前回のノンナさんとは、180°話の感じを変えてみまし。
…ぶっちゃけ、イチャイチャよりかは、こちらの方が、書きやすいぃ。
後、少し…実験というか、書き方を変えてみました。
一人称視点を一部変えて、よくある第三者面線ので。
文部省からの要請。
ホテルの一室を借り、ただの確認の為だけの会議。
携帯のバイブ音で、我に返る…といいますか、現実に引き戻されました。
誰でしょうか…んな時に。
まぁ、流石に今、こんな会議でも、その最中に取り出して確認する訳にはいかないので、後にしましょう。
さて…。
計画されている、戦車道プロリーグの発足。
…その設置委員会の代表を、私に任せたいとの事だった。
細かな決まり事から、過去に聞いていた案件。
ただ「はい」と、繰り返し繰り返し、頷くだけのあまり意味の感じられない会議。
こんな意味のない会議を、貴重な時間を裂き、何度も繰り返す事にはウンザリしていた。
顔合わせの意味もあるのだろうが、その顔を合わせているのが、若い役員が数名…議長をしている、初老の男性…。
膨大な人数で発足されているこの委員会。…そんな二度と顔を合わせないかもしれないという数名との会議。
…色々な柵があるので、一概に突っぱねる訳にもいかない。それは彼らもまた、同じなのだろう。
「この件」について、話し合いをしたという事実が必要なのだろう。
「では、最後に…西住さん。このまま予定通り、設置委員会の委員長をお願いしたいと思います」
その短い会議の議長から、締めの挨拶が行われ様としていた。
私が、ほぼ頷くだけの会議。途中の説明も、存じてます…の一言で、何度か飛ばさせた。
早々に、こんな会議を終わらせたかった為…というのが一番。
…まぁ良い。そういった訳で、漸くこの場所から開放される。こ
「はい。では皆様、宜しくお願いします」
席から立ち上がり、軽く会釈をする。
「……」
はぁ…。
無意識にため息が出てしまいそうになる。
男性の視線…というのは、非常に分かりやすい。
特に私の場合、昔から…それこそ、まほやみほの年齢位から、嫌と言う程感じていた。
今も変わらずの女の園…黒森峰女学園。
私は西住流次期家元…後継者として、否が応にも注目され、学校以外にも私は有名になっていく。
メディアにも取り上げられ、世間に目に晒される。
お陰で、特に地元…その街を歩けば、声を掛けられる事も少なくはなかった。
…声を掛けられなくとも、視線は向けられる。
そこで気が付く。
まず最初に、見られるのは、顔…もしくは胸。
特に移動などしている時は、胸から見られる。
…男性達は、バレていないとでも、思っているのだろうか?
私も学校や寮、家に引きこもっている訳にもいかないので、仕方はないと諦めてはいたが、その視線を何度も受けた。
しかし、仕方がないとはいえ、不快な物は不快だった。
特に大人…。
同年代の男性の目線は、まだ我慢できた。
…が、大人の男性は、虫唾が走る。
戦車道に関わる、成人した男性…特に今現在、私が相手をしているような輩は、一般男性に比べれると、その目線がおぞましかった。
舐める様な、まとわりつく様な視線とは、良く言ったモノだ。
何度、それを経験したか…。
俗に言う、いやらしい視線…と、ハッキリと断言出来る程に、高校生に対して向ける目ではない者が、多い事、多い事。
女性競技だというのに、そんな男共が上にいる社会。セクハラを受けたという者が後を絶たないのは、言うまでもない。
如何わしい噂の存在も、完全に否定できなかった。
セクハラ…。それ以上の…体を使った接待など噂も、遺憾ながら聞き覚えがある…あるからこそ。
噂は噂だが、これから娘達が進む…一般社会の戦車道の世界。
そういった事態が、間違っても起こらない様に、千代さんと共に奮闘していた。
そういった疑いも持たれる人物は、大抵がその嫌らしい視線とやらを向けてくる輩が多かった。
…既婚者で、子供まで産んでいるというのに、その私に対しても、その視線を何度も向けてくる。
いや? 寧ろ、若い頃より今の方が一段と酷い。
常夫さん……夫が、単身赴任だと言う事を知っている者からの、遠まわしな誘いの様なモノも何度か受けた。
まほと同じく「鉄の女」など、揶揄される様な事もあった私に対して、些か疑問なのだけども…。
まぁ…全て突っぱね、指をヘシ折……いや、不幸な事故? に、発展してしまう事も少なくはない。
そんな学生時代の時の事までも、思い出してしまう程に、その嫌な視線を正に今…感じていた。
「では、本日の会議はこれで終了と言う事で…お疲れ様でした」
「家元も、貴重なお時間、ありがとうございました」
「いえ…」
……。
くっ。
胸が重い…。
ただの会釈をしただけだと言うのに、重心が少し、前に持っていかれる。
私の挨拶を切っ掛けに、各々立ち上がり、私に向けて声を掛けてくる。
曖昧な返事を返し、適当に合わせてる。
…そう、その視線。
大人の方が、作り笑いを浮かべ真正面から見てくる。
歪んだ目元の奥から見える、その視線が非常にうっとおしい。
会議中…上座に座らされた私を見る目が、ほぼ一点に集中されていたのが、今でも思い出される。
……。
ダメですね。
先程受けた、マッサージのせいでしょうか? 無駄に体中の血行が良くなったと実感してしまっています。
大分良くなりましたが、変なアロマの匂いで、頭も少しハッキリとしませんでしたし…。
後は…えぇ、隆史君の底意地の悪さを見せつけられて…。
体が変に熱くて仕方ないですね…。
その隆史君に言われ…正直、頭に少し血が上っていた状態…と言うのもあり…素直に従ってしまいましたが…。
下着も着けないで、この様な場所に赴いてしまいました。
…腕を組んだり、資料で隠したり…できるだけその状態を隠す様に、不自然にならない様に注意を払い隠していたのですがね。
素肌と布地と擦れる感覚や何やらで、落ち着かない…。
…しかも第三ボタンまで開ける様に言われて、またそれにも素直に従う私は、年甲斐もなく馬鹿なのではないでしょうか…?
隆史君には内緒ですが、流石に社会人として、こんな年で、どうなのかと思い…途中で一つ、閉めてしまいましたが…。
…。
しかし、その閉めている最中の時が、一番視線を集めてしまったと感じたのは何故でしょう?
特に、一番若いと思われる男性役員…。
一回り程、年齢が違うと思うのですが…特に熱心に。
……。
ここ最近の…その…隆史君との事で、気が付く様になってしまいました。
男性の…その視線に種類がある事を。
思い起こせば、何度か感じた事があるその種類の視線。
隆史君が私に向けてくれる、ソレと少し似ていた。
通常、女性の肌や凹凸を見てくる視線は、異性に対して…といのは勿論ありますが、主に興味の色が強いと感じます。
不快と言えば不快。
ですが…まぁ、若い子は異性に対しての興味が強いでしょうから? 仕方ないとは思いますが…。
それでも、一瞬。
しかし、この若い役員から見て取れるのは、ジッ…と見てくる者に多く感じる…完全に女として見てくる視線…と、言えば良いのでしょうか?
…隆史君と同じ…。
っと…いけない。
忘れる所でした…先ほどの携帯の着信。
今日は、変に考え混んてしまいますね。
バッグを開き、携帯を取り出し画面を確認…ふむ。
メールですね。
隆史君からのメールです。
あの子が、メールなんて珍しい…電話を掛けてくる事が大半ですのに。
しかし…なんでしょう? 今、仕事中だと知っている筈なのですが…あぁ、ですからのメールですね。
画面を操作し、そのメールを開く。
その間の動作にも、チラチラと視線を感じますが、それはもう頬っておきましょう。
その内に飽きるでしょうし。
ん…?
件名が…「会議が終わった直後に見てください」…ですか?
