へたれ提督と生きる為の鎮守府ー抜錨!チャージマン研外伝 作:六本脚のジャイアンS
このシリーズにはこれからサブタイトルの頭
に『AS』と付けていきます
今回はガディキンさんの提案により生まれた
作品です
カディキンさんありがとうございます
作品中、下品な表現が度々使われています
それでも構わないという方は
ゆっくりしていってね♪
薄暗い海の底‥‥‥
この空間には空気があった
ここは来客を招き、会談の席を設ける場所
そしてここの心臓部‥‥‥執務室
実質剛健を旨とするここの主の性格をある意味
反映したこの場所には、一切の飾り気が無かっ
た、そもそもここには人間の生活感がまるで
無い
この日外部からここにやって来たその人物は
この執務室の雰囲気に悪態をつく
【三木之 ジャギ】
「ケッ!相変わらず辛気臭せえゴミ溜めだぜ!」
(ズダァーーン!)
来訪者の一人、『三木之 ジャギ』はソファー
に許可も無く踏ん反り返り、テーブルに足を
置いた、この行儀の悪さ、これでも三木之財閥
の御曹子というのだから恐れ入る
【三木之 ジャギ】
「おい!そこのクソアマ!!御客にお茶の一杯も
出せねぇのか!!使えねぇ野郎だなあ!!」
【空母棲姫改】
「‥‥‥貴様など客に呼んだ覚えは無い、勝手に
乗り込んできて偉そうに言うな!」
【三木之 ジャギ】
「てめぇ!‥‥‥死にてえか!!」
【空母棲姫改】
「やってみろチンピラ!死ぬのは貴様だ!」
【ハイザKIーX06号】
「おいおい!落ち着けよ!俺達がここで戦争始めて
どうすんだよ!」
この会談に友好的なムードは微塵も無い、あるの
は相手への軽蔑と、相手をどう利用するかという
算段だけだ‥‥‥
ここは『深海棲艦(強硬派)』の牙城、本拠地‥
‥‥‥『深海鎮守府』‥‥とでも言うべきか‥‥
そして、ここの秘書艦『空母棲姫改』は、この
鉄面とヘルメットの男の悪態に対して、人間の
言葉で会話をしながら殺意を剥きだしにする
それを止めるのは、鉄面男にお守り役として
ついて来た、本来ならこんな役割をする柄では
ない一人のジュラル星人‥‥‥
【ハイザKIーX06号】
「気を悪くすんなよ姉ちゃん、横須賀への攻撃
じゃお互い色々と計算が狂っちまったんだ♪
あんた達、深海棲艦はあれだけの大兵力を投入
しながら、駆逐艦の一匹も仕留められなかった
俺達ジュラル特選隊も、新型のバトルドームが
あれ程無力だとは予想外だった、お陰で計画が
大いに狂った、この坊やが勝手に暴走してあんな
テロ事件(35話、『こだわりの川内2』参照)を
起こしちまったのもその焦りとイラツキの結果
ってやつさ♪」(ペシペシッ)
ハイザKIーX06号、三木之のヘルメットを平手で
叩く、何の悪気も緊張感も無い‥‥‥
【三木之 ジャギ】
「触るな!!このタコ野郎!!」
【ハイザKIーX06号】
「冷静になれよ、喧嘩をしに来た訳じゃねーんだ
ぜ、今の俺達には時間が必要なんだ、そうだろ?
そちらの『提督』さんよ?」
声をかけられた本人、鎮守府でいうところの
『提督の執務机』に座るここの主、青白い顔の
一人の男‥‥‥この男を『深海提督』と呼称する
事にしよう
【深海提督】
「やっと冷静に話が出来るな、アポも取らずに
いきなり乗り込んできた非礼についてはこの際
忘れよう、それで?その時間稼ぎの為にお前達
は新たな作戦を発動すると?」
【空母棲姫改】
「その為に、我々にも戦力を拠出させると?」
【ハイザKIーX06号】
「大兵力である必要はねぇ、陸上で戦える奴を
何人か貸して欲しいのよ」
【空母棲姫改】
「お前達が戦うのか?」
【ハイザKIーX06号】
「俺達が戦う訳じゃねぇさ♪この世界にはな、
地球人共も俺達ジュラル特選隊も含めて戦争
したがってる奴らが大勢いるのさ、理由は
色々だけどな♪」
【空母棲姫改】
「自分の手は汚さず、また他人に血を流させる
つもりか?‥‥‥ゲス共が」
【ハイザKIーX06号】
「お褒めに与り光栄だ♪てか?」
あの『革命軍』人質事件からそれ程経っていな
いにも係わらず、三木之達は何かの作戦を考えて
いるらしい、しかもそれは自分達が行うものでは
なく、他人の褌で行うものの様だ
いくら同じ敵と戦っている同士とは言え、空母棲
姫改が呆れるのも無理はない
【深海提督】
「‥‥今更我々も自分達を綺麗に見せるつもりは
ない、お互い戦力の立て直しに時間が必要なのは
分かった、でお前達は我々の戦力と、その捨て駒
達に何をさせるつもりだ?」
(ドオオーーン!!)
【三木之 ジャギ】
「ガタガタうるせえんだよ!!深海野郎が!!
この作戦の司令官は俺だ!!てめえらは黙って
手駒を出せば良いんだよ!!分かったかぁ!!」
【空母棲姫改】
「提督、この馬鹿を殺してもいいか?」
【三木之 ジャギ】
「んだとぉぉ~~!!!」(ギリギリ‥‥)
【深海提督】
「待て、ここで我々が争うのは無意味だ、双方と
も落ち着くのだ、そうだろ?『ジュラル』?」
【ハイザKIーX06号】
「おっしゃる通りで♪(ニヤリッ)お前も落ち着
けよ、喧嘩する相手を間違えんな、坊や」
いまや『三木之 ジャギ』の参謀的な立場になっ
ている『ハイザKIーX06号』は、三木之に冷静を
促す
感情の赴くまま暴走する、それが当然の権利だと
本気で信じている三木之にとって、本人の気持ち
はともかく、この『ジュラル星人』の存在は必要
不可欠だと言えた、お互い相手に何の信頼感も
持っていない‥‥‥という奇妙なコンビであった
が‥‥‥‥
【深海提督】
「‥‥『三木之 苗夫』、三木之財閥の御曹子、
その我が儘で狂暴な性格、父親の権力を乱用して
ブロック海軍の鼻つまみ者となり、軍人として
余りに無能だった事と数々の悪行から軍そのもの
から追い出された、そしてそれを逆恨みして、
今度は我々深海側・ジュラルと組み、己の復讐
を成就させる為だけに、『連邦軍』の中に自分の
『箱庭』を(父親に)作らせて、そこで裸の王様
になる‥‥‥か、やはりお前達『人間』は愚かな
生き物だ、この星とこの海の為に根絶やしにする
しかないな」
【三木之 ジャギ】
「ああ~、それがとうしたぁ~!?俺以外の人間
がどうなろうと知った事か!!
調子に乗ってんじゃねーよ!海タコ!!
てめぇが元々『人間』だったってのは分かって
んだぜ!『ヘボ提督』が!!
てめぇがここに居るのも、元はと言えばそこに
要る『元クソ艦娘』と一緒に海軍に居場所がねぇ
から逃げ出したってだけたろうが!!
『人間様』が気にいらねぇだと?だったら真っ先
にてめぇが消えやがれ!!」
【空母棲姫改】
「貴様に何が分かる!?これ以上提督を侮辱する
事は許さんぞ!!」
【三木之 ジャギ】
「うるせえぞ!!役立たずの艦娘は引っ込んでろ
!!!」
空母棲姫改の目が怒りで赤く光る‥‥‥
口調も従来の深海棲艦に‥‥‥
【空母棲姫改】
「ココハ海上デハナイガ‥‥沈ンデシマエ!!」
(ゴゴゴゴゴーーー!!!)
【ハイザKIーX06号】
「はーいストップ!そこまで!」(パンパン!!)
三木之は自分が殺される可能性など全く考えて
いない、周りの全てが自分の下僕だと本気で信じ
ている、下僕なら黙って自分の思い通りに動くの
が当たり前だ!‥‥‥‥当然、こんな子供じみた
自信には何の根拠も無い、こんな事をしていたら
三木之は命がいくつあっても足りない
ハイザKI-X06号としても、こんな事でこの男を
殺されてはたまらない、奴にはもっと楽しませて
貰わなくては‥‥‥
【ハイザKI-X06号】
「悪かったよ、姉ちゃん、コイツはこの歳でも
世間知らずのボンボンなんだ、アンタは大人だ
からここは大目に見てやってくれや♪」
【三木之 ジャギ】
「何だと!!この野郎!!」
【ハイザKIーX06号】
「ジャギ!おめえが1番憎んでる相手は誰だ?
おめえはそいつ等に復讐する為にそんな鉄面
被ってるんじゃねーのか?」
【三木之 ジャギ】
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
【深海提督】
「秘書艦‥‥‥良いんだ」
【空母棲姫改】
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
【深海提督】
「『援軍』という事で良いんだな?多くの戦力
は出せんぞ?
