「ただいま。いい子にしてた?」
あの日から、私の監禁が続いている。
今日はククールの帰りが遅く、私はたらいに排泄していた。
「あーあ。ごめんね、気持ち悪かったね」
ククールは、私の枷を外して水屋に連れて行く。ククールが私の排泄物を掃除している間に、私は身体を清める。
「さ、食事作ろう」
食事を作ると言っても、ちゃんとした食事は朝のみ。ククールが帰って来て一緒に作るのは、翌朝のためのものだ。
煮込み料理のかたわら、朝の残り物や木の実や果物をつまむ。そしてククールの好きな酒を飲む。
「兄貴、のど渇いたでしょ。ほら……」
口移しで果実酒を飲む。
ククールは全裸で私にからみつき、口移しで酒を飲ませる。
そのうちに、ククールの唇が離れなくなる。
深い口づけを与えられ、アルコールの酔いも加わりすぐに身体が弛緩してくる。
「行こう……」
ククールは私を寝台に誘う。こうして毎夜の営みが始まるのだった。
「おい、いつまでこんなことを続けるんだ? お前、すごく痩せてきたじゃないか」
「ああ、そうかな。でも大丈夫だよ。調子いいし」
調子いいわけなかろう。瞳に輝きがない。しなやかな肢体も、骨が目立っている。
「傷も増えている」
「ああ……?」
傷の指摘は、ククールを多少なりとも自己を気遣うことにつながったようだ。本人も実はそれはよくわかっていて、朝と昼の食事量を増やすことで合意した。
「……たんぱく質をもっと買ってこい。お前の仕事量なら、食事を倍にしてもまだ足りないぞ」
「わかったよ」
「いいか、一瞬のめまいが命とりになる。ドラゴンソルジャーとかいう魔物には気をつけろ。あいつから受ける傷はまた薬でないと治ら……」
「わかったってんだろ? もう黙って……。なあ兄貴、オレのことはいいよ。だからごちゃごちゃ言うな。せっかくの楽しい時間なのに」
「お前と話せるのは、この時間しかないではないか。朝はギリギリまで寝ているのだから」
「兄貴は心配性だな。オレは大丈夫だって……それに夜のお話は、もっと……違うだろ? キモチイイことするんだからさ、怖い顔しないで……」
ククールはまるで赤ん坊をあやすように私の頭を撫でる。
「さあ……」
ククールが覆い被さってきて唇を塞ぐ。
「んんっ……」
ククールは、サファイアの瞳をしっかり開いたまま、私に口づける。そのあまりの強い視線に耐えられなくて、私はつい目を閉じてしまう。
何を見ているのか。私を見ているようで見ていない。いや、私を射ぬく青い視線は、確かに私を見ている。しかし、その瞳の奥底に沈んだ何かは、ククールの意思に背を向けている。何かを必死に隠しているようだ。
それが何か、わからない。
少し前から感じていたものだったが、私や、ククール本人にさえうまく隠している。ククールは気づいていないだろう。何だ、あれは。
その正体を知ろうとして私は薄く目を開く。すぐにサファイアの瞳とぶつかる。しかし、数秒と持たずに私は目を閉じてしまった。視線が強すぎる。この強い視線は隠したものを見つからないようにするためなのだろうか。
「……出せよ。祈祷中じゃねえんだからさ、我慢しちゃダメだ」
「っ……」
「ふふ……ん。兄貴って我慢強いよな、昔から。でも……」
「ああっ! ……!」
私は後ろから犯されながら、ククールの左手でしごかれ続け、ククールの射精と同時に達してしまった。
「出た出た……」
ククールは、私の精液にまみれた左手をベロベロと舐め、滴り落ちる分を指にからめとり、ククールの精液でいっぱいの私の後孔に挿し入れる。
「グチュグチュいってるぜ。兄貴のお尻はオレと兄貴のラブジュースでいっぱいだ……」
指の動きに合わせ、淫靡な音が漏れる。
「……っ!」
「そう、ここだよな。兄貴のいいトコは」
ククールの指がある場所に触れる。
触れたりかすめたり、周りをじわじわ押されたりして焦らされる。
「兄貴……腰が動いてるぜ……」
ククールの言う通り、ククールの指をその場所に当てたくて、無意識に自ら腰を動かしてしまう。
「いいねえ、すっかりソノ気になってる。……ここ、キモチイイだろ?」
「ううっ……あっ!」
今度は強く触れられ、腰が浮く。内腿にうずくような刺激が走り、思わず力を入れた。
「いいぜ……きゅうっと締まってる。……ああ、これを感じたい……」
再びククールの物が入ってくる。
刺激を受けたばかりの場所が、ククールの物で再びこすられ、私は反射的に力を入れた。
「ああっ……締まってる締まってる……キモチイイ……もっと腰上げて……」
ククールは膝を進め私の腰を高くし、下方向から突き上げる。
「っ………!」
「声出していいんだぜ、兄貴。……でも、耐えてる兄貴も好きかも。……ほら」
ククールは挿入したまま私を仰向けにし、折り曲げた腿の上に私の腰を乗せてぐっと引き付ける。
「顔を見せて……。ちようど月明かりがあんたの顔を照らしてんだよ……」
窓を見る。丸い月がまぶしい。
「キモチイイだろ? 声出してもいいし、耐えてもいいし、いい顔を見せて……」
ククールは冷たい表情を向ける。その白い横顔は月に照らされ、青い瞳に月光が写り込む。まるで彫刻に魂が宿ったような輝きを見せていた。
その美しさに思わず身震いをした。
「兄貴、どうしたの? 怖いの……?」
動きが止まる。
ククールが心配そうに私の頬に触れる。
「いや、お前は美しいな……。彫刻のようだ……」
「ふっ……。兄貴、オレの顔のこと言ってるの? オレの顔、うつくしいの?」
「そうだ。顔とイカサマだけが取り柄だからな、昔から……」
「好き? オレの顔」
「ああ。美人は3日で飽きるというが、お前はそれを超えている……」
「何だよ、兄貴、照れるじゃねえか……。でも、オレ、兄貴の緑の瞳がすごく好きだ」
「そうか……」
「こっち見て?」
弟に言われ、サファイアの瞳をまっすぐ見る。
今日は瞳の奥にかくした小さな宝箱は異彩を放っていない。やわらかい布でやさしくくるんであるような存在感だった。だが、それは危ういものには違いない。いつか壊れるのか、溶けるのか、消えるのか……。
ククールは小さく笑う。私の頬に自分の頬をあて、動物が甘えるように鼻を押し付けてくる。
「なあ、兄貴、キモチイイ? ねえ、どんな気持ちなの?」
「気持ちか。そうだな、明日は尻が痛そうだ」
「何言ってんだよ……そういうんじゃなくてさ……」
「お前はどうなんだ?」
「イイに決まってんじゃん。今さっき出したのに、また勃っちゃったし」
「そうか……元気がいいな」
「んだよ……優しくすんなよ……」
その後ククールは私の顔をじっと見つめながら無言で腰を振り、私が快感で表情を変える度に、嬉しそうに口元をほころばせた。
次も同じように仲良く(?)します。