へたれ提督と生きる為の鎮守府ー抜錨!チャージマン研外伝 作:六本脚のジャイアンS
皆さん、お疲れ様でした
皆さんのイベントは有意義でしたでしょうか
イベントも終わりましたので、執筆活動の方も
本格的に再稼働していこうと思います
よろしくお願いします
今回の作品、一話で書き切ろうと思いましたが
思いの他文字数が増加したので前半後半に
別けようと思います、後半も直ぐに投稿しよう
と思っています
『名称説明』や『出演』については後半でまと
めて書かせて頂きます
それでは、ゆっくりしていってね
陸軍高機動憲兵隊、立川本部‥‥‥
近年復活した『大本営』その『陸軍本部』から
将校達が乗り込んで来たという話を聞いて
ボスは対処すべく速歩きで目的の部屋に向かう
【高機動憲兵隊員】
「軍の上層部、特に擲弾兵部隊司令部から矢のよ
うな催促ですよ、早く脱走兵を引き渡せと‥‥」
【松平 アンデルセン】
「『引っ込んでろ!』とでも言ってやれ!
野良擲弾兵なんて存在が生れちまったのも、元は
と言えば奴等上層部の無能と怠慢が原因なんじゃ
ねーか!
それをミンチにするって分かっててポンと渡せ
るかい!!」
【高機動憲兵隊員】
「ですがボス!野良擲弾兵という事は脱走兵と
言う事でしょ!?引き渡すのを拒む理由は‥‥」
【松平 アンデルセン】
「こっちの取り調べが済んでねぇ!!野良擲弾兵
が必ずしも脱走兵とは限らねえだろうが!!
戦場に置き去りにされた奴も居るかもしれねぇ!
取り調べの結果、奴が野良擲弾兵で無いという事
になれば奴らにしょっ引かれるいわれもねぇ!」
【高機動憲兵隊員】
「そんな無茶な!!」
【松平 アンデルセン】
「俺の辞書に『無茶』なんて言葉は載ってねぇ!
そんな事よりだ!!人の庭に勝手に押し入って
勝手な理屈ほざきやがってぇ!!朴念仁のボン
クラ将校共が!!憲兵様の恐ろしさを思い知らせ
てやろ~~じゃね~か!!」
【高機動憲兵隊員】
「『大本営』に喧嘩を売る気ですか!?」
【松平 アンデルセン】
「売られた喧嘩は買うまでよ!」
目的の部屋に着くと、そこでは押しかけて来た
将校と別の憲兵隊員が押し問答していた
一人の傷だらけの男を挟んで‥‥‥
【鶴 温】
「‥‥‥‥‥‥‥‥」
【陸軍将校】
「何をしてる!さっさとそいつを引き渡せ!!」
【高機動憲兵隊員B】
「まだこちらの取り調べが済んでいません!」
【陸軍将校】
「そいつは軍から逃げた脱走兵だぞ!それだけで
充分ではないか!!」
【鶴 温】
「‥‥‥‥‥‥‥‥」
【松平 アンデルセン】
「人の家に上がり込んできて喚いてんじゃねーよ
、ザコ共が~」
【陸軍将校】
「何だと!!貴様ぁ!!」
【松平 アンデルセン】
「あれぇ~?階級はおじさんの方が上なんだけど
な~、最近の糞ガキ共は口のきき方も分からな
くなっちゃったのかな~?」
【陸軍将校】
「我々は大本営の人間だぞ!!憲兵付贅(ふぜい)
がデカい顔をするな!!」
【松平 アンデルセン】
「ここはその憲兵隊本部だ、おめえの言う憲兵隊
付贅(ふぜい)がお前らの生殺与奪権を持ってる
事を忘れるなよ」
【陸軍将校】
「何いぃぃぃ!!!」(激怒)
松平司令官、将校の怒気をガン無視して問題の
擲弾兵『鶴 温』に声をかける
【松平 アンデルセン】
「よう擲弾兵、おめぇに1つだけ質問するから
簡潔に一言で答えろ!
おめぇは何故あの艦娘を助けた?
何故、救助がくるまであの艦娘の側にいた?
逃亡中のおめぇがあんな事をすれば、こうして
逮捕される事は分かってた筈だ
捕まってミンチにされるリスクは分かってた筈だ
なのにそこまでしてあの娘を助けた理由は何だ?」
【鶴 温】
「‥‥信じて貰えんかもしれんが‥‥」
【松平 アンデルセン】
「そいつはこっちで判断する!質問に答えろ!」
【鶴 温】
「理由は分からない‥‥ただ‥‥助けを求める
あの娘の声が聴こえてきて‥‥聴こえたような
気がして‥‥‥」
【松平 アンデルセン】
「それで?」
【鶴 温】
「とても尊いものだと思えたんだ‥‥そして
あの娘を見たとき、例え俺の命と引き換えに
しても守らなければって思えた‥‥‥」
【松平 アンデルセン】
「そんな長ったらしい説明はいらねえ!
一言で答えろ!何故てめえの命を抵当に
入れてまであの娘を守ろうとした!?
そんなボロボロの身体になっても何故
あの娘の盾になって戦った!?
てめえの本音を吐け!!」(ジャキッ!)
【高機動憲兵隊員】
「ちょっ!?ボス!!銃なんか向けて!!‥‥」
【鶴 温】
「‥‥‥‥‥‥‥‥」
松平司令官は、愛銃『ハードボーラー』を擲弾兵
に向けた、レーザーポインタが額を照らす‥‥
【松平 アンデルセン】
「言って見ろ!今のおめぇなら言える筈だ!」
松平司令官はこの擲弾兵から何かの言葉を引き出
そうとしていた、そしてその言葉を擲弾兵は
発した、最後ぐらい素直になろう‥‥‥と
【鶴 温】
「‥‥惚れた‥‥」
【高機動憲兵隊員】
「‥‥‥はあっ!?」
【松平 アンデルセン】
「‥‥‥ニヤリッ♪」
してやったりの顔になった松平司令官‥‥‥
【陸軍将校】
「何だコイツ?何を言ってる!貴様は只の道具
『軍の装備品』だ!それが人間みたいな台詞を
語るなど!かたらはいた‥‥‥」
【松平 アンデルセン】
「はい、そこまで~」
陸軍将校の文句を松平司令官は遮った
【松平 アンデルセン】
「この男の処遇は今から俺達『高機動憲兵隊』
の管轄だ、『献体身元保証綱領』に従って適切
に処断する、おめーらに用はねえからさっさと
帰んな」(シッシッ)
【陸軍将校】
「何だと貴様!!我々大本営の統帥権に逆らう
気かーー!!」
【松平 アンデルセン】
「おじさん、そんなカビの生えた権利なんて
しーらなーい♪」
【高機動憲兵隊員】
「わーー!!ヤバいよヤバいよ!!」
【陸軍将校】
「擲弾兵は我々の装備品だ!!不具合を起こした
装備品は我々の手で廃棄処分する!!
