ほぼオリキャラが登場します。名前も容姿も本作の独自設定です。
「会ってほしい人がいるんだ」
箒の口からそんな言葉が飛び出してきたのは、八月も中盤に差し掛かった頃だった。
最近、IS学園では人の出入りが激しくなっていた。以前から何らかの資材の搬入が行われていたのは一夏も知っていたが、どうやら学園内に新たな施設を建築しようという計画が進められているらしい。
箒と千冬は何を考えているのか。こればかりは聞いても話してもらえなかった。二人を監視しようと思ってさり気なく傍にいても、一夏は女子たちに纏わりつかれて連行され、エアコンの効いた部屋で貪り食われる。
悪い予感はするが、何もできない。裸の女子たちに抱きつかれ耳元で褒め称えられ、幾つもの乳房に埋もれ、肉棒を膣穴で包まれて子種を搾り取られる。一人が終われば別の少女が心の底から嬉しそうに股間に跨って、アンアンと喘いで一夏の上で腰を振る。
相も変わらず罪悪感と背徳感に心を揺さぶられていたとき、一夏の下に箒がやって来た。
そして、冒頭の言葉を投げかけてきた。
断るという選択もあったのだろう。だが、一夏は神妙な面持ちとなった箒の様子が気になった。たとえば、一夏の餌となる女を用意したという話ならば、箒はきっと愉快そうな顔で一夏に提案するはずだ。しかし、箒に普段の微笑みはなく、その評定は複雑な心境を示していた。
何だろうか。確かめておきたいという気分に駆られ、一夏は承諾した。
この選択は決して間違ってはいない。
だが、一夏はすぐに理解することになった。
間違いではないが、もう少しだけ身構えておくべきだったと。
セックスで汚れた体を浴室で洗って――正確には女子たちの裸スポンジで隅々まで揉みくちゃされて――着替えた後、一夏は箒に連れられてとある場所に向かった。
IS学園の地下五十メートルの場所にある、秘匿された施設。学園関係者の中でも存在を知っている者は限られており、さらにそこに入る権限を有する者はさらに限られる。生徒でありながら千冬と同等の最高権限を与えられている箒は当たり前のようにセキュリティの厳重な重々しい扉を開き、一夏を中に誘う。
どこか薄暗く、機械的な通路が続く。道中で無数に枝分かれしている道を見ていると、SF映画に出てくる秘密結社のアジトを連想させた。天井近くに一定間隔で設置された監視カメラに見られているような感じがして居心地の悪さを抱き始めていた一夏だったが、幾つもの扉を潜ってようやく目的地にたどり着いた。
「ここだ……。ここなのだが……」
これまた厳重なロックが掛かった鉄の扉。生身では破壊は無理だろうと容易に察することのできる扉の前で、箒が腕を組む。腕に持ち上げられるように震える衣服に包まれた大きな二つの乳房に一瞬だけ視線を惹かれてしまったが、一夏は慌てて箒の顔に目線を移した。
何か思うところがあるのか、箒は真剣なそうに唇を引き結んでいた。
「何か問題でもあるのか……?」
能力を得て今の立場を得た箒がこれほど苦心するとは。会ってほしい人というのは、いったいどういう人なのか。一夏は脳内で幾つか候補を挙げてみたが、どれも箒が見せている反応と直結するとは思えない。
ただ、心当たりがないと言えば、嘘になる。
しかし、さすがの箒でもそれをするだろうか。
何だかんだで、一夏は箒という幼馴染のことを信頼している。どれだけ迷惑を掛けられたとしても、一夏をこの地獄に叩き落した一人だとしても、大切な幼馴染なのだ。近頃は、大切な幼馴染から愛する幼馴染という立ち位置にシフトしつつあり、尚のこと愛情は深まっている。
「よし……」
心境の整理を終えたらしい箒が、セキュリティを解除して扉を開いた。
重々しく開く扉。室内の様子を見て、目を見開く一夏。その際の硬直の隙を突かれた。箒に背を押され、一夏はたたらを踏んで室内に踏み入ってしまう。
そして、一夏の背後で扉が閉まり始め、一夏が振り向いたときには手遅れだった。
「達者でな」
完全に扉が閉まる途中、箒の声だけがすり抜けて一夏の耳に入る。
「箒!? 本気か!」
本当にやりやがった! と思いながら、一夏は扉を叩く。通路まで振動は伝わっていないだろう。伝わっていたとしても、箒は応じてはくれないだろう。わかっていても、一夏は無意味な行動を取った。
それは、決してこの場に来たのが自分の意思ではないと、先客にわかってもらうため。
「久しぶりね、一夏君」
自分を正当化する行動を取っていた一夏だったが、背後から穏やかで聞き心地のいい声を掛けられて、振り上げていた拳を止める。恐る恐る、後ろを振り向いて、声の持ち主の姿を視界に入れる。
