※この作品はR-18です。

転生者は平穏を望む ~ルートPINK~   作:白山葵

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※ルート 壊 【人妻編】※ マッサージ…回の続きと相成ります。

前回のノンナさんとは、180°話の感じを変えてみまし。

…ぶっちゃけ、イチャイチャよりかは、こちらの方が、書きやすいぃ。
後、少し…実験というか、書き方を変えてみました。
一人称視点を一部変えて、よくある第三者面線ので。



◇ ルート ・人妻編⑤ ◇ ~西住 しほ~

 文部省からの要請。

 ホテルの一室を借り、ただの確認の為だけの会議。

 

 携帯のバイブ音で、我に返る…といいますか、現実に引き戻されました。

 誰でしょうか…んな時に。

 まぁ、流石に今、こんな会議でも、その最中に取り出して確認する訳にはいかないので、後にしましょう。

 

 さて…。

 

 計画されている、戦車道プロリーグの発足。

 …その設置委員会の代表を、私に任せたいとの事だった。

 細かな決まり事から、過去に聞いていた案件。

 ただ「はい」と、繰り返し繰り返し、頷くだけのあまり意味の感じられない会議。

 こんな意味のない会議を、貴重な時間を裂き、何度も繰り返す事にはウンザリしていた。

 

 顔合わせの意味もあるのだろうが、その顔を合わせているのが、若い役員が数名…議長をしている、初老の男性…。

 膨大な人数で発足されているこの委員会。…そんな二度と顔を合わせないかもしれないという数名との会議。

 …色々な柵があるので、一概に突っぱねる訳にもいかない。それは彼らもまた、同じなのだろう。

「この件」について、話し合いをしたという事実が必要なのだろう。

 

「では、最後に…西住さん。このまま予定通り、設置委員会の委員長をお願いしたいと思います」

 

 その短い会議の議長から、締めの挨拶が行われ様としていた。

 私が、ほぼ頷くだけの会議。途中の説明も、存じてます…の一言で、何度か飛ばさせた。

 早々に、こんな会議を終わらせたかった為…というのが一番。

 …まぁ良い。そういった訳で、漸くこの場所から開放される。こ

 

「はい。では皆様、宜しくお願いします」

 

 席から立ち上がり、軽く会釈をする。

 

「……」

 

 はぁ…。

 無意識にため息が出てしまいそうになる。

 

 男性の視線…というのは、非常に分かりやすい。

 特に私の場合、昔から…それこそ、まほやみほの年齢位から、嫌と言う程感じていた。

 

 今も変わらずの女の園…黒森峰女学園。

 

 私は西住流次期家元…後継者として、否が応にも注目され、学校以外にも私は有名になっていく。

 メディアにも取り上げられ、世間に目に晒される。

 お陰で、特に地元…その街を歩けば、声を掛けられる事も少なくはなかった。

 …声を掛けられなくとも、視線は向けられる。

 

 そこで気が付く。

 

 まず最初に、見られるのは、顔…もしくは胸。

 特に移動などしている時は、胸から見られる。

 

 …男性達は、バレていないとでも、思っているのだろうか?

 私も学校や寮、家に引きこもっている訳にもいかないので、仕方はないと諦めてはいたが、その視線を何度も受けた。

 しかし、仕方がないとはいえ、不快な物は不快だった。

 

 特に大人…。

 

 同年代の男性の目線は、まだ我慢できた。

 …が、大人の男性は、虫唾が走る。

 戦車道に関わる、成人した男性…特に今現在、私が相手をしているような輩は、一般男性に比べれると、その目線がおぞましかった。

 舐める様な、まとわりつく様な視線とは、良く言ったモノだ。

 何度、それを経験したか…。

 俗に言う、いやらしい視線…と、ハッキリと断言出来る程に、高校生に対して向ける目ではない者が、多い事、多い事。

 女性競技だというのに、そんな男共が上にいる社会。セクハラを受けたという者が後を絶たないのは、言うまでもない。

 

 如何わしい噂の存在も、完全に否定できなかった。

 セクハラ…。それ以上の…体を使った接待など噂も、遺憾ながら聞き覚えがある…あるからこそ。

 噂は噂だが、これから娘達が進む…一般社会の戦車道の世界。

 そういった事態が、間違っても起こらない様に、千代さんと共に奮闘していた。

 

 そういった疑いも持たれる人物は、大抵がその嫌らしい視線とやらを向けてくる輩が多かった。

 …既婚者で、子供まで産んでいるというのに、その私に対しても、その視線を何度も向けてくる。

 いや? 寧ろ、若い頃より今の方が一段と酷い。

 常夫さん……夫が、単身赴任だと言う事を知っている者からの、遠まわしな誘いの様なモノも何度か受けた。

 まほと同じく「鉄の女」など、揶揄される様な事もあった私に対して、些か疑問なのだけども…。

 まぁ…全て突っぱね、指をヘシ折……いや、不幸な事故? に、発展してしまう事も少なくはない。

 

 そんな学生時代の時の事までも、思い出してしまう程に、その嫌な視線を正に今…感じていた。

 

「では、本日の会議はこれで終了と言う事で…お疲れ様でした」

「家元も、貴重なお時間、ありがとうございました」

 

「いえ…」

 

 ……。

 

 くっ。

 

 胸が重い…。

 ただの会釈をしただけだと言うのに、重心が少し、前に持っていかれる。

 私の挨拶を切っ掛けに、各々立ち上がり、私に向けて声を掛けてくる。

 曖昧な返事を返し、適当に合わせてる。

 

 …そう、その視線。

 

 大人の方が、作り笑いを浮かべ真正面から見てくる。

 歪んだ目元の奥から見える、その視線が非常にうっとおしい。

 会議中…上座に座らされた私を見る目が、ほぼ一点に集中されていたのが、今でも思い出される。

 

 ……。

 

 ダメですね。

 

 先程受けた、マッサージのせいでしょうか? 無駄に体中の血行が良くなったと実感してしまっています。

 大分良くなりましたが、変なアロマの匂いで、頭も少しハッキリとしませんでしたし…。

 後は…えぇ、隆史君の底意地の悪さを見せつけられて…。

 体が変に熱くて仕方ないですね…。

 

 その隆史君に言われ…正直、頭に少し血が上っていた状態…と言うのもあり…素直に従ってしまいましたが…。

 下着も着けないで、この様な場所に赴いてしまいました。

 …腕を組んだり、資料で隠したり…できるだけその状態を隠す様に、不自然にならない様に注意を払い隠していたのですがね。

 素肌と布地と擦れる感覚や何やらで、落ち着かない…。

 

 …しかも第三ボタンまで開ける様に言われて、またそれにも素直に従う私は、年甲斐もなく馬鹿なのではないでしょうか…?

 隆史君には内緒ですが、流石に社会人として、こんな年で、どうなのかと思い…途中で一つ、閉めてしまいましたが…。

 

 …。

 

 しかし、その閉めている最中の時が、一番視線を集めてしまったと感じたのは何故でしょう?

 特に、一番若いと思われる男性役員…。

 一回り程、年齢が違うと思うのですが…特に熱心に。

 

 ……。

 ここ最近の…その…隆史君との事で、気が付く様になってしまいました。

 男性の…その視線に種類がある事を。

 思い起こせば、何度か感じた事があるその種類の視線。

 隆史君が私に向けてくれる、ソレと少し似ていた。

 

 通常、女性の肌や凹凸を見てくる視線は、異性に対して…といのは勿論ありますが、主に興味の色が強いと感じます。

 不快と言えば不快。

 ですが…まぁ、若い子は異性に対しての興味が強いでしょうから? 仕方ないとは思いますが…。

 それでも、一瞬。

 

 しかし、この若い役員から見て取れるのは、ジッ…と見てくる者に多く感じる…完全に女として見てくる視線…と、言えば良いのでしょうか?

 …隆史君と同じ…。

 

 っと…いけない。

 忘れる所でした…先ほどの携帯の着信。

 今日は、変に考え混んてしまいますね。

 

 バッグを開き、携帯を取り出し画面を確認…ふむ。

 メールですね。

 

 隆史君からのメールです。

 あの子が、メールなんて珍しい…電話を掛けてくる事が大半ですのに。

 しかし…なんでしょう? 今、仕事中だと知っている筈なのですが…あぁ、ですからのメールですね。

 

 画面を操作し、そのメールを開く。

 その間の動作にも、チラチラと視線を感じますが、それはもう頬っておきましょう。

 その内に飽きるでしょうし。

 

 ん…?

 

 件名が…「会議が終わった直後に見てください」…ですか?