貴様ら憲兵に勝手なマネなど‥‥‥」
(ジャキッ!)
【陸軍将校】
「ひいいいい~~~!!!」(腰を抜かす)
松平司令官は陸軍将校の額にハードボーラーの
レーザーポインタを当てた‥‥‥
【松平 アンデルセン】
「テメーは目障りの耳障りだ!、3秒以内に
俺の視界から消え失せろ!でねえとここで
ドタマぶち抜く~!」
【陸軍将校】
「なっ!?ななな!!」
【高機動憲兵隊員】
「ボスゥーー!!無茶苦茶だばぁーー!!」
【松平 アンデルセン】
「いーーちぃ!!」
!!(((BAGOM)))!!!
【陸軍将校】
「ギャーーー!!!」
ハードボーラーが火を噴いた!!
弾丸は陸軍将校の帽子を吹っ飛ばして
頭頂部にハゲを刻んだ!
【陸軍将校】
「ブクブクブク」(ジョボジョボジョボ‥‥)
陸軍将校は泡を吹いて失禁した
【高機動憲兵隊員】
「2と3はぁー!?、2と3は何処に
行ったのぉぉぉーーー!!?」
【松平 アンデルセン】
「知らねえなぁ~そんな数字は、男はな
『1』だけ覚えてりゃ生きていけるんだ
ぁ~よ!」
【高機動憲兵隊員】
「分かってたよ!!分かってたけど!メチヤ
メチャだばぁーー!!」
【鶴 温】
「‥‥何かスゲーオヤジ‥‥」
【松平 アンデルセン】
「擲弾兵!おめぇの命は俺が預かっておく!
分かったな?」
松平司令官は擲弾兵『鶴 温』にそう宣言すると
未だに泡を吹いて失禁している陸軍将校に向か
って‥‥‥
【松平 アンデルセン】
「さっさと立たねぇかー!きたねえ小便小僧!
3秒以内に立たねえと‥‥‥‥」(ジャキッ!)
【陸軍将校】
「ぎえええええーーー!!!」(ダァーッ!!)
陸軍将校は漏らしながら脱兎の如く逃げて行った
【松平 アンデルセン】
「おい、そいつの傷の手当てをしてやれ、俺は
出かけてくる」
【高機動憲兵隊員】
「はっ‥‥はあ、どちらへ?」
【松平 アンデルセン】
「ちょいと『良い女』に会いに行ってくる」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
《AS、放浪提督と気弱な秘書艦ー3》(R-18)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
松島鎮守府、執務室‥‥‥
『浜波』は無事救助されて松島鎮守府に戻って
来た、しかしながら、作戦(帰投)中に勝手な
突撃を強行して部隊の統率を乱し、救助活動を
発生させた事で味方を不用意に危険に晒したと
して『浜波』の行動は海軍から問題視された
これには例の擲弾兵の一件も絡んでいた
浜波や阿武隈達、そして例の擲弾兵が戦った
深海の巡洋艦戦隊は所謂『通商破壊部隊』で
あった
本土近海をゲリラ的に徘徊し、航行中の船舶を
奇襲攻撃、所謂ヒットエンドラン戦法を展開
していた深海棲艦の巡洋艦戦隊は海軍の頭痛の
種であった、そして海軍はそれを捕捉出来ずに
いた
本土近海でこの艦隊の存在を放置しているのは
帝国海軍にとってもブロック海軍にとっても
メンツにかかわる大問題であった
それをたった一人の野良擲弾兵が半数を撃破し
てしまったのである、残りの戦力も応援に来た
別働隊(紅輪鎮守府)によって撃退された
両海軍にとっては面目丸つぶれであった
深海棲艦の撃退を自分達の手で遂行出来なかっ
た両海軍にとっては、以前から被害が出ていた
事もあって自分達に責任追求が及ばない為にも
責任転嫁する相手が必要であった
両海軍はこの擲弾兵を英雄として恩赦を与える
のではなく、法を犯した脱走兵として陸軍に
処罰させるようにねじ込んだ
(連邦)陸軍と擲弾兵部隊司令部としては野良
擲弾兵の処遇は初めから『廃棄処理』と決まっ
ている、自分達のいう事を聞かない擲弾兵が
野に放たれるのは彼等にとっては放置出来る事
ではなかったので、この提案を即呑んだ
合わせて海軍では、海軍内で責任を押し付ける
為のスケープゴートが必要であると判断された
それが『浜波』という訳である
【松島提督】
「なんでこうなる?‥‥お偉方の勝手な都合を
『浜波』一人に押し付けようというのか!?
あんな小さな娘一人になんて事を!!
何が兵学校出のエリートだー!!」(ドンッ!)
松島鎮守府の提督は机を叩いて感情を露にした
仮に彼の名を『松島提督』と呼称する事にする
因みに彼は滅多に感情を爆発させるような人間
ではない
【阿武隈】
「提督‥‥‥」
そして松島提督に寄り添う、彼の第一秘書艦
『阿武隈』、彼女は『松島提督』の下で秘書艦
を勤めてきた、だから松島提督の性格も
彼の苦労もよく分かっていた
『大本営』と『海軍軍令部』からは『浜波』へ
の処断を促す通達が今朝から複数送られて来て
いた、浜波を守りたい松島提督としては大本営
との板挟み状態と言えた
彼は艦娘に理解のある提督で部下想いであった
彼の提督としての基本方針は『艦娘達の無事な
帰投を最優先』とする事である
そんな松島提督にとっては浜波への処罰など
そう易々と認められる筈がない
大本営が求めている『処断』とはつまり『厳罰』
を意味していた、最悪の場合『解体処分』である
松島提督は思う、そんな馬鹿な話があって
たまるか!!
無謀な行動は確かに問題かもしれないが、
浜波は逃げた訳ではない!勇敢に戦ったので
ある!
