抵抗
淀んだ紫色に塗り潰された空間。いつぞやに一夏の意識が訪れた邪神の住処と思しき場所だ。認識してすぐに周囲を警戒した一夏だったが、当の邪神の姿はどこにもなかった。
代わりに、不思議なものがその場所に存在した。
白い扉と黒い扉。紫色の靄によって形成された壁面に埋め込まれたそれは、一夏の手で扉を開かれるのを待っているようだった。
如何にも怪しい扉を前に一夏は立ち往生した。あの扉を潜ればどうなるかわからない。ここは静観するのが吉と思えた。意識だけの状態であるが故なのか、またしても全裸という頼りない格好のまま、しばらく考え事をしながら時間を潰す。
唯一の味方である千冬が堕ちた。一年一組を攻略していく一夏を見て少しずつ精神を犯され、屈服してしまったようだ。誰よりも気高く美しく、あらゆる面で優れた憧れの存在の失墜に絶望を抱いた。
もう無理だ。一人で箒に叶うはずがない。
諦めてしまおうか。
なんてことを思っていた一夏はおもむろに腰を上げ、扉へと向かった。抱いた絶望感に引っ張られるようにして進んだ先には白い扉。絶望など忘れ、永遠に快楽を貪る天国が向こう側に広がっているように思えた。
一夏は取っ手を掴み、扉を開こうとした。
『駄目!』
少女の声がして、一夏は反射的に取っ手から手を離した。
今の声は誰だ? 邪神のものとは違う。邪神以外に誰かがいるのか? きょろきょろと辺りを見回してみても誰の姿もなく、身構えていると再び声が聞こえてきた。
『白い扉を選ばないで。あの先にあなたにとっての本当の救いはない。あなたがまだ幼馴染を助けたいと思うのなら、決して選んではいけないよ』
「じゃあ、どうすればいいんだ……」
正体もわからない相手の発言に、一夏は悔しさを抱いて俯き、両手を強く握りしめた。救いがないことはわかっている。でも、どうすることもできない。少女の言葉を鵜呑みにするのであれば、黒い扉が一夏のいた世界の続きに繋がっているのだろう。
一夏にはわかっていた。黒い扉の向こう側にあるのは地獄。勝てる見込みもないのにたった一人で箒たちと戦い、犯され、やがて壊れていく自分の未来が容易に想像できる。そんな自分を苦しめるだけの行為に意味なんてあるのだろうか。
いつの間にか一夏は涙を流していた。
『可哀想に。ごめんね、私が不甲斐ないばかりに』
そんな一夏を憐れみ、少女は自身を恥じ入っていた。その反応が意外で、一夏は涙を拭い払うと、自分から謎の存在に向かって話し掛けた。
「あなたは誰なんですか……?」
『私は女神だよ。本当の女神。邪神に立場を奪われて、今は封印されているの。こうして声を君に届けられるようになるまで随分時間が掛かっちゃった。ごめんね』
女神と名乗る少女。謝罪の言葉には誠意が感じられる。あの邪神とはまるで違う。邪神が一夏を騙すために遊んでいる可能性もあったが、一夏にはこの女神が邪神とは別の存在に思えた。
信じていいのだろうか。いや、信じたところで何が変わるとも思えない。女神自身が邪神に敗れて封印されているのなら、一夏が助けを求めても何もできないだろう。
『織斑一夏君。まだ諦めるには早いよ』
そう思っていたのだが、どうやら状況は違うようだ。
「どういうことですか……?」
『私が封印から解放されれば、君たちを助けてあげられる。今度は邪神には負けないよ。仮に返り討ちにされたとしても、君たちだけは守ると私が保証する』
助かる? この状況から助かる未来がある?
俄には信じがたい。が、今は信じてみるのも有りかもしれない。可能性が少しでもあるなら、足掻いてみようと思った。結局のところ、一夏自身これが結末というのは納得がいっていなかった。
『私の封印が解けるのを待っていてほしい。それまでまた一人で戦ってもらうことになってしまうけど、どうか耐えてほしい』
「わかりました……」
一夏は頷いた。そうだ。ここで終わるわけにはいかない。それでは箒たちが可哀想だ。箒たちは何も悪くない。正気を失っている彼女たちを放置して、辛いからと諦めるなんて情けない。男失格だ。
やってやる。まだ俺にできることはあるはずだ。
「俺は戻ります」
『うん、行ってらっしゃい。私はここから応援しているよ』
女神の後押しを受け、一夏は扉へと向かう。
今度は黒い扉だ。取っ手を掴み、息を呑む。まだ戻れる。天国にはいつでもいける。この扉というのは一夏の意識内で生まれた選択肢をわかりやすい形で再現したにすぎない。地獄へ進むか天国に昇るかは、一夏の思考一つで簡単に変わる。
一夏は決心し、扉を開いた。開けた道は暗闇。濃密な黒い靄が全身を飲み込もうとしてくる。それにも負けずに抗い、足を前へと動かした。
『君なら必ず』
女神の声を背に受け、一夏は現実へと戻った。
短いスカート丈から覗く白いショーツ。下着を纏った大きく綺麗な尻が上下運動を繰り返し、ずらした下着から見える陰部で一夏の肉棒を食らっていた。パンッ、パンッと音を鳴らして一夏の股間に尻が振り下ろされ、ぐぽぐぽと膣穴が慌ただしくしゃぶりつく中、一夏は絶頂とともに目を覚ました。
びゅるるっ、びゅるっ、どびゅっ、どくっ、どぷんっ、どぽぉ、どくっ、どくんっ!