口出しはせんが、内容は教えて貰えるんだろう
な?」
【ハイザKI-X06号】
「ああ、それで構わねぇ、交渉成立だな」
ーーーーーーーーーーーーーーーー
帰りの道中‥‥‥‥
速足で歩く男達‥‥‥‥
(カッカッカッカッカッ)
【三木之 ジャギ】
「クソッ!クソッ!!クソォォ!!!」
【ハイザKI-X06号】
「今更だけどよ、おめえ、俺に会うまでよく
生きていられたな?
さっきの会談だって、俺が居なかったらおめえ
あの深海棲艦に100回は殺されてたぜ?」
【三木之 ジャギ】
「おいタコ野郎!!二度と俺に舐めた口聞くん
じゃねぇぞ!!俺には強力な『スポンサー』
が付いてるんだ!!てめぇ等なんか吹けば
飛んでおしまいなんだ!分かったか!!」
【ハイザKI-X06号】
「フフン♪連邦の高官とか言う、おめえの
『親父さん』のことかい?」
【三木之 ジャギ】
「俺にはハナから親父なんぞ居ねえ!野郎は
ただの金ズル!三木之の家に仕える奴隷だ!
奴は三木之の人間に奴隷として仕える為に
婿養子として連れて来られたんだ!
俺に奴隷として仕えるのは当然の義務だ!
俺の『スポンサー』は、あんなゴミクズとは
訳が違うんだよ!」
【ハイザKI-X06号】
「へえ~♪そうかい?だったら精々その
スポンサー様に愛想を尽かされない様に注意
するこったな♪そのスポンサーとこの俺を
失えば、おめえには何も残らねぇ♪‥‥」
鉄面の奥に見える三木之の目が怒りで血走る
‥‥‥‥
それを見て楽しそうにニヤつくジュラル星人
‥‥‥‥
【三木之 ジャギ】
「‥‥俺の復讐を果たしたら‥‥次はてめぇ
を殺してやる!!‥‥‥」(ギリギリ‥‥)
【ハイザKI-X06号】
「そいつは出来ねえ相談だな~♪さあ仕事に
かかろうぜ、邪魔が入らねぇうちにな♪」
行く先に破滅しかないこの狂暴コンビ
この男達が巻き起こす新たな混乱とは!?
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《AS、放浪提督と気弱な艦娘》
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【花田 刀治郎】
「『ドルヴェンシュタイン公国』‥‥ですか?」
【土方 龍】
「聞き慣れないのも無理はない、そんな国家は
もう公式には存在しない
『地球連邦政府』の誕生と共にそういった従来
の国家システムは解消されてしまったからな」
【飛龍】
「それって100年以上も前の事ですよね?もう
無くなってしまった国がなにか?」
【大淀】
「公式には無くなりましたが、その地域には
概念としては残っています
そこに住んでいる人達の心中には『ドルヴェン
シュタイン公国』が未だに存在している人達も
居るんですよ、歴史的にも文化的にも」
【飛龍】
「概念‥‥ねえ」
連邦統合海軍省人事局長『土方 龍』元帥から
重要な連絡があるとの呼び出しを受けて、同
査察局の司令官『花田 刀治郎』少将は秘書艦
の『飛龍』と共に出頭していた
土方人事局長の秘書艦である『大淀』からも
同じく説明を受ける
『ドルヴェンシュタイン公国』‥‥‥
かつて欧州に存在した独立国家‥‥‥
最終的な国土面積は本州と北海道を足した面積
に匹敵する
北には寒冷の海に面する海岸線
南は比較的温暖な山岳地帯、隣国と国境を接して
いた中世の頃から大規模な城塞や要塞が数多く
作られ、増設されてきた
所謂『ゲルマン人の大移動』で国家の土台である
地域コミュニティーが形成され、『十字軍』で
登場したかの『テンプル騎士弾』の一勢力によっ
て独立国家にまでなった
『テンプル騎士弾』の軍事力と財力を受け継いで
早い段階で比較的強力な軍事国家となった、一方
で『テンプル騎士弾』本体とは早くから距離を
置いた事で、『カトリック』の影響は時代と共に
薄れ、宗教に関しては(あくまでキリスト教の
宗派内で)比較的自由な風潮が生まれた
公国となった『ドルヴェンシュタイン』は、独立
を守る為に周辺国より一歩抜きん出た軍事力と
『傭兵派遣』を国家の生業としてきた
『地球連邦政府』に吸収されるまで独立を保ち
続けていたこの国の国民性は(全てではないが)
血の気が多く好戦的、一方で策略好きで粘り強く
しつこい、そして独立心が強い‥‥という性質を
持つ人が比較的多い‥‥‥と言われている
【土方 龍】
「連邦政府の議員や官僚の中にも、この国の出身
の末裔が少なからず在籍している、その影響力
は決して少なくない」
【大淀】
「この地域は現在、欧州(ヨーロッパ)自治ブロ
ック政府の行政下にありますが、連邦内の
旧ドルヴェンシュタイン勢力が、旧同国を盟主と
して周辺の旧隣国を吸収して新たな自治ブロック
として独立させよう画策しています」
【土方 龍】
「当然、欧州自治ブロック側としては面白くない
だろう、だが今のところ連邦はこれを容認する
可能性が高い」
【花田 刀治郎】
「‥‥でしょうな、連邦としては上納金を納める
勢力が一つ増えるだけだ、欧州ブロックには
これを阻止する力はない、両者の間で争いが
起こっても連邦は仲介役として返ってこの地域
に影響力を強める事が出来る、どちらにしても
損はない訳だ」
【土方 龍】
「欧州ブロックは、深海棲艦への対策では常に
後手に回っていた、ジオンとザンスカールが
地球に進攻して来た時も支配地域を容易に
蹂躙されている、それを奪い返し彼等の土地を
取り戻して来たのは連邦軍だった、細かい
見方は色々あるがな
だから欧州ブロックには負い目がある、連邦に
は逆らえん
今後余程の事が無い限り、欧州ブロックはこれ
を認めるしかあるまい
我々としてはこの地域で紛争が激化しない様に
対応していく他はない」
【飛龍】
「お偉方にはお偉方の都合があるんでしょうけ
ど、ややこしい話よねぇ~
振り回される人達は良い迷惑じゃないかしら?
」
【大淀】
「私もそう思います」
【花田 刀治郎】
「土方長官、ドルヴェンシュタインの事情は分か
りました、それで自分と飛龍を呼んだ理由は何
でしょうか?自分達は軍人です、政府や行政の
案件に我々が口を挟むのは筋違いかと存じます
が?」
【飛龍】
「うわ~‥‥長官にズバズバ言っちゃった」
【土方 龍】
「花田、貴様の言う通りだ、新たな自治ブロック
を分離独立させるのは行政と住民の選択だ
我々軍人には、それに口を挟む余地はない
問題はここから先だ!」
【花田 刀治郎】
「問題?」
【土方 龍】
「貴様や我々が動向を追っているあの狂人‥‥‥
『三木之 苗夫(ジャギ)』についてだ、奴が
この件に係わっている‥‥としたらとうする?」
【花田 刀治郎】
「三木之の居場所が分かったんですか!?」
【飛龍】
「‥‥‥あの男!‥‥」(ギリッ!)
