「ざけんなよ! また出掛けるって! どこへ行くってんだよ!」
「だから、さっきから言っている。オークニスのグラッドのところだ。お前の状態を診てもらうのだ」
「いいってんだよ! オレは病気じゃねえ!」
「病気だとは言っていない。傷が酷い上に、やつれているんだぞ。何か薬を……」
ククールは、バンッ! と力任せにテーブルを叩いた。食器がガチャンと固い音を立てる。
「……落ち着け。食事中だ」
「……………」
ククールは素直に座り直し、食事に戻る。
「以前もらった薬もないのだ。私ではお前の傷を完全には治してやれない」
「……………」
ククールは黙って煮込み料理を口に運ぶ。
「……魔物の毒が、お前の身体にどれだけ影響を及ぼしているのか、私にはわからん。グラッドが嫌なら……、マイエラに」
「ダメだ」
「何故だ?」
「兄貴、わかってないな。危ないんだよ。兄貴がマイエラなんて。どっかに必ず兄貴を追ってるヤツがいるって」
「私はもうお尋ね者ではないのだろう?」
「そうだけど。でも賊なんかは、捕まえてその筋に身柄を売り飛ばせると思ってる」
「その筋? ニノか?」
「まあそれもだね」
ニノ以外にもいるというのか。
「トロデーンか」
「……………」
「しかし、トロデーンは姫君とエイトの婚儀も終わり……」
「ごちそうさま」
ククールが席を立つ。
「そういえば、お前もたまには仲間に会ってくるがいい」
「そんなことできるかよ」
「……すまん」
「なんだよ。なんで謝る?」
「いや、私を預かっているために……」
「そんなことじゃねえよ! 兄貴を置いてなんて行かれるかよ!」
「二、三日くらい大丈夫だ。何処へも行かない。オークニスにもだ。約束する。ただ、厠へは行かせてくれ」
ククールはちょっと笑った。だが、すぐに表情を曇らせる。
「なあ……兄貴、やっぱつまんないのか? オレと暮らしたくないの?」
「なぜそうなる」
いつもそうだ。私が出掛けることを許さないのはまだいい。遊びに行ってこいと言ってもだ。
「兄貴は、オレが邪魔なの?」
「そんなことはない。お前と生きると決めたのだ」
「なら、そんなさみしいこと言わないで……」
「さみしいことではないだろう。少しの外出くらい……」
ククールが抱きついてくる。
子供がよくそうするように、椅子に座る私に正面から馬乗りになる。
「離れていかないで……」
「私はお前から離れるつもりはない」
「ホント?」
「本当だ」
ククールの薄い唇に口付ける。
「もっと……」
銀の髪を撫でながら、丁寧に唇を愛してやる。ククールはうっとりと目を閉じ、身体の力を抜く。
私はククールを抱き抱え、寝台に横たえた。
「ねえ……兄貴がキモチよくしてくれんの?」
甘えて両腕を絡めてくる。
「静かにしていろ……」
私は、ククールに覆い被さり、口づけを与えた。
「兄貴の唇って、弾力があって柔らかくて、あったかい。優しい……」
口腔に舌を差し入れるとすぐに舌が迎えに来て、絡み合う。
「んっ……ん……ん」
流れ出る唾液にも構わず舌を吸ってやる。
「……っはっ! はあはあ……」
時々、呼吸のために唇を離すが、私はそれを極力許さず口づける。
「苦し……」
唇を解放すると、荒い息づかいのまま、青い瞳が見上げてきた。
「美しい瞳だ」
「そう?」
ククールは目を閉じてしまう。
「私を見ろ……」
「……………」
青い瞳が現れる。
初めて弟を抱いた時のことを思い出す。誰かを抱いたのは、あの一度きり。
あの時のククールは、真っ直ぐに瞳を向けた。互いの瞳に自分の姿を見た。近親相姦、背徳、という言葉さえ、神に祝福されているかのようだった。月明かりの中、私たちは黙って行為を行った。
だが今、弟は私の姿を映しながら、違う何かを見ている。私を犯している時の、あの冷たく強く光る視線はない。隠している何かが、私を呼んでいる。
「助けて!」と。
どうすればいい。
「……兄貴?」
「……見とれていた。お前の青い瞳に」
「ふふっ……」
ククールは再び目を閉じてしまう。
「優しくしてね……」
ククールは、私を引き寄せ、身体の重みを求めた。
再び口づけをしながら、着衣をほどいていく。とは言っても、簡素な夜着のため、雑作もないこと。
首筋に舌を這わせると、わずかに身体をくねらせる。
剣を振る左腕を触っていき、指を絡める。左手で胸の飾りをつまみながら、もうひとつを舌で転がす。ククールはゆっくりと深い呼吸を続け、右腕は私の背を撫でる。
「優しいな……兄貴……」
もう一度首筋を舌でなぞる。
「兄貴は……? 脱がないの?」
私は、ククールに跨がったまま、着衣をといた。その様子をじっと見つめるククール。これもあの時と同じだ。
細い腰をに左腕を回し、腹筋に唇をあてる。
「あ……んっ……」
右手でククールの中心を探る。
もう固く屹立している。
やわらかく上下にさする。
「んっ………」
甘い声と、堪えるような細く長い息づかい。
先端からにじみ出す液体を使い、ぬるぬると親指で刺激する。
「ふっ……ん……ねえ、クチでして……?」
両足の間に身体を置き、私は弟のものを口に含んだ。固くなっているものをやわらかくしようとするように、ゆっくりと吸ったり、舌でほぐしたりしていく。
私の意図とは反対に、ククールの男根は固さを増していく。
「兄貴……なんで……なんで……」
私は口での愛撫を続けながら、男根の裏に指を這わせる。
「うあっ……。兄貴、なんで、なんで……っ!」
縫い目のようになった部分を何度も行き帰りし、付近を少し刺激する。
「ああっ……? ああ、なんで? なんっ!」
弟は勢いよく放出した。
私は精液を飲み干し、そのまま愛撫を続ける。
「飲んじゃったの? やじゃないの?」
「お前こそ、いつも私のを飲んでいるではないか」
「だって……それはオレが兄貴を愛してるから……」
「……同じだ」
!!!!!
「何をする……」
ククールは突然起き上がり、私にしがみついてきた。
「愛してる? オレを……?」
「ああ。愛しい」
「いとしい……?」
ククールは、不思議そうな顔をしていたが、すぐにあの冷たい表情になった。
「兄貴、じゃ、オレの言うこと、聞いてよ」
「なんだ」
強く、冷たい視線。私は自分が身震いを我慢したのを感じた。
「医者はいい。行かないし、呼んじゃダメだし、薬もいい。兄貴は、オレの側にいて」
「わかった」
医者については反論すべきところだが、あまりの強い視線に、そう言うより他はなかった。弟はすぐに表情を緩め、甘えた声を出した。
「良かった……。ね、今度オレね。このままじゃ出すぎて死んじゃう。兄貴ったら、なんかツボでも押した? 良すぎて倒れちゃいそう」
ククールは嬉しそうに言うと、私を押し倒した。
「ねえ、どのツボ? さっきのさあ……」
「教えられるものではない。その人によって違う」
「んだよ、ケチ。さすが祈祷の女王だな」
「女王と言うな」
ククールは、機嫌よく楽しそうに、私を揺すり続けた。
次も仲良く(?)しています。