長い黒髪を首の後ろで一括にした女が部屋の中心に佇んでいた。絹の極薄生地で仕立てられた純白の装束を身に着ける体は、柔らかそうな起伏を描いている。肉体だけでも意志薄弱な雄ならば容易に奮い立たせるものだというのに、視線を上げて顔を映してしまえば、もはや雄の大部分が魅了される。
二十代後半といっても差し支えないかもしれない。肌艶はよく、皺一つない若々しい顔は非常に整っているだけでなく、濃密な色香を漂わせている。軽く吊り上がった双眼の目尻が優しく垂れるのを見て、一夏は思わずドキリと胸を鳴らした。
「
たおやかな風貌をした女の名前は、篠ノ之雅。束と箒の母親だ。
左目の下にある泣き黒子の位置も、身に纏う母性溢れる雰囲気も同じ。ただの他人の空似ではない。小学四年生の頃に箒が転校するまでは、両親のいない一夏と千冬は篠ノ之一家にたびたびお世話になっていた。何度も目にしてきた雅の姿は、幼い頃の記憶をそのまま取り出したかのように変わらない美貌を保っていた。束よりも箒に似た面立ちであり、箒と束の姉のようにも見えてしまう。
「うふふ、視線が熱いわ。あんなに可愛かった一夏君も、立派な殿方になったのね」
薬指に指輪を嵌めた左手を持ち上げ、雅はそっと自分の頬に手を当てた。形のいい目が細められ、瞳の奥で何かの熱が灯る。獲物を見定めるかのような眼差しにゾクリとした寒気を覚えつつ、一夏の股間には確かに熱が集いつつあった。
ズボンの股間にテントが張ってしまうのは、一夏には避けようともなかった。
「あら? まあ……」
雅の熱い視線が一夏の股間へ這ったのに気がつき、一夏は両手で股間を隠す。しかし、その程度で一夏のLv.100チンポの威圧感と存在感は隠し通せるものではない。ましてや、女子たちとベッドや浴室で戯れて、汗と汚れをシャワーで流してから然程時間は経っていない。雌を食らって調子づいた雄の臭いが気づかぬうちに漏れ、この場にいる女を惑わす。
閉ざされた扉。地下であるために窓はない。
何の装飾もなければ、ただの牢獄に思えるだろうそこは、和の様相を呈していた。
上がり框から部屋の奥まで、畳が敷き詰められている。部屋には掛け軸や生け花が飾られているだけでなく、壁や天井が全て和室のそれを映し出し、疑似的な和の空間を作り出している。映像のはずなのだが、閉ざされた障子戸から取り込まれる光が室内を優しく照らし出している。
このまま雅がお茶を点ててくれそうな雰囲気だが、その気配はない。
部屋の中心に敷かれた一組の布団。枕は二つ。
そして、着物ではなく、肌に纏わりつくほどの薄い白装束に身を包んだ雅。
雅は綺麗な所作で畳の上で正座をし、三つ指を突いて頭を下げた。
「織斑一夏様。ようこそお越しくださいました」
気を取り直して告げられた言葉は、娘の幼馴染に向けるものではなかった。
「本日はこの私、篠ノ之雅が一夏様をおもてなしさせていただきます。娘二人を作った経験豊富な体を使い、隅々まで癒して差し上げます。どうぞ、お心を安らかに、気の済むまでお射精なさってくださいませ。一夏様が望まれるのであれば、子宮に子種を放っていただいても構いませんわ。束と箒の弟か妹が出来てしまうかもしれませんが、お気になさらず。どうぞ、子作りと人妻を服従させる練習に私の体をお使いください」
顔を上げ、柔和な笑みを見せる雅。
その微笑みから滲み出ている高揚と、言葉に帯びる欲望。
人妻が夫以外の男に向けるべきではない感情を伝えられ、一夏は茫然とした。
股間から離れ、体の横に垂れ下がる一夏の両手。解放された股間の内側で肉棒がさらに膨らみ、カマ首をもたげる。我慢汁が滲んで下着とズボンのテントを薄っすらと濡らす中、一夏が背を向ける唯一の出入口である扉に、電子文字が浮かんだ。
『人妻と交尾しまくらないと出られない部屋』
ふざけた文字を挟むように、兎の絵文字が表れた。
一夏はそれに気がつかない。
しかし、自ら足を前に進めてしまう。理性ではどうしようできない強い欲望に促されるまま、靴を脱いで畳へと上がり、雅の前に立ってしまう。微かに呼吸を荒らげ、雅へと右手を伸ばす。その途中で思い留まって手を止めてしまうが、雅の左手が一夏の手を握り、指を絡ませてきた。
「始めましょう、一夏君。これまで何があったのか、お布団の上で聞かせて頂戴?」
今度は、幼馴染の母親としての言葉。
安心感と、鼓動を速める興奮に襲われた一夏は、雅に誘導されてその場に膝を突いた。