何らかの処分は必要だとしても『厳罰』の様な
事態は何としても避けたいところであった
だが、松島提督には他にも悩みがあった‥‥
今回は何とか事態を収められたとしても肝心の
『浜波』自身が自暴自棄なままでは同じ事の
繰り返しである
浜波が以前所属していた鎮守府は、問題だらけの
所謂『ブラック鎮守府』であった
そこでの何らかの記憶が浜波に一種のトラウマを
植え付けてしまったと考えられ、彼女はここに
配属された当時から自暴自棄な行動が目立った
浜波は当時の事をあまり話さなかった、だだ
「自分は生きてる資格がない」を繰り返すばかり
浜波の苦しみの原因は本人が話さない限り
分かっている情報から判断するしかなかった
艦娘想いの松島提督は何とか浜波を立ち直らせよ
うと、最悪沈めないようにしようと手を尽くして
いたがそれも限界に達しようとしていた‥‥‥
(因みに全く出撃させないという選択肢は無かっ
た、それは返って浜波にプレッシャーを与えて苦
しめることになると考えられたから)
【松島提督】
「済まない阿武隈‥‥こんな情けない姿を見せて
しまって、俺は無能な男だな」
【阿武隈】
「提督、阿武隈には本当の気持ちをおっしゃって
下さい!」
【松島提督】
「阿武隈……」
【阿武隈】
「阿武隈は分かっています!提督がこれまで私達
の為にどれだけ苦労されてきたか、浜波さんの
為にどれだけ悩んできたか…提督は無能なんか
じゃありません!」
【松島提督】
「……ありがとう、阿武隈……」
悩む松島提督に寄り添う阿武隈……
二人の薬指には指輪が光っている
カッコカリではなく、正真正銘の結婚指輪だ
松島提督は自分の前では本音をさらけ出して
くれる……阿武隈はそれが嬉しかった
【松島提督】
「浜波の事だが‥‥‥私の力ではもう限界だと
思う‥‥」
【阿武隈】
「‥‥はい‥‥」(松島提督の手を握る)
【松島提督】
「浜波は優しい良い娘だ、あの娘の悩みを何とか
してあげたかったが‥‥‥正直もう私の手には
負えない‥‥このままでは私はみすみすあの娘
を沈めてしまう‥‥私は一体どうしたら‥‥」
【阿武隈】
「提督‥‥‥」
松島提督は海軍士官としては優秀な人材である
事は間違いなかった、彼がここの司令官になっ
てから失われた艦娘は一人もいない事が何より
の証拠である
しかし‥‥と阿武隈は思う
この人は優しすぎる、そして決して器用に生き
られる方の人ではない、世間を上手く立ち回る
為の『良い意味でのズルさ』といった物をこの人
は持ち合わせていない
艦娘一人一人を気遣かってくれる優しさの持ち主
である松島提督を、阿武隈は心から信頼していた
その一方で、責任感の強さから艦娘一人一人に心
を砕きすぎて感情移入が強すぎる為に、自分一人
で抱え込み、思考の袋小路に陥ってしまう傾向が
あった、要は真面目過ぎたのである
【阿武隈】
「提督!外に助けをもとめましょう!」
【松島提督】
「外に助けを?」
【阿武隈】
「このままじゃ『提督』も『浜波』さんも両方と
も潰れてしまいます!
鎮守府の外に助けを請いましょう!浜波さんを
ここより適切な鎮守府に移籍させる方法もある
かもしれません」
【松島提督】
「待ってくれ!阿武隈!今の私では力不足なのは
認める!だからと言って浜波を他人に任せて
自分は知らん顔していても良いのか!?」
真面目の松島提督は、浜波の心を救うのに他者
の力を当てにするのは責任放棄ではないかと
一瞬考えたのである
【松島提督】
「‥‥‥いや、私のこんな考え方も所詮はただの
自己満足に過ぎないのは分かっているんだ‥‥
浜波が立ち直ってくれるなら私はいくらでも
泥をかぶるつもりだ!でも、大切な仲間である
浜波を私達が見捨てる形になれば浜波の心には
それこそ大きな傷が‥‥‥」
【阿武隈】
「そうじゃありません!浜波さんの為に出来る事
は何でもしてあげたいって思えば良いんです!
本気で浜波さんを救おうと思ったらどんな事で
もやってみるべきだと阿武隈は思います!」
【松島提督】
「‥‥そうか、そうだな、浜波を本気で助けたい
と思うのなら私のこだわりなんか‥‥‥」
【阿武隈】
「‥‥その結果で、もし提督が泥をかぶるのなら
‥‥その時は、阿武隈も一緒に泥をかぶります」
【松島提督】
「阿武隈‥‥君は‥‥」
【阿武隈】
「ですから提督‥‥独りで悩まないで、阿武隈に
‥‥もっと周りに頼ってください」
自分の弱さも含めてありのままを受け入れて
くれる阿武隈と正面から見つめ合う松島提督は
彼女と出会えて、彼女に受け入れられて本当に
幸せだと感じた
【松島提督】
「ありがとう、阿武隈、君が傍に居てくれて本当
に良かった‥‥‥」
【阿武隈】
「阿武隈も、提督にそう言って貰えて幸せです」
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
【松島提督】
「‥‥‥阿武隈‥‥‥」(ギュッ‥‥)
【阿武隈】
「‥‥‥提督❤‥‥‥」(ギュッ‥‥)
【松平 アンデルセン】
「胸焼けしそうなラブコメの最中に不粋で何だ
けんども~、ちょいとおじさんの話を聴いて貰え
るかな~君達~?」
【松平提督・阿武隈】
「「ぶふうぅぅぅぅぅーーー!!?」」
愛の夜戦に突入しそうな勢いの二人しか居ない筈
の執務室に突然!ガラの悪い大男が出現した!
