たに加算される女性は、関係を持った順番です。

 

 そして、十五人の女性を手駒にしている状態で、別の女性と関係を持つと、その女性は消滅してしまいますのでご注意下さい。

 

 

 

 さて、いかがでしょうか?

 私が説明した内容をご理解いただけましたでしょうか?

 

 しかしながら、先に上げたキングとしての能力、及び貴方の手駒の女性の能力は原則『戦闘期間』が始まってからのものです。

 そして、通常、『準備期間』中に殺し合いはできません。

 

 そのような理由もあり、私の話をすんなり受け入れることはできないかもしれません。

 

 

 ですが、ここで資格を手に入れた貴方に特別な情報をお与えします。

 

 『準備期間』の四月から十二月にかけて、毎月二十五日を『約束の日』とします。

 毎月この一日だけは、『戦闘期間』と同じように能力を全て使うことができます。

 この日をいかように使うかは貴方次第です。

 けれど、この一日があることを知っているメリットは、計り知れないもののはずです。

 

 とは言え、無条件に力を振るうことを、虐殺を認めてしまった場合、新規勢があまりにも不利であるとの判断から、以下の条件を『約束の日』に加えます。

 

 

① 『約束の日』には、有資格者及び配下の者は自身の持つ能力を使用することができますが、その能力の行使対象は建物の外にいる相手へのみとします。

② 建物等の構築物を外部から破壊することはできません。

③ 他の住居者のいる住宅に入ることができません。(宿等の宿泊施設を除きます)

 

 

 無関係の女性はもちろん、他のキング(またはその候補者)と配下の者が街の外に出ていることを発見すれば、それを狩ることができるというわけです。

 まぁ、逆に狩られる可能性もありますので、諜報だけに留めるという判断もありでしょう。

 

 但し、『戦闘期間』に置いては、この四月から十二月までの『約束の日』は、真逆の意味を持つことになります。

『戦闘期間』における『約束の日』は、一切の能力が使えなくなる時間とします。

『戦闘期間』に一日だけ『準備期間』があると思っていただければわかりやすいと思います。

 

 

 そして、さらに大切な、集落施設の『起動』と『拠点』について説明します。

 

 

◎集落施設の『起動』と『拠点』について

 

 『戦闘期間』が始まると、この世界中の街や村などの機能が停止します。

 ですが、どの集落にもある大時計に貴方が近づくことで、その集落の機能を起動して復活させることができます。(起動していない集落には、キングしか入ることが出来ません)

※一度起動してしまった集落は、次の『戦闘期間』に入るまで停止しません。

 

 また、貴方が『戦闘時間』に入る直前にいる(または近い)場所が『拠点』となります。必ず起動して下さい。

 

 ※戦闘時間に入る際に、同じ集落に有資格のキングが二人以上いる場合は、在籍日数の少ない方のキングが、近場の空いている集落に飛ばされてしまいます。

 

 ※起動しなかった場合、他のキングに起動及び操作をされてしまう危険性が出てきます。

 

 集落を起動させることにより、物資や手駒の補給を行うことができる他、先の大時計で操作を行うことで、そこに登録されている者(男性も含みます)を自由に消去できます。

 

 ※集落を動かしても、無資格者の男性と彼と関係を持った女性は大時計の中に閉じ込められたままです。

 

 集落の起動はメリットが大きいですが、その反面、そこに有資格のキングがいると露見してしまうデメリットもありますのでご注意下さい。

 

 

 以上が『戦闘時間』等のルールです。

 

 これらのルールは絶対です。破ることはできません。

 

 ですが、ルールの範囲内であれば、いかようなことも自由になさっていただいて結構です。

 

 それでは、貴方の素晴らしい奮闘を期待しております。

 

 

 

 

 

 

 

 

 これが、資格を手に入れてしまった方のもとに届く手紙の全てです。

 

 この内容を確認頂いた後であれば、前述させて頂いた、『参加しないのは、参加する場合以上に危険です。それは、抗うすべを放棄することに他ならないからです』という言葉の意味がご理解頂けると思います。

 

 

 それでも、貴方様は争いごとを望まないかもしれません。

 

 その決定を、変える権利は誰にもありません。

 

 幸運にも貴方様の集落には誰も訪れずに、一年後に再び目覚めることができる可能性も全く無いわけではありませんし、眠ったまま死を迎えるほうが幸せな場合もあるでしょう。

 

 貴方様の伴侶たちとこのことを話し合い、どうか後悔のない選択をして下さいませ。

 

 これが、私達、神殿関係者ができる精一杯。あの男に対する僅かな抵抗です。

 

 

 また、我々の神殿は、その性質上、『戦闘期間』の間は、誰も近づけません。

 

 ここが滅んでしまえば、あの男に抵抗できる可能性がなくなってしまうからです。

 

 

 もしも、これ以上の話をお知りになりたい場合は、『戦闘期間』が終わった後に、当方へご連絡をお願い致します。

 

 貴方様が生き残ることを、切に願っております。

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