「これでよし、っと! 蒼、鏡見てみて! どうよ?」
「うん! バッチリね! あんたもあたしの髪の毛弄るの得意になったわね」
「そのポニーテール、いつもと違った印象があって素敵だよ」
「そ、そう? えへへ…ありがと」
ご自慢の長い髪は俺の手によって、後ろで結われ、ポニーテール風になっている。
週末の加藤家。居間には白いワンピースを翻し、可憐な姿を見せる蒼が居た。
薄い生地で全体的に露出が多く、腕を下げていると、肩は剥き出し、そして鎖骨のラインと、滅多に見る機会の無い、腋部分が直視できてしまい、目のやり場に困る。
また、美乳は服の繊維との戦いを繰り広げ、その圧倒的なまでの量感を主張する。
胸元は大きく開かれていて、魅惑のブイ字空間が生まれ、顔を埋めたくなるぐらい。
ピンク色のリボンで結われ、下乳の当たる部分にはレースがひらひらと舞っている。
その場で、くるっと一回転して、全身を余すことなく魅せつけてこられると、朝から我慢していた性欲が滾って、無性に抱きしめたくなってくる。
「ちょ! ちょっと! これからお花見に行くんだから、今は我慢しなさいよ!」
訂正。そう思ったときには背後から抱きしめていたらしい。
「蒼が美しすぎて我慢できなくて…少しだけ、良いよね?」
後ろから、蒼の性感帯である耳に、囁くように、声を送る。
音波が鼓膜を震わせ、言葉として脳に伝わっていき数秒。沈黙の時間が流れる。
「ほんと性欲強いんだから…相手が務まるのなんて、あたしぐらいなんだからね?」
「ありがとう。俺の相手は蒼しかいないよ」
後ろにある、ソファに二人して沈み込んでいく。
囁きをそのままに、耳たぶを唇で優しく挟み刺激を発生させる。そこに感覚はほとんど存在しないはずなのに、蒼にはコレが効果的であると分かっている。
両手は生肩に触れ、体の骨を感じつつ、腋を攻めにいく。
妙な温もりがあるそこも、男からしてみれば、性器の一つ。指の腹で撫でてみる。
「…ひゃ!? そこ…く、くすぐったいの」
「じゃあ、こっちならくすぐったくないかな?」
服の上から豊満な乳房を手で包む。繊維の手触りに加え、胸の弾力が、春の陽気にも似た、心地良い気分へと誘う。そして高揚したのは気分だけでなく、頂点の桜色もまた俺に触れて欲しい、と語りかけてくる。
焦らすように、頂点のそのほんの少し外れた周辺を指で軌跡を描くと、彼女はその快感に、身を捩れ、両脚を擦り合わして、必死に快楽に耐える行動を見せる。
「蒼。こっち向いて」
「…ん…ちゅ……」
小振りな唇と自らの唇とを接合させる。慣れたもので、喜ばせる接吻は完璧だ。
唇の感触を味わいつつも、今度は服と肌との隙間を縫って、両手を侵入させる。
清楚な印象を漂わせる、白のワンピースの胸元には、俺の手の形が浮かび上がり、現在進行形で卑猥な行為を行っていることを痛感させる。
「……ぁ……だめ……ぬれてきちゃってるから……」
俺のためだけに咲いた、満開の桜の感触を両手で堪能していると、先ほど穿いたばかりの下着が水分を含んできたことを告白される。
「…まって……脱いじゃうから……」
蒼は一度ソファから立ち上がり、花柄の湿った下着を脱衣する。
「今日、お花見行こうって言ってたのに、これじゃ行けそうに無いじゃない…」
そう言いつつも続きを求めるように、再度座り込み、俺の体に体重を預けてくる。
「代わりに、こっちをイかせてあげるからさ。お花見は明日にしよっか」
「明日は、ちゃんと我慢しなさいよー?」
「分かった。明日我慢できるように、今日はたっぷりと蒼を堪能しよう」
* * * * *
翌日。暖かな日差しに照らされ、俺は自転車の後ろに蒼を乗せ、島を巡っていた。
背後から腕を回され抱きしめられ、押し当てられている胸の感触を味わいつつも、春の空気を二人で感じていた。
目的の桜の木は、もうすぐだ。一緒に作ったお弁当も待ち遠しい。
「ねー! 羽依里ー!」
「なーに?」
「大ー好きー!」
耳に響く、彼女の声は、新たな季節の到来をはっきりと、確実に、告げていた。
【蒼い春の季節 終わり】