お風呂場での情事の後、俺は布団の上に居た。
蒼はお風呂上りに髪を乾かしているところだ。
軽く水分補給もして、蒼を待つ。
既に時計は二十二時を回っており、外の闇は深い。
「おまたせ、羽依里~」
「おう」
髪を乾かし終わり、真っ白のバスローブを纏った蒼がやってきた。
普段は普通に寝巻きを着ているが、今日に関しては俺のリクエスト。
豊満な胸元は柔らかいバスローブの生地では抑えきれず、
大きく盛り上がり存在を主張している。
腰には同じく真っ白の紐を蝶々結びで軽く止められているが、
ちょっと引っ張ってしまえば簡単に解けそうだ。
というか、これからそうするつもりである。
「いまから、するのよね…」
「一応その予定です」
「……というか、さっきあんだけだしたのにまだ出せるの…?」
「まぁ、その、しているうちに回復するかなーって…」
「そういうもんなのね……」
「そういうもんだよ。……じゃあお待ちかねの…」
「…ぅう……ほんとこういうの好きよね……」
俺は蒼を抱きとめて、腰の紐に手をかけた。
結び目は軽く引くだけで、予定通りに解けていく。紐はそのまま重力に従い足元へ落ちた。
引き抜いた衝撃で、バスローブがはだけていく。
胸の半分辺りまで見えるが頂点の突起にひっかかってギリギリで止まる。
両肩に手を伸ばして、優しくバスローブを脱がす、それも重力によって畳に落下した。
今目の前にあるのは、蒼の裸体。相変わらずの美しい体だ。
出会ってから一年が経ち、少し大人っぽくなった蒼。
これから全身を余すことなく堪能させて貰おう。
「明るいところで見られるの恥ずかしいんだけど……」
「ごめんごめん、俺もすぐ脱ぐから……」
そう言い、着ていた蒼とお揃いのバスローブを瞬時に脱ぎ去る。
見事な脱ぎっぷりはどこぞのパージ男に並ぶレベルだったと思う。
「で、電気消して……」
俺の股間の逸物を自然と直視した蒼は、顔を赤らめて横を向く。
完全に真っ暗だと見えなくなるので、常夜灯をつける。
鳥白島の夜の闇にはその明かりだけで十分だった。
「蒼~、こっちきて」
先にかけ布団を捲り、寝床に入った俺は蒼を手招く。
二つ敷かれた布団のうち、今日は俺の布団のほうに蒼も入ってきた。
「お、お邪魔しま~す…」
俺の伸ばしていた右手の上から蒼が布団にもぐりこんできたのを確認し、かけ布団を被る。
さっそく我慢できず、蒼を両手で抱きしめる。
蒼もそのつもりだったらしく、顔を寄せて、目を閉じている。
間違いなくキスを要求している顔だ。
俺はそれに対して――
蒼の右耳に優しく口付けをした。
「ふぉあひゃ!?」
蒼からかなり変な声が上がった!
「ななな、なんで耳……」
「耳、弱点だって言ってたから試してみたくて、聞いたことも無いような声出したな…」
「ちょ、どこで聞いたのよ!? 藍にしか言ったことないはずなんだけど…藍が言ったの!?」
「蒼が普通に教えてくれたぞ」
「え、あたしがいつ言ったのよ」
「話せば長くなるから」
「話しなさいよ!」
かけ布団を勢いよく捲り、蒼が上半身を起こす。
毛布で胸元を隠すその姿が俺を興奮させることを蒼は分かっていない。
仕方ないので俺も一緒に起き上がる。
「…あれは一年前の七月三十一日の出来事だった……
蒼と出会ってまだ一週間も経っていない頃の話だ」
「そ、そんな前に…?」
蒼が神妙な面持ちで、俺の話を聴く体勢になる。
「そう、今となっては、見慣れたいつもの田舎道で蒼とイナリが寝ていた。
蒼からは”放っておいて”と言われてたので、そのまま何もせず蒼を眺めていたんだ」
「………まぁ、そこまでは良いわ、続けなさい」
こちらをジト目で見る蒼をよそに話を続ける。
「寝言を言う蒼に気付いた俺は、蒼に話しかけたんだ、
そしたら蒼は半覚醒状態だったからか、質問に素直に答えくれてな」
「ど、どんな質問をしたの……?」
「”スリーサイズは?”とか”好きな人はいるか?”とか”弱点は?”って色々質問した」
「で、そのときに蒼は『耳、弱いかも………』ってすげえ可愛い声で教えてくれたぞ」
「教えるなーー!!! 質問するなーー!! うわあああああああ!!!!」
