※この作品はR-18です。

転生者は平穏を望む ~ルートPINK~   作:白山葵

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※ルート 壊※第14 話~長い一日が明けました!~ 中編

「……」

 

「……」

 

エレベーターの中で、無言が続く…。

沙織さんは、どうにも一人で部屋で、他のあんこうチームを待っていたようだった。

俺の部屋に行くと言って、優花里の様子を見に行く為と、部屋を出て行った…というか、俺の部屋に来たみほ。

そのみほも、帰らないと麻子が出て行き…続いて華さんも。

 

気が付けば、こんな時間まで一人きりで部屋にいた沙織さん。

まぁ俺のせいだけども、一人残して行ってやるなよ…。

 

5階の宿泊部屋…。

最後の一人になった沙織さんも、部屋のメモ用紙に書いてあった部屋番号を見て、様子を見に来た様だった。

俺はというと、カードキーを部屋に置き忘れて、自分の宿泊部屋から締め出されるという間抜けな状況。

取り敢えず、エレベーターに乗り込み…1階のフロントを目指す…はずだたが…。

 

『 隆史君。お話があります 』

 

沙織さんから、その様な事を言われてしまい…現在、誰もいないあんこうチームの宿泊部屋へと向かっていた。

3階へと動くエレベーター…。

それこそ5分も掛からない移動時間が、ひどく長く感じた…。

 

電子音が鳴り、こんな時間だ…誰もいない廊下を、沙織さんが先行しながら歩いている。

特に手を引っ張られているとか…服を掴まれているという訳でもないのだけど…なんだろう…この強制力は。

 

「ど…どうぞ…」

 

その宿泊部屋へ到着。

オズオズと入室を勧められた。

 

…。

 

和室…。

布団が並ぶ室内…。

 

状況を確認しよう。

 

夜中、1時過ぎ。

布団が並んだ…誰もいない部屋に二人きり。

 

そして、その部屋へ女の子に招き入れられた。

 

お邪魔します…と、他にでるセリフもないので…その言葉で入室した。

 

「ど…どこか、適当に座ってください…」

 

「…はい」

 

何故か敬語ですね…。

 

適当にというが、ほぼ部屋は布団で敷き詰められている。

開いているスペースが、殆ど無い。

 

「ふむ…」

 

布団の上にでも座るくらいしかな…。

しかし…主が現れなくとも、女の子が寝る布団だ。

はい、そうですかと座り込む訳にもいかないしな。

少し布団を折り曲げて、強引に畳のスペースを作り、そこへ座る。

 

はい、正座で。

 

沙織さんは、その様子を面白そうなモノを見る様な目で、眺めていた。

な…なんでしょうか?

何か不自然でした?

 

「いや…なんとなく気持ちは分かるんだけど…隆史君。変な所、律儀だよねぇ」

 

こんな時間なのに、特に眠そうにしている訳でも無く、ただ楽しそうにそんな事を言っていた。

 

「さて…と」

 

沙織さんも座った。

俺と同じく、正座で…畳の上に真正面で…。

 

「では、隆史君」

 

「はい、なんでしょうか?」

 

アルコール…しかも結構、強い物を飲んだというのに…特に呂律が回らなくなっている訳でも無し…。

変に頭がスッキリとしていた。

 

…エレベーター前で彼女に会った時に、驚いたからだろうか?

程よいショックが、良い方向へと……。

 

……

 

本当に良い方向だろうか?

まぁいい…今は彼女の話だ。

 

なにを聞かれるかは、分かりきっているけど…な。

 

「……」

 

 

 

 

「…………」

 

 

あ…あれ?

 

言い出せないのか、暫く無言が続いた…。

向かい合っているので、見つめ合っているみたいだけど…。

 

「あの…沙織さん?」

 

「はっ!!」

 

 

なんだろう…急に後ろを向いて、ブツブツと言っている…。

あ、こっちを向いた。

 

……。

 

あ、また後ろ向いちゃった…。

 

「ぐ…そうだよね…いくらなんでも……ね……」

 

顔を赤くして、何かを確認する様にしている呟きが聞こえる。

まぁ、いいや。気長に待とう。

 

「かるく…そう、かるく……」

 

「……」

 

そろそろ、2時頃かなぁ…。

んでもって、そろそろ何か言ってくれないかなぁ…。

 

「…よし!」

 

あ、何か覚悟を決めたようだった。

 

「隆史君!」

 

「はい?」

 

「そのぉ…みぽりん達、知らない!?」

 

やはりな。

当然と言えば当然か…まぁうん。

 

「…俺の宿泊部屋で寝てます」

 

当然の疑問に、隠し立ても不可能なので、簡潔に正直にお答えした。

その俺からの答えに、顔を真っ赤にして固まった…。

 