 会議中に、私がメールを確認するとでも思ったのでしょうか? まぁ…いいですが。

 では、その会議が、終わっているので開いてみますか。

 

 ……。

 

『 戦車道チョコカード会議。大洗ホテルの夜。カードキー。その部屋前 』

 

 ……。

 

 ん? 暗号でしょうか?

 

 そんな単語とも言える文字が、メールの内容でした。

 …あの如何わしいカードの会議…の日? と言う事でしょうか?

 その夜で…。カードキー…。

 あぁ…私が、情けなく酔ってしまった…それで…。

 

 

 その部屋前。

 

 

 ……。

 

 

 ゾクッ…と、背筋に何かが走った。

 

 私が何を思い出すか…いえ、これは違う。

 これは、あの時の…隆史君に言われたからではなく…私自らが、行動した事。

 場に流され、お酒も入っていたのもありますが、完全に私が選択し、そして…行動した事。

 その、アノ光景を思い出させるメール…。

 

 これを言われたのは、あの宿から2回目だった。

 すぐ様にその光景のフラッシュバックが、脳内を掛け走る。

 変に熱い体が、その記憶に反応してしまった…。

 これを人前で、私は何をした…と、また…。

 

 一度考え出してしまったら、そのまま連動し…一気にその時の状況を思い出す。

 ホテルの廊下で、人目に付くという状況下での行為…。

 夢中になって、隆史君の…アレを口でしゃぶり…味わい…。

 

 無意識に、喉が鳴る。

 

 舌を這わせ、滑らし…音を出す。

 途中…彼は、通行人と会話を始めた。

 …内容は良く思い出せないが、彼は体で私を隠してくれていた…のだけど、まだ行為を続けるように私に…。

 いや…正直、その指示が、私の枷をほんの少し外した。私自身、やめたくはなかったのでしょうね…。

 味わい、舐め、啜り……例え、このまま見られたとしても、気にする事などないだろうと…。

 

 案の定……見られた。見られてしまった。

 

 だらしなく、男性のソレにむしゃぶりつく、浅ましく男を求める女の顔を。

 見られていても、構わなかった…もう、思考がその頃には麻痺していたのだろうと思う。

 無意識に組んでいた腕に力が入る。

 グッ…と、少し反動で胸が軽くなった気がした。

 

「……は……ぁぁ…」

 

 無意識に、小さくため息がでる。

 情けなくい自分に対して…完全に自分を律する事が出来ていなかった…。

 その時に見ず知らずの男性と…一瞬だけ目があったのを覚えている。

 廊下の照明がバックライトとなり、顔は影で黒くなってしまっていたから、その顔は見えなかったが、目だけ…その私を見る目が、強く私の記憶に残ってしまった。

 

 …ゾクゾクと、背筋を這う様な感覚。

 反射的に背筋を伸ばしてしまった…。

 

「あの…家元? 西住さん?」

「っ! っと…何でしょう?」

 

 いけない…いきなり思考が、変な方向へと引っ張られてしまいました。

 我に返り、周りを見渡すと、皆が立ち上がり、部屋を出る準備をしていた。…が、揃って私を見ていた。

 

「…いえ。そろそろ…」

「あぁ…申し訳ありません」

 

 部屋を出ようと…そういう事ですか。

 そうですね、私だけ携帯を見て固まってしまっていましたからね…迷惑でしょう。

 …何故か、呼びかけに応え、顔を上げると、彼らは少し目を逸らしてしまいましたが…。

 しかし…その逸らした目を見て、気がついた。

 

 メールの最後の文。

 その文を見たから気がついた。

 気付かされてしまった。

 

『 同じじゃないですか? 』

 

 …と。

 なんの事を指しているかの言葉か、定かではありませんが、「同じ」という言葉で、何が当て嵌るか一瞬考えてしまった。

 そして気がついた、その「同じ」。

 思い出させて、検索させて…私自身に気づかせた…。

 あの時の見知らぬ男性と「同じ目」に似た視線で、私を見ていた事を。

 その…幾度も幾度も向けられた視線が…それが、どういう視線だったかという事に。

 

「……っ!」

 

 また…言い様のない感覚が、そこから湧き上がる。

 そこでまた、気がついた事が一つ…。

 全員が立ち上がっていたのもあり、その為ごまかすのが難しかったのでしょうか?

 一番若い男性の股間が、ズボンの上からでも分かる位に、少し…。

 

「では、私はこれで失礼ます」

「あ、はい。お疲れ様でした…」

 

 誤魔化すように、早々に挨拶を済ませる。

 携帯をバッグへと戻すと、足早に出入り口へと脚を動かす。

 

 ……。

 

 まずい…。

 

 一度、意識してしまったら、一気に脳内に記憶がなだれ込む。

 

 あの時の夜を、その後も、その次の機会も。

 連想が、止まらない。

 先程から変に熱い体が、無性にむず痒くなってきている。

 

 段々と、思考が麻痺してくるのを感じる。

 もう余計な事を考える余裕が、なくなってきている。

 …目の間の不快な視線なんて、もうどうでも良くなり…先ほどのメールからくる正体不明な感覚がまた襲う。

 ゾクゾクとした感覚が、背筋から肩まで遅い、ブルッとその肩を震わせてしまった。

 今までの経緯と経験が、隆史君を…記憶と共に、体も思い出してしまった。

 

 …もう、本当に目の前の事はどうでもいい。

 

 もはや、一応の挨拶は済ませてある。

 義務は済ませたので、もはやここに用はない。

 …その部屋から飛び出す様に、足早に部屋を後にした。

 

 

 

 

 

 〓〓〓

 

 

 

 

 

「な…なんだったんでしょう?」

 

 西住流家元が去った、男だけの会議室。

 呆然と一人の男性が、声を漏らす。

 なんだった? というその言葉に、誰もが同じ事を連想した。

 

 最後のため息。

 

 メールを見て漏らした、そのため息は、その場に相応しくない色だった。

 …聞く者、いや? 男性なら誰しもが息を呑むであろう、甘く、官能的な…吐息。

 普段の彼女を知る者…それも違う。普段の彼女を一度でも見た事がある者ならば、誰もが予想すら出来ない程の声。

 表情…その目。

 完全に予想外の打撃を受けた男性達が、呆然と立ち尽くし、彼女が出て行ったドアを揃って、ただ見つめている。

 それは、仕事一徹。生真面目で温和な性格をした、初老の役員ですらも感じていた。

 その場を誤魔化すように、白髪に染まった髪を、手で後ろへと流すように一撫でしながら、乾いた笑いを出すしかなかった。

 

 今日の家元様は、初めから様子がおかしかった。

 それもまた、誰しも一斉に思い出した。

 妙に薄着で、普段なら考えられないほどに、その何時もの制服とも言えるような服装を着崩して登場した。

 確かに今回は、そこまで厳格になる程、重要な会議ではないが、それでも…だ。

 娘…「鉄の女」と揶揄される「西住 まほ」以上に、融通が効かず、もう一段階上の「鋼鉄の女」と揶揄される家元。

 その彼女からは想像すら出来ない程の格好…直線で真っ直ぐ「 I 」の字を体で描いている胸を前面に出した、開かれた服。

 ちょっと、そんなの姿も見てみたい…と、男性達からすれば、寧ろ妄想の域であろうその姿。

 挙句…。

 

《 …… 》

 

 誰しも場に飲まれ、下卑た会話すら出来ない程の空気。

 しかし全員が、気がついていた。この場では、口には出さなかったが気がつくだろう。

 あれ…下着着けてないんじゃ…と。

 

 今回の会議…誰もが聞いていなかった。というか、頭に入ってこない。

 ただ一点の動きを、どうバレずに見る事しか考えていなかった。

 生真面目な初老の役員は、それでも気を使い、極力見ない様にはしていた…が、彼も男性。

 いくら見ない様にしていたとしても、視界に入れば、嫌でも意識してしまう。

 彼は、紳士だった。

 それに気が付けば、今度は視界に入らない様に、目に力を入れて完全に視界から家元を追い出し、なんとか場を凌いでいた。

 本来ならば、遠まわしに指摘し、上着を着て貰うなどすれば良いのだが…世知辛い世の中だ。

 セクハラだと言われてしまえば、男性の立場からすれば、説明も弁解も非常に面倒くさい事になる。

 …しかも、あの西住流家元だ。その事案で揉めれば、どれだけの労力を裂くことになるか、想像もつかない。

 

 特に彼女の事だから、その目のやり場のに困る格好も、何かしらの致し方ない理由が有り、仕方なくだろうと全員が確信していた。

 よって思考停止のスルーを決め込む。

 

「……」

 

