窓から太陽の光が入り始めてきた。
けれど、ユウヤはそれに気づかないほど憔悴しきっている。
以前に過ごしていた世界で、疲れ切っていたときに、「死にそうだ」と口にしたことがある。
けれど、今なら分かる。そんな言葉を口にできるうちは、まだ余裕が残っていたのだと。
まずい。このまま目を閉じてしまったら、もう目が開かないのではという気さえしてしまう。
体に全く力が入らない。ベッドから起き上がることさえできない。
ファリアに、妻に癒やしの魔法を掛けて貰っているのだが、体の芯になければいけない何かが摩耗してしまっているようで、効果が薄い。
「ふぁっ、ファリア……。魔法は、もういいよ。少し休まないと、これは回復しないようだから……」
ああ、『腎虚』という言葉は、こういう状況を言うのだろうな、とユウヤは朦朧とした意識で、現実逃避気味に考える。
「すみません、ユウヤ様。その、すぐにリナを呼んできます。二人がかりなら……」
涙を浮かべながらオロオロとする可愛い妻に、ユウヤは打開策として、別のお願い事をすることにした。
「あっ、あの、ユウヤ様。ほっ、本当に、癒やしの魔法は必要ないのですか?」
不安げな表情で、自分の腕のなかに抱かれるファリアに、ユウヤは笑みを浮かべる。
「うん。こうしていると、精力が回復してくる気がするんだ」
ユウヤは愛するファリアの裸身を抱きしめ、その感触を全身に感じる。極上の少女の柔肌の感触と女の香りに、癒やされる。
その証拠に、少しだけ体が動くようになった。
ユウヤは妻の細い腰を抱いていた右手を、柔らかくて形の良い臀部を、おしりをやさしく撫でていく。
「ごめんね、ファリア。こんな風に、自分だけが満足するのは、申し訳ないんだけれど……」
「いえ。そんなことはありません。私がユウヤ様に無理をさせてしまったのが原因なのですから。んっ、あっ……」
激しい夫婦の営みではなく、優しく、愛おしむようにファリアの躰を愛撫していく。
なんてきめ細やかで触り心地のいい肌だろう。
何度も抱いているのに、ユウヤは妻の肉体の素晴らしさに、改めて陶酔してしまう。
愛撫を続けていると、また少し元気が出てきたので、ユウヤは自分の体をファリアの下に動かしていき、とても蠱惑的に実っている双丘を愛撫する。
弾力のある、女の印のその部分に触れていると幸せを感じる。興奮する。
「んっ、あっ……」
優しい愛撫から、少しだけ力を込めて乳房を握って形の変化を楽しんでいると、ファリアの口から矯正が漏れた。そして、白い胸の先端部分の桃色の乳輪の突起がピンと固くなる。
自分の愛撫の成果に満足したユウヤは、勃起した妻の乳首を口に含み、コリコリとした感触を舌で堪能する。
「ああっ、ユウヤ様……」
色っぽい声がたまらない。ユウヤはしばらくの間、乳飲み子のようにファリアの乳首を吸って堪能した。
更にそれから、胸の谷間に顔を埋めて、乳房の柔らかさを顔でも堪能したが、ファリアは怒ることはなく、むしろ嬉しそうに自分の手で、大きな乳房を優しくユウヤに当てて楽しませてくれる。
そんな濃厚な妻とのスキンシップを楽しんでいると、ようやくユウヤのペニスも、少しだけ硬度を取り戻してきた。
女というものは、男を元気にしてくれる存在なのだと、ユウヤは思う。
もっとも、ユウヤをここまで疲労させたのも女なのだが。
ユウヤはファリア美しい乳房から離れて、頭を元の位置に戻すと、自分が離れてしまったことで寂しそうな妻の体を優しく抱きしめる。
「ありがとう。少し元気になったよ」
ファリアの絹のような美しくて触り心地のいい髪を弄りながら、ユウヤは礼を言う。
「いえ。ご無理をさせてしまい、申し訳ありませんでした」
まだ、申し訳無さそうな顔をするファリアに、ユウヤは彼女の頭を優しく撫でた。
「ううん。少し驚いたけれど、君が僕との子供を欲しがってくれていることが分かって、嬉しかったよ」
「ユウヤ様……」
ファリアはうっとりとした表情で、こちらを見つめてくる。
「ユウヤ様。私、ユウヤ様に似た可愛い子供をたくさん産みたいです」
「……ありがとう、ファリア。君のような素敵な妻がいてくれて、僕は幸せだよ」
ユウヤはそう言って、またファリアの頭を撫でる。
「そうか、僕に似た子供か……。でも、女の子なら、君に似てくれた方がいいかな」
「ユウヤ様。それは……」
ファリアの顔が曇る。
その理由を察したユウヤは、ファリアに微笑みかけた。
「大丈夫だよ。僕たちが居るんだから。君に似た娘が生まれても、決して寂しい思いも、つらい思いもさせないよ」
育児経験などまるでないユウヤだったが、ここは自分への宣言の意味も込めて、言い切った。
その美貌のために苦労したファリアの苦しみを、生まれてくる娘には決して味合わせない。親である自分達が守ってみせる。
「……ああっ、ユウヤ様!」
ファリアは目に涙を溜めて、ユウヤの胸に顔を押し当ててくる。
愛しいその温もりを感じながら、ユウヤはこれからの戦いを、みんなで無事に生き残ると決意を固めた。
◇
日が登ってきたので、ファリアと一緒にお風呂に入ろうという話になった。
いつもならば、ファリアとの夫婦の営みに疲れ切ったユウヤは、もう少し休んでいるところだ。しかし、今回はファリアに「一緒にお風呂に入りませんか?」と誘いを受けたためだ。
体も回復してきたこともあるが、何より可愛い妻の誘いを断る理由がないため、ユウヤは一緒に風呂場に向かうことにした。
「あっ、ユウヤ様。お忘れ物です」
ファリアが、ユウヤがうっかり忘れてしまっていたそれを差し出してくる。
彼女の手の中にあるものが何なのかを理解して、ユウヤは「ごめんね、ありがとう」と言ってそれを受け取ったが、そこで違和感を覚えた。
それは、些細な違和感。けれど、ユウヤはそれが意味する可能性を考え、驚愕した。
「ユウヤ様?」
ファリアが心配そうにこちらを見つめてくるが、ユウヤはしばらく言葉を発することができなかった。
「ファリア!」
「はっ、はい!」
思考の末に、ユウヤはファリアとともに、簡単な実験をすることにした。
そして、その結果、ユウヤは一つの結論に至る。
体が震えた。
これは、使い方によってはこの上なく強大な武器になる。反面、この力を自分が持っていることが明るみになれば、他の<王>が自分をこぞって狙ってくるだろう。
「ユウヤ様。どうか私の意見を聞いて下さい」
聡明なファリアはすぐに事の大きさを理解し、ユウヤに一つの提案をしてきた。
それは、懸命な提案だった。
だが、このファリアの意見を取り入れたことを、ユウヤは後に後悔することになる。
そう、後悔するのだ。
取り返しのつかない失敗と共に……。