「エルマ中尉と身体重ねちゃった……」
「智子さんが供給してる時にエルマ中尉の耳元でなんか囁いたからでは?」
「そ、それは……、そうです私が悪いです」
今ブリーフィングルームで武は智子とエルマと三者会議を開いていた。
昨日のなし崩しの3P事件の事だ。
顔を真っ赤にして智子さんは後悔していた。
「でもすごかった……、じゃなくてどうしよう……」
だがどんなに悩んでも、昨晩3pした事実は消えない。
悩んでいる智子を見て、エルマは心配そうに武に声をかける。
「あの、もしかして私が混ざったのが問題なのでしょうか?」
「まず僕と智子さんの関係自体がやばいので、今更増えても問題ありますが大丈夫ですよ」
「あぁ……、私の計画がぁぁぁ……」
智子の考えていた計画は武と組んで高戦績を上げて、この隊とおさらばしたいと考えていた
だが昨夜、快楽の波に流れに任せてエルマと身体を重ねてしまった以上、エルマが武に依存しないように智子は面倒を見なければならない。
完全にカールスラントへの道を自らの手で塞いでしまったのだった。
そのショックのあまり、頭の中が真っ白になっていた。
「あの智子さん落ち込んでますけど、大丈夫ですかね?」
「ほっとけば治りますよ」
運良くエルマ中尉があの夜性行為の間に入ってくれて武は感謝している。
武の固有魔法は依存性が高い。
その事をよく知っている智子なら、絶対にエルマを放って置くことなんて出来ない。
そう、自身のプライドと天秤にかけてもだ。
「それで、これからどうするんですか? 智子さん」
武はあえて智子に質問する。
ここでしっかりとカールスラントに転属することを諦めさせる為だ。
智子は頭を抱えていたが、腹を括ったのか、椅子から立ち上がり叫んだ。
「悔しいけどカールスラントは諦めるわ!! でもね、それだけじゃ私は終わらない。このスオムスで一旗上げるわ!! 世界中が注目するスオムス在住の混成部隊のエースとして!!」
「おぉ!!」
ついに言い切った。
これで智子と離れることはなくなった。
後は部隊がそこそこの戦果をあげれば武も離れる必要がなくなる。
だが戦果をあげるには、みんなの戦意をどう上げるかが問題になってくる。
訓練には参加してくれてはいるが、どうも戦う意志が弱い。
これに関して例としてエルマはというと、
「実際に戦うのは避けたいです」
と弱音を吐いている。
これは武や智子が悩んでいる最大の問題だ。
どんなに訓練を続けても戦意がなければ意味がない。
でなければ空を飛んでも役に立たないだろう。
「こういう時の戦意昂揚させる方法ってないのかしら」
「わからないです」
「す、すみません。でも……」
ぶるぶると震えるエルマ。
これは扶桑で一緒に飛んだ醇子よりも戦意が低いのではなかろうか?
だが醇子は徐々に戦意が高まり、ネウロイに怯まず勇敢に戦った。
「実戦を積むしかないんだと思います」
「そうね、それしかないかも」
「実戦!? 無理です!! 私なんかじゃ足手まといにしかなりません」
「ともかく訓練するわよ」
その時だった。
基地内で響く警報音
「「ネウロイ!!」」
咄嗟に格納庫に走り出す智子と武。
それに遅れてエルマも駆け出す。
「ビューリング達は何処なのよ」
「確か街に行ってくると言ってました」
「こんな時に何やってるのよ、あいつらは!!」
エルマ中尉の言葉に智子は吠えた。
それを武はなだめる。
「ビューリング達がいないのはこの際置いといて飛びましょう」
「わかったわ、私の後に付いてきて!!」
3人はストライカーユニットを履き、銃器を構えてエンジンを回す。
「行くわよ」
智子の言葉と共に3人は空の人となった。
『こちら《雪女》、敵は戦闘機と爆撃機の混成部隊です。爆撃機を守る戦闘機を落として下さい』
「こちら義勇独立飛行部隊穴拭、了解です」
3人は混成部隊のいる高度までぐんぐん高度を上げる。
「私は一人で良いわ。武はエルマ中尉と共に行動して!!」
「了解。エルマ中尉離れないで下さいね」
「り、了解です」
こちらに気づいたネウロイの戦闘機《ラロス》がこちらに気づき、ついに火蓋が切られた。
「きゃあ!! いっぱいいますよ!?」
「アホネン大尉達が爆撃機を撤退させるまで時間を稼げれば問題ないです。落ち着いて一機ずつ落としましょう」
少なくとも20機以上いるラロスに怯えるエルマをカバーしながら一機ずつ武は落とす。
一方の智子はエースの本領発揮と言わんばかりに次々と落としていく。
エルマは必死に逃げ回っている。
エルマを追っているラロスを武が撃ち落としたところで敵機は撤退した。
「何機落とした?」
そう言いながら智子が寄ってくる。
武は見栄を張らずに素直に答えた。
「5機です」
「私は9機、エルマ中尉は?」
「0です……」
しょぼんと自分の成績に落ち込むエルマ中尉に智子が優しく語りかける。
「今日が初めての実戦でしょ? 生き残ってくれただけでも十分な結果だわ」
「ネウロイが現れた以上、いやでも機会は何度でも巡ってきます。次頑張りまましょう」
2人はエルマを励ましながら帰投する。
基地も被害を被ったらしくあちこちに機銃痕や爆撃痕が残っていた。
「なかなかの腕前でしたわね。流石扶桑のエースですわね」
先に帰投していたアホネン大尉が労いの言葉を智子に語りかけた。
「そりゃどうも。この前の発言については撤回してもらえる?」
「もちろんですわ」
2人は固く握手をして和解した。
そのあとすぐにアホネン大尉は武を抱きしめた。
「無事で良かったわ。私のかわいい弟」
「あの、お姉ちゃん苦しいです」
アホネン大尉の香りが武の心拍数を高くしていく
なし崩しで義弟になったとはいえ、元々赤の他人。
美少女に抱きしめられたらドキドキするのも仕方がない。
「貴方達いつから姉弟になったのよ」
呆れた智子はエルマを連れて格納庫に戻ろうとしていた。
「ちょっ、ちょっとこの後ブリーフィングルームで反省会するんで離してほしいんですが」
「あらそうなの? それはごめんなさいね」
パッっと離れたアホネン大尉は真剣な表情で語りかけた。
「まだ全員じゃないのですね」
「はい」
アホネン大尉が指す全員の意味は、そのままの意味だ。
まだ武の部隊全員で飛べていない。
「頑張りなさい。愚痴ならいつでも聞いてあげるわ」
そう言ってアホネン大尉は去っていった。
それを見送って、武は格納庫へ向かった。
その後ブリーフィングルームに戻るとビューリング達がいた。
「どうしたんですかみんな揃って?」
「みんな考えを改めてくれたらしいわ」
智子曰く街にも被害がでたらしく、その光景を見て4人はそれぞれ思うところがあって一緒に戦いたいと言ってきたという。
「じゃあやっと部隊として機能しますね」
「そうね、アホネン大尉のトコに負けないぐらいの部隊にしてみせるわ」
翌日から全員での訓練が始まった。