※この作品はR-18です。

猿股助平衛 ~淫獄のリング~   作:perv

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DOA マリー・ローズ

 『いやぁああああああああああああっ!!!』

漆の如くブラックに塗り固められたモニタールームに少女の悲鳴が鳴り響く。

98インチの大型モニターから発される彩光が、赤いカウチチェアに埋まるように座った肥満体形の男を照らした。

モニターには一人の長い黒髪の美少女が豚のような中年男に犯される姿が映し出され、それを肴に男は勃ち上がった股間をしごいていた。

 

 「ふふっ、随分気に入ったようだな」

ガチャとドアが開く音とともに、ぎらついた衣装の壮年男性が入ってくる。

鮫の皮でできているような、銀光りする派手な靴をカツカツと鳴らしてモニターに近寄る。

「ぐひひっ!最高でしたよ、あの娘のカラダは…」

チェアの傍にあるゴミ箱には既に黄ばんだティッシュの塊が数個入っていた。

他人が入った事を気にも留めないのか、太った男は依然として股間をしごき続ける。

 

 「…ちょっと話があるんだ」

盛った猿のように股間をしごく男を尻目に、無機質な声を発する。

丸テーブルの上に置いてあったリモコンの電源スイッチを押すと、部屋中が漆黒と静寂に包まれる。

急に映像を消された事で助兵衛はつまらなそうな顔をしてみせるも、同時にその顔を暗闇で壮年の男に見られなかった事を幸いにも思った。

 

 

 夏草や兵どもが夢の跡。

今では寂れたただの地下ドームだが、助兵衛があのリングに立った日、このスタジアムは燃え上がった。

一万人を超える男達が押し寄せ、互いの欲望や情熱を共有したあの時。

二階席スタンドから一炊の夢の跡を目下ろす。

誰一人いないスタジアムにコツコツと皮靴の音が虚しくこだました。

 

 「次の相手が決まったんだ」

「おほぉっ!それは吉報ですなぁ~」

待ってましたと言わんばかりにパチンと手を叩く助兵衛。

「それで?お相手の写真を見せて頂けますかなぁ?」

肥えた体を余計に丸めながら、へりくだった態度で頼み込む。

早く対戦相手の美女の顔を見たくてしょうがないのだ。

 

「勿論、それは後で見せたいと思うんだが…その前に」

尖った靴の先で蹴り出すように、階段を下る。

下った先には観客の座る座席が広がっていた。

 

(何をするおつもりなんだ?)

助兵衛も男が何をしたいのか、言いたいのか分からないまま、階段を下る。

座席に近付くと、何とも表現しがたいむわっとした臭気が鼻腔をついた。

どこかで嗅いだような臭い、しかし、決して快い臭いではなかった。

「むぅ?何か変な臭いがしませんかね?」

鼻をスンスンと鳴らしながら問う助兵衛。

「気が付いたか。話というのは、その臭いについてなんだ」

 

 壮年の男が指をさす。

その指の先には白く濁った液体で汚れた座席達が広がっていた。

白濁液は主に座席の後部に付着しており、座席だけでなく景観をも汚す。

「な、なんですかねこれ」

眼前に広がった異様な光景に一瞬目を剥く助兵衛。

ごみで散らかっているという訳ではない。

ただ、乳白色の濁った液体がどの座席にもべっちょりと付着していた。

 

 「これか?これはな、お前が普段あそこで出しているものだ」

いたずらっぽく白い歯を見せながら、今度はリングの方に指をさす男。

大体見当はついていたが、ようやく確信する事ができた。

 

 座席に付着しているのは、男の精子だった。

2階席から下の席を覗いても同じような光景を臨める。

どうやら、観客の男達がパイロンが犯されるのに興奮して、観戦中に出してしまったようだ。

 

 無理もなかった。

見るも醜い中年男にうら若き美少女が犯される夢のような光景を見て、興奮してしまうのは雄の性。

それも前回、助兵衛に犯されたのは王白龍という類を見ないほどの美少女だ。

男達のパイロンへの想いが、そこら中に残されていた。

 

 「…あの試合からもう2日経ちますけど、掃除業者には頼まなかったんですかい?」

顎に手を当てながら問いかける助兵衛に、ふふっと笑いながら答える男。

「お前、俺達がそんな業者呼べるほど余裕があると思っているのか?この間のお前の試合でやっと黒字が出たばかりだぞ。それに、この有様を見たら、業者だって断るだろうに」

精子まみれの観客席を前に、少し呆れたような表情をしながら参ったように両手を広げる男。

「で、結局どうするんですかい?ここままだと、試合どころじゃないですぞ」

早く試合がしたいのか、股をむずむずさせながら言い募る助兵衛。

 

 「俺とお前、それ以外のスタッフもかき集めて作業をすれば、二日で片付くだろう。ただ、問題はその後だな」

「その後…とは?」

「何も対策を講じなければ、次の試合でも俺達がまた汚い思いをさせられる。そうならないために、一つ、案があるんだが」

そこまで言って、腕を組みながら言い淀む男。

「何か問題でも?」

「少し、時間と費用がかかるんだ。ただ、この間の試合の盛況ぶりからして、今後も黒字は出続けると思う。だからそれを見越して、一つ、大掛かりな工事をやってみようと思うんだ」

座席の汚れていない部分をぽんぽんと叩く。

「大掛かりな…工事、ですか。一体何をされるおつもりで?」

天を仰いで助兵衛が問う。

「それは、だな」

その問いに、男は自信ありげにニヤリと笑みを浮かべると、一枚の設計図を取り出した――――

 

[newpage]

 

 「レディィィィィィィス!エェンド、ジェントルメーーーーーーーン!!!」

七色に光るスポットライトの下で、黒いスーツに身を包んだリングアナが絶叫する。

「これよりぃぃぃ、本日のメインイベントを開始します!!!」

「「「「「「ウオオオオオオオオオオオオーーーーーッ!!!」」」」」」

リングアナが唾を吐き散らしながら叫ぶと、観客席から鬨の声が上がる。

聞こえの良い女の黄色い声援は聞こえない。

蛮族の襲撃かと聞き間違える程、野卑で雄々しい唸り声が会場を覆い尽くす。

その唸りは控室にいる選手達にも届いていた。

 

 