【松島提督】
「あっ!?‥‥あんた誰だあ!?」(アセアセ)
【阿武隈】
「いつの間に入ってきたのー!?」(アセアセ)
【松平 アンデルセン】
「男と女が耙いを交わす時は、ドアの鍵をかけて
おかないと無用心ってもんだぜ~い♪」
(ピッキングツール)
【阿武隈】
「自分でドアをこじ開けて!勝手に入って来た
んじゃないの!!」
【松平 アンデルセン】
「罪の無い冗談だ、自己紹介が遅れたが俺は
こういう者だ」(名刺差し出し)
【阿武隈】
「‥‥『陸軍高機動憲兵隊』?‥‥」
【松島提督】
「それでは浜波を助けてくれたのは!?」
【松平 アンデルセン】
「俺達は仕事をしたまでよ、おたくのところの
艦娘達にも護衛して貰ったしな」
【松島提督】
「失礼しました!それで‥‥御用件は?」
【松平 アンデルセン】
「松島提督殿、お前さんの嫁は良い女だな~」
【阿武隈】
「///ひやあっ!?///」
【松島提督】
「まさか?それを言う為にわざわざ?」
【松平 アンデルセン】
「おじさんそこまで暇人じゃ無いの!俺は
もう一人の『良い女』に会いに来た!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【浜波】
「‥‥‥‥‥‥‥‥」
松平鎮守府に戻った浜波は、自室に篭って
考え込んでいた、というより頭の中で何とか
整理しようとしていた
何しろ色々な事が起こり過ぎた、それも昨夜の
事なのである
今回の自分の行動が上層部から問題視され
それについて松島提督が苦慮している事は
浜波も聞いていた
また司令に迷惑をかけてしまった、しかも今回は
どういう訳か大事になっている様だった
【浜波】
「‥‥司令‥‥ごめんなさい‥‥浜波はやっぱり
‥‥‥駄目な艦娘‥‥‥」
思考の堂々巡りの末、行き着く考えは自分を責め
ることばかり‥‥‥
松島提督や鎮守府の仲間に迷惑をかけてしまった
事も含めて、こんな考えに陥ってしまう自分の事
が更に嫌になってしまう浜波なのであった
こんな事しても何の解決にもならないのに‥‥
【浜波】
「‥‥あの人‥‥‥どうしてるんだろ‥‥‥」
そんな中で浜波は、自分を助けてくれたあの男の
事を思い出していた
昨夜のあの出会いが偶然なのかは分からない
しかし男は浜波を、我が身を呈して戦い守って
くれた、あんなボロボロになりながらも‥‥‥
何故あの人は、あそこまでして自分を助けてくれ
たのか?‥‥こんな浜波なんかを‥‥‥
あの人は一体何者なのか?漁師と言っていたが
その強さは尋常ではなかった
艦娘みたいに深海棲艦の砲撃に堪え、刀一本のみ
で返り討ちにしてしまった
君はいつまでも生きればいい‥‥‥
君は生きて幸福になってもいい‥‥‥
男は自暴自棄になっていた浜波に何度も言った
その言葉は浜波の心を少し温かくした
浜波は正面からそう言ってくれる人をどこかで
待っていたのかもしれない‥‥‥
浜波が自分を責め続ける思考はまだ残っている
『潮』と『足柄』の前に自分が立つ日までこの
想いは消えないかもしれない
しかし、浜波の心は前とは明らかに違っていた
昨夜、あの男が浜波にかけた言葉の多くは
未だに理解出来ないものも多かったが、それでも
浜波の心に確実に光を照らしてくれたのである
【浜波】
「‥‥また、会えないかな‥‥あの人に‥‥」
(コンコン‥‥)
【風雲】
「浜波、入るわよ~」
【浜波】
「かーちゃん‥‥どうぞ」
姉妹艦娘の『風雲』が部屋に入って来たのは
そんな時だった
【風雲】
「浜波、松島提督があなたを呼んでるわ、話が
あるって、私もついていってあげる」
【浜波】
「‥‥‥そう‥‥うん、分かった‥‥」
来るべき時が遂に来たか‥‥‥
浜波はそう直感した、自分の行動を問題視する
海軍からの圧力に晒されている松島提督の事を
考えれば自分に何らかの処罰が下されるのは
覚悟していた、最悪の場合は『解体』である
その時は素直に罰を受けよう‥‥‥
だって‥‥浜波が悪いんだもの‥‥‥
もう司令に、みんなに迷惑をかけたくない‥
【裏浜波】
「結局はそういう思考に行っちゃうの
よね~、貴女って、まあ前よりちょっと
素直になったから良しとしますか♪」
【浜波】
(浜波は‥‥‥もう終わっちゃうのかな‥‥
足柄さんにも‥‥潮ちゃんにも‥‥会えない
のかな‥‥‥‥あの人にも‥‥‥)
【風雲】
「浜波?自分がどうなるか心配?大丈夫よ、
松島提督を信じましょう?」
【浜波】
「‥‥うん‥‥」
執務室に向かう間、浜波の頭の中には
あの三人の顔が浮かび続けていた‥‥‥
ーーーーーーーーーーーーーーーー
執務室に着くと、松島提督と阿武隈が出迎えた
二人とも微妙な、しかし決して悪くない表情を
していた
もっと重苦しい雰囲気を想像していたのに
浜波としては返って肩透かしを喰らった感じだ
そしてもう一つ、浜波の予想外だった事
執務室に浜波の知らない男が二人いた
丸い縁のサングラスに金髪の大男と
戦闘服を身につけた細身で長身の男
【本多 幸雄】
「全く!ピッキングツールで鍵をこじ開けて
勝手に執務室に入るなんて何考えてるんだよ
ボス!」
【松平 アンデルセン】
「おじさんは気が短いの!長くて良いのは
ウンコする時間とセックスする時間だけだ!」
【阿武隈】
「///ひやあっ!///」
【松島提督】
「あっ‥‥あの~~」
【風雲】
「‥‥何?この会話‥‥」
【浜波】
「こっ……これって……一体?……」
予想外の人物の登場と予想外の下品な会話に
自分はこれから本当に罰を受けるのだろうか?
と、場違いな空気感に戸惑う浜波であった
【松島提督】
「ああ!すまん浜波、私達も予想外の展開に戸惑
ってしまって……もう身体は大丈夫か?」
【浜波】
「はっ…はい……大丈夫……あっ……あの………
指令?」
【松島提督】
「……うむ……」
【浜波】
「指令……昨日は……ごめんなさい……いつも…
……ごめんなさい……浜波は……罰を受けます」
【松島提督】
「………………」
【阿武隈】
「浜波さん、提督はね、浜波さんに罰を与える為
にここに呼んだんじゃないのよ?」
【浜波】
「………えっ?」
【松島提督】
「自分は解体されるとでも思ったのか?」
【阿武隈】
「提督はそんな事はしないわ、安心して♪」
【浜波】
「はっ……はい……」
【松島提督】
「浜波、今回の君の単独行動は確かに誉められた
ものでは無い、君の勝手な行動が仲間や君自身
の身を危険にさらしたのは事実だ!
今回は偶々幸運だっただけだ、その事は忘れて
はならない!」
【浜波】
「……ごめんなさい……」
【松島提督】
「悪いと思うなら私にではなく、阿武隈や風雲、
望月や君を捜索してくれた憲兵隊の皆さんに
思いたまえ!君への処分は、こちらの皆さんの
計らいもあって隊内処分とする」
【阿武隈】
「しばらくの間、出撃は禁止、謹慎処分となり
ます、ゆっくり考えてね」
【風雲】
「良かったじゃない、浜波♪大事にならなくて」
【浜波】
「う‥‥‥うん‥‥」
これで良いのか?自分はもっと罰を受けるべき
では?海軍からの処罰の話はどうなったのか?
これでまた司令に迷惑をかけたのでは?
素直に喜べない浜波が考え込んでいると‥‥‥
【松平 アンデルセン】
「よう、お嬢ちゃん、おめぇ自分はもっと罰を
受けるべきだと思ってるのかい?
海軍からのお咎めが無いのは松島提督が見を
呈して守ってくれたから、また迷惑をかけた
‥‥‥と考えているのかい?」
【浜波】
「はえっ!?」
考えを見抜かれた!?