会議中に、私がメールを確認するとでも思ったのでしょうか? まぁ…いいですが。
では、その会議が、終わっているので開いてみますか。
……。
『 戦車道チョコカード会議。大洗ホテルの夜。カードキー。その部屋前 』
……。
ん? 暗号でしょうか?
そんな単語とも言える文字が、メールの内容でした。
…あの如何わしいカードの会議…の日? と言う事でしょうか?
その夜で…。カードキー…。
あぁ…私が、情けなく酔ってしまった…それで…。
その部屋前。
……。
ゾクッ…と、背筋に何かが走った。
私が何を思い出すか…いえ、これは違う。
これは、あの時の…隆史君に言われたからではなく…私自らが、行動した事。
場に流され、お酒も入っていたのもありますが、完全に私が選択し、そして…行動した事。
その、アノ光景を思い出させるメール…。
これを言われたのは、あの宿から2回目だった。
すぐ様にその光景のフラッシュバックが、脳内を掛け走る。
変に熱い体が、その記憶に反応してしまった…。
これを人前で、私は何をした…と、また…。
一度考え出してしまったら、そのまま連動し…一気にその時の状況を思い出す。
ホテルの廊下で、人目に付くという状況下での行為…。
夢中になって、隆史君の…アレを口でしゃぶり…味わい…。
無意識に、喉が鳴る。
舌を這わせ、滑らし…音を出す。
途中…彼は、通行人と会話を始めた。
…内容は良く思い出せないが、彼は体で私を隠してくれていた…のだけど、まだ行為を続けるように私に…。
いや…正直、その指示が、私の枷をほんの少し外した。私自身、やめたくはなかったのでしょうね…。
味わい、舐め、啜り……例え、このまま見られたとしても、気にする事などないだろうと…。
案の定……見られた。見られてしまった。
だらしなく、男性のソレにむしゃぶりつく、浅ましく男を求める女の顔を。
見られていても、構わなかった…もう、思考がその頃には麻痺していたのだろうと思う。
無意識に組んでいた腕に力が入る。
グッ…と、少し反動で胸が軽くなった気がした。
「……は……ぁぁ…」
無意識に、小さくため息がでる。
情けなくい自分に対して…完全に自分を律する事が出来ていなかった…。
その時に見ず知らずの男性と…一瞬だけ目があったのを覚えている。
廊下の照明がバックライトとなり、顔は影で黒くなってしまっていたから、その顔は見えなかったが、目だけ…その私を見る目が、強く私の記憶に残ってしまった。
…ゾクゾクと、背筋を這う様な感覚。
反射的に背筋を伸ばしてしまった…。
「あの…家元? 西住さん?」
「っ! っと…何でしょう?」
いけない…いきなり思考が、変な方向へと引っ張られてしまいました。
我に返り、周りを見渡すと、皆が立ち上がり、部屋を出る準備をしていた。…が、揃って私を見ていた。
「…いえ。そろそろ…」
「あぁ…申し訳ありません」
部屋を出ようと…そういう事ですか。
そうですね、私だけ携帯を見て固まってしまっていましたからね…迷惑でしょう。
…何故か、呼びかけに応え、顔を上げると、彼らは少し目を逸らしてしまいましたが…。
しかし…その逸らした目を見て、気がついた。
メールの最後の文。
その文を見たから気がついた。
気付かされてしまった。
『 同じじゃないですか? 』
…と。
なんの事を指しているかの言葉か、定かではありませんが、「同じ」という言葉で、何が当て嵌るか一瞬考えてしまった。
そして気がついた、その「同じ」。
思い出させて、検索させて…私自身に気づかせた…。
あの時の見知らぬ男性と「同じ目」に似た視線で、私を見ていた事を。
その…幾度も幾度も向けられた視線が…それが、どういう視線だったかという事に。
「……っ!」
また…言い様のない感覚が、そこから湧き上がる。
そこでまた、気がついた事が一つ…。
全員が立ち上がっていたのもあり、その為ごまかすのが難しかったのでしょうか?
一番若い男性の股間が、ズボンの上からでも分かる位に、少し…。
「では、私はこれで失礼ます」
「あ、はい。お疲れ様でした…」
誤魔化すように、早々に挨拶を済ませる。
携帯をバッグへと戻すと、足早に出入り口へと脚を動かす。
……。
まずい…。
一度、意識してしまったら、一気に脳内に記憶がなだれ込む。
あの時の夜を、その後も、その次の機会も。
連想が、止まらない。
先程から変に熱い体が、無性にむず痒くなってきている。
段々と、思考が麻痺してくるのを感じる。
もう余計な事を考える余裕が、なくなってきている。
…目の間の不快な視線なんて、もうどうでも良くなり…先ほどのメールからくる正体不明な感覚がまた襲う。
ゾクゾクとした感覚が、背筋から肩まで遅い、ブルッとその肩を震わせてしまった。
今までの経緯と経験が、隆史君を…記憶と共に、体も思い出してしまった。
…もう、本当に目の前の事はどうでもいい。
もはや、一応の挨拶は済ませてある。
義務は済ませたので、もはやここに用はない。
…その部屋から飛び出す様に、足早に部屋を後にした。
〓〓〓
「な…なんだったんでしょう?」
西住流家元が去った、男だけの会議室。
呆然と一人の男性が、声を漏らす。
なんだった? というその言葉に、誰もが同じ事を連想した。
最後のため息。
メールを見て漏らした、そのため息は、その場に相応しくない色だった。
…聞く者、いや? 男性なら誰しもが息を呑むであろう、甘く、官能的な…吐息。
普段の彼女を知る者…それも違う。普段の彼女を一度でも見た事がある者ならば、誰もが予想すら出来ない程の声。
表情…その目。
完全に予想外の打撃を受けた男性達が、呆然と立ち尽くし、彼女が出て行ったドアを揃って、ただ見つめている。
それは、仕事一徹。生真面目で温和な性格をした、初老の役員ですらも感じていた。
その場を誤魔化すように、白髪に染まった髪を、手で後ろへと流すように一撫でしながら、乾いた笑いを出すしかなかった。
今日の家元様は、初めから様子がおかしかった。
それもまた、誰しも一斉に思い出した。
妙に薄着で、普段なら考えられないほどに、その何時もの制服とも言えるような服装を着崩して登場した。
確かに今回は、そこまで厳格になる程、重要な会議ではないが、それでも…だ。
娘…「鉄の女」と揶揄される「西住 まほ」以上に、融通が効かず、もう一段階上の「鋼鉄の女」と揶揄される家元。
その彼女からは想像すら出来ない程の格好…直線で真っ直ぐ「 I 」の字を体で描いている胸を前面に出した、開かれた服。
ちょっと、そんなの姿も見てみたい…と、男性達からすれば、寧ろ妄想の域であろうその姿。
挙句…。
《 …… 》
誰しも場に飲まれ、下卑た会話すら出来ない程の空気。
しかし全員が、気がついていた。この場では、口には出さなかったが気がつくだろう。
あれ…下着着けてないんじゃ…と。
今回の会議…誰もが聞いていなかった。というか、頭に入ってこない。
ただ一点の動きを、どうバレずに見る事しか考えていなかった。
生真面目な初老の役員は、それでも気を使い、極力見ない様にはしていた…が、彼も男性。
いくら見ない様にしていたとしても、視界に入れば、嫌でも意識してしまう。
彼は、紳士だった。
それに気が付けば、今度は視界に入らない様に、目に力を入れて完全に視界から家元を追い出し、なんとか場を凌いでいた。
本来ならば、遠まわしに指摘し、上着を着て貰うなどすれば良いのだが…世知辛い世の中だ。
セクハラだと言われてしまえば、男性の立場からすれば、説明も弁解も非常に面倒くさい事になる。
…しかも、あの西住流家元だ。その事案で揉めれば、どれだけの労力を裂くことになるか、想像もつかない。