 (大した興行だと思わなかったけど、こんなに人が集まってるなんて…)

リラックスした面持ちながらも、観衆の怒号に驚きを隠せないマリー。

そもそもここにいるのは、街に出かけていた所、ケーキ屋で声をかけられたのが事の発端だった。

 

 ―――――「なぁ、マリーちゃん、ちょっとアルバイトしてみないか?」

よく晴れた休日のこと、マリーは大好物のプリンセスバーケルセを食べに行きつけのケーキ屋に出かけていた。

いつも笑顔で客を迎えてくれる癖っ毛の主人が話を持ちかけてきた。

「アルバイト?このケーキ屋でアルバイトするって事ですか?」

首を傾げながら主人に問い返すマリー。

この主人はマリーが召使いとして働いている事を知っているからであった。

「いや、そういう事じゃないんだ」

主人が傍に置いてあった一枚のチラシをマリーに見せる。

「実はこの街の地下で、格闘技の興行をやっているんだ、いわゆるプロレスみたいなねぇ。それで、一週間後のメインイベントに出場してくれる人を募集してるみたいなんだけど…マリーちゃん、どうだい?」

途中から主人の声は耳に届かなくなっていた。

目の前に突き出された紙の一部をまじまじと見つめるマリー。

「こ、この額…本当ですか?」

チラシの『報酬額』の部分を見て、思わず目を丸くするマリー。

0の数を数えるのに両手を使ってしまった。

「あぁ、勿論、本当だよ。ちょっと、おじさんも信じられないけどね」

煮え切らないような笑みを浮かべる主人。

その額はきっとこのケーキ屋の売上一年分くらいであろう。

 

「…この求人、本物?」

しかし、そんな甘い話、世の中にはそうそう転がっていない。

我に返ったマリーが「やれやれ」といった風に白ける。

「アルバイトでこの額の報酬額が支給されるなんて、ちょっと信じがたいですね」

主人の目を見て訝しむマリー。

主人は目を伏せながら、ごほんと咳払いをして返す。

「でも、アルバイトとはいえ、一つの興行のメインイベントに出るって事は凄い事なんだろう?よくボクシングの世界王者が一試合で1億ドル以上も貰うって話を聞くけど、それと同じだと考えれば、この額も不思議ではないんじゃないかなぁ?」

「うーん」

確かに主人の言う通りであった。

この興行がどの程度の規模のものなのかは分からないが、小さな興行でもメインイベントに出られれば100万円くらいはもらえる。

 

それに、最近マリーは掃除や洗濯など召使いの仕事を全うしていたせいで、肩が凝っていたのだ。

ストレス解消、とまでは言わなくとも、一度本気で体を動かしてみたいと思っていた頃であった。

 

 「…分かりました。その話、引き受けましょう」

「本当かい!?ぐふふっ」

嬉しそうな表情とともに、ふとはしたない笑みを漏らしてしまう。

「?」

「あ、あぁ!いやぁ、なんでもないよ、はははっ」

焦りながら、真意を探られないようにわざとらしく取り繕う。

「契約書とかサインとかはいらないから、この日のこの時間に来てね、場所は…」

お金は正直どうでもいい。

ただ、本気で体を動かせる事に、マリーの胸はときめいていた。

 

 

 「それではぁっ、本日のチャレンジャーッ!!青コーナー!見た目は子供、強さは大人!!”小”悪魔サーバントッッッ!!!マリィィィィィィ!ロオオオオオオズ!!」

ウオオオオッ!と火に油を注いだが如く、より一層湧き立つ観客。

(見た目は子供って、何よっ)

心の中でコールに文句を垂れながらも、合図に従い、花道へ歩む。

小さな体躯を、鳴り止まぬ野太い歓声が包み込んだ。

 

 

 「ぴゅぅぅううう」

間の抜けた声でオノマトペを発しながら、何やら腕に注射をする助兵衛。

机の上には空になった注射器が2本置いてあった。

「…いよーし、注入完了」

ふぅぅっと大きく息を吐きながら、3本目の空の注射器を机に置くと、コップ一杯の水をぐっと飲み干す。

 

「調子はどうだ?」

セコンドよろしく、傍にいた壮年の男が調子を窺う。

「ぐひひっ!バツグンですよぉ…薬も、コッチも、ねっ」

既に膨らみかけた股間をパンパンと叩くと、喜色満面の笑みを浮かべる。

「頼むぞ、お前が負けたら洒落にならんからな」

助兵衛よりも緊張した面持ちでその肩を叩く男。

「大丈夫ですって!そうならないために、色々とアナタが用意してるんでしょう?」

「まぁ、そうなんだが…あ、お前、新しく付けたアレ、忘れんなよ」

「ぐひひっ、分かってますって」

耳打ちするようにそう付け加えた男はそそくさと控室を後にする。

 

 「マリー・ローズちゃんかぁ…」

一枚の写真を拾い上げて、顔の前に持っていく。

写真には金髪をツインテールにした美少女、マリー・ローズその人が映っていた。

「こんな可愛い女の子を好きにできるなんて…もうガマンできませんぞぉ」

光を跳ね返す、写真のつやが熱い吐息で濁ってゆく。

紙越しに想いを馳せながら、助兵衛は写真に映った美少女と短くキスを交わした。

 

 

 (何この大会…)

先にリングインしたマリーは自らを守るように両肩を抱く。

成人すらしていない、あどけなさ全開の少女に容赦のない野次が浴びせられる。

 

「マリーちゃん愛してるよおおおおおおおおおおお!」

「俺と結婚してくれええええええええええええ!」

「おじさんが夜の寝技を教えてあげるよぉ…」

 

 (こんな大会だったなんて…)

背中にぞくりと怖気が走る。

このバイトを紹介してくれた、あのケーキ屋の主人の笑顔からはとてもこの低俗で淫猥な雰囲気は連想できなかった。

人は見かけによらない、という事か。

しかし、この観客数ならあの額がもらえてもおかしくないかもしれない。

今いる状況を鑑みて、不思議とマリーはあの突拍子のない金額に納得がいってしまった。

 

 「続きましてぇ、赤コーナー!チャンピオンッッ!!反逆の変態教師!猿股あああああああぁぁぁ…助兵衛ぇえええええええええッッ!!!」

ブーイングを浴びるのはご愛敬。

マリーに向けられていた淫猥な野次はたちまちブーイングへと変わり、助兵衛の姿が現れる。

よく肥えた三段腹を威勢よく揺らしながら、リングへの花道を闊歩する。

 

 (あれが、私の相手…?)

