※この作品はR-18です。

ウネくんの異世界生活   作:超高校級の切望

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クレマンティーヌ

「こ、こりょす……じぇったい、殺すぅ……」

「あんだけ気持ちよさそうにしておいて言うにぇ」

 

 ケタケタ笑うウネを力なく睨みつけるクレマンティーヌ。実際、あれ自体は途轍もない快楽ではあった。苦痛ではなかった……。

 

「第一吸血鬼になったお前に俺を殺そうなんて思えるのか?」

「……………」

「吸血鬼のプレイヤーにも会いたいところだにゃあ……他のプレイヤーの精神はどうなってるのか。元々俺はズレた奴だからなぁ」

 

 少なくとも自分はサンプルにならないと切り捨てるウネは巨獣達を見つめる。

 

「まあ実験につき合ってくれた報酬はやるよ………そこの……名前決めてないカラス、来い」

『ガアァァァ』

 

 ウネの言葉に一体の巨獣が飛び上がる。骨が剥き出しの頭に猫科の動物を思わせる体。足は確かに鳥のモノだが前足は指が5本あるし、前足自体は4本。そのうち二つを地面につけ二つが巨大な剣を持っている。

 

「これやるよ。仮にもイベントボスとして色んな強化アイテムに加え装備アイテムもやったNPCだ。レベル100でも単体で勝てるとしたら俺の知る限りでもウル兄かたっちおじさんぐらいだろ」

「誰よそれ。てかレベル?難度かなんか?」

「この世界の難度を俺の知るモンスターで踏まえると、難度300越えの猛者達だよ。この子も君のお兄ちゃんのペットより遙かに強いぜ?今ならお買い得で俺との旅の同行資格までついてくる!」

「……………」

 

 欲しい、と思ってしまう。おそらく吸血鬼になったからなのだろう。

 嘘か誠か、目の前のガキの姿をした吸血鬼は王達すら超える神の名を冠する吸血鬼なのだという。

 

(それの真偽は置いておくとして、私が逆らう気が起きねえのは確かなんだよなぁ。確かにあれが気持ち良かったってのはしゃくだが認める。それをおいておいたとしても、此奴に従いたいと思ってる。法国の小うるさい連中と同類になった気分だ………)

 

 と、肩に何かが乗る。見ると一羽のカラスが居た。先程の異形のカラスが居ないことを見るに、変身した姿か……。

 

「………ま、逃げられるんならガジっちゃんにそこまでしてあげる義理もないしね。向こうは向こうで勝手に動くだろうし、私はあんたに付いてくよ」

 

 『叡者の額冠』も、それを扱える人物の情報も既に渡した。後は放っておいても起こるであろう騒ぎに便乗して法国の追っ手や監視から逃げる気だったが、この男がいれば回りくどいことをする必要はなさそうだ。何より、この男には既にこの世界で知り合った吸血鬼が居るらしく、それを差し置いて隣に立つというのはかなりの喜悦だ。

 

「染められてんなぁ。悪い気はしないけど……ん?出来ない?」

「どーすんの?早く決めなよ。そのカラスだけもらって旅を続ける?」

「いんや~、アンタに付いてくよ。その方が安全だろうしねえ?きちんと守ってよ、パァパ」

「あははは。良いよ、飽きない内は守ってやるからそれまでせいぜい強くなってな。パパに見捨てられても良いように」

 

 

 

 

 ビーストマン。

 竜王国を襲う人の肉を食らう獣。武器を持ち、人を越える力を振るう凶悪なる獣。それが村を襲い人を食らう。絶叫は心地良い。我が子を取り返そうとする雌の目の前で柔らかい子供の骨をポキポキ噛み砕く。

 さて、次は叫ぶのも止めた人間の雌だ、ともはや動こうともしない肉に手を伸ばす。瞬間、腕が消えた。

 

「────?」

 

 最後にみたのは猫を思わせる笑みを浮かべた女の顔。それを最後に頭が吹っ飛んだ。

 

 

 

 

 

《村にいたビーストマンはぜーんぶ殺したよ~》

「りょーかい。なら俺は残りだ」

 

 数百からなるビーストマンの群は目の前の人間を見る。一人でなにやらぶつぶつ言っている姿は不気味だが、問題はそこではない。彼が先程からクチャクチャと音を立てて食っている腕。どう見ても、自分たちの仲間の腕だ。

 

「んー、中々うまいな。ん?どうしたその顔は?まさか自分達は食ってるのに食われないと思っていたのか?」

 

 ケタケタ笑う人間の言葉など理解は出来ぬが、馬鹿にされているのは解る。餌の分際で、自分達に噛みつくなど何事だと一体が怒りを露わに襲いかかり、突如降り注いだ無数の刀剣に貫かれる。

 

「良いだろこの指輪。アイテムボックスから直接《投擲》を行えるんだぜ?」

 

 人間はやはりけたけた笑いながらビーストマンを貫き地面に突き刺さった無数の武器の内一つを抜く。それは赤い装飾がなされたバルディッシュ。クルリと回し、近くのビーストマンに向かって振るう。切り裂かれたビーストマン達が一瞬で燃え尽きた。

 

「「「─────ッ!!」」」

 

 これは危険だ。これは脅威だ。餌ではない、確実に此処で殺すべき敵だ!ビーストマン達は同時に同じ思いを抱き、襲いかかる。

 

「武技《ぶん回し》」

 

 彼らに人の言葉が通じたならそのあまりの適当なネーミングに突っ込んだ事だろう。バルディッシュが血のように赤く輝き、振り抜かれる。名前とは裏腹に強力な凪払いは衝撃波を発生させ何体ものビーストマンをバラバラに吹き飛ばす。

 そのバルディッシュをあっさり放り捨てると今度は槍を持つ。

 

「武技《流星槍》」

 

 名の通り流星のように放たれたそれは障害物全てを貫き、衝撃波が地面を抉る。槍を通過した跡を思い出したかのように発生した氷の茨が多い何とか転ぶだけですんでいたビーストマン達を締め付け棘で貫く。

 次に少年がとったのは身の丈以上の大剣。

 

「武技───お?」

 

 ビーストマン達は我先にと逃げ出した。あれから離れろ!あれから逃げろ!あれに挑むな!

 全身の細胞が訴えてくる本能の叫びに従い賢明に逃げる。が、彼等とは反対の方向を向いて迫る影。未だ敵の恐ろしさを知らない愚かな同胞。

 

「〈次元切断〉(ワールドスラッシュ)」

 

 足の感覚が消える。傾いていく視界に移ったのは、切断された同胞たちの姿であった。

 

 

 

 

「やっぱ一回使ったら壊れるか。たっちおじさんみたいに連発できりゃ良いのに」

 

 砕け散った剣を捨てるウネ。今回せめてきたビーストマンの対処は終わった。まあ、良い実験にはなった。やはりこの世界では己の武器はきちんと通用するようだ。まあレベル10程度の雑魚に何を、とは思うが。

 どこかにちょうど良い強さの奴が居ないかなぁ、と思いつつウネはふわぁ、と欠伸を一つした。

 

 

 

 エ・ランテルに新しくミスリル級冒険者が現れた。アンデッドの群を討伐し、例外的な早さで銅からミスリルへと至った彼はほんの数日前に飛び級で登録からミスリルになったという少年の噂などかき消した。その男の名はモモン。

 モモンは宿屋の一室にて己の部下の一人から〈伝言〉(メッセージ)を送る。

 

《アインズ様、シャルティア・ブラットフォールンが反旗を翻しました》

「………は?」

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