窓のない部屋。照明は消され、正面の壁一面に投影された映像が流れている。過去の映像だ。右下に表示されている時刻は現在より数時間前。一夏がアーシアと入浴するよりも前だ。既に起こってしまった出来事なのだと知って、一夏は強い後悔に震えた。
「ん、ちゃんと映像は、見えているな……? っ、あぁっ……!」
耳に吹きかけられる女の声。聞き慣れているはずなのに股間によく響く。股間でいきり立つ肉棒に余計な力が入ってしまい、その声を放った女の内側、膣内で肉棒がメリメリと膣壁の圧迫を押し退けて穴を拡げる。
女、箒はゆるりと口端を持ち上げ、一夏に抱きつきながら尻を上下に躍らせる。
「ぉっ、ぉぉっ、んっ、ふっ、ぁ、あぁっ……!」
雌声を傍で聞かされる。チンポに毒でしかないが、どうすることもできない。座り心地のいい革張りのリクライニングチェアに全裸の体を受け止められ、立って逃げようとする一夏を押さえつける形で覆い被さる箒。一夏の首に両手を回し、ここ最近益々大きくなったと感じる乳房を一夏の胸板に押しつけて尻だけを器用に揺らしていた。
膣穴に咥え込まれ、膣肉でゴシゴシと扱かれ続けるチンポ。
至福に震える一夏の眼差は、先ほどから正面の映像を捉えていた。
映像。それは、とある孤島を舞台にした戦闘記録だった。入浴を終えて自室で休憩していた一夏を、わざわざ学園地下にあるこの部屋に連行したのは、これを見せるためだったようだ。
楕円形の島を上空から映し出している。撮影はおそらくISによるものだろう。滑らかに映像が空を泳ぎ、島の一画を大画面で拡大した。
そこには、一機のISから逃げ惑う女たちの姿があった。揃いの黒衣、ISスーツのような戦闘服に身を包んだ女たちは恐怖や屈辱などの感情を顔に見せながらも、時折手に持った銃火器で迫りくるISに応戦している。
だが、現行の兵器を軽々と上回って世界最強の座にふんぞり返るISが、銃火器程度で怯むことはない。漆黒と紫に彩られた外装を有する機体。蝙蝠のような翼を広げ、長い尾をたなびかせる不気味ながらも威容なISは、機体と似たカラーリングでやけに露出度の高いISスーツを纏う搭乗者の意思で女たちへと距離を詰める。
林立する木々を軽やかに避け、気紛れに横薙ぎにした尾の鋭利な先端で木を容易く粉砕し、女たちに恐怖を与えている。上空からでも破砕音が聞こえてきそうだが、音声は流されておらず、一夏の耳には届かない。
「あれは……」
部屋の中に一夏の呟きが大きく響いた。
「束さんのジャバウォック……」
漆黒の機体は一夏の知るISと外見が酷似していた。以前、まだ敵だった束の意思に従い、セシリアたちを凌辱し、一夏をも苦しめたIS。それがまた別の誰かを襲っている。もしかすると、搭乗者も被害者なのではと思ったが、そうではないことに一夏は気がついた。
ジャバウォックを駆る女の顔の上半分は黒く鋭利なヘルメットとバイザーによって隠れているが、口元には余裕を湛えた笑みがあった。機体に弄ばれている雰囲気はない。
そのとき、一夏の視線は搭乗者のスーツに押し込められた長乳に向いた。ジャバウォックの細長い腕によって背後から鷲掴みにされる形で固定された胸に、一夏は見覚えがあった。
あれは一夏が味わったことのある胸だ。神となって記憶力を底上げされた一夏の脳内に、その女の顔や交わったときの記憶が蘇る。余裕を湛える口も、一度チンポをぶち込んで咥えさせたことがあるため、判別するのは容易だった。
「生徒たちが戦っているのか……」
搭乗者はIS学園生。しかし、であればいったい誰と戦っているのか。
その答え合わせは箒によって行われた。
「ああ、認識通り、IS学園の生徒たちだ。そして、その相手なのだが……。あろうことか、一夏が治めるこの学園にスパイを忍び込ませていた愚かな組織だ。古い歴史を持ち、昔ながらの男尊女卑の思想に囚われた男たちが君臨し、女の兵士たちを使って、分不相応にも世界征服を企んでいる」
軽蔑の色を込めて、箒が吐き捨てるように言う。
「
箒の言葉と同時に、映像の片隅に亡国機業に関する資料が表示された。