ぽかんとした表情で呆気にとられるマリー。

地下格闘技の興行と聞いたからどんなならず者が来るのかと思いきや。

その太った豚のような男は全く格闘技とは縁のないように見えた。

 

 (馬鹿にしてるのかしら…)

目を細めて、男のリングインを見届ける。

先程子供扱いされた事もあって、マリーは拍子抜けするよりも苛立っていた。

(小さいからって馬鹿にしないでよね)

 

 

 「両者中央へ」

黒と白の縦縞の模様の服を来たレフェリーが出てくると、手で両者を中央に招く。

両者が中央に揃うと、レフェリーはつらつらとルール説明を始めた。

 

 極彩色のスポットライトの当てられたリングの下、マリーの着ている青いレザー製の衣装がてらてらと反射する。

一見遠目から見るとスクール水着にも見えるその衣装は、機能性や耐久性を重視したものでありながらも、腰についたフリルや首元の深紅のリボンなど随所に少女らしい可愛らしさを感じさせる。

それでいながら、露わになったふとももや背中はシルクのようなきめ細やかさを感じさせ、見る者を魅惑する。

 

 目の前にいる助兵衛も魅惑されている男の一人であった。

粘っこい視線で舐めるように肢体を眺めながら、じゅるりと舌なめずりをする。

その様子は獲物を虎視眈々と狙う牛蛙のようであった。

 

 (近くで見ると余計気持ち悪いわね…)

遠目ではよくわからなかったが、こうして光が当たっている下で助兵衛の顔を見ると、脂ぎった肌や頭皮が反射して、より一層近寄りがたい気分にさせる。

さらに、目の前のぶよぶよに緩みきった肉体をこれから叩いたり蹴ったりしなければならないと考えると、ここから帰りたい気分になった。

 

 その醜い豚のような顔と対峙するのは、まるで人形のように整った顔立ちの少女。

サファイアのようなロイヤルブルーの瞳は可憐さと高貴さを同時に感じさせ、光に当てられると透けるように輝く素肌はロウのようにすべすべだ。

二つ結びにされたブロンドの髪は、金糸を編んだようにさらさらで柔かさを感じさせる。

対峙している両者の美醜にあまりにも差がありすぎて、見る者は思わず本当に同じ人間なのかと思わせられる。

 

 「ぶひひっ、今日のお相手は随分可愛らしいお嬢さんですなぁ~」

レフェリーのルール説明を無視して、助兵衛が喋りかけてくる。

「…」

気持ち悪い上、言葉にどことなく小馬鹿にされている風な語調を感じる。

「そうツンケンしなくても良いじゃないかぁ、よそ見してると、ほらっ」

「ーッ!」

伸びてきた助兵衛の指を胸の前で掴むマリー。

あと0.1秒でも遅ければ乳首をつつかれていた。

 

 「…何するんですか」

ぐぐっと握る指に力を込め、助兵衛を睨みつけるマリー。

「ぐひっ!マリーちゃんが緊張してたみたいだから、ほぐしてあげようと、ね。おじさんのささやかな気遣いだよぉ」

「ふざけないでっ!」

悪びれずに不敵な笑みを浮かべ続ける助兵衛に、さらに指に力を込める。

「あー!いたたっ、分かったよ。おじさんが悪かったから、許してくれよ」

助兵衛が顔に手を当てて大仰に痛がると、ルール説明をしていたレフェリーが割って入る。

「試合前の攻撃は無効とされています。これ以上続けたら失格になりますよ」

「…ふんっ」

指の一本くらい折ってやりたい気分だったが、仕方なしに離してやる。

「良かったぁ…試合前に指折れちゃうと上手く戦えないからね、マリーちゃんが優しくて助かったよ」

解放された指にふーふーと息を吹きかけながら、上目遣いで視線を送る助兵衛。

その姿が気持ち悪くて、マリーは指を離した事を後悔してしまう。

(ヘラヘラしてられるのも今のうちなんだからっ)

 

 

 「それでは両者コーナーへ」

ルール説明が終わるとレフェリーは二人を各々のコーナーへ行くよう指示する。

後ろを振り向いて、下卑た野次を送ってくる観客の顔を見ないように俯きながら青コーナーへ戻るマリー。

 

(これでやっと体を動かせわね)

肩を揉んで、くりくりと回しながら戦闘態勢を整える。

野次を飛ばされたり、乳首をつつかれそうになったり、ここまで何一つとして良い事はなかったが、これから思う存分体を動かせると考えれば、悪い気持ちは差し引きゼロになる。

一つ大きな深呼吸をして、体中の力を落とす。

「血の薔薇、咲かせてあげる」

 

 

 

 カァァァァァンッ!!ファイッ!!!

ゴングが打ち鳴らされ、試合開始を告げる。

助兵衛がのっそりのっそりと横へ回るのに対し、マリーは両手を下げたまま、脱力した構えを取る。

「マリーちゃん自分から来ないのかな?じゃあおじさんから行っちゃお」

緩慢な動きで前に出てくると、少し腰を沈め、胴タックルを仕掛ける。

マリーの腰を捕えたと思った瞬間、目の前が真っ白になる。

 

「ぶげっ!」

懐に入った助兵衛の顔面にマリーの膝が突き刺さった。

腰高なタックルを仕掛けてくる相手に対して、カウンターの膝蹴りは有効だ。

膝蹴りを喰らった助兵衛はもんどり打つように真っ逆さまにダウンを喫す。

 

 「この程度?」

膝をパンパンと払いながら、倒れている助兵衛にも聞こえる声で小馬鹿にしてみせるマリー。

格闘技経験者であれば打撃の中にタックルを織り交ぜる、逆にタックルから打撃へ移行する、そのくらいの工夫は当たり前だ。

いきなり遠間から胴タックルを仕掛けるなどもっての他である。

 

 「なかなかやりますなぁ…マリーちゃん」

両手を床について、おずおずと立ち上がる助兵衛。

猫背のまま、ゆらゆらと漂うように好機を窺う。

 