 しかし比較的に他の役員は、初老の役員に比べれば、ある意味素直だった。

 流石にジッ……と、穴が開くほどに見てしまう事はなかったが、見てしまう。何度も何度も見てしまう。

 ある意味で仕方がなかっただろう。

 家元は、腕を何度か組んでいた。

 会議中に腕を組むとか…と、思うかもしれないが、それを指摘する勇気は全員にはなかった。

 腕で胸を隠すようにした仕草が、何度も見受けられたから察していた…というあるが、その状態を見ていたいという欲求が何より勝った。

 その腕が胸を圧迫し、下着を着けていない為…更には前を、大きく開いたワイシャツから押し出された谷間を見ていたかった…という欲求。

 

《 ………… 》

 

 そして、初めから何故か、表情が妙に熱っぽく感じる顔。

 動く度に揺れ動き、圧迫されている胸。

 その眼力で殺されるかも…と、錯覚させられる、その目も何処かしら潤み…。

 そして…一々、呼吸が艶かしかった。

 

 若い役員からすれば、普段の鋼鉄の様に固く、隙がない彼女。

 …下手な上司より、恐怖の対象以外に言葉が見つからない。

 しかも、一回り近く年上。30代後半の女性。

 

 …しかし、そこで初めて気が付く。

 30代後半の女性とは思えないその見た目。

 服の上からでも分かる程の豊満な胸、引き締まった体。

 そして今回、殴られる様に…痛い程感じた、そんな女性からの強烈な色香。

 

 午前中にて、焦らされ、お預けをくらった西住流家元。

 昔からそちら方面に疎かった彼女は、短期間で強烈な「快楽」という刺激を、精神面と肉体面へと何度も同時に与えられ続けられた。

 特殊な環境、人間関係…欲求不満、ストレス。…その刺激は、どうしようもなく、半場諦めていたソレらから、彼女を徐々に開放していった。

 精神面では「背徳感」を前面に押し出され、腰が砕ける程の快楽を同時に与えられる。

 露出、公開…擬似とはいえ、複数での行為を匂わされ、その「未体験の快楽」が歪んだ「期待」と「欲求」を生む。

 それら全てを与えてく(・)れ(・)る(・)のが、昔から…それこそ、子供の頃から知っている男。

 …しかも自身の娘の恋人。

 そんな相手から、調教されているとも言える、そんな体験が、女としての彼女を前面に押し出し始めていた。

 

 その場にいた男性達は、なまじ西住流家元としての「西住 しほ」を知っているからこそに感じるギャップ。

 アンバランスになった彼女から発せられる、その強烈な雌としての淫靡な色香に…完全にやられていた。

 

 しかし、感じ取ったソレを、口に出す事に躊躇し…その男性達は、そのまま誰も口を開かずその部屋を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 

 ピッ…と、小さな電子音。

 その電子音の後、すぐにカチャリと、鍵が鳴る音がした。

 

「……」

 

 急いで戻ってきた、宿泊部屋。

 

 そのドアノブに手を掛ける前に、自然と…少し急いで来てしまったのもあり…気休め程度で、髪を手で撫で整える。

 まだ体が熱い。

 何もしなくとも、指先までも体温が上昇しているのを感じる。

 首、額…どこを触っても、熱でもある様に酷く…熱い。

 自身の宿泊部屋に戻ってきただけだと言うのに、何故ここまで変に緊張してしまうのか。

 

「フゥ…フゥ……」

 

 喉の奥から、小さく呼吸が漏れてくる音が変に大きく聞こえてきます。

 そうですね。やはり何処かで緊張しているのでしょうか?

 いえ…何を緊張する事があるのでしょうか? …ただ、仕事を終え、部屋に戻って来ただけです。

 

 仕事…。

 

 仕事……。

 

 その仕事を行った部屋で、私一人へと向けられた視線…その目が、一瞬脳内を走った。

 あの目…。

 職場…いえ、「戦車道」に関係する事柄で、特に若い男性達から、感じた事がない目。

 大体は、萎縮して見上げるようにしてくる、情けない目が多く、特に気に知る事もなかった。

 あの手の目は、大体…打ち上げ等行われる場所で、それなりの年齢の男性からの視線に類似していた。

 しかし、その目も、期待…と言うのでしょうか? あわよくば…その様な視線。

 殆どが、セクハラだと不快になる、からかわれている…とも思える視線。

 

 しかし、あの場の視線は違った。

 

 あれは……。

 

「っっ!」

 

 また一瞬、ゾクッと背筋を舐めるように這った、良くわからない感覚。

 肩を一回…小さく震わせると、ソレラを振り払う様に、頭を左右に振った。

 

 …やはり、何処かおかしい。

 

 鼻の奥に媚びり付いている、あのアロマの甘い匂い。

 これのせいで、どこか頭の奥が、ボヤけている様に感じる。

 

 はぁ……。

 

「戻りました…」

 

 家に帰る時と同じような、挨拶。

 部屋の前に立ち尽くしていても仕方ありません。

 次の行動にでれば、少しは紛れて…その内に忘れるでしょう。

 

 ドアを開け、少しホテル特有の薄暗く短い廊下を歩き、部屋へ向かい歩く。

 さて…その言葉は、誰に向かい言った言葉なのでしょう?

 

「……」

 

 …彼は、特に待っているとも言っていなかった。

 みほ達には、午前中、彼を借りますよと言ってただけ…。

 ならば、彼も戻って…あの家へと帰ってしまっていると判断するのが普通でしょう。

 まぁ…いないならいないで…仕方ないとも思っていたので、特に…。

 

 しかし…少し…胸の鼓動が強くなっているのを感じます。

 

 …何処か期待していた。

 

 いえ? いるだろうと…確信していた。

 

 何故なら、午前中…同じく、彼もまた中途半端だったと。

 …一緒に、シャワーを浴びる最中…これまで以上に、雄々しく…硬く聳えさせていた彼自身を見ていたから。

 そうです…そうですよ。

 午後になっているとは言え、まだ日中。

 みほがいたとしても、彼女の友達もまたいる…夜までは時間がしばらく掛かります。

 それにまた、彼も若い男性。…そうそう、我慢なんて出来ないと踏んだからです。

 

 みっともなくも、浅ましく思える程に、私は夢中で…それこそ、仕事など二の次にして彼を、求めてしまった…私。

 そんな私を見ているのですから、当然…その仕事を終えて、帰ってきた私が…彼なら分かるでしょうしね…。

 

「…みほ」

 

 娘の名前を、先程から何度か思い出してしまっている。

 はっ…こんな、今の私を…この関係がバレてしまったら…。

 

 怒られ…泣かれ……それとも、ふしだら母と笑うでしょうか?

 

 今度は、あちらから縁を切られてしまう…でしょうかね。

 

 …しかし、もう無理。

 

 今更、止められません…。

 何処か…私の奥の方で、娘に遠慮をしなくなり始めている。

 罪悪感は勿論感じますが…………何処かでそれすらも…。

 

 段々と視界に入ってくる室内。

 小さく音が聞こえてきた。

 テレビでも見ているのでしょうか? やはり…いてくれましたね。

 目に一番初めに入ってくるソファーが見える。

 …ほら。

 

 それに腰掛けている、彼の足が見えた。

 顔が熱く、胸が大きく叩く音の中…そんな私を、彼はこの後…どうしてしまうでしょうか?

 脚を踏み出し…彼の姿を…。

 

 

「……」

 

 

「……」

 

 なんでしょう。

 

 彼はいました。えぇ、いましたとも。

 そのソファーに座り…両腕を背もたれに、大きく開いて乗せ…頭を垂れて…。

 

「……寝てますね」

 

 えぇ、確かに寝てます。

 口に出して確認しなくとも、寝てますね。

 テレビをつけっぱなしにして、寝息を立ててます。

 

 ……。

 

 見下ろす…無防備な彼を見て、思います。

 

 えぇ…子供の時と、大分変わりました。

 抱かれ、一緒に共にした寝所と違い、今は完全に第三者目線で、その姿を見れます。

 正直、子供らしさが余りない、子供でしたが…それでも妙にそこが可愛く、娘を甘やかせない気持ちを彼に向けていた。

 それをまた彼が、素直に…それでも子供なのに、どこか遠慮する姿が、妙に嬉しくて嬉しくて…。

 

 …ふっ…と、小さく笑ってしまう程。

 

 ……。

 

 …………。

 

 あ…。

 

 これ…ひょっとして…好都合なのでは?

 先程の彼からして、しかも彼の性格上…ひょっとしてまた、お預けを食らってしまう展開…というのも視野にいれていたのですが…。

 今の彼なら…簡単では?

