※この作品はR-18です。

転生者は平穏を望む ~ルートPINK~   作:白山葵

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はい、アンケートご参加有難うございました。
活動報告にも記載しましたが、アンケ結果です。

1位 続・ルート ノンナ

2位 限界突破 華さん ガチ乱交
3位 宴編 柚子ちゃん編
3位 人妻偏の続き
5位 スナック 家元

と、なりましたので…ノンナさん編書きます。

序盤、華さん編がグングン上がって大差をつけていたで、イチャラブよりガチエロかぁ…とか思っていたんですが…ノンナさん編の後半追い上げが凄かった…最終的には抜いちゃったよ…と。
どうせなら…ノンナさんと華さん含めの絡みで、3pとか…一瞬構想してしまったり…。

アンケートおもろい…。というか、毎回どの続きを書こうかと思って迷うので、非常に助かります。続 ルート・ノンナの後書きででももう一回してみようかなとも思います、日付期限〆で…。今回も、そうすればよかった…

はい、では今回はPINKの第一話での話を、修正・追加加筆版です。
久しぶりに見直したら酷い酷い…直しました…そして気がついたら、2倍の文字数になりましたと…さ。
ある意味で、この話は見直しが必要でしたので、修正してみました。
色々と追加デス。



アンケート結果報告 + ※ルート IF※ Re:西住邸の夜

「あっっつい!!」

 

 暗い部屋の中。

 暑いという心のからの思いを吐き出し、ただ単純な感想を叫び飛びながら、思いっきり体を起こす。

 …くっそ。漸く寝れたと思ったのに…その暑さのせいで、完全に目が覚めてしまった。

 空調…エアコンの代わりに置かれた、型の古い扇風機が、モーター音と共に、ガタガタと音を立てている。

 

 この真夏の熱帯夜。

 気休め程度にしかならないであろう扇風機が、熱風を撒き散らし、むしろ暑さによる苛立ちを増長させる。

 

 西住流本家。…その和室の客間。

 普段は、客なんぞ泊まる事なんて、ないのだろうか? 

 掃除は行き届いてはいるが、人が全く利用した事がないというのが、雰囲気で丸分かりだった。だからだろうか…? エアコンが無い…。

 というか、布団と扇風機しかない。

 

 しかし、叫んだ所で何も現状は変わらない。起こした体の横で、熱風しか送ってきてくれない扇風機に、自然と視線を投げてしまう。

 よう相棒…お苛立って悪かった…。ある意味、お前が唯一の生命線だ。

 

「…はぁ…」

 

 くだない事を思いつつ…改めて先程の事を思い出しす。扇風機しかない、この部屋を自ら選んだのは俺自身だ。

 この部屋には、エアコンが唯一ないのは、家主であるしほさんは、知っていただろうよ。

 だから当然、空調の効いた部屋での、宿泊を勧めてくるに決まっている。

 

 …決まっては、いるけどさ…。

 

 しかしっ! …エアコンある部屋って、家主の部屋。その娘さんの部屋。んでもって、住み込み家政婦みたいな菊代さんの部屋。後は、客間とかリビングとか、しほさんの執務室とか…。

 

 

「…………」

 

 

 ど…どこに泊れと言うんだ…。大きなため息を吐きながら、頭を抱え込んで、先程思った感想を、敢えて! もう一度! 心の中で叫ぼう!!

 

 そんなの選択肢なんて、無いじゃないかっ!!

 

『 隆史、私のへ…『 隊長っ!? 』』

『 まほちゃん。…流石にどうかと… 』

『 そうか? 小さな頃は、良く泊まったではないか 』

『 …いつ頃の話を、引っ張り出してんだよ。エリリンいるんだよ?』

『 むっ…そうだな。残念だが、それならば仕方ない 』

 

 エリリンも一緒にお泊りだし…いや、しかしそれは、まほちゃんの部屋でのお泊りに当然なった。

 

 …当然……なったんだよ。

 

『 いや? …むしろ、その方が都合が良いか…? では、エリカ。さっさと寝てしまおう 』

『 …… 』

『 …… 』

『 どうした、二人共…さっさと寝るぞ? 』

 

『 ……尾形ぁぁ… 』

『 俺にどうしろと!? 』

 

 そんな訳で現在、真夏の夜のクソ暑い夜を満喫している。

 

 しかし…本当に、きつい。

 

 やっと襲ってきてくれた眠気を、この暑さが撃退してくれやがった。 余計な事しやがって…。

 ただ暑さできつい夜を、何とか我慢出来ていたのだけど…流石にこの大量の汗で気持ち悪く…もう一度、横になる気にもはならなかった。

 

 といっても…特にできる事もないので、ボケーとする事位しかなかった。ぐるっ…と顔を動かしていくと…客室の出入り口で動きが止まった。

 その出入り口。そこに設置されている支え棒が目に入る。いや…一応保険で、出入り口の襖…その横に斜めに設置した。

 外から開けようとすれば、棒が使えて開かない仕組み。鍵のない和室で唯一できる施錠ですね。

 とても原始的で、とても頼りになる棒。

 まだ眠れなかった、夜0時頃。この襖が、ガタガタと音を起てたので、コレの活躍を間近で見て、この性能を確認しているので、大丈夫。

 

『……』

 

 ガタッ…ガタガタッ!

 

『………チッ!』

 

 ガタガタガタガタッ!!

 

『……………チッ!!』

 

「……」

 

 

 外の廊下から、まほちゃんであろう、舌打ちの音が聞こえてきたから、まぁ……間違いないだろう。

 

 こえーよ!!

 

 なんで、夜中に来てんの!?

 エリリンとの会話で、やたらと早く寝ようと言っていたので…まさかねぇ~とか思って、施錠したらコレだよ…。

 …しばらくガタガタと、開かない襖と格闘したのだけど、30分ぐらいしたら帰っていった…と思われる。

 

「……」

 

 怖い。

 

 こんな夜更けに…本当に、何しに来たのだろうか…。

 みほとの事で、いきなりあの行動だったのだから…何を俺にする気だったんだろう…か?

 

 ……。

 

 やめよう。深く考えるのは。

 エリリンいるのに変な事は、しない……よな?

 

 よ…よし! 気持ちを切り替えよう。

 

 流石に汗をかきすぎた為か、異常に喉が渇いている。舌と口内が引っ付く位で、気持ちが悪いし…取り敢えず水分が欲しい。…というか、何か飲まないと死ぬ。

 

 喉の渇きというよりかは、下手すると夜の熱中症…もしくは、マジで脱水症状にでもなりそうだ。

 水道水で構わないから、兎に角、水を飲みたい。そうだな…台所にでも行くか…夜中に人様の家を彷徨くのもどうかと思うが、まぁ…水くらいなら。

 重く…汗で気持ち悪くなっている体で、立ち上がると、1階にある台所へと向かう為に…施錠用の支え棒に手を伸ばした。

 

「……」

 

 ふと、頭を不安が過ぎり…その手が止まった。

 

 い…いないよな? 廊下に…。

 

 流石にホラーだよな?

 

 枕元に置いておいた携帯で、時間を確認すると、そろそろ夜中の2時を回る、丑三つ時だった。

 うん…いないよな? 流石にいないよな?

 恐る恐る…ゆっくりと襖を開けて、頭だけを出して確認する。…某姉様は…よし、いないっ!! そうだよな! 流石にいないよな!! 

 

「…はぁ」

 

 …安心した所で、ようやく体を廊下に出すことができた。

 真っ暗な廊下に立っているというのに、なんだこの変な安堵感は。

 

 はっはー。

 

 そうだよな、寝るよな。普通…………寝てるよね?

 

 ダメだ…考えてしまうと、更なる別の不安な要素が、次々と浮かんでくる。ならば行動だ。

 ギシッ…と、音を出しながら、ゆっくりと暗い廊下に脚を出す。

 ……軽くお化け屋敷を散策しているかの気分になるのは…なぜだろう? 足首を某姉さまにいきなり掴まれたりしないよな?

 …めちゃくちゃ失礼な感想だろうけど、あの俺に一瞬見せた、なんと言ったら良いだろう…そうだな。

 肉食獣が獲物を前にしたかの様な、光った瞳が…頭の中から離れない。

 みほと付き合いだした…その、報告をした直後の彼女まで、連想して思い出してしまった…。

 

「……」

 

 ゆっくりと進んで行くと、漸く階段へと差し掛かった。

 音を意識し、ゆっくりと下りていく。

 

 そうだな…時間も時間だ。

 

 更には、人様のお宅だ。

 

 昔は、よくお泊りしたものだから、勝手知ったる他人の家。

 間取りも大体は、把握しているからな。特に暗くとも問題ない。…まほちゃんの事もあるが、流石に夜中だし、寝ているその人様達を起こさない様に、気をつけなければと、自然と息を殺す。

 

 そして、一番奥にある台所目指して、暗い廊下をまたゆっくりと歩き出した。

 

 

 

 

 

 ▽

 

 

 

 

 

 …うん?

 

 1階の真っ暗な廊下。その先の部屋の出入り口…だろうな。ドアの隙間から漏れている、細くなっている電気の光が見えた。

 ドア…といっても、襖だけどな。しかし、なんだ? 消し忘れか? 

 

 あの部屋は、確か…しほさんの、書斎だったか? いや…執務室だったな。

 完全な仕事部屋。戦車道関連の書類、書籍などで埋め尽くされた、少しモダンな雰囲気の部屋だった気がする。

 そんな西住流家元としての部屋だから、俺もそんなに入った事はない。

 …小さい頃は、無断で入ると怒られる場所だった。

 まぁ…大体は、みほがイタズラの為に入ろうとして、それを阻止しようと、俺とまほちゃんで、みほを追いかけての入室がディフォルトだったけどな…。

 いやマジで、あの頃のみほが、よくぞ彼処まで落ち着いた性格になってくれたと、実感できる思い出の部屋だよな…。

 あぁ…中学の時にみほが、間違えて酒を飲んでしまった事件を思い出してしまった…。

 みほ…飲むと、復活するんだよな…あの頃の性格が…。ヤンチャみぽりんが…

 

 はっはー! 流石のしほさんも、みほがあの頃みたくなるとは思わなかったようだね! …中学生になってから…子供の頃の様に、仕事部屋の中を荒らし回るとは、夢にも思わなかっただろうて。

 戦車道の戦略の為に置かれた、でっかい模型がボコに埋め尽くされ…書類が全て紙吹雪となり飛び散り…書籍は全て表カバーを変えられてた。…いやぁ…地味にイラつくんだよな…アレ。

 後はもう…バッキバキに割られたアレとか…まぁ…うん。凄かった。

 

 いやぁ…青くなって、茫然自失で立ち竦むしほさんを見たのは、あれが最初で最後だな。

 

 だから声を大にして、俺は言いたい。

 俺が酒飲むと、被害者しか出ないから気を付けろと言う割に、一番飲んじゃダメなのは、みぽりんですよ?