特に彼女の事だから、その目のやり場のに困る格好も、何かしらの致し方ない理由が有り、仕方なくだろうと全員が確信していた。
よって思考停止のスルーを決め込む。
「……」
しかし比較的に他の役員は、初老の役員に比べれば、ある意味素直だった。
流石にジッ……と、穴が開くほどに見てしまう事はなかったが、見てしまう。何度も何度も見てしまう。
ある意味で仕方がなかっただろう。
家元は、腕を何度か組んでいた。
会議中に腕を組むとか…と、思うかもしれないが、それを指摘する勇気は全員にはなかった。
腕で胸を隠すようにした仕草が、何度も見受けられたから察していた…というあるが、その状態を見ていたいという欲求が何より勝った。
その腕が胸を圧迫し、下着を着けていない為…更には前を、大きく開いたワイシャツから押し出された谷間を見ていたかった…という欲求。
《 ………… 》
そして、初めから何故か、表情が妙に熱っぽく感じる顔。
動く度に揺れ動き、圧迫されている胸。
その眼力で殺されるかも…と、錯覚させられる、その目も何処かしら潤み…。
そして…一々、呼吸が艶かしかった。
若い役員からすれば、普段の鋼鉄の様に固く、隙がない彼女。
…下手な上司より、恐怖の対象以外に言葉が見つからない。
しかも、一回り近く年上。30代後半の女性。
…しかし、そこで初めて気が付く。
30代後半の女性とは思えないその見た目。
服の上からでも分かる程の豊満な胸、引き締まった体。
そして今回、殴られる様に…痛い程感じた、そんな女性からの強烈な色香。
午前中にて、焦らされ、お預けをくらった西住流家元。
昔からそちら方面に疎かった彼女は、短期間で強烈な「快楽」という刺激を、精神面と肉体面へと何度も同時に与えられ続けられた。
特殊な環境、人間関係…欲求不満、ストレス。…その刺激は、どうしようもなく、半場諦めていたソレらから、彼女を徐々に開放していった。
精神面では「背徳感」を前面に押し出され、腰が砕ける程の快楽を同時に与えられる。
露出、公開…擬似とはいえ、複数での行為を匂わされ、その「未体験の快楽」が歪んだ「期待」と「欲求」を生む。
それら全てを与えて
…しかも自身の娘の恋人。
そんな相手から、調教されているとも言える、そんな体験が、女としての彼女を前面に押し出し始めていた。
その場にいた男性達は、なまじ西住流家元としての「西住 しほ」を知っているからこそに感じるギャップ。
アンバランスになった彼女から発せられる、その強烈な雌としての淫靡な色香に…完全にやられていた。
しかし、感じ取ったソレを、口に出す事に躊躇し…その男性達は、そのまま誰も口を開かずその部屋を後にした。
◇
ピッ…と、小さな電子音。
その電子音の後、すぐにカチャリと、鍵が鳴る音がした。
「……」
急いで戻ってきた、宿泊部屋。
そのドアノブに手を掛ける前に、自然と…少し急いで来てしまったのもあり…気休め程度で、髪を手で撫で整える。
まだ体が熱い。
何もしなくとも、指先までも体温が上昇しているのを感じる。
首、額…どこを触っても、熱でもある様に酷く…熱い。
自身の宿泊部屋に戻ってきただけだと言うのに、何故ここまで変に緊張してしまうのか。
「フゥ…フゥ……」
喉の奥から、小さく呼吸が漏れてくる音が変に大きく聞こえてきます。
そうですね。やはり何処かで緊張しているのでしょうか?
いえ…何を緊張する事があるのでしょうか? …ただ、仕事を終え、部屋に戻って来ただけです。
仕事…。
仕事……。
その仕事を行った部屋で、私一人へと向けられた視線…その目が、一瞬脳内を走った。
あの目…。
職場…いえ、「戦車道」に関係する事柄で、特に若い男性達から、感じた事がない目。
大体は、萎縮して見上げるようにしてくる、情けない目が多く、特に気に知る事もなかった。
あの手の目は、大体…打ち上げ等行われる場所で、それなりの年齢の男性からの視線に類似していた。
しかし、その目も、期待…と言うのでしょうか? あわよくば…その様な視線。
殆どが、セクハラだと不快になる、からかわれている…とも思える視線。
しかし、あの場の視線は違った。
あれは……。
「っっ!」
また一瞬、ゾクッと背筋を舐めるように這った、良くわからない感覚。
肩を一回…小さく震わせると、ソレラを振り払う様に、頭を左右に振った。
…やはり、何処かおかしい。
鼻の奥に媚びり付いている、あのアロマの甘い匂い。
これのせいで、どこか頭の奥が、ボヤけている様に感じる。
はぁ……。
「戻りました…」
家に帰る時と同じような、挨拶。
部屋の前に立ち尽くしていても仕方ありません。
次の行動にでれば、少しは紛れて…その内に忘れるでしょう。
ドアを開け、少しホテル特有の薄暗く短い廊下を歩き、部屋へ向かい歩く。
さて…その言葉は、誰に向かい言った言葉なのでしょう?
「……」
…彼は、特に待っているとも言っていなかった。
みほ達には、午前中、彼を借りますよと言ってただけ…。
ならば、彼も戻って…あの家へと帰ってしまっていると判断するのが普通でしょう。
まぁ…いないならいないで…仕方ないとも思っていたので、特に…。
しかし…少し…胸の鼓動が強くなっているのを感じます。
…何処か期待していた。
いえ? いるだろうと…確信していた。
何故なら、午前中…同じく、彼もまた中途半端だったと。
…一緒に、シャワーを浴びる最中…これまで以上に、雄々しく…硬く聳えさせていた彼自身を見ていたから。
そうです…そうですよ。
午後になっているとは言え、まだ日中。
みほがいたとしても、彼女の友達もまたいる…夜までは時間がしばらく掛かります。
それにまた、彼も若い男性。…そうそう、我慢なんて出来ないと踏んだからです。
みっともなくも、浅ましく思える程に、私は夢中で…それこそ、仕事など二の次にして彼を、求めてしまった…私。
そんな私を見ているのですから、当然…その仕事を終えて、帰ってきた私が…彼なら分かるでしょうしね…。
「…みほ」
娘の名前を、先程から何度か思い出してしまっている。
はっ…こんな、今の私を…この関係がバレてしまったら…。
怒られ…泣かれ……それとも、ふしだら母と笑うでしょうか?
今度は、あちらから縁を切られてしまう…でしょうかね。
…しかし、もう無理。
今更、止められません…。
何処か…私の奥の方で、娘に遠慮をしなくなり始めている。
罪悪感は勿論感じますが…………何処かでそれすらも…。
段々と視界に入ってくる室内。
小さく音が聞こえてきた。
テレビでも見ているのでしょうか? やはり…いてくれましたね。
目に一番初めに入ってくるソファーが見える。
…ほら。
それに腰掛けている、彼の足が見えた。
顔が熱く、胸が大きく叩く音の中…そんな私を、彼はこの後…どうしてしまうでしょうか?
脚を踏み出し…彼の姿を…。
「……」
「……」
なんでしょう。
彼はいました。えぇ、いましたとも。
そのソファーに座り…両腕を背もたれに、大きく開いて乗せ…頭を垂れて…。
「……寝てますね」
えぇ、確かに寝てます。
口に出して確認しなくとも、寝てますね。
テレビをつけっぱなしにして、寝息を立ててます。
……。
見下ろす…無防備な彼を見て、思います。
えぇ…子供の時と、大分変わりました。
抱かれ、一緒に共にした寝所と違い、今は完全に第三者目線で、その姿を見れます。
正直、子供らしさが余りない、子供でしたが…それでも妙にそこが可愛く、娘を甘やかせない気持ちを彼に向けていた。
それをまた彼が、素直に…それでも子供なのに、どこか遠慮する姿が、妙に嬉しくて嬉しくて…。
…ふっ…と、小さく笑ってしまう程。
……。
…………。
あ…。
これ…ひょっとして…好都合なのでは?