へたれ夫妻にとって因縁深い『三木之 ジャギ』
花田少将ら査察局の関係者にとっても決して
忘れる事の出来ない輩、不倶戴天の敵と言って
いい
『海風』が傷付いたのも、『蒼龍』が今でも
苦しみ続けているのも、元はと言えばこの男の
逆恨みが原因なのだ
【土方 龍】
「先週までダカールに居た事が確認されている
それ以後の詳しい情報については彼女に説明
して貰おう」
(コンコン‥‥)
「失礼します」
土方のその言葉が終わるのを測っていたかの
様にドアをノックする音が‥‥‥
【土方 龍】
「入ってくれ」
(ガチャッ)
【あきつ丸】
「例の件、報告にあがりました」(敬礼)
【花田 刀治郎】
「あきつ丸!?何故お前がここに!?」
【飛龍】
「六本脚に居たんじゃなかったの?」
【大淀】
「彼女には特別に、情報収集のご協力の為に
来て頂きました」
【あきつ丸】
「自分が提督殿と土方元帥閣下殿にお願いして
志願したのであります、あの男の情報収集は
自分達の鎮守府にとっても重要であります」
【土方 龍】
「こちらの情報機関と連携して情報を集めて
貰っていた、あきつ丸、早速だが報告してく
れ」
【あきつ丸】
「了解であります、結論から申し上げて、あの
男は現時点で旧ドルヴェンシュタイン領内に
在駐して、自分の部隊の増強を進めている
ところであります」
【花田 刀治郎】
「自分の部隊だって!?奴は海軍から追い出さ
れた筈だぞ!?」
【あきつ丸】
「軍籍そのものは辛うじて残っていたであります
、奴は自分の父親にねじ込んで自分だけの部隊
‥‥‥の器を作らせたのであります」
【飛龍】
「何よそれ!?まるで子供が親に箱庭を買って欲
しいって駄々こねたみたいじゃない!?」
【土方 龍】
「現実もそれと大差ない、もっともまだ器だけで
まともな戦力は揃っていないのは不幸中の幸い
だがな」
【大淀】
「部隊名称は『サイドリッツ部隊』‥‥‥あの男
がダカールに滞在いていた期間に突然誕生した、
しかも連邦政府直属の外部独立部隊です」
【飛龍】
「何ですって!?」
【花田 刀治郎】
「連邦政府直属とはどういう事です!?地球連邦
軍とは別組織の部隊‥‥‥という事ですか!?」
【土方 龍】
「その通り、連邦軍の指揮下には入らない、別の
軍隊だ、まだ実態はないがな」
【飛龍】
「‥‥‥そんな横暴が許されるの!?連邦政府は
一体何をしていたんですか!?」
【花田 刀治郎】
「よせ!飛龍!」
【飛龍】
「でも!!」
【土方 龍】
「良いんだ、飛龍の憤りはもっともだ、しかし‥
これも現実だ、奴は入れ物だけとはいえ、父親の
権力をフル活用してそんな代物を作ってしまった
名目上とはいえ、奴は連邦軍と対等の立場に
なった訳だ、こちらからそう簡単に手出し出来る
相手では無くなってしまった事になる」
軍から追い出されたただのチンピラ‥‥‥
たちの悪い悪党‥‥‥
大切な者を傷付けた不倶戴天の敵‥‥‥
必ず逮捕しなければならない対象‥‥‥
花田少将にとって『三木之 ジャギ』とはその
程度の相手であった
それがこんな事態になるとは‥‥‥
【花田 刀治郎】
「奴が係わったとされる数々の事件‥‥‥それら
全て、今回の為の陽動だったとしたら‥‥‥‥
どうやら自分はあのチンピラを甘く見ていた様
です」
【土方 龍】
「いや!部隊の設立は恐らく急に決まった事だ
ろう、前から動いていればこちらの情報網にも
何かしら引っ掛かった筈だ
それにこの策、奴の‥‥三木之の発案ではある
まい、あの男にそんな頭があれば奴はチンピラ
に成らずに済んだ筈だ」
【飛龍】
「それは納得出来るかも‥‥‥」
【土方 龍】
「俺の勘だが、今奴には『戦術アドバイザー』、
つまり『参謀』か『軍師』の様な存在が着いて
いる、それもえらく悪知恵の働く奴がだ
三木之はそいつの手の平で踊っているだけ‥‥
の可能性もある」
『参謀』『軍師』の可能性‥‥‥
あの我が儘男が軍師の忠告などに耳を傾ける
ものか‥‥‥と思わなくも無い花田少将では
あったが、その軍師にも腹に一物あると言うの
なら可能性が無くもない
そいつは単に三木之を利用しているだけ‥‥と
いう事だ‥‥‥‥そう言えば‥‥‥
『蒼龍』が言っていた‥‥‥
娘(養女)の『海風』を救う為に花田少将達を
裏切らざるを得なかった『蒼龍』を敵方から
取り戻した、そして精神を病んだ蒼龍を治療の
為、六本脚に送り出そうという時、蒼龍は搾り
出すように言葉を発した‥‥
【蒼龍】
「少将‥‥三木之は‥‥奴は‥‥一人じゃない
‥‥恐ろしい奴が側にいる‥‥‥ジュラルよ」
あの時、蒼龍が発した言葉を思い出した
奴の側には『蒼龍』を嵌めたジュラル星人が
いる、花田少将にとっては三木之以上に許せ
ない相手だ、奴が三木之の軍師なのか?
【あきつ丸】
「三木之の目的は、連邦軍の縛りを受けず
我々に対抗出来る戦力を根拠地と一緒に手に
入れる事にあると推測するであります」
【土方 龍】
「それは間違いないだろう、奴には何の地盤
も無かった訳だからな、しかしそれでも疑問
が残る」
【飛龍】
「疑問‥‥ですか?」
【土方 龍】
「奴はドルヴェンシュタインで何をしようと
している?根拠地を作るにしてもそんな戦力
を何処から持って来る気だ?
今のドルゥェンシュタインは独立派の動向
が騒がしい、奴はそれに乗じて何か行動する
のかも知れんが、今の奴にそんな戦力は無い
奴の父親がいかに連邦政府の高官と言っても
やれる事には限度がある筈だ」
【大淀】
「今は相手の動向に注意するしかないと思います
私達に今出来る事はありませんから」
【あきつ丸】
「自分は一旦六本脚に戻ります、提督殿や謎提殿
にも報告する必要がありますから、情報収集に
ついては今後も留意するであります」
【土方 龍】
「分かった、忙しいところを済まなかった
あの二人にも宜しく言っておいてくれ、今後も
貴艦には世話になると思う
花田、貴様のところも用心しろ、奴と奴の軍師
が近く何かを仕掛けてくる可能性もある
アジア・オセアニア自治ブロックの正規軍の中
にも、帝国海軍の中にさえ、三木之と考えを
同調する輩も少なくない、奴らが三木之と結託
する可能性もある、嫌な現実だがな‥‥‥
今後の対応はこれから検討していくとして、
今日はそれだけ伝えておく」
【花田 刀治郎】
「御配慮、感謝します、閣下」
【飛龍】
「了解しました、閣下」
ーーーーーーーー
【飛龍】
「ねえあきつ丸、前々から聞きたかったんだけど
あんたのその情報収集源ていったい何処から?
査察局に居た頃からあんたの情報収集って謎だ
ったのよね」
【あきつ丸】
「それは身内にも教えられないであります♪」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ここは謎の鎮守府‥‥‥
ここにもある来訪者がいた
【コマンダン・テスト】
「‥‥‥という訳なのです、ムッシュー、何とか
助けて頂けないでしょうか?」
【ヒィッツ提督】
「他ならぬコマちゃんの頼みとあれば断る理由は
無い、と言うより閣下と六本脚の関係性につい
ては小官も引っ掛かってはいたのだよ明智君」
【足柄】
「それは某探偵シリーズのギャグ?それとも
『大河ドラマ』の影響?
いずれにせよ、気にしているのは閣下だけじゃ
ないの?川内達だって元帥閣下の人柄は理解
してる訳だし、会って話せば誤解も解けて問題
も無くなるんじゃないかしら?」
【ヒィッツ提督】
「男というのは、特に良い歳こいた‥もとい!
年齢を重ねた男というのは、顔を向き合わせて
話し合うのが返って中々難しいんだよ
会って話をするのは勿論必要だが、先ずはその
キッカケ、あるいはお膳立てが必要なのよ
いきなり顔を合わせたとしても、どちらも何を
どうしていいか分からんだろう」
帝国海軍本部所属の『コマンダン・テスト』から
悩みの相談を受けていた謎の鎮守府首脳陣‥‥
相談の内容は、彼女が仕えている帝国海軍元帥
『徳川 成光』に関する事であった
最近の徳川元帥は、『青葉新聞』の切り抜きの
ある写真を見て、溜息をつくことが多くなって
いた
それはかつて、横須賀のあるスタジオを貸し切っ
て行った『メダきよ写真撮影会』の記事と写真で
あった
(18話『姉妹誕生ー番外編ー初めての建造』参照)
この写真の『アンドロメダの笑顔』を見て完全に
我を忘れてしまった徳川元帥は、自分のアンドロ
メダ級欲しさに大量建造(21回)を敢行した
当時の彼は『アンドロメダ』に対する恋慕の気持
ちがハンパではなかったのである、少々暴走して
しまっていたのかもしれない
徳川元帥は建造に際して、臨時秘書艦として
アンドロメダの一次派遣を要請した
そして工廠に現れたアンドロメダを見た徳川元帥
は、あまりの感動に思わず飛び掛かってしまった
のである!
普段の、艦娘を大切に思う彼からは想像も出来な
い行動であった
『大量建造』という行為自体に良いイメージを
持っていなかったへたれ提督と川内、そして
アンドロメダの身を心配していた清霜達六本脚の
面々は思わず過剰な反応をしてしまった
彼等彼女達は飛び掛かって来た徳川元帥に思わず
銃口、砲口を向けてしまったのである!
天龍に至っては刀を投げつけようとしていた!
