ターニャ・デグレチャフは、襲い掛かる吐き気と嫌悪感を飲み込んで任務を全うした。
幼女の外見を利用すると決意したものの、任意と強制では段違いだ。
自国のプロパガンダ戦略の一種として下された、宣伝任務。
それがターニャに下された命令だった。
要するに綺麗なドレスで飾り立てた女の姿を写真に残すということ。
体のいい偶像としてのアイドル活動を強要されたターニャの胃は既に限界だ。
人形以外が着ている所を見たことが無いようなフリフリのドレス。
山のように積まれた化粧道具。
担当の女性は目を輝かせてターニャを必要以上に飾り立てた。
抵抗も出来ず死んだ目で対応するターニャはまさに人形のようだった。
フラッシュの残像が目に焼き付いて離れない。
とっとと衣服を脱ぎ捨ててベッドで眠りたいターニャだが、そうもいかない事情がある。
撮影を終えて、ターニャは廊下を歩き、二つ隣の部屋をノックする。
入れ、と許可が聞こえると同時に扉を開き、再び微笑みの仮面を顔に張り付ける。
「申し訳ありません、撮影が予想以上に長引いてしまって」
媚びたように高い声が己の喉から出ているという現実に、吐き気が沸き上がる。
室内で待機していたのは三名の小児性愛者。
全員がターニャより遥か上の立場と権力を持っている以上、拒否権など存在しない。
(クソッ、サービス残業などこの世で最も醜悪な風習だッ!)
山のような罵倒を心の中で喚き散らしながら、ターニャは再び微笑んだ。
一応建前としては、軍内部に記録する用の撮影という話になっている。
だがここには撮影機材やカメラマンの影も形も存在しない。
あるのは合計六つの醜悪な瞳だけ。
それら全てがターニャへと注がれている。
指示に従い、ターニャは下着を脱ぎ捨てる。
ドレススカートの中に両手を入れ、純白のショーツを脱いで地面へ放る。
羞恥は無い。
ただ、幼女の痴態にだらしなく鼻の下を伸ばす中年男の視線が、本能的に気持ち悪い。
幸い、戸惑う仕草や表情は向こうが勝手に勘違いしてくれている。
恥じらう姿も素晴らしいと、鼻息を荒げているのがターニャには滑稽だった。
ターニャはスカートを両手で捲り上げる。
下着を脱ぎ捨てた以上、当然秘部は男たちに丸見えだ。
男たちはターニャに近づくと、露になった太股を撫でまわした。
人形を検分するかのような仕草に、ターニャの全身に怖気が走る。
鳥肌が出てはいないかと心配するが、どうやら嫌悪感はターニャの内心に留まっているようだった。
動かないように、と命じられればその通りに我慢するしかない。
プルプルと震える両手でスカートの裾を掴んだまま、ターニャは耐え続ける。
(心を無にしろ……私は人形、人形だ……!)
張り付いた微笑みは、口元がヒクヒクと動いて崩れそうだ。
必死に堪えるターニャを余所に、男たちは幼女の肉体を堪能していた。
太股を撫でていた手は、尻や胸、脇や首筋へと移動していた。
起伏の乏しい肉体を、男たちは丹念に撫でまわす。
「んっ、あっ……!」
乳首や首筋を刺激され、ターニャの喉からは小刻みに声が漏れ出ていた。
顔を赤くしながら声が出ないよう耐えるターニャの姿は、小児性愛者である男たちをより強く興奮させる。
実際は怒りに震えているのだとは、本人以外は誰も知らない。
「ひっ?!」
ゾクリとした感触に、ターニャの喉から悲鳴が上がる。
(舐め、舐めたか今?!)
内腿が濡れた感触が、どこまでもターニャの精神を攻撃する。
十キロの装備を背負っての行軍訓練は地獄のように辛かったが、コレに比べればまるで天国のようだったとターニャは心中で叫ぶ。
ああ全く、理解に苦しむ。
こんな幼女の体のどこがよいのだと、ターニャの心は毒を吐き続けていた。
時間にしておよそ三十分。
たっぷりと弄ばれたターニャは自室に帰ると死体のようにベットへと倒れ込んだ。
疲れた。
肉体もそうだが、精神がこれでもかと凌辱された。
引き換えに手に入れた高官とのコネクションを思い、沈んだ心を何とか持ち上げる。
そして、ターニャは一つの可能性に思い至った。
「知り合いを紹介すると言われ喜んだが、小児性愛者の知り合いは小児性愛者なのでは……?」
強まるコネと比例してセクハラが頻度を増すと宣言された気分に陥り、ターニャは叫んだ。
獣の咆哮に似たそれは、ストレスを多少は解消したらしい。
ぱたりとターニャは倒れ、寝息を立てた。