地獄の入浴。そう考えていた一夏の認識は少し甘かった。
地獄は、脱衣所の時点で始まっていたのだから。
「うわぁ、織斑君の胸板って結構逞しいね!」
「背中も広くて、抱き着きがいがあるっすよ」
「ふふ、もうこんなに大きくなってきた。元気いっぱいね、一夏君」
「精子の袋、大きくて柔らかい」
「ここで織斑君の遺伝子がいっぱい作られてるんだよね?」
脱衣所に入ってすぐに一夏は身包みを剥がされ、女子に揉みくちゃにされていた。胸板を触られ、背中に抱き着かれて胸を押しつけられ、肉棒と金玉を握られる。名前も正確に覚えていない美少女たちに大事な場所を触れられ、気が気ではなかった。
そんな一夏をシャルロットとラウラが着替えながら見守っている。至って自然体ではあるのだが、一夏が不審な動きを見せた途端に表情が様子が変わるから恐ろしい。時間を稼ごうという思惑があったとはいえ、ただトイレに行きたいと言っただけで、自決を仄めかされるのだ。
「くっ……」
耐える以外に選択肢はない。
「皆も早く着替えてね?」
「はーい」
とシャルロットの指示に元気よく返事をし、女子生徒の群れが一夏から一旦離れる。
その影響で視界が開け、一夏は真正面から二人の美少女の裸体を見てしまう。
金髪と銀髪の美少女の一糸纏わぬ色白い体。大人しい外見にしては発育の良いシャルロットと、小柄で華奢なラウラ。スタイルは大きく違うが、どちらも女性的な柔らかい曲線を有し、一夏の気分を否応もなく煽る。二人の裸を見たのはこれで初めてではないが、それでも目を奪われるような美しさだ。
一夏はすぐに二人から目線を外すが、もう遅い。IS学園に入学して以来、一夏の脳は性的な方向に急成長を遂げている。一度見た女体は正確に記憶に刻まれ、ふと油断すれば妄想の中で女を犯してしまう。
そして、興奮状態であることを勃起という形で周囲に知らしめてしまう。
「どうしたの、一夏」
「肌を晒すのは初めてではないだろう」
二人が身を寄せてくる。普段ならば全力で足掻くところだが、この二人に対して抵抗は愚策だ。これまでは自殺未遂で終わっているが、本当に自殺され、大切な二人の命が絶たれることを想像するだけで胸に鈍い痛みが走った。
一夏はシャルロットに言われるまま、二人の体を眺める。
足先から頭の天辺まで。ここまで自発的に女体を見たのは初めてかもしれない。柔らかそうで、無駄な毛のない肌は触ってみたいと思えた。シャルロットの豊かな胸も、ラウラの慎ましい胸も、思い切り握ってやりたい。股を開かせて、今すぐ肉棒で二人の大切な処女を乱暴に散らしてやりたい。
一夏の黒い欲望が顔を滲ませ、肉棒が硬直して上を向き始める。
「僕たちを見て、こんなに興奮してくれるんだ」
「嬉しいぞ、一夏」
二人の手が肉棒に触れる。撫でるような手つきに肉棒が悦び、脳を刺激する。こうして裸を眺めて肉棒を触られているだけでも危険だ。放っておけば、また暴走してしまいそうになる。それを避けるため、一夏は極力無心を心掛けた。
心頭滅却すれば火もまた涼し。限度はあるだろうが、今は精神論に縋る他はなかった。
「体が冷えないうちに、温まろう?」
シャルロットの進言によって、一夏は遂に閉鎖的な空間へと足を踏み入れた。
泳げるほど広い浴槽。張られた湯からは湯気が立ち昇り、大浴場と呼ばれるだけはある広い空間に熱気が広がる。一方で、壁の一面はディスプレイとなっていて、静かな夜の森林地帯の映像が映し出されていた。一人で湯に浸かることができれば、さぞリラックスできたに違いない。