「 」

 

「さ…沙織さん?」

 

「  」

 

「…あの……」

 

「はっ!! い…意識が……」

 

あ~うん。飛んでいたね…数秒程。

 

「あ~~~でも…でも……まぁ、うん。寝てるだけだしね…うん」

 

「………」

 

「いや…華もそうだけど…みんな出て行ったきり、帰って来なかったからね…」

 

「あ~…ごめん」

 

「なんで、隆史君が謝るの?」

 

手をパタパタ振って、笑いながら…狼狽してる。

 

「ひどいなぁ…私だけ置いて、みんなで遊んでったの? それでそのまま…」

 

あぁ…普通だ。

そうそう…これが普通。

普通の考えだ。

 

遊んでいた。

 

男の部屋…しかし、俺一人だから…とか、周りに数人いるから…。

そんな状況で、変な事をしている訳がないと思っているのか。

優花里の話だと…みほの、俺との関係の…ぶっ飛んだ結論を沙織さんも知っているはずだ。

だからの確認…。

 

そうだという、返事が欲しいのだろうな。

 

普通なら信じられる筈がない…が、多分華さんも沙織さんへ、何かを話しているニュアンスだったな…。

 

……。

 

「……はっ」

 

諦めにも似た…変な笑いがでる…。

まぁ…バレているのに決まっているな。

 

「隆史君?」

 

「……沙織さん」

 

「な…なに?」

 

正座をしていた脚を崩し…胡座をかく。

 

「ごめんな、気を使わせて…」

 

「…大丈夫」

 

「多分、沙織さんが心配…いや、想像している事そのものだ」

 

「……え?」

 

ぶっちゃける。

先行して白状する…。

 

察したのか何なのか…顔が赤くなり……青くなった。

まぁ…うん。そうだよな。

 

「はっ…今回は、華さん意外…全員だ」

 

「……」

 

「みほの許しが、なんだってんだろうな…? 結局…最終的には全員とだ」

 

「……ぇ」

 

「ヤケになって酒まで飲んで…結局、収まりがつかない、抑えが効かない…で、そのまま…」

 

 

話した…。

 

それこそ淡々と…感情が湧き出なかった為に…ひどく棒読みな言葉が口からでる。

なにか頭が麻痺している感じがする。

酒のせいだとは思うが、何故か普通に今は喋れる。

 

そして喋っている内に…。

 

沙織さんの顔を見れなくなっていた。

なにか、懺悔でもしている気分だった。

畳を眺めていても仕方がないのにな…。

 

「今は全員、疲れきって寝ちゃってるってな、感じですね」

 

ふざける訳でもなく…素直に白状。

彼女の顔をもう一度見て、はっきりと言う…。

 

優花里からの告白から、華さん来襲まで。

流石に行為の内容までは、言わなかったけど…まぁ…分かるだろ。

 

それを呆然と聞いていた。

 

初めは、驚いた顔。

 

次に、泣きそうな顔。

最後には、俯き…その顔すら見せなくなっていった。

 

「な?」

 

「な? って…」

 

「…みほの気持ちは、何となく分かる。みんなの好意は嬉しい。ただそれを……結果的に利用している俺が最低だって事…」

 

まぁ…みほの気持ちは分かっても…理解は結局できなかったけどな。

 

ある意味で、俺の腹はもう決まっていた。

 

今更逃げられない…。

 

 

「……」

 

「……」

 

再度の静寂。

ただ俯く、沙織さん。

 

・・・。

 

携帯を取り出すと…そろそろ2時だ。

丑三つ時ってやつになるな

 

こうしていても仕方がないな…。

 

さて…本来の目的に戻るか。

 

無言で立ち上がる。

このままでは、ただの迷惑だ。

ここに長居もできない…ま、さっさと出て行くか。

 

「んじゃ、そういう事だから。もう、行くわ…だから沙織さん」

 

「…ぁ」

 

力がない目がこちらを見上げた。

心中がグッチャグチャになっているのだろう。

 

「…俺を嫌ってもらっても、構わない」

 

「!!」

 

最後に目が合って…何かに気がついた様な顔をしていた…。

俺はどんな顔をしているのだろうか?