先程の彼からして、しかも彼の性格上…ひょっとしてまた、お預けを食らってしまう展開…というのも視野にいれていたのですが…。
今の彼なら…簡単では?
一度、始まってしまえば…そんな簡単には、止められないし…止められない。
「フー…フー……」
ゆっくりと近づく…なんて事はしない。
彼が起きてしまうとかの考えも、すでに飛んでいた。
ただ…気がついた時には、彼の正面に立っていた。
彼の両膝に、手を置き…ゆっくりと開く…。
膝を付き、しゃがみ込むと…彼の項垂れている顔を、下から見上げる。
目をつぶり、口を少し開けながら、小さく寝息を立てている…。
…寝ている。
先程の子供の頃の、昔の思い出…感傷なんて、一瞬で吹き飛びました。
この行為が卑怯だとか…彼との関係などとか…一緒に頭から消えていました。
好都合。
そう思ってしまった時より、ただ…もう。
我慢に我慢を重ね…なんとか仕事を乗り切った自分を漸く開放できるという…欲望しかなかった。
彼の内股へと手を這わせると、ズボンの布生地をスー…と音が鳴った。
その先…すでに収まってしまっている、その先へと目を向けると、そこに顔を添えていた。
鼻で息を吸い…頬を左右に擦りつける。
特に特有の匂いなどする訳もないですが、何故かこうすると…お腹の奥が、物凄く熱く熱を帯び始める。
すでに体は、溶けてしまう程に熱くなっている。
「……」
また、スー…と布を摩る音を立てさせる。
今度は内股の奥から…同時に脚を開かせる様に……。
……。
さて…これで…。
「…しほさん」
「っっ!!??」
……。
テレビの音が聞こえる…。
いえ…それしか、聞こえない…。
それでも静寂とは、こういった事を指すのかと、思わせるほど…。
ゆっくりと…顔を上げると…彼と目が…。
「……あの…」
真顔で見下ろす彼に向かい、そんな言葉しか…出てこなかった…。
「…最初から起きてましたよ」
「 」
聞く事は分かっている。
そんな彼は、その答えだけを口にした。
お陰で、私の体はそこから逃げる事もなく…彼の股間付近に頭を埋めた状態のまま…硬直している。
「…帰ってきてから、一直線に、いきなりとか…」
「あ…いえ…それは…」
呆れる様な目で見下ろす彼が、一瞬目を逸らし、更に大きくため息をついて…一言。
ごちゃごちゃと考え事はしていましたが、振り返って思い出してみれば、部屋に入り…いきなりコレでしたね…。
「まったく……母娘だなぁ」
「はい?」
母娘?
え…っと、意味が良く…。
「…んっ」
額に隆史君の手が添えられた。
そのまま前髪を後ろへ流される様に、優しく流された。
「はぁ…それに、たった半日しか持たないとか…」
ただ、口調は完全に呆れていた…。
一日も持たない。
その言葉で分かりました…。
やはり、午前中…途中でやめたのは…彼の…。
「そ…それはっ!」
「いいですよ? しましょうか」
…え?
彼の発言に、恨み言が出そうになった。
が、その一言で、全てがまたどうでもよくなる。
ごちゃごちゃとした脳内が…「彼がその気になった」と、その事だけで歓喜に満ち溢れてしまった。
「しましょう」というセリフが、どうとか…すでに、その気になっている私にはもう、どうでも良い事だった。
すぐに立ち上がり、ベルトをカチャカチャと外すと、ズボンの一番上にあるボタンだけを外した。
余計な会話も無し。今までの彼の考えが、どうとかも無し。
楽になれる…疼きに疼いた体を収める事が出来る。
それしか、すでに頭になかった。
その光景を眺めている私に対し彼は……。
▽
「んっ…ふーっ…」
ジー…ジジッー…と、不規則にチャックが落ちる音が、目の前から響く。
少し、金属の味がする。
私を見下ろす彼は、手を使う事を禁じた。
すでに疑問もなく、ただソレに従ってしまっている私…。
プライドも何もなく、たった数時間…彼に焦らされただけでコレか…。
自身の変わり様と、この今…男性の股間の前で、歯を勃て、浅ましく男根を求める為だけに、そこを開いている。
ただ羞恥だけは、変わらず襲ってくる。
残っている羞恥心が、顔を熱くする。
上目使いだけで、彼の顔を見上げると、ジ…と、私の目を見続けていた。
…喜んでいる。
と…何故かそう感じた。
撫でられる頭に、隆史君の体温を感じ…喜んでいると感じたら、またお腹の奥が熱くなる。
「んっ…んっ…はー…」
少し苦戦しながらも、なんとかチャックを下へと下ろす事ができた。
…何をしているのでしょうね? …私は。
何故こんな事で、妙な達成感と…期待感が膨らんだのでしょう。
彼の下着の上を、また歯でか……。
「…隆史君。何故、すでに大きくしてるのでしょう?」
「…」
…ちょっとした疑問を口にすると、私を見ていた目を、顔ごと逸らしました。
こんな行為をしている私を見て、興奮でもしたのでしょうか?
……そんな事で、何故興奮するか分かりかねますが…。
まぁ…せっかく大きくしてくれてますから、下手に言わない方が良いでしょう。
ならば…と、下着を下ろす事ではなく…その下着の男性性器を取り出す窓を少し噛み…少し強く上に伸ばします。
そのまま舌を使い……その中へと。
「…しほさん」
ただでさえ、彼のは大きいのですから…と、上手く根元を…そしてそのまま舌をまさぐらせ…。
「一度、旅館でコレっぽい事、しただけで、ここまで上手く…」
「んっ…はっ…」
ズルッ…とそこの窓から引きずり出しました。
まぁ、最後はそんな私に見かねたのか…少し下着が上から引っ張られる感触がしたので、彼が手伝ってくれたのでしょうけど…。
「あの…しほさん?」
目の前に、突き出される男根。
上に反り…跳ね……ピクピクと、少し脈を打っていました。
はぁはぁと、荒い呼吸が、喉を通して吐き出されます。
「…しほさーん…」
「んっ……れぁ…」
舌を根元から…ゆっくりと上へと這わせると、ビクッと何度か彼の腰が跳ねましたね。
その舌から伝わる、味…。
そのまま…上へ上へと、舌と顔を移動させ…。
「き…聞いちゃいねぇ…」
男根を飲み込む様に、口に含んだ。
口に広がる、男性の匂い…味……。
「くっ!?」
じゅるっ…と音がした気がしますが…まぁ吸いながら、舌を亀頭周りを舐めたせいでしょう。
唇を亀頭の突起部分に引っ掛け…小刻みに少し動き…まずは、一番初め。
その先端から溢れて来た、少量の苦味を感じる。
……感じたら…。
後は…もう…。
ただ立っているだけの彼の男根に、ただ、むしゃぶり始めてしまった。
……。
…………。
舌で、もう一度亀頭周りを舐めまわす。
そのまま一気に、喉元近くまで押し込めると…それでも、まだ口の外へと残っている部分があるのが、私の期待感を更に跳ね上げてくれた。
チュプチュプと、唇だけで音を立てながら、前後に動く。
吸って欲しいと言われれば、舌の全面を使い、顔を引きながら…
「ぢゅっ…ぶっ…ブブブ…はっ……ぢゅぶるる…」
下品なのは分かっていますが、音を出させる様に言われたので…。
「んっ! んっ! んっ! んっ!」
ぢゅぽっ! ぢゅっぽ! ぢゅぽっ! ぢゅっぽ! と…私の声と連動する様に、動かす度に音が鳴ります。
カリ…と、言っていましたね。その部分に唇が引っかかる時に、特に大きな音がします。
それを彼に、聴かせる様に、何度も何度も…。
すでに私の唾液でベチャベチャになり、糸を引き…それをまた私に啜らせる。
亀頭の先…尿道付近から、まだかと中のカウパー? でしたか…それを舌で掘じる様に書き出した。
「ヂュッ……ヂュュュュ……」
苦味が…少し濃くなった…。
しかし…。
「はー…はー…あっ…はぁ…」
「しほさん…口だけで、ここまでできますか…」
少し、休憩だと口を離すと…隆史君がそんな事を…と言いますか…。
「…こんな歳の私に、教え込んだのは貴方でしょうに…」
「いや…まぁ…でも、知らなかったでしょう?」
「ま…まぁ…ただ、動かしていただけですから…」
そう…知らなかった。
常夫さんに対しては、ここまで求められなかった。
ただ、動かす…男性への前戯。
口だけの行為…ただ、男性しか気持ちの良くない行為。
それが使用によって、ここまで変わるなんて…。
口から…舌から……何よりも、匂い。
ここまでダイレクトに感じて、頭の奥を焦がす様な熱をくれる。
会話をしながらも、男根を横から咥えながら…ゆっくりと舐める。
ぴちゃ、ぴちゃと…これも音を立てながら…。
どんな顔をしているかも、想像出来ない程、口で愛撫を繰り返す事に集中してしまっている。
舌先から感じる感触、匂い…味が…頭の中を痺れるような熱で満たし、ただ貪るだけの…。
……。
嘘だ。
先程から、一瞬…ふと冷静になる瞬間があります。
彼が前に、私に教えた事を思い出しながら…だらしなく伸ばす舌と口内で、下品な音を出し、それを忠実に実行しようとしていただけです。
熱が私を支配しようとするのですが、時に漏らす彼の言葉に瞬時にその熱を下げられる。
必死になり、行為の一つ一つを頭に浮かべ、強引に…そう、強引に、ただの女になろうとしている自分に気がつかされる。
何度も…何度も…繰り返して。
えぇ…。
…まったく集中ができていない。
また…それと同時に、口に広がる匂いが刺激し、私の奥の方の何かが、彼を…強く求めさせてくる。
混乱する…なんなのでしょう? この感覚は…。
何も考えたくない自分と、何処か何時もの私とでせめぎ合っている気がしてならない。
隆史君は、そんな私を、気にも止めないようにいつもの様子が、また…私を焦らす。
…焦らす?