 

「…………」

 

 ま…まぁいいや。そもそも、真っ暗な廊下で、俺は何を言っているんだ…。

 

 ふむ…。電気の消し忘れくらいなら、少し入っても、大丈夫だろう。…消しておいてやろ。

 

 …ん~。

 

 それでも…と一応。無断で入る事に変な罪悪感を覚える。

 執務室の襖前に立つと、念の為に…と、その襖を軽くノックしてみようかね。

 夜中だし、本当に軽く…まぁ、流石に…

 

「…はぁい?」

 

 …あら、返事が返ってきた。

 

「あ、すいません。まだ起きてたんですね」

 

 そして、反射的に俺も返事をしてしまった。

 仕事中…だったか? 襖の向こう側から、はっきりとした、しほさんの声が返ってきた。

 あぁ、そういやエリリンに睨まれ続けた夕飯時に、まだ仕事が残っていると言っていたな。

 それで今まで仕事を…って、少し変だな…ちょっとくぐもった…というか、おっとりとした返事だった。

 

「隆史君…? どうしましたぁ?」

 

 ……。

 

 ほら…ちょっと、変だ。

 

「どうぞぉ…」

 

 黙って聞いていたら、入室の許可が降りた。

 特に何も言っていないのだけど…まぁいいか。入って良いなら、見て確認すれば…。

 

「あ…はい。では、失礼します」

 

 襖に手を掛け、ゆっくりとスライドをして行くと…エアコンの涼しい空気と、室内の明かりが廊下に広がっていく。

 

「まだ起きてたんですね、しほさ…ん!?」

 

 襖を開けた先に…家主である、しほさんが見えた。

 

 それはまだ、昼間の時の格好。そのままの出で立ち。

 

 更には、この部屋の違和感が、ものすごい。

 襖を閉めて、振り向き…しっかりと改めてその執務室を見渡すと、はっきりとその原因は明らかだった。

 畳が広がる、その奥。みほが昔、ボコまみれにした戦車道の模型…その更に奥には仕事机…。

 

「……」

 

 この人が、クソ真面目なのを知っているからだろうか。

 その仕事机に、普段なら絶対に無いであろう物があるから、そびえ立っているのが余計に目立つ。

 

「どぉ…しました? 隆史君?」

 

 椅子から立ち上がり、フラッ…と、少々おぼつかない足取りで、すぐにその仕事机にへと、寄りかかった。

 スーツジャケットを脱いでいるしほさん。彼女の真っ白いワイシャツ姿は、この明かりの下で良く目立つ。

 顔が熱っぽい様に少し赤く…ワイシャツ胸元が、第3ボタンまで開いているから、普段なら絶対に見せないその谷間ががが…。

 夜中にソレは、さすがに刺激が強い…。即座に目線をズラすと…あ。

 

 よしっ!! 現状を完全に把握したっ!!

 

「水飲みに台所に向かっている最中に! 部屋の光が見えまして! 消し忘れかと思い、寄った次第です!! では、失礼しますねっ!!」

 

 そうそう。絶対に仕事机に無いであろう物。…多種多様の……空になった酒瓶が、最低でも4本は目に入った!!

 

 おかしいっ!

 

 少なくとも、この部屋は仕事専用。酒なんて、間違っても持ち込む人じゃなかったはず!!

 返事というか、言動が若干おかしかったのは、これのせいかっ!! すぐに例の食事会の状態を思い出したぁぁ…。

 

 この人酔うとやべぇ…というのを主に!!

 

 よって、撤退っ!! 早口で理由を述べ、出て行く意思を伝えるっ!! ……と。

 

「隆史君…なんて格好をしているので…っく。…すか?」

 

 …スルーされた。

 

 俺の格好。まぁ…客服というか、旅館にある様な、浴衣が用意された為に貸して頂いた。それに暑かった為だろう。無意識にだらしなく、その浴衣は裸けていた様だ。

 それを注意されたのであろうけど…呂律が少し回っていない…。

 

「いや…暑かったので自然と…」

 

 はだけた衣服を正しながら、言い訳を時間稼ぎに、その部屋の惨状を確認する為に、今しがた逸らした目を動かしていた。

 いや、主にその仕事机を…。

 

 ……あの。

 

 日本酒の空瓶が、4本程寝転んでるんですけど? あれぇ? ウィスキーなんて、この人飲むんだァ…。

 いやぁ…仕事机の下で…更に他のが、2本程空になってますねぇ。

 

「お酒…好きなんですよぉ」

 

 ……やっばい。完全に出来上がってる。

 

「少し…みっともない所を見せて…しみゃいましたかねぇ?」

 

 噛んだっ!! レアしほさんだっ!!

 

 っと、一瞬…現実から逃げてしまった…。

 

 みっともない…そう言いつつも、悪びれる事もなく、手に持った琥珀色の液体が入ったショットグラスを仰いでいるのは何故でしょうか?

 一気に飲み干すと、カコンと机に叩きつけた…って、マジでどうしたんだろ…。完全にヤケ酒って感じですよ?

 あの…空になったショットグラスに、また琥珀色の液体を流し込もうとしないで……あぁ…。

 顔が項垂れた…と、思った瞬間…新たに注いだ、そのグラスの液体を、また一気に飲み干した…。

 めちゃくちゃ無理な飲み方…というか、大丈夫か?

 

「…はっ。今日はぁ~…良い事があった…良い日だと思ったのですけどねぇ~」

 

 あ、やばっ。

 直感でわかった…これは愚痴が始まる。

 

 しかし、こんな状態。しかもすでに話し始めた手前…俺は逃げる機会をに失った……。

 

「…まぁ? 私の水着撮影の件は置いといてぇ? 隆史君がぁ…みほとお付き合いを、始めた……ぁ。それは、それは、とても、とても…喜ばしい事です」

 

「ありがとうございま…す?」

 

 …言動が怪しすぎる…。

 

「ふぅ~…。隆史君はぁ、まほを選ぶと…っ! ばかり…思っていたのですがぁ…」

 

 無理だ。逃げれねぇ。うん…無理無理。

 

 次々と酒を煽る彼女を見て…「 大魔王からは逃げられない 」と、…なんか、そんな言葉思い出した…。

 

「え…えぇ。良い事があった…本当にぃ…そう思ったのです…けどね…本当に…良い…っ!」

 

 あ、確定だ。完全に愚痴モード入った。

 

 だって、机にショットグラス叩きつけて、前屈みになって震えてるし…はだけたワイシャツから、普段見えない谷間が重力に引かれているのが、見える…。

 その端から、黒い下着が、チラッチラ見えるのが…っとまずいっ! 流石にこんな状態の女性のあられのない姿を凝視するのは、卑怯だな。うん! 正々堂々もないけどっ!!

 

 ……。

 

 現実を見よう…。

 

 あ~…こりゃ、下手すると朝までコースだぁ。しほさんが、場末の俺がバイトしていた店にいた、酔っ払いみたいになるなんてなぁ…。

 この酔い方は……長いぞ。そして酷いぞぉ~…絡み酒っぽいなぁ…。

 手で顔元をパタパタ仰ぎ…そしてまたショットグラスを仰ぐ…。

 

 どうしたら…。

 

「…まぁ? 一応? キャバクラ通いの夫にも? みほの事は、連絡してやろうと思ったんですよ?」

 

 …黙ってハイハイ聞くしかねぇな。

 とんでもねぇ事言っていたけど、しほさんに言った時点で、常夫さんにも報告は行くだろうと、覚悟していたから別にいいけど。

 いい加減さ…キャバ通いくらいは、許してあげれば? とは思っていた。でも今、それを口に出したら…確実に死ぬだろうけど。

 

「でも!! ですねぇ!!」

 

「うわ!」

 

 ダンダンと音を立てながら、畳の上を地団駄を踏むかの様に、近づいて来た!?

 足元が覚束無いから、見ていて不安になるし、転んでもまずいので、狼狽えた様に手を前に出してしまう。

 それでも、強引に近づいて来る彼女に対して、一気に壁際に追い詰められる…。

 

 よって…。

 

「隆史くんっ!!」

 

「はいっ!?」

 

 俺の正面にまで来ると、俺の顔を見上げながらも両肩を掴まれた…っと……うん。酒臭ぇ。

 うっわ…完全に目が座ってる…。どれだけ酒を飲んでいたから知らんが…目が充血していた。

 

「今日っ!! それで、そしてっ!! 電話したらっ!! ですね…」

 

「はいはい…なんですか? もう…」

 

 あ~…あ~…顔も真っ赤になっちゃって…まぁ…このレアしほさんには、余り遭遇したくないなぁ…。

 

「う…うぅ…隆史君は、私の話もちゃんと聞いてくれるんですねぇ…」

 

 …あかん。だめだこりゃ。

 

 多分、しほさん(泥酔)の話を、真正面から聞いてやれるのって…千代さんと菊代さんくらいしかいないんじゃないか?

 …話の途中でも、ちょこちょこ話が脱線するしで…はぁ…。

 

 こりゃ…本気で諦めるか? …今日は、本当に寝れんかもなぁ…。

 

「またっ! またですよ!? 私の着信を中途半端に取った様でしてぇ……常夫さんの会話が、聞こえてきたんです…」

 

「はぁ…はい」

 

 旦那の事を、俺に対して名前で呼ぶとか…過去に一度もないなぁ…。

 大体、夫とか旦那とかだし…。千代さんとかに喋りかけているみたいに言うなぁ…あぁ、完全に俺を高校生って…子供っていうの、忘れてないか?

 

「多分…同僚の方ぁ…と、でしょうかぁ? 変な音楽が、聞こえてくるお店にぃ…いたようなんですけど……」

 

 変な音楽…?

 

 またキャバか?

 

 一度、どんな店かと教えて上げた方が良いだろうか? 特段、露骨に如何わしい店じゃありませんよと…。

 しかしそれは、諸刃の刃…。なぜソレを俺が知っているかと尋ねられたら、何も言えない…。

 

 まぁ? それでも、何とかせな…あ 「 風呂屋ってなんですか? 」

 

「……………」

 

…はい?

 

「えっと…なんて?」

 

「風呂屋です」

 

「…………」

 

 ある意味で、飛んでもない単語が、しほさんの口から、飛び出した。

 

 えっ…と。

 

 ……。

 

 …………。

 

 

 常夫ぉぉぉ!!!

 

 

 何やってんだあの男!!!