どちらにしろ…もう行こう。

 

……

 

 

最後…何か呼び止められた気がしたが…まぁ気のせいだろう。

 

……。

 

そんな筈がないだろうから…。

 

 

 

 

 

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1階フロントロビー。

暗いな…。

 

フロントにだけ明かりがついている。

売店も電気が消され、人気が全くない。

昼間賑やかロビーも、真夜中はこんなもんか。

 

……。

 

当たり前だな…。

 

ここへ来て思い出したが、あんな状況の部屋へ、戻るわけにもいかない。

本人確認の為に、一度スタッフと一緒に室内へ入るかもしれない……。

 

……。

 

備え付けのベンチへ座る。

もういい…ここにいるか。

その内…後、4、5時間もすれば、部屋の中の誰かが、起床して気づくかもしれないしな。

 

「……」

 

なんか…疲れた…。

決勝戦の時は、必死だったから…ある意味で余計な考えが、どこかへ飛んでいた。

 

それが終わり…日常へ戻ったらコレか…。

 

……。

 

痛い。

 

胃が痛い…。

 

比喩でもなんでもなく…。

 

「……」

 

やめだ。別の事を考えよう。

 

そう。

 

分かりやすく、これからの事を。

 

あの七三メガネの件は、多分まだ終わっちゃいない。

廃校の危険がまだ残っている事を、杏会長へ言った方が良いだろうか…。

でもそれは、肩の荷が漸く降りた…そんな安心した顔を、潰す事にならないか?

 

「…………」

 

そんな事をするくらいなら…俺一人でも…。

 

考えだしてどのくらい経っただろう。

別の事を考えようとしても、先程までの行為が邪魔をする。

多分…これから、彼女達に対しては、もう俺は躊躇しないだろう。

どこか、諦めにでも思える感情がある。

 

求められれば、応えるだろう…。

それこそ…。

 

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

「…隆史君」

 

「……何?」

 

項垂れて前屈みになっていた、俺の浴衣裾を沙織さんが引っ張っていた。

なんでいるんだろう…なんで来たんだろう…。

 

いつの間にか隣に座っていた沙織さんを…見もしないで…俺の視界は、地面を見ていた。

 

「…まだ、お話終わってない…」

 

「……」

 

「…まだ……」

 

「…分かった。」

 

「……」

 

なんでもいい…。

 

 

 

 

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夜の海…。

 

 

はっ…夜中とはいえ、ロビー…。

いつ人が来てもおかしくない。

だからだろうか?、ホテルの裏手の海岸へと連れてこられた。

こんな夜更けに…女子高生引っ張り出して、何やってんだろうな?

いや…引っ張り出されたか。

 

もはや真っ暗だった。

 

ホテルの建物を見上げれば、いくつかまだ部屋の光が見える。

 

それくらい。

 

あとは、地平線の彼方…船だろうな。

いくつかの丸い光が見える程度。

 

ホテル備え付けのプール…。

鉄格子と呼ばれそうな柵に腰をつけて、体重を任せる。

 

今更だけど、素直に部屋へ行っていれば良かったか?

女の子の就寝部屋だけど…人気がないとはいえ、多分こんな所で話す事…ではないだろうし…。

 

まぁいいや。

 

みほの事だろうし、危うい話だと思ったら戻ろう。

 

「あ…あのね、隆史君」

 

寄りかかっている俺の向かいで、体を縮こまらせて小さくなっている。

胸の前で手を組み合わせて…なにか喋るのを躊躇している…みたいに感じる。

 

「……」

 

「……なに?」

 

中々喋り出さない。

やはり、躊躇をしている様だった。

ただ無言を貫いている。

 

時たま声には出すが、すぐにやめてしまう。

 

……。

 

気長に待とう…。

どうせやる事もない。

この話とやらが終わったら、ロビーに戻って朝を待つだけだ。

 

……。

 

 

彼女自身も、この状況を良しとしないと思っているのだろう。

なにか言わないといけないと思っているのか…気を使われているだけなのか…。

踏ん切りがつかない。

 

?

 

勢いよく顔を彼女は上げた。

俺と目が会った瞬間、なにか…酷く悲しそうな顔をした。

 

「……」

 

 

「わ…私はっ!」

 

 

それを切っ掛けにしたのか…漸く声を上げた。

 

 

「私は! 嫌わないよ!?」

 

「……」

 

 

…は?

 

 

「い…今はどこか、皆おかしくなってるだけ…うんっ! そう!」

 

 

…なにを言っているのだろう?

 

部屋を出る時に言ったことの返答か?

嫌わない? なんで?

おかしくなってる? 当たり前だろ…。

 

「み…みぽりんだって…男性とお付き合いするのは、初めてだろうし…よく分かってないだけだと思うの!」

 

その付き合っている男が、ただのクズ野郎なんですけど?