「…?」
隆史君が、横のテーブルの上に置いてあった、テレビのリモコンを手に取った。
あぁ…つけたままでしたからね…。
テレビへと、そのリモコンを向けると……。
「今のテレビって、ネットにも接続できまして…」
消すとばかり思っていたのに、違う画面へと切り替えた。
『 撃てば必中 守りは固く 進む姿は乱れ無し 鉄の掟 鋼の心 それが西住流 』
ビクッ! …と、肩が跳ねた。
…私自身で気が付く程…強く…大きく。
体…いえ、魂にまで刻み、染み込んでいる家訓。
その家訓が、私の声で…はっきりと聞こえた。
「このホテルも接続してあったんで…待ってる間、動画サイト見てました」
何気ない世間話…の、様に喋る隆史君は、そのテレビ画面に顔を向けていた。
そのアナウンサーの声で、何か分かりました。
テレビに映し出されているその映像は…声は…。
『 本日は、戦車道の強豪校である、黒森峰女学園。その… 』
過去に一度受けた事のある…。
『 西住さん。本年度の試合は、非常に残念な結果に終わりましたが… 』
流れるように、流暢に話すアナウンサー。
動画サイト…と、言っていましたね。これは…録画の過去の録画映像でしょう。
横目で見れば、まだ…試合が始まる前の…苛立ちに満ちた私が映っていた。
眉間にシワが出来てしまうのでは無いかと思うほど、眉を吊り上げた私。
「昔のしほさんのインタビューですね。」
戦車道全国大会へ向けてのインタビューでした。
…何故、こんな物を…今。
『 残念? それ以前の問題です。話にすらならない― 』
頭に手を添えながら言われ、特に気にするまでもないと、先程の様に口を……。
「このインタビュー…雑誌にも取り上げられてましたよね? 俺がまだ青森にいた時でした。まぁ…あの時は、俺もソレ見て破り捨ててしまいましたけど…」
この画面の向こうの私は、忌むべき私。
気にする事は、ない…と、思うのですが…しかし…。
『 西住流は何があっても、前へ進む流派。強きこと、勝つことを尊ぶのが伝統… 』
西住流を頭に出し、自身の娘を貶める言葉を、何度も何度も…苛立ちを籠めた声を吐く私…。
みほに向けて、追い詰める様な発言を淡々と繰り返している。
それでも感情的にならぬ為に、眉間に皺を寄せない様に、顔を顰めない様に…。
その忌むべき私は、無表情を取り繕っていた。
…。
「…くっ…。しほさん」
何故、この様な動画を再生したのか…それを今更私に見せてきた隆史君が、少し苦しそうな声を上げ、私の名を呼んだ。
目に力が入っているのが分かる。目がつり上がってしまっているのでしょうが…そんな目で私は、私を呼んだ声の元へと目線を移すと…。
「激しくなりましたね」
……激し…?
「手は使わないようにと、言いませんでしたか?」
初め、何を言っているか分かりませんでした。
ただ何故か、自分の手の中が、人肌だとは思えない程の熱を感じる…。
何故か? 答えは簡単でした。
彼の肉棒を掴んでいた。
掴んでいただけではなく、自分の唾液塗れのソレを撫でる様に動かし…。
ただ、射精を急かす様に、無意識でしょうが、彼が前に言った通り…教え込まれた通りに動かし、刺激していた。
動かしながら、時に舌を突き出し、肉棒の先端…その根元をなぞる様に。
口内の内側を使い、擦りつける様に。
顔を倒し、骨をしゃぶる犬の様に、根元から舌を下から上へと…。
激しく動かす自身の手の隙間、合間を何度も。
何度も何度も何度も……更に味わう様に、むしゃぶりついていた。
ただ、一点…。
…目線だけは、その画面を向けている。
昔の自分から、目が離せない。
ほんの数ヶ月前の姿だと言うのに…。
手元からは、彼の肉棒の表面にまとわりつく唾液をグチュグチュと、混ぜるような音が響く。
激しくなったと、指摘された。…それでも私は止まらない。
見せられ…いえ、見せつけられた昔の私。
私は昔の自分を…今のこの行為で、否定したかったのでしょうか?
