※この作品はR-18です。

転生者は平穏を望む ~ルートPINK~   作:白山葵

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※ルート壊 【宴編】※ あんこう鍋 前編

『 野ゆき森ゆく…オリーブドラブ!! 』

 

『 海は任せろ、ネイビーブルー 』

 

『 黒い森ゆく…ジャーマングレー! 』

 

『 砂漠に咲く花っ! デザートピンク! 』

 

『 錆から守る、オキサイドレッド! 』

 

 

 

『『『『『 我ら! パンツァー・ファイブ!!!!! 』』』』』

 

 

 大洗学園。

 

 まだ夏休みという事で、相変わらずの人の少なさ。

 夏場だというのに、変な肌寒さを感じてしまう程に、ガラー……ンとした、体育館の壇上。

 例のかくし芸と同じ格好で、あの時と変わらないキレッキレのポーズを決めた5人。

 

 渾身の名乗りを終えた彼女達を見て、非常に感動をしている人物が一人。

 横で…目をキラッキラと輝かせた…お姉さま。

 パチパチと音は出さない程度に、小さな拍手を繰り返しながら、ただ小さく唸っている。

 

 …はい。

 

 戦車道の練習が終わり、レクリエーション…というか、まほちゃんの要望により、今この状態が出来上がっています。

 昨晩、前回の乙女の戦車道チョコの会議後の話となり……まぁ、最終的には、夜の事を暴露させられ、まほちゃんの目が鋭く輝く結果となったのだけれどな。

 その途中経過。大洗の祝勝会の話題となった。俺も参加していた為に、動画はおろか、写真すら残されなかったあの劇。

 …恨むぞモモチャン。

 

 もとい…その内容を、まほちゃんは、非常に興味深くお聞きになられていました。

 …みほの黒森峰にいる頃。

 真面目…というか、大人しく内気な性格だと、誰が見てもすぐにそういった性格だと分かってしまう程だったらしい。

 そんな劇などする訳もなく、ここまではっちゃける妹さんが信じられなかった様だ。

 …よって、その劇を、一端でも構わないので、一目見たいとのご要望を出されました。

 

 以下略。

 

 目を輝かせ、みほの言葉を食い気味に、見たい! 見たい! …を、連呼するまほちゃんお姉ちゃんを止められる人間がいれば連れてきて欲しい。

 お忘れかもしれませんが、この方…俺の事を抜かせば、非常にシスコンの方なのですよ?

 

 …だから、以下略。

 

 はぁ…誰に対しての言い訳をしているのだろうか? 俺は…。

 チナミニ。

 そのご要望を、その仲間達にお願いしたところ…。

 

「おい、書記…何をニヤニヤしている、この変態」

 

「気のせいですよ?」

 

 まぁ、誰からのご要望からは、最初には言わなかったってのもあるのだがね?

 約一名様から、すっごい目と顔と表情で、きっつい・恥ずかしい・何を今更、この変態…と、散々なご褒美を頂けました。

 パンツァーファイブに変身して欲しいと、お願いしただけのに、なぜ変態と言われなければならないかと、疑問を挟みつつ……俺が後に、ケーキを作るという事…もしくは購入するという事で、手を打ってもらいましたちょろい。

 …正直、Mっ気ってのは、俺にはあまりないのだけれど、マコニャンには詰られたいと、ちょっと曲がった感情が沸き上がってくる今日この頃です。

 

「うん…奇妙な劇だな。良く分からなかったが…良かったぞ、みほ。あのみほが…友達と……そうか」

 

「…お姉ちゃん」

 

 何かしら想う所があるのだろう。

 感慨深く、嬉しそうに頷くまほちゃん。

 

「お母様にも見せてやろう」

 

「なっ!?」

 

 そして無慈悲な一言。

 仲間内だから見せられる、そのハッチャケ具合を、親に見せるてやるとか…結構なエグい事を仰る。

 しかし、このクソ真面目なお姉様だ。その一言には、善意しかないのだろう。

 

「隆史」

 

「いえす、まむ」

 

 チロンと、俺の携帯が鳴る。

 まぁ一部始終、携帯で録画していたのだが、流石に動画を送るのは…と思い、今撮った写真を送って差し上げましょう。

 ぼくも善意しかありません。

 

 尚、動画は盗撮です。

 

 サプライズ専用、恥辱プレイの一貫だと思って頂ければ幸いです。

 …とか、後で言っておこう。なぁに、如何わしい動画じゃござんせんから、大丈夫デス。

 

 …あ、うん。撮るよ勿論。

 前回失敗してたから。

 

 撮らないはずがない。

 誰が悪いかって言えば、約束を反故にした、某メガネっ子先輩が悪いのです。

 

「たっ! たかっ「はい、送信完了」」

 

「 」

 

 俺もまた、無慈悲な一言を、放つ。

 しほさんも、こんなに元気なみほは、余り見たことがないだろう。

 …幼少時の みほ ならば、想像は出来るだろうが、今の彼女からは想像もできまいて。

 

「みほ…親孝行だぞ?」

 

「何がっ!?」

 

 はい、では今回、この恥じょ…基。

 

 親孝行で、本日の業務は、終了となります。

 

 

 お疲れ様でした。

 

 

 

 

 

 ────────

 ────-

 ──-

 

 

 

 

 

 

 あんこうチームは、壇上の横、幕裏へと入る訳でもなく、奇抜な格好のままで談笑をしている。

 談笑…だよな?

 5人集まって、小声でコチラを見る目が、心なしかギラギラと、少し怪しい光を放っているのは気のせい…じゃねぇな、こりゃ。

 昨日の…ア(・)レ(・)か…。

 まぁ…、逆にどんな事してくるか、ちょっと楽しみになってきた部分があるしな。

 

「隆史」

「あ、うん」

 

 まほちゃんが、服を指で引っ張って声を掛けてきた。

 あんこうチームに囲まれていた みほを見ながら、少し微笑ましい笑顔のまま…否。

 

 俺の姿を見て、その笑顔を少し引き釣らせた。

 

「しかし…お前も…その…随分な格好だな」

「……」

 

 あ、はい。

 あんこう怪人の…雄。

 そのピンクに輝く、全身タイツをまた俺は装備していた…。

 なに…簡単な事だ……マコニャンが、あのパンツアー・ファイブへ変身してくれる条件として、俺もこの恥ずかしい格好をしろとのご命令だったって、だけだ。

 まぁ、ある意味で等価交換っちゃ、そうだね…。マコニャン達同様、俺も…またこんなのを着るとは夢にも思わなかった…。

 

「…では、私は一度戻る」

「どこ凝視して言っているんだよ…」

「見せているのでは、ないのか?」

「どこの変態だよ!!」

「え…目の前の?」

「……」

 

 まほちゃんの遠慮が、ここ数日でなくなった気がするな…。

 相変わらず、何言ってるんだ? って顔して、素で返してきたな…。

 

「あぁ、そんな事よりもだ。明日の早朝には、戻るから…私の朝食も用意しておいてくれるか?」

「…そんな事…。はぁ…まぁいいや。分かった。というか、分かってる」

「すまんな」

「……それ、5回目だしな」

「そうか?」

 

 まほちゃんは黒森峰女学園へと、帰る事になっていた。

 西住家としてのお役目の様で、色々と時間が掛かるとの事。

 今日中に俺の家に、再度戻って来るとなると、時間が読めないらしく…仕方ないから自室に戻るとの事。

 

「……」

 

 仕方ないって…。

 

「…………チッ」

 

 いや、舌打ちって…。

 無表情での、それはやめてくれ。

 ある意味で、喜ばしいと思えるのだけど…なんというか…。

 もう出立すると、床に置いていた手荷物を手にとった。

 それを見た、壇上の5人も、まほちゃんが出るという事に気がついたのか…そのまま、壇上を降りて近づいてきた。

 この4人…。仲良くなってるな……しっかりと、見送りに来てくれた。

 

 はい、ではここからが、また問題…。

 

「いいか? 何事にも準備は大切だ」

 

 見送りに来た、みほ達…あんこうチームにも声を始めた内容が…。

 

「特に相手を攻め落とすには、入念に作戦を模索、立案するに越した事はない」

 

 淡々と真顔で、全員に話していはいるのだけど…。

 

「功を焦れば、ロクな事にはならない…夢々忘れるな」

 

 彼女達もまた、そのまほちゃんの言葉を真剣な顔で、聞いている。

 みほだけは、若干複雑な表情だけどね…。

 しっかし…。

 

「あの…まほちゃん。話してる所、悪いけど…」

「ん? なんだ、隆史」

「それ…何の話? …戦車道の事?」

 

 夢々忘れるなとか…今日日言わないぞ?