六本脚の面々もアンドロメダを心配するあまり
冷静さを失っていたのである
当のアンドロメダだけが冷静だったが‥‥‥
この建造では結局アンドロメダ級が建造される
事は無かったが悪い事ばかりでは無かった
代わりに『コマンダン・テスト』や『SPAS-12』
が建造されたのもこの時で、これはこれで『運命
の出会い』を演出した建造だったのだろう
だがこの時以来、徳川元帥と六本脚鎮守府の間
には、やや気まずい空気が残っていたのも事実
である
最近の徳川元帥は『青葉新聞』の切り抜きを
見て溜め息をつく日が多く、秘書艦の『コマン
ダン・テスト』もそれを見て心配していた
ヒィッツ提督としても気になっていたところは
あった
ハロウィンのお菓子をメダ子や清霜、それに
天龍児童園の子供達に用意するなどの優しい面
を見せた徳川元帥であったが、それを直接渡す
事は(相手の空気を悪くしたくない)という
心配から『カブトムシの怪物』になっていた
ヒィッツ提督に依頼したのである
因みに、メダ子本人は徳川元帥に対してはもう
何とも思っていない、というより初めから何も
警戒していない、逆に「何もあそこまでしなくて
もよかったじゃん?」とさえ感じている
【妙高】
「元帥閣下はメダ子さんへの思い入れが強くて
暴走しかかった事で、六本脚の皆さんに『自分
は嫌われている』と思い込んでしまってますし、
六本脚の皆さんは『メダ子さん』を守る為とは
いえ、元帥閣下に砲口を向けてしまった罪の意
識が残っています
先ずはお互いのわだかまりを私達で解いて差上
げるのが良いと思います
そうすれば、お互い嫌いあってる訳ではありま
せんから必ず関係性は改善する筈です」
【コマンダン・テスト】
「本当ですか?ありがとうございます!
メルスィー・ボクー」
【ヒィッツ提督】
「流石は妙高、名推論や、問題はそれを誰に
どのようにして貰うかやなぁ」
【足柄】
「何だか男って面倒臭いわねぇ、まあそれで
良くなるなら良いか、それで?誰が何をする
の?」
【ヒィッツ提督】
「うん、今、丁度思いついたところや、閣下の
人どなりを再度六本脚の諸君に理解して貰う
為に、あの娘に協力して貰おう、それと足柄
、お前にも協力してもらう事になると思う」
【足柄】
「えッ?私に?説得とか交渉とかそういうのは
私の柄じゃないんだけど?」
【妙高】
「‥‥あっなるほど、提督が誰を呼ぼうとして
いるのか分かりました、確かに足柄と組ませ
たら良いかもしれませんね♪」
【ヒィッツ提督】
「またしても流石や妙高、俺の嫁だけの事は
ある!」
【妙高】
「ウフフ♪ご褒美、くださいね❤」
【足柄】
「ちょっと!自分達だけ盛り上がらないでよ!
その艦娘が誰なのか教えなさいよ!」
【ヒィッツ提督】
「今説明するよ」
【コマンダン・テスト】
「いったい何をするのですか?」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
花壇の広がった中庭を車椅子で移動する『磯波』
‥‥‥‥
【磯波】
「『潮』ちゃーん、電話だよー♪」(カラカラ‥)
【潮】
「はーい♪」
帝国海軍所管、艦娘専用療養鎮守府‥‥‥
徳川元帥と『国際医療科学研究所』の吉阪博士が
知見を出し合い、設立させた艦娘専用の療養所
一応、鎮守府の一つとして設立された施設である
戦闘での重度の負傷で、入渠や治療では戦闘艦娘
として復帰出来なくなった艦娘や、ブラック鎮守
府問題で肉体的・精神的な被害を受けた艦娘達が
治療を受け、日々の生活を送っている
吉阪博士の『国際医療科学研究所』が、艦娘だけ
ではなく、軍から見捨てられた擲弾兵や強化兵を
保護し、彼ら彼女らに『人間』としての誇りを
取り戻させ、自立と社会復帰を目指すのを目的と
しているのに対して、この療養鎮守府は艦娘のみ
に対して純粋な『治療』を施すことを目的として
いる、それだけ専門性が高いという事は、ここに
滞在する艦娘達がどれだけの重篤で、どれだけ
辛い思いをしてきたのかを物語っていた
そしてここでは職員として『艦娘』が働いている
彼女達は同じく戦闘での重症やブラック鎮守府に
よる心の問題を抱えている艦娘達で、自らの体験
から『同じ苦しみを持つ艦娘達を何とか救いたい
』という熱意を持って、患者の艦娘達をケアして
いる
『磯波』と『潮』は、そんな『職員』の一人で
あった
車椅子に乗った『磯波』は、練度が低い状態で
無謀な作戦に投入され、戦艦の直撃弾をくらって
両足が不随、入渠でも回復せず海にも出られなく
なってしまった過去を持つ
【潮】
「磯波ちゃん、私に電話ってだれから?」
【磯波】
「『海軍特別警察隊』からだよ、潮ちゃん、前に
も海軍本部に呼ばれて、そこから海特警の
足柄さんに会ったんだよね?確か潮ちゃんの昔の
知り合いで恩人だって言ってた‥‥‥」
【潮】
「うん、元帥閣下の御配慮で再開できたんだよ♪
そっか、海特警から‥‥また足柄さんに会える
かなぁ♪」
以前所属していた鎮守府で、『潮』はブラック
提督とそれに媚びる艦娘達から虐待やいじめを
受けていた、最初は性的なセクハラ行為であっ
たが、潮がそれを断るとセクハラは『指導』と
いう名の暴力行為となった、それらを取り巻き
の秘書艦や艦娘達までがストレス解消の為に
率先して行ったのだから最悪である
それらは『犯罪行為』そのものであったが、
外界から閉鎖された鎮守府内で潮を庇ってくれ
る者は居なかった
声をかけてくれたり話し相手になってくれたり
した者は一人だけ居たが‥‥‥
そこに現れたのが、現在、謎の鎮守府に所属して
いる『足柄』だった
当時、まるで『暴力の権化』のようだった足柄は
ブラック提督とその取り巻きの艦娘達を再起不能
にまで叩き潰した、その間足柄は、常に潮の側に
あって潮を守り続けてくれた(あくまで潮の視点
から見て)
やがて足柄は姿を消した、その直後鎮守府に捜査
が入り、このブラック鎮守府関係者の違法行為が
次々と明らかになった
ぼろ切れの様になったブラック提督を初め、当然
関係者達はしらを切ったが、そんな中であの
『潮』がたった一人、勇気を振り絞って真相を
告発したのであった
潮の告発がキッカケで全てが明るみに出た事で
ブラック提督は病院送りのまま逮捕され、関係者
も処分、鎮守府は解体され、所属艦娘達はそれぞ
れ別の鎮守府に際配属されていった‥‥‥
潮はあの時の事で、足柄に礼を言う事が出来なか
った事がずっと心残りであったが、先日、徳川元
帥の導きで足柄と再開する事が出来た
しかし、再開した足柄から聞いた告白はある意味
潮にとって衝撃的だった
足柄が潮の側に居て、横暴なブラック提督や艦娘
達をぶちのめしたり、潮が単独で危険海域に出撃
を強要された時も一緒に出撃していたのは、彼女
的にはある明確な理由があったのだ
・イラついたから
・ムカついたから
・戦いたかったから
・潮と出撃すれば強い敵と遭遇出来るから
潮の抱いていた想いと現実には大きな乖離がある
事が判明した、とはいえ、潮が足柄に恩義を感じ
彼女の背中を見て勇気を貰った事は間違い無かっ
た、そしてその気持ちは今も変わっていない
足柄は潮にとっての憧れになった‥‥‥
潮は足柄への感謝の気持ちを忘れる事無く、彼女
の背中を思い出して勇気を持ち続けるだろう
潮には足柄のような真似はとても出来ない、それ
でも自分に出来る事があればそれに全力で取り組
もう‥‥‥
そうして潮は今ここにいる‥‥‥
【潮】
「足柄さん元気でしてるかなぁ♪あの時も今も‥‥
足柄さん、格好良かったなぁ‥‥‥逢えると良い
なぁ~~♪✨」
ーーーーーーーーーーーーーーーー
【足柄】
「‥‥‥へっくちっ!」
【デウスーラ】
「あら、随分と可愛いくしゃみねえ」
【足柄】
「///やめて頂戴!そういう言い方!//‥‥誰か
私の噂をしてるわね‥‥ズズッ」
【デスラー艦】
「そうそう、そういえばまた大変な花粉の季節も
近付いて参りましたわね」
【デストロイヤー】
「花粉をナメると将軍が大変な事になるからね」
【ランベア】
「くしゃみと聞いてすぐ花粉をイメージするなん
て、私達も謎鎮にどっぷり浸かっちゃったね」
【デストリア】
「デスね~~」
(ゾロゾロゾロ~~)
【足柄】
「あら?皆お揃いで荷物なんか持って何処に行く
の?夜逃げ?」
【デスラー艦】
「人聞きの悪い事言わないで頂けますか?」
【デストロイヤー】
「『きよし』と『メダ子』から招待状が来てね
今夜、六本脚で『お泊りパジャマパーティー』
をするんだよ」
【足柄】
「お泊りパジャマパーティー?」
【デウスーラ】
「✨とってもワクワクするのだ~♪✨」
【ランベア】
「こんなの初めてだから、ちょっと楽しみ✨」
【デストリア】
「✨ユークスちゃんとランベアちゃんと一緒に
パジャマでお泊りデズ♪楽しみデス~~♪✨」
【足柄】
「清霜も妙なこと考えるわねぇ、他の娘達は?