「ぁ……」
快楽に揉まれた意識が覚醒し、視界が広がった。
周囲をカーテンに覆われている。おそらくは保健室だろう。置かれたベッドで横になっていた一夏に、三人の女が群がっている。一人は一夏に背を向け、突き出した尻で騎乗位ピストンをしていた箒。どびゅーっと放たれた精液を子宮に浴び、「あぁ……」と恍惚の笑みを滲ませている。
残りの二人はすぐ傍にいた。
「目が覚めたか、一夏」
「心配しましたよ、織斑君」
千冬と真耶だ。眠っていた一夏をずっと見守っていたらしい二人は、裸になって一夏の胸に自分たちの重たい胸を乗せている。その乳房を見ると、『教師失格』と黒いマジックペンで文字が書かれていた。
それは、見ただけで千冬たちが完全に堕ちたことがわかる卑猥な証明だった。
「どうした、一夏」
穏やかに微笑む千冬。この状況でなければ心臓が高鳴っていたに違いないが、今はそんな気分ではない。一夏は抗うと決めた。目覚めてこうなっている可能性も考慮に入れていたことで、心に襲い来る衝撃は最小限に抑えられた。
精神を落ち着けようと深く息を吸い込む。一夏の胸部が膨らみ、そこに乗っていた二人の乳房が持ち上がった。
そして、息をゆっくりと吐き、一夏はこの場にいる三人、特に箒に向かって言い放った。
「まだ、諦めてない。俺は皆を、箒を救う」
自分の想いを口にし、一夏は改めて箒に宣戦布告した。それに対し、子宮で一夏の精液をごくごくと啜っていた箒はゆっくりと一夏のほうを振り向いた後、余裕を感じさせる笑顔で応えた。
「諦めが悪いな、一夏。だが、そういうところも含めて愛している」
「あぁ、格好いいぞ。さすがは私の弟だ」
「惚れ惚れしてしまいますね。織斑君はやっぱり、理想の男性です」
千冬と真耶が顔を近づけ、口から舌を出す。一夏の口元へと向かい、固く閉ざそうとした唇を押し退けて中に入ってこようとする。だが、歯を噛み締めている一夏の防御は完璧だ。唇を舐められるが、それ以上の侵入は許さない。
不満そうに頬を膨らませる真耶と、どうしたものかと観察してくる千冬。
二人が取った次の行動は全く同じだった。
「ひ、ぃ……!?」
耳へと顔を寄せ、穴の中に舌をねじ込まれた。
「ぐちゅっ、ぐぷっ、ぬちゅっ、ぐぽぉっ、ぬぢゅっ、ぢゅるっ」
「ぐっぽぉっ、ぐっぽぉっ、ぬぷっ、ぬぢゅっ、ぬちゅちゅっ」
耳の穴を濡れた舌で密閉され、中を穿られている。片耳ではなく両耳。それも、箒に肉棒をガッチリと掴まれている状態で。敏感な耳をこれでもかと舌が撫で回る感触に震え、興奮を覚え、箒の膣内で肉棒がビクビクと震える。
「ぁ、が、ぅ、くぅっ……!?」
固く閉ざされていた口が開き、一夏は声を漏らす。頬を真っ赤に染めて喘ぐ年下の少年は二人には大層魅力的に映っていたようで、意地悪を楽しむ悪女のような表情で一夏を苛め続けた。
「チンポが震えているな。もう一度だけ搾り取って、昼食に向かうとしよう」
箒は正面を向き、ガシガシと肉棒を扱く腰遣いを再開した。一夏は無理矢理口を閉じて漏れそうになった苦悶の声を抑える。しかし、「ふーっ!」と同時に両耳を襲った女教師たちの息で震え上がり、口はまただらしなく開いた。
「可愛いぞ、一夏。ほら、授乳させてやろう」
「はーい、おっぱいの時間ですよー」
二人は一夏の耳から顔を離し、自身の胸を持ち上げた。それを押しつけた先は、一夏の顔だ。
「ぅ、ぷ、んんっ……!」
二人の胸が一夏の顔面を覆う。目元も口元も柔らかい乳肉プレスをお見舞いされている。息を吸うたびに甘くいい匂いが一夏の肺を満たし、雄の本能をくすぐられた肉棒が成長し、箒のキツキツJKマンコがそれを根元から搾り上げる。
一夏は耐えた。こみ上げる欲求をねじ伏せる。
絶対に負けない。絶対に。
苦渋を滲ませながら決意を秘めたその顔は、教師失格と書かれた二つの胸で完全に覆いつくされた。