 一度、始まってしまえば…そんな簡単には、止められないし…止められない。

 

「フー…フー……」

 

 ゆっくりと近づく…なんて事はしない。

 彼が起きてしまうとかの考えも、すでに飛んでいた。

 

 ただ…気がついた時には、彼の正面に立っていた。

 

 彼の両膝に、手を置き…ゆっくりと開く…。

 膝を付き、しゃがみ込むと…彼の項垂れている顔を、下から見上げる。

 目をつぶり、口を少し開けながら、小さく寝息を立てている…。

 

 …寝ている。

 

 先程の子供の頃の、昔の思い出…感傷なんて、一瞬で吹き飛びました。

 この行為が卑怯だとか…彼との関係などとか…一緒に頭から消えていました。

 

 好都合。

 

 そう思ってしまった時より、ただ…もう。

 我慢に我慢を重ね…なんとか仕事を乗り切った自分を漸く開放できるという…欲望しかなかった。

 彼の内股へと手を這わせると、ズボンの布生地をスー…と音が鳴った。

 

 その先…すでに収まってしまっている、その先へと目を向けると、そこに顔を添えていた。

 鼻で息を吸い…頬を左右に擦りつける。

 特に特有の匂いなどする訳もないですが、何故かこうすると…お腹の奥が、物凄く熱く熱を帯び始める。

 すでに体は、溶けてしまう程に熱くなっている。

 

「……」

 

 また、スー…と布を摩る音を立てさせる。

 今度は内股の奥から…同時に脚を開かせる様に……。

 

 ……。

 

 さて…これで…。

 

「…しほさん」

 

「っっ!!??」

 

 ……。

 

 テレビの音が聞こえる…。

 いえ…それしか、聞こえない…。

 

 それでも静寂とは、こういった事を指すのかと、思わせるほど…。

 ゆっくりと…顔を上げると…彼と目が…。

 

「……あの…」

 

 真顔で見下ろす彼に向かい、そんな言葉しか…出てこなかった…。

 

「…最初から起きてましたよ」

 

「 」

 

 聞く事は分かっている。

 そんな彼は、その答えだけを口にした。

 お陰で、私の体はそこから逃げる事もなく…彼の股間付近に頭を埋めた状態のまま…硬直している。

 

「…帰ってきてから、一直線に、いきなりとか…」

 

「あ…いえ…それは…」

 

 呆れる様な目で見下ろす彼が、一瞬目を逸らし、更に大きくため息をついて…一言。

 ごちゃごちゃと考え事はしていましたが、振り返って思い出してみれば、部屋に入り…いきなりコレでしたね…。

 

「まったく……母娘だなぁ」

 

「はい?」

 

 母娘?

 え…っと、意味が良く…。

 

「…んっ」

 

 額に隆史君の手が添えられた。

 そのまま前髪を後ろへ流される様に、優しく流された。

 

「はぁ…それに、たった半日しか持たないとか…」

 

 ただ、口調は完全に呆れていた…。

 

 一日も持たない。

 

 その言葉で分かりました…。

 やはり、午前中…途中でやめたのは…彼の…。

 

「そ…それはっ!」

 

「いいですよ? しましょうか」

 

 …え?

 

 彼の発言に、恨み言が出そうになった。

 が、その一言で、全てがまたどうでもよくなる。

 ごちゃごちゃとした脳内が…「彼がその気になった」と、その事だけで歓喜に満ち溢れてしまった。

「しましょう」というセリフが、どうとか…すでに、その気になっている私にはもう、どうでも良い事だった。

 すぐに立ち上がり、ベルトをカチャカチャと外すと、ズボンの一番上にあるボタンだけを外した。

 

 余計な会話も無し。今までの彼の考えが、どうとかも無し。

 楽になれる…疼きに疼いた体を収める事が出来る。

 それしか、すでに頭になかった。

 

 その光景を眺めている私に対し彼は……。

 

 

 

 

 

 ▽

 

 

 

 

「んっ…ふーっ…」

 

 ジー…ジジッー…と、不規則にチャックが落ちる音が、目の前から響く。

 少し、金属の味がする。

 

 私を見下ろす彼は、手を使う事を禁じた。

 

 すでに疑問もなく、ただソレに従ってしまっている私…。

 プライドも何もなく、たった数時間…彼に焦らされただけでコレか…。

 

 自身の変わり様と、この今…男性の股間の前で、歯を勃て、浅ましく男根を求める為だけに、そこを開いている。

 ただ羞恥だけは、変わらず襲ってくる。

 残っている羞恥心が、顔を熱くする。

 上目使いだけで、彼の顔を見上げると、ジ…と、私の目を見続けていた。

 

 …喜んでいる。

 

 と…何故かそう感じた。

 撫でられる頭に、隆史君の体温を感じ…喜んでいると感じたら、またお腹の奥が熱くなる。

 

「んっ…んっ…はー…」

 

 少し苦戦しながらも、なんとかチャックを下へと下ろす事ができた。

 …何をしているのでしょうね? …私は。

 何故こんな事で、妙な達成感と…期待感が膨らんだのでしょう。

 

 彼の下着の上を、また歯でか……。

 

「…隆史君。何故、すでに大きくしてるのでしょう?」

 

「…」

 

 …ちょっとした疑問を口にすると、私を見ていた目を、顔ごと逸らしました。

 こんな行為をしている私を見て、興奮でもしたのでしょうか?

 

 ……そんな事で、何故興奮するか分かりかねますが…。

 

 まぁ…せっかく大きくしてくれてますから、下手に言わない方が良いでしょう。

 ならば…と、下着を下ろす事ではなく…その下着の男性性器を取り出す窓を少し噛み…少し強く上に伸ばします。

 そのまま舌を使い……その中へと。

 

「…しほさん」

 

 ただでさえ、彼のは大きいのですから…と、上手く根元を…そしてそのまま舌をまさぐらせ…。

 

「一度、旅館でコレっぽい事、しただけで、ここまで上手く…」

 

「んっ…はっ…」

 

 ズルッ…とそこの窓から引きずり出しました。

 まぁ、最後はそんな私に見かねたのか…少し下着が上から引っ張られる感触がしたので、彼が手伝ってくれたのでしょうけど…。

 

「あの…しほさん?」

 

 目の前に、突き出される男根。

 上に反り…跳ね……ピクピクと、少し脈を打っていました。

 はぁはぁと、荒い呼吸が、喉を通して吐き出されます。

 

「…しほさーん…」

 

「んっ……れぁ…」

 

 舌を根元から…ゆっくりと上へと這わせると、ビクッと何度か彼の腰が跳ねましたね。

 その舌から伝わる、味…。

 そのまま…上へ上へと、舌と顔を移動させ…。

 

「き…聞いちゃいねぇ…」

 

 男根を飲み込む様に、口に含んだ。

 口に広がる、男性の匂い…味……。

 

「くっ!?」

 

 じゅるっ…と音がした気がしますが…まぁ吸いながら、舌を亀頭周りを舐めたせいでしょう。

 唇を亀頭の突起部分に引っ掛け…小刻みに少し動き…まずは、一番初め。

 その先端から溢れて来た、少量の苦味を感じる。

 

 ……感じたら…。

 

 後は…もう…。

 

 ただ立っているだけの彼の男根に、ただ、むしゃぶり始めてしまった。

 

 

 ……。

 …………。

 

 

 舌で、もう一度亀頭周りを舐めまわす。

 そのまま一気に、喉元近くまで押し込めると…それでも、まだ口の外へと残っている部分があるのが、私の期待感を更に跳ね上げてくれた。

 

 チュプチュプと、唇だけで音を立てながら、前後に動く。

 吸って欲しいと言われれば、舌の全面を使い、顔を引きながら…

 

「ぢゅっ…ぶっ…ブブブ…はっ……ぢゅぶるる…」

 

 下品なのは分かっていますが、音を出させる様に言われたので…。

 

「んっ! んっ! んっ! んっ!」

 

 ぢゅぽっ! ぢゅっぽ! ぢゅぽっ! ぢゅっぽ! と…私の声と連動する様に、動かす度に音が鳴ります。

 カリ…と、言っていましたね。その部分に唇が引っかかる時に、特に大きな音がします。

 それを彼に、聴かせる様に、何度も何度も…。

 

 すでに私の唾液でベチャベチャになり、糸を引き…それをまた私に啜らせる。

 亀頭の先…尿道付近から、まだかと中のカウパー? でしたか…それを舌で掘じる様に書き出した。

 

「ヂュッ……ヂュュュュ……」

 

 苦味が…少し濃くなった…。

 しかし…。

 

「はー…はー…あっ…はぁ…」

 

「しほさん…口だけで、ここまでできますか…」

 

 少し、休憩だと口を離すと…隆史君がそんな事を…と言いますか…。

 

「…こんな歳の私に、教え込んだのは貴方でしょうに…」

 

「いや…まぁ…でも、知らなかったでしょう?」

 