 

 

「本番って、なんですかぁぁ!?」

 

 

 いかん…これはまずい…。

 

「せ…銭湯の事じゃ…?」

 

「銭湯!? はっ! 調べましたよ! 調べましたとも!! 如何わしい所という事くらい、疎い私でも、即座に察しがつきますよ!!」

 

 ダメダ…。

 

 フォローできん…。

 

 

「はっ…俗に言う、「ソープランド」とか言う、風俗店の事ですよね!?」

 

「 」

 

 本来なら絶対に、しほさんの口から出ないであろう、施設名が飛び出しました…。

 

「お、俺に確認取らんでくださいよっ!!」

 

「同じ、男でしょうっ!? いかがわしいっ!!」

 

「勘弁してください!!」

 

 

 

 ほぼ単身赴任状態だし…まぁ同じ男として…? 理解できない訳ではない…。

 だが、そこを我慢するのは妻帯者として、当然の甲斐性だろうに…マジで何やってんだ、あの人…。

 最悪…商売女を相手にする位なら? …多めに見てあげたら? ……とは、この状態のしほさんになんて、冗談でも言えない…最悪だ……。

 

 なんで俺の胸ぐら両手で掴んだままで、いるんでしょうか?

 肩を抱く…とか、した方が良いの…か? いやいや、でも…。

 

「…つねぇおぉぉ……本番できる店見つけたとかぁ…何を嬉しそうにぃぃ…」

 

 あ…しほさんの手が震えだした。

 

 

 ヤメテクダサイ、シンデシマイマス。

 

 

 やぁ…。完全に、人によっては浮気だね…。もはや、常夫さんに対してのフォローが、完全にできませんね…。

 

 ん? あれ? それ以上、何もしないで俯いてしまった。

 

 気が付くと、しほさんが大人しい…。俺の胸ぐら…というか、着物の首元を両手で掴み、額を俺の胸に当てていた…。

 

「…しほさん?」

 

 これ……八つ当たりで、いきなり背負投げとか…されないよな?

 

 ……あれ…?

 

 特に何もしないで、そのままの格好から動かない…。

 

 立ったまま、寝ちゃったか?

 

 

「……」

 

「……」

 

 無言の時間が、しばらく続いた…。

 

 旦那さんの浮気を知って、特に泣く訳でもなく…小さく、鼻で呼吸をする音が繰り返し聞こえてくる。

 顔を覗き込む訳にもいかないので、このままの体制で、文字通り胸を貸してやるしかなかった…と、言っても流石に深夜だ。何時までもこのままと言う訳にはいかない。

 それに、そろそろしほさんも落ち着いただろう。もう終わりだと知らせる為に…しほさんの両肩に手を置き…軽く、優しく…叩いてみる。

 

 はぁ…相変わらずというか…戦車道以外の事は、不器用な人だな…。

 まぁ、今回はソレ以前の問題かぁ…しかっし…。

 

 年上なのだが…年下の人。

 

 不器用すぎて、心配になってしまう人…。

 

「……」

 

「あの…何と言って良いか、分かりませんけど…少しは落ち着きました?」

 

 …小さく、声をかけてみる。

 

「……」

 

「あの…しほさん?」

 

 彼女の体重が、更に俺の体に圧し掛かった…あの、壁際にいたから、その壁に俺を体ごと押し付ける様に…。

 

 あれ? 頬を俺の胸になんでつけたんですか?

 

 …ん?

 

 なんで腰に手を回したんですか?

 

 んん!?

 

「男性の……汗…というのも、あるのでしょう…か? 男の匂いと言うものを…久し振りに、嗅いだ気がします…」

 

「…は?」

 

 なんか、やばい事言い出した!!

 

 しほさんを、見下ろすと…艶のある黒い髪が…上下左右にゆっくりと動いていた…というか、くすぐったいっ!

 頬を胸板に擦りつける感触が…うっわ…本当に何してんの、この人!

 

「隆史君は、体付きも良いので…もう、普通に成人男性ですね……」

 

「ちょっ!? いきなり何言っているんですか!? というか、何をしてるんですか!?」

 

 

 まずい。

 

 これはダメだ。

 

 あれだ。あの食事会の時の、最終的にトチ狂った、しほさんと同じ感じがする。

 スースーなんか聞こえる!!

 反射的に下を向き、しほさんの顔を確認してしまおうとした。

 

 …それが、まずかった。

 

 いつのまにか、顔を上げ俺の顔を見上げる形になっていた。

 目は…少し潤んでいた…が。ハイライトさんが蒸発でもしたのか、不在でした。

 俺と目が合うと、すぐに顔を伏せ…また頬を胸板に擦りつけ始めた…。

 時折、徐々に荒くなる呼吸を繰り返し、いきなり止まったと思えば、唾を飲み込む様な喉を鳴らす音が聞こえる。

 それに、胸元に押し付けられている頬から、しほさんの体温が明らかに上がっている事から…徐々に現状の俺の立ち位置を把握していく…。

 旦那さんが、浮気した直後…この状態…先程のセリフ…。アルコールが入り、自暴自棄になるには、十分な理由が先程用意された。

 

「……」

 

 

 洒落にならない。

 

 い…一旦、距離を離そう。この抱きしめらている様な状態……。まずこれからだ。

 しほさんの肩に手を置き、そのまま押す為に、力を込めた瞬間…彼女の両腕が、触るなと言わん秤りに、両腕の内側から外側にへと払い出された。

 すっごい早技…本当にもう技だった。

 そのまま…宙に浮いた俺の腕の内側を添うように、腕を伸ばし…俺の頭の後ろに回して…頭を…首を…抱きしめるように…首に腕を回してきた。

 

「ちょっ…しほさんっ!?」

 

 首に彼女の体重が掛かる。引き寄せられながらも、何とか抵抗をするが…しほさんも爪先を伸ばし…俺の顔の目の前…。

 

「ぬむぃ!?」

 

 引き寄せられた瞬間、唇に暖い感触…って!! 思いっきり唇を合わせてぇぇlp!?

 

「んぅ!?」

 

 それだけでは無く…口の中に異物が侵入してきた。

 

 生暖かく…酒の味。

 

 俺を逃がさない為に…だろうか? 舌を舌で、縛る様に…口内で動き回る。

 

 しほさんの口からは、ニチャニチャとした音と、少し甘いと感じる…吐息が聞こえ始め…俺の口の中を貪る様に動き始める。

 

 そう…貪る。

 

 その表現が正しい。

 

 動けないで硬直している、俺の口の中を、ヌルヌルと彼女の舌が這いずり回る。

 すでに聞こえるのは、彼女が俺の口と舌を啜る音だけ。

 両腕で、俺の頭が離れない様に、乱暴に舌を絡ませる。

 

「んっ…はっ…んちゅっ…」

 

 ……。

 

 …正直、気持ちはいい。

 

 いいのだけど…混乱した脳内では、その感触すら、混乱を更に加速する行為の他ならなかった…。

 取り敢えず、強引に体を引き剥がそうとも思ったが…疲れたのか、満足したのか。…行動を移す前に、俺の口から離れた。

 

 ゆっくりと、体…いや、顔を離すその口からは、俺の口まで繋がる、唾液の糸を作り出していた。

 しかしソレは、すぐにそれは切れてしまい、彼女の口元から、胸元まで落ちた為に、細い光る線を引き…。

 

「ぐっ…」

 

 正直官能的で、ちょっと色々と揺らいでしまったのだけど、理性を持って対応しよう。

 くっそ…顔が暑い。

 

 目に光が無い。

 

 比喩なんて簡単だけど、この目はダメだ…。

 

 …彼女は常夫さんの行動で、今までの事も含め、完全に参ってしまったのだろう。じゃなきゃ…分別ある大人が、自分の娘と同い年の男…更にはその彼氏…男に、こんな事はするとは思えない。

 しほさんならば、余計に…。しかし、普段真面目な人間が、ある事が切っ掛けとなり、どうにかなってしまうのは…過去に……遥か過去に見た事はある。

 

 その場合……反動が凄まじい…。

 

「…なぜでしょう?」

 

 …と、小さく呟きながら、また首に腕を回してくる。

 前髪隠れた目が見えない。…その為、彼女の近づく唇が非常に目立ち、思わず見入ってしまう。

 

 普段…化粧気が余り無いしほさんの唇。

 

 …唾液に塗れ、艶と光沢が…妙に艶かしい化粧となって強く強調してくる唇。

 

 一緒に視界に映る、細く…白い首。

 

 根元へと続き…更には俺の胸に押しつぶして来る様に膨らむ胸…。

 

「…もう、疲れました…もう……」

 

 …しほさんの様な立場のある女性が、普段どれほどの重圧にあるかは知らない。

 それらの全て…張り詰めていた気持ちが。伸びきってしまっていたであろう…彼女の中の大事な何かが…切れている…のか?

 …熱の篭った吐息と共に…吐き出された言葉。

 

 それは、普段の彼女なら絶対に言わない言葉。

 

 全てを放棄する言葉。…挫折の言葉。

 

 

「 ド ウ デ モ イ イ 」

 

 

 もう一度、今度はゆっくりと…唇を合わせてくる…。

 唇で唇を噛み、小さく下唇を舌先でなぞる…。

 

 う…動けない…。

 

 小さくキスを繰り返しながら…何度か口を離す。

 

 離しながらも、彼女の口から呟かれる言葉が、俺の動きを縛って止める。

 

 西住の為に…。家族の為に…。がんばっていた。我慢していた。

 

 誰も彼も、娘も、夫も。

 

 誰も分かってくれない。

 

 …と、単純な不満。誰しもが言う、身勝手な不満。

 

 何に対してかは分からないが、子供の様な不満を淡々と…しほさんが…あの彼女が吐き出している。

 

 言えば言うほど、口の動きが早くなり。

 

 言えば言うほど、口を吸う行為が徐々に強まる。

 

 最後には、唇を噛み、俯き…嘆く。

 

 

「…挙句…裏切られた」

 

 

 確信した…。

 

 何度も見た…いや、見てきた。

 

 自身を汚したい。自分の欲を満したい。…その行為を正当化したい。

 

 逃避を性欲で誤魔化すのは、よくある行動…要は…。

 

「んぐっ…し…しほさん?」

 

 

 …彼女の心が、折れた。

 

 

 痛いほどに口を合わせ、口内を舌で貪る。

 

「はっ…ぁ…はぁ…んんっ! はっ…んっ!」

 

 怨嗟の言葉を呟く為に吐き出していた息を、熱い吐息に変えて、何度も繰り返していた。

 息継ぎの為に繰り出される、その熱い吐息。しほさんは考えるのをやめてしまったのだろう…か。

 

 ま…まずい。

 

 まだ理性はある。理性は保っている。

 保っているのだけど…。

 

 男を求め、貪る彼女。規律を主にしている彼女が、ここまで豹変してしまった

 手はすでに首に無く、浴衣の内側へと腕を滑り込ませ、俺の体を撫で回していた。

 なめらかに滑るその手の感触と、あの豊満な胸を押し付けられながらも、更には…舌を……。

 

 口から首へ。…キスをしながら、胸を摩る行為を、何度も何度も繰り返す…。

 

 …だから、まずい。

 

 完全にアレが…起き上がってしまっている。

 

 浴衣の下…履いている下着が押し込め、痛いくらいに感じてしまう程に…。

 それにしほさんも気がついたるのだろうな…。

 多分…見れば在り在りと、その存在を型どってしまう程に勃起したモノを、下着の上から、ゆっくりと…上へ下へと優しく摩り始めた…。

 細い指が、陰茎の形をなぞる様に擽る…。

 

「…はっ…はっ…」

 

 下着越しだが、たまに引っかかるしほさんの指先に体が反応してしまい…何度か体を震わせる。

 その俺の反応に興味が移ったのか…今では…たまに見える、彼女の口元が…笑っていた。

 

「…本当に…隆史君は、私を…こんな私を、女として見てくれるのですねぇ…」

 

「むっ…昔から! …そう言ってるじゃないですか…だから…」

 

 楽しそうに話すしほさんの口が、もう一度胸元へ…。

 

「ちょ!? しほさんっ!?」

 

「んちゅ…なんでしょう?」

 

「い…いや…何を…」

 

 ふ…普通の女性は、そういう事しないと思うのですが…とは、言えない…。

 今度は、胸板の横…乳首に口を付け…舌先で舐め始めた…。

 舌先からの刺激で、少し腰が引けてしまう…。

 

「たまに…夫に頼まれました…」

 

 常夫っ!!