 

「分かる、分からないの問題じゃないだろ? ガキでも分かるモラルの問題だ。自分で何言ってるのか、分かってるのか?」

 

少し強めの言い方になってしまった。

変に苛立ちを感じる…。

 

「そ…そうだけど! でも! みぽりんも話せば分かるはずだよ!」

 

「分からねぇはず、ないだろ。分かっていての…コレだろうが」

 

「…そ…そうかもしれないけど」

 

「か(・)も(・)じゃない。そうなんだよ。それしか考えられないだろうが」

 

感情的になり始めている。

完全に苛立ってるな…。

 

沙織さんにこんな言い方…今までした事はなかった。

それに驚いたのか…なんなのか。

すぐに意気消沈してしまった。

 

「みほは、肉体関係は良し。キスだけは浮気だと言っているんだぞ? 沙織さんも、直接みほの口から、聞いたんだろ?」

 

「…うん」

 

「華さん始め、その流れに乗っかって複数と肉体関係持っちまったんだぞ? 俺は」

 

「…で…でも」

 

「でも? でも、なんだよ」

 

「ちゃ…ちゃんとすれば…意識して直そうとすれば…また…」

 

「……」

 

「前みたいな…関係に戻れるよ…」

 

「……」

 

…はっ……。

 

その関係を壊した本人へ、それを言うか?

 

戻れる? 戻れると思っているのか?

本気で思ってるのか?

そもそも、同じくして壊れた…俺にそれを言うか?

 

……。

 

 

「…沙織さん」

 

「う…うん」

 

突き放す様に、言い放つ。

 

 

「無理だ」

 

 

戻る訳がない。

やらなくなったとしても、やってしまったという過去は残る。

結果…どこかで絶対に無理がくる。

 

「修復なんてできやしない。そんな風にしたのが俺だ」

 

「…」

 

状況が状況…。

本来なら、俺がさっさとどこかへ消えれば良いだけの話だけど…。

大洗学園の廃校が、完全に消えた訳ではないと確信している以上、俺だけどこかへ転校なんてできやしない。

何より…今、そんな事をすれば…みほが、更におかしくなりそうだ。

 

逃げられない。

 

自分で自分の首を絞めている状況。

 

「…そんな男に…そんな俺のどこに、好感が持てる?」

 

「…!」

 

だから嫌ってくれ。

軽蔑してくれ。

 

―それで構わない。

 

…?

 

なんだ?

一瞬目を見開いたかと思ったら…睨みつけるような目になった。

睨んだ…。

あぁ…うん。それでいい。

 

「も…持てるよ!!」

 

「……」

 

手を拳に変えて、今度は何かを訴える様な顔をした。

 

「…はっ。優しいな、沙織さんは。でもな…それは……」

「だ…だって、私!!」

 

 

「私、隆史君の事が好きだったもん!!」

 

 

「……」

 

 

は?

 

 

今までの流れをぶった切て、真反対の事を言ってきた。

一瞬、言ってしまった…といった焦った顔をしたが、勢いがついたのか…。

それはもう、マシンガンの様に喋りだした。

 

本日2回目の告白…。

呆然とした俺に向かい…ただ、一方的に。

 

生徒会室から始まって…納涼祭…。

まぁあの事件の事だろう。

 

それが切っ掛けだったと…。

 

 

ただ、覚えているのはソコまでだった。

 

違う…理解できたのが、そこまで…。

 

否定してくれた。

 

気遣ってくれた。

 

嫌いになればいいと言った俺を、またそこが俺の優しい所だと…そんな事を言っていた。

 

…申し訳がない。

 

本当に何も理解ができなかった。

 

みほに気を使い、俺に何も言えなかった事。

 

昨日、華さんが皆の前で宣言した事…。

 

記憶としは、断片的にしか覚えていない。

 

そんな俺の、好きな所を言ってくれる。

 

俺が自分に否定的な所を、否定してくれる。

 

―が。

 

何を言われても、それを否定をし、遠ざける。

 

彼女は想いの丈をぶつけてきてくれた。

 

普通ならば、焦っていたかもしれない。

 

年甲斐もなく、照れて硬直していたかもしれない。

 

 

―が。

 

 

分からない。

 

痛い。

 

初めてだ。

 

痛い痛い。

 

本当に分からない。

 

痛い痛い痛い。

 

なぜ人の好意を…こんなに痛く感じるのだろう。

 

痛みしか感じなかった。

 

 

 

「…だ…だから! 隆史君!」

 

「……」

 

「た…隆史君?」

 

「…分かった」

 

「……え?」

 

考えてみれば、今のこの状況。

…俺を好きだと言ってくれた彼女を…完全に孤立させてしまうのではないか?