シュバリエルやガト子はどうするの?」
【デストリア】
「シュバリ姉様は、ジオン艦の皆さんと一緒に
MMZNF(特殊衛生任務艦隊)の予定がある
のデス
皇帝さんは、連日のチンドン屋興行とコスプレ
イベントで大ハッスルし過ぎて疲れて寝てる
デスよ」
【足柄】
「ガト子ったら‥‥‥あの娘また提督と羽黒に
丸め込まれたのね、目を覚ました時に『何で
余も起こしてくれなかった~!』って言いそう」
【デストロイヤー】
「白色皇帝は次に誘うよ、足柄さんもどうだい?」
【足柄】
「私は遠慮しとくわ、提督がいないのにお泊り
なんかに行っても、すぐ近くで川内がズッコン
バッコンしてると思うと何か腹立つし、第一
パジャマパーティーなんて私の柄じゃないでしょ
皆で楽しんで来なさいな、提督の慰安はこの
足柄様に任せて頂戴♪」
ーーーーーーーーーーーーーーーー
【潮】
「足柄さんに逢えるかなぁ~♪」
【磯波】
「潮ちゃん、何だか嬉しそう♪」
【潮】
「エヘヘ♪ちょっとね♪✨」
ここで潮はある事を思い出した
自分があの苦しい時を乗り越える事が出来たのは
『足柄』のおかげ‥‥だけではなかった
足柄があの鎮守府にやって来る前から、影ながら
潮を支えてくれた一人の艦娘がいたのだ
その艦娘は潮と同じ駆逐艦だった
潮が独りで苦しんでいた時には必ず横にいてくれ
た、話や悩みも聴いてくれた
時にはそれが災いして、その艦娘までもいじめと
暴力の対象になってしまった事もあったが、それ
でもその艦娘は潮を見捨てる事はなかった
鎮守府が解体され、所属艦娘達が全員ちりぢりに
なる最後の時、その艦娘は潮に何度も謝ってきた
それこそ何度も何度も‥‥‥
『何も出来なくてごめんなさい』
『何もしてあげられなくてごめんなさい』‥‥と
潮としては感謝の気持ちこそあれ、彼女が謝る
理由なんかなにも無いと思っているのだが‥‥‥
今現在、潮の生活は充実している、そんな潮に
心残りがあるとすれば、あの時の彼女の最後の
様子であろう
所属鎮守府が別れてしまった為に、潮から彼女に
対しては何もしてあげられなかったが‥‥‥
潮は、例の艦娘の名前を呟く、今彼女はどうして
いるのか?
【潮】
「『浜波』ちゃん‥‥元気かなあ‥‥」
【磯波】
「潮ちゃん?電話、待たせてるよ?」
【潮】
「‥‥‥あっ!ごめんなさい!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(ボボボボーーー‥‥ザザザ‥‥‥)
夜の海‥‥‥‥
沿岸部からさほど離れていない深夜の海を
船外機(外付けエンジン)を着けた小型ボード
が走っていた、乗っているのは男が独り‥‥
銚子沖の大海戦でやや下火になっていた
深海棲艦の活動が、最近頻繁になって来ていた
そんな御時世に、たった一人で真夜中の海に
ボードで出るとは危険極まりない行為だ
しかし男には怯える様子は微塵も無かった
駄目になるならその時はその時だ‥‥‥
そんな雰囲気が男には感じられた
男は『密漁者』だった
打ち捨てられたボートと船外機を自力で直し
漁に使う釣竿や銛を自作し、地元の漁協には
無断で、許可も取らず、真夜中に禁漁区に入って
はその日の食の糧を手に入れる為だけに漁に出た
見つかれば即逮捕されるだろう
深海棲艦に遭遇すればそれこそただでは済まない
だが‥‥‥
男には戦う武器があった
戦える身体があった
ボートの中には漁の道具に混じって長大な『刀』
が乗っていた
長さ221.5cm、刀身だけで175.5cmという
『刀』というには長大過ぎる代物だった
人はそれを『真柄太刀』と呼ぶ‥‥
【鶴 温】
「‥‥漁に出ても、捕れなきゃ意味がねぇか」
だから確実に捕れる禁漁区を狙う、無茶苦茶
である
『鶴 温(つる あつし)』というのは、この
男がまだ『人間』として法的に認められていた
頃の呼び名である
今のこの男の存在を示す記号は一つ‥‥‥
『献体ナンバー:ZNBー0018631ーC』
そう、この男は『野良擲弾兵』であった
あまりにも長過ぎる『真柄太刀』も、男が
擲弾兵として最前線で戦っていた時の相棒で
あり、その証明であった
(‥‥パッ‥‥パッ‥‥パッ‥‥)
空が突然明るくなったのはその時だった!
見つかったのか!?
【鶴 温】
「いや違う!照明弾だ!」
ーーーーーーーーーーーー
【阿武隈】
「『照明弾』投射!電探が効かないわ!!
各員、有視界戦闘に備えて!!」
【風雲】
「了解!!何でこんな時にミノフスキー濃度が
濃くなるのよ!?」
【望月】
「文句言っても仕方ないよ!あーいいくよー!」
【浜波】
「‥‥てっ‥‥敵!?‥‥」
『松島鎮守府帯』の、その名も『松島鎮守府』に
所属する軽巡洋艦娘『阿武隈』率いる戦隊は
別艦隊の護衛任務からの帰投中、予想外の深海棲
艦部隊との遭遇戦に突入した
何処かに残っていたのか?それとも誰かが故意に
散布したのか?ミノフスキー粒子の影響により
レーダーの探知能力が大幅に低下していた
そんな中での突然の夜戦である
照明弾を打ち上げて有視界戦闘に切り替えようと
する阿武隈、敵が故意に散布したミノフスキー粒
子ならば、敵は何か別の方法でこちらを探知する
装備を持っているかもしれない、一方的に不利な
状態を避ける為に阿武隈は照明弾を打ち上げた
のである
この『阿武隈』、銚子沖で『清霜』に救われた
あの『阿武隈』本人である
『鷹尾 和則』の乗艦した『Z-1028』を護衛した
あの『阿武隈』本人である
ただし、彼女の率いる戦隊はあの時のメンバーと
は入れ替わっていた
『風雲』『望月』そして『浜波』、他のメンバー
も全員入れ替わり組である
因みに『望月』は、徳川元帥の『アンドロメダ建
造チャレンジ(二回目)』で建造された、あの
『望月』である、世の中何処で繋がっているのか
分からない‥‥‥
(第19話『元帥!!怒りの建造!?』参照)
照明弾の明かりの中に、敵の姿が浮かび上がる
それと同時に、阿武隈達の手前に着弾の水柱が
連続して発生した、いずれも近弾だ
【阿武隈】
「くっ!‥‥あの姿、この水柱の大きさ‥‥あれ
巡洋艦戦隊だわ!!それも複数!!」
敵はリ級、ネ級、ツ級を中心とした巡洋艦戦隊
が二つ確認できる
こちらは水雷戦隊が一つ、しかも任務から帰投中
‥‥‥‥
こちらが不利なのは明らかである、照明弾を打ち
上げたのは悪手だったかもしれないが、レーダー
が効かず、敵の戦力が分からなければ不利なのは
どの道同じ事だ
阿武隈は戦闘を避け、離脱を決意する
【阿武隈】
「適時反撃しながら撤退します!みんな!私に
付いて来て!!」
【望月】
「りょーかい!あ~あ、もうお帰りって時なのに
~~!空気読んでよねー!」
【風雲】
「浜波!遅れないでね!」
【浜波】
「‥‥‥あっ‥ああ‥‥‥」
(仲間が危ない‥‥‥何とかしなくちゃ‥‥)
『夕雲型』駆逐艦娘『浜波』‥‥‥
彼女は心の中で呟いた‥‥‥‥
【浜波】
(怖い‥‥正直‥逃げたい‥‥でも逃げたら‥‥
駄目‥‥浜波には‥‥逃げる資格なんかない‥‥
‥‥浜波には‥‥‥生きる資格なんか!‥‥)
【浜波】
「攻撃!‥‥用意‥‥ようい!」
(ザザザーーー!!)
浜波は進路を変えると、深海の巡洋艦戦隊に
突っ込んでいく‥‥‥
【風雲】
「!?ちょっと!!浜波!!何処にいくの!?」
【浜波】
「かーちゃん‥‥ごめんなさい‥‥浜波は‥‥‥
皆を守らないと!‥‥‥そうでないと‥‥‥‥
生きて帰っては‥‥‥駄目!」
【風雲】
「浜波ぃ!!一人でなんて無茶よ!!」
【望月】
「あいつ!また無茶して!!」
【阿武隈】
「浜波さん!!戻ってーー!!」
今の浜波には、阿武隈達の叫び声は聴こえない
彼女は自分の心の中で呟き続ける‥‥‥
【浜波】
「‥‥ごめんなさい‥‥ごめんなさいごめんなさ
いごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめ
んなさいごめんなさいごめんなさい‥‥‥」
(ブツブツ‥‥‥)
【浜波】
「‥‥『足柄』さん‥‥あんなに守ってくれた
のに‥‥‥浜波は‥‥ただ黙っていただけで‥
‥‥何も出来なくて‥‥本当にごめんなさい‥」
【浜波】
「‥‥『潮』ちゃん‥‥あんなに優しくしてくれ
たのに‥‥‥潮ちゃんが酷い目にあっていた時
‥‥‥浜波は怖くて‥‥‥何もしてあげられな
くて‥‥‥本当に‥‥ごめんなさい!‥‥」
(ボロボロボロボロ‥‥‥(涙))
【浜波】
「‥‥だから!‥‥‥浜波は‥‥‥もう逃げちゃ
いけない‥‥‥生きていたら‥‥いけない!!」
【浜波】
「‥‥てっ!‥‥てぇーーー!!」
ズドォーーン!!