 

「…絶対にしませんでしたが」

 

 ……。

 

 だろうね…。

 

 吐き捨てる様に言いましたしね…。

 

 確かに、しほさん…そういうお願いは、聞いてくれそうにないしなぁ。

 

 いや、お陰で少し冷静になれた…。

 突き放す事は出来なくとも、今ならやんわり中断できそうだ。

 

「…もう、いいでしょう?」

 

「……」

 

 何を言いたいかは、すぐに分かるだろう。俺の言葉に対して、何も言わない。

 これ以上は、洒落になら…いや、すでにまずいのだけど、正直に白状してしまえば、理性が限界だ…。

 押え付けられていた反動というモノを、今現在身を持って経験しているからこそ…だ。

 

 ただでさえ、歪みに歪んだ、俺の性欲とやらが変に暴走してしまうと…どうなるか分からん。

 だから此処で、もう…終わりだ。

 

「しほさん…流石にこれ以上は…みほに「 あぁ…そうですね… 」

 

 みほの名前を出したからか、俺の言葉を遮った。

 バツが悪そうに遮った言葉からは、何も感じない。ただ「そうですね」と言ってくれた。

 ならば…と、思い止まってくれそうだと、少し安堵の……

 

「っっ!?」

 

 違う…。

 

 言葉の意味が違うのを、すぐに確信させられた。

 

 …こ…これは、本気でまずい。

 

 しほさんが、顔を傾け…舌を出し、犬のように…胸の表面を舐め取る様に舌を這わせた…。

 顔半分。前髪の間から、はっきりと見えた目と…顔が表情。

 

 完全に女の顔になっている。

 

 見た瞬間、ゾクッ…とした感覚が走った。

 熱の帯びた目と…口と、表情。

 俺の胸板に唾液の線を引く姿から、俺を完全に、ただの男として見てると確信付けた。

 

 娘の彼氏、娘達の幼馴染。

 

 そんな言葉、関係性は完全に飛んでしまっている。

 

 息が甘い。甘い音にしか聞こえない…。

 

「そうです…思い出しました」

 

 思い出した…。何…を?

 

 普段の彼女から、想像すら不可能な位の…行動が、彼女を「一人の女」としての認識に脳内を塗り替えられていく気分だ。

 

 …ダメだ…これは無理だ。

 

 真一文字に結ばれた、普段の口。

 それが今は、だらしなく開けられ、俺を舐め尽くそうとしている。

 

 見るもの全てを畏怖させてしまう程の、普段の眼。

 それが今は、熱を帯び、潤ませながら、俺を求めてくる。

 

 昔から見ている…見惚れていた。

 

 そんな彼女が、前面に…俺に対して押し出し、見せつけてくる…「女としての自分」

 俺は今、冷静を保っている…。保っていた。保っていた…つもりだった。

 

 だが、気がついてしまった。

 

 俺も動かないで、次の行動に期待している自分自身に。

 

「んぅ…これも夫には、何度か…頼まれましたね…」

 

 すでに瓦解している理性に。

 

 気がついた頃には、時既に遅く…しほさんが、俺の下着に手を掛け、下ろそうとしている。

 

「滅多にしませんでしたが…」

 

 口を離し…顔を離し…俺の足元に跪く様に腰を落とし、正座をする様に両膝を畳に付けた彼女。

 

 その姿に…次の行動を、期待している自分がいる。

 

 だから…もう、無理だ。

 

 

 

 

 ▽▽▽

 

 

 

 

 俺の陰茎が、すでに顔を出され、聳え立っている。

 

 規格外のその大きさ…。体に比例したソレを見て…一瞬、しほさんの、ゴクリと息を飲む音が聞こえた。

 それはそうだろう…小さな子供の腕程のサイズだ。多少は誇張は有るが、一般のソレとは規格外すぎるからな。

 海外AVの男性男優のソレと同じ様な…しかし、膨張率は日本人。重量感も漂っているだろう。

 

「………ぇ?」

 

 しほさんも、これを見て冷静になれたのだろうか? 熱っぽく、赤くなっていた顔が、少し青色を指した気がした。

 その顔色見て、もうダメだと思った自制心が少し回復した。

 そうだ…これで躊躇し…臆してやめてくれれば良し。俺もまだ戻れる…しかし、これ以上続けるのならば…。

 

 多分…。

 

「…はっ…あ……」

 

 そんな淡い期待…いや、言い訳。

 それも、ただ虚しく感じた…。

 

 見下ろすしほさんが、口を広げ…舌を伸ばした…。その姿を見ても、もう何も言わない。

 下着を下ろされた時も、陰茎を取り出された時も、俺はただ黙って見ていただけだ。

 

「……ぁ…」

 

 小さな声と共に、生暖かく、柔らかい感触をすぐに感じた。

 久しぶりの感覚が、快感が…脳髄へと伝わってきた。

 

 …下から支える様に舌を添え、一気に口内へと、ソレを飲み込む。全体が暖かい人肌に包まれる感覚と一緒に、しほさんの頭が…俺の股間の中へと沈んでいく。

 少し苦しいのか…舌が口内の空いたスペースを探すように動くと…裏筋を滑らかに通る。

 ヂュッ…と、音が漏れ…そのまま彼女の頭が、舌の感触と一緒に…ゆっくりと後ろへと引かれ…前にとすぐに動き始めた。

 

「っ!」

 

 思わず、声が出てしまった。

 

 舌を筋から筋。隙間から隙間まで、舌全体を使い、小刻みに、しかし時には大きく動かした。

 …彼女もそんなに経験は無いのだろう。

 それは、テクニックと呼ばれる様なモノではなく、ただ知識として知っている…程度の動きだった。

 

 ―が。そんな事はどうでもいい。

 

 俺は既に、彼女が口での奉仕…という物を開始した直後に、この状況に酔っていた。

 

 そう酔ってしまった。

 

 …動けない。

 

 こんな奉仕行為。止めようと思えばすぐに、止められる。

 押し寄せる刺激に、腰が引け…気がつけば、しほさんの頭にへと手を添えていた。

 …言い訳すら考えなくなっていた。

 

「…んぐっ…」

 

 喉奥にまで飲み込まれた。彼女の後頭部を手で押さえ、動かない様に固定すると、少し苦しそうに…だが応える様に舌がヌルヌルと動き回る。

 少しざらついた様な感覚が、心地よい…。

 

「……」

 

 …快楽というモノが、ここまで自制を殺すとは。

 

「…んっ…んっ…んっ!」

 

 しほさんも多少、慣れてきたのだろう。漏れる少し苦しそうな声からクチュクチュと、唾液が混じる音に変わり…。

 

「んっ…ぶっ…ぢゅぷ……ぢゅ…ぷ…」

 

 

 …啜る音からジュポ、ジュポと小さくしゃぶる音に変化し、そのままリズミカルに、前後運動が激しくなってきた。

 舌を一緒に絡めながら動かされる快楽の為に、背中が曲がり…彼女の頭を体で包み込むように前かがみになってしまう。

 すぐに背筋を伸ばし、腰を突き出す。

 

 成されるがままになってしまっている現状だが…彼女を止めない。止められない。

 

 この感触を味わっていたいという感情と、見ていたいという欲が大きくなり…思考を支配する。

 

「…ンッ! ンンッッ!!」

 

 自分でも分かる。意識が亀頭に集中しはじめた。

 

 …早い。自分でも笑ってしまう程に、早い限界が訪れた。

 

 しかし、ソレも仕方がないだろう?

 

 俺の股の下。

 

 この世で、生まれて初めて意識した女性。初恋、初恋とからかわれる事も度々有るが、敢えて否定はしなかった。

 そんな…その女性が、一心不乱に俺を…俺、自身を貪っている。

 …下品にな音まで立てて…貪っているしほさん。亀頭が少し膨張したのが、感覚的に分かったのだろうか?

 

「……」

 

 確認する様に…。

 口いっぱいに陰茎を咥え込み、潤み熱に浮かされた瞳で…上目使いで俺の様子を確認してきた。

 

 ……。

 

 それは、ずるいでしょうが…。

 

「んぶっ!? ふぶっ!!」

 

 彼女の後頭部を抑えていた手の力を強める。

 大きく引き出された頭を、少し強引に押し込めるように促すと、それに応えるように前にまた、飲み込む。

 ガポガポと音が聞こえるが、気持ち良さと心地良さで、更に動きを早めさせる。

 

 …無意識だったのだろうが、気が付けば関係ない。

 今更、止められない。

 

 俺自身、腰を彼女の中へと動かし始めていた。

 

「んぅっ! んぐっ! んぐっ!」

 

 …と、苦しそうな声を漏らすが、彼女も動きを止めないからと、更に早める。

 

 ……。

 

 …………。

 

「んぶっ!!??」

 

 今度は遠慮なく…腰を引き、前かがみになってしまい…彼女の頭を両手で掴み抱え込む。

 

 口から吐かれる息が激しい…。

 

 肩を動かし、腰が小さく何度も跳ねる。

 

 ドクドクと脈を打つ陰茎。

 

 そのまま彼女の口内に、戸惑いと躊躇。罪悪感も何もかも。欲と一緒に吐き出した。

 

「ふっ…ぅっ! ぅ…んぅ…」

 

 まだ出ている…。

 

 随分と長い射精。

 

「…はっ…はっ…くっ」

 

 息を乱し…掴んでいた彼女の頭をゆっくりと、陰茎から引き出す。

 根元から外の冷気を感じながら、彼女が離れていく…。

 

