※この作品はR-18です。

DQ8 エンド後の世界   作:ぽんぽんペイン

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ラプソーン討伐後、お礼参りの旅を終えて1か月経ちました。エイトさんの号令で再び4人が集合します。この章はククールの語りです。


トロルの迷宮、竜神族の里
勇者パーティー再び


「ねえ、いい加減に……」

 

ドニで迎える朝。

みんなと別れてからもう1ヶ月になる。

 

結局、バカなオレは昔のようにだらけた生活をしていた。

 

「ねえ!」

「わかってるよ。もう行けよ」

ずっと床を一緒にしている姉ちゃんは、オレの体たらくに呆れた様子で、キレイに作った眉をひそめた。

 

「ククール、おかしいわよ。……別にあたし、あんたと付き合いたいとかじゃないわ。遊びでいいのよ。でもククール、あんた全然面白くないわ。どうしちゃったの? 敵討ちは終わったんでしょ? なのに……。……もう行くわね。しばらくは誘わないで」

 

姉ちゃんは……名前をなんて言ったか……そんなことも忘れたが、とにかく彼女はきちっと身支度して、オレがずっと入り浸っている宿から出ていった。

 

悪かったな。面白くなくて。

 

敵討ちは終わったさ。

やることねえよ。

 

この1ヶ月、飲んで寝て起きて、また飲んで寝て。

 

酒場のおばちゃんがよくしてくれるもんだから、つい甘えちまった。

 

なんてな。おばちゃんのせいにしてるぜ、オレ。

 

「バカだよな……」

思わずため息が出る。

 

どんなに飲んでも酔わない。姉ちゃんと寝ても盛り上がらない。性欲なんてない。生理的欲求だけ。

 

抱きついてくる彼女の腕や髪がうっとうしくて仕方なかった。

腕枕してやるのが嫌で、コトが済めば背中を向けた。

 

遊びにしたって酷いな。よく1ヶ月も付き合ってくれたもんだ。もっとも、それだって三日目からは冷えきった間柄だったが。

 

一人になった途端、部屋の空気が止まる。この部屋だけ、時が流れていないみたいだ。

 

しかし、そんな考えは、単なる幻想だ。実際、この部屋を一歩出れば、旅人たちに出くわすし、ルームサービスのスタッフたちが忙しく働いているのに出会う。

 

ルームサービスも、オレの部屋はずっと素通りだ。放っておいてくれと、ゴールドを渡してあるから。

 

バタバタと窓を開けたり、シーツを替えたりする音が周囲の部屋から聞こえてくる。

 

オレは目を閉じた。眠くもないが、やることがねえ。酒ばかり飲んでるから、体調もおかしなことになってやがる。たった1ヶ月。

 

オレだって知りたい。

どうしちまったのか……。

 

 

 

「坊っちゃん……?」

控え目なノックと共に声が聞こえた。

 

「酒場のおばちゃんか? ……どうぞ、開いてるぜ」

オレは寝台から降り、顔を洗いに水場へ向かった。

 

 

「おせっかいでごめんなさいよ、でも坊っちゃんが心配になっちゃってねえ」

おばちゃんは、新鮮な果物の盛り合わせと、小麦粉の焼き菓子、それに温かい紅茶のポットを持ってきてくれた。

 

「……」

「迷惑だったかい? 坊っちゃん、お酒ばかりだろ? 少しは食べなきゃ病気になっちまうよ……」

 

「いくらなんでも病気は大げさだよ、おばちゃん」

オレがそう言うと、おばちゃんはホッとした表情になり、お茶を注いでくれた。

 

「美味い」

「そうですか、良かった」

温かい飲み物は胃を優しく刺激した。

 

「なんか、ハラ減ったよ」

おばちゃんはふふっとわらって、焼き菓子の皿を寄せてくれた。

 

「懐かしいな。なんて言ったっけ?」

「スコーンですよ。坊っちゃんも小さい頃によく召し上がってました」

 

「美味いよおばちゃん。でも、口中の水分奪われるな……」

おばちゃんは「そうですね」と言って笑い、食べやすくカットされたオレンジを差し出す。

 

「なんか、おばちゃんに迷惑かけてるよな……オレ」

「何をおっしゃいますか。いいんですよ……あたしは坊ちゃんが元気でいてくれれば、それが嬉しいんですから」

 