見たくはない。…こんな私は、今更見たくはない。
必死に…夢中になり、その姿を振り払う様に、行為に集中し……コレを突き付けてきた彼に…逃げる。
しかし、外せない。
視線は……浅ましく淫らな行為をしながらも、外せなかった。
…わからない。
わからない。
ワカラナイ…。
私は…一体…何を、どう…。
「…もういいですよ。顔を離してください」
「じゅっ…ぷぁっ……ぁ…はぁ…はぁ…」
額を少し、強く押されて、肉棒から顔を離されてしまいました。
口から離されると、代わりに、荒い呼吸が何度も肺から吐き出される。
ここまで息を切らす程に、夢中に…。
「いきなり、激しくするからですよ? …ま、どちらもですけど」
混乱した頭でも、分かる程に、目が泳いでいたのでしょう。彼が少し、苦笑し目の端を親指で、触れてきた。
彼は立ち上がり、片方の手で、激しく自身の肉棒を扱き始め…。
…昔の私の……声が聞こえる。
しかし今度は、そちらを見る事は無かった。
今は目前の彼から、目が離せない。
段々と手の動く速さが、上がっていく。
動かす度、私の唾液が粒となって頬に落ちる。
髪に彼の手が触れると、当然と秤りに私は、顎を上げ…開いた両手を、その顎の下に添える。
舌を外へと突き出し…。
大きく口を開けた。
……。
「ぁ…っ、はっ……」
少し待っていただけで、ソレはすぐに広がった。
心地よい熱さと、味。
そして…匂い。
熱が、顔中に広がる。
頬を伝い、ボタボタと手の中へと落ちる液体。
口中に広がる、苦味を帯びた味。
口を閉じれば、更に感じる。
それが喉を通る熱すらも、心地よく感じる。
そして…鼻を通して、脳を刺激する匂い。
コレが、ダメだった。
その刺激が、混乱した脳内から、別の思考を生み出す。
横からは、まだ聞こえる、昔の私からの声。
話す内容は、ひたすら娘を貶める言葉。
今、その言葉は…今の私を、貶める言葉にしか聞こえない。
西住流…西住流…。
若い頃からの柵が、こんな所で…。
こんな事で。
……何故か、開放された気がした。
そんな私を貶め……非難する「西住流家元」の…声。
…はっ。
この匂いの余韻と共に「西住流家元」の言葉を聞きながら…その西住流の衣類を脱ぎ捨てる。
…彼を受けれる為に、下から無造作に脱ぎ捨てる。
「では…しほさん」
しかし今は、声を掛けてきた彼から…次の「新しい」を…ただ期待しているだけ…。
昔の私からの言葉は、もはや違う色を帯びて、私を「刺激する」。
……。
その「西住流家元」は…画面を通して、今の私を…。
睨み続けている。
◇
効果は絶大だった。
動画サイトに、しほさんの動画を見つけた時に思った。
今の彼女が見たら、どう…思うのだろう? と。
更に。
西住流家元として、全てを受け入れていた彼女から、ただの「女」を引き出した状態ならどう変わるか? と。
そんな単純な疑問からの行為だった。
初めは、嫌がったり、怒るかも…とも思った。
実際は…真逆。
…彼女の中の「女」が、一層浮き彫りになり、激しく求める様になってしまった。
焦らした…というのもあったのだろうが、ここまで淫らになるとは思わなかった。
ただ、激しくなるだけが淫ら…とは、言えない。妖艶…ともまた表現が違う。
動物地味た雌……の、様な状態。…とも違うだろう。
上手く言い表す事ができない。
あ、先にまず。
いきなり全裸になろうと、いい大人がする脱ぎ方じゃない方法で、衣服を剥ぎ取ろうとされたので、全力で阻止。
下は問答無用で、一気に脱がれてしまったのは……まぁ仕方がない。
全裸になってしまいそうなのを、取り敢えず止めれただけでも良しとしよう。
いつもの黒いジャケットのボタンを、腹前だけ止めていた。
その中。…ワイシャツの前をはだけさせ、胸だけを大きく露出。
ソファー前の、少し足の短いテーブルの上に手を置いた彼女は、そんな格好だった。
脱がしません。最後まで。
……。
しかし…愛撫も何も、ないな。
手をついてください。と、言っただけなのだけども…それだけで、言われる通りに手を付き、脚を開き…こちらにお尻を突き出している。
脚は閉じたままだけども、すぐに入れろと言っている様にしか思えない。
その目の前に広がる、彼女の秘部は…濡れていた…どころの話じゃない。
焦らされ、随分と我慢していたというのも、勿論あるのだろうが…既に潮でも吹いた後じゃないのか? と、思える程の量の体液で、その入口を濡らしていた。
それは、内腿の上を、下へ下へと流れていく雫が、どれ程の量かを想像させられる。
パクパクと、開閉を小さく繰り返している膣口は、俺を待ち詫びている様にしか見えない。
尻肉…足の付け根を、手を大きく開き揉むように掴む。
「……んっ」
そのまま親指を膣口の端に添え、手を握る様に動かし、その入口を少し開ける。
グチュっとした、音と感触。
糸を弾きながら、パックリと割れたその入口を見て…これはやはり前戯はいらないな。…と、確信。
いや、逆に余計な事はしないほうが良いだろう。
「…ふっ……ぁ」
すぐにもう片方の手を、同じように反対側に添えると、両手の親指で左右にその穴を大きく開かせる。
またニチャ…とした音。
小さな喘ぎ声を出した彼女の声が聞こえた。
期待を帯びた、熱の篭った声。
膝を少し曲げ、テーブルに両手を付いている腕に、体重が掛けたのが分かる。
そして連動して、意識して……尻を上げた。
「はぁ……ぁああっっ!!!」
…瞬間。
今度は焦らすこともなく、腰を上げ、その穴に陰茎を突き入れた。
腕を伸ばし、背筋を海老反りにし、顔を真上に上げる。
黒く細い髪の一本一本が、綺麗にその反動で跳ね上がる。
「かっ……ぁ…」
奥まで…一番奥まで。腰で殴るように彼女に突き刺した陰茎。その先端から、触れ殴ったしほさんの子宮の感触を、はっきりと感じる。
一度射精したとは思えない程…いや、余計に熱く膨張していたと思われるソレから感じる。
陰茎を纏う、溶けるような熱。
写真撮影の為、また鍛えていたというのもあるのだろう。
その引き締まった体と比例し、一番奥まで捩じ込んだ陰茎を、膣内全体を使って痛い程に引き締める。
そう思った直後、ガクンッ! …と、しほさんの上半身が崩れ落ちた。
腕が折れ曲がり、テーブルに俯せになる様に倒れ込んでしまった。
折れ曲がった膝が笑い、脚全体も震えていた。
「…ぁ……はっ…はっ…はっ」
肩で呼吸をしている彼女。
ビクン、ビクンと痙攣を繰り返しながら、体全体を震わせている。
「…また…入れただけで、イっちゃったんですね?」
彼女は体を震わせるだけで、答えない。
体全体に快楽の波紋が広がっているのだろう。
「……」
…など…確認する様に聞いてみたが…正直に言えば、強がり…というか、虚勢だ。
最初に勢いよく入れただけで果ててしまった、しほさんを、また少し虐める様な発言だが…余裕が無いのはこちらも同じ。
今までにない感触…入れただけで、俺も果てそうになっていた。
痙攣した体…膣内にまで、その振動が伝わる。
ビクン、ビクンと畝ねる膣内。陰茎を隙間なく絡め取る様に、密着し…その振動が小さく激しく…全体を刺激する。
…この状況も相まり…コレだけで限界が近いと感じた。
いや、俺もまたこの関係…状況に酔っている。
だってそうだろう?