 「ほれぇっ!」

今度は足首の位置まで頭を下げる低空タックルだ。

体を亀のようにして、潰れながらマリーの足下へ掴みかかる。

 

 「それならっ」

ぴょんと軽く宙に跳んでみせるマリー。

その瞬間、助兵衛の視線からはマリーの脚はいなくなっていた。

 

 「ひょっ?どこに…ぐえっ!!」

標的を見失った瞬間、背中に衝撃が走る。

低空タックルをかわされて背中を踏みつけられたのだ。

助兵衛を絨緂のように踏んづけるとトランポリンのようにその上で何度も跳ねる。

 

 「ぐぇっ!やめっ!」

相手は39kgとはいえ、連続して踏まれると苦しいものがある。

息を吸い込んだ瞬間に胸部に圧が加わると、それだけで失神してしまう事もある。

 

 10数回踏まれた後で、マリーは助兵衛の背中から降りる。

ふぅっと安堵の息を漏らしながら立ち上がると強烈な左ハイキックを顎にもらう。

 

 「がぁっ!!」

文字通り顎が揺れると、助兵衛は全身を硬直させたまま大の字になって倒れる。

誰が見ても「危ない」と感じさせるような倒れ方。

失神はしていないようであったが、相手に腹を向けて倒れるなど格闘技においては絶体絶命だ。

 

 あまりのマリー優勢に会場はブーイングの坩堝と化す。

観客は醜い中年男の公開処刑など見に来たのではないのだ。

「つまんなーい」

大の字になった助兵衛を見下して言い放つマリー。

勝ちにいくのであれば、すかさずマウントポジションを取ってパウンドや肘を落としてKOするか、関節技を極めて一本勝ちする事もできた。

 

 しかし、マリーはそれをしなかった。

久しぶりの格闘で気持ちよく汗を流して、すっきりした気分で帰りたかったのに、助兵衛が弱過ぎて消化不良になるからであった。

ここで勝負を決してしまえば、自身のくすぶる闘志は鎮められないだろう。

マリーは助兵衛が立ち上がるのを待つ事にした。

その考えが命取りになるとは知らずに。

 

 

 「マリーちゃんぼーっとしてる暇はないぞぉ」

それまで虫の息で倒れていた助兵衛がいきなり声を発すると、マリーの元へ向かう。

それも立ち上がらずに、両手を床について尻で歩くような奇怪な動きでマリーに迫ってきたのだ。

「なっ…!?」

思わずびっくりして後ずさってしまうマリー。

体育座りのような体勢からシャクトリムシのように這い回る。

 

いわゆる『猪木アリ状態』から相手へ迫るこの戦法は、一見無様であるが、実は比較的安全である。

下手に立ち上がろうとして、立ちあがり際を狙われるくらいなら寝転がっていた方が安全である上、寝ている相手から立っている相手へ蹴り上げを放つ事もできる。

さらに相手がマリーのような小さい相手であればなおのこと、いきなり跳び込まれて、顔面を踏みつけられたり、拳を叩き込まれる危険も少ない。

 

 「とうとうコーナーまで追い詰められちゃったねぇ…マリーちゃん」

「くぅっ…」

結局、攻撃に転ずる事ができず、コーナーまで追い詰められてしまうマリー。

会場に設置された大きなモニターにマリーの追い詰められた表情がアップで映し出される。

その瞬間、観衆は今日一番の盛り上がりを見せた。

 

「さぁどうするぅ?このまま黙っておじさんと寝技をするか、それとも逃げるか、ぐひひっ」

寝転がった姿勢から手でチョイチョイと手招きをする助兵衛。

立ち技では一方的にボコボコにされたが、寝技になれば逆にマリーを好き放題にできる自信があった。

 

「バカにしないで!」

しかし、システマには寝技が存在する。

助兵衛の脚を素早く横倒しにするように束ねると、それを跨いで一気にマウントポジションを奪った。

「な、なにっ?」

一瞬にしてマウントを奪われた助兵衛は目を丸くする。

体が小さいだけ、マリーの動きはコンパクトで無駄がなかった。

 

 「これで終わりにっ…」

助兵衛の顔面に拳を振りかざすマリー。

その鬼気迫る表情にはもはや、先程までの戦いを楽しもうという余裕は見られない。

あまりの不快さにもうトドメを刺してしまいたくなったのだ。

馬乗りになっているマリーのふとももの露出した部分に、助兵衛の汗ばみ火照った脇腹が当たり、それが尚更不快感を喚起する。

 

 「ひいぃっ!」

マリーの腹の下で、情けない呻き声を上げたかと思うと、いきなり助兵衛はマリーの腰に抱き付いた。

青いレザーの服越しに助兵衛の顔面が慎ましやかな胸にへばり付く。

 

 「な!?ちょっ!」

マウントを奪い、絶対的優位なはずのマリーが慌てふためく。

実は格闘技において、マウントを奪われた際、相手の胴に抱き付いて攻撃を防ぐというのは有効な防御方法である。

相手の胴に頭を付けておけば、相手からすれば腕を回旋させて、ナックルパートで上手く殴る事ができなくなる。

さらに、自分より体の大きな相手にしがみ付かれると、ポジションが逆転し、下に組み敷かれてしまう恐れもあった。

大晦日に催されるような大衆向けの華々しい興行でこれをやるとレフェリーから注意を受けるが、今は違った。

 

「うおおおおおおー!助兵衛―――!俺と代われーーーーーっ!!」

「羨ましいぞーーー!!」

「マリーたんのちっぱいハァハァ…」

 

 マリーの胸は大きくないため、その胸に顔を付ける助兵衛の悦に入った表情が横からよく見える。

一方、マリーは必死になって助兵衛の側頭部を平手で叩き続ける。

「気持ち悪いから離れてっ!!」

「良い匂いですなぁ…マリーたんのおっぱいは…」

乳房の感触ではなく、その香りを楽しむ。

ほのかな汗の香りと女性特有の甘い薫りが鼻腔を通じて、雄の本能をかき立てる。

 

 「調子に…乗らないでっ!」

助兵衛のしがみ付いている腕の輪の中で、腰をひねって暴れてみせる。

たるんだ肉体からは想像もできないような強固なクラッチ。

少し暴れただけで解けるものでない事はマリーも分かっていた。

 