だが今は、一夏以外にも女子生徒がぱっと数えるだけで三十人はいた。食堂にいたときよりも数が減っているのは、下手に人数を増やして一夏にストレスを与え過ぎないというシャルロットの配慮だろうか。確かに、そういった配慮がなければ学園中に噂が広まり、大浴場は女子生徒でギチギチの満員御礼状態となってしまっていただろう。
だからと言って、この一対三十という構図が一夏にストレスを与えていないわけではない。これでも十分に多すぎるのだから。
椅子に座らされた一夏は、正面の壁に貼りつけられた鏡越しに、信じがたい光景を見た。
一クラス分の美少女が、こぞってスポンジを手にしているのだ。スポンジは泡だらけで、今から何をされるのか明白だった。先頭に立つシャルロットとラウラも例に漏れず泡だくさんのスポンジを手にし、一夏へと近づいた。
「隅々まで洗ってあげるね」
「各員、配置に着け」
ラウラによって周囲に広がる女子たち。包囲され、ただ待つしかない一夏は肩を縮こませた。絶対に、屈してなるものか。意志を強く持とうとした一夏だったが、「かかれ」というラウラの号令によって始まった攻めは想像を超えていた。
「一番乗り!」
「いっ……!?」
もはやタックルに等しい勢いで背中に抱き着いてきたのは、それはもう胸の大きな美少女だった。金髪ロングヘアと、切れ長の青い双眸の持ち主。外国人のようだ。圧倒的質量の乳房がむにぃっと背中を圧迫し、体温を伝えてくる。おまけに、胸に直接泡を塗りたくっているようで、ぬるぬるとした感触が一夏の背中に広がっていた。
「はぁーい、一夏! 抱き心地抜群ね! アメリカに持って帰りたいくらいだわ!」
「独り占めはどうかと思いますが」
「むがっ!?」
背中に意識を集中していると、いつの間にか正面に回り込んできた別の美少女に顔の向きを強制的に変えられた。視界を埋め尽くす巨乳。それが顔面に接触して動揺しながらも、一夏は顔を上げて相手を確認した。
新雪が如き真っ白な髪の少女。全体的に色素が薄いように感じるせいか、頬が熱気に中てられていても冷たい印象を見る者に抱かせる。そして、眼の内側にある銀色の瞳は涼しげに一夏を捉えていた。
「うっ……!」
一夏が顔を上げてじっと見つめていると、銀髪の少女によって胸の谷間に抱かれた。息はできるが、呼吸をするたびに少女の甘い香りで肺が満たされる。魅力的な雌の匂いを嗅いで、股間では肉棒が意気揚々とその身を屹立させていた。
「ちょっと、ロシア! 一夏は私のよ!」
「人のことを国名で呼ばないでください。あと、この子は私のものです」
背中にアメリカ美少女が、顔にロシア美少女が密着し、一夏の所有権を争っている。これが冷戦か。一歩も譲らず、一夏のことを思ってか派手な攻勢に出ることはせず、じっと睨み合いが続く。
そんな中、新しく争いに加わる者があった。
「馬鹿な……。国力と胸の大きさは比例するとでも言うのか……」
何かに絶望したらしいラウラと、
「いやぁ、先輩たちの胸、本当に大きいね。僕もこれくらい大きければな」
苦笑いしつつ、大国の二大巨頭に羨望の眼差しを向けるシャルロットだった。
前をロシア、後ろをアメリカ。そして、右半身をドイツ、左半身をフランスの美少女に囲まれる。漏れなく体に泡を塗っており、その体で一夏に抱き着いてくるため、泡だらけの女体によって四方からプレスされている状態だ。
一夏の体が異国の金銀美少女たちに独占され、遅れてきた少女たちが困惑する。
「ど、どうする? これ」
「あたしの貧相な体では如何ともしがたい……」
「篠ノ之さんとか、大和撫子な巨乳美少女を呼んでくる?」