「ま…まぁ…ただ、動かしていただけですから…」

 

 そう…知らなかった。

 常夫さんに対しては、ここまで求められなかった。

 ただ、動かす…男性への前戯。

 

 口だけの行為…ただ、男性しか気持ちの良くない行為。

 それが使用によって、ここまで変わるなんて…。

 口から…舌から……何よりも、匂い。

 ここまでダイレクトに感じて、頭の奥を焦がす様な熱をくれる。

 

 会話をしながらも、男根を横から咥えながら…ゆっくりと舐める。

 ぴちゃ、ぴちゃと…これも音を立てながら…。

 どんな顔をしているかも、想像出来ない程、口で愛撫を繰り返す事に集中してしまっている。

 舌先から感じる感触、匂い…味が…頭の中を痺れるような熱で満たし、ただ貪るだけの…。

 

 

 ……。

 

 

 嘘だ。

 

 

 先程から、一瞬…ふと冷静になる瞬間があります。

 彼が前に、私に教えた事を思い出しながら…だらしなく伸ばす舌と口内で、下品な音を出し、それを忠実に実行しようとしていただけです。

 熱が私を支配しようとするのですが、時に漏らす彼の言葉に瞬時にその熱を下げられる。

 必死になり、行為の一つ一つを頭に浮かべ、強引に…そう、強引に、ただの女になろうとしている自分に気がつかされる。

 何度も…何度も…繰り返して。

 

 えぇ…。

 

 …まったく集中ができていない。

 

 

 また…それと同時に、口に広がる匂いが刺激し、私の奥の方の何かが、彼を…強く求めさせてくる。

 混乱する…なんなのでしょう? この感覚は…。

 何も考えたくない自分と、何処か何時もの私とでせめぎ合っている気がしてならない。

 

 隆史君は、そんな私を、気にも止めないようにいつもの様子が、また…私を焦らす。

 

 …焦らす?

 

「…?」

 

 隆史君が、横のテーブルの上に置いてあった、テレビのリモコンを手に取った。

 あぁ…つけたままでしたからね…。

 テレビへと、そのリモコンを向けると……。

 

「今のテレビって、ネットにも接続できまして…」

 

 消すとばかり思っていたのに、違う画面へと切り替えた。

 

 

 

『 撃てば必中 守りは固く 進む姿は乱れ無し 鉄の掟 鋼の心 それが西住流 』

 

 

 

 ビクッ! …と、肩が跳ねた。

 …私自身で気が付く程…強く…大きく。

 

 体…いえ、魂にまで刻み、染み込んでいる家訓。

 その家訓が、私の声で…はっきりと聞こえた。

 

「このホテルも接続してあったんで…待ってる間、動画サイト見てました」

 

 何気ない世間話…の、様に喋る隆史君は、そのテレビ画面に顔を向けていた。

 

 そのアナウンサーの声で、何か分かりました。

 

 テレビに映し出されているその映像は…声は…。

 

『 本日は、戦車道の強豪校である、黒森峰女学園。その… 』

 

 過去に一度受けた事のある…。

 

『 西住さん。本年度の試合は、非常に残念な結果に終わりましたが… 』

 

 流れるように、流暢に話すアナウンサー。

 動画サイト…と、言っていましたね。これは…録画の過去の録画映像でしょう。

 横目で見れば、まだ…試合が始まる前の…苛立ちに満ちた私が映っていた。

 眉間にシワが出来てしまうのでは無いかと思うほど、眉を吊り上げた私。

 

「昔のしほさんのインタビューですね。」

 

 戦車道全国大会へ向けてのインタビューでした。

 

 …何故、こんな物を…今。

 

『 残念? それ以前の問題です。話にすらならない― 』

 

 頭に手を添えながら言われ、特に気にするまでもないと、先程の様に口を……。

 

「このインタビュー…雑誌にも取り上げられてましたよね? 俺がまだ青森にいた時でした。まぁ…あの時は、俺もソレ見て破り捨ててしまいましたけど…」

 

 この画面の向こうの私は、忌むべき私。

 気にする事は、ない…と、思うのですが…しかし…。

 

『 西住流は何があっても、前へ進む流派。強きこと、勝つことを尊ぶのが伝統… 』

 

 西住流を頭に出し、自身の娘を貶める言葉を、何度も何度も…苛立ちを籠めた声を吐く私…。

 

 みほに向けて、追い詰める様な発言を淡々と繰り返している。

 それでも感情的にならぬ為に、眉間に皺を寄せない様に、顔を顰めない様に…。

 

 その忌むべき私は、無表情を取り繕っていた。

 

 …。

 

「…くっ…。しほさん」

 

 何故、この様な動画を再生したのか…それを今更私に見せてきた隆史君が、少し苦しそうな声を上げ、私の名を呼んだ。

 目に力が入っているのが分かる。目がつり上がってしまっているのでしょうが…そんな目で私は、私を呼んだ声の元へと目線を移すと…。

 

「激しくなりましたね」

 

 ……激し…?

 

「手は使わないようにと、言いませんでしたか?」

 

 初め、何を言っているか分かりませんでした。

 ただ何故か、自分の手の中が、人肌だとは思えない程の熱を感じる…。

 

 何故か? 答えは簡単でした。

 

 彼の肉棒を掴んでいた。

 

 掴んでいただけではなく、自分の唾液塗れのソレを撫でる様に動かし…。

 ただ、射精を急かす様に、無意識でしょうが、彼が前に言った通り…教え込まれた通りに動かし、刺激していた。

 動かしながら、時に舌を突き出し、肉棒の先端…その根元をなぞる様に。

 口内の内側を使い、擦りつける様に。

 顔を倒し、骨をしゃぶる犬の様に、根元から舌を下から上へと…。

 激しく動かす自身の手の隙間、合間を何度も。

 何度も何度も何度も……更に味わう様に、むしゃぶりついていた。

 

 ただ、一点…。

 

 

 …目線だけは、その画面を向けている。

 

 

 昔の自分から、目が離せない。

 ほんの数ヶ月前の姿だと言うのに…。

 

 手元からは、彼の肉棒の表面にまとわりつく唾液をグチュグチュと、混ぜるような音が響く。

 激しくなったと、指摘された。…それでも私は止まらない。

 

 見せられ…いえ、見せつけられた昔の私。

 

 私は昔の自分を…今のこの行為で、否定したかったのでしょうか?

 見たくはない。…こんな私は、今更見たくはない。

 必死に…夢中になり、その姿を振り払う様に、行為に集中し……コレを突き付けてきた彼に…逃げる。

 

 しかし、外せない。

 

 視線は……浅ましく淫らな行為をしながらも、外せなかった。

 

 …わからない。

 

 わからない。

 

 ワカラナイ…。

 

 私は…一体…何を、どう…。

 

「…もういいですよ。顔を離してください」

 

「じゅっ…ぷぁっ……ぁ…はぁ…はぁ…」

 

 額を少し、強く押されて、肉棒から顔を離されてしまいました。

 口から離されると、代わりに、荒い呼吸が何度も肺から吐き出される。

 ここまで息を切らす程に、夢中に…。

 

「いきなり、激しくするからですよ? …ま、どちらもですけど」

 

 混乱した頭でも、分かる程に、目が泳いでいたのでしょう。彼が少し、苦笑し目の端を親指で、触れてきた。

 彼は立ち上がり、片方の手で、激しく自身の肉棒を扱き始め…。

 

 …昔の私の……声が聞こえる。

 

 しかし今度は、そちらを見る事は無かった。

 今は目前の彼から、目が離せない。

 段々と手の動く速さが、上がっていく。

 動かす度、私の唾液が粒となって頬に落ちる。

 

 髪に彼の手が触れると、当然と秤りに私は、顎を上げ…開いた両手を、その顎の下に添える。

 

 舌を外へと突き出し…。

 

 

 大きく口を開けた。

 

 

 

 

 ……。

 

 

「ぁ…っ、はっ……」

 

 少し待っていただけで、ソレはすぐに広がった。

 

 心地よい熱さと、味。

 

 そして…匂い。

 

 熱が、顔中に広がる。

 

 頬を伝い、ボタボタと手の中へと落ちる液体。

 

 口中に広がる、苦味を帯びた味。

 

 口を閉じれば、更に感じる。

 

 それが喉を通る熱すらも、心地よく感じる。

 

 そして…鼻を通して、脳を刺激する匂い。

 

 コレが、ダメだった。

 その刺激が、混乱した脳内から、別の思考を生み出す。

 

 横からは、まだ聞こえる、昔の私からの声。

 話す内容は、ひたすら娘を貶める言葉。

 

 今、その言葉は…今の私を、貶める言葉にしか聞こえない。

 