 「ッ…!?」

暴れた事によって助兵衛の頭とマリーの体との間にできたわずかなスペースに自らの足を差し込む。

そして、足を助兵衛の喉元に横に寝かせるように押し当てる。

フットチョークだ。

触れたくもない助兵衛の後頭部を両手で抱え、より絞めを強いものにする。

 

 (これで終わらせる…ッ)

「ぐぅ…!」

通常、筋力で女性は男性に敵わないものである。

しかし、女性の持つわずかな力でも間接や頸動脈といった弱点を極めれば、相手が熊のような大男であれ戦闘不能に陥らせる事ができる。

それがサブミッションというものだ。

 

 「ま…ずっ…」

酔っ払いのように血色ばんだ顔面は絞められる事でさらに赤く染まり、こめかみには青筋が浮き立つ。

実は首の太い者ほど絞められれば早く失神する。

降参する気はさらさらない。

助兵衛が失神するのは時間の問題であった。

 

 「おっ…ぱい」

「――――ッ!?」

がくがくと震える手がマリーの胸に伸び、膨らみかけの可憐な乳房に触れる。

ボコボコにされ、絞められ、そんな最中のせめてものの救いと言うべきか、マリーの小ぶりな乳房を揉む。

 

 「ちょっと!?やめてっ!」

絞めている最中に相手から胸を揉まれるとは思いもしなかった。

助兵衛の手をふりほどくのに精一杯になり、絞める事を忘れてしまう。

 

 

 「ふんっ!」

絞められていた助兵衛が大きく鼻を鳴らすと、仰向けの体勢から下半身を高く持ち上げ、その反動を使って振り子のように跳ね起きる。

「きゃっ!」

体の小ささがネックになる。

助兵衛の喉に座るような体勢でフットチョークを極めていたマリーは、相手の跳ね起きる勢いに負けて、吹っ飛ばされてしまう。

 

 

 「逃がさないぞぉっ!」

吹っ飛ばされて尻もちを付いているマリーにすかさず覆い被さる。

自分よりも3倍近く重い相手に圧し掛かられ、呼吸をする事さえ辛くなる。

 

 「ぐひひっ!さっきは好き放題色々やってくれたねぇ…でも、今度はおじさんの番だからね」

「うぅっ!」

顔を近付けられ、腐った魚のような生臭い口臭を吐きかけられる。

ただでさえ圧し掛かられて息をするのが難しいのに、鼻が潰されるような思いで視界がぼやけてくる。

 

 「それじゃっ!まずは誓いのキスをしようか、マリーちゃん」

「えっ…」

その言葉を聞いて、一気に顔を青くするマリー。

何かの聞き間違いだと思いたかった。

 

両手をがっちりと握られ、リングに磔のような姿勢で抑えつけられる。

手袋をしていたので助兵衛の手汗の感触が手に伝わらなかったのが、マリーにとって不幸中の幸いであった。

しかし、腕を封じられた事で抵抗はかなり制限される。

 

 (こんな男と、キス…だなんて、冗談じゃないわ!)

キスと聞いて、今まで以上に激しくばたばたともがく。

女の子の夢や憧れの象徴であるファーストキスが、自分の二回り以上も年上の醜い中年男に奪われるなど、たまったものではない。

 

 「ううぅ~」

唇を突き出しながら、ふざけたような低い声を発する助兵衛。

マリーの嫌がる様子を楽しむように、そのまま顔をゆっくりと近付けていく。

 

 「い、いやぁぁぁ!」

恐怖に歪んだ表情で暴れもがくマリー。

しかし、そのか細い腰に圧し掛かった肥満体は山の如く動じず、恐怖の刻が徐々に迫ってくる。

マットを必死に蹴って、エビのように跳ね回っても助兵衛の三段腹が揺れるだけだった。

 

 「「「「「うおおおおおおおおーーーーーー!!!」」」」」

会場の巨大モニターには助兵衛の唇がマリーの唇を侵す瞬間を捉えようと、アップでその様子が映し出される。

観客はその瞬間を今か今かとモニターに食い入る。

 

お互いの顔が目と鼻の先に近付くと、マリーは横を向いて唇だけは死守しようとする。

しかし、その小さな顔が助兵衛の両手に抱えられると、たちまち正対させられ、呆気なく乙女の本懐は打ち砕かれる。

 

 むちゅうううううううううううううぅっ!

唇が巨大なナメクジが這われるような感触。

助兵衛の厚ぼったい唇がマリーのまだ誰にも侵された事のない聖域を穢す。

その大きな唇はマリーの唇だけでなく、顔全体をも吸ってしまうようにさえ見えた。

 

 (こんなのって…こんなのってぇ…!)

固くつむられた瞳からは涙が零れる。

遊びのような軽い気持ちで挑戦したのが間違いだった。

辛酸で溶かされたように、ぼっかりと穴の空いた乙女心から悲しみの涙が堕ちていった。

 

 悲しみに暮れるマリーを踏みにじるように唇を蹂躙する助兵衛。

瑞々しく柔かな唇をわざと汚らしい音を立てて味わう。

「ぶちゅっ!ぢゅるるるるるるっ!くちゅ、ちゅぅぅぅうううううう!」

 

 二人の唇が重ね合わされる様がモニターに映し出され、そこから響く水音がマイクを通じて会場中に轟く。

美少女が望まぬ形で純潔を穢されるのを見て、観衆達は硬くなった股間を握り締めながら狂ったように雄叫びを上げる。

 

 

 しばらく、重なり合っていた唇は、唾液の糸を引いて離れていく。

キスを終えた助兵衛の顔の下にはマリーの泣き濡れた顔があった。

 

 「うぐっ…うぅ…うううっ」

両手で顔を覆い泣き顔を隠しながら、嗚咽の声を漏らす。

助兵衛のような醜く脂ぎった中年とのファーストキスは乙女心に応えた。

 

 小鹿のように丸まって泣き咽ぶマリーを見下ろしながら、どこか満たされたような笑みを浮かべる助兵衛。

褌の脇からペニスが跳び出すのではないかというくらい股間が盛り上がっていた。

一万人を超える観衆の羨望をその身に浴びせられる。

 

 「ぐふふっ…」

不気味な笑みを浮かべて、まだ泣きやまないマリーのもとへ再び近寄る。

歩きながら褌を下ろすと、錐の如く勃ち上がったペニスが跳び出した。

 