 あまりに真剣な空気に、なんか…背筋に走るモノ感じた為、ちょっと横槍を入れてみた。

 確かに、彼女は午前中の練習を、見学はしていたので、その事…だよな?

 

「は?」

 

「…え?」

 

 ……。

 

 予想外…といった、表情を見せたな。

 

 違うな…これは違う。

 

「ぁっ…うん、そうだ。戦車道だ。無論そうに決まっているだろう?」

「……」

「この…私が言うのだから、戦車道しかあるまい?」

「…………」

 

 俺の問いかけに、彼女らしからぬ、結構間の抜けた声が返ってきた。

 冷静を装い、何時もの彼女の喋り方や、表情に戻ったのは、彼女らしいのだけど…。

 …こりゃ違うな。何を企んでる。

 

「そ…そうですよっ! 戦車道です、戦車道!」

「…書記。今の会話に、何を疑う余地がある」

「そうそう!」

 

 …まだ貴女達には、何も聞いていませんし、言ってません。

 それに優花里、マコニャン、沙織さん。

 視線を逸らすな。…俺の目を見て、言ってくれ。

 

「みほ」

「うんっ!! 戦車道だよ! これも戦車道!!」

「…これも?」

「あ、違う…こ…これは、戦車道!」

 

 …みほもやはり、西住流だな。

 力強い返事ですね? しかしな?

 

 …だから目を見て、話せ。

 

「…華さん?」

「なんでしょう?」

 

「…………」

 

 うっ…華さんだけ、すげぇ何時もと変わらない。

 俺の目を、ニコニコと笑顔で真っ直ぐ見てくる…。

 何気に、あんこうチームで一番のポーカーフェイスって、彼女じゃなかろうか。

 

「……」

「…あ、いや。もう、いいです…」

 

 聞いた俺が、たじろいでしまっ。

 ただ、そんな俺を見て、残念そうにボソッと…

 

「あらぁ……なじってくれませんのね…」

「……」

 

 華さん…。

 

 流石に、まほちゃんの言葉は分かった。綺麗につながった。

 前回、無線垂れ流しで聞こえてきた、なんか全員で俺をどうこうしたい…との事だろうな。

 

「…さて、どうしたもんか」

 

 気付かれていないとでも思っているのだろうか…。

 皆さん、結構な肉食系ナノデスネ…。

 

 ……。

 

 昨晩の事だろうな…。

 小声だけど、決行がどうの言っているし…だから、聞こえてますよ?

 

 

 

 昨晩…あんこうチームが、我が家へお泊りをした。

 

 作戦会議。

 

 なんの会議か知らないが、泊りがけの作戦会議だったらしいよ。

 

 女子高生が、6人揃って我が家に…とか……林田が知ったら、ブチギレそうなこの現状。

 ある意味で、贅沢な悩みだと思えるのだけれど、最近マコニャン以外、やたらと積極的な彼女達だから、俺…枯れるかも…とかの心配が強かった。

 

 みほ達各部屋に、沙織さんと優花里を泊めるのではなく、我が家で一番大きな居間にて、布団を並べてのご宿泊。

 全員が揃ったこの状況…何かしてこないか? とも思ったが…。

 作戦会議を俺に聞かせるのは、まずいと、内緒話とは思えない程の音量での声を、聞かせて頂きましたので、ある意味で安心していた。

 …実際、普通にお泊まり会してくれたしな。

 

 俺は俺で、何となく気がついてはいたが、邪魔をするのも悪いしな。

 …お陰で、そろそろ戦車道連盟に送らんとまずいと思っていた、家元ズの水着写真を選別が捗った。

 結構、やばめなアングルやら何やら…こりゃ全国に流すには、エロす…否、18禁指定をくらってしまいそうな物もあるので、選別に時間が掛かるネ。

 あぁ…フォルダに、まとめて保存しておかないと…。みほに見られると一発で別れ話切り出されそうだから、一番…奥の…いや、ネットのセキュリティが高い…いや!!

 こういった物は、リスクは有るが、手元に置いておかないと、不安で仕方ないし…。

 一般的に見ても大丈夫なのを選ぶので、時間が掛かるとか…すげぇな家元ズ。

 基準は、ハゲに見せても、まぁ許せる…ってのを選ぶのがコツだなっ!

 

 ……。

 

 いかん、別の方向へと、思考が流れた…。

 

 思考を戻そう。

 

 何枚かは決める事はできたので、後はあのハゲに任せよう。…どれが選ばれても、まぁ大丈夫だろうって写真だしな。

 メールで送れと言っていたが、セキュリティ的にまずいだろうな…。

 あのハゲに、直接渡した方が、色々と固いだろう。

 

 ながら、あの状況で、コレを整理するとか…危なすぎるだろうとも思ったが、作戦会議とやらをしているので、逆に変な邪魔が入らないと確信した為、作業に没頭できた。

 夜中の皆が寝静まった時間の方が、最近は特に危ない…。

 

 ……。

 

 うん…忍び込んでくる方達が、いますから…。

 

 いや、方達が…。

 

「……」

 

 そんな彼女達が作戦会議…。

 

 ……。

 

 …………。

 

 変な汗が滲み、不安の種が芽吹き始めたのを、覚えている…。

 無茶な事はしてこないとは思うが…華さんがいるからなぁ…最近では、まほちゃんも危ない…。

 

 だから、これは自衛だと思うのですよ!!

 何を話しているか、少し聞いてみたいと思うのが自然だろうなっ!!

 

 ……。

 

「うっ…」

 

 小声で俺を見ながら話している彼女達を見て、その時と同じ汗が滲み始めた…。

 まぁ実際に使う訳ではないのだけど、探してみる位は良いだろう。

 …武器は多い方が良い。

 

 んな訳で、スキル検索…

 

 

 あ…あった。

 

 スキル【 ア リ サ 】…さん。

 

 スキル名に特に意味は無いだろうな。

 ナイナイ。うん、ナイ。

 

 効力は、まんま盗聴。

 

 音声媒体として、機械類を選択使用可能。

 …脳内に直接音声を流せるけど、駄女神達とのやり取りの時にも思ったが…アレって結構、きっつい。

 神経を逆撫でするというか、何というか…うむ。普通になれない。

 

 多分、アレ関係の事だから使用可能だろう。

 ダメなら聞こえないってだけだ。

 まぁ、彼女達からの事だからな。お遊び位の感覚だろうしなぁ…ある程度なら受け入れて上げようと思った。

 ……ただなぁ…華さん辺り、何を提案してくるか分からないから、ある程度の心構えは欲しかった。

 あ、これ…機械類を音声媒体として使えるならば、他人に盗聴を聴かせる事も可能なのか…。

 

「……」

 

 オカシイ。

 

 流石におかしいだろう。

 何が、スキル【 ア リ サ 】…さん……だ。

 

 スキル…。

 

 整理してみよう。

 

 思い返してみると、基本的に思い浮かべ検索したスキル…能力とやらは、100%で備わっていた。

 盗聴スキルも、脳内検索をすると、すぐに出てきた。

 俺に押し付けてきたスキルは、性技スキルだと、あの駄女神は言っていたけども、これって…違うんじゃないだろうか?

 

 林田達と話していた時もそうだけど、俺の名前が入った……否。

 不本意な、通称が入ったスキルなんて物も出てきたんだ。

 何が…スキル【 タラシ殿 】だ。

 効力は、分からなかったけど…こんな人名が入ったスキル…普通無いだろうよ。

 

 普通……ない。

 

 ないよ…な。

 

「あ…」

 

 分かった。

 

 ひらめきに近いが…単純に考えてみたら、すぐにその答えに行き着いた。

 スキルが備わっている…のではなく…。

 

 …これ、ひょっとして…思い浮かべる度に、それと連動してスキルを生成してないか…?

 スキル【 ア リ サ 】…さんも、盗聴能力を、そのままスキル名としてあるってのが、良い証拠だろう。

 

 ……。

 

 試しに探ってみるか。

 

 …そうだな、試しにするならば…回復系。

 

 最近、疲れが溜まっている……というか、枯れそう…。散々絞り取られ始めた精力とやらを、少しでも回復しておきたい…。

 彼女達が、この関係に慣れてきたというのもあるし、まほちゃんも加入…更には、二人きりになると、場所を構わず、やたらと求めてくる状況が最近続いている。

 基本的に、俺に責任がある為、極力それに応えてきた結果がコレだ…。

 

 特に華さんがヤバイ。

 

 昨日の華さん来襲が、特にヤバかった…。

 作戦会議の途中だったのだろうに、アレはない…。

 

 異様に似合う白い寝巻き姿。

 夏用なのだろう…薄い生地が体のシルエットを強調した、肩が見えるタイプ。

 そんな彼女が、襖を開け…恥ずかしそうに…。

 

『 えっち…しましょう? 』

 

 ……とか言われた時には、流石に理性が吹っ飛ぶかと思ったしな…。

 

 怒って誤魔化したけど…危なかった…。というか、よく我慢した俺の理性!