自分の失態に気付いた蒼は頭を抱えて布団の上を転がっていた。
胸が左右に弾んでいるのを見て、俺の心も弾んでくる。
「蒼、そろそろいい?」
「耳…弱点…ぅう……まさかスリーサイズまで教えてたなんて……」
「蒼~…」
上から覆いかぶさり蒼に口付けをする。
「んっぅ……ちゅ……も、もう~……」
「始めようぜ」
「うん………ちゅ……ぅ……ぷはぁ」
ようやく落ち着いた蒼とそのまま何度か触れるだけのキスをする。
鳥同士が啄ばむような接吻を繰り返しながらも、蒼の体を手で弄る。
抱き合いながら、布団の中をもごもごと動く。
「あたし達って、こうして布団の上でするのって初めてよね…」
「まさかの始めてが外だったからな…」
「あの時は……なんか、その…勢いだったけど…してる間も、
した後も幸せだったから良かったけど、今思うと凄い大胆なことしちゃってたわね…」
「普通のカップルの初めては布団の上、ベッドの上でするんだろうからな……」
「普通はそうよね~…」
ゆったりとした会話の中、蒼の髪を撫で、そのまま背中をなぞり、お尻まで到達する。
このスベスベした肌と弾力のある尻肉の感触がたまらない。
胸板には蒼の胸が押し付けられて、ぐにゃりと横方向へ潰れ広がっている。
「ん……えへへ…ちゅ……」
会話との途中途中で、唇への愛撫も欠かさない。
なお耳については、蒼への最終手段のためあまり触らないようにしておく。
弱点は弱点のままであってほしい。
しばらくじゃれあっていると、蒼が急に布団の中にもぐりこんで行く。
大体何をするのかは察したが、されるがままにしておく。
俺はかけ布団を両手で持ち上げ奥の状況を確認した。
蒼は俺の下半身の辺りまできていて、熱を帯びた肉棒を前にしていた。
暗がりの中でも”いい~?”と一応表情で問いかけて来る辺りが蒼らしい優しさだ。
俺が頷くと、すぐさま蒼による口での奉仕が始まった。
「はむ……れろ………ちゅぱ…」
その快感にすぐに肉棒は起立していくが、射精にはほど遠い。
今日は三発も出しているため、さすがにすぐには出ないだろう。
両手は体を支えるため布団についているので、必然的に口のみでの高等技術が要求される。
「…ぅ……れろぅ……」
裏スジが蒼のザラザラな舌で舐めあげられると、こちらもゾクりとして腰が一瞬浮く。
既にかけ布団からは手を離しているため、蒼は布団の中に完全に隠れて、何をしているかは分からない。
ただただ、蒼による奉仕が続く。
「れろ……ちゃぷ……ぅ……れろれろれろ」
「くあっ!!!」
今度は玉袋を舐めてきた。
舌で全体に唾液をコーティングするように舐められ、
終わったかと思えば、今度は生暖かい咥内に玉袋だけが吸い込まれる感覚がする。
蒼によって精液の製造が促される。
急造の先走りは既に先端部分から滲み出ているようで、
蒼は時折先端に唇をつけて吸い取っていく。
射精が近いのか自身の肉棒が小刻みに震えているのが分かる。
このままだと自分だけイかされて癪なので、蒼を呼ぶ。
「蒼、こっちきて~」
「…ぅ…れろ…ん~…?」
するすると移動してきて布団から蒼がひょっこりと顔を出した。
そしてそれと交代するように今度は俺が少し体の位置をずらし、蒼の胸に吸い付く。
「羽依里? なにす…きゃっ!」
赤子が母親の乳を求めるかのように、先端部分を吸ってみる。
当然まだ母乳は出ないのだけど、それでも甘い味がするのは何故だろう。
「も、もう~……赤ちゃんみたい…」
「赤ちゃんか…欲しいな、蒼はどう思う?」
「あたしだって、欲しいわよ、その…羽依里との赤ちゃん…
ただ、まだちょっと早い…というかせめて学校は卒業してから…んっ!」
先端の突起を舌で転がしてみる。
もう片方は空いた右手で丁寧にこねくりまわす。
「まあ当然だな…蒼が卒業するまでは待つし、子作りするなら、
それから先の未来もしっかりと考えないといけないと思う」
「うん………未来か~…まだよく分かんないわね……」
「今日は蒼の安全日だから、特に考えずまた堪能させて貰うとしましょうか…」
「……きて……」
蒼は布団に寝転がり、俺はその上から覆い被さるようにして肌を重ねる。