「ぁー…ぁー…」

 

 うまく呼吸が、できないみたいだ。

 口を大きく開け…俺の顔を見上げるしほさんは、苦しそうな大きな息を繰り返していた。

 

 それはそうだろう。

 

 抜き出され…開放感もあるだろう彼女の開かれっぱなしの口からは、その陰茎から伝う、唾液と精液の粘着質な糸が何本も繋がっている。

 そしてその口内は、唾液が混じった真っ白い液体で満たされている…。

 

「ふっ…はっ…はっ…ふっ…」

 

 呼吸を繰り返す振動で、口内からこぼれ落ち…彼女の首から胸元へ伝い…ボトボトと質量がある音を出しながらも、畳と彼女の股にも落ちていく。

 まだ残っている様な感覚がしたので、少し搾り出すように陰茎を扱くと、残された精液が飛び出し、開かれた口…彼女の顔を汚した。

 

「はー…はー…」

 

 息が荒れる。

 興奮と色々な気持ちが入り混じった、特殊な感情。

 

「……」

 

 言葉にできない。

 

 口内を精液で満たし…顎を上げ、そんな姿を見せつけるかの様に俺に顔を向けている。

 

 見入ってしまう。精液に顔中汚れた、彼女の姿……顔。

 熱い。…足元から心臓を駆け抜け、脳まで一気に熱くなって行く。

 

 舌を動かし始めた。

 

 お陰で更に、首筋をつたい、胸の谷間へと丸みを帯びた線を引きながら…口から体液が溢れてくる。

 

「…んっ…」

 

 突然、口を閉じた。

 閉じた口も…唾液と精液に塗れて、唇が官能的な光を帯びている。

 

 見入る…黙って、見入ってしまうしかない。

 

「……ん…ぐっ…んっ…」

 

 !?

 

「…は…ぁ…」

 

 突然の行動…。

 一回顎を上げ、すぐに下げた。そして聞こえた喉を鳴らした音…。

 下から覗き込む様に、コチラを見上げて…。

 

「…この方が、男性は嬉しいのでしょう?」

 

「…ぇ…っと?」

 

 た…淡々と、言い放った…。

 

 そのまましほさんは、身体を重そうに、ゆっくりと立ち上がり…汚れた顔のまま、スーツのパンツを脱ぎ始めた。

 布の擦れる音がすると…下だけ下着姿になってしまった。

 黒い…レースの布地が…ワイシャツと太股の間に見える…。

 

「はぁー…はぁー…はっ…夫もそうでした…」

 

 吐き捨てる様に言ったそのセリフ。そういえば先程から、常夫さんを指す言葉は、夫という言葉に変わっていた。

 

「口に出されるのも…飲み込むのも…絶対に嫌でしたが…ね」

 

 いや…それ以前に、どこか比較…当て付けの様な事を、何度も言っている。

 情緒も何もない…作業の様に、俺の前だとか…もう何も気にする事もなく、すぐに脱いだモノ脱いだスーツパンツを、適当に放り投げると…真っ直ぐにこちらに視線を向けた。

 黒の下着…姿…。上はワイシャツ一枚を着てはいるが、体液に濡れ汚れたソレは、彼女の肌色を薄く透けさせている。

 ふらついた脚のまま、俺に近づき…強く肩に掛かる衣服を掴み、引っ張りながら後退した。

 

「はぁ…はぁ…こ…んな歳で、男の味を知るなんて…」

 

 ハァーハァーと、息を切らしながら呟く。

 

 仕事をする為であろう、机に腰を付け、体重を預けた。

 そのまま誘う様に、熱っぽい顔を上げ…口の端を舐めりながら、舌を覗かせた。

 

「…わ…悪くない…ですね…」

 

 また、ゾクッ…と悪寒にも似た何かが背中を走る。

 男の味…とか、常夫さんの事とか…俺に…いや、普通絶対に言わない事を…はっきりと言う彼女がしなだれ掛かってきた。

 そのまま俺の首に腕を回し…誘導するかの様に、俺の体を引く。

 唇を合わせ、口を吸う……。首に回った腕を、自身の服を脱ぐ行為へと変える…。

 ワイシャツを投げ捨て、ブラジャーまでも脱ぎ捨て…。

 

「はっぁ…ぁ…」

 

 その何時も…何時も使用している、仕事机にへと背中を預け、仰向けになった。

 

 ……。

 

 そして、日常的に使用し、現実を感じさせる、その仕事机で……俺を誘う。

 

 

 

 

 ▽▽▽

 

 

 

「…んっ」

 

 抱きしめる様に、口を合わせてくる。

 

 思わず、彼女の秘部にへと腕を伸ばしてしまった。…触れると下着の上からでも、粘着質の液体が指に感じた。

 しかしすぐに…前戯はいらない。早くしろ…と、催促するかの様に、段々と激しい息使いと一緒に口内へと舌を入れてきた。

 苦味を感じる口内で、またニチャニチャと、慣れない動きで、舌を絡みつけてくる。

 

 秘部の前の布を、ズラす為に少し引っ張ると、ニチッ…とした音がする。

 

 …体を離し…彼女の下着へと手を掛けると、ようやくその気になってくれたと思ったのか…期待を込めた目を俺に向けてくる。

 下着を脱がせ…足を通し…机の横へと置くと、ゆっくりと脚を開かせた。

 既に、俺がみほと関係を持っているかと思い込んでいるのか…全て俺に委ねる…。そういった感じだった。

 

 …思い込んでいるのならば……あ、いや……もう…今更…だ。

 

 そう…もう…今更。俺も、我慢なんて出来やしない。

 

 考えるのを…やめよう。

 

 自分に言い聞かせる様に、すぐに陰茎を、そのまま秘部の入口に当てた…。自分の口から、熱い息が出ているのも気がつかない。

 目線がもう、そこにしか行かない。自身のモノと、彼女の入口。少し当たるだけで、おかしくなりそうだ。

 亀頭先を添えると、すぐに飲み込む様に周りを、膣口が包む。後は…押し込むだけ。

 

「……」

 

 しかし、その先…全て吐き出したハズだった、何かがまだ残っていた様だ。

 

 …一瞬だけ躊躇した。

 

 だから思う。故に思う。

 

 …今、このまま…超えてしまったら…崩れる。

 

 彼女の…彼女達との、関係が歪んでしまう。…いや、崩れてしまう。

 

 …。

 

 ………。

 

 …これ以上は…。

 

「あの…し……ほ…さ…」

 

 顔を上げ、しほさんに喋り掛けようと視線を戻し、口を開こうとしたが…目に入ってしまった。

 

 いや当然、入るだろう…自分の白液で汚れた…彼女の顔を。

 しほさんは抵抗も何もない。ただ、期待を込めた目を向けている…その顔を。

 赤く上気した肌、潤んだ瞳。濡れた唇…その全てを、自身の体液で怪我している、その顔を。

 

「……」

 

 最後の砦。

 

 

 …意識…最後に残った何が…消えた。

 

 

 ゆっくりと腰を…突く。

 

「ふっ…んんっ!」

 

 徐々に飲み込まれていく自身の陰茎。

 

「はっ…ぁ……ぁ…」

 

 飲み込まれて行けば、行く事に…進めば進む事に…彼女が、呻く。

 ミチミチと、小さな音…しほさんの声が、鼓膜を通して理性を刺激し…別の欲望に変えていく…。

 

 陰茎の中間位までは、愛液で滑り…緩やかに彼女の中へと入っていった。…が、すぐに異物を押し出そうと、肉壁が絞まる…。

 正直、このまま止まっているだけでも、畝ねる熱と刺激で気持ちがいい。

 …いや、なんだこの絞まり方は……言いたかないが…子供生んだ女性の体じゃない…。

 

 彼女の性格からして、常夫さんに、子供を作る…という目的での行為としてしか、そんなSEXしか、許さなかったのだろうか?

 でも、この人クソ真面目だから…知識としてしか知らない…だろうし。…だろうか? 口での行為も、性技と言えるモノも、夫との行為で…嫌がった…。

 余り経験があるとは、思えないほどに絞まり…肉壁が絞り取ろうと動く膣内を味わいながら、変に冷静に分析できている自分が嫌になる…。

 

 ……。

 

 常夫さんに、少し同情するも、それ以上に黒い欲望が湧き上がる。

 

 …………。

 

 

 ガタン…と、大きく机が鳴る。

 

 

「んっっ…ああっっっ!!!」

 

 ……。

 

 奥の壁に当たった感じがした瞬間、彼女が大きく背を逸らした。

 

 ……。

 

 白い腹を大きく上げ、肘で体を支えている。

 

 

「ぁ…ヵッ……」

 

 

 彼女は、俺のモノを入れただけで、果てた。

 

 不意打ち気味に、止めていた腰を、一番奥…彼女の壁にまで突き当てた。

 彼女の中を、俺のモノで満たし…形を変える。上書きされる内部の形に、殴られた子宮。

 

 結果…あの「西住 しほ」が、俺のモノを入れただけ…で、果てた。

 

 背筋を反らせ、豊満な胸を弾ませ悶絶している。

 

「ヒュッ……フッ……」

 

 出来るのは、小さな甘い声を出すことだけ。

 

「……」

 

 多分俺は、今悪い顔にでも、なっているのだろうな。

 

 そんな彼女を見た瞬間。

 

 背筋に、ゾクゾクとした感覚が走り抜ける。

 

「……」

 

 ズルッ…と、少し引き抜いて見ると、白く粘ついた液体が、根元に付着しているのを確認するのと一緒に、陰茎の根元周りを包む様に、ヒクつかせてる女の肉が見えた。

 グチャグチャに体液に塗れている部分を少し、指で探ると、その白い…本気汁という愛液を親指で救い取る。…そのままクリトリス部分にへと擦り付けた。

 

「はっっ!? あっ!!??」

 

 そのまま、コリコリと刺激すると、顔を歪ませ、泣きそうな顔をしながら、体を捩らせ…何かを探すように両腕を動かしている。

 

 何を? …と、目で訴えってくるその顔で、…しほさんは、経験が浅いと確信した。

 それでも快感を、感じているという事は……本当に教科書通りの事しかしてこなかったんだろう。

 こんな簡単な…初歩的な事だけど、ただの快楽を産ませという行為に、感じた事のない快感から逃げようと、もがいている。

 

 無理だ。もうダメだ。

 一度入れてしまえば、後戻りできない。後先を考える思考を快感と快楽が塗りつぶす。

 

 胸をただ鷲掴みにすると、柔らかい感触と共に、胸の形を曲げ…指と指の間から肉を半円に描かせている。

 優しくする…というのも……もう無理だ。

 

「あっ……はっ…」

 

 ゆっくりと突き動くと共に、甘く熱い吐息をだす彼女を見ては、また動かす。

 

 やはり彼女の中は、非常に…キツイ。

 俺のサイズも有るが、中のヒダで俺を押し出そうと畝って刺激する…。

 気持ちがいい…それ以外に感想が沸かない。

 

 彼女はこういう時には、あまり声は出さないのだろうか?