 最近、タイミングが悪くて…華さんとは縁がないのか…彼女は酷く、欲求不満なのでしょう。

 …学校とか、普段の時とかと比べ、二人きりの時とでの、ギャップがすっごいっ!! もうっ!! 普段見知った場所で、これみよがしに色気振りまいてくるしっ!!

 俺の性癖というか、趣向を完全に理解しているのか…普段と変わらない格好なのに…喋り方とか、その内容とか!! 目っ! 特に口っ!!

 飯食う時とか、何か飲む時とか…目配せしながら、唇とかも何か…舌と一緒に見せつける様にもうっ!!

 

「……」

 

 やめよう、一度冷静になろう。

 

 それはそれで、男としては幸せな状況なのだろうが、朝立ちすら…最近しなくなってきたのは…正直、悲しい…。

 暴走しない程度に…せめて通常の状態に戻せる位のスキルってないだろうか?

 

「…脳内検索」

 

 あ…あった。

 すぐに見つかった。

 

 …やはり、そうか。

 基本的に、アレに関する事ならば、無尽蔵に生成出来るスキルか、コレ…。

 あの駄女神…強引に渡したスキルですら、コレかよ…。

 これ、確かに条件付きって部分で生成可能だから、性技スキルっちゃ、そうだろうが…。

 性能が大分違うだろ…。

 

 まぁ…いいや。今更、文句言っても仕方ない。

 ある意味で、現状これに助けられてしまっている部分もあるのが、否めない…。

 

 みほ…。

 

 段々と、現状況を楽しみ始めている様に感じる…。

 今も他の4人と一緒に、目の怪しい光を一層強くして俺を横目で見てくる。

 

 …こりゃ、今夜辺り何か仕掛けてきそうだな。

 今のうちに、少しでも回復させておこうか…何をされるかも分からないしな。

 

 えっと…コレだな。

 

 スキル……【 解 除 】?

 

 なんだこれ…。

 

 能力は、なんだ?

 

【 マジ卍! …が解けます 】

 

 ……。

 

 意味がわからん…。

 

 現状に何か、あるのだろうか?

 欲しいと思った効力で、これが出てきたって事は、それに類似する事だろうと思うしな。

 

「……」

 

 …使ってみるか?

 

 よく効力の分からないのに、使うのも…とは思うけど…。

 今回、「回復」の効力を連想しての事だから、大丈夫…かなぁ…?

 

 ……。

 

 い…今、一瞬悪寒が走った…。

 

 気が付くと、全員の視線が、俺に注がれている。

 

「…隆史君、お姉ちゃん、もうそろそろ行くみたいだよ?」

「あ…はい」

「では、私達も、そろそろ着替えて帰りましょうかぁ?」

「 」

 

 痛い…。

 

 いやぁ…全員の視線が痛い。

 つか、怖い。特に、華さん。

 

 こんな格好をしてしまっているので、更に痛い。

 

 パールピンク色の全身タイツが、そんなに物珍しいですか?

 

 ……。

 

「隆史君」

「隆史殿」

「…書記」

 

 ……。

 

 つ…使うか。

 

 いや、使おう!

 

 回復の連想だから、多少違っていても、そんなに大きな大差はないと思うし!!

 

 何故だ…?

 

 まだ昼過ぎ位の時間帯だというのに…何故こうも薄暗い…。

 

 

「私もそろそろ時間だ。では皆、私はもう行くが…」

 

 …ま…まほちゃんが…ニタァと笑った…。

 

 

「…結果を楽しみに待っている」

 

 

 す……。

 

 

 

 スキルっ! 

 

 スキルッ!!!

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 

 肩を落とし、大きくため息を吐き…閉じられた洋式トイレを眺めます…。

 女子トイレの個室に入り、鍵を閉めた所で漸く安心できました。

 トイレで安心って…どうなんでしょう…。

 先程までの事を思い出すと、余計に実感してしまいます。

 

 

 体育館で、でも良かったのですが、荷物も有り…皆さんで、西住殿の教室で、着替えるという話になりました。

 人がいない、がら~んとした廊下。

 喧騒も何もない、静かな学校というのは、少々不気味に感じますね。

 まだ日が出て明るいというのに、少し心無しか薄暗く感じます。

 窓から差し込む光が、廊下を照らしているというのに、少し不気味に感じてしまいます。。

 隆史殿は…私達の教室で、着替えるつもりなのでしょうか? 少しふらつく足取りで、何処かへと行ってしまいました。

 あの格好で、校内を彷徨かれると…普通に怖いですが…。

 

「……」

 

 そこで思いました。

 

 どうしましょう…と。

 …先に着替え…いや、でも…しかし…。

 

 西住殿達の教室付近までは、もう少し距離があります。

 通り道にもありますし…はい。先に行っておきましょう。

 この格好で、あまり一人でいたくはありませんが…逆に、人気がないのが、幸いしてますしね。

 

 …正直、限界でした。

 はい…お手洗いに行きたいです…。

 

 体育館を出た時から、感じていたのですが…流石に此処まで早く限界が来るとは…。

 この廊下の雰囲気と、夏場だというのに、少々肌寒く感じるこの空気のせいでしょうか?

 

「西住殿達は、先に着替えに行ってください」

「優花里さん?」

「ちょっと、わ…私、寄る所ができまして…ちょっと、戻りますね」

「え? あぁっ…はい。では先に行ってますね?」

 

 西住殿は、少し微笑んで、了承をしてくれました。

 察してくれた…って奴ですね! …はぁ、同性でもやはり、言い辛いですから。

 

「はい、お願いしま…って、五十鈴殿ッ!?」

 

 五十鈴殿が、私に向かって真正面に…。

 黒い…最近、頻繁に出るようになられた、その真っ黒い笑顔…。

 それをまさか、自分に向けられるとは、夢にも思いませんでした!!

 

「優花里さん…?」

「は…はい!!」

 

 ジャーマングレーの衣装で、更に黒い!

 

「ふふっ…信じてますよ?」

「な…なにがですしょう?」

 

 噛んでしまいましたっ!!

 

「私…そろそろ、限界でして…えぇ…ですからね? 優花里さん…みほさんに、今回一番槍のお許しを頂いているんです」

「…で…でしゅから!! 何の…」

 

 思わず噛む程…それ程の威圧が…向けられ……。

 隆史殿!! よく、あれだけの威圧を向けられて、今まで平気な顔してましたね!!

 目がっ!!! 笑ってませんでした!!!

 

「優花里…さん?」

「ひっ!」

 

 スッ…と、頬に…静かに…とても優しく五十鈴殿の手が添えられまして…。

 そして、その手を開き、親指を私の唇に触れさせ……。

 

 …唇。

 

 

「これ以(・)上(・)のヌ(・)ケ(・)ガ(・)ケ(・)は…………ダメデスヨ?」

 

「    」

 

 こ…これ、以上…。

 

 

 

 バ レ テ ル

 

 

 

 

「隆史さん何処に行ったかとか…知ってます?」

「知らないであります!!」

 

 ブンブンと…顔を縦に振るしか、この時の私には、その選択肢しかありませんでした…。

 うぅ…この迫力で先に粗相をしてしまいそうでしたよ…。

 

「…………」

「い…五十鈴殿?」

 

 しかし、すぐにスッ…と目を細め、少し申し訳ない様な表情をされました。

 

「すみません、優花里さん…先程から、私少々、おかしいのです」

「お…おか?」

「体育館を出た辺りからでしょうか? どうにもこう…イライラすると言うのか…機嫌が頗る悪いと言うのか…当たるような真似をしてしまって…」

「…………」

 

 そ…そういえば、確かにそうでしたね。

 先程から少し、五十鈴殿がご機嫌斜めに感じました。

 見たことないような…あ、いえ。大洗ホテルで、五十鈴殿のお父上と遭遇した時の様でした。

 すぐに私に謝罪をしてくれた辺り…五十鈴殿らしいと言えばらしいのですが…。

 

 ……。

 

 でも、ここからでした。

 

「いえ…お気になさ「 ところで、優花里さん 」」

 

 この時…目の色が、また変わりました。

 私の唇に触れている親指を、スー……と、撫で始め…五十鈴殿の呼吸が、心無しか…荒く…。

 

「は……ぁぁ…。優花里さんの唇って…とても可愛らしい…ですねぇ…」

 

「 」

 

「肌も…とても張りがあって…すべすべで…」

 

「  」

 

 ゾクッ…と、先程とは違う悪寒を、此処で感じました…。

 少し呆けた様な…妙に艶っぽい表情というか…。

 余った片手を、空いた反対側の私の頬へと…。

 

「…ふぅ……はぁ…とても、良い…えぇ…すごく…」

「五十鈴殿っ!? なんで顔近づけて来るのですかっ!?」

「あ! そうですね…やはり最(・)初(・)は、隆史さん…」

「次って、なんですかっ!!」

 

「西住さん」

「…みぽりん」

「あ…はい、止めましょう…」

 

 はい、逃げました。

 

 逃げましたよっ!! 当然じゃないですか! 何故か、貞操の危機を感じましたからっ!!