 「うぅ…ぐすっ…ふぅうっ」

顔を押さえているせいで助兵衛がペニスを露出させた事に気付かないマリー。

新たなる災厄がすぐそこまで迫っていた。

 

 「マリーちゃんたくさん泣いたから喉が渇いたでしょ?」

マリーの顔を跨いでペニスを近付ける助兵衛。

跨がれた事や臭いでやっと危機感を察知したのか、ハッとした表情で顔を覆っていた手を離すも、時は既に遅し。

 

 「…ぐむぅぅっうううううっ!!??」

後頭部を再び掴まれ、押し付けられた先は、唇よりももっと禍々しいものであった。

「おじさん特製のあったかいミルクを飲ませてあげるよぉ!」

赤黒く隆起したペニスをしゃぶるマリーの顔がアップでモニターに映されると一際大きな歓声が轟く。

人一倍小さな口腔が助兵衛の膨れ上がったペニスで一杯になる。

 

 年端もいかぬ美少女が中年男のペニスをしゃぶる姿に湧き立つ会場。

AVでさえも見られないようなシチュエーションに観衆は異常な熱狂ぶりを見せる。

しかし、マリーもやられっぱなしではいかなかった。

 

 「っ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」

突如鳴り響く男の野太い悲鳴。

いきなり助兵衛が悲鳴を上げたかと思うと、マリーの口からペニスを引き抜く。

熱狂の最中に水を差されたように静まり返る会場。

助兵衛は股間を押さえながら倒れ込む。

 

 (本当は噛み切ってやりたかったけど)

立ち上がり、股間を押さえて痛がる助兵衛を見下ろすマリー。

腕でごしごしと口元を拭う。

まるで形勢逆転してしまったような構図に観衆はブーイングを送る。

 

 「痛いじゃないかぁ…マリーちゃん」

両手で股間を押さえながらゆっくりと立ち上がる。

股間を噛まれて痛いはずなのに、その表情は嬉しそうな微笑みをたたえる。

 

 「おじさんはねぇ、マリーちゃんの事を思ってやってあげたんだよ?マリーちゃんの喉が乾いてると思ったからあったかいミルクを飲ませてあげよ」

「黙って!!」

助兵衛の言葉を遮るようにぴしゃりと言い放つマリー。

見かけは幼女のようだがマリーも18歳。

『あったかいミルク』が何の事を指しているのかくらいは分かる。

そして、そんな気持ち悪いものを飲まされるくらいなら死んだ方がマシだ。

 

 (早く終わらせてあげるわ…)

怒りと恐怖で息巻くマリー。

助兵衛が近付いてきた瞬間にその股間を蹴り上げてやるつもりだった。

 

 

 ふと、対峙していた助兵衛がマリーに背を向ける。

自分のコーナーに戻ったかと思うと何やらガサゴソと探している。

すぐに戻ってくるとその手には霧吹きの先端部分のような道具を持ってきた。

その先端は庭仕事で使われるような青いホースにつながれ、リングの外まで観客席の方へずっと続いていた。

(何あれ…?)

武器を使われるとは思っていなかった。

マリーがこの試合を引き受ける際に見た広告には「素手での格闘」と書いてあったからだ。

 

 「ちょっと、武器を使うなんて聞いていないんですけど」

リングの外に出ているレフェリーをちらりと見遣るも何も反応しない。

助兵衛はくっくっと低く笑う。

「これはねぇ、マリーちゃん。武器じゃないんだよ。この会場にいる皆の夢を叶えてくれる素晴らしい道具なのさ」

「はぁ?」

何を言っているのかさっぱり分からない。

 

 「ぐふふっ、まぁ見てもらってからの方が早いかな」

そう言うといきなり道具の先端部分から何か白っぽい液体が射出される。

「きゃっ!?」

思わず顔を腕でガードするマリー。

その腕には何か温かいものがかかったのを感じる。

 

 「な、何?」

おそるおそる自分の腕を見つめる。

幸い素肌にソレが付着する事はなく、青いアームカバーに守られていた。

 

 男性器から発射されたのならともかく、まさかホースのような道具から精子が発射されるとは思いもしなかった。

マリーはそれを精子だと気付かぬままに見つめ、訝しむ。

「何をかけたの…?」

腕を振って、得体の知れないソレを振り落とそうとする。

しかし、液体の粘度が高いのか、なかなかマリーの腕から離れようとしない。

 

 「ぐふふっ!それはねぇ、ここに来てるお客さんみんなの『想い』だよぉ」

「お、『想い』?」

訳の分からない回答に、眉根を顰めるマリー。

「そう。マリーちゃんと愉しい事シたいっていうみんなの想い。でも、みんなは観客だからソレはできないんだ」

 

とてつもなく嫌な予感がする。

「ちゃんと答えてよ!」

邪念を振り払うように強く言い放つマリー。

その威勢を受け流すように嘲笑う助兵衛。

「その白い液体はねぇ、みんなの精子なんだ」

「え…?」

信じられないといった風に目を丸くするマリー。

「お客さんみんなの精子だよ、ほらっ」

「きゃああああああああああっ!!?」

霧吹きのトリガーを引くと、今度はガードされる事なく、マリーの身体に白濁がぶちまけられた。

 

 

 この興行は美少女がレイプされるのを見て楽しむ事を趣旨にしている。

だからどうしても観戦している最中に射精してしまう客が後を絶たない。

皆好き勝手に射精するので、試合が終わると観戦席は精子でまみれてしまう。

 

 しかし、今回の目論見はそれを逆手に取って、試合に一部にしてしまおうという考えだった。

観戦席に射精した用の精子ポケットを備え付けて、会場中に張り巡らされたパイプにより、観客の出した精子を一まとめにする。

そして、その一まとめにした精子をホースでつないで、助兵衛に美少女相手にかけさせるという考えだ。

精子ポケットを備え付けた事によって、今まで観て楽しむだけだった受け身の観客達が、射精をする事によって間接的に試合に参加する事ができるようになったのだ。

マリーとセックスしたい、マリーにフェラチオさせたい、マリーを妊娠させたい…

そういった雄として当然抱き得る観客達の想いが精子に託されて、今、マリーの体にかけられている。

まるで、自分達がかけたかのように。

 