そこには、亡国機業の実態や、進めていた計画の一端が記されていた。一夏が目にした途端に夥しい文章が下から上へと一瞬にして流れていくが、一夏の目がそれを捉え、理解するのに十分だった。
世界の裏で暗躍する秘密結社、亡国機業。その歴史は第二次世界大戦まで遡る。人と人の醜い争いの中で生まれ、血を吸って成長し、今日まで生き延びてきた。悪事と呼ばれる大抵のことはやっているようで、その中には女を食い物にするような内容も含まれていた。人をかどわかし、拷問し、洗脳し、駒にする。まさしく悪の組織だ。
組織の構造としては、幹部会と実働部隊の二つに分けられる。実働部隊はほぼ女で構成されている。理由は、ISを使えるのが女である点と、幹部会に席を置く男たちの好みだろう。幹部会には少ないが女もいて直属の部下を抱えているが、男の幹部たちもそれは同じ。兵士として、性奴隷として、母胎として。好みの女を部下とし、世界中の至る場所に拠点を置いて利と欲を貪っているらしい。
「っ、んんっ、ぁっ……。どうやら、この者たちは私たちを狙っていたようでな……」
先の資料にも書かれていたことが、箒の口からも伝えられる。
「IS学園には、世界各国の優秀な女たちが集っている……。しかも、皆一様に優れた容姿だ。幹部の男共の目には上質な獲物に見えたようだ。専用機持ちは特に、な。捕まえてもいないのに、いずれ捕まえたときのことを考えて、幹部の間で獲物の所有権を決めていたそうだ……。この意味は、わかるよな……?」
「皆が、敵に……」
「ああ……。セシリア・オルコット、凰鈴音、シャルロット・デュノア、ラウラ・ボーデヴィッヒ、更識楯無、更識簪、それと、篠ノ之箒……。お前が愛してくれた女たちは勿論、大勢の生徒たちを組織の兵士にしようと考えていたようだぞ? 誰がどの女を手元に置くのか。ディスプレイに顔写真や個人情報を投影して獲物を品定めし、自身の部下に性奉仕させながら様々な賭け事で私たちの主が決められたそうだ……。専用機持ちは真っ先に貰い手が決まったとのことだ……。想像してみろ……。私たち全員が亡国機業に囚われ、洗脳され、女兵士として新しい主に心身を捧げる姿を……」
言われた通り、一夏は想像してしまった。
悪の組織に堕ち、妖艶な衣装に身を包み、幹部の男たちに忠誠を誓う箒たちの姿を。それは男たちにとって格好の餌食だ。箒たちは間違いなく犯され、場合によっては嫁にされ、そうでなくても子を孕まされるだろう。他にも、麗しい乙女の手を悪事で汚すことに興奮を抱く歪んだ思想の男もいるに違いなく、箒たちは心身を汚されていく。
考えただけで、一夏は憤った。奪われたときのことを想像し、独占欲を示すかのように箒の膣内で竿を伸ばす。ギチギチと内側を広げていくチンポの気配は箒に直接伝わって、喘ぎ声が強くなっていく。
「あぁっ、こんなに熱く、あぁっ……。そんなに私たちのことを、想ってくれたのだな……? ぁ、ぁ、んぁ、安心、してくれ……。今のは所詮、捕らぬ狸の皮算用だ……。亡国機業が私たちに敵うはずもない……。奴らは本当に愚か者だ……。私たちだけでなく、千冬さんや山田先生、居所さえ掴めていない姉さんまでもあわよくば手に掛けようとしている……。千冬さんと姉さんがお前以外に堕ちる姿など、想像できるか……?」
できるはずはなかった。Lv.100チンポという規格外のものがなければ、あの二人は今も誰かに靡くことはなかったはずだ。一夏という共通の主の下に協力して仕える今となっては、向かうところ敵なしだった。
だが、物事に絶対は存在しない。あらゆる可能性を考慮に入れてしまい、やはり箒たちが悪堕ちするイメージを膨らませてしまった。それを払拭しようと、一夏の腰は自然と突き上げられた。
「おぉおおっ……! ぉ……!」
箒の子宮にクリーンヒット。嬉しそうに震え上がる箒を見て、以前よりも素直に、さらに美しさに磨きを掛けた容貌を見て、涎が口内に滲み出てくる。幾度も飲み下し、落ち着かせるように腰を椅子に戻したが、調子に乗った箒は止められなかった。
「あぁっ、チンポ、久しぶりの、一夏のチンポ、一夏との交尾っ……! あぁんっ……!」
