タイトルが決まらない七つの大罪型チートを持った俺の二次元遊旅 作:恭華
朝の用意は大わらわ
ドロっとした夢という泥沼から浮上する意識、明るくなっていく視界、ゆっくりと覚醒していっている意識を叩き起すかのように、目覚ましの音と階段を駆け上がり、部屋のドアを蹴り開ける音が聞こえてくる。
「おにーちゃん、おっきろー!」
「グフゥッ!?」
誰かにお腹を思いっきり踏み潰され、意識の覚醒と同時にお腹の中に入っていた空気が一気に吐き出される。
「あはは、ぐふだってー! 陸戦用だー!」
「なん……っ」
人を半殺ししかけておいて笑ってやがる……
そんな思考を他所に、俺のお腹を踏み潰したまま小躍りを始める赤毛に白いリボンを巻いた、ルビーのような瞳を持ったツインテールの少女。
俺の知識とかが間違っていなければ、彼女は五河琴里。
第五天使・<灼爛殲鬼>を操る精霊、イフリート。 劇中では、士道から魔力を完全に引き出して暴走していた。
……まぁ、今はそんなことはどうでもいいのだ。
「は、早く……退けっ……」
「えー、やだー」
「エヴァッ!?」
ごりゅっ、と踵でターンをされ、臍の上辺りにあった踵が、鳩尾に吸い込まれるようにズレ、変な声が出る。
「今度はエヴァだってー! 45口径かっ!」
鉄の歯車3をやってない奴には分からないネタだろうなと頭の片隅で考えながら、鳩尾に入ったままの両足を掴み上を見上げる。
そこにはなんとぉぉぉっっっっっ!!!!
くまさんぱんつがあった。
「あ」
「へ?」
しまった、声を出してしまった。
「お、お兄ちゃんのすけべぇぇぇぇっっ!!」
「自分で見せてたんだぶほっげべらぶらっ」
結構強く掴んでいたにも関わらず、それを振りほどき、顔を思いっきり踏んでくる。 理不尽極まりないのだが仕方がない。
琴里のぱんつを見た、という行為が行けなかったのだ。
"琴里のぱんつ"、という単語が再度頭を掠める。
だったら俺のモノにしてしまえばいいのでは、となぜそんな考えが出てきたか分からないのだが、嫉妬の力のスイッチをオンにするイメージを思い浮かべながら、やるだけやってみる。
「琴里の持っている下着は全て俺のものだ」
蹴られ続けているため、所々噛んだりとかしたのだが、ソレを言い切った。
するとどうだろうか、琴里の蹴りが止み
「あれ、そーだよね……わたしが着てる下着はぜんぶおにーちゃんの物なのに……なんで恥ずかしかったんだろ?」
作戦、というより、思惑は当たり、琴里が蹴るのを止める。 だが、お腹から降りる様子が一切なく、むしろ力を入れてきているため、嫉妬と一緒に思い浮かんだ傲慢のスイッチを意識して
「『今すぐに俺のお腹からどきなさい。 あと琴里に貸した今日の下着は返しなさい』そしたら美味しい朝ごはん作ってあげる」
「ん、わかった……お腹の上から退いて、下着をおにーちゃんに返す」
先程まで元気な妹をしていた琴里が虚ろな目をしながらそう宣言する。
ゆっくりとお腹から降りて、きちんと着ていた中学校の制服に手をかけ、そのまま脱ぎ散らかしていく。
脱ぐ姿を見るな、と言われそうだったのだが、何も言われないため凝視し続ける。
真っ白い玉の様な肌をさらけ出した琴里は、羞恥など無いかのようにするすると下着を脱いでいき、ブラとパンツの両方を脱いでは俺に手渡しして来た。
「はい、おにーちゃん。 これで許してくれる?」
「あぁ。 ……というか怒ってはいなかったけどな」
虚ろな、だがどことなく俺の機嫌を損ねたのを悪いと思っている雰囲気だったが、怒ってない、と告げると、虚ろで落ち込んだ雰囲気だった顔が、嬉しそうな顔に変わり、よかったー、と呟きながら制服を着ていく。
「じゃあ、先に下に降りてるから、制服着たら降りてきなよ?」
「はぁ~い」
虚ろな感じだった琴里の顔は本来のものに戻り、下着をつけずに制服を着込んでいる。
そういえば、傲慢って世界相手に使用することも出来るのかな、と部屋を出て、リビングに向かう階段でその考えが頭に浮かぶ。
「思い立ったが吉日って奴だ。 『精霊は、皆下着はつけていない。 それが世界の常識』『俺は精霊を好きに触ったり、命令したり、なにをしてもよい』」
と常識変換並の事を世界相手に傲慢を使いながら小声で呟いてみたのだが、これで大丈夫なのだろうか?