 「「「「「うおおおおおおおーーーーーーーーーっ!!!!」」」」」

自分達がかけた訳でないにしろ、かかっているのは自分達の精子。

マリーの身体にかかっている精子を皆自分のものだと思い込み、歓喜の怒号を上げる。

 

 

 「ひぃっ…」

怯えた子猫のように体を縮め、コーナーに追い詰められるマリー。

まさか、これだけ多くの観客の精子を集めてかけられるなどとは思ってもみなかった。

助兵衛は霧吹きを向けたままじっくりと歩み寄る。

 

 「ぐひひっ!どうしちゃったのかな、マリーちゃん?さっきまでの威勢は」

恐れおののくマリーの表情を楽しむようにじりじりと近寄る助兵衛。

豪槍のように猛った肉棒がはち切れんばかりに大きくなる。

 

 (観客の精子をかけられるなんて…冗談じゃない)

コーナーに追い詰められたマリーの背後には一万人を超える観衆が控えている。

見ず知らずの男達の精子をぶちまけられるなどたまったものではない。

勿論、目の前にいる助兵衛の精子をぶちまけられる方が嫌だったが。

 

 (怯えてる場合じゃない!なんとかして、こいつを倒さなきゃ…!)

このまま怯えているだけでは助兵衛と観衆の餌食になるだけだ。

それなら最後に大きな賭けに出た方が得になるに決まっている。

 

 助兵衛に悟られぬよう、小さく深呼吸して、体勢を整えるマリー。

一瞬、このままリングロープを飛び越えて逃亡してしまおうかとさえ考えた。

しかし、ロープを越えた先には厳めしい警備員が控えている上、一万人を超える観衆がそびえていた。

逃げるのは不可能だろう。

失敗した時の事も考えなかった。

不退転の決意で、マリーの体は躍動した。

 

 

 「ええええい!!!」

顔や胴を攻撃して効き目がなかった。

しかし、男と弱点と言うべきか、先程から自慢げに揺らしている股間はどうだろうか。

実際、さっきマリーが噛み付いた時に助兵衛は悲鳴を上げて跳び退いていた。

 

 股間なら顔面や胸を攻撃するよりも小さなモーションで攻撃できる。

できるだけ股間を見ないようにして助兵衛の懐に飛び込んだ。

 

 「そう来ると思ったよぉ」

まるで攻撃に転じてくる事が分かっていたかのように、素早い踏み込みにも全く動じない助兵衛。

手に持っていた霧吹きでマリーの足下に向かって発射する。

 

 「ッ!?」

懐に踏み込んだ時はもう遅かった。

踏み込んだ足に乗せた重心は床にへばりついた精液に持ってかれ、マリーは助兵衛に向かって股を開くような姿勢で倒れる。

 

 「いただきぃ!」

すかさず圧し掛かってくる助兵衛に抵抗する事すらできないまま、再びマウントを奪われる。

「いやぁぁああああっ!!」

最悪の結末だった。

今なら蜘蛛の糸を切られた罪人の気分が分かるような気がする。

助兵衛の股の下で必死に体をくねらせて抗うもびくともしない。

 

 「さーて、今度は何しちゃおうかなぁ?」

没収された玩具が戻ってきた時の子供のような笑みを浮かべ、マリーを抑え込む助兵衛。

愛おしそうに脂汗にまみれた頬をマリーの頬に擦り付ける。

 

「そうだ!良い事考えたぞぉ!」

手をポンと叩き、何か閃いた様子を見せる。

「マリーちゃん、さっきおじさんのあったかいミルク飲まなかったからね。さっきより喉が乾いてるだろぉ」

凄く嫌な予感がした。

霧吹きの先端がてらりと妖しげに光る。

 

「おじさんのが嫌なら、こっちはどうだい?」

「い…や…ぐむぅぅぅっ!!」

恐怖で震える唇に霧吹きの先端をねじ込む。

先端が細長く伸びており、しゃぶらせやすい作りになっていた。

 

 「たっぷり出してくれええええええええええ!」

 「助兵衛頼むぞおおおおおおおおおおおおお!」

 「マリーちゃん俺の搾りたてのミルク飲んでええええええええ!」

 

 自らの『想い』をマリーに飲んで欲しい。

そんな熱く滾った劣情で会場が覆い尽くされる。

 

 「むぅ…ぐっ…んふぅぅぅ…!」

後頭部を抱えられ、喉に霧吹きの先端を押し付けられる。

呼吸が上手くできず、苦しそうな呻きを漏らすマリー。

 

 「早く飲ませないとみんな出してくれたミルクが冷めちゃうからね…準備は良いかい?マリーちゃん」

「もごっ、んおおおおおおおおお!…ごぽっ!」

助兵衛がトリガーを引いた瞬間、粘っこくて温かい液体が口腔を満たす。

口の端から白い液体が漏れたのを見て、観衆はマリーが自分達の精子を飲んでいる事を確認する。

 

 びゅるるるるっ!びゅるっ!びゅっびゅっ!

わざと緩急をつけてマリーの口に精子を注入する助兵衛。

そうする事によって機械ではなく、本物のペニスをしゃぶっているような錯覚をマリーに覚えさせる。

口の中が独特の苦味で満たされていった。

 

 「んおぉぉ…ふぅっ!ふーっ!」

なるべく口に含んだ精子を飲まないように堪えるマリー。

口腔を精子で満たされる不快感で視界が明滅する。

あまりの気持ち悪さにもう何がなんだか分からなくなっていた。

 

 「こらぁ、マリーちゃんしっかり飲まないとダメだよぉー」

「!?」

口の端から精子をこぼれているのを見て、マリーの鼻を摘まむ助兵衛。

鼻から呼吸ができなくなったマリーは口の中を満たす精子を飲むしかなくなった。

 

 (飲みたくないっ…飲みたくないのにぃっ…)

正直、見ず知らずの男達の精子を飲むくらいだったら死んだ方がマシだとさえ思った。

呼吸ができなくなって死ぬのであればそれで良いと思った。

 

 しかし、死のうと思っても死ねないのが人の性。

マリーの体は安堵の死よりも苦渋の生を選択した。

 

 「んくっ…んくっ…」

珠のように白い喉が小さく震え、くっくっと喉が鳴ると、観衆達は歓喜の渦に包まれる。

自分の精子を、想いを、マリーが飲んでくれた。

それだけでどこか、自分の存在がマリーに認められた気がして、心と股間が暖かくなる。

 