あの家元。西住流家元…「西住 しほ」が…俺の精液を顔に付けたまま、尻を突き出し、無言だが懇願してきた。
そして、今はあろう事か…体を崩れさせながらも、顔を上げ…流れ続けている、昔の自分の姿を見上げている。
はっきりと顔をテレビ画面へと向けて。
小さく聞こえる、呼吸に混じった声。
後ろ姿しか見えないので、分からない…だから余計に気になる。
彼女は、今。どんな顔をして、あの頃の自分を見上げているのだろう。
……。
滾る。
冗談で言う訳でも何でもなく、ただ滾る。
ゾクゾクとした感覚を引き連れて、興奮が体中を巡るのが分かる。
…滾る。
後背から突き刺し、崩れさせた彼女を見下ろしてる自分にも。
「は…ぁ。はぁ……はぁ…」
しばらく見つめていると、落ち着いてきたのか…肘を付き、また体を起こしている彼女に気がついた。
興奮の余り、ボーとその光景を眺めてしまった。
…その腕の先。
更に先。
手。
テーブルに対して、大きく開いている左手が見える。
その薬指……に、光る物が目を刺す。
体を少し捻り、テレビ画面に向けていたであろう視線を、俺の方へと向けた彼女に気が付いた。
目に光はなく、ただ次を要求するかの様な顔をして…。。
そして、その顔を見て、目に刺した光と共に、また一つ、思い出した。
戦車道界隈が、最近…特に大洗優勝を起爆剤として、大変な盛況ぶりだった。
某ネットの掲示板。
彼女の事が題になっている掲示板。
賛否両論から、誹謗中傷。
彼女の事が題になっている掲示板。
真っ黒な場所があった。
彼女の容姿、スタイル…そして表向きの…動画で見せている性格。
一部では熱狂的なファンが多い。
…あぁ、糞みたいな連中からの妄想、願望で満ち溢れている場所。
黒い欲望。
彼女の様な性格な場合、男連中からすれば、一言で言えば、屈服させたいという希望や願望で満ち溢れていた。
あの体と、一度ヤってみたい。
首輪を着けてたい。
ぶっ壊れるまで…とか、自分で股を開かせたい…とか……。
若い男に弱そう。男日照りで、欲求不満が凄まじそう。
あぁいう女に限って…などなど。
…まぁ妄想は自由だ。
匿名掲示板だし、その連中もある意味で、軽い気持ちで書き込んでいるのだろう。
肉便器にしてりたい…快楽に酔わせたいとかもな。
…はっ。
何も分かっていない。
あぁ、そうそう。最中に指輪を自分から外させたい…と言うのもあったな。
鼻で笑ったがな。
本当にこいつらは、何も分かってはいないなと。
「…?」
今も俺の顔を見る彼女は、俺の視線に気がついたのか、一瞬その指輪にも視線を投げた。
「……」
俺は彼女を壊したのだろう。……が。最後の砦は壊させない。
その指輪は、彼女の置かれている立場を認識させる鎖の様な物。
それを外させてしまえば、しほさんは本当に、ただ快楽を貪るだけになるかもしれない。
…掲示板の多くの男達は、総じて言ってしまえば、その状態にする事に、妄想と願望を持っていた。
違うだろう。
一定のギリギリで、彼女の正気を壊さない。
嫌でも目に入ってしまう、その鎖。
自分の立場、状況…そして俺という存在。
娘の男との関係。
…不倫。
いくつもの背徳感が、しほさんを芯から興奮させているのだろう。
そうだ。快楽に溺れ、ただ男に強請るだけでは、この興奮は味わえない。
何事も減り張りは、大切だ。
家元としてのしほさん。
女のとしてのしほさん。
ギリギリを保ち続けていれば…「堕ちていく感覚」を、何度でも味わっていられる。
それは、ただ媚びるだけでは無理だ。
それは、ただ開き直り、狂うだけでも無理だ。
多分…彼女はソレを理解している。
いや、気がついたのかもしれない。
だから…彼女は今、その動画…昔の自分と、今の自分を見比べている。
そしてまた、指輪を外さない。
いや…外させない。
「…んふっ!? んっ!!」
腰を引くと、膣内で締め上げる為の肉が、ゾリゾリと陰茎を刺激する。
ブルッと一瞬の震えと共に湧き上がるこの感覚。
「あっ!! はっ!! あっ!! あっあっあぁっ!!」
ゆっくりと…ではない。
もはや、彼女の反応全てが快楽を生む。
動く体と合わせ、出すその声。
打ち付ける度に、形を変える尻肉。
確信した。
今回の動画を見せたお陰で、彼女は変わる。
外だろうが、隠れてだろうが、何をしても、どんな行為をしたとしても。
これからは、まず西住流家元としての自分と、淫らな行為をしている女としての自分…ソレと嫌でも、比べてしまう事になるだろう。
…俺が、何を言っても…そして何をしても喜んで彼女は受け入れる。
自分の女。
過去に彼女に言った、言葉。
その言葉を吐いた時は、まだごっこ遊びの段階だったのだろう。
場にただ酔っていただけの話。
だが実質的に…俺に向かって尻を振る彼女を見て…思い通りになると確信した彼女を見て。
…その言葉通りになったと今、実感した。
……。
ただ…。
…「女」のとしての「西住 しほ」を…俺は、甘く見ていた。
◇
凄い。
「っ!! あっ!! そこっ!! そこがぁ!!」
……取り繕った言葉が出ない。
ただ、自然と吐き出される言葉。
彼の動きは、私を強制的に果てさせる。
…もう、馬鹿になるのでは無いかと思える程の快感。
そして今は、ただベットの上で…寝そべった彼の上で…腰を振る女。
はしたない……下卑たるただの…雌。
…故に思う。
彼とのSEXは、まるで麻薬だ。
勿論、その様な物を使用した事は無いのですが、他に例えようがありません。
彼の陰茎のサイズ…というのもあるのですが、動かす度に、私の弱い所を強引に刺激されて、何をどうされても、短時間で絶頂を強制的に迎えさせられる。
私の中を全て満たし、引きずり出し……開放してくれる。
気持ちいい…気持ちいい……キモチイイ……。
ただ…隆史君の言葉は、口調は……何時もと変わらない。
昔からの口調…喋り方。
それが私を私でいさせてくれる。
…本気で狂わせない。
「どう…でした?」
「な…にがァ!!??」
しかし、彼は質問をする割に、答えるのを邪魔をする。
今もまた、一番奥…その足の指先まで痺れる様な快楽をくれながらも、邪魔をした。
グリっ…と、下から私の奥へと、ねじ込む。
「…はっ!? あっ! ……はぁ……そ…そういう…」
彼は言わせたいのでしょうか? 仕事中の私の事を。
あんな格好で送り出しておいて…。
「め…目線が気になりました」
「まぁ、ずっと……見てたでしょうね?」
「ふっ! ふっ…!」
「俺のメールで、何か…思い出してくれました?」
……隆史君は、行為の最中は…何故、意地の悪い事言う…。
それは最初に関係を持ったホテルでも同じでしたね。
……。
「た…隆史君は…」
「はい?」
「私! …をぁ…他の男性に、抱かせっ! …たいっ!! …のですかぁ?」
……。
それに類似する言葉…。
先日の廊下での事……。
私の頭がおかしくなっている時に限って、その様な事をたまに言う…。
「いえ? まったく」
「んっ………即答で…す、ね……ぁっ」
「当たり前でしょう? あくまでプレイの一環ですよ」
「ぷっ……れぃぃぃ!!」
私の胸を掴み、その先端を指で撫で回しながら答えた。
騎乗位…とでも言いましたか?
「…ただ、そういう妄想をして…それに興奮する貴女が、見たいだけです」
……。
すでに、したかの様に言いますね…。
一度、彼の中の何かが切り替われば、それ以降に、その凄まじさを見せるのですが、今日はその比では、ありませんでした。
テレビの前…テレビが置かれた台に手をつかせ、昔の私の目の前で醜態を晒させる。
後ろから何度も突かれ、突かれる度に、昔の私と目が近づく。
両足に手を入れられ、体ごとを持ち上げらたまま、腰を打ち付けられる。
抵抗する気は無かったのですが、この拘束にも似た格好は、少し恥ずかしい…。
打ち付け、その反動で少し体が動く。
振り子の原理で、私の一番奥が圧迫され…この体位だけで、何度、声を上げ…何度、果てたか分かりません。
エアコンが効いた室内とは言え、お互いに汗に塗れた体をぶつかり合わせると、また…汗が飛ぶ。
ヌルッ…とした感触が、お互いの肌と肌で、何度も舐め回すように感じます。
その肌を合わせるだけで、気持ちがいい。
腕を絡め、脚を絡め…舌を絡ませる。
汗と体液と唾液。
混じり合い混ざり合う行為も、感触も…何もかもが、キモチイイ。
彼がソファーに座れば、私自ら脚を上げ…彼に跨った。
秘部を、指で広げ…ゆっくりと彼を飲み込ませる。
私がこじ開けらて、彼が入ってくる感触もまた、頭の中を真っ白にさせる程の快楽を何度も襲ってくる。
体を預け、胸が彼の胸で潰れると、動く度に形を変化させ、隆史君の体が反応させる……のが、少し楽しいですね。
常夫さ…夫にすらした事がない……真似。
隆史君の首に手を回し、私自らが、何度も上下し腰を下へと打ち付けると、押し寄せる快楽が、私を更に変えていく。
ぐちゃぐちゃと、出入りする音が何度も響く…。
膣奥から出てくる、彼の精子が私の体液と混ざり合う音…。
いつかのホテルの様に…室内のベランダへと続く、窓に体を押し付けられ…また後ろから突き上げられる。
一瞬、体が浮くような感覚が、何度も襲ってくる。
窓を開け、外に連れ出され…ベランダの手すりを掴ませ………まぁ、外からは見えませんし…声を殺せば…まぁ。
と、思いましたが、できませんでしたが。
……。
「…っ!?」
変に余韻に浸っていると、突然視界が天井を映した。
体を起こされ、今度は私が寝かされてしまったようです。
両脚を掴み…腰を曲げられて…………あ。
自分の脚が逆さまに顔の真横に来ると、秘部が真上を向かされました…。
今日の彼は、予備動作が少ない。
予備動作…というのも少々語弊があるかもしれませんが…ただ、この恥ずかしい格好をさせられた時…すぐに分かった。
もの凄いのが…来る。
すでに腰が砕けそうになっているというのに…胸の鼓動が速まるのが分かる…。
口が自然と開き…死にそうな程に恥ずかしい格好だというのに、その部分を見てしまう。
顔が…綻ぶ…。
私に入ろうと…下へとその入口向けられる、子供の腕程の………。
何度も私を狂わせたモノ。
これからも、私を狂わせてくれるモノ…。
呼吸が荒くなる。
……。
アレがまた…今から……これから……。
…………。
これ……から?