 西住殿に襲いかかってた五十鈴殿と、同じ匂いがしました!!

 その、西住殿に止められた為に、一瞬できた隙を突きました!!

 

「……」

 

 ……はぁ…。

 

 また、大きなため息が出てしまいました…。

 戻る頃には、何時もの五十鈴殿に戻っていると良いのですが…。

 まぁ、ここに何時までもいるのも、なんですから…さっさと済ましちゃいましょう。

 

 トイレの蓋を開け…一度、ベルトを緩める。

 初めはパーティーグッズの全身タイツを改造して作ったのですが…何か隆史殿の中の、何かに火を付けてしまったようです。

 かくし芸が終わり、もう二度と着る機会なんてないと思ったのですが……すっごい、改造されてしまいましたね。

 改めて思います…なんでしょう、この完成度。

 

 襟の緑のラインとか、あからさまに安物特有の印刷だったのに…ちゃんと縫い付けた物になりましたし…。

 靴もちゃんとしたブーツ…。ベルトのバックルもちゃんとした金属…。

 この腰に着いてる武器とか…どうやって加工したか分からな程にしっかりとしてますし……。

 これ、型取って、PVCで加工…光物部分は、ダイキャストを使ったって、仰ってましたが…まったく何言ってるかワカリマセンデシタ。

 撮影も可能…とか…実際にとか、延々と言ってましたが…何故ここまで細かい所に拘るかとか…男の子は分かりませんね。

 

 まぁ…いいです、私も人の事は言えませんしね。

 好きな物に掛ける、その情熱は理解は出来ます。

 あぁそうそう…これもそうです。

 

「んっ…」

 

 後ろ手で、背中のファスナーを指で摘み、苦戦しながらもジー…っと、音をさせながら下げると、更に実感します…。

 ファスナーの掴みは、襟で隠れる様にするとか…。これ、後ろから見ても、すっごい自然な感じなんですよね…。

 腰元にまで下げると…ブーツを脱ぎ…お尻を…って、すっごい身体にフィットしてるのに、なんでこんなに脱ぎやすいんですかね!?

 下半身だけ、難なく脱げましたよっ!! お陰で、トイレの中で半裸になってしまってます…。

 

 なんですか!? この!! この…あれ?

 

 …あ~…なにか肘に当たった気がしたですが…壁にでも当ててしまいましたか…。

 その割に…はぁ…今は、よしましょう…取り敢えず…。

 

「……はぁ」

 

 下着を下ろし…便座に座ると、別の意味の安心感が生まれます。

 まぁ、途轍もなく恥ずかしい格好ですが…。

 上半身は戦隊ひーろーっぽい衣装…胸下から膝ぐらい迄が裸……足元に下半身の衣装が少し伸びながら皺寄せあっているとか…。

 人様に見られたら、絶対にお嫁に行けませんよ…。

 

「……」

 

 …校内がとても静かなですね。

 水音が…少々気になりますが…まぁ、誰もいませんし…ある意味で安心ですね…ただ、やはりちょっと不気味です。

 隆史殿の訳のわからない情熱で、私……そのちょっと人気が寂しい校内…しかもトイレで、半裸状態になっているのですけどね。

 まったく! 彼は、真面目な所と変な所と、えっちな所に関しては、ギャップの落差が激しいです!! が…それはソレですね…。

 いろんな意味で、全て全力で…本気になっているだけだとも思いますし…。

 え…えっちな所は、ま…まぁ、いいです。

 好きになってしまったのですから…仕方ありません。

 今更ですし…まぁ…はい。

 

「……」

 

 そ…そうです。…なって…す…好きに…。

 

 …い…今はヤメマショウ。今のこの状況では、格好がつかない所か、死にたくなります。

 よ…よしっ!!

 大丈夫っ!! 普段、やられっぱなしですが、今夜は皆さんもついてます!

 たまには私だけ恥ずかしい思いをするのではなくて、隆史殿にも恥ずかしい思いをしてもらいましょうっ!!

 あんこうチーム総出で掛かれば、普段の……はいっ! それの逆襲できそうです!

 

 それうですっ! 今回は、皆さんとです! 私がその結束を乱す訳には行きません!

 下ばかりを向いてないで、ちゃん上を向かなくてわっ!!

 

 ……。

 

 昨夜……夜中の変なテンションで…全員満場一致で決まった作戦…。

 

 西住殿命名、「がちがち作戦」

 

 初めは全員、人権的にどうなのかとか、かわいそうとか色々言っていましたが…結局は欲望に、勝てませんでした。

 隆史殿の動きを拘束して、私達で好き勝手やってみたい…という、欲望…。

 はい、言いだしたのは意外や意外。

 …冷泉殿でした。何されたんでしょう、彼女…。まぁ、顔は真っ赤でしたけど…。

 それに使う道具まで確定…まぁお誂え向きですけどね。武部殿曰く…。

 

『ラブだよ、ラブッ! これも愛だよっ!!』

 

 …彼女、何処に向かうのでしょう?

 いや、様はそれの名称がそれらしいのですが、目がすっごい輝いていたので、少々怖かったです。

 武部殿御用達の女性向け雑誌に、付録とやらでついてきた物。

 

「でも、今更ながら手錠まで使うのは、どうかと思うのですが…」

 

 …ラブ手錠…って名前みたいですけどね。

 なんか…こう、内側にモコモコした…ファーが付いていて痛くないよ!? …とか言ってましたが。

 後ろ手で、手錠に拘束された隆史殿…。

 

 ……。

 

 …胸元…開いて…なんか、汗でテカテカして…。

 そこから、除く胸筋…。

 

 ゴクッ…。

 

 

 って、いけませんっ!! 

 昔見た戦車映画で、主人公が捕虜になった時とか!? 似たようなシーンを何度も見てしまったからでしょうかッ!?

 

 想像が、非常に容易いっっ!!

 そして、すっごい似合いそう!!!

 

 ダメですっ! この流れはダメですっ!!!

 現状、取りあえずは、散々我慢していたというのに、変に回想してしまって、疎かにしたダムを!

 

 この決壊しそうなダムを!!

 

 

 

 ……。

 

「はっ…ぁぁ…」

 

 すぐに体中の力が抜けていきます。

 思わずため息にも似た息が、口から放たれて…全身へと行き渡る、開放感が…。

 その開放感と共に、段々と冷静になっていくのが分かります。

 何を一人で、勝手に焦って取り乱していたのでしょうか…。

 

「……」

 

 逆襲…。

 そのフレーズを思い出します…。

 確かに私も、たまには隆史殿にも色々と恥ずかしい思いをしてもらって…どんな顔するか見てみたい気はします。

 気は…しますが…。

 で…でも? どちらかといえば…逆襲をするよりか…私は…。

 

「いつも通りでも、構わないのですけどね……」

 

 結局、頭真っ白にされてしまい…なんか……こう、すごかったですね…。

 

 あの感覚は…。

 

 変に癖になりそうで、怖いですけど…あれはあれで…。

 

「はっ!! いけない!! あの感覚はダメです!!」

 

 即座に頭をブンブンと!! 左右に、力いっぱい振り、文字通り変な事を考えだしそうな自分を振りほどきます!

 今の考えは、危ないっ!! 変に回想に……また、あの時とか、この時とか…その時を思い出してしまいそうでした!!

 学校で、私は何を考えているのでしょう!!