 

 5分くらいずっと飲ませていただろうか。

助兵衛がゆっくりとマリーの口から霧吹きを引き抜くと、先端から精子がぽたぽたと垂れる。

 

 「どうだったかな?みんなが出してくれたあったかいミルクは?」

「う゛う゛っ!おええええええええっ!!」

助兵衛が下品な笑みを浮かべながら問いかけた途端、マリーは全身を強張らせ、嘔吐する。

白いリングにぶちまけられた吐瀉物は、緑色の胃液に男達の白濁が入り混じり、異様な様相を呈している。

 

 「ぐひひっ!ダメじゃないかぁ、折角みんながマリーちゃんのために出してくれたのに」

四つん這いになって嘔吐し続けるマリーの背中を汗ばんだ手でさする。

「やめてっ!!」

馴れ馴れしく背中をさする助兵衛の手をバチンとはたくマリー。

鋭く睨む瞳は涙で溢れていた。

 

 「うぅ…なんでマリーがこんな目に遭わなきゃいけないのぉっ!!??何かマリーが悪い事したのおっ!!??」

顔をしわくちゃにして、泣きじゃくるマリー。

あまりの理不尽な仕打ちに精神が崩壊しかけていた。

 

「ごめんねぇ、全部マリーちゃんの事を思ってやった事だったんだけど」

興奮を抑えられないように、体をわなわなと震わせる助兵衛。

「でもね、マリーちゃん。マリーちゃんが悪いっていう所もあるんだよ、マリーちゃんが気付いてないってだけで」

四つん這いになっているマリーの背後へ覆い被さるように抱き付く。

「だってこんな可愛い女の子いたらチ○ポ挿れたくなっちゃうじゃないかぁ…」

「えぇっ…?」

 

 目を剥いて、後ろを向いた時には遅かった。

自らの股間に直に温かいナニかが触れる。

それが助兵衛のペニスだという事はマリーにも分かった。

 

 「うそ…いやいやいやぁ!!!やめてえええええええええええ!!」

背後からしがみつかれた体勢で、必死に暴れ回る。

しかし、疲弊したマリーの抵抗は弱く、助兵衛はそんな抵抗をものともせず、腰をゆっくりと押し出す。

 

 「マリーちゃんが悪いんだからねっ?こんなに可愛いのにエッチな格好してるから…」

レオタードの隙間から自らのペニスを侵入させる。

「これはおじさんのマリーちゃんへのしつけなんだからね。ありがたく思うんだよぉ…っ」

 

ずぶ、ずぶぶっ、ごつっ

処女膜に助兵衛のペニスが当たった事を感じる。

声にならない悲鳴を上げて、遮二無二もがくも、その願いは届かなかった。

 

 ずぶっ!ぐちゅううううううう!!

膣内を満たす熱いナニかが、マリーと助兵衛が一つに結ばれた事を告げる。

助兵衛が腰を押し出すと、未発達な膣は一瞬で一杯になってしまう。

股間が破裂したような感触にマリーは身悶え、泣き叫ぶ。

 

 「うぁぁぁああああああああああああああっ!!!」

雄叫びで埋め尽くされた会場を少女の甲高い悲鳴がつんざく。

「あったかくて、キツキツで、それでいてふわふわで…もう、タマらんッ!!!」

興奮を爆発させるように、狂ったように腰を振りまくる助兵衛。

その度にマリーの華奢な身体ががくがくと震える。

 

 「うぁっ…も、もぅっ、もういやぁ…」

パンパンと肉と肉のぶつかり合う音を立てて、激しくピストンされながら、すすり泣くように嗚咽を漏らすマリー。

その泣き濡れた表情が会場のモニターに映し出されると、観衆のボルテージは最高潮に達す。

 

 「ハァハァ…やばい!もう出そうだっ!」

背後から助兵衛が興奮混じりの弱音を吐く。

マリーの処女を奪った征服感と膣の気持ち良さでわずか2分足らずで絶頂を迎えてしまいそうになる。

 

 「出すって…そんな、いやぁ…っ」

咄嗟に『妊娠』という恐怖のワードが頭をよぎる。

自分より二回りも年上のハゲオヤジに中出し、そして妊娠させられるなど冗談ではなかった。

しかし、もはや抵抗する力の残されていないマリーは泣き声を漏らす事しかできない。

 

「ハァハァ…マリーちゃんが悪いんだよ?あったかいミルク飲ませてあげたのに、全部吐き出しちゃうから…」

一瞬、腰のストロークが弱まる。

「直接赤ちゃんの部屋に飲ませるしかなくなっちゃたじゃないかぁ!!」

止まりかけていた腰がびくりと躍動する。

その動きに少し遅れて、マリーの膣を埋めていたペニスがびくびくと脈動し、一方的な愛の証を刻み込む。

 

 「いやぁぁぁあああああああああああっ!!!」

膣を満たすどろどろの熱い感触に、目の前が真っ白になる。

子宮に直接注がれたソレを今度は吐き出す事はできない。

為されるがまま、その未発達な胎内に助兵衛の汚濁を注がれてゆく。

 

 マリーの膣に収まりきらなかった精子がぼたぼたとリングに垂れる。

射精を終えた助兵衛がぴくぴくと小刻みに腰を震わせて、余韻を愉しむ。

なおも、剛直は未だ熱を失ってはいなかった。

 

 「ぁ…ぁ…」

悲しみや苦しみを超越した絶望に淵に立たされ、マリーはひたすら茫然自失としていた。

もう叫ぶ元気すらない。

抵抗する事を忘れた美少女は雄を悦ばせる事しか知らない肉人形と化す。

 

 「まだまだイきますぞぉぉぉ!!」

助兵衛がいきなりマリーの体を持ち上げたかと思うと、体位を変えて、今度はマリーと向き合う形になる。

対面座位の体位からマリーの体を持ち上げると、まだ瑞々しさを失っていない唇に吸い付く。

傍から見れば父親に近親相姦を受けている娘のようにさえ見える二人。

自分の娘ほどの歳の金髪美少女とキスをしながらセックスができる、社会的にあってはならないシチェーションに胸を高鳴らせて、その腰の律動は止まる所を知らなかった。

 

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