 西住流…西住流…。

 

 若い頃からの柵が、こんな所で…。

 

 こんな事で。

 

 ……何故か、開放された気がした。

 

 そんな私を貶め……非難する「西住流家元」の…声。

 

 …はっ。

 

 この匂いの余韻と共に「西住流家元」の言葉を聞きながら…その西住流の衣類を脱ぎ捨てる。

 …彼を受けれる為に、下から無造作に脱ぎ捨てる。

 

「では…しほさん」

 

 しかし今は、声を掛けてきた彼から…次の「新しい」を…ただ期待しているだけ…。

 昔の私からの言葉は、もはや違う色を帯びて、私を「刺激する」。

 

 ……。

 

 

 その「西住流家元」は…画面を通して、今の私を…。

 

 

 睨み続けている。

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 効果は絶大だった。

 

 

 

 動画サイトに、しほさんの動画を見つけた時に思った。

 今の彼女が見たら、どう…思うのだろう? と。

 

 更に。

 

 西住流家元として、全てを受け入れていた彼女から、ただの「女」を引き出した状態ならどう変わるか? と。

 そんな単純な疑問からの行為だった。

 初めは、嫌がったり、怒るかも…とも思った。

 

 実際は…真逆。

 

 …彼女の中の「女」が、一層浮き彫りになり、激しく求める様になってしまった。

 

 焦らした…というのもあったのだろうが、ここまで淫らになるとは思わなかった。

 ただ、激しくなるだけが淫ら…とは、言えない。妖艶…ともまた表現が違う。

 動物地味た雌……の、様な状態。…とも違うだろう。

 上手く言い表す事ができない。

 

 あ、先にまず。

 

 いきなり全裸になろうと、いい大人がする脱ぎ方じゃない方法で、衣服を剥ぎ取ろうとされたので、全力で阻止。

 下は問答無用で、一気に脱がれてしまったのは……まぁ仕方がない。

 全裸になってしまいそうなのを、取り敢えず止めれただけでも良しとしよう。

 いつもの黒いジャケットのボタンを、腹前だけ止めていた。

 その中。…ワイシャツの前をはだけさせ、胸だけを大きく露出。

 

 ソファー前の、少し足の短いテーブルの上に手を置いた彼女は、そんな格好だった。

 脱がしません。最後まで。

 

 ……。

 

 しかし…愛撫も何も、ないな。

 

 手をついてください。と、言っただけなのだけども…それだけで、言われる通りに手を付き、脚を開き…こちらにお尻を突き出している。

 脚は閉じたままだけども、すぐに入れろと言っている様にしか思えない。

 その目の前に広がる、彼女の秘部は…濡れていた…どころの話じゃない。

 

 焦らされ、随分と我慢していたというのも、勿論あるのだろうが…既に潮でも吹いた後じゃないのか? と、思える程の量の体液で、その入口を濡らしていた。

 それは、内腿の上を、下へ下へと流れていく雫が、どれ程の量かを想像させられる。

 パクパクと、開閉を小さく繰り返している膣口は、俺を待ち詫びている様にしか見えない。

 

 尻肉…足の付け根を、手を大きく開き揉むように掴む。

 

「……んっ」

 

 そのまま親指を膣口の端に添え、手を握る様に動かし、その入口を少し開ける。

 

 グチュっとした、音と感触。

 

 糸を弾きながら、パックリと割れたその入口を見て…これはやはり前戯はいらないな。…と、確信。

 いや、逆に余計な事はしないほうが良いだろう。

 

「…ふっ……ぁ」

 

 すぐにもう片方の手を、同じように反対側に添えると、両手の親指で左右にその穴を大きく開かせる。

 またニチャ…とした音。

 小さな喘ぎ声を出した彼女の声が聞こえた。

 期待を帯びた、熱の篭った声。

 

 膝を少し曲げ、テーブルに両手を付いている腕に、体重が掛けたのが分かる。

 そして連動して、意識して……尻を上げた。

 

「はぁ……ぁああっっ!!!」

 

 …瞬間。

 

 今度は焦らすこともなく、腰を上げ、その穴に陰茎を突き入れた。

 

 腕を伸ばし、背筋を海老反りにし、顔を真上に上げる。

 黒く細い髪の一本一本が、綺麗にその反動で跳ね上がる。

 

「かっ……ぁ…」

 

 奥まで…一番奥まで。腰で殴るように彼女に突き刺した陰茎。その先端から、触れ殴ったしほさんの子宮の感触を、はっきりと感じる。

 一度射精したとは思えない程…いや、余計に熱く膨張していたと思われるソレから感じる。

 陰茎を纏う、溶けるような熱。

 写真撮影の為、また鍛えていたというのもあるのだろう。

 その引き締まった体と比例し、一番奥まで捩じ込んだ陰茎を、膣内全体を使って痛い程に引き締める。

 

 そう思った直後、ガクンッ! …と、しほさんの上半身が崩れ落ちた。

 腕が折れ曲がり、テーブルに俯せになる様に倒れ込んでしまった。

 折れ曲がった膝が笑い、脚全体も震えていた。

 

「…ぁ……はっ…はっ…はっ」

 

 肩で呼吸をしている彼女。

 ビクン、ビクンと痙攣を繰り返しながら、体全体を震わせている。

 

「…また…入れただけで、イっちゃったんですね?」

 

 彼女は体を震わせるだけで、答えない。

 体全体に快楽の波紋が広がっているのだろう。

 

「……」

 

 …など…確認する様に聞いてみたが…正直に言えば、強がり…というか、虚勢だ。

 最初に勢いよく入れただけで果ててしまった、しほさんを、また少し虐める様な発言だが…余裕が無いのはこちらも同じ。

 今までにない感触…入れただけで、俺も果てそうになっていた。

 

 痙攣した体…膣内にまで、その振動が伝わる。

 ビクン、ビクンと畝ねる膣内。陰茎を隙間なく絡め取る様に、密着し…その振動が小さく激しく…全体を刺激する。

 

 …この状況も相まり…コレだけで限界が近いと感じた。

 いや、俺もまたこの関係…状況に酔っている。

 

 だってそうだろう?

 

 あの家元。西住流家元…「西住 しほ」が…俺の精液を顔に付けたまま、尻を突き出し、無言だが懇願してきた。

 

 そして、今はあろう事か…体を崩れさせながらも、顔を上げ…流れ続けている、昔の自分の姿を見上げている。

 

 はっきりと顔をテレビ画面へと向けて。

 

 小さく聞こえる、呼吸に混じった声。

 

 後ろ姿しか見えないので、分からない…だから余計に気になる。

 

 彼女は、今。どんな顔をして、あの頃の自分を見上げているのだろう。

 

 ……。

 

 滾る。

 

 冗談で言う訳でも何でもなく、ただ滾る。

 

 ゾクゾクとした感覚を引き連れて、興奮が体中を巡るのが分かる。

 

 …滾る。

 

 後背から突き刺し、崩れさせた彼女を見下ろしてる自分にも。

 

「は…ぁ。はぁ……はぁ…」

 

 しばらく見つめていると、落ち着いてきたのか…肘を付き、また体を起こしている彼女に気がついた。

 興奮の余り、ボーとその光景を眺めてしまった。

 

 …その腕の先。

 

 更に先。

 

 手。

 

 テーブルに対して、大きく開いている左手が見える。

 その薬指……に、光る物が目を刺す。

 体を少し捻り、テレビ画面に向けていたであろう視線を、俺の方へと向けた彼女に気が付いた。

 目に光はなく、ただ次を要求するかの様な顔をして…。。

 そして、その顔を見て、目に刺した光と共に、また一つ、思い出した。

 

 戦車道界隈が、最近…特に大洗優勝を起爆剤として、大変な盛況ぶりだった。

 

 某ネットの掲示板。

 彼女の事が題になっている掲示板。

 

 賛否両論から、誹謗中傷。

 

 彼女の事が題になっている掲示板。

 

 真っ黒な場所があった。

 

 彼女の容姿、スタイル…そして表向きの…動画で見せている性格。

 

 一部では熱狂的なファンが多い。

 

 …あぁ、糞みたいな連中からの妄想、願望で満ち溢れている場所。

 

 黒い欲望。

 

 彼女の様な性格な場合、男連中からすれば、一言で言えば、屈服させたいという希望や願望で満ち溢れていた。

 

 あの体と、一度ヤってみたい。

 首輪を着けてたい。

 ぶっ壊れるまで…とか、自分で股を開かせたい…とか……。

 若い男に弱そう。男日照りで、欲求不満が凄まじそう。

 あぁいう女に限って…などなど。

 

 …まぁ妄想は自由だ。

 