 

「そ、そうです! あんな感覚!! こんな学校じゃ思い出しちゃダメです」

 

「そうなの?」

 

「そうです!! 隆史殿のせいですよっ!!??」

 

「あ、はい。ごめんなさい」

 

「ちゃんと責任取ってください! 今更謝られても、こん……な…」

 

「ん? 責任?」

 

「……」

 

「…なに?」

 

 

「 …………え? 」

 

 

 全ての思考が飛んでしまい…前置きも何もなく…。

 

 …あんこう怪人が立っていました。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

「え…あの……え?」

 

 

 完全に呆けた顔で、俺の顔を見上げる優花里さん。

 特に赤くなったり、青くなったりする訳でもなく、信じられない物を見る顔ですね。

 

「あの……間違って…いませんか? ここ…女子トイレ…ですよ?」

「そうだな、それくらいは、分かる。人をボケ老人の様に言わんでくれ」

 

 チロチロと、水音が響く中…漸く絞り出した言葉がソレですか。

 無意識にだろうが、太股を閉じ…。

 

「えっ…と、はえ……はい?」

 

 段々と状況を理解し始めたのだろう。

 下から上へと登る様に、赤い色が肌を染めてきた。

 

「なっ!? はっ!!?? はいっ!!??」

「あまり大きな声を出すとバレるぞぉ? 人がまったくいないって訳でもないんだから」

「ひっ…他人事の様に言わなっっ!!?? えっ!? どうっ!? 痛ぁ!!」

 

 あ~…混乱してる、混乱してる。

 狭い室内、ガタンガタンと音を出しながら、両手を広げ左右の壁に腕をぶつけた。

 それは、素直にごめんよ…俺のせいですよね?

 それでもめげずに今度は、脚をパタパタと動かそうとすると…。

 

「やっ!? はっ!!??」

 

 今の自分の状況を、今更思い出したかの様に…動きを止め、脚を閉じ…膝に両手を乗せた。

 ジタバタしても、どうにもならないのを悟ったか…耐える方向にシフトしたのだろうか?

 

「っっ!? 止まっ!? 止まらっっ!!??」

 

 水音は止まらない。

 そりゃそうだ、出し始めてしまえば、そうそう止められまいて。

 

 しかも…今回の優花里の尿意は、完全なスキル仕様だ。

 しばらく続きそうだな。

 

「ううぅぅぅ…」

 

 涙目…いや、半分泣いちゃってるな。

 はずかしさで、顔を真っ赤に染め上げ、いきなりの事でどうしたら良いか分からず…口をパクパクとさせている。

 それでも、出し始めてしまったモノを止められなで…俺の顔をその顔で見上げている。

 

 …。

 

 いやぁ…すっっっごい…こう…ゾクゾクッ! と、興奮が、背筋を伝って登ってきた。

 

「なんでいるんですかぁ…なんでそんな格好してるんですかぁ…いつから…」

「え? 最初から?」

「…は……はぁ!? こんな狭い室内…えッ!?」

「後、この格好は…ほら、ゆかりんまだ、変身中だし?」

「なにか関係あるんですかッ!?」

 

「 当 然 だ 」

 

 うむ。あるに決まっているだろう?

 こういった女の子の排泄を見て、興奮する趣味は、俺にはないのだけど…それに恥ずかしがる表情を見るのは大好きです。

 

「ドヤ顔で何を言っているんですか!? 耳塞いでくださいっ! 見ないでくださいっ! 出てって下さい!!」

 

「 断 る 」

 

「怒りますよ!!」

「いや、だって…これも防衛かと…」

「防衛っ!? なに、訳の分からないこっ…「あんこうチームで、なに企んでるんだ?」」

 

「  」

 

 あ、勢いが止まった。

 企み…その一言で、その表情が凍ったかの様に固まった。

 いやなぁ…だってなぁ…。

 

「なななっ!!…なんのこ…」

 

「…手錠って、一体何に使うんだ?」

 

「   」

 

 最初からいた…と、言ったので、すぐにわかったのだろう。

 ポロリと出した、独り言を…昨夜の事を…。

 赤く上気させた顔を、少し青くした。

 

 さぁ…各個撃破していこうか。

 

 

 

 

 ▽

 

 

 

 スキル…【 解 除 】

 

 効力は、まだよく分からない。

 あんな説明で理解しろという方が無理だ。

 だから、無視した。

 

 無視したら、思いの外…色々と躊躇が消えた。

 今まで出し惜しみ…というか、使いあぐねていたスキルが簡単に使用出来るようになっていた。

 だから使う。ならば使う。

 今まで、同時使用が難しかった…まぁ、頭の中の整理が上手く出来なくて、スキルの為に混乱してしまいそうな脳内が、妙にスッキリ。

 バンバンと連続で使用できる。

 もしからしたら、これが解除の効力だったのかもしれない。

 

 現状、使用スキル。

 

【 防 音 】…不自然に使用半径が、広くなっていた。学校を全て覆う事ができた。少ないとはいえ、他にも部活や何やらの為に生徒はいるからな。

【 聖 水 】…最低なスキル名だ……。とはいえ、各個撃破する為に、あんこうチームを一度バラけさせないとダメだった。まずは優花里をトイレへと誘導させる為に体育館で使用。

【 隠 者 】…はい、トイレに一緒に入る時に使用…。

【 増 幅 】…まぁ、ブーストというか、バフだよな…。感情等にも利用可能という事で…華さんにも使用中。【 聖 水 】と同時使用で、尿意増幅。

 

 

 そして、一番大切なスキル。

 

【 判 別 】…本気で嫌がり、嫌われたりする様な事がないように使用中。大・中・小…と、その度合いによって、脳内にブザーが鳴り響く様になっている。

 後はまぁ…簡単に言ってしまえば、性癖の鑑定だよな。今現在…ブザーが脳内に響き渡る事は一切無い事からして…優花里はこの状態に本気で怒っていないのが分かった。

 むしろ…華さんと同じ…この現状から、何かを期待している節が見て取れる。

 

 さて…ここからだ。

 

「ふむ…流石にもうでないかぁ…」

「ぅぅ……隆史殿、最低です…変態です」

 

 見たことないから、一度見せて? の一言で、優花里に脚を開かせ…俺に良く見える様な格好をしてもらっている。

 便座の上に座り…こちらに体を向けさせ…大股を開かせて。

 羞恥に染まりながら、こちらを恨みがましく見上げてくるゆかりん。

 しかし、怒っている様にも見えるが、その目の奥が少し…怪しい光を放っていたのを見逃さない。

 ぶっちゃけ【 判 別 】を使用すれば、その人間の本人でも気がついていない性癖をも分かるのだけど…それは流石にツマラナイ。

 探して行くからこそだろう? そこから、派生して別の性癖に目覚める事もあるしな。

 

 …あれ?

 

 なんだ…? 今まで、こんな遥か昔の考え方……嫌悪していたのに…まったく自然に出てきた。

 探して、派生させて……目覚めさせる…。

 ……まるで、これから調教するかの様な…。

 

 

 スキル【 解 除 】

 

 

「……」

 …アレ? なんで今、スキルが発動した?

 

「うぅ…でも、隆史殿。なんで一度服を着させたんですか? …脱げとか言われると思っていたのに」

 

 っと…イケナイ。

 優花里の声と、恨みがましい目の彼女に意識が戻る。

 

「ん? 脱ぎたかった?」

「っ!? んな事、あるわけないじゃないですかっ!!」

 

 はい。パンツァーファイブの衣装を再度、しっかりと着てもらいました。

 

 そして、後ろのファスナーをスキル【 改 造 】で少しファスナー部分を延長させた。

 …下の性器がしっかりと拝見できる程に下げる事が可能になりました。ので…そこまで下がらせ…そこを持って引っ張り、少し強引にだけど…下の毛が見える程まで拡張してもらってます。

 こういう衣装着ているのだから、脱がすとかありえないだろう。部分的に見せる、見えるのが良いのに…。

 後、一部を破いたり、破壊工作は絶対にしません。あれはタイツの専売特許です。

 あぁいったので、脱がせて全裸にする奴は、俺には理解不能だ。意味がないだろう。

 

「そっかぁ…期待した所、悪かったな。でもな? 俺は半裸の優花里が好きなんだ」

「…期待してませんし……そ…その好きは、あまり嬉しくありません」

 

 と、拗ねた様に軽く、顔をそっぽ向けてしまった。

 ので…。

 

「俺は優花里が好きなんだ」

 

「くぁっ!? なぁ!! なんで、普通に言ってくれないんですかっ!?」

 

 …真っ赤に取り乱してくれてますね。

 

「後、その全身タイツで言われても、嬉しくあり…ま…いえ…ちょっ……と」

「…ちょっと?」

 