あんこうチームで、残ったのは彼女だけ…。

 

上手く思考が纏まらなくなってきた。

 

先程までの感情とは、別の感情が湧いたのが分かる。

その場に勢いに流され、後に後悔する。

みんな壊れていく…。

 

 

「え…あの?」

 

「華さんも…麻子も……優花里も……」

 

「…隆史…君?」

 

鉄格子から体を離し…一歩彼女に近づく。

 

もう一歩近づくと、彼女が一歩離れた。

少し怯えている。

 

「彼女達も、俺を好きだと言ってくれた…」

 

「……ぁ」

 

「だけど…俺には、それが理解できない」

 

「そっ! それは!!」

 

何かを言いかけていた。

また…俺を庇ってくれるつもりだったのか…。

 

「それは! 華達もっお!?」

 

一歩でた彼女の腕を掴み…。

力任せに抱き寄せた。

 

「たっ!? 隆史君!?」

 

こんな状況だというのに、赤面でもしているのだろうか。

抱きしめた彼女が、普段よりも体が小さく感じる。

 

「みほの許しがあったから」

 

今度は俺が喋る番だった。

たくさん言ってくれた、彼女の言葉は理解ができなかったが…。

俺の事を思って言ってくれた事は、単純に嬉しかった……と、思う。

 

「あったからこそ、せめて…そんな彼女達に応えようとして…この状況……」

 

抱きしめられて、小さくなっている沙織さん。

変な呻き声が、腕の中から聞こえてきた。

 

そのまま彼女を抱き上げ…ホテルの建物の間…。

空調が置かれたスペースへと、連れて行く。

 

「ぇ!? え!?」

 

建物同士の狭いスペース。

そこへ彼女を連れ込んだらすぐ抱き上げていた彼女を下ろす。

ただでさえ、夜で暗いというのに、こんな建物の隅…更に暗い。

 

「沙織さん」

 

「……っ!? え!? 何!? なに!?」

 

男慣れしていないのが、丸分かりになるほどの狼狽ぶり。

直接のふれあい。

抱き上げるとかは、一度していたが…今回のは意味が違う。

それに会話の流れからしての、俺が取る行動に混乱している。

 

そんな彼女を見て…別の笑みが溢れた。

 

「…俺は君の想いには、みほがいるから…応えられない。」

 

「……」

 

はっきりと言った。

頭の中がグッチャグチャで上手く考えられないのもあるが、これだけは初めに言っておこうと思った。

俺自身、驚く程はっきりと言葉にした答えに、驚いたのか顔を上げた。

 

その顔は「分かっている」…そんな諦めた笑顔をしていた。

 

「今のこの状況…全部分かっていて…それでも好きだと言ってくれた……」

 

独り言の様に呟く。

 

ブツブツと…言い訳がましく。

自分に言い聞かせる様に…。

 

「隆史君?」

 

「そんな君だから、本気で応えようと思う…」

 

「え?」

 

変に間の抜けた声で返事を返された。

 

応えられないから、応えようと思う…。

 

よく分からない言葉。

 

告白された時に、少し思った。

 

思ってしまった。

 

なぜだろうか、それに素直に従う気になったのは…。

ブレーキが効かない。

 

先程までは、グジグジと後悔しかしていなかったのに。

不思議とスッキリとした…。

開き直ったのか、なんなのか分からないが。

 

 

なんで思ったんだろうか。

 

 

彼女の告白を受けて、頭の片隅に…浮かんだ事に気がついたから。

 

彼女も抱けるだろう…と。

 

ソウダナ。

 

みんな一緒にしてしまえば、元の関係に戻るだろう。

あの5人で一緒にいれるだろう。

 

大分歪んだ形で、戻ってしまうが…。

 

 

ソレハ ソレ ダ

 

 

沙織さんも、俺を好きだと言ってくれたのなら…

 

 

 

オナジヨウニ コワシテ シテシマオウ

 

 

 

 

 

「……」

 

見つめる。

俺の腕の中で、混乱している彼女の顔に顔を向けた。

見つめ合う…暗い建物の間で。

 

 

「みほからすれば…キスは浮気らしい」

 

 

 

「え……むぐっ!?」

 

 

 

体を落とし…そのまま唇を重ねた。

 

ただ…。

彼女に対しては、流されるのではなく、俺から…。

納涼祭の事もある…。

 

乱暴はしない。

 

だから…誠意を持って…。

 

 

コ ワ ソ ウ

 

 

 

 

◇

 

 

 

 

 

 

震えている。

肩に力が入っているのが分かる。

薄目を開けて見て見ると…。

 

目を見開いていた。

 

「……」

 

すぐに顔を離した。

 

「っ!? !?」

 

暗くても分かるくらいに、顔が上気していた。

触れば多分、とてつもなく熱くなっているだろうな。

 

「ぇ!? な…なっ!?」

 

彼女の両手が、俺の体に触れていないので、多分…あ。

やはり指がつるんじゃないかと、思うくらいに思いっきり開いている。

 

もう一度…。

 

ただ、唇を重ねるだけ…。

 

近づく俺の顔に、沙織さんは…逃げない。

ただ…そのまま受け入れた。

 

…痛い。

 

何かが痛い。

 

唇で、唇を挟むように…少し動かす。

下唇を噛むように挟み…そのまままた離す…。

それを至近距離で、何度か繰り返した。

 