 匿名掲示板だし、その連中もある意味で、軽い気持ちで書き込んでいるのだろう。

 肉便器にしてりたい…快楽に酔わせたいとかもな。

 

 …はっ。

 

 何も分かっていない。

 あぁ、そうそう。最中に指輪を自分から外させたい…と言うのもあったな。

 鼻で笑ったがな。

 

 本当にこいつらは、何も分かってはいないなと。

 

「…?」

 

 今も俺の顔を見る彼女は、俺の視線に気がついたのか、一瞬その指輪にも視線を投げた。

 

「……」

 

 俺は彼女を壊したのだろう。……が。最後の砦は壊させない。

 その指輪は、彼女の置かれている立場を認識させる鎖の様な物。

 それを外させてしまえば、しほさんは本当に、ただ快楽を貪るだけになるかもしれない。

 …掲示板の多くの男達は、総じて言ってしまえば、その状態にする事に、妄想と願望を持っていた。

 

 違うだろう。

 

 一定のギリギリで、彼女の正気を壊さない。

 

 嫌でも目に入ってしまう、その鎖。

 

 自分の立場、状況…そして俺という存在。

 娘の男との関係。

 

 …不倫。

 

 いくつもの背徳感が、しほさんを芯から興奮させているのだろう。

 そうだ。快楽に溺れ、ただ男に強請るだけでは、この興奮は味わえない。

 何事も減り張りは、大切だ。

 

 家元としてのしほさん。

 

 女のとしてのしほさん。

 

 ギリギリを保ち続けていれば…「堕ちていく感覚」を、何度でも味わっていられる。

 

 それは、ただ媚びるだけでは無理だ。

 それは、ただ開き直り、狂うだけでも無理だ。

 

 多分…彼女はソレを理解している。

 いや、気がついたのかもしれない。

 

 だから…彼女は今、その動画…昔の自分と、今の自分を見比べている。

 

 そしてまた、指輪を外さない。

 

 いや…外させない。

 

「…んふっ!? んっ!!」

 

 腰を引くと、膣内で締め上げる為の肉が、ゾリゾリと陰茎を刺激する。

 ブルッと一瞬の震えと共に湧き上がるこの感覚。

 

「あっ!! はっ!! あっ!! あっあっあぁっ!!」

 

 ゆっくりと…ではない。

 もはや、彼女の反応全てが快楽を生む。

 動く体と合わせ、出すその声。

 打ち付ける度に、形を変える尻肉。

 

 確信した。

 

 今回の動画を見せたお陰で、彼女は変わる。

 

 外だろうが、隠れてだろうが、何をしても、どんな行為をしたとしても。

 これからは、まず西住流家元としての自分と、淫らな行為をしている女としての自分…ソレと嫌でも、比べてしまう事になるだろう。

 …俺が、何を言っても…そして何をしても喜んで彼女は受け入れる。

 

 自分の女。

 

 過去に彼女に言った、言葉。

 その言葉を吐いた時は、まだごっこ遊びの段階だったのだろう。

 場にただ酔っていただけの話。

 だが実質的に…俺に向かって尻を振る彼女を見て…思い通りになると確信した彼女を見て。

 

 …その言葉通りになったと今、実感した。

 

 ……。

 

 

 ただ…。

 

 

 …「女」のとしての「西住 しほ」を…俺は、甘く見ていた。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 凄い。

 

「っ!! あっ!! そこっ!! そこがぁ!!」

 

 ……取り繕った言葉が出ない。

 ただ、自然と吐き出される言葉。

 彼の動きは、私を強制的に果てさせる。

 …もう、馬鹿になるのでは無いかと思える程の快感。

 

 そして今は、ただベットの上で…寝そべった彼の上で…腰を振る女。

 

 はしたない……下卑たるただの…雌。

 

 …故に思う。

 

 彼とのSEXは、まるで麻薬だ。

 

 勿論、その様な物を使用した事は無いのですが、他に例えようがありません。

 

 彼の陰茎のサイズ…というのもあるのですが、動かす度に、私の弱い所を強引に刺激されて、何をどうされても、短時間で絶頂を強制的に迎えさせられる。

 

 私の中を全て満たし、引きずり出し……開放してくれる。

 

 気持ちいい…気持ちいい……キモチイイ……。

 

 ただ…隆史君の言葉は、口調は……何時もと変わらない。

 昔からの口調…喋り方。

 

 それが私を私でいさせてくれる。

 

 

 …本気で狂わせない。

 

 

「どう…でした?」

 

「な…にがァ!!??」

 

 しかし、彼は質問をする割に、答えるのを邪魔をする。

 今もまた、一番奥…その足の指先まで痺れる様な快楽をくれながらも、邪魔をした。

 グリっ…と、下から私の奥へと、ねじ込む。

 

「…はっ!? あっ! ……はぁ……そ…そういう…」

 

 彼は言わせたいのでしょうか? 仕事中の私の事を。

 あんな格好で送り出しておいて…。

 

「め…目線が気になりました」

 

「まぁ、ずっと……見てたでしょうね?」

 

「ふっ! ふっ…!」

 

「俺のメールで、何か…思い出してくれました?」

 

 ……隆史君は、行為の最中は…何故、意地の悪い事言う…。

 それは最初に関係を持ったホテルでも同じでしたね。

 

 ……。

 

「た…隆史君は…」

 

「はい?」

 

「私! …をぁ…他の男性に、抱かせっ! …たいっ!! …のですかぁ?」

 

 ……。

 

 それに類似する言葉…。

 先日の廊下での事……。

 私の頭がおかしくなっている時に限って、その様な事をたまに言う…。

 

「いえ? まったく」

 

「んっ………即答で…す、ね……ぁっ」

 

「当たり前でしょう? あくまでプレイの一環ですよ」

 

「ぷっ……れぃぃぃ!!」

 

 私の胸を掴み、その先端を指で撫で回しながら答えた。

 騎乗位…とでも言いましたか?

 

「…ただ、そういう妄想をして…それに興奮する貴女が、見たいだけです」

 

 ……。

 

 すでに、したかの様に言いますね…。

 

 一度、彼の中の何かが切り替われば、それ以降に、その凄まじさを見せるのですが、今日はその比では、ありませんでした。

 テレビの前…テレビが置かれた台に手をつかせ、昔の私の目の前で醜態を晒させる。

 後ろから何度も突かれ、突かれる度に、昔の私と目が近づく。

 

 両足に手を入れられ、体ごとを持ち上げらたまま、腰を打ち付けられる。

 抵抗する気は無かったのですが、この拘束にも似た格好は、少し恥ずかしい…。

 打ち付け、その反動で少し体が動く。

 振り子の原理で、私の一番奥が圧迫され…この体位だけで、何度、声を上げ…何度、果てたか分かりません。

 

 エアコンが効いた室内とは言え、お互いに汗に塗れた体をぶつかり合わせると、また…汗が飛ぶ。

 ヌルッ…とした感触が、お互いの肌と肌で、何度も舐め回すように感じます。

 

 その肌を合わせるだけで、気持ちがいい。

 

 腕を絡め、脚を絡め…舌を絡ませる。

 

 汗と体液と唾液。

 

 混じり合い混ざり合う行為も、感触も…何もかもが、キモチイイ。

 

 彼がソファーに座れば、私自ら脚を上げ…彼に跨った。

 秘部を、指で広げ…ゆっくりと彼を飲み込ませる。

 私がこじ開けらて、彼が入ってくる感触もまた、頭の中を真っ白にさせる程の快楽を何度も襲ってくる。

 

 体を預け、胸が彼の胸で潰れると、動く度に形を変化させ、隆史君の体が反応させる……のが、少し楽しいですね。

 常夫さ…夫にすらした事がない……真似。

 隆史君の首に手を回し、私自らが、何度も上下し腰を下へと打ち付けると、押し寄せる快楽が、私を更に変えていく。

 ぐちゃぐちゃと、出入りする音が何度も響く…。

 膣奥から出てくる、彼の精子が私の体液と混ざり合う音…。

 

 いつかのホテルの様に…室内のベランダへと続く、窓に体を押し付けられ…また後ろから突き上げられる。

 一瞬、体が浮くような感覚が、何度も襲ってくる。

 

 

 窓を開け、外に連れ出され…ベランダの手すりを掴ませ………まぁ、外からは見えませんし…声を殺せば…まぁ。

 

 と、思いましたが、できませんでしたが。

 

 ……。

 

「…っ!?」

 

 変に余韻に浸っていると、突然視界が天井を映した。

 

 体を起こされ、今度は私が寝かされてしまったようです。

 両脚を掴み…腰を曲げられて…………あ。

 自分の脚が逆さまに顔の真横に来ると、秘部が真上を向かされました…。

 

 今日の彼は、予備動作が少ない。

 

 予備動作…というのも少々語弊があるかもしれませんが…ただ、この恥ずかしい格好をさせられた時…すぐに分かった。

 

 もの凄いのが…来る。

 

 すでに腰が砕けそうになっているというのに…胸の鼓動が速まるのが分かる…。

 口が自然と開き…死にそうな程に恥ずかしい格好だというのに、その部分を見てしまう。

 

 顔が…綻ぶ…。

 

 私に入ろうと…下へとその入口向けられる、子供の腕程の………。

 

 何度も私を狂わせたモノ。

 

 これからも、私を狂わせてくれるモノ…。

 

 呼吸が荒くなる。

 

 ……。

 

 アレがまた…今から……これから……。

 

 …………。

 

 これ……から?