 手袋にした手を、上げ…軽く親指と人差し指で、円を作りながら…少し俯いて言ってくれた。

 

「…ちょっと……嬉しいです」

「……」

 

 すげぇ格好で、すっごいポーズで言われたとしても…かなり…破壊力のある…お言葉…。

 俺も同じくして、顔に色が出そうになってしまう…ので…誤魔化そうか。

 あんこう怪人のスーツ…手の部分のヒレ? だろうか…それを取り外し手を露出させる。

 あ…後、格好がつかないので…頭部も外しておこう…。

 

「…期待していなかった割に…随分と素直に言う事、聞いてくれたなぁ」

 

 腰を落とし…その開かれた部分を、指で触る。

 

「ちょっ…やめてください! 汚いですよ!?」

 

 先程出したばかりで、まだ拭いてもいない箇所を、中指でなぞる。

 湿った性器の入口から…少し、ヌルッとした感触。

 

「…やっぱり、期待してた?」

 

「だから、期待してっっんんっ!!」

 

 ニチッと小さく音と一緒に、指に粘着液が付着していた。

 そのまま体を少し覆いかぶさる様にしながら…その中指をグチッ…と。

 

「やっ!! はぁっ!! んっふっ!!」

 

 ゆっくりと…奥に押し込めていく。

 指にまとわり付く肉壁と、侵入していく程に、高まる優花里の声が心地よい。

 

「ほら…普段なら、まだ指一本入れるのもキツいはずなのに。すんなり入ったけど?」

 

「んぁっ!!」

 

 指の付け根で、クリトリスの上をスライドさせながら、膣内の上部分を擦りつける様に、指を引き抜く。

 突然の同時に訪れた刺激に耐えられなかったのか…脚は開いたままだが、両手を俺の首へと巻きつけてきた。

 

「で…ですから…汚い……んんぅ!」

 

 喋らせない様に、また深く指を入れ…指先を何度も動かし、刺激する。

 俺の肩に顎…口を押し付け、声を上げない様に我慢した様だ。

 ビクビクと体が震え…体内で動かされている指の刺激に耐えていた。

 

「…なんで、こんなに濡れているのだろう…」

「しっ…知りま…ぁっ! うっ!!」

 

 喋ろうとすると、声が漏れてしまうので、すぐにまた俺の肩へと口をつける。

 

「いやぁ、すっごい音するけど」

「っ! っ! っ!! っあうっ!!」

 

 薬指も同時に入れる。

 二本の指が入りると、抱きしめる力更に強まった。

 後は…無言で、音だけで認識させる様に大きくたてた。

 ぐっちゃぐっちゃと、ゆっくりと丁寧に…優しく。

 

「やっ!! はっっ!!」

 

 指先でGスポットを刺激させながら、今度は前後から上下へと。

 ゆっくり動かす手だとしても、激しく大きく音が響く。

 顎を上げさせ…顔を近づけると…前回とは違い、今度は躊躇なく下唇を吸ってきた。

 ちゅぴちゅぴと、少し遠慮がちだが、小さく舌を動かしながら…。

 その至近距離から見た、彼女の顔は、羞恥と快楽と…色々な物が合わさった、とろけた顔。

 

「んっ…ちゅっんっ!?」

 

 舌先で唇をこじ開け、そのまま彼女の口内へと侵入させる。

 暖かく艶かしい、感触と共に、優花里の舌へと絡ませる…と。

 

「んんっっ!!!」

 

 最後だと…少し強く、激しく指先と掌を使って刺激する。

 彼女の膣内が、一気に絞まり…彼女の腰が引かれた。絞待った膣内をこじ開けるよう、更に動かすと…。

 

「んんっ!! んっ──!!」

 

 手の中が、彼女の体温で埋まった。

 指を伝って、下へと流れ落ちてゆく。

 水と水がぶつかり跳ねる音…。

 

 失禁…。

 

 スキルの効果なのか、なんなのか…果てると同時にだろう。

 しかし手は止めない。優花里の体内から掻き出すように、ぐちゃぐちゃとした音を、更に大きくさせていく。

 

「ふっ!! フー…フー…」

 

 口を押し付けられている肩が、優花里の吐息で、熱くなっていく。

 ガクンと、何度か脚を伸ばし、跳ねる腰。

 …ビクビクと、徐々にその跳ねる腰も、痙攣へと変わり…。

 

「やっ……はっ……ぁっ…」

 

 漸く落ち着いた。

 

 体重を俺に預け…呆けた顔で、コチラを見ている。

 体が小さく痙攣し…力なくダラン…と、両脚を投げ出している身体。

 失禁姿を見られた…とか、そういった詰りも、羞恥もなく…ただ力なく動かない。

 今まで見た事がない程のイキっぷりだったな。

 …いや? 例のキャンプへと行った時も、こんな感じだったか…妙に感じやすく…たった一回、果てただけで、もう何度も絶頂した後の様だ。

 

 …すでに思考が飛んでいるみたいだった。

 

 ……。

 

 優花里の性癖が、顕になった気がした。

 みほは…コレから受ける刺激は、嫌いではなさそうだが、ここまでではない。

 華さんは…刺激を求めて上手く、一致しただけだと思う。

 麻子は……う~ん。嫌がりはしないが、余り好きではなさそうだ。

 沙織さんは…………まだ、未体験だな。彼女の部屋のベランダではしてみたけど…あそこはまだ、彼女のテリトリー内だったしな。

 

 …で、優花里。

 

「ぇ……ぁ…ぅ…」

 

 ぐったりとした体を起こすと、俺の手の誘導に従って、壁に手を付きながらも立ち上がた。

 優花里との位置を交換し、俺が便座にへと座ると…また彼女を、誘導する。

 タイツの真ん中を、スキル【 改 造 】にて、丸く開けると、彼女の目がそこに集中した。

 今まで優花里の反応で、なんもしなくとも、そこから飛び出てくる陰茎を、呆けた様な眼差しで眺めている。

 

「……」

 

 そう、優花里。

 彼女は、行為をする場所に強く反応する。

 少し開放感を求める みほとに通っている気もするが…なんだろうか、この差は。

 口では嫌がるが、場所によっては、露骨に期待したかの様な表情になる。

 

 ……。

 

 ま、今回、いぢめるのは此処までにしておこう。

 今からは、新たな…部位の開発。

 

「ふっ…ふー…ふー…」

 

 コスプレにも似た衣装を着込んでの行為ですら、彼女はもう気にしていないだろう。

 それどころか…その衣装の下に、装着してたであろう下着をいつの間にかスキルで取ってしまって、ノーブラ状態ですら気がついていない様子。

 …なんで、このスキル…【 スティール 】だけ、こんなに定着していたんだろう…?

 ものすごい自然にできたんだけど…。誤差も何もなく、あっさりと強奪できた…。

 

 腕を伸ばし、衣服の上から、その見事な手のひらサイズの胸を弄る。

 生で触るより、衣服の上から触る方が、何故か気持ちがいいのはなんでだろうか?

 指先で、その胸の先端。突起部分周りをナゾルと、体をまた少しくねらせる。

 

 ……。

 

 優花里の性癖、その2。

 どうにも、彼女は場所の事以外に…行為となると…。

 

「優花里、前に教えた通りに…」

「はぁ…はぁ…わ…分かりました」

 

 従順に言う事を聞いてくれる。

 それが、どんな事でも…だ。

 命令? とでも言うのだろうか? どんな無茶で、恥ずかしい行為だとしても、その「命令に従う」という事に快感を得るかの様に。

 それは誰でも…という訳ではなく、彼女の中の一定の水準を満たした相手に限り。

 今もまた…全開教えた事を、羞恥に染まり顔を朱色に染めながら…。

 

「ぁ…ぅ…」

 

 …自身の指で、秘部を広げ…座った俺にへと、脚を少し上げた。

 ヒーロー物の衣装を着込んだ彼女が、その敵役へと……ゆっくりと…腰を落としてゆく。

 その腰が落ちていくにつれて、目を大きく開かれて行き…優花里の入口と触れる。

 陰茎の先を、ギチギチと音が出てしまいそうな程に締め付けながら…。

 

「ぁうっ! んっ……ああぁ…」

 

 躊躇なく、自ら飲み込んでいった。

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 

 

 

 廊下…。

 

 2階の…優花里さんと別れてた場所にまで、一応来てみた。

 あの様子だと、多分お手洗いかな? とも思ったからなんだけど…。

 その近くの階段のすぐそばに設置されている、おトイレにまで、まずは…と、来てみると…。

 その中から…廊下にまで響く…その…。

 

『 ── ぁっ! ぁっ! ──!! 』

 

 …幸い廊下には、私以外に誰もいない。

 まだ、あの劇の格好のままだから、こんな格好でいるのは、ちょっと恥ずかしい。

 …でも大丈夫。人気はまったくないから。

 だから…かな?

