神様project・異世界もチートも欲しくない【欲しいのは女神様だけ】 作:うきぐもさん
そんな中に見せるのは背中のヤル気の一押しであり、善行への活力。
――善行をしなくては……。
散々体に刻まれたその想いは、やる気の炎となって翠の心を後押しする。
今となっては智美が喝を入れてくれたことを感謝している。
「真面目に善行を積なきゃな! まずは地域の空缶拾いなんてどうだろう?」
考え事をしながら神社の納屋にたどり着くと、使えそうなものを探し出す。
とても埃っぽいがお宝が眠っていそうな雰囲気で、悪くはないと思ったのか頷く。
「こういう納屋とかって結構夢があるよな。 おっと、デレッキ発見!」
デレッキと言うトングを長くした物を発見する。
なぜだかわからないが、こういうのを持つとカチカチを音を鳴らしたくなるのか、フラメンコのカスタネットのようにリズムをとってはそれなりのポーズをする。
「うーん、ナイス。」
ナイスなのかはまた別として、ただデレッキだけでは空缶を拾っても入れるものがない。
これでは話にならない翠はカゴのようなものを探し始めるも、探すのには時間はかからずすぐに見つかった。
「おおっ!?」
背負える竹製のカゴを発見する。
大きさもソコソコあるので三十個は入りそうで、これならやりがいがありそうだ。
「回収したらリサイクルボックスに入れて終わりだな! 達成感のあることってしてみたかったんだよなぁ! おわぁっ!?」
しみじみ思っていると、納屋の入り口に智美が呆れたような表情で翠を見つめている。
――すごく変な目で見られているようで後ろめたい。
きしむ首を後ろに向かせて智美を見つめる。
「あ、あの……これはなんと言うか。 す、すぐに空缶拾いに行ってくるから痛いのは……。」
「あら? 私は別に今はいぢめたくも無いわよ。」
智美は先程の表情とは別にニッコリと微笑む。
その微笑みは聖奈のとはまた別なドキドキを心に感じてしまい、鼓動が早くなる。
「けど……。」
智美は近づいてきたかと思うと、少しだけ背伸びをして瞳を閉じては翠にキスをする。
「なっ、智美さ……んぅっ!?」
「ん……んちゅ……んむ……。」
大人のキスの音は二人だけの納屋に静かに、そして淫らに響きあう。
智美の表情は紅潮しており、しっかりホールドしているため抜け出すことは不可能だが、翠には抜け出す気もないようで智美の気持ちに答えるべく、こちらも智美を求めるために舌を絡ませる。
「ん……ちゅ……んむぅ……。」
「……ん……。」
智美はゆっくりと顔を離すと銀の糸が二人を繋いでいて官能的だ。
そして、また微笑んだように翠を見つめると誘惑するような顔でこう言った。
「夕暮れまでに空缶を千個拾ってこれたらもっと良いこと……したくない?」
優しくも甘く誘う智美の声はとろけきっていて、さらに翠のやる気をヒートさせるのは充分だった。
時間は限られているため悠長にしていられない翠は駆け足でさって行くも、息子が元気になりすぎてガニ股で走らなくてはならないため盛大にずっこけたようで、それを見ていた智美はよりいっそう楽しそうな表情であった。
納屋でこんな熱い愛を交わしちゃって……。
まあこんなのも悪くないけど、千個拾ってきたら何が……!?