性行為とは、また違う…ちゃんとした…。

 

「ん…」

 

何度か繰り返す内に、沙織さんは目を閉じていた。

…完全に俺を、受け入れていた…。

 

小休止とばかりに、少し体を離すと、そこで我に返ったのか…急に慌てだした。

 

「たっ! たか!?」

 

「…嫌だったでしょうか?」

 

いつもの様に、少しふざけた言い方。

 

「いっ! …ぃゃ…じゃ……ないけど………私……その……初めて……」

 

横を向いて、消えそうな声で答えましたね。

 

「けっ…けど! これ完全に浮気!!」

 

「そうだな。…みほにとっても浮気だな」

 

「う…」

 

みほにとっても、浮気ね…そうだな。

他の女性と関係を持っていて、今更何が…。

 

「後…なんで急に、いつもみたいに戻ったの?」

 

「いつも?」

 

「…その…隆史君の雰囲気…さっきまでは、ちょっと…怖かったのに…」

 

「あぁ…なるほど。ある意味で、吹っ切れたからかな?」

 

「吹っ切れた…?」

 

ある意味で、迷いがなくなったから。

 

「俺はね、沙織さん」

 

「え?」

 

「…沙織さんが、欲しくなった」

 

「!?」

 

おー…驚く程、赤くなったな。

 

沙織さんの行動原理というか、性格からして、人間関係とやらに刺激を求める。

事、恋愛に置いては特に。

ここの所、みほに対して負い目を感じるのか何なのか…。

自分が当事者になって、大分大人しくなっていたからなぁ。

前は、兎に角恋愛関係に結びつけてたし。

 

もう一度、強めで抱きしめると、硬直する体を無視して、もう一度唇を重ねた。

今度は…。

 

「ぅん!?」

 

舌を入れた。

ただ入れただけではなく、彼女の舌を弄る。

根元から全体的に絡ませ、刺激する。

 

「ぁ…はっ……」

 

ヌルッとした感触を感じる…いや、感じさせる。

段々と水っぽい音も混じり出してきた。

 

「…は……ぁ……」

 

舌を抜き出すと…彼女の顔が変わっていた。

 

女の顔。

 

子供…いや、高校生なら中間か。

ならこんなキスの意味はわかるだろう。

 

性的なキス。

 

抱きしめていた腕を離し、腰に手を回す。

逃げる気なら逃げれる体勢。

腰を抱き寄せ、今度は彼女の舌を吸う。

自身の口へ招き入れると、伸ばされた彼女の舌を、全体的に絡み舐める。

ニチャニチャとした音を、わざと出しながら…。

 

もう一度抱きしめると、彼女の首元に頭をいれ、首元へ口を這わせる。

手は彼女の脚の付け根へ…お尻との中間を掴む。

 

ここへ来て、初めて抵抗の意思を見せた。

俺の手を押しやる様に、腕の付け根を押さえた。

 

「だ…だめ……」

 

力がない声と、押さえる手。

 

ソウダナ。

 

「み…みぽりんに……悪いし…裏切り……」

 

「…もう浮気、しちゃったんですけど?」

 

「!!」

 

キスだけはダメだと、彼女も知っていただろうに。

 

これは、沙織さんの好意に漬け込んだような、卑怯な手。

ま…もう、今更だけどな。

順序が逆。

すでにタブーを侵している。

 

ま、普通の人ならキスの時点で浮気確定なんだけどな。

やはりどこか、沙織さんも麻痺していた。

 

…今の取り巻く関係が、常軌を逸しているからな。

 

「沙織さん…キスした時点で、逃げなかったんだから、もう遅い」

 

流された自覚があるのか、少し体が硬直した。

罪悪感からなのか、目を見開いた。

 

「それに、ここまで…浮気までしたいと思ったのは…」

 

「!?」

 

そう、なんだかんだ…キスまでしたのは、沙織さんだけ。

その事実を、首元から耳元に顔を移動させ…囁く。

そのまま後ろに周り、後ろから抱きしめる。

 

さて。

 

彼女の顎を、指で添えて引き上げる。

意味が分かったのか、目が俺の顔を見上げた。

そのまま…もう一度唇を奪うと…逃げない…。

 

すぐに顔を離すと…目がまたあった。

 

「しょ…正直に言っていい?」

 

「なに?」

 

目を逸らして…なにか懺悔するかの様に…呟きだした。

先程の俺の様に…自分に言い訳をする様に…。

 

「私…みぽりんが、羨ましかった…」

 

「……うん?」

 

羨ましい…?