浜波は何かにとり憑かれたかの様に突撃し
砲撃した、それは余りにも無謀な突撃だった
‥‥‥‥
ーーーーーーーーーーーーーーーー
【鶴 温】
「‥‥そんなの、寂しすぎるだろ?」
(チャカチャッ‥‥‥ギラリ!)
誰かの心の叫び声が聴こえた様な気がした
助けを求める様な悲痛な叫び声が‥‥‥
男は『真柄太刀』を鞘から引き抜くとボートの
向きを変えた!
ーーーーーーーーーーーーーーーー
【浜波】
「‥‥‥ううっ‥‥‥」(ハアッ‥‥ハアッ‥)
【ネ級】
「味方ヲ逃ス為ニ囮ニナッタカ?イイ度胸ダ!
最モ、ソノ努力モ無駄骨ダッタガナ!」
(ジャキッ!)
『浜波』は戦闘の末、大破し、座礁していた
言い方を変えれば、ボロボロになり海岸の岩場
にへたり込んでいた
周りを深海棲艦(人型)に取り囲まれながら‥
‥‥‥
【ネ級】
「オ前ノ仲間ハ、別ノ戦隊ガ追跡シテイル
奴ラニ逃ゲ道ハナイ!
オマエハソノ健闘ヲ称エテ、我々自ラノ手テ
始末シテクレヨウ!」
(ジャキッ!)(ジャキッ!)(ジャキッ!)
相手は『人型』の12体、岩場まで上がってきて
浜波を追跡してきたのだ
それに対してこちらは大破した駆逐艦娘一人‥
‥‥‥
【浜波】
「‥‥‥ああ‥‥‥もうだめ‥‥‥」
【浜波】
(‥‥きっと‥‥罰が当たったんだ‥‥‥
かーちゃん(風雲)の言う事を‥‥聴かなかっ
たから‥‥‥勝手な行動をしたから‥‥‥‥
足柄さんを‥‥潮ちゃんを‥‥見捨てたから)
自分の危機的状況の中でも、自責の念に駆られ
続ける浜波‥‥‥
【浜波】
(足柄さん‥‥‥潮ちゃん‥‥‥せめて‥‥‥
会って謝りたかった‥‥‥でも‥‥浜波には‥
‥‥そんな資格も‥‥せめて‥‥浜波自身を‥
‥終わりにするから‥‥これで許して‥‥)
【?】
『そんなの嘘よ!』
【浜波】
(!?‥‥‥誰!?)
内向的な浜波の心の中‥‥‥‥
浜波の前に、もう一人の浜波が現れた‥‥‥
仮にこれを『裏浜波』と呼称する
【浜波】
「‥‥あなたは‥‥誰!?‥‥」
【裏浜波】
『私は貴女、自身の心の中に住まう、もう一人
の『浜波』、生きたい!このままでは終れない
!そう願う貴女の本当の姿!‥‥‥』
【浜波】
「‥‥もっ‥‥もう一人の‥‥私!?‥‥‥
浜波の‥‥本当の姿!?‥‥そ‥そんな‥‥」
【裏浜波】
『本当は自分でも分かってる筈よ!こんなの
嫌だって、ならどうして生きる事を否定する
の?貴女は謝る代わりに命を絶とうとしてい
るんじゃない!ただ自分の殻に閉じこもろう
としているだけ!本当はあの二人に会うのが
怖いだけなんでしょ?』
【浜波】
「‥‥そんな!‥‥違う‥‥ちがう!!」
【裏浜波】
『違わない!私は貴女だもの、私の様な存在が
現れて貴女とこうして話をしているのが何より
の証拠!私は殻に閉じこもろうとしている貴女
自身の葛藤が生み出した存在なのだから‥‥』
【浜波】
「浜波は!‥‥本当に二人に謝りたいって!‥‥‥」
【裏浜波】
『だったら証明して見せなさいよ!誰でもない
自分自身に!』
【浜波】
「‥‥浜波自身に?‥‥ど‥‥どうやって?‥‥」
【裏浜波】
『もっと自分に正直になれば良い、自分だけで
は無理なら、時々私が背中を押してあげる‥』
【浜波】
「どうして?‥‥どうして浜波の為にそこまで?」
【裏浜波】
『言ったでしょ?私はもう一人の貴女、幸せに
成りたいと願う、貴女自身の本当の姿、貴女の
幸せは私の幸せでもあるの‥‥‥』
【浜波】
「でも‥‥‥この状況でどうやって?‥‥」
【裏浜波】
『大丈夫、『彼は』来る‥‥』
【浜波】
「‥‥‥彼!?‥‥」
【ネ級】
「何ヲサッキカラ、ゴチャゴチャ言ッテイル!」
【リ級】
「恐怖デ気ガフレタカ?ナラバ楽ニシテヤロウ♪」
(ジャキッ!)(ジャキッ!)(ジャキッ!)
【浜波】
「‥‥あっ‥‥‥あああ‥‥‥」
『自分に正直になりなさい!』
【浜波】
「‥‥誰か‥‥助けて!」
ズドン!!ズドン!!ズドン!!
連続する発砲音、浜波は思わず目を閉じる‥‥
【浜波】
(‥‥‥ああ‥‥やっぱり駄目‥‥‥)
ブシャアアァッ!!
【浜波】
「‥‥うっ!?‥‥」
浜波の顔面に、生暖かい液体が降りかかる感触
が伝わった‥‥そして浜波は次の瞬間‥‥‥
自分がまだ生きている事に気付いた
【浜波】
「‥‥いっ‥‥生きてる‥‥どうして?‥‥」
ZUBASHUuuu!!!
【ネ級・リ級】
「ギャアアアアアーーー!!!」
【浜波】
「ふえええ!!?」(ビクッ!)
深海棲艦のあげた悲鳴に思わずビビる浜波
見ると、先程まで自分に砲口を向けていた
『リ級』と『ネ級』が胴体を真一文字に
真っ二つにされて崩れ落ちていた
他の深海棲艦は何が起きたのか分からず
茫然自失している‥‥‥
一体何が!?‥‥‥へっ?‥‥何?‥‥
(キラッ✨‥‥‥)
【浜波】
「浜波の顔が‥‥‥鏡に映って‥‥‥へっ?」
それは鏡では無かった、刀身175.5cmの長大
過ぎる刀剣『真柄太刀』そのもので
あった、その刀身に浜波の顔が映ったのである
リ級、ネ級を胴体破壊したのはこの真柄太刀で
あった、そしてそれを振り貫いたのは‥‥‥
【鶴 温】
「大丈夫かい?よく頑張ったなお嬢ちゃん」
巨大な刀剣を握る、知らない男‥‥‥
【浜波】
「えっ!?‥‥あっ‥‥あっ‥あなた‥だれ?」
【鶴 温】
「名乗る程の者ではござらぬよ♪なんつってね♪
それよりお嬢ちゃん」
【浜波】
「‥‥あっ‥‥はっ‥‥はい!‥」
【鶴 温】
「命はもっと‥‥大切にするもんだ、お嬢ちゃん
が居なくなったら悲しむ人がきっと居る筈だよ、
そんな人達の為に、君自身の為に、君は生きな
くちゃ」
【浜波】
「‥‥えっ!?‥‥ありがとう‥‥でも‥‥」
【鶴 温】
「何があったか知らないけど、君は生きていい
んだよ♪だから生きなさい、おじさんも君が
笑ってくれた方が嬉しいからね♪」
【浜波】
「///ふえええ~~!!///」
【鶴 温】
「‥‥‥何これ?自分でやってて何だけどこれ
『ナンパ』みたいになってるじゃんよ!」
【浜波】
「///ナッ!?‥ナナナナ~~///」
この瞬間、浜波は初めて異性を意識した
後の彼女の変貌ぶりを考えると、その種は
この時にまかれたのかもしれない‥‥‥
この男、目の前に敵が居るのに緊張感が全く
無い、凄い強者なのか?ただのアホなのか?
当然‥‥‥
【別のリ級】
「貴様!!我々ヲオチョクッテルノカ!!」
【鶴 温】
「あ~済まん済まん、忘れてた、この娘を助け
る事に夢中であんた達の仲間を斬ってしまった
けど、先に発砲したのはそっちだ、これ以上
お互い被害を大きくしない為にも、ここは引い
てくれないか?」
【別のリ級】
「フザケルナァ!!!」
【他のネ級】
「相手ハ1人増エタダケダ!ヤッテシマエ!!」
【鶴 温】
「そうか‥‥‥仕方ないな‥‥」(ズチャッ!)