【松島提督】
「浜波、そこは君が気にするところじゃない」
【松平 アンデルセン】
「松島提督は何時だっておめぇを身を呈して
守っていたぜ、今回はちょいと特殊な事情が
重なっているのよ、サチィー頼むわ!」
【本多 幸雄】
「申し遅れたが、我々は『陸軍高機動憲兵隊』の
者だ、軍全体の意思を代表して君に会いに来た
帝国海軍『徳川 成光』元帥閣下、及び
地球連邦統合海軍省『土方 龍』元帥閣下の
連名により‥‥‥」
【松平 アンデルセン】
「俺の連名もあるんだけど?」
【本多 幸雄】
「ここには数多くの上級指揮官や提督の連名が
あるんだよボス、全員を挙げてたらキリが無い
よ、ボスはその他大勢という事で!」
【松平 アンデルセン】
「俺はお前をそんな子に育てた覚えはねえんだ
がな」
【本多 幸雄】
「あんたは何時から俺の親父になったんだ?
‥‥‥話を戻すが浜波君、今回の君のあげた
戦果と功績を評価して我々は君を
表彰し、特別に勲章を授与する事に決定した」
【浜波】
「‥‥‥‥はいいいっ!?」
【本多 幸雄】
「昨夜、君達が遭遇した深海棲艦は、最近本土
近海でヒットエンドランでのゲリラ戦闘を展開
していた『通商破壊部隊』だったんだよ
海軍全体としては、その動向が掴めなくて苦慮
していたんだが、昨夜の戦闘で君はその半数を
単独で撃破した」
【浜波】
「‥‥はっ?‥‥‥はぁ!?」
【本多 幸雄】
「その事は現場に居合わせた『逃亡犯』が証言
している」
【浜波】
「とっ‥‥‥逃亡犯っ‥‥て!?」
【本多 幸雄】
「更に君は偶然とはいえ、その逃亡犯の捕縛に
成功した、我々憲兵隊や陸軍としても奴の逮捕
に協力してくれた君に感謝している」
【浜波】
「‥‥へっ‥‥‥へええ!?‥‥」
【風雲】
「あなた、何て情けない声出してるのよ?
凄いじゃない!浜波!」
【浜波】
「はわ‥‥‥はわわわ‥‥‥」
浜波の思考は完全にオーバーロードした
自分はここに罰を受けに来たと思ったのに‥‥
戦果?功績?単独撃破?捕縛?逮捕?受賞!?
一体何の事なのかさっぱり分からない
おまけに『逃亡犯』って何のこと!?
【松島提督】
「浜波、君が混乱するのも無理は無い、順を
追って説明すると、君が捕縛したあの男の正体
は『野良擲弾兵』なんだ」
【浜波】
「のら‥‥‥てきだんへい?‥‥」
『擲弾兵』‥‥‥‥
浜波にはあまり馴染みの無い単語であった
【松島提督】
「人類が艦娘の存在に気付く以前から深海棲艦と
肉弾戦で戦って来たのが改造兵士である擲弾兵
なんだ、野良擲弾兵とは軍の管理から抜け出し
て、野に下った擲弾兵の事を言う、言い換えれ
ば『脱走兵』みたいなものさ」
【浜波】
「‥‥脱走兵!?‥‥」
兵士だったのか!しかも改造兵士って‥‥‥
道理で強かった訳だ!
【本多 幸雄】
「あの擲弾兵の証言により、君が深海棲艦相手に
単独で奮戦した事、密漁者として生計を立てて
いたあの擲弾兵が偶然そこに通り掛かった事で
君に捕縛されてしまった事が分かっている」
【浜波】
「!!!!!」
【本多 幸雄】
「軍の管理下から抜け出した擲弾兵は危険視され
る、それを君が捕縛してくれたお陰で陸軍とし
ても感謝しているって訳さ
派手な授賞式は出来ないが、その代わり海軍から
君への責任追求に関しては全て不問とする事に
決定したんだ、だからここでの表彰と授与になる
」
【松島提督】
「浜波、君自身の行動については君自身が反省を
すればいい、君があげた戦果については素直に
受け取れば良いんだよ」
【阿武隈】
「浜波さん、よく頑張ったわね」
【浜波】
「あっ‥‥‥あっ‥‥‥あっ‥‥‥」
ーーーーーーーーーーーーーーーー
(浜波の回想‥‥‥)
【鶴 温】
「‥‥‥浜波君‥‥‥おじさんと約束してくれる
かいい?」
【鶴 温】
「君は生きるんだよ!少々汚れたっていい!
辛くても、地面をはいつくばっても、君には
生きて‥‥幸せになって欲しい‥‥‥」
【鶴 温】
「今はまだ生きる目的を見出だせないなら、今は
おじさんの為に生きて下さい、君におじさんの
命をあげるから‥‥‥」
【鶴 温】
「そして君が幸せになったと感じたら‥‥‥
おじさんの事は忘れなさい‥‥」
【鶴 温】
「浜波君、よく聞くんだ、君の足元に、君自身の
装備(艤装)が落ちているだろう?」
【鶴 温】
「それを拾って、砲口をおじさんに向けるんだ!」
【鶴 温】
「急いで!向けるのが無理なら、拾うだけでも
いい!」
哨戒艇が接岸する直前、男は最後に言った
【鶴 温】
「おじさんは独りぼっちだ、だから居なくなっても
悲しむ者は居ない、でも、君は違う」
ーーーーーーーーーーーーーーーー
全てが浜波の中で繋がった!
あの擲弾兵の行動は全て浜波を救う為の行動
だったのである
自分に砲口を向けさせたのも、浜波が自分を
捕縛したように演出する為であったのだ
後に浜波が責任追及される事を見通していた
のかもしれない、だから自分の命を盾に使った
のである、自分を逮捕させれば浜波の功績に
なる、それで浜波への責任追及もチャラに
出来る‥‥‥と
男にとって浜波は、自分を消してでも守るべき
大切な存在‥‥‥となっていたのだろう
それは本能的なものであったのかもしれない
男と浜波が出会ったのは昨夜が初めてだったの
だから‥‥‥
【浜波】
「‥‥‥‥‥‥」(ガクガク‥‥‥)
男の行動の全てを理解した浜波は、全身の震え
が止まらなくなった
【松平 アンデルセン】
「……松島提督、もし良かったら俺に授与させて
貰えないかね?」
【松島提督】
「ええ、お願いします」
松平司令官は、本多隊長から勲章を受け取る
それは小さな小さな勲章であった
松平司令官は浜波の正直に立つと、膝をついて
身を屈め、浜波と同じ目線の高さで正面から
浜波を見た………
【松島提督】
「お嬢ちゃん、おめぇも分かってると思うが、
こいつはおめぇ一人で取れた勲章じゃねえ
松島提督やこの鎮守府にいる仲間の助けがあっ
て取れたモンだ、それは忘れちゃいけねーよ」
【浜波】
「…………」(ブルブルブル~……)
浜波は松平司令官に対して何も言い返せず
激しく頭を横にふる
違う!そんなんじゃない!