 未体験の快感に戸惑いは見せても、すでに慣れたのか…今は吐息、息遣いのみ聞こえてくる。

 

「……」

 

 意地でも出させたくなってきた。

 

 …変な所は冷静だな…俺。

 

「っっ!?」

 

 へぇ…しほさんって、包茎なのか…とか、思う程には冷静。…すぐにクリトリス部分を、指で剥き上げる。

 剥いたばかりだし…しかも、この様子だと、これも初体験だろう。

 いぢめる様に、指で押しつぶし刺激しながら、腰を動かせば…また体を跳ねさせる。

 

 …混乱し、目を見開き…初めての感覚に、また戸惑いを見せている、しほさんの顔が見えた。

 

「……」

 

 机から下ろし、今度はその机に手を付いてもらう。

 さて…もう考えるのは、止めにしよう…というか、こちらも限界だ。

 ただ…もう、本能に従いたい。

 

 同じく、素直に従う彼女の目は、もう正気では無かった。俺と同じく、完全に快楽に酔い始めている。

 

 手を机につけ、お尻をこちらに向けさせ…両手で入口を大きく開く。

 掴まれた肉が、形をつけて、体液でベタっベタになっている入口を露出させた。

 腰骨を手で掴むと…また、一気に突き入れた。そのまま…遠慮なく、何も考えずにただ突き動かす。

 

 こちらの方が、具合が良い。

 

 大きなお尻の肉が震え、必死になって机の端を掴んでいるしほさん。

 彼女から、待て、待って…と、声が聞こえた気がしたが、無視をする。

 

「た…隆 ンッ! ハッ! 君……ちょっと待っァッ! てぇ!」

 

 会話をしながらの艶っぽい声は……正直興奮する。

 もっと言わせたくなったので、構わず奥で擦りつける。ゴリゴリ…と。

 

「い…イった……たぁぁ!! ばかり…でっぇえ!!??」

 

 パツパツと、肉体を叩き合う音を更に早く…強くする。

 

 そろそろ俺が、果てそうだった。

 

 ただ一心不乱に、腰を彼女に打ち付ける。机が軋もうが、上から何か落ちようがお構いなしに。

 中からゾリゾリと削り取るように、カリが引っかかっるのを連続すると、彼女の艶っぽい息遣いが大きくなる。

 すでに先程までの、甘い声ではなく…ただの喘ぎ。甘い喘ぎ。

 

 熱くなるのが分かる。

 

 込上がってくるのが分かる。

 

 ただ俺が入って来るだけで、女の叫び上げている彼女を更にまた、汚したくなる。

 

 …今度の欲望の行き先は、その目の前。

 

 一気に陰茎を引き抜く。勢いと、開放感か…? その場に力なく崩れ落ちた彼女の頭に手を添え、回し…顎に指を添えてコチラを向かせる。

 信じられない程、熱い息が肺から何度も吐き出されるのに、今更気がついた。

 

 やはり何度か集中しすぎて、時間が飛んでいた様だ。

 どのくらい、彼女との行為をしていたか分からない。…彼女の…涙と涎に塗れた、快楽に完全に塗りつぶされた「西住 しほ」の顔を見て…それに気がついた。

 

「ぁっ…はぁーはぁーはぁー…」

 

 その顔を見ただけで…。

 

「っ!!」

 

 …音が出ながら、出しているんじゃないかと思う程…大量に吐き出した。

 

 それがまた、更に白く彼女を汚す。

 

 絞り取るように扱き…一滴残らず、彼女にかける。

 

 

 

 ▽▽▽

 

 

 

 インターバル。

 

 また少し自我を取り戻したかの様だ。

 興奮しすぎて、頭の感覚が少し曖昧…。

 

 しほさんを改めて見ると、自身のしてきた事がわかった。

 

 白い液体は、尻の谷間滑り、菊門から秘部へと流れ落ちている。

 ドロッ…したモノが、ヌルヌルと…ゆっくりと…。

 膣口を覆ってしまったソレは、中に出してしまったのでは、無いかと見間違う程の量が、ボタボタと肌を通り滑り落ちてゆく。

 ……。

 

 だが収まらない。

 

 一線を超えてしまった感が、更に俺を突き動かす。

 

 戦車道の…模型か? 飾られている、その大きな机の前。そこに手を掛け、その場に崩れ落ちた。

 脚が震えるのか…足の先が小さく痙攣していた。この模型の前での行為の時…彼女が一番乱れた。

 膣内は絞まり、声を大きく上げ…髪を振り乱した。

 

「はぁ…はぁ…」

 

 熱い息を吐きながら、こちらを向く彼女。

 

 見た事のない…締まりも、理性も知識も……いや、気位すらない、女の顔。

 …しかし、非常に満足をした顔をしていた。

 

 ──が。

 

「…た……隆史ぃ…君?」

 

 見上げた彼女の目は、次第に怯えた表情になり、俺の一部を凝視している。

 もう、何度彼女を汚し…悦ばせたか分からない聳え立つそれを見て、何を思っているのか…。

 

 だけど、まだ俺は満足していなかった。まだまだイケル。

 

 だから…言ったじゃないですか…。

 

 タガが外れてしまえば、どうなるか…収まり付かなくなると…って。アレ? イッタカ? 

 

 …まぁもう、どうでもいい。今更後戻りもできない。

 

 ただ会話は、したくない。

 会話をしていまったら、正気を取り戻してしまいそうだったから。

 

 まだ狂っていたかった。

 

「…あ…・」

 

 だから無言で、彼女の手を掴み、また起き上がらせる。

 まだ足腰は、立つ様だ。

 なら大丈夫。

 

 

 …大丈夫。

 

 

 また仕事机の上に背中を預けさせ、両足を開きまた彼女に入れる。

 すでに彼女は、俺が何をどうしたいか、すぐに分かってくれ…やりやすい様に体の体勢を変えてくれる。

 

「ッ!」

 

 何度か繰り返せば、秘部からまた白い液体が陰茎に絡みつきながら出てくる。

 すでに彼女の中は、精子やら愛液で満たされいた為に、動けば動くほど…体液が混ざる泡が立つ。

 グッチャグッチャと、バツンバツンと…音の種類が、増えていく…。

 

 机が鳴る音…。

 

 胸が揺れ…頭を埋めて乳首に軽く歯を立てると、身をまた捩らせた瞬間、大きく息を弾ませた。

 

 

「ッ!…ぁっ! …ハッ! …ハッハッ…」

 

 ビクン、ビクンと肩を大きく痙攣させて、その動きに合わせる様に、何度も。

 

 肺の中の空気を、熱っぽい吐息と共に吐き出した瞬間…そのまま、おもいっきり、腰を早く突き立て始める。

 

 そういえば、先程から、しほさんの声、ガタガタと鳴る机、…激しく肌をぶつける音しか、聞こえない。

 

「んぁ!? ハッ! あッ!! アッ!!」

 

 胸が大きく揺れ、顔を覗けば、目は虚ろ。

 完全に快楽に身を任せてしまった彼女が、目の前にいた。

 

 脚を少し持ち上げれば、大きく脚を開く。

 

 腰骨に手を添え、こちらに引けば、お尻を突き出す。

 

 …そして今は…俺が畳の上に寝ころべば、彼女が跨る…。

 

 今回は少し、催促をされた様な形。…どうやら主導権を握りたいようだった。

 いや、違うな…まぁ何にせよ、膝をついて寝ている俺を見下ろしている彼女を見て思う。

 上を向く陰茎に手を添えると、そのまま自身の入口へと向きを変えた。

 前屈みに少し体を倒すと、胸がまた重力に引かれて形を変えた。

 

 

 しっかし…この人は……なんか知らんが、騎乗位が凄く似合う…。

 

 亀頭先に、また熱い温度を感じるが、何もしないで彼女の好きにさせる。

 

 …止める気なんてない。

 

 収まらない。

 

 収まらない。

 

 まだだ。まだ足りない。

 

 陰茎全体が、包み込まれていく感覚と一緒に…胸を揺らし、彼女は俺の上で……また甘い声で喘ぎだした。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

「はっ…はっ…はっ…」

 

 

 気持ちが良い。

 

 その一言に尽きる。

 

 何も考えず、ただひたすらに腰を動かす。

 

 しばらくの間、お互いの息使いしか聞こえない。

 私も彼の身体を貪り、彼もまた私を貪る。そうとしか言えない。

 

 …考えるのを諦めた瞬間、異様とも言える程の開放感を身体中に感じた。

 ただの女として、彼を求めてしまった結果…抑圧されていた全てのモノが、弾けて飛んだ。

 

 ―そして、刺激。

 

 彼の胸で身体を支え、腰を打ち付ける。

 

 恥も何も無い。

 

 押し寄せる未体験の快楽を、ただ、ただ求める。

 

 彼の男性自身が、押し広げて来た瞬間…頭が真っ白になる。

 知らない…こんなのは、知らない…。内側から、私の全てを壊される気分…。

 

「ンッ!? んんっ!!」

 

 そしてまた訪れる絶頂。

 

 動かせば、動かす程に未体験な感覚を教え込まれる。

 男性経験自体、夫だけとはいえ…此処まで思考を殺されるまでの感覚は、生まれて初めて…。

 

 …そう、だから教え込まれている。

 

 あぁ…やはりもう、考える事すら億劫…面倒くさい。

 

 彼の手が、私の身体を撫でる様に動く。その感覚ですら心地よい。

 

「はっ…はっ…はぅぅう!?」

 

 お尻を掴まれ、絶頂を迎えたばかりだというのに、また強引に動き始めた。

 体の感覚が敏感になっていると言うのに…それを彼も分かっているだろうに…。

 

 踏ん張るように下で脚を曲げたのが分かった瞬間、打ち込むように、何度も激しい動きで入ってくる。

 また分からない感覚が襲ってくる…。

 反射的に逃げる様に身体を動かすと、私を逃がさない為に、掴んでいるお尻の手に力を込めた。

 

 脚の感覚がなくなってしまっている様だった…。

 あ…いえ、気が付くと私が寝かされている……。本当に曖昧に……。

 

「いっっ!!?? かっっあ……ぁ…!?」

 

 突然、ゴリッ…と、一番奥…お腹の中心付近に届く程の衝撃…。

 両脚が震える…背中を勢いよく仰け反らした為に仰向けにされているのに、今更になっているのに気が付くなんて…。

 

 

「ひゃっ…あっ!? あっ!!」

 

 一番奥を掻き回されているに…何度も…擦りつける様に暴れまわっている…。

 更には…奥の…一際強く感じる部分を…何度も、何度も、何度も、な……んっ……。

 

 

「──―!!!」

 

 目の前が真っ白になった。

 感覚で、彼の指が性器の入口に触れたと思った瞬間…ゴリッ…と何かを押しつぶされと思った瞬間、何かが弾けた。

 

 私が今、どんな声を出しているか分からない。

 

 喉から熱いモノが、いくつも通り過ぎているのは分かる…。

 

 頭がおかしくなる程の感覚に耐え切れず…思わず両手で頭を掴んでいた。髪が飛び散り、頭を振り乱す。

 入口付近をゴリゴリと押しつぶされてる? どこを触っているか分かりませんが、悶え…身体をもがかせる事しかできません。

 

 叫びにも似た声を上げ…涙で歪んだ視界が、彼の顔を捉えると…突然、こんな事を思ってしまった。

 

 私は今、彼にどう映っているのでしょうか? …と。

 

 顔が熱く、感覚が曖昧で、口と舌は…多分…はしたない形を描いているであろう私を…。

 うまく思考が働かない中、何故か…奥の方でそんな考えが、浮かんできました。

 

 そう思い、彼の顔を改めて見てしまった。

 見知った彼を…隆史君を見てしまった瞬間…今までの…事を…思い出が、蘇ってしまった…。

 

 ……。

 

 …………な…ん…?