酒場のおばちゃんは、10日にいっぺんくらい、こうして宿屋を訪れてくれる。オレの体調を気遣うだけで、よけいなおしゃべりは絶対しない。それが有難くて、申し訳なくて。

 

「いいかげん、仕事探さなきゃなあ。おばちゃん、酒場で雇ってもらえないか?」

「うふふ、何を冗談言ってるんです。ククール坊ちゃんを働かせるなんて、ドニ中の人に叱られちまいますよ」

 

おぼちゃんはにこにこして、お茶を注ぎ足してくれる。ドニの実家はもうないのに、ドニの住民は領主の子であったオレを大事にしてくれる。マジで、このドニで働くことも考えたが、オレは……。

 

「……ところで、酒場にお客さまがいらしてるんですけどね、どうします?」

客?

 

「どんなヤツ?」

「それが、なんだかガラの悪い男です。どんな人物かわからないので、一応、探してみると言ってごまかしてありますけど……妙なヘルメットに、毛皮のベストみたいのを着て、いかついオノを携えて……」

「ああ、あいつか。オレ、会うよ。大丈夫だおばちゃん。騎士団の奴らよりよっぽどジェントルマンさ」

 

 

 

「よお、トゲトゲ! ついにゲルダ姐さんに追い出されたのか?」

酒場にいたのは、予想通りのヤツだった。オレの言葉に、ヤンガスはフンと鼻で笑う。

 

「なんだよ、図星か?」

「うるせえ、ゲルダのことは言うな。いいか、よく聞け。オツトメだ」

は? オツトメ?

 

「……姫さんの婚礼か?」

「いや、違う。……いや全く違うってわけでもねえが……」

「んだよ、わけわかんねえぞ」

「俺もだ。ただ、エイトの兄貴が……」

 

 

 

ヤンガスの話はこうだ。

今朝早く、エイトはヤンガスに会うため、一人でゲルダ姐さんのアジトを訪れた。

 

ミーティア姫の婚約者であるチャゴス王子、そいつの国はサザンビークなんだが、その国の大臣が行方不明だというのだ。

 

なぜかトロデーンに調査の依頼があり、国の復興で忙しいトロデのおっさんが怒りだし、「わしが真相を暴いてやる」と言ってサザンビークに乗り込もうとした。

 

そんなことになったら一大事なので、トロデーンの重役たちの説得で、誰かを調査に出すことで矛を収めさせた。

 

軍隊を出すほどではないが、事務方だけでは頼りない。何より国の復旧が急がれているのに、相応の人物を何人も、外国のわけのわからない行方不明事件のために出すことはトロデーンにとっては痛い。適任者がいないのだ。

 

ごちゃごちゃ時間をかければ、またトロデのおっさんが「わしが行く!」と騒ぎだしそうなので、エイトがオレたち4人で行くことを提案した。

 

おっさんは、それはちょうどよいと喜び、勇者パーティーが再び組まれることになったのだ。

 

……ったく、自国のトラブルくらい自分たちでどうにかできないのかね、あの王室は。

文句言っても仕方がない。どうせやることねえし、エイトが集まれって言うんじゃ集まらないわけにはいかねえな。

 

「まあ、オレやトゲトゲはいいとして、ゼシカは家から出られるのか?」

「ああ、兄貴が迎えに行かれている。俺とお前は、先にサザンビークへ行けってさ」

まあ、ゼシカの母上を納得させられるのは、おっさんの他にエイトしかいねえだろう。

 

オレとヤンガスは早速ルーラでサザンビークへ飛んだ。

 

 

「待ち合わせは、世界樹の葉を売っている辺りだぜ」

「そうかい」

なんだってまた、そんな場所で。

 

教会とか宿屋のロビーでいいのにな。まあ、いいか。天気もいいし、散歩でもして。お相手がヤンガスってとこがよくねえが。

 

「おい、イカサマ坊主、何をじろじろ見やがる?」

「いや。トゲトゲ、ちょっと太ったんじゃねえ? ゲルダ姐さんの手料理の食い過ぎか?」

 

ヤンガスは「うるせえ」と言ってそっぽを向く。

 

……と、城下入り口から、エイトとゼシカがやってきた。

 




ゲームではゴルド崩壊の後、トロルの迷宮に入れるようになりますが、エンド後の話の都合上、このようなタイミングになりました。次はトロルの迷宮に入ります。
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