 特有の…声が中から聞こえてきた。

 ガタン、ガタンと…中の個室の壁だろうけど…それを何度もきしませ、叩く様な音も強く聞こえる。

 

 一瞬…やっぱり。とも思ったのだけど…正直に言ってしまえば、声だけじゃ中の人物が、誰かは分からない。

 だって…あの悲鳴にも、叫びにも似た…上擦った声って…誰か分からないんだもの。

 

 個室前にまで行き、ちゃんと確認を取るのは…ちょっと躊躇してしまい、女子トイレの入口のドアの前で…その……えっと…。

 

『 す― ──! ぃ…ぃぃい! ぁ──ですから-ぁぁ!! - -ぁ!! 』

 

 女性が出す、甘ったるい声…を、聞いているしかなかった。

 壁を隔てているっていうのもある。だけど、所々に会話も聞こえるし…今のこの学校にいる限られた生徒からして、推測は簡単だった。

 

 どうしよう………いた。

 

「……」

 

 所々聞こえる会話から、今の気持ちを…息を切らせながらも、言わせている見たいだった。

 …隆史君がやりそうな事だ…。

 たまに私も、言わされる…し…。

 

 普通なら、彼氏の浮気現場…なのだろう。

 許してしまっているので、今更…何も言えない…し。でも、だからといって、こんなに…間近でというのは…私だってショック…なんだと思う。

 頭の中に、冷たい刺激が一瞬走り…すぐにまた…色々とみんなの事を思い出してしまう。

 

 そして、いつもと同じで…逃げる。

 

 逃げる。逃げてしまう。

 

 …幸いにも、今回はその理由が目の前に有り、用意されていた。

 

『 ──-っクッ! ──すっ! いきっっ──!! 』

 

 ほら…今も…聞き耳を立てている。

 何も疑問もなく…優花里さんかと思える女の子の…声。

 いつまで此処にいるんだろうか…でも、なんでだろう。離れる気になれない。

 

 耳を刺す甘い声。…ドクン、ドクンと…何度も自分の心臓が跳ねている音が、大きく聞こえる。

 …あの優花里さんも、こんな声を出すんだ…とか。

 何を言わされている…んだろう…とか…。

 

 今…この中に、私が入っていったら…どうなるのかな?

 

 どうするのかな?

 

 どうなるんだろう?

 

 …今までのパターンだと、大体…一緒に。

 

「……」

 

 

 体の温度が、上がっていくのが分かる。

 無意識に、自分の体を撫でる様に触っていた。

 身体の疼きを実感できてしまう…。

 

 …あれ?

 

「…………」

 

 あれ…? 逃げる?

 

 違う…なにか、違う。

 逃げているとか…そういた事じゃない。

 

 …オカシイ。

 今までは、色々な感情が、湧き上がり始めるのを…他の…みんなとの事を考える事で、押さえ込んでいた。

 それが、無意識にだろうが、意識的にだろうが…分からない。

 けど、ハッキリと変な嫉妬が、完全に消えているのが分かった。それとは別の、湧き上がる感情が、どんな感情か分からなかった。

 

 分からな…かった…のだけど。

 

「…あ」

 

 気がついてしまった。

 今、この状況だからこそ、気がついてしまった。

 お友達との…開き直った関係…。

 

 キス解禁…全員で…とか…言いだしたのは…私だ。

 

 だから…そう。

 

 私も…今の状況を、楽しんでる…。

 

 自然と手が…上がって行く。

 入口へのドアノブへ、ゆっくりと。

 

 湧き上がる感情の正体がわかると…無意識にゆっくりと…左右に口が開ていく。

 

 ……あぁ…私はオカシクなってる。

 

 ここに入れば…どうなるか。

 何となくだけど…わかってしまう。

 でも、ゆっくりと…だけど、上がる手に…躊躇はなかった。

 

 何をどうされるか…恥ずかし思いもするし…また感情がごちゃごちゃになるとも思う。

 思うけど……だけど…。

 

 なにか…気がついてしまったら…。

 

 とても、楽になった気がした。

 

 

「 み ほ ? 」

 

「ひゃあっっ!!??」

 

 

 突然、後ろから呼びかけられた、よく聞いている声。

 驚いて背筋が伸びて…変な声が出ちゃった。

 というか…考えが全部飛んじゃった…。いきなり現実に戻された気分…。

 

「こんな所で、つっ立って、何してんだ? …それに、まだそんな格好して…って、俺も人の事は言えないけどな」

 

「えっ…ッ!? えっ!? えっ!?」

 

 振り向き、見上げる顔…と同時に、何度もトイレの入口へも視線を投げてしまう……ぅ?

 

「…何故、俺の顔と、トイレを見比べている」

 

 あれっ!? 

 

 あっっれぇぇ!?

 

 わ…私の後ろに…まだ全身タイツ姿の隆史君が、立っていた…。

 頭の部分と、手の部分は外しているけど…。

 きょろきょろと、顔を動かす私を、呆れた顔で見下ろしてるけど…ぁう…。

 じゃあ…トイレから、聞こえて来た声って…別人!? まったくの知らない人ッ!?

 

「……」

 

「どうした?」

 

 ああぁぁ!! 顔がッ! 顔がっ!!

 

 私っ! 私っ!!

 

「何、赤くなってんだよ…。はぁ…早く、着替えて…ん?」

 

 っ!?

 頭を掻いていた、その手が止まった…。

 その隆史君の顔が、私から女子トイレにへと向けられた…。

 今もまた、絶叫にも似た声が、漏れて聞こえてきてる…のだけど…。

 

「…みほ。いや、本当に何してんの?」

「ぅ……ぅう…」

 

 驚いて悲鳴を上げちゃったけど…それに気がつかなかったのか…まだ、何度も甘い声が、小さく聞こえてきている。

 それを隆史君も聞こえたのか…すぐに私の顔をまた、見下ろして来た…んだけ…ど。

 

「ちがっ! わ…私も今来たとこ…」

 

 反射的に出た言葉に対して…あ…まったく信じてない顔だ…。

 それはそうだろうけどっ!! ちょっとはっ!

 

「…みほ」

 

 うっ…悪い……顔してる…。

 

「ちょっと、確認させて?」

 

 

 

 ──────

 ────

 ──-

 

 

 

 そのトイレの横…抱きしめる様に…腕を私の背中に回しながら、廊下の壁に押し付けられてしまった。

 そのまま、背中をくすぐられる様な感触。

 

「っっ!?」

 

 あっと、衣装のファスターをお尻まで下げられた…くすぐられる様な感触は、摘みを探していたんだ…というか、なんて早技なんだろ。

 隆史君の手先の器用さが、最近、碌でもない事にばかり活躍している気がするよ…。

 

「ちょッ!? 隆史君、ここ廊下っ!」

「俺、生徒会のお仕事で、最後に学校出るって事で、見回りしてきたんだけどな? もう誰もいないの確認してるから大丈夫」

「大丈夫じゃないよ!? うぅ…お尻…」

「そこからファスナー最後まで開けないから、脚開いて」

「嫌だよっ!」

「ん…………っと」

 

 隆史君が何かを考える様に…確認するかの様に、こめかみを抑えた。

 考え直してくれるのかな? とも、思ったのだけど…。

 

「嘘吐き」

「何が!?」

 

 変に嬉しそうに…

 

「ほら、開いて、開いて」

「だから、ここ廊下だよ…流石に…」

「ま、ま、まぁまぁまぁ、ちょっとだけ! ちょっとだけだからぁ」

「その言い方なんか嫌ぁ」

 

 ぅぅ…なんか、すっごい軽く言う事じゃないよ…。

 あれ? 閉じた脚を、こじ開けようとしていた…手が止まった。

 

「…なら、みほ。一つ、聞きたい事があるんだけど…」

 

 見下ろす彼の顔が、ものすごーく…真剣だった。

 

「絶対にロクな事じゃなさそうだけど…。な…なに?」

 

 それでも、真剣すぎる眼差しに、そう聞き返すしかなか……

 

 

「手錠って、知ってるか?」

 

「  」

 

 …え。

 

「ヤられる前に、ヤる……って、言葉知ってるか?」

 

 なっ…え? はっ!?

