珍しく、と言うべきか。
ここ数日は上官からの呼び出しもなく、ターニャは久しぶりに安寧の日常を手に入れた。
戦争中なのだから安寧という表現も妙だが、後方勤務のターニャにとっては安らげる日々であるのは間違いない。
砲声など聞こえない本国の自室で、書類に目を通すだけの仕事。
代用ではない本物のコーヒーを味わいながら、ターニャは己の仕事を手早く終わらせる。
「くっ……」
静かで、平穏であるからこそ、ターニャは苦悩する。
己の秘部が言い訳のしようがないほどに疼いて濡れているという現実に。
執拗に続く調教で雌の体を手にしてしまったターニャは、精神と肉体の祖語に苦しんでいた。
精神が男で、肉体が幼女。
それがターニャを悩ませる齟齬であったはずが、新たに雌の体が加わった。
本能が求める性的欲求を、理性は未だ拒否している。
しかし、禁欲は欲求を肥大化させる。
触れていないはずの秘部は蜜を生み出し、下着を湿らせていた。
「仕方あるまい……」
そう呟き、ターニャは服を脱いで下着姿となった。
そしてそのまま、己の右手を秘部へと這わせる。
誰もいない自室で、左手で口元を抑えながらターニャは自慰を開始した。
「う、くぅっ……!」
ターニャの肉体は鋭敏に反応していた。
微かな刺激ですら、声を上げそうなほどの快楽が押し寄せる。
性的快楽は麻薬に等しい。
撫でるような指先の動きは次第に激しさを増していく。
「ん、うぅ、あぁっ……」
小さな水音が、静かな部屋に響いていく。
激しく乱暴な指先による愛撫は、そう時間をかけずターニャを絶頂させた。
「――ッ!」
のけ反るように体が伸び、ビクンと大きく跳ねる。
ぜいぜいと息を荒げながらターニャはその場で仰向けに倒れた。
顔は興奮で真っ赤に染まり、汗と涎が肌を汚す。
ショーツは愛液でぐしょぐしょに濡れて、すでに下着としての機能を失っていた。
「――う、くぅっ」
倒れたままの姿勢で、ターニャは自慰を再開する。
ショーツを脱ぎ、完全に露出された己の秘部へ指を挿入する。
そのままかき回すように指を動かし、快楽を貪った。
「あぁ……くっ、ぐぅ……!」
足りない。
調教され続けたターニャの肉体は、一度の自慰による絶頂では物足りなくなっていた。
発情期の動物であるかのように、ターニャは己を慰め続ける。
声を抑えることも忘れ、誰かに気付かれるかもしれないという思考すら忘却して。
結局、ターニャは連続絶頂で気を失うまで自慰を止めなかった。
「……まずい」
これはまずい。
まさかここまで己の体が変質していたとは。
意識を取り戻し幾分か冷静さを取り戻したターニャは、先程の行動に戦慄した。
絶対に堕ちてなるものかと決意したはいいが、その決意も揺らぎかけている。
生物が皆等しく持つ性欲を、ターニャは完全に侮っていた。
この様子を自覚させることまで上官連中の思惑だとしたら。
そんな過程が頭に浮かび、ゾッとしない話だとターニャは震える。
そして早速疼きだしている己の肉体に、軽い驚愕と絶望を感じていた。