浜波にはそんな勲章、貰う資格なんかない!
そんな浜波の気持ちを知ってか知らずか
松平司令官は続ける……
【松平 アンデルセン】
「お嬢ちゃん、よく頑張ったな、つまらん物だが
こいつを受け取ってくれや」(スチャッ)
松平司令官は浜波の装束に勲章を着けた
【浜波】
「違う……違う!………こんなの!……駄目!」
【松島提督】
「どうしたんだ浜波?」
【松平 アンデルセン】
「………何が違うんだい?お嬢ちゃん?」
【浜波】
「はっ…浜波は…何もして…ません!……全部…
…あの人が戦ったんです……浜波の事も助けて
くれたんです!……浜波はただ怖くて……怖くて
………震えてただけで………勲章を貰うのは……
あげなきゃいけないのは!あの人なんです!」
【風雲】
「浜波!?」
【阿武隈】
「浜波さん‥‥‥」
【松島提督】
「浜波‥‥‥(あの大人しい浜波が、こんなに
ハッキリと自分の意見を‥‥‥)」
【浜波】
「///ハアッ!‥‥‥ハアッ!‥‥///」
【本多 幸雄】
「‥‥‥良い娘ですね」
【松平 アンデルセン】
「‥‥‥見た目は気弱な子供の様に見えて芯は
しっかりしてる、あの擲弾兵が惚れるだけの
事はあるな‥‥‥やっぱり良い女だったか」
一人の男が己の命をかけて守る‥‥それだけの
何かがこの娘にはある、少なくともあの擲弾兵
には‥‥‥
松平司令官は浜波と向かい合ってその理由に
納得出来たようだった
【松平 アンデルセン】
「お嬢ちゃん、おめぇの話が事実だとしても
これはあの男本人の口から語られた言葉だ
裁定が覆る事はない、それに奴が脱走兵なのは
確かだ、その事実は変わらない」
【浜波】
「でっ!‥‥でも!!‥‥」
【松平 アンデルセン】
「お嬢ちゃんの話が事実と仮定しての話だが、
その勲章はな、お嬢ちゃん、あの男のおめぇ
への想い‥‥今この瞬間でもお嬢ちゃんを守ろ
うとしているあの男の魂の結晶なんだよ」
【浜波】
「あの人の‥‥‥想い‥‥」
【松平 アンデルセン】
「今のお嬢ちゃんなら、分かる筈だ‥‥‥」
浜波は、自分の胸の小さな勲章を改めて
触ってみる‥‥‥
【浜波】
「‥‥‥‥‥‥‥‥」
ーーーーーーーーーーーーーー
(浜波の回想‥‥)
【鶴 温】
「‥‥君は優しい娘だ、だったら分かるだろう?
君が沈んでしまったら、居なくなってしまったら
悲しむ人達がいるって事を‥‥‥そんな大切な人
達を悲しませちゃいけないよ」
【鶴 温】
「もちろん、おじさんも悲しい‥‥だから君を
助けた」
【鶴 温】
「おじさんは一人ぼっちだからそんな人達は
居ない、でも浜波君、君は違う!
君には帰りを待ってる人達がいる筈だ、君にも
それが分かってるから、さっきそんな人達の
名前が出て来たんだろう?‥‥‥」
【鶴 温】
「おっ?なんだ~、笑った顔も可愛いじゃん?」
【浜波】
「///(ボム!!)///」
【鶴 温】
「ほら、君は可愛いし笑う事だって出来る
こんな可愛い君は、もっと人生を楽しむべき
だよ、なんてな」
【浜波】
「///あうあうあう!‥‥///」
【鶴 温】
「‥‥何だこれ?‥‥自分で言っておいて何だ
けど、これ完全にナンパになってるじゃん!
何考えてんだ!?俺は!?」
ーーーーーーーーーーーーーー
【浜波】
「‥‥‥‥おじさん‥‥‥」
【阿武隈】
「‥‥その、擲弾兵さんって‥‥やっぱり
浜波さんの事を?‥‥」
【本多 幸雄】
「そういう事になりますね‥‥‥」
【松島提督】
「‥松平司令官、もし良ければ教えて頂きたい
のですが、その擲弾兵は何故脱走なんかした
のですか?兵士や軍属が脱走すればどういう
事になるか分からない筈もないでしょう?
自分は逃げる事も出来たのに、浜波の為に
我が身を差し出した程の男が、一人で深海棲艦
を撃破した程の精鋭が、自ら脱走兵となったの
には余程の理由があった筈です!」
【風雲】
「確かに、脱走なんてただ事じゃないもの‥‥」
【松平 アンデルセン】
「『擲弾兵』とは軍の資産、戦車や航空機と同じ
なんですよ、奴らは擲弾兵になった瞬間に一切
の人権が剥奪されます」
【浜波】
「!!!!?」
【松平 アンデルセン】
「いや、場合によっては戦車や航空機よりも下に
扱われる場合もある、戦車や航空機は高価です
からな」
【風雲】
「そっ!そんな!!」
【本多 幸雄】
「‥‥‥‥‥‥‥‥」
【阿武隈】
「‥‥かつてのあたし達みたいね‥‥」
【松島提督】
「‥‥まだ多くの問題はあるとはいえ、艦娘には
法律上は人権が保証されている、擲弾兵には
それすら無い‥‥という事ですか、その扱いに
反発して脱走を?」
【松平 アンデルセン】
「半分はな、残りの半分はただ『生きる為』に
仕方なくの脱走だった訳よ」
【松島提督】
「生きる為に仕方なく?」
【松平 アンデルセン】
「ここからはオフレコで頼む、奴はかつて戦場に
置き去りにされた、軍に見放された経験がある」
【松島提督】
「軍に見放された!?」
【松平 アンデルセン】
「作戦計画が稚拙だったお陰で、最前線で奴の
部隊は激戦の末に壊滅した、司令部と奴の指揮官
達は部隊が擲弾兵だった事もあって『一人残らず
全滅した』と勝手に判断し、援軍も救助も送らな
かった」
【松島提督】
「勝手に全滅したと判断して部下を見捨てた!?