 

「はぁい、今なら怒んないから、脚開けてぇ~」

 

「  」

 

 まぁ…結局、断り切れずに、素直に開いちゃって…そのまま最後まで開かれちゃった…。

 

 あ、はい。断り切れなかっただけだよ? 誰に言い訳してるか、分からないけど…。

 

 ば…バレてた…。

 

 一番下まで下げ…この衣装…こんなに後ろのファスナー部分、長かったかな…。

 そのまま…その…開かれた場所から…下着の合間を縫って…。

 

「みぽりん、デバガメは良くないと思うけど…?」

「ち…ちがっ! んぅ…」

 

 指が…。

 

「やっ…ぅ…はっ…たかっ!」

「おー…すごい…まぁ、月並みに言えば…大洪水って奴か…」

 

 …いつもみたいにまた、いぢわるをする。

 しゃがみこんだ彼の中指が小刻みに動いて…私に聴かせるみたいに…音を出しながら私をかき混ぜる。

 動かされる度に、身体が反応してしまって…気がつけば、前かがみになり…押し寄せる刺激を…待っていた。

 

「横からまだ聞こえるな」

「んっ…んっ…はっ…はっ…」

 

 少し、左右を見てみると、奥へと続く、物音もなく静かな廊下…。

 お陰で、横から聞こえる…誰か知らない人の甘い声と…私の押し殺した声が、変に大きく聞こえちゃう…。

 

「いやぁ…人の声で、ここまでになるとかぁ…」

「んっ…んっ…んっ…」

「さて…確認も取れたので、もういいかな」

「え? …ぁっ……はっ…んんっ!!!」

 

 もういいって言っておいて、入口を開いたり…揉んだり…浅く刺激していた指をいきなり、奥まで入ってきた。

 あまりに唐突だった為に、大きな声が出そうになってしまった。…唇を噛んで我慢したというのに、そこからまた…。

 

「中の声が聞こえるって事は、外からの声も聞こえるからな?」

「っっ!! んぐっ!! ぅぅう!!」

 

 ゾリゾリって、中を強く擦って…敏感な所を、ワザと刺激してくる。

 …こういう所で、相変わらず…私に声を出させようと、いぢわるをしてくる…。

 隆史君みたいな事をする変態さんが、他にもいた…とか、嫌味の一つも言ってあげようと思ったんだけど、声に出そうとすると…多分、別の恥ずかしい声が、大声で出そうで…。

 

「…ん、指が締まったな。相変わらず、絡める様に締め付けてくるなぁ」

「んんぅ!! んんっ! んんっ!! んー!!」

「って、事は…そろそろか。おー…すごいな…手にまで溢れてくる…」

 

 ぐちゅぐちゅって…音が…更に大きくたてられていく。

 いつもこんなに、言葉にしないのに、今日に限ってなんで、口にするんだろう?

 言われる度に、何故か体が反応しちゃう…。耳とか…目の周りが、ものすごく熱い…。

 

 気が付けば、隆史君の頭を抱きしめて、与えらる快感を堪能していた。

 優しく、敢えて気持ちの良い箇所の周りを、なぞる様に…また、ぐちゅぐちゅって…。

 

 来そう…。

 

 訪れそうな、大きな感覚に体中で耐える様に、腰が浮き、脚が曲がる…と。

 

「…はい、終わり」

 

 ぬるりと、突然、指を抜かれてしまった…。

 

「んっ…やっ…はぁー…はぁ…はぁ…」

 

 どうして? とか、言ってしまいそうになった。

 でも、呼吸が乱れすぎて…上手く声がでない…。

 

 ……。

 

 完全に私は、集中してしまっていた…。

 

 思わず、なんで? と、目で訴える様に下の隆史君を見下ろすと…彼がいきなり立ち上がった。

 片腕は、私の脚を持って。

 片足だけ上げられてしまい、上手くバランスが取れない。

 両手をすぐに壁に付き、倒れない様に支えにするしかなかった。

 

「んじゃ、次な?」

 

「つ…ぎ?」

 

 上手く思考ができない…。

 焦らされた…というか、最後の最後で止められ、行き場を失った快感が体中を駆け巡っているようで、何も考えられない…。

 少しボヤける視界に、彼の…その…アレが、いつの間にか露出しているのが目に入った。

 

 …それ、そういう作りだっけ?

 

「んっっ!! ぁああうっ!!」

 

 どうでもいい事を思った瞬間…彼が入ってきた。

 

「…っと、いつもよりキツイ…」

 

 …入れられた瞬間、視界が真っ白になった。

 一気に一番奥まで…お腹を押される様な感覚に、思わず声が出てしまい…。

 

「また、入れただけでイったかぁ…」

 

 ……。

 

 

 後は、もう…。

 

 

 

【 ──- 】

 

 

 隆史君が、なにか言った気がした。

 

 …けど、もういいの。

 

 気持ちがいい。

 

 …それしか、今は考えられなかった。

 必死で声を出さない様に、殺しているつもりだったけど、ほんとに大丈夫だったかは、良く分からない。

 この格好だと、いつもと違う角度で入って来て…違う感触が、キモチイイ。

 

 何度も、変なシュミレートをしてしまう。

 

 もし…正面のあの壁。…影から、まだ残っていた生徒が現れたら…。

 

 このトイレのドアが開かれ…中の人達が出てきたら…。

 

 脚を上げ…横から入れられている…こんな場所が……恥ずかしい所が…

 

「っっぁああ!!」

 

 知らない人に見られるなんて、絶対に嫌。

 

 嫌だけど…高ぶり溢れる変な感情で頭の中が、熱くなる。

 

 あまりの気持ちよさに、思い切り閉じてしまっていた目を開けると…やはり誰もいない。

 …普段学校へ来る時に見ている、居る場所での行為。

 

 学校…。

 

 何時もなら声が飛び交い、大勢の生徒が行き来している廊下。

 

 そのおトイレの横で、壁に手を付き…脚を上げて…えっちしてる……。

 

 隆史君が、入ってくる度に、目の奥が白くなって…ゆっくり引かれる度に、脚が震えちゃう。

 でも、隆史君もソレがわかるのか…腰を持って支えてくれる。するとまた、一番奥に当たるから…それだけで、何度も何度も…。

 

「…ふむ」

 

 まだ私に入ったままだけど…また…突然、隆史君の動きが止まった。

 

「みほ、ちょっと…首に手を廻せるか?」

 

 そのまま、体を近づけ密着させてきたので、まだ熱い温度が残っていた為、うまく考えができない。言われるままに彼の首に腕を回して…。

 

「悪いが、ちょ…と、んっ…」

 

 彼の唇に、唇を合わせた。

 顔が近づいたんだから、良いよね?

 …何をして欲しいか、わかっている様に、すぐに舌が入って来て…それに私も応える様に、動かし…絡ませる。

 奥まで…奥までと、もっとして欲しいから、意思表示の様に更に絡み付かせる。

 

「っ!?」

 

 彼は口を合わせたまま…今度は、体を支えていた私の脚をすくい……私の体を両手で持ち上げた。

 浮遊感に驚き…両腕で、しっかりと腕に力を彼を抱きしめる。

 

 …この格好…でするの……好き。

 

 一番奥に当たって…抱きしめ合えて…好き。

 

「悪いが、みほ。やっぱり、この場所だと集中できんから、移動するな?」

 

「んぅ…ばぁ……しょ?」

 

 私はもう、気にしないのに…。

 

 彼が誰もいないと言ったのだから、それを何処かで信じていた。

 

 変な確信があったんだけど…ナンデダロウ?

 

「ど…んっ……こ、に? また、トイレ?」

 

「んっ…いや、またって…。そ…んっ…。1階のほ…んっ!?……が、んっ…!!」

 

「っっはぁ…はぁ………ぢゅぅ…」

 

「…みほ。喋るのを……むぐっ……ぷはっ……口で邪魔するのやめてくれ」

 

 顔が近い…近いから、一生懸命に唇を吸って…キスがしたい。

 うん…そう。

 キスがしたい…だから。

 

「…やだ」

 

 自分でも分かった位に、ちょっと拗ねたみたいな言い方しちゃった…。

 

「………はぁ…。ちょっと、小さい頃のみほを思い出したぞ…」

 

 呆れた顔なんて、ちょっとひどいかな。

 それに、隆史君も…子供の頃の私を思い出すって…。

 

「隆史君の、ろりこん…」

 

「………………」

 

 あれ? 

 

 …あの。

 

 急に隆史君が、歩き出した…この格好のまま…? あれ?

 

 ……。

 

 

 

 まぁ……いいやぁ…。

 

 




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