勃起した肉棒を蒼の秘裂の入り口に押し当てる。
相変わらず蒼は濡れ易いと思う。
先ほどの耳への不意打ちがかなり効いたのか、
お風呂で洗った意味なんて無いぐらいの大洪水だった。
「見てない状態なのに、よくその場所が分かるわね……」
「蒼の体の事ならもう何でも知っていると思う」
そして吸い込まれていくように奥まで進んでいく肉棒。
最初にしたときと比べると明らかに入り易くなっていた。
「ん……もうすっかり慣れちゃったわね…」
「するっと入ったよな……」
「うん……」
挿入してしばらくすると膣内の襞が肉棒に絡みついてくる。
締め付けだけでも十分に気持ちが良い…。
後は、小刻みに動くだけでも快楽が得られそうだ。
腰をゆっくりと動かしつつ、蒼の唇にキスをする。
「んぅ……ふわっ……」
「蒼の唇、柔らかくてほんとたまらん…」
「あんたの唇はちょっと固くて男らしいっていうか…そんな感じ…んっ」
途中でもう一度口付け。
さらに、アイコンタクトで合図を取り、互いに舌を伸ばす。
舌先が軽く触れ合い、絡み合う。激しく、激しく。
連動して下半身の繋がりでも、小刻みに動くことでの快楽が止まることなく二人に幸せを与える。
蒼の体を抱きしめて、腰を振ること数十回。
そのまま布団に横向きになり、また別の体勢での行為を楽しむ。
「…そういえばさ」
「なあに…」
「今日、帰り道で藍と話してたんだけど」
「ああ、そういえば後ろで何か話してたわね……どんな内容だったの?」
「それが…『蒼ちゃんも良いですが、いつか私のことも抱いてくださいね』って言われた」
「ええっ!? あ、藍が…? 抱くって、それ、セッ……んっ…ちゅぱ…もう…急にぃ…」
口が寂しくなったので、蒼の唇を貪る。
蒼の軽い体を持ち上げ、俺が下、蒼が上になるように体勢を変える。
体全体で蒼の体重を受け止める。
大きくて柔らかな蒼の胸が、俺の胸板で押し潰され、横に広がるのが分かる。
ちょっと腰を動かすだけで、官能的な蒼の嬌声が聴こえる。
ただ、ゆったりとした性行為のためか、蒼も俺もまだまだ絶頂へは至らない。
「これ、痛かったりしないの?」
「いや、全然。相変わらず栄養満点なおっぱいが当たってて凄い幸せ」
「…そ、そう…それならいいんだけど…藍がそんなこと言ってたのね……」
「俺は蒼一筋だぞ?」
「分かってるから心配しなくても大丈夫よ…」
そういって蒼のほうから唇を寄せてきた。
甘くて柔らかい唇の感触を受け入れていると、段々と眠くなってくる。
島までの移動の疲れなども合わさり、瞼が何度か閉じかかる。
「羽依里? 眠いの?」
「ん~…いつもなら立場は逆のはずなんだけどなあ…今日は先に寝ちゃいそうだ……」
「このまま寝ちゃう?」
「…それは魅力的な提案だけど、せっかくだから蒼をたっぷり堪能してから寝たい」
「………ギリギリ、性欲が勝ってるようね…」
接続中の肉棒がまだ暴れ足りないと言わんばかりに、蒼の膣内で脈動している。
さて、ここからどうしたものか、と考えているうちに蒼が上半身を起こす。
今度は蒼のほうから腰を動かし始めた。俺は一切動かず、蒼にされるがまま、快楽を与えられ続ける。
所謂、騎乗位だ。
「はあっ……っ…んんっ…ああっん!」
自ら動きつつも、その摩擦で喘ぎ声を上げる蒼。
常夜灯の元、俺の上で跳ねる蒼を見ているだけ、という極上の贅沢を味わう。
そしてそんな快楽を味わい続けていると、段々と眠気が性欲にシフトしていく。
「…はぁはぁ……蒼……気持ち良いよ……」
「…ぅ……これ…あたしも感じちゃってるぅ……」
跳ねる蒼の尻肉が俺の下半身にぶつかる度に軽快な音が鳴り響く。
衝撃で玉袋に溜まる精液が刺激されて、先端部から徐々に滲み出ている感じがする。
「はぁ…はぁ……え、ちょ! んんっー!!」
「くっ…気持ち良すぎて腰が動いちゃう……」
リズムに合わせて、こちらも腰を上下に動かす。
蒼の腰が浮いたら突き上げ、下ろし。蒼の腰が落ちてきたら受け止める。
息の合った上下運動に、お互いそろそろ限界を迎えそうだった。
「蒼、こっち」
腕を広げてそのままこちらに倒れるように促す。