指揮官がそんな事で許されるんですか!?」
【阿武隈】
「提督‥‥‥」
【松平 アンデルセン】
「『人間』の部隊ならこうはならなかったろう
『擲弾兵』だからそうなったんだ、司令部から
すれば無人のロボットが戦ったと同じだからな」
【松島提督】
「なんてこった‥‥‥」
【浜波】
「‥‥‥‥‥‥‥‥」
【本多 幸雄】
「‥‥‥‥‥‥‥‥」
【松平 アンデルセン】
「もっと大きな問題はこの先にあった、あの男は
生きていた、自力で司令部まで生還を果たした
そして奴は逮捕された」
【阿武隈】
「逮捕って何故ですか!?無事に戻って来た
のに!?」
【松平 アンデルセン】
「『生きていたから』だ!」
【阿武隈】
「はあっ!?」
【松島提督】
「『敵前逃亡』と判断されたとか?」
【松平 アンデルセン】
「違う、文字通りの意味だ、軍と司令部は全滅
と判断したのに、奴は部隊と一緒に全滅しな
かった、司令部の判断と違う結果を、自分の
判断で実行した事が『重大な不具合』と判定
されたんだ!」
【風雲】
「あの‥‥言ってる意味がよく分からないん
ですけど‥‥」
【本多 幸雄】
「『擲弾兵』は自分で考え、判断する事自体が
許されないんだよ、戦闘中の極限られた範囲
だけなんだ、『生き残っている筈が無い』者
が『自分の判断で生き残った』事が問題に
されたんだ」
【風雲】
「何よそれ!?無茶苦茶じゃない!!
逃げた訳じゃ無いでしょ!?戦って生き残っ
たんでしょ!?褒められてもいいくらいじゃ
ない!!
生きて帰って来る事も許されないの!?」
【松平 アンデルセン】
「擲弾兵はあくまで装備品、戦車や航空機が
勝手に判断して動いたら危なくて仕方ない‥‥
というのが軍上層部の昔からの判断だ
おまけに擲弾兵の戦闘力は一般兵士から見れば
それこそ『チート級』の強さだ、何しろ肉弾戦
で深海棲艦と戦う為に改造された兵士だからな
それが自分だけの判断で行動するのは軍上層部
にとっては脅威以外の何物でもない‥‥‥と
上は思っている、軍の管轄や命令、決定事項、
つまりは軍の秩序から少しでもはみ出した
擲弾兵は『不具合を起こした不良品』となる
訳だ、馬鹿げた話だがな」
【浜波】
「‥‥‥‥‥‥‥‥」
【阿武隈】
「命懸けで戦ったのに‥‥そんな扱いをされたら
それは逃げたくもなるわよね‥‥」
【松平 アンデルセン】
「その通り、不良品と判断された擲弾兵は処分
される、奴はそれが我慢出来なくて脱走した
んだ」
【浜波】
「‥‥‥処分!?」
執務室に重い空気か流れる‥‥‥
【松平 アンデルセン】
「さてと‥‥少々話し過ぎたかな、松島提督
今回は貴官と貴官の部下諸君に世話になった
改めて感謝の意を伝えさせてもらう」
【松島提督】
「いえ、こちらこそ、浜波の件でお世話になり
ました、この娘は我々の大切な仲間ですから」
【浜波】
「‥‥‥‥‥‥‥‥」
【松平 アンデルセン】
「お嬢ちゃん、辛いかも知れんがあの擲弾兵の
想いを汲んでやってくれや、それとお嬢ちゃん
の命はもうお嬢ちゃん一人のものじゃない」
【浜波】
「‥‥‥‥‥‥‥‥」
【松平 アンデルセン】
「その命、大切にするんだぜ?」(ポンッ)
【本多 幸雄】
「元気でな、浜波君」
【浜波】
「‥‥‥‥‥‥‥‥」
これで良いの?‥‥‥いや違う!
こんな事‥‥‥良い訳ない!
【松平 アンデルセン】
「それでは、俺達はこれで失礼する」
【本多 幸雄】
「皆さんの御武運をお祈りします」
【浜波】
「‥‥‥まって‥‥」
【風雲】
「浜波?」
【松島提督】
「皆さんもお気をつけて、阿武隈、見送りを」
【阿武隈】
「‥‥はい、提督」
【浜波】
「‥‥‥まって‥‥」
【風雲】
「ちょっ‥‥浜波?」
【松平 アンデルセン】
「せっかく松島まで来たんだ、美味い海鮮
料理でも食って帰るか?サチィ」
【本多 幸雄】
「空気読めよ!ボス!俺達は遊びに来た訳
じゃ‥‥‥」
【浜波】
「まってえええーーー!!!」
(ダアッ!)
【風雲】
「ひゃい!?」
【阿武隈】
「浜波さん!?」
そこに居た者達が、今まで聞いた事もない大声で
浜波は叫んだ!そして松平司令官に飛び付いた
あの恐面の松平司令官にあの浜波が飛び付いた
のである
【裏浜波】
「よしよし♪今回は良い感じね♪」
【浜波】
「‥‥まって‥‥‥教えて‥‥」
【松平 アンデルセン】
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
【浜波】
「あの人は……あの人はどうなるの?」
【本多 幸雄】
「…………………」
【松島提督】
「浜波…………」
真っ直ぐ見詰める浜波の目を見て、松平司令官
は浜波の頭を撫でながら答えた
【松平 アンデルセン】
「‥‥‥何故そんな事を聞く?」
【浜波】
「‥‥あの人の事‥‥もっと‥‥知りたい!」
松平司令官は心の中でニヤリとする
やはりこの娘は『良い女』だった
これは悪くない兆候だ
【松平 アンデルセン】
「たとえそれが辛い事でも、現実を受け止める
覚悟があるか?」
【浜波】
「‥‥はい!」
……暫しの沈黙の後……
【松平 アンデルセン】
「『不良品』は廃棄される、『不具合品』と判定
された擲弾兵は生きたまま処理機にかけられる
『超合金コア』諸共粉々に粉砕されて終わりだ」
【浜波】
「!!!!!!!!!!」
浜波は顔面蒼白になった、全身の震えが再度
襲ってきた‥‥‥
【浜波】
「……そっ!…そっ!…そん…な!!」(ブルブル‥)
【松島提督】
「松平さん!!浜波の前でそんな話をするのは!」
【松平 アンデルセン】
「紛れもないこれが事実だ!教えて欲しいと
頼まれたから教えた
現実を受け止める覚悟があると言ったから答えた
この娘にはそれを受け止めるだけの覚悟があると
俺は信じたから話したんだ!
松島提督、貴官は自分の部下を信用出来ないのか
い?」
【松島提督】
「‥‥‥それは、信用の押し付けでは!?」
【松平 アンデルセン】
「見解の相違だな、いずれにせよこの娘には事実
を知って貰わにゃなるめぇよ」
【松島提督】
「心に大きな傷が残りますよ!」
【松平 アンデルセン】
「知らない方がもっと傷付くだろうが!今言わな
くてもいずれは分かる事だ、後から知らされて
『自分は何も知らずにいた』なんて話は無しだ!