 

 なんでしょうか…この気持ちは…? お腹の底から湧き上がる…この気持ち…。

 そして今更になって、隆史君との関係をはっきりと思い出す…そして、更に湧き上がる、感覚…。

 

 どうでもいい…。

 

 本当に……本当に、何もかもが、どうでもいい。

 

 …この感覚を味わっていたい。

 

 身体が溶けて無くなってしまうのではないかと思える、こんな感覚…気持ち…。

 

 彼が私の両足を持ち上げ、下半身を上に向けた。そのまま私へと覆いかぶさる。

 繋がったままの状態で…曲げられた体は、まるで見せつけてくるかの様。

 ズルっ…と抜かれたソレを見て…そして気が付く…。あんなモノが、私に入っていたのかと…。

 そしてまた、ソレを私に打ち付けてくるつもりだと……。

 

 

 あぁ…本当に、どうでもいい。

 

 ただ今度は、どんな感覚になるか…どれほど気持ちが良いか…それしか思考が働かない。

 それしか、興味がない。

 それでも、彼の……隆史君の声だけは、はっきりと私には聞こえた。

 

 

「…本気でいきますね」

 

 

 言い終えた直後…彼の体重が私の伸し掛った。

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 早朝5時…の、しほさんの執務室。

 

 その部屋は、行為をした男女特有の匂いで充満していた。

 しほさんの腰が抜けようが、容赦なく攻め立てた結果がコレだ。

 体液に塗れ…小さな悲鳴にも似た呼吸を繰り返している彼女は、文字通り虫の息だ…。

 

 我ながら何だったんだ、あの性欲は。

 

 ……。

 

 はい、賢者タイムです。

 

 やっちまった…。

 

 文字通り、ヤッチマッタ…。

 

 しかも…避妊具なんて、着けていなかったから生で…

 彼女もまた、拒否をしないものだから、頭から完全に飛んでしまい、これもまた文字通り、しほさんを貪ってしまった。

 

 あぁ…合計で何回やったとか…全く覚えていねぇ…。

 約3時間程ヤリっぱなしだった。

 

 若い身体パネェ…。

 

 性欲に動かされ、我を忘れ、酔っ払って自暴自棄になっていた女性。

 しかも…彼女の母親……。

 

 そんな女性に手を出してしまった…。

 

 言葉も出ない。

 

 …最終的には、ただ貪り合う様に、お互い求め合っていた。

 

「……」

 

 肝心のしほさんは、もう気絶をしているかの様に動かない。

 やはり意識はあるのか、呻き声に似た声を上げて呼吸を繰り返している。

 全裸で…胸を大きく動かし…隠す事もしないでただ横たわっている。

 

 …まずい。

 

 罪悪感も何もかも、それはそれとして、一先ず置いておいて……一つ時計を見て思った。

 

 

 この後…菊代さん…家主がいない部屋にへと、起こしに行かないだろうか?

 いないとなれば…最終的には、ここへと…。

 

 ……。

 

 

「し、しほさん? 起きてますか? …動けますか?」

 

 この状態を何とかしないと…取り敢えず、ぐったりとしている しほさんに声をかける。

 まだ所々、白い肌の上に、更に白いモノが付着をしている…が、一部乾いてしまっている。

 その量たるや……我ながら…。

 

 俺の声に、目を薄く開き…目だけで、コチラを振り向いた。

 よかった…起きてた。

 

「……はっ…ははは。……してしまいましたね…」

 

 しかし…自暴自棄になっていた人特有の…乾いた笑いで返されてしまった。

 

「…………」

 

 一線を超えてしまった以上、その反動は大きく襲ってくる。 これは、責任を取るとかどうの…そんな話の次元ではない…。

 …してしまった。やってしまったとでも言えるのだが…考えるのは後だ。

 

「ま…まずは、風呂に入ってきてください…。この部屋は、俺が何とかしますので」

 

 …変に冷静な自分が嫌だ。

 でもなぁ…。

 

「部…屋?」

 

 …。

 …………。

 

「!!」

 

 寝ぼけているかの様な、それでいてまだ熱っぽい目で、部屋を見渡した直後……飛び起きた。

 

「いっ、今! 何時ですか!?」

 

「5時10分程ですけど…」

 

 部屋の掛け時計に指を向けた。

 

「…いけない。菊代さんは、5時半に起床します…。か…片付けないと……」

 

 あわあわと、手で衣服を掴み…散らかりに散らかった酒瓶に手を伸ばした。

 彼女もまた…変な所で冷静だった…。

 

「片付けはいいですから、取り敢えず風呂行ってください。お…俺が、しでかしてしまった事ですけど…しほさん、すっごい格好ですよ?」

 

「!?」

 

 自身の格好を改めて見直し、年甲斐もなく…と言っては失礼かも知れないけど、真っ赤になるしほさん。

 酒瓶の処理は台所に! と一言仰りまして、慌てながら部屋を飛び出して……行けなかった。

 

 立ち上がろうと、手を仕事机にかけたところで、彼女の動きが止まった。

 脚が腰元から、プルプルと震え、片膝をついてしまった。

 裸になってしまっている為に、その姿はそれはそれで官能的だったが、そんな事悠長に思ってる時間は無い。

 

「……腰が…抜けてる…」

 

「……」

 

 急いで立ち上がり、急いで浴衣を着正す。そのまま、しほさんの脚へと腕を差し入れ…。

 

「た…隆史君!?」

 

 彼女を抱き上げ持ち上げると…次だっ!!

 

「あの…隆史君…? …流石にもう…体が持たないというか…時間がないというか…」

 

「…ち…違います」

 

 顔を俯かせ…乙女見たいな顔された…。

 

 ……。

 

 つ…次っ!!

 

 抱き上げているので、両手は使えない…ならばッ!! 出入り口の襖を、強引に足で開け…一回廊下に誰かいないか確認する。

 よし、誰もいないし…人気もない!

 

 そして…脇目も降らず、一直線に浴室へと向かった。

 

 

 

 

 

 ──────────-

 ──────

 ──-

 

 

 

 

 執務室の酒瓶を片付け、外気が入ってくるであろう窓を全て全開にする。

 男女の…この匂いは特有すぎて、ある程度経験のある人には、すぐにバレてしまうだろうよ。

 …簡単に取れるモノではないのだろうけど、しほさんが風呂…もしくは、シャワーでも浴びている最中に、出来うる限りの事を急いで行った。

 

 まずは俺のいた客室から、扇風機を持ってきて、外に向かって最大で稼働させる。

 ガチャガチャと、多少音はするが、大量の酒瓶を台所へと急いで運ぶ。…菊代さんと鉢合わせしたら…とも思ったが、考えている時間が勿体無かった。

 それに量が量だけど、これはまだ誤魔化しが効くので、指定場所らしき場所に捨てておく。

 

「…はぁ」

 

 ……何をやってんだろう…俺は。

 

 証拠隠滅に躍起になっている。そんな自分自身をぶん殴りたいと思うのは…多分普通だと思う。

 

 

 執務室に台所より戻ってくると、まず時計で確認……あ。

 

 5時40分

 

 まずい…菊代さんの起床時間がすでに過ぎている。

 

 一度執務室を見渡して、現状を確認…よし、もう変な物は転がってないな。

 

 …鼻が慣れてしまっている為に、微かな匂いは分からない。…この部屋の匂いは、多少なりとも取れただろうか?

 ならば次だと…その匂いの元。浴室から持ってきた水を含んだ雑巾で、急いで床畳を水拭き一掃する…。

 

 5時50分

 

 今度は、俺自身の番だ。

 

 足早に執務室を後にして、客室にへと戻ると、壁に掛けてあった昨日も着ていた、学校の制服を手に取り、急いで袖を通す。

 浴衣姿よりも、まだいいだろう…。取り敢えず、しほさんが浴室から出てきたら、俺も入らせてもらった方が良いだろうな…多分、俺の身体からも匂うだろうし…。

 

 ここまでやり終えると、ようやく一息つけ…あ、ダメだ。せめて顔位は先に洗っておこう…。

 部屋を進み、洗面所にでも向かおうと…それでも慎重に襖を開け……。

 

 

「 隆 史 君 ? 」

 

 

 あ…開けた。

 

 開けたんだよ?