現場を見ずに考えているのもつまらないし、朝食、昼食という名の弁当3つ作らなければならないため、とっとと1階のリビングへと向かった。
「ふぁ……おはよー……」
「おぉ、おはよーだ!」
「おはよう……ございます」
『おっはよー、和希クン』
1つ元気な、1つおっとり(?)した、1つお調子者な声がそれぞれ帰ってきた。
最初の声の主は夜刀神 十香。
黒曜石の様な下地に、アメジストを混ぜ込んだような長いポニーテールをなびかせる、紫水晶のような瞳を持ったメリハリの効いたボディを持った少女。
第十の天使、<鏖殺公>を携える精霊、プリンセス。
2つ目の声の主は四糸乃。
澄んだ蒼空のような色味にうっすらと黄緑が混ざったような色をした、もちゃっとパーマがかかったようなセミロングを緩くシュシュで纏めている、サファイアのような瞳を持った幼女。
第四の天使、<氷結傀儡>を従える精霊、ハーミット。
3つ目の声は、四糸乃の左手に装着されたパペット、よしのん。
右目に眼帯をつけたうさぎのデフォルメされたパペット。
四糸乃が喋っているような感じなのだが、四糸乃は一切口を動かしていない。 もごもごもしていない。 それなのに声が聞こえる。 なんかもう、なんか不思議な存在だ。
「今日の朝ごはんはなんだ!?」
「そうだなぁ……」
ぴょんこぴょんこ跳ねている十香を横目に冷蔵庫の中を見てみる。
冷蔵庫の中には、下拵えがされた鶏モモ肉。 多分唐揚げ用。
その他にも色々と飽きさせないような気配りがされた、朝食・弁当用の材料が大量にあった。
それらを取り出しつつ鍋に入った、昨日用意したという感じの油が入った鍋に火をかけて、200℃前後まで油を熱する。
その鍋の横で、卵焼き用のフライパンを持ち出しながら冷蔵庫の中から卵を数個取り出し、割って底の深いボールに落としていく。
油が200℃前後になったのを確認してから、下拵えの終わっている鶏モモ肉を油に落としていく。
溶き卵のボールに砂糖多め、醤油小さじ1杯を投入。
と、そこで丁度琴里が2階から降りてきた。
「琴里、ちょっと弁当作るの手伝ってもらえるか?」
「はぁ~い」
琴里の返事が帰ってくるのを聴きながら、卵焼きを作っていく。
傲慢やさっき世界に命じたモノを使わずとも、琴里は普通にやってくれるのか、俺の隣に何すればいいの、と聞きながら寄ってきた。
「じゃあ、弁当箱出して、レタスあらって、そのレタスを掌大にちぎってって」
「りょーかーい!」
無駄に元気のいい敬礼をしてから食器洗い機に入っていた弁当箱を取り出し、野菜室に入っているレタスを持って流しの方に持っていく。
それを横目に見ながら、唐揚げをキッチンペーパーの上に網を置いた即席油落としの上に並べていき、少し放置。
その間に、出来上がっていた卵焼きをお皿に移し、包丁で一口大にしていく。
それが終われば、次はたこさんウィンナーの制作に入る。
冷蔵庫の中に入っているウィンナーを取り出し、包丁でウィンナーの中頃まで十時に切れ込みを入れる。
後は油を敷いたフライパンで焼けばOK。
「おにーちゃん、剥き終わったよー」
とそこで琴里からレタス剥き終わったコール。
分かったと言ってから、琴里と立ち位置を交換。 琴里たこさんウィンナーを。 俺はレタス等を弁当に。
弁当の半分程度までご飯を入れるために、弁当箱を持って炊飯器に向かう。
杓文字に少し水をつけ、炊飯器の蓋を開ける。