そんな事になれば、この娘は二度と立ち直れねえ
だろうよ!」
【松島提督】
「‥‥‥‥‥‥‥‥」
【松平 アンデルセン】
「あんたは指揮官だ、なら分かる筈だ!この娘を
、大切な者を本当に守りたいなら、時には
ムカつく野郎の顔面にウ○コぶちまけるくれえ
の覚悟と度胸を持たなきゃならねえ時もあらぁ
な!」
【阿武隈】
「ぶっ!?」
【風雲】
「ウ○コって……」
【本多 幸雄】
「好きな相手でも嫌いな相手でも、例え相手に
どう思われようと必要な時は必要な事を言う
べき‥‥て意味の例えです‥‥たぶん」
【浜波】
「‥‥‥あっ‥‥うう‥‥」(ガクガク‥‥)
外野のやや下品な会話を余所に、浜波の身体の
震えは止まらなかった……
身体を砕かれる!?生きたまま!?
あの人は自分がそうなる事を分かっていて
浜波のことを!?
こんな……浜波を……私なんかを……
【松平 アンデルセン】
「お嬢ちゃん、おめえはどうしたい?」
あの人を……助けなきゃ!!……
【裏浜波】
「そうじゃないでしょ?貴女の本当の
気持ちは」
浜波の……本当の気持ち……
………………
………………
………………
あの人を……失いたくない!
あの人に会いたい!
あの人の笑顔がみたい!
あの人の…………
側にいたい!!
【裏浜波】
「それで良いのよ♪だったらやる事は
1つでしょ?」
【浜波】
「……お願い……あの人に……会わせて!……」
【本多 幸雄】
「…………………」
【松平 アンデルセン】
「………何故だ?」
【浜波】
「…………………」
松平司令官は浜波と正面から対面する
人として、対等の相手として、浜波と対面する
浜波の両手に力が入る………
口数は少ないが、それだけに返って浜波の必死さ
が松平司令官には伝わってくる
浜波は絞り出すような想いで言葉を発した
【浜波】
「会いたい……あの人に……会いたい!!……」
(ボロボロボロ………)
【松平 アンデルセン】
「…………………………」
【浜波】
「……お願い………します……」
(ポンッ)
【浜波】
「………うん……」
松平司令官、一瞬「してやったり!」の顔になる
と、浜波の頭を撫でながら一言‥‥‥
【松平 アンデルセン】
「おじさんの目に狂いはなかったなぁ♪
やっぱり『良い女』だったか」
【浜波】
「///ふえっ!?///」
【松島提督】
「いつの間にここまで自分の意思をハッキリと
言える娘になったんだろうか、これもその男
のお陰‥‥‥なのかもしれんな‥‥‥
(浜波の心を救う為の、これは唯一のチャンス
かもしれない‥‥‥)」
【阿武隈】
「浜波さんをここまで変えてしまうなんて、その
擲弾兵って人、凄いですね‥‥(私だって提督
がそんな事になったら黙っていられる訳ない、
やっぱり浜波さんは、その人の事を‥‥‥)」
【松平 アンデルセン】
「松島提督!このお嬢ちゃんを少し借りるぜ」
【松島提督】
「松平さん、私と阿武隈も同行させて頂けません
か?我々の大切な仲間を骨抜きにしたその擲弾兵
の顔を是非見てみたいので‥‥‥」
物語は大きく動き出した!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
陸軍高機動憲兵隊、立川本部‥‥‥
半地下の独房‥‥‥
【鶴 温】
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
傷の手当てを受けた『鶴 温』は独房に収容され
次の処分を待っていた
頭の中にあるのは自分の運命ではなく、あの艦娘
の事ばかりであった
あの娘は無事に戻れただろうか?
元気でやって行けるだろうか?
例の相手に伝えたい事を伝えられるだろうか?
夢を叶えられるだろうか?
幸福になれるだろうか?
自分の意思に反して擲弾兵という存在に仕立て
上げられて、何もかも奪われ殺伐とした戦いを
強要された、そんな人生だったが‥‥‥
最後にあの娘に出会い、彼女を救う事が出来た
‥‥‥と思う、それだけでも決して悪い人生じゃ
なかったと本気で思えた、彼女はそんな不思議な
魅力を持っていた、少なくともこの男にとっては
‥‥‥
そんな自分の気持ちが『自分は彼女に一目惚れ
した』という事だと気付いたのは、あの型破りの
司令官に色々と指摘されてからだ
本当にあの娘を守る事が出来たのなら
こんな終わり方なら悔いはない‥‥‥
でも、一つだけあるとすれば‥‥‥
【鶴 温】
「‥もう一度‥‥会いたかったな‥‥」(ボソッ)
【松平 アンデルセン】
「男の『独りぼやき』なんざぁ、とても見れたもん
じゃねえぜ!」
【鶴 温】
「‥‥あんたは‥‥」
いつの間にそこに居たのか
独房の扉を開けて、松平司令官が目の前にいた
【松平 アンデルセン】
「おめえに客だ、一晩泊めてやれ、必要なら
部屋を変えてやる、ここはベッド1つしか無い
殺風景な部屋だからな」
そう言い残すと、松平司令官は回れ右して
独房から出て行った
そして‥‥入れ替わりに独房に入ってきたのは
‥‥‥‥
【浜波】
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
【鶴 温】
「‥‥!!?」
【浜波】
「‥‥エヘヘ♪‥‥‥きちゃっ‥‥た♪‥‥」
こうして二人は一日ぶりに再開した
お互い随分長く会っていなかったような気分
だった‥‥‥
突然の事に驚き戸惑う『鶴 温』、しかしそれ
以上に嬉しさが込み上げてきた
【鶴 温】
「浜波君‥‥良かった、無事で‥‥」
【浜波】
「……おじさん……」
【鶴 温】
「会いに来て……くれたのかい?」
【浜波】
「……会いたかった……だから……」
【鶴 温】
「………………」
こんな自分に、向こうから会いに来てくれた!
それも本人の意思で!
擲弾兵『鶴 温』にとって、こんな経験は初めて
だった、しかも『浜波』本人が………
【浜波】
「……横……座るね……」(スッ……)
1つのベッド以外何もない独房‥‥‥
『鶴 温』はそこに座っていた
『浜波』もその横に並んで腰掛ける
【鶴 温】
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
【浜波】
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
(‥‥ギュッ‥‥)
二人は何も話さない、ただ黙ってお互い手を
握り合うだけ‥‥‥
それは二人にとって大切な時間だった
明日がどうなるかは分からないのだから‥‥
【鶴 温】
「俺も‥‥‥君に会いたかった‥‥良かった‥」
【浜波】
「///‥‥‥(嬉しい)‥‥///」
【鶴 温】
「君はどうして、俺に会いたいって思ってくれた
んだ?」
昨日までは『鶴 温』の口調にあった『おじさん』
という言葉な無くなっていた、あくまで『俺』と
『鶴 温』が一人の男として『浜波』の前で
話をしている証拠だ
【浜波】
「‥あなたの‥‥名前‥‥教えて?」
【鶴 温】
「『鶴 温(つる あつし)』、まだ俺