そう…です。
それが…「これから」が、どういう事か…と、冷たい思考が生まれた。
今はコレに縋っていたいというのに、何も考えたくないと…い―――
「 ―― 」
ズドン…と、でも言うのでしょうか?
お腹の中に熱が広がった…。
体を落とし…肉棒の全体を使い。
私を押しつぶす。
……もうイイデス。
後で、考えましょう。
ただ今は……。
◆
大きく呼吸を繰り返し、脱ぎ捨てたズボンから、携帯を取り出した。
ベットに腰掛け、取り出した携帯を確認すると…時間は、17時を指していた……。
……。
うっわ…3時間程、無休でやりっぱなしだった…。
体も流石に限界…。
しかし、まだヤリ足りないとでも言うのか、アレが立ちっぱなしだ。
……。
やりすぎた……。
…と、何時もならば思うかもしれない。
しかし、今回は違った…。
足りない。
もう少し、もう少し…と、変わりゆくしほさんを文字通り、堪能していた。
打てば響くその声。
彼女を犯し続ける。
彼女の反応を…求め続けてしまった。
我ながら、なんだこの性欲は。
みほならば、こうはいかない。
途中で、違う意味で壊れてしまう。
いや…壊してしまう。
しかし、しほさんは違う。
本気で…全てを吐き出せる。
「……」
後ろを振り向くと、彼女が寝ている。
…そう、物理的に寝ているだけ。
ベットに上にだらしなく手足を放り出し、横になっている彼女は、まだ小刻み痙攣を繰り返している。
膣穴も大きく開いたまま。
…そこから、大量の精子を吐き出し、胸……腹、顔……髪。
全てが…しほさんの全てが、俺の排泄した白濁の液体に汚れている。
虫の息…とは、この事だろう。
「……」
流石に息が切れる…。
余韻に浸るのは良いけど…って…。
ヴゥ~! ヴゥ~!
…と。
突然、視線を外していた手の中の携帯が震えた。
着信を知らせる、バイブ音。
……。
…………。
そう…ここで、先にもの述べた、彼女…。
女としての「西住 しほ」を…見る。
「はぁ…はぁ……は…い…」
『 え…? 』
宙に浮いた、携帯電話。
スピーカーにしたのか…その携帯からは、聴き慣れた声が聞こてきた。
…いや。
正確に、細かく言えば…俺以外に発せられた、返事の声。
「んっ…はぁ…。…どう…しました?」
『 …… 』
「 み ほ 」
『 …どうして、隆史君の携帯に、お母さんが出るの? 』
慌てる暇もない…。
伸びていたはずのしほさんが…後ろから俺の携帯電話を…奪っていた。
「ふぅ…落ち着いてきました…」
『 …… 』
変な汗が出る…体中の血液が抜けていく様な…そんな…。
「どうして? …今朝、言ったではありませんか。隆史君を少し「お借りする」……と」
『 …質問の答えになってない 』
俺自身、最低な事をしているのは分かっている、分かっていはいるが…それでも。
しほさんもそれは、知って…いや、同じ?
……。
まさかの行動に…上手く頭が回らない…。
何よりも、彼女が…
「そう? 簡単よ。マッサージに忙しい、彼の代わりに私が出ただけです」
『 …… 』
笑っている。
前髪に目元が隠れ…夏とは言え、少し日が傾き、薄暗くなってきた室内。
ベットに備え付けられている、薄橙色のライトの光が…影のコントラストを強く引立てしまっている為に、余計にその目元が暗く、わからない。
分かるのは、その薄ら笑いとも言える、曲がった口元だけ…。
『 …マッサージ? それ、午前中だって言ってたよね? 』
「あら、そうでしたか?」
淡々と、少し楽しそうに娘と話している、しほさんの口調は…とてもじゃないが、母親とは程遠い…。
いや、口調だけじゃない。
話しながらも、俺にしな垂れ掛かり、股間を弄り始めた…。
あ……あぁ。正直、楽観的に元気でいられる程に、俺の息子は鈍感ではなかった。
『 …お母さん。隆史君に代わっ「 嫌 で す 」
『 っ!? 』
なっ!?
『 …… 』
「…………」
無言……。
無言の時間が…。いや、空気が凍ったというか、張り詰めたというか…。
しほさんの思惑が……全くわかない。
嫌と発言した後、ひたすら無言だが、体は違った。
やたらと俺の胸を摩ったりだとか…頭を型に預けてきたりだとか……。
何より、この会話を聞かせて俺の反応を見ている。
「……はぁ。邪魔が入りましたし、本日はこれでお終いですね、隆史君」
「っっっ!?」
『 じゃ…邪魔……ぁ… 』
忘れていた…。
いや、どこかで、高を括っていただけだ。
俺という立場…それと、しほさんの性格からして、ソコの部分を削ぎ落とすとは、露にも思わなかった…。
いくら「女の部分」を引き出したとして、ソコだけは…。
母親という、部分を。
そして、肝心な部分を忘れていた。
しほさんの、みほに対する口調…声の温度から、ソレを嫌にでも思い出させた。
昔…。
嫌というほど目の当たりにした、黒い部分。
……女の敵は…女。
しほさん…まさか…
「…ま。いいでしょう。今日の所は、素直に隆史君は帰しましょう」
『 …… 』
何故か…漢字として目視できるような言い方…。
意味が分からないが、しっくりとくる…。
そして、携帯のスピーカーを通して聞こえてくる、少しくぐもったみほの声。
いや…何か一瞬、軋む音が聞こえた気がした…。
というか、みほの口調からも、戸惑いが一切、感じられない。
結構…ギリギリの事を…あ。
「ま、もういいでしょう。以上です」
『 ……な―ブッ!
みほの返事を待つまでもない。
行動でソレを示し、躊躇なく携帯の通話を切った…。
そして、そのまま…口の端が、少し釣り上がった表情で、通話が切れたその携帯を見下ろしている…。
「…引かない。前にのみ進む…。それが西住流…」
…携帯で口元を隠し、流し目でこちらに視線を送ってきた…。
「フッ…」
そして、楽しそうに…本当に、楽しそうに…。
「フフッ……ゥフフフ………」
裸のまま…憑き物が落ちたような笑顔で、全てをひっくるめた質問。
顔を上げ…首を傾げ……。
俺に全てを託すかのように…言った。
「さっ…どうしますか? 隆史君?」
閲覧ありがとうございました
「カスパーが裏切った…!? 母さんは、娘より自分の男を選ぶのね…」
…的な?
色んな意味で、今回の話は濃いと思ってくれたら幸いです。
新たなフラグが、立ちました。
人妻編のタラシ殿…クズやね。そうしないと話が進みませんけどね…。
さぁ、挿絵のリク消化しないと。
描くよ~…どの話かわかりませんが。
話のリクは、今回の話の様な特殊材料になる可能性がありますので、逆に助かります。
まぁ…うん。
閲覧ありがとうございました
ありがとうございました。