白い舞を踊っている白米をよくかき混ぜてから、俺と琴里は弁当箱の半分程度、十香は二段弁当の下の段全てに白米を弁当箱に詰めていく。
それが終われば、レタスをいい感じに配置する為に流し台に向き直る。
唐揚げ、たこさんウィンナーの位置は少し重ねを厚くして、卵焼きの所は薄めに。
これで、俺と琴里の弁当箱は隙間がないくらいには出来るのだが、十香の弁当箱に隙間ができてしまう。
さっきベーコンとアスパラがあったよな、と冷蔵庫の中を思い浮かべてから直ぐに実行に移す。
「じゃあ、私は詰めてっちゃうね」
「あぁ、よろしく」
流石俺(士道)の妹。 俺が行動する前に行動しやがる。
にやけながら、冷蔵庫に入っている切られたアスパラとベーコンを取り出し、アスパラにベーコンを巻き付けていく。
少しキョロキョロしてしまったが、爪楊枝を見つけられ、それを1本ずつ引っこ抜き、巻き付けたベーコンにぶっ刺していく。 これを3つ作ってから、たこさんウィンナーで使ったフライパンにアスパラベーコンを放り込んでいく。
炒めるように転がしながら、塩胡椒を少し振り掛け、焼き色が着いたらそれをお皿に移す。
琴里が3人分の盛り付けが終了したのを見計らってから、弁当箱に詰めてない余り物をお皿に盛り付け、ご飯をよそう。
それを琴里と一緒に運び、食卓に配置していき、自分達の席に各々座っていく
「おおっ、今日も美味しそうだっ!」
「たこさんウィンナー……♪」
2人が嬉しそうに目を輝かせる。 余り物で申し訳ねぇ、と言いたくなる俺の心に野暮だと理性が喝をいれ、こちらも笑顔を作る。
「それじゃあ、いただきます」
「「いただきまーす」(だ!)」
「いただき……ます」
四者四様のいただきますを言っては、思い思いのおかずに箸を伸ばしていく。
……俺も料理は得意だから、美味しそうに食べてくれるみんなを見ると嬉しくなるのだが、ほか何人もこの家に来たら大変だなぁ、とため息を吐きそうになる。
だが、今はいいか、と頭を振り、大変だという考えを振り払う。
能力の確認のために頭を空っぽにしたかったからね。
「なぁ十香、『子どもの姿になってみて』」
無茶な願いを十香へと投げ、どうするか、もしくはどうなるかの検証を開始。
もし、なんだこいつみたいな事になった場合に、記憶を奪う準備をしておく。
だがそんな準備はいらない、というように十香は立ち上がり
「うむ、わかった」
虚ろな目をしながら抑揚のない言葉で了承の意を示す十香。
そのままゆっくりと伸縮自在の棒みたいに、小さくなっていく十香。 その異変を見えていないのか、琴里も四糸乃も朝ごはんに舌鼓をうっている。
「で、もういいのか?」
「ん、あぁ、ご飯食べていいよ」
うむわかった、と少し舌っ足らずな感じに答え、自分の席に座る十香。
同じように俺も席に座りながら、これもう7つの大罪じゃなくて、傲慢だけで良かったんじゃないかと考えてしまっている。
「……」
「おにーちゃん、もうご飯ないよー?」
「……んぇ?」
琴里に指摘され、やっと空のお茶碗に箸を入れているのに気がついた。
考えながらご飯食べちゃだめだね……楽しめなかった……
「仕方ないか……」
「?」
「いや、こっちの話」
首を傾げる十香に考え事していた、と追加で告げ、顔を洗うために洗面所へと向かった。
あれぇ、これ料理小説だっけ?
2018/10/30 琴里の瞳の色を追加