 

 そう…です。

 それが…「これから」が、どういう事か…と、冷たい思考が生まれた。

 

 今はコレに縋っていたいというのに、何も考えたくないと…い―――

 

「 ―― 」

 

 ズドン…と、でも言うのでしょうか?

 

 お腹の中に熱が広がった…。

 

 体を落とし…肉棒の全体を使い。

 

 私を押しつぶす。

 

 ……もうイイデス。

 

 後で、考えましょう。

 

 ただ今は……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 

 

 大きく呼吸を繰り返し、脱ぎ捨てたズボンから、携帯を取り出した。

 ベットに腰掛け、取り出した携帯を確認すると…時間は、17時を指していた……。

 

 ……。

 

 うっわ…3時間程、無休でやりっぱなしだった…。

 

 体も流石に限界…。

 しかし、まだヤリ足りないとでも言うのか、アレが立ちっぱなしだ。

 

 ……。

 

 

 

 やりすぎた……。

 

 

 

 

 …と、何時もならば思うかもしれない。

 

 しかし、今回は違った…。

 

 

 足りない。

 

 

 もう少し、もう少し…と、変わりゆくしほさんを文字通り、堪能していた。

 打てば響くその声。

 

 彼女を犯し続ける。

 

 彼女の反応を…求め続けてしまった。

 

 我ながら、なんだこの性欲は。

 

 みほならば、こうはいかない。

 途中で、違う意味で壊れてしまう。

 いや…壊してしまう。

 

 しかし、しほさんは違う。

 本気で…全てを吐き出せる。

 

「……」

 

 後ろを振り向くと、彼女が寝ている。

 

 …そう、物理的に寝ているだけ。

 

 ベットに上にだらしなく手足を放り出し、横になっている彼女は、まだ小刻み痙攣を繰り返している。

 膣穴も大きく開いたまま。

 …そこから、大量の精子を吐き出し、胸……腹、顔……髪。

 全てが…しほさんの全てが、俺の排泄した白濁の液体に汚れている。

 

 虫の息…とは、この事だろう。

 

「……」

 

 流石に息が切れる…。

 余韻に浸るのは良いけど…って…。

 

 

 ヴゥ~! ヴゥ~!

 

 …と。

 

 突然、視線を外していた手の中の携帯が震えた。

 着信を知らせる、バイブ音。

 

 

 

 

 ……。

 

 …………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう…ここで、先にもの述べた、彼女…。

 

 女としての「西住 しほ」を…見る。

 

 

「はぁ…はぁ……は…い…」

『 え…? 』

 

 

 宙に浮いた、携帯電話。

 

 スピーカーにしたのか…その携帯からは、聴き慣れた声が聞こてきた。

 

 …いや。

 

 正確に、細かく言えば…俺以外に発せられた、返事の声。

 

 

「んっ…はぁ…。…どう…しました?」

『 …… 』

 

 

 

「 み ほ  」

 

 

 

『 …どうして、隆史君の携帯に、お母さんが出るの? 』

 

 

 慌てる暇もない…。

 

 伸びていたはずのしほさんが…後ろから俺の携帯電話を…奪っていた。

 

「ふぅ…落ち着いてきました…」

 

『 …… 』

 

 変な汗が出る…体中の血液が抜けていく様な…そんな…。

 

「どうして? …今朝、言ったではありませんか。隆史君を少し「お借りする」……と」

 

『 …質問の答えになってない 』

 

 俺自身、最低な事をしているのは分かっている、分かっていはいるが…それでも。

 しほさんもそれは、知って…いや、同じ?

 

 ……。

 

 まさかの行動に…上手く頭が回らない…。

 何よりも、彼女が…

 

 

「そう? 簡単よ。マッサージに忙しい、彼の代わりに私が出ただけです」

 

『 …… 』

 

 

 

 笑っている。

 

 

 

 前髪に目元が隠れ…夏とは言え、少し日が傾き、薄暗くなってきた室内。

 ベットに備え付けられている、薄橙色のライトの光が…影のコントラストを強く引立てしまっている為に、余計にその目元が暗く、わからない。

 分かるのは、その薄ら笑いとも言える、曲がった口元だけ…。

 

『 …マッサージ? それ、午前中だって言ってたよね? 』

 

「あら、そうでしたか?」

 

 淡々と、少し楽しそうに娘と話している、しほさんの口調は…とてもじゃないが、母親とは程遠い…。

 

 いや、口調だけじゃない。

 

 話しながらも、俺にしな垂れ掛かり、股間を弄り始めた…。

 あ……あぁ。正直、楽観的に元気でいられる程に、俺の息子は鈍感ではなかった。

 

『 …お母さん。隆史君に代わっ「 嫌 で す 」

 

『 っ!? 』

 

 なっ!?

 

『 …… 』

 

「…………」

 

 無言……。

 

 無言の時間が…。いや、空気が凍ったというか、張り詰めたというか…。

 しほさんの思惑が……全くわかない。

 

 嫌と発言した後、ひたすら無言だが、体は違った。

 やたらと俺の胸を摩ったりだとか…頭を型に預けてきたりだとか……。

 

 何より、この会話を聞かせて俺の反応を見ている。

 

「……はぁ。邪魔が入りましたし、本日はこれでお終いですね、隆史君」

 

「っっっ!?」

 

『 じゃ…邪魔……ぁ… 』

 

 忘れていた…。

 

 いや、どこかで、高を括っていただけだ。

 

 俺という立場…それと、しほさんの性格からして、ソコの部分を削ぎ落とすとは、露にも思わなかった…。

 

 いくら「女の部分」を引き出したとして、ソコだけは…。

 

 母親という、部分を。

 

 そして、肝心な部分を忘れていた。

 

 しほさんの、みほに対する口調…声の温度から、ソレを嫌にでも思い出させた。

 

 昔…。

 

 嫌というほど目の当たりにした、黒い部分。

 

 ……女の敵は…女。

 

 しほさん…まさか…

 

「…ま。いいでしょう。今日の所は、素直に隆史君は帰しましょう」

 

『 …… 』

 

返(・)す(・)…のではなく、帰(・)す(・)。

 

 何故か…漢字として目視できるような言い方…。

 意味が分からないが、しっくりとくる…。

 そして、携帯のスピーカーを通して聞こえてくる、少しくぐもったみほの声。

 

 いや…何か一瞬、軋む音が聞こえた気がした…。

 というか、みほの口調からも、戸惑いが一切、感じられない。

 結構…ギリギリの事を…あ。

 

「ま、もういいでしょう。以上です」

 

『 ……な―ブッ!

 

 みほの返事を待つまでもない。

 行動でソレを示し、躊躇なく携帯の通話を切った…。

 そして、そのまま…口の端が、少し釣り上がった表情で、通話が切れたその携帯を見下ろしている…。

 

「…引かない。前にのみ進む…。それが西住流…」

 

 …携帯で口元を隠し、流し目でこちらに視線を送ってきた…。

 

「フッ…」

 

 そして、楽しそうに…本当に、楽しそうに…。

 

「フフッ……ゥフフフ………」

 

 裸のまま…憑き物が落ちたような笑顔で、全てをひっくるめた質問。

 

 顔を上げ…首を傾げ……。

 

 俺に全てを託すかのように…言った。

 

 

 

 

 

 

「さっ…どうしますか? 隆史君?」

 

 

 

 

 




閲覧ありがとうございました

「カスパーが裏切った…!? 母さんは、娘より自分の男を選ぶのね…」

…的な?

色んな意味で、今回の話は濃いと思ってくれたら幸いです。

新たなフラグが、立ちました。
人妻編のタラシ殿…クズやね。そうしないと話が進みませんけどね…。

さぁ、挿絵のリク消化しないと。
描くよ~…どの話かわかりませんが。

話のリクは、今回の話の様な特殊材料になる可能性がありますので、逆に助かります。
まぁ…うん。

閲覧ありがとうございました

ありがとうございました。
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