蒼は腰を動かすのをやめて、そのまま俺の胸板にゆっくり倒れこんでくる。
それを確認し、蒼を抱きしめる。
「はぁ……んっ……幸せ……えへへ」
抱きしめられ、嬉しいのか、俺の胸に頬っぺたと鼻をグリグリと擦りつけてくる。
それは猫が自分の好きなものに自らの匂いをつけるマーキングのようだった。
そんなことをしなくても、既に俺の体は蒼のものなのだが、これはこれで嬉しさが増す。
「あっ……あっ……ん! ふぁっ……はいり……急に激し……あん!」
「……っつ! 蒼が可愛い行動しすぎるから……はぁはぁ……」
「だってっ! 羽依…里のこと好き……っ……なんだもんんっ!」
「俺も…っ……蒼のこと大好きだよっ!」
「ああっん! はぁ……ぅ……知ってる……わよ…えへへ」
「蒼、ちゅーして」
「こ、言葉に出されると……なんか恥ずかしいわね…ん……ちゅう」
キスしてきた蒼に対して待ち構えていたように舌を伸ばして蒼の舌を捕まえる。
「んっ……んっ! ……れろ……ちゅ……ぷはっ」
絡み合う舌。絡み合う性器。
蒼の膣内を肉棒で突き上げるたびに、下半身に熱いものが集中してくるのを感じる。
一年ぶりの彼女との逢瀬は果てしない快楽に包まれていく。
「可愛いよ蒼、蒼…!」
「ん…! 羽依里……もっと突いてぇ! 激しくしていいから…!」
「蒼……愛してるよ蒼!」
「あたしも………愛してるぅ!」
”あの夏”に出会った女の子、空門蒼。
今までの記憶が脳裏を過ぎっていく。
「出会った……ときは! 道端で…寝てたよなっ!」
「はぁ……うんっ………そこをあんたに…あん! …襲われたのよね……」
「…ただ、抱きとめただけだろっ!」
「ほ、ほんとにされちゃうと思ったんだからね!」
「それは、こんなふうにかなっ!」
「あああっん! ち、違うわよ! もっと優しい感じ!」
「ほんと蒼は、危なっかしいからなぁ…俺が一生こうしていないとダメだな!」
「ず、ずっと、羽依里とえっちしたままなのかしら…あたし」
「すげぇ、気持ち良いからおっけー…」
「よ、よくないわよ! んっ!」
愛液の分泌も限りなく行われて、肉棒を奥に突き入れるだけで、粘着性のある体液の交わる音が鳴る。
もう、頭がおかしくなりそうなぐらい気持ち良かった。
眼前に愛する女性がいる。
俺の肉棒を膣内に咥え込んでいる。
今こうして性行為をしている。
それなら後は、射精するだけだった。
「蒼……!…っ…はぁ…これから…先も…よろしくなっ!」
「ずっと……っ……んん……大事にしなさいよ!」
「出来る日は……毎日……えっちしたい……」
「そ、そんなっに……あたしの体が気持ち良いの…っ」
「蒼は体は最高だよ……世界で一番エロい女の子だよ…」
「その言葉はいらないし! そもそもあたし以外を知らないでしょ!」
「まあな!」
「知ってたら……んんっ……困るわよっ!」
最初に会ったときから蒼とは妙に息ピッタリだった。
夫婦漫才を見ているかのよう、と言われたこともあった。
俺と蒼はこうして結ばれる運命に最初からいたのかも。
肉棒が極大まで膨張し、射精の準備が整う。
「ああああああたし……もう……ダメ…! イっちゃいそう……」
「蒼……! 蒼………! 俺も! 出すぞ!」
「は、は、羽依里と一緒に……! イくうううーー!」
「蒼! 愛してるーー!」
最奥まで突き上げた瞬間、白濁が先端から迸る。
限界まで練り上げられた精液は蒼の膣内、そして子宮内を満たしていく。
三度も射精したとは思えないその量は止まる事を知らず、その最後の一滴まで蒼の性器に注ぎ込んだ。
「……はぁはぁ、あ~……蒼の中、気持ち良すぎ……頭おかしくなりそう……」
「~~~~~……ぅ……」
俺の胸に顔を預けている蒼は、絶頂により軽く意識が飛んでいるようだ。
天井を見上げつつ、こちらも射精後の気だるさを感じながらも、蒼の頭を優しく撫でてあげる。
「……にへ………」
見なくても蒼の口から洩れた言葉で、幸せな表情をしていることが分かる。
そんな蒼の顔を想像すると、俺も自然とニヤけ顔になってしまう。
「ふふっ……」
「ん………なに~……?」
「愛してるよ」
「あたしも……」