 

「わかってるの…私の方が全部、後からだし…」

 

「後?」

 

「隆史君と付き合いだして…応援していたから、私も嬉しかった…けど、やっぱり複雑で……」

 

……あ…あぁ…俺の事か…。

 

「……」

 

あ、はい。

すいません。鈍感でしたね。

現実に戻されるような、ジト目はやめて下さい。

 

「……はぁ…ま。隆史君そんなんだし…気付いたら、周り凄い事になってるし…」

 

「……」

 

「今日、部屋でみぽりんと華から…話聞いて…」

 

あぁ…なんか個別で、二人に呼ばれたって言っていたな。

 

「みぽりんには、バレてた…それでも良いって言われた…。正直、関係を持つ事に…その……言い切る、みぽりんが…怖かった」

 

「……」

 

「華には…すっごい直球で、誘われた……」

 

「さ…そ……」

 

「何かの冗談かと思った…。絶句しちゃったよ…」

 

そうだ…、華さんもおかしい。

完全にノンブレーキだ。

 

…壊れ方が尋常じゃない。

 

さっきもそうだ。

抱かなかったら、ズルいとか言われたし…。

 

「でもどこかで、その…考えちゃった私もいたの…」

 

「……」

 

「みぽりんと華…二人の話を聞いてるうちに……その……」

 

……。

 

…伝染していた。

 

みほ本人の話だけじゃない。

華さんもいたという事で、沙織さんも毒されていた。

 

ただ…思うだけで留まるのが普通だ。

良心で留めていたのだろう。

 

ある意味で、唯一の常識人だしな…沙織さん。

が、今ここで、俺がその最後の良心を壊している。

 

その告白を遮り、また唇を塞ぐ。

舌を少し入れると、今度は彼女自身から舌を出してきた。

先程まで、今の関係をどうにかしようと、俺を…みほ達を説得しようとしていた手前、何も言えないのか…。

ただ無言で、舌を合わせている。

 

空気に流されているな。

まぁ…流させたのは俺だけどな…。

 

さて。

 

浴衣の隙間に手を添える。

指を入れ、前に押し出すとシュッとした音と共に、少し浴衣の前が緩んだ。

 

「ふむっ!?」

 

焦ったような声が、目の前からした。

ま…そうだね。

 

外だしね、ここ。

 

「ちょっ!? たかっ!! んんぅ!!」

 

余計な事を言わせまいと、片方の手で顎を軽く掴み、また口を口塞ぐ。

少し緩んだ浴衣。

そこの手を入れると…うん……なんだ…。

 

デカイ。

 

あぁ、もう谷間なんだと気づかされる様な感触。

 

「んん!?」

 

そのまま、躊躇なく手を差し入れ…弄る様に下へ…。

連動して開かれていく浴衣…。

グッと、腕を下に引くと…完全に片方だけ開かれ、片方の胸が飛び出した。

手の感触でわかったのだけど…ノーブラでしたね。

 

寝る前だったからかね。

華さん達も、そうだったなぁ…。

 

……うん。

 

ここまですると…もう変な痛みは感じなくなっていた。

 

「ちょっ! ちょっと待って!! 隆史君! 流石にッ!!!」

 

小声で叫ぶ…器用な真似するなぁ…。

前屈みになり、腕を胸を隠すようにクロスさせて、しゃがんでしまった。

顔だけ上げて、こちらを向いた。

 

「大丈夫。ここ、暗いし…こんな時間だし……」

 

「で…でも…外っ! それに……私、初めて……」

 

……。

 

もうすでに、承諾した様な事を言っている。

まあ、胸を軽くだけど、弄る時も抵抗はなかった。

 

…やはり毒されてたな。

彼女もまた、ある意味でおかしくなりかかっていたのか?

 

ま…これで分かるかな。

 

「今すぐ、沙織さんが欲しくて、仕方ないんだけど…」

 

「ふっ!?」

 

散々、自分を責めて…後悔を吐露してい俺が。

今は、それを進んでしている。

この変わり様に、疑問も持たなくなっているな。

 

俺も…沙織さんも…。

 

「流石に…初めてを…外って……」

 

しゃがんでいる彼女の目の前に…自分の浴衣を左右に開く。

言葉を遮って…すでに大きくなっていたアレを取り出した。

ボロンッて!!

 

「ぅふ!?」

 

変な声を上げて、少し上…それこそ目の前に出てきたそれを…。

 

凝視してますね…。

 

あ、そうか。

彼女の所持されている雑誌で、皆さん変な知識を中途半端にお持ちでしたね。

こんな外…先行してソレを取り出したのだ。

なら…まぁ分かるだろ。

 

「…お願いします」

 

根元を持って、彼女の口先まで陰茎を誘導する。

また変な声を彼女が上げたけど…目は完全にソレに釘付けになっていた。

 

どうするか分かるだろうけど…踏ん切りがつかないのか…口を開けたり、閉じたり…。

鯉みたいに、顔を赤くしてパクパクし始めた。

まぁ、し始めてしまえば…後の流れは想像が付く為だろうな。

 

コの字になっている、今のこの建物同士の間…。

その一番奥にいるし、この暗さだ。

本当に通りからは見えない。

 

それは、彼女も分かっているだろうし…ソロソロかな?