交渉決裂!深海棲艦は艤装を構え、男は
真柄太刀を構え直す!
【別のリ級】
「死ネェ!!」(ズドン!!)
(チュイン‥‥←紙一重でかわす)
【鶴 温】
「断る!!」
ZUBASHUuuu!!!
【別のリ級】
「グギャアアア!!!」
【浜波】
「‥‥あの人は‥‥一体‥‥誰?‥‥どうして
‥‥‥浜波を助けて‥‥‥」
突然現れた謎の男、浜波を助ける為に孤軍奮闘
する男、その戦闘能力は圧倒的であった
飛び道具を持たず、真柄太刀、一本で深海棲艦
を次々と撃破していく
【裏浜波】
『だから言ったでしょ、『彼』が来るって』
【浜波】
「あの人‥‥‥知ってるの?」
【裏浜波】
『しーらない♪』
【浜波】
「そんな!‥‥‥いい加減な‥‥」
【裏浜波】
『それ程大切なこと?そんな事が?それより
貴女の顔に付いてるそれ‥‥‥』
【浜波】
「‥‥‥えっ?‥‥」
浜波は、先程自分の顔に飛び散った液体を手で
拭き取ってみる、それは‥‥‥
【浜波】
「‥‥‥えっ!?‥‥ち‥‥‥血!?‥‥」
それが浜波のものでは無いのは明らかだ、見ると
男の服装はボロボロだった、全身傷だらけで
火傷を負っているヶ所もある
それでも男は真柄太刀を振り回すのを止めない
浜波にも何が起こったのか理解出来た
深海棲艦が撃ち出した砲弾から、男が浜波を
庇ったのだ、血液は男の飛び血であった
【浜波】
「あの人の‥‥血!?‥‥浜波を‥守ろうと
して‥‥‥」
こんな自分を命懸けで守ろうとしてくれた人が
この世界にいた‥‥‥
それは浜波にとっては嬉しくもあり、一方で‥
‥‥‥
【浜波】
「‥‥あっ‥‥ああ‥‥浜波の‥‥せい‥‥‥
浜波が無茶したせいで‥‥‥あの人は傷付いて
‥‥‥浜波は‥‥‥なんて事を‥‥‥ううっ」
(ボロボロボロボロ‥‥(涙))
男への感謝の気持ちと共に、自分を責める気持ち
からくる涙が溢れ出てくる‥‥‥
【浜波】
「‥‥あうう‥‥生きても‥沈んでも‥‥浜波は
‥‥‥助けて貰うばかりで‥‥人に迷惑を‥‥
かけるだけ‥‥浜波は‥‥‥一体どうしたら‥」
【裏浜波】
『それってただの逃げ口上でしょう?』
【浜波】
「勝手なこと言わないで!!‥‥」
【裏浜波】
『なんだ、大声出るじゃない♪』
【浜波】
「浜波は‥‥どうしたらいいの‥‥教えて‥‥」
【裏浜波】
『私は貴女、私が言わなくても、もう答は
自分で分かってる筈よ!』
【浜波】
「‥‥‥えっ!?‥‥」
『裏浜波』、悪戯っぽい顔つきが初めて真面目な
顔になった、それは浜波そのものの顔‥‥‥
【裏浜波】
『今度は貴女が、あの人を助けて
あげる番よ!』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
[名称説明]
①:鶴 温(つる あつし)
元擲弾兵(献体ナンバー:ZNBー0018631ーC)
へたれ提督(献体ナンバー:ZNBー0018686ーC)
こと『母里 正』(もり まさ)とはほぼ同時期
に擲弾兵にされた、へたれ提督とは違って改造
前の記憶がある程度残っている
戦場で友軍に見捨てられ、損失扱いにされたが
自力で帰還、それが命令違反とみなされ処理機
送りにされそうになるが反抗して脱走、結果
『野良擲弾兵』となる
目立たない様にただひたすら逃げ回る放浪生活
を送っていたが、ある夜に偶然『浜波』と出会っ
た事で彼の運命が大きく動き出す事になる
後に性癖がぶっ飛んだ浜波に翻弄され続ける事に
なろうとはこの時の鶴公には予想も出来ないだ
ろう‥‥‥‥
体術と腕力に優れていて、自分の身長よりも長大
な『真柄太刀』を振って戦う剣豪スタイル
『母里 正』とは孤児院にいた時からの腐れ縁ら
しい、ギターと音楽が好きで擲弾兵になる前は
短期間ながらバンドを組んでいた時期もあった
②:浜波
『夕雲型13番』駆逐艦娘
現時点では松島鎮守府所属
気弱で内向的な性格、その性格が影響してか
心の中にもう一人の自分『裏浜波』が存在する
『足柄』と『潮』が以前所属していた鎮守府に
同時期に配属されていた経験があり、二人とは
面識がある
この『ブラック鎮守府』時代に『足柄』に助けら
れ、『潮』が鎮守府の不正を告発したのに自分は
何も出来なかった‥‥‥という負い目を自身に
刻み込んでいる
二人に会って謝りたいと思う反面、顔を会わせる
のが恐いという気持ちの葛藤があり、そのため
自分を責め続けた事で自暴自棄になり、出撃の度
に無茶な行動を繰り返すようになった
ある夜、無茶な行動が災いして窮地に陥るも、偶
然出会った『鶴 温』に救われる、この出会いが
彼女の運命を大きく変える事になる
実は『異性』に対する興味が隠れ旺盛で、謎鎮の
『秋雲出版』から頒布されたある同人誌を読んで
性癖が豹変する事になるのだが、それは後の講釈
で‥‥‥‥
【鶴 温】
「チミィ!?一体!何を読んだのよ!?」
【浜波】
「✨///エヘヘェ~~♪❤///✨」
(パンずら夫婦の夜戦ックスアルティメット!)
【鶴 温】
「お前のせいかぁ!!マサ公ー!!」(ガシッ!)
【へたれ提督】
「俺が知るか!!鶴公ーー!!」(ガシッ!)
【川内】
「ちょっと!!何これ!?(内容見て)ここまで
来たら完全な変態じゃない!?」
【秋雲】
「いや~~‥‥‥」
③:真柄太刀(まがらたち)
戦国大名、朝倉家の猛将『真柄 直隆』(まがら
なおたか)が愛用したと言われる刀剣
別名『太郎太刀』
全長221.5cm、刀身(刃の部分とする)だけで
175.5cmという怪物のような刀
本物は『熱田神宮』に奉納されている為本刀は
レプリカだが、素材不明な刀身の破壊力は抜群
『鶴 温』はこの『真柄太刀』を駆って、戦場
で深海棲艦やザンスカール帝国と戦った
『鶴 温』が脱走した時唯一持ち出した戦場の
相棒
④:松島鎮守府
東北の太平洋岸に位置する『松島鎮守府帯』
横須賀や呉、佐世保とは規模は比べるべくも無い
こじんまりした鎮守府帯である
『松島鎮守府』はその中心的な立場の鎮守府
別艦隊の護衛や部隊編成に組み込まれたり
沿岸部の防衛などが主な任務、海外から来訪した
艦隊のエスコートも行う
例の『阿武隈』戦隊はこの鎮守府の所属
『浜波』も現時点では所属している
ここの『提督』は艦娘擁護派で艦娘という存在に
理解がある人格者、それだけに返って『浜波』の
無茶な行動に悩んでいる
⑤:深海提督
『深海棲艦・強硬派』を率いる司令官、性別は
男性と思われる
元々は『人間』の『提督』でかなり優秀な人材だ
ったらしい、その行動から『人類』と『艦娘』と
いう存在に対して静かな憎悪を抱いている様だ
(深海棲艦勢力は同じ『強硬派』でも複数が存在
する、この『強硬派』はその一つに過ぎない)
査察局の『花田少将』がその存在と正体を追って
いる対象でもある
(プロローグ4『大船団、ドバイへの道』参照)
何故深海に堕ちたのか?『人類』に敵対する以外
の目的は何なのか?今のところ不明である
⑥:空母棲姫改
『深海提督』の『筆頭秘書艦』を務める、強硬派
戦力の主力で実働部隊の中心的存在
『深海提督』がまだ『人間』の『提督』だった頃
から付き添っていた元『空母艦娘』である
『人間』と『海軍』を憎んでいる、その行動原理
は常に『深海提督』の為に役立つこと
『三木之 ジャギ』や『ジュラル』等の勢力を
胡散臭い連中と見て信用していない
⑦:潮
『吹雪型20番』駆逐艦娘
帝国海軍が管轄する、艦娘専用療養鎮守府に所属
する、傷付いた艦娘達の療養・ケアを任務とする
謎鎮の『足柄』、本編の『浜波』とは以前同じ
『ブラック鎮守府』に所属していた
その経験から、この任務に使命感を持って志願、
現在に至っている
足柄の存在は、潮の中では感謝の対象から憧れの
対象にかわっている
『足柄』と再開し礼を言う事が出来た一方で、
『浜波』の現状を気にかけている
【潮】
「✨足柄さ~~ん♪✨」
【足柄】
「‥‥何でそんなに嬉しそうなの?」