他の男ならば、搾取されて干乾びるのではないか。チンポを奉仕し、悦ばせてくれる極上の雌。彼女との交尾を中断する気になれず、一夏は椅子に腰掛けたまませめてもう少し理性的に振舞おうと映像に目を向ける。
学園と、女たちにちょっかいを掛けようとしていたらしい亡国機業。その一拠点である孤島を攻め落とす学園生たちの姿がしばし流れていたが、やがて決着したらしい。
数十機のISが上空と地上、孤島に隠れるように作られていた地下施設内を制圧した。
死傷者は見る限りではいない。ジャバウォックを駆る生徒たちは敵を気絶させるに留めていた。気絶させた者たちは手の空いている者によって抱えられ、孤島の岸壁の下に浮上して口を開けた輸送用の潜水艇に放り込まれる。
捕まえてどうするのか。潜水艇で待っていた生徒に捕縛された女兵士たちの行く末は、目の前の箒に委ねられている。それを説得し、できるだけ穏便に済ませようと思ってしまうのは、間違いなのだろうか。
箒の話が本当なのかについては一夏は判断できていなかった。もしかすると、一夏を焚きつけるために先の話や資料を捏造したのかもしれない。秘密結社相手にそこまで情報が引き出せるのかという疑問もあれば、束という存在がいればそれは可能かもしれないという憶測も入り混じって、何が真実かはわからない。
それでも、この映像は真実で、敵組織の女たちが学園に運ばれてくるのは確定だ。
映像の中で、数あるうちのたった一つとはいえ、敵の拠点が学園生の手によって堕ちた。世界征服という大層な理想を掲げる組織とは思えず、人のいなくなった拠点がジャバウォックによって粉砕されていく。この拠点にISはなかったようで、敵に向けることのなかった高火力のレーザーやミサイルが雨のように放たれていた。
映像が潜水艇内に切り替わった。
捕らわれた女兵士たちの多くは気絶しているが、目を覚ましているわずかな者たちは震え上がっていた。自害抑止のために嚙まされた猿轡がなければ、歯と歯がぶつかって音を立てていたのではないかと思えるほどの恐怖。念のために潜水艇に待機していたジャバウォック数機に囲まれ、数人の人間を同時に貫けそうな鋭利な機械の尻尾を見せつけられて、恐怖に涙している。
これではどちらが悪かわからない。
悪の組織と戦う自分たちは正義なのか。それとも、また別の悪なのか。
悪と善の両方の心を併せ持ち、歪な中庸状態に固められた現状。この中途半端な状態をどうにかしてほしいと強く願うと同時に、一夏は射精を始めた。
「あぁあああ、奥、熱いぃっ……!」
眼前で悦ぶ箒の顔を見て、征服欲と罪悪感の波間に揺れながらどぷっどぷっと子宮に精液を流し込む。ぎゅっと抱きしめられ、箒の巨乳がより強く胸板に押しつけられる。男としての確かな幸福を噛み締め、長い射精が続く。
一夏は伸ばした両手で箒の尻を抱え持つように掴む。独占欲によって指が忙しなく動き、尻を可愛がる。尻肉をいくら揉んでも喜ばれる。子宮に精液を詰め込むと感謝される。キスをしようとすると、舌を差し出される。
恵まれた環境において、一夏の善性だけが不自然だった。
せめて少しの間だけ、何もかも忘れて、自分の意思で動ければいいのに。
『わかった』
一夏の心の中で抱いた想いに、応じてしまった災厄の権化、邪神こと女神。たった一言で一夏の全身に鳥肌を立たせ、背中に冷水を流し込んだ。最悪、理不尽。様々な言葉が脳裏を過ぎる中で、女神は幼い少女の声で小さく嗤う。
『褒美をあげる』
絶対に要らない!
声高に心の中で叫んでも、女神は言うことを聞かない。
「な、なんだ……!?」
一夏を中心に眩い光が広がる。それは箒をも包み込み、部屋に行き渡って光で埋め尽くした。
視界を光に呑まれる。光に掻き消されるように意識が段々と遠くなっていく。
抱き締めていたはずの箒の感覚がなくなって、光の中に囚われる。
何か良からぬことが起きようとしている。
漠然とした想いを胸に、一夏の意識は途中で終わった。
そのとき一夏は最後に、自分の心身に異変が生じたことに気がついていた。