久しぶりにターニャは賭け事に興じていた。
士官学生時代にはよくやっていた、配給券を賭けたギャンブルだ。
同期や後輩連中から甘味やコーヒーの配給券を巻き上げる。
そのはずだったのだが。
「……仕方ない、発言には責任を持たねばな」
事前の取り決め通り、負けたターニャは上着を脱いだ。
周囲から観客のどよめきと歓声が上がる。
場を盛り上げるためと言って、ターニャは配給券の代わりに自分の脱衣を賭けていた。
勝てば配給券、負けても服を脱ぐだけ。
損の無い話だとターニャは内心でほくそ笑む。
理性は確かに、そう認識していたのだ。
これが運の絡むギャンブルだということを、ターニャは忘れている。
ターニャの勝率は七割を超えている。
だが当然、十割勝てるわけではない。
この取り決めでは、脱いだ服をターニャが取り戻す手段が存在しない。
運悪く負ける度、ターニャは己の衣服に手をかける。
ズボンを脱ぎ、下着を晒す。
上下で揃った飾り気の薄い純白の下着が観客の興奮を煽る。
昔であれば、顔色一つ変えなかっただろう。
しかし見られることの快感を覚えてしまった今のターニャの頬は、微かに赤くなっていた。
「むっ……」
ターニャの勝負手を超える手役に、向かいの男が拳を振り上げる。
ため息を深く吐き、ターニャは胸元を守るブラを脱ぎ捨てた。
先程とは比較にならないほどの熱狂。
膨らみに乏しい乳房に、観客の視線が一斉に注がれた。
視線に熱が伴っているのように、ターニャの吐息もまた、熱を持ち始める。
片手で胸を隠しながら、ターニャは勝負を続行する。
一度、二度と勝利したものの、そこまでだ。
最後の一枚であるショーツを、ターニャは脱いだ。
全裸を晒したターニャは、羞恥と快感に震えだす。
熱に浮かされた男たちには気づかれていない。
だが確かに、今のターニャは裸を見られて感じている。
「負けたままでは帰れん、続行だ」
もっともらしい理由を付けて、脱ぎ捨てた服を放置したままターニャはその場に残る。
本音を隠し、仕方がなくという言い訳をしてターニャは公然と露出行為に興じている。
指すような視線を三百六十度から浴び、言いようのない快感を感じていた。
次の敗北で、手で体を隠すことを禁じられる。
その次の敗北で、両足を閉じることを禁じられる。
運悪く敗北する度に、ターニャの裸体はより大胆に露出される。
「さて、もう時間か」
お開きの時間になる頃には、ターニャはこの場の全員の配給券を毟り取っていた。
痴態を鑑賞するために、男共も勝負を繰り返した結果である。
無論、ターニャの払った代償も大きい。
最終的にはM字に足を開き、机の上で腰を突き出して秘部を見せつけていた。
歓楽街の娼婦と変わらない仕打ちだが、しかしターニャに不満はない。
嫌々という様子で、内心を隠していたにすぎないのだから。
己の痴態に興奮する男共。
その浅ましさを内心で見下しながら、しかし同時に好感に似た感情を抱く。
合法的に自身の変態的欲求を満たしたターニャは、満足気に配給券を抱えて帰宅した。
一切の外的刺激無く濡れだした秘部を、最後の理性が隠しながら。