「いや、ラウラちゃんみたいな小さい子もいるから大丈夫」
「それと、日本女子は技術力でカバーよ!」
妙な結束を見せる日本勢が隙間を縫って一夏に手を掛ける。一夏の尻を、太股を、脇腹を、そして股間へと果敢に攻め込んだ。あまりの入れ食いにしばし様子見をしていた他の少女たちも、一夏の肌に少しでも触れようと一夏に近づく。
「うっ、くっ、ひっ!? そ、そこはっ……!」
肉棒や金玉を泡のついた手で包まれたかと思えば、尻の穴へと指が這いまわる。敏感な場所を同時に襲撃され、反射的に一夏の尻が椅子から持ち上がってしまう。それ幸いにと、一夏が尻を椅子に落ち着ける前に伸びてきた手が一夏の尻を掴み、揉み解してくる。
くすぐったいという感覚以上に、一夏は脳が蕩けるような至福を与えられていた。
どこを見ても美少女。仮にこの場の誰か一人を選んで生涯を共にせよ、と言われたとしても幸せな未来が待っているだろう。それほどまでに美しく、器量がよく、世の男共が涎を垂らして求めるような美少女たちに群がられ、体の隅々まで洗われている。
「もう少し胸が大きい方が……」
「ラウラ、気にしすぎだよ」
右腕にラウラの胸が、左腕にシャルロットの胸が当たり、ごしごしと擦りつけられる。大きさは確かに異なるが、それぞれの良さがある。小さいから駄目ということではない。一夏の肉棒がそれぞれの胸の膨らみと、コリコリとした乳首の接触によって過敏に反応してしているのがその証拠だ。
「なぜか大人しくなったみたいね!」
「貴女が強く抱き締めるせいです。私の可愛い子を苛めないでください」
「ロシアが胸で圧し潰しているせいでしょ!」
「国名で呼ぶなと、去年から言っていますよね?」
「じゃあ、アンナ!」
「名前で呼ばないでください」
「理不尽!」
言い争いが発生している最中も、一夏の全身に手が這い回る。この短時間で既に、一夏の体は足の指先から首まで白い泡に染まっている。耳たぶまでくりくりと指で摘ままれ、ついでとばかりに「大好きだよ」と誰かに耳元で囁かれる。
駄目になってしまいそうだった。このまま溺れて、女体の海に沈みたくなってしまう。
「おちんちん、爆発寸前だね」
「体ばかりで疎かになっているが、ここを一番念入りに洗わなくては」
「カリ首の溝の部分、指で優しくなぞってあげる」
「意外と竿と玉の接着面も汚れそうだな。どうだ、嫁よ」
尋ねられても、一夏は何も答えられない。胸のクッションに顔面は埋もれ、背中で何往復も巨乳を擦り付けられている。それとは別に尻の穴も重点的に攻略され、腰どころか全身に力が入らない。
「気持ちいいね、一夏」
「早く素直になったほうがもっと心地いいぞ?」
「箒の言うとおりにしよう?」
「この世界も、一夏が欲望に従うことを望んでいる」
ウィスパーボイスで囁かれ、一夏は蕩けた顔で震えた。同時に、シャルロットとラウラのダブル手コキによってますます肉欲を煽られ、先走り液がだらだらと垂れ流れた。泡と混ざったそれを肉棒全体に広げられ、執拗に扱かれていると、我慢の限界が訪れた。
ぶびゅっ、どびゅっ、びゅるっ、びゅるるっ、どびゅっ、ごぷっ、どぷっ!
「たくさん出せて偉いね」
「お前は本当に優秀な雄だ」
二人の囁き声で褒められながら、ぬちゅぬちゅと音を立てる手コキで肉棒の射精を促進させられる。このまま堕ちてしまえれば、さぞ幸せな時間が送れるに違いない。一夏の心を堕落させるような誘惑が、眼前に餌のように垂れさがっている。
が、一夏は抗い続ける。女神が邪神の封印を破り、一夏たちに救いをもたらすその日まで。
モブキャラが暴れている……。