しばらく蒼を抱きしめたままでいると、膣内に入れっぱなしだった肉棒が萎えて抜けていった。
抜けていったそれは重力を受け、垂れ下がっている。
今夜はこれ以上は出せそうにない。
事後の独特な雰囲気の中、俺は右腕を伸ばし、蒼に腕枕を提供している。
「…ああ~…うぅ……ほんとに腕枕される日が来るなんて……」
「俺も思ってなかった……」
「何で二人とも恥ずかしがってるのよ…」
「慣れてないから……」
「えっちは沢山したのに…こういう雰囲気はなかなか慣れないわよね……」
「これからはこういう時間が何度でもあるんだから、慣れるさ」
藍は目覚めた。蒼も目覚めた。
俺と蒼は晴れて恋人となり、いずれ将来をも誓い合う。
これから先の俺達に不安など何も無いだろう。
「ねえ、羽依里」
「なに」
「羽依里は卒業後の進路ってどうするかってもう決めてるの?」
「う~ん、明確な目標とかは無いけど、蒼のために良い仕事には就きたい、かな。
だからまずは大学進学ってところか」
「さらっと、あたしのため~とか言ってくれる辺りは嬉しいわね…」
「そりゃ、当然だろう、ずっと蒼とは一緒にいたいし」
「うん……」
また蒼が顔をこちらに寄せてくる。
軽い接吻。今はそれが心地良い。
蒼の柔らかい唇を味わっていると徐々に眠気が増してくる。
「蒼は、学校卒業したらどうするんだ?」
「あたしは~…駄菓子屋のバイトを続けると思う。最近おばーちゃんの体調もよくないみたいだし…」
「あのばーちゃん、前はあんなに元気だったのになあ……」
「うん、あたしが代わりに頑張らないと」
「駄菓子屋は、鳥白島にとってとても大事なところだもんな…」
「それに、あんた的にはあたしに島の外には出てほしくないんでしょ~…?」
「蒼は色々と無防備過ぎるからな~~、俺の我侭ではあるけど都会には出したくない」
「……まあたしもそれでいいかなって思ってる。空門のお役目もあるし」
俺の蒼。俺だけの蒼。無防備すぎて心配な面が多い。
それに蒼は七影蝶の導き手の役目がある。
その役目は、生涯続くことになるだろう。
「子供ができたらさ、その子にも七影蝶を導く役目、やってもらうことになるんだよな?」
「あたしと羽依里の子供…そうね、これは空門に課せられた役目だから」
「「………」」
お互いに無言になる。
親が子を産み。その子が結婚し、また子を産む。
空門は島の祭事を司る家系。
七影蝶は尽きない、役目が終わることもない。
蒼と一緒になるということは、空門の役目を一緒に背負うということだ。
「とっくの昔に覚悟はできているよ」
「ふふ、知ってるわよ。宜しくね、ダーリン?」
暗がりの中、蒼の笑顔が見える。
蒼の笑顔はいつも通り”にへっ”となっていて。
「………」
「そこで何も反応してくれないと、あたしだけがバカみたいじゃない~!」
「つまり自分については認めると」
「あ~~…!! あたしはバカですー! あんたはとってもバカな女の子を好きになったんですー!」
「…愛してるよ蒼」
再度、口付け。
おやすみの合図だ。
少し時間をかけて、唇の粘膜同士を触れさせあう。
「…はぅ……ちゅ……ん……あたしもあいしてる…」
もう蒼が眠ることに心配は要らない。
だって、起きることが分かっているから。
何事にも自由で、夏の晴れ渡った青空のような彼女と、
これからも『おはよう』の挨拶を交し合える嬉しさを心に感じ。
………。
「もし、蒼が先に起きたら”アレ”をしてほしいな………」
「ま、前に言ってた”アレ”…よね?」
「そう。してほしいな~…」
「わ、分かったわよ! あ! 先に起きて狸寝入りするんじゃないわよ!?」
こういうときだけ妙に勘が良い蒼だ。
だが、蒼のことだからこちらが狸寝入りしてても気付かずにやってくれると思う。
………しばらくは、ただただ快楽を求め合う日々でも良いかもしれないな。
【腕枕をする日 終わり】
これにて鍵点で公開した分は以上です。
次回からは完全初公開の四話、五話…と続いていく予定です。
【予告】
土曜日の朝、下半身に感じる快楽。
最高の目覚めを羽依里は味わう・・・。
四話『朝のお約束』 をお楽しみに!