【天龍児童園の子供達】
「「「✨狼ちゃ~~ん✨」」」
【足柄】
「あんた達!どうしちゃったの!?」
【潮】
「✨足柄さんはモテモテですね♪✨」
【足柄】
「いやいや!何かおかしいって!これ!!」
【川内】
「✨足柄お姉ちゃ~ん♪✨」
【足柄】
「はあっ!!?あんた!何言ってるの!?」
【羽黒】
「✨良かったですね♪お姉ちゃん♪✨」
【足柄】
「羽黒も悪乗りしないで!!提督~!何とか
してよ~!」
【ヒィッツ提督】
「それがお前や、足柄!」
【足柄】
「ちょっと何言ってるのか分からない!!」
⑧:ドルヴェンシュタイン公国
かつて欧州に存在した旧独立国家の名称
(詳細は本文を参照ください)
近年、独立派の動きが活発になって来ているが
この『独立派』も一枚岩ではなく、新たな
ブロック自治政府として独立するか、完全な
独立国家として再生するかの意見の違いがある
『三木之 ジャギ』と『ハイザKI-X06号』が
設立させた『サイドリッツ部隊』の根拠地と
して、山岳地帯の要塞跡地を利用する計画が
あるらしい‥‥‥
⑨:サイドリッツ部隊
地球連邦政府の直属、という立場の新設された
外部独立部隊の名称、ただし現時点では固有の
戦力は揃っていない、現在は『部隊』という
『入れ物』だけが存在する名前だけの部隊
『三木之 ジャギ』が連邦の高官である父親を
脅してわずか48時間で創設させた為に、何処の
情報機関も察知出来なかった
旧ドルヴェンシュタイン領内に部隊の根拠地を
設置して戦力を整えようと画策、その時間稼ぎ
の為に新たな作戦行動を特高警察と第三者に
実行させようとしている
因みに三木之は、部隊司令官に就任するに当た
って父親に『大佐』の階級を用意させた
⑩:お泊りパジャマパーティー
六本脚鎮守府の『清霜』が乗りで企画した
六本脚鎮守府の艦娘と、謎の鎮守府、リンガ鎮守
府の本土滞在組に招待状を送ったところ
『ガルマンガールズ』と本土に来ていた『黒潮』
が参加する事に、『デウスーラ』は特にウキウキ
であった
因みに『ガトランティス』は疲れて寝ていたので
参加出来ず‥‥‥後日、案の定悔しがったとか
【デウスーラ】
「✨わーい♪パジャマパーティーなのだー♪✨」
【江風】
「あの人本当に『座乗艦』なのか?」
【清霜】
「うん、でもデウスーラさん可愛いと思うよ?
可愛い戦艦がいても良いんじゃない♪」
【アンドロメダ】
「まあ、すうらさんはあれで良いと思うよ」
【デスラー艦】
「安定の納得ですわねー」
(後日)
【ガトランティス】
「ぐわあーー!!!何故だぁーー!!!何故余は
寝てしまったのだーー!!!」
【デストロイヤー】
「ちんどんやも程々にね」
⑪:大淀
『大淀型1番』軽巡洋艦娘
連邦統合海軍省人事局所属で『土方 龍』元帥の
秘書艦
へたれ提督に出会う前の、横須賀時代の『川内』
を国際医療科学研究所に送ったのは彼女である
(第6話『ファーストキスは鰯団子の味』参照)
⑫:裏浜波
『浜波』の心の中に存在するもう一人の『浜波』
自分を表現できず内向的な浜波の葛藤が生み出し
た存在、浜波本人とは似ても似つかない、言いた
いことをズケズケ言う性格
浜波の本心を当人に変わって代弁する
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《エピローグ》
ヒィッツと多聞の情報交換‥‥‥
【ヒィッツ提督】
「『サイドリッツ部隊』とは、全く面白い真似を
してくれるねぇ!あの鉄仮面クソチン野郎は!」
【多聞 風都】
「奴の我が儘を押し通す自意識には呆れるばかり
だが、奴の我が儘をそのまま叶えてしまう父親
の馬鹿さ加減にも呆れてしまう」
【ヒィッツ提督】
「まあ相手がデカければそれだけ潰しがいが
あるってもんよ、それにしても連邦政府直属と
は‥‥‥連邦政府の脳みそ腐ってんのか?」
【多聞 風都】
「奴の親父は厄介払いしたかったのさ、だから
名目上の部隊指揮官にして大佐にまでした
今のところ奴に直接何か出来る戦力はない」
【ヒィッツ提督】
「流石に奴に拠出する兵力は存在しないか
奴はどうやってその戦力を手に入れるつもり
かな?浪人の兵隊を雇うにしても訓練に時間
がかかるだろう、武器も必要だからな
用意出来たのは今のところ根拠地と看板だけ
や‥‥‥それはそうとお前もやり難くなった
なあ、名目上だけとは言え、奴は連邦軍とは
独立した存在になった訳だからな」
【多聞 風都】
「なぁに、俺達のやる事は変わらん、奴の!
三木之の両腕にワッパをかける!そして奴に
法の裁きを受けさせてやる!その為なら俺の
立場なんぞどうなっても構わん!
ただ、予定より遠回りすることにはなりそう
だがな‥‥‥それより喫緊の話がある」
【ヒィッツ提督】
「喫緊の話とな?」
【多聞 風都】
「特高警察が反乱分子や犯罪組織から押収した
武器類で、この24時間以内に行方が分からな
くなった物か複数ある、数にして50人近くの
人間を武装させられる量の武器だ」
【ヒィッツ提督】
「何だと?また反乱軍ごっこか?」
【多聞 風都】
「いや、それにはこの武器の量では貧弱過ぎる
それと連中(特高警察主力)の通信を傍受し
ているとこの数時間で『吉原への配送』という
隠語の使用量が増えている、『吉原』というの
は『謎の鎮守府』の特高警察での隠語だ」
【ヒィッツ提督】
「『吉原』だぁ!?このヒィッツ様への皮肉か
当てつけにしか思えんなぁ!
反乱軍ごっこで無いとするなら、奴のお得意
の『捨て駒による特攻』で時間稼ぎかな?」
【多聞 風都】
「その可能性は高いだろう、そんな連中に攻撃
されたところでお前達はビクともしないのは
よく分かってるが、正確な攻撃目標が不明で
もあるし、用心はしてくれよ!」
【ヒィッツ提督】
「分かった、うち等は襲撃には慣れとるが
御忠告はありがたく受けさせて頂くよ」
この動きは、ここ24時間以内におこった事で
ある、動きが急な上に情報が不足している段階
では一層用心が必要だろう
ヒィッツ提督は襲撃に身構える
しかし、皮肉にも三木之の泥縄戦法が
こちらを撹乱させる結果となった
襲撃は別のところからやってきた
のである!‥‥‥‥
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[出 演]
へたれ提督(六本脚鎮守府)
川内(六本脚鎮守府)
謎の提督ヒィッツカラルド(謎の鎮守府)
足柄(謎の鎮守府)
花田 刀治郎(連邦統合海軍省査察局)
飛龍(連邦統合海軍省査察局)
蒼龍(連邦統合海軍省査察局)
鶴 温
浜波(松島鎮守府)
清霜(六本脚鎮守府)
アンドロメダ(六本脚鎮守府)
江風(連邦統合海軍省査察局)
藤波(六本脚鎮守府)
妙高(謎の鎮守府)
秋雲(謎の鎮守府)
デスウーラ(謎の鎮守府)
デスラー艦(謎の鎮守府)
デストロイヤー(謎の鎮守府)
ランベア(謎の鎮守府)
阿武隈(松島鎮守府)
風雲(松島鎮守府)
望月(松島鎮守府)
潮(帝国海軍艦娘専用療養鎮守府)
磯波(帝国海軍艦娘専用療養鎮守府)
三木之 ジャギ(サイドリッツ部隊)
ハイザKI-X06号(ジュラル特選隊)
多聞 風都(特別高等警察)
深海提督(深海棲艦強硬派)
空母棲姫改(深海棲艦強硬派)
裏浜波
土方 龍(連邦統合海軍省人事局)
大淀(連邦統合海軍省人事局)
あきつ丸(六本脚鎮守府)
ガトランティス(謎の鎮守府)
天龍児童園の子供達
コマンダン・テスト(帝国海軍本部)
デストリア(謎の鎮守府)
羽黒(謎の鎮守府)
【浜波】
「あっ‥‥あの‥‥また『浜波』‥です‥ふう‥
‥こっ‥‥この作品は‥‥フィクションだから‥
‥‥あの‥‥あの‥‥中の設定‥‥‥全部架空‥
‥‥だから‥‥そのっ‥‥本気にしては‥だめ‥
‥えっ?長い?‥あああ~ごめんなさいごめんな
さいごめんなさい‥‥」
【藤波】
「‥‥ねえ?浜波のこれ、シリーズ化するの?」