 

 

「 」

 

 

 声にならない声…いや、悲鳴を出したは、生まれて初めてかも知れない。

 

 開けた襖…その入口に…目の前に…菊代さんが、立っていた。

 

 …。

 

 バクバクと心音が聞こえる…。

 

 いつもの様に、しっかりと着物を着て…普段通りの優しい笑顔を浮かべている。

 

 ──が、うっすら開けた…目が怖い…。

 

 スッ…と、突然その笑顔が消え、無表情になった。

 

 

「若気の至。そういった言葉もあるくらいです」

 

 

「っっ!!??」

 

 わか…

 

「……」

 

「……」

 

 朝の挨拶も無しに、一言……黙ってしまった。

 

 その様子に、指先が震え、足も震えだした。

 

 

 

 バ レ テ ル

 

 

 

「…正直、言いたい事が御座いますが……今回の件は、私の胸に仕舞っておきます」

 

「 」

 

「隆史さん」

 

「は…はい」

 

「…この件が知られてしまったら、みほお嬢様は勿論。…まほお嬢様も酷く傷つきますよね? それは隆史君なら…嫌という程、お解りになると思います」

 

「………」

 

「行き届いていない後処理は、こちらでしておきます…と、申しますか? あんな処理で、まほお嬢様と後輩の方はともかく、私を誤魔化せると思ったのですか?」

 

「  」

 

 

「では私はこの後、奥様にお話が御座いますので…これで失礼します。あぁ…さっさとお風呂に入ってきて下さいね」

 

 …

 

 淡々と…すべてを無表情に喋った後、無言で音もなくその場を離れて行ってしまった…。

 お…おもいっきりバレていた…。

 

 い…言う通りにしよう…。

 

 カタカタ震える脚を、力いっぱいぶん殴ると…痛むその脚に力を込める。

 

 い…行こう。あの様子なら、しほさんはもう…出ているだろうし…。

 

 今は朝の6時半。

 

 そろそろ、まほちゃん達も起きる時間になっている。

 

 

 そして…どこからか……菊代さんの怒号が聞こえてきた…。

 

 

 

 

 

 ▼▼▼

 

 

 

 

 

 朝食の時を…思い出す。

 

 俺とエリリンがいた為だろう。

 普段なら、一緒に朝食を取る事を余りしないと聞いていた…しほさんもいた。

 用意してもらった朝食……純和食。菊代さんの料理は、正直下手店よりも遥かに美味い。

 普段ならな…教えてもらおうかと、何度か思う程に…しかし…正直…今回の朝食は、味なんて感じなかったよ…。

 

 

 無言。

 

 

 黙って、黙々と食べるしか無かった。

 

 妙にツヤツヤした肌のしほさんだったけど、表情はいつもの様に厳しい顔をしていた。

 …が、顔は蒼白になっていた。

 

 何を菊代さんに言われたか分からないが、後ろめたい事がある為にあんな表情をしているのだろう。

 昨日、俺に何かお使いを頼むと言っていたが、もはやそれ所ではないんだろうなぁ…というか、多分忘れているだろうな…。

 

 一人素早く朝食を済ませると、一言…仕事に行きますと、部屋を出て行ってしまった。

 俺と話がしたいのだろう…俺の目をずっと見ていた……ので、冷や汗が止まらなかった。

 

 菊代さんに酷く怒られたであろう…が、しほさんの俺を見る目が、もう完全に昨日と変わっていた。

 後悔はしたのだろうが…何を考えているのかも、分からない。

 

 完全に、男を見る目で見られている…。

 一瞬その目を思い出すと、身震いが何故か止まらなかった。

 

 それに、いつもより様子がおかしい人物がいた。

 …エリリンですら、それを感じ取ったのか、困惑した表情で朝食を食べている。

 チラチラ横目で見るのだけど、すぐに目の前にある朝食に、視線を落としてしまっている。

 

 …まほちゃん。

 

 無表情。

 

 人からすれば、感情が顔に出辛くて、分かりにくいと言われている彼女だけど、とても小さいが変化は勿論ある。

 付き合いが長い俺には、その変化は今まですぐに分かっていたのだけども…今回は全く分からない。

 

 無言の重圧とでもいうのだろうか。

 ずっとこの調子だった。

 

 しほさんとも一言二言、朝の挨拶をするだけで何も喋らない。

 

「エリカ」

 

「は、はい!!」

 

「すまないが、先に学校へ行ってくれ。私は少し…野暮用で寄って行く所がある」

 

「は…はい」

 

 無言を貫いていたまほちゃんが、やっと口を開いた。

 それでも見えないプレッシャーで、エリリンに有無を言わさない指示を出す。

 

「…………」

 

 そして、また無言の時間。

 

 朝食を全員済ませた所で、今度は俺に声をかけてきた。

 ただその目は…酷く冷たい。なんだろうか…他人を見る目…? …とも違うな。

 

「隆史」

 

「な…なに?」

 

 これは…敵を…見る目……? いや…それとも違う。…なんだ?

 

「…話がある。エリカを見送った後に客間に行くから待っていろ」

 

「わ…わかったけど…」

 

 俺に対して、ここまで強い命令口調な言い方をする まほちゃんは珍しい…。

 

 そのまま言い捨て、スッ…と、立ち上がると、エリリンと共に部屋を出て行ってしまった。

 普段なら、ここで突っかかて来そうな彼女も、異様な程に張り詰めているまほちゃんの雰囲気に、何も言えないでただ従っていた。

 

 そして…早々に登校していった…。

 

 

 

 

 …その後。

 

 そして命令口調の約束の為に、客間で彼女を待っていた。

 しほさんの事もあり、イロイロと考えなければいけないのだけども、菊代さんにバレていた為に…うまく考えがまとまらない。

 正直、まほちゃんの初めて見せる雰囲気に、戸惑ってしまっているのもある。

 後ろめたさが強い為だろうな。

 

 窓からボケーと、外を眺めっていも不安感が拭えない。

 昨日の夜の事が、どうしても引っかかる。…当たり前だけど。

 

 

「 隆 史 」

 

 

「フブッ!?」

 

 突然真後ろから、声がして腰を抜かしかけた。

 久しぶりのステレス発動まほちゃんからの声…。

 

 …ただ、それだけでは無い。

 

 彼女を見て驚いてしまった。

 

 その姿は、いつもの制服。

 

 しかし…その制服の前を開き、スカートを履いていなかった。

 この部屋に入ってすぐに脱いだのか、床畳に黒いスカートが、無造作に放り捨ててある。

 制服の黒いワイシャツのボタンを更に外し、母親に負けない胸の谷間を見せつける様に…前に突き出した。

 

 …な…え?

 

 どうしたのか? そう俺が疑問を口にする前に…一言。

 

 

 

「昨晩のアレは、なんだ」

 

 

 

 最悪な一言だった。

 

 

 

「…夜中…何度か、この客室を訪ねても…開かなかった襖が開いていてな。好機だと思い、中を覗けば……お前はいなかった」

 

 …えー…好機って…。

 

「トイレだろうと思い、客間でしばらく隠れて待ってみたのだが…一向にお前は、帰って来なかった」

 

 ……何してんの、まほちゃん。

 

「はっ。それで何かあったのかと…少し家を探してみた」

 

 抑揚の無い声で、喋り続けていたまほちゃんの顔が、段々と下がっていった。

 

「…結果っ!!」

 

「……」

 

 叫び…顔を上げ…そして…。

 

 

「お前は…お母様の執務室で…そのお母様と何をしていた」

 

 

 やはりバレている…いや、違う!!

 

 何をしていた…? あ…あれを…見られていたのか?

 

 よりによって…。

 

 俺を睨む訳でも無く…悲しそうに見てくる まほちゃんの目を…真っ直ぐ見れなかった。

 

「……」

 

「…みほを最悪の形で裏切ったお前を見た時…」

 

 やはり見て…ん?

 

 ちょっと待て。おかしい。

 

 責められるなり、殴られるとかなら分かるのだけど、この格好のまほちゃんはおかしい。

 

「…なぜ…だろう。お母様が隆史に逃げた気持ちが…すぐに、理解できてしまった」

 

「な…何を?」

 

 喋りながらも…段々と近づいてくる。

 

「私もある意味でならば、お母様と同じなのだろう。抑圧されたモノに、負けてしまった…というのだろうか?」

 

 近づかれて分かったのだけど、まほちゃんは……しほさんと同じ顔をしていた。

 

 …熱っぽい目と、呼吸。

 

 しほさんと違い、アルコールは入ってはいないであろう…が……あれ!? 入ってる!? え!? ちょっと酒臭い!!

 

「あの襖の外で…廊下で…行為を覗く真似までして…怒りを通り過ぎ…気が付けばその場で、無意識に自分を慰めていた」

 

「なっ…」

 

 これ…本格的にまずい!

 

「嫌になった…」

 

 この後、学校に行くつもりなんて、もはや無いのだろう。

 

「…そんな自分が、心底…嫌になった」

 

 自暴自棄。

 

 完全にヤケになっている。

 

「もう知らない。どうでもいい。…みほも知らない。何もかもがどうでも…。私は私の、思うがままにする…感情に…ただ従う…」

 

 多分…まほちゃんは、この客室に来る前に飲んで来てたのだろう。その泣きそうな声と共に出す吐息から…完全に…飲酒をしたと確信した。

 

 気が付けば俺は、壁際に追い詰められていた。

 

「卑怯かも知れない…いや、卑怯だな…。まぁいい…もうどうでもいい…何でもいい。知ったことか」

 

 声が出ない。脱ぎながら近づいてきたまほちゃんは…すでに下着姿になっている。

 

 脱ぎ捨てられた制服…。

 

 そのまま胸を押し付け、俺の身体を抱きしめる様に腕を回し…俺の胸に頬を押し付け…強く…腕に力を込めた。

 

「大丈夫だ…。黙っていれば…黙ってさえいれば、みほにバレる事はない。私も…何も言わない。喋らない…」

 

 当たり前だけど、彼女も恥ずかしいのだろう…。

 これは勢いを付ける為の飲酒…という事か…。

 

「い…いや、まほち「 隆史!! 」」

 

 

 

「 私を抱け 」

 

 

 言葉を遮り、完結に一言……言い捨てられた…。

 

「よりにもよって…お母様とお前は、関係を持ったんだ」

 

「……」

 

「…私の気持ちが分かるか? 分かってくれないのか? お前はワカラナイダロウ」

 

 すでに泣きながら…懇願するように…強く抱きしめながら求めてくる。

 

「ここで、お前に拒否されると……」

 

「ま…ほ……ち」

 

 背中に回されている腕…手。

 

 爪を立て突き刺した…その背中に複数の痛みが走る。

 

 顔を上げて俺の目を見た彼女は、笑っていた。

 

 泣きながら笑っていた。

 

 腕を下ろし…今度は優しく顔を左右に伸ばして…顔を掴んだ。

 その添えられた手は冷たく…近づく顔は…その目は、俺を見ているのかどうか分からない。

 

 ただ黒く…濁っている。

 

 近づき…引き寄せられ……。

 

 唇が触れそうな距離にまで近づき…いや、触れる瞬間…小さく囁くいた。

 

 

 

「 私が全て…壊れてしまう 」

 

 

 




閲覧ありがとうございました

いかがだったでしょうか?

ついでなので、いくつか思いついた話。
まずノンナさん編と同じくして、続・IF話を考えてみました。
この単発で終わらせるつもりだった、この話の続きを構想してみました。
構想した結果…親子丼話になった…。

アンツィオ編の続きは…チヨミン達一人、一人で…タラシ殿の性癖被害とか…

新しい話では、家元恋愛相談時の時の…酔っ払い共の野球拳の話…。
バミューダ。家元ズ。…愛里寿。殺人事件が起こったとしても隠蔽できる場所でのお話。

宴編…では、前回の続きで、宇津木さんがメイン。NTR?
あとは…快楽に完全に負けるエリリン話。

正史編…は、まぁ…うん。もう少し本編の話が進んだらですね。

ありがとうございました。

あ、この話リペアしていて、改めてしほさんエロいなと思いましたマル
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