 

ここで、陰茎の先を彼女につければ、多分舐め始めてくれるだろうが…それじゃダメだ。

彼女からさせないと…この後の事ができない。

 

さて…後どのくらい……。

 

「…っ」

 

舌先が当たった。

まだ躊躇をしているみたいだけど…。

次にキスをする様に、唇を合わせてきた…。

唇で噛むように…先を愛撫し始めてくれた。

 

…不意の感覚に声が出そうになる…。

 

暫く眺めていると…ゆっくりと亀頭が、彼女の体温に包まれた。

…舌の上を移動しているという、感覚が分かる。

 

ヌルッと…。

 

ここまで来れば、後はいいだろう。

 

彼女の頭に手を置き、軽く前後させる。

またヌルッとした感覚が走る。

ま、始めてだろうし…まだ躊躇が見られるからか…ぎこちない。

 

「っ…ぷっ…っ…ぷっ」

 

舐める音が聞こえる。

段々と集中し始めたのか、前後する速さが上がってきた。

 

「ちゅっ…ぷっ…ちゅっ…ぷっ……ちゅっ…ぷっ」

 

何ていうのだろうか…。

性技としての気持ちよさは、正直あまりない。

 

…が。

 

この状況が、俺の興奮を加速させていった。

まぁ…いい。

多分…彼女は、知識はあるのだろう。

経験はこれから、積んでもらえばいい。

 

……。

 

はっ…経験ね…。

 

簡単にその言葉が出たってことは…。

 

 

「っっ!?」

 

 

あ…危ない…本気で声を出してしまいそうなった…。

すごい感覚が…。

 

彼女は尿道口に舌先を入れていた。

そこまたグリグリと、ほじる様に…。

 

って!!

 

「さ…沙織さん?」

 

「…れァ?」

 

上目でこちらを見てくれ……た…。

 

すごい絵になっている…。

 

すごい絵になっている!!

 

舌を伸ばして、亀頭の先を突き…上目遣い…。

 

エッッッロ!!

 

 

おかげで、こちらも本気でエンジンが掛かってきた!!

 

 

「んっ!! んっ! んっ!!」

 

 

音をたてる…事はしないが、唇でしごく様に…強く動き始めた。

動く際に、彼女の口から声が漏れる…。

 

「んっんっんっ!!」

 

亀頭からカリに掛けて…その区間を今度は素早く動き始めた。

いれる度に、舌を突き出し…全体を使って亀頭を包み込むように…亀頭に小気味良く舌の感触と…って!!!

 

「ちょっ!! ちょっと待って!」

 

腰を引き…少し離れた…。

なんだ…急に…。

 

「…その……あんまり気持ちよくなかった?」

 

不安気な顔…いや、そうじゃなくて…。

吹っ切れるの早くない!?

 

「いや…気持ちよかったですけど……なんでしょうか? 今の技は…」

 

そう、技だ。

最後の絶対に、テクニックと言われる様なものだ!

 

「あ……」

 

目を逸らして真っ赤になった。

取り敢えず、中腰じゃ辛かろうと…手を引いて立ち上がらせました…。

 

「そ…その……雑誌に書いてあって……」

 

だからその雑誌なんなの!?

女性誌って、怖いよ!?

そしてその雑誌を、結局あんこうチーム全員が読んでるって!!

 

「み…未来の旦那様にって……その……」

 

まさか…

 

「お…おもちゃで、何度か練習した事……が……」

 

沙織さん!!

 

多分!! いきなりあのテクニックは、未来の旦那様が引く!!

 

というか、おもちゃ持ってるの告白してる!!

 

「…その雑誌を、みほ達も読んでいたのか…」

 

「え…みぽりん達? 読んでないよ?」

 

……

 

 

え?

 

 

「みぽりん達には…その……刺激が強すぎだと思って…」

 

「……」

 

え…?

 

そういえば、外でするのも、恥ずかしがってただけで……

 

流石に初めては…って……

 

その行為自体には否定的ではなくって…

 

「え? あぁ…うん。世の中にはそういう男の人も、沢山いるって書いてあったから大丈夫」

 

声に出てたぁぁ!! って!? 大丈夫!?

 

え!?

 

……。

 

待て。

 

みほ達には?

 

って事は、他の更に刺激が強いと言われる、雑誌を読んでいるって事?

 

……。

 

か…考えるのは後にしよう…。

 

 

「……ん?」




閲覧ありがとうございました

さぁ。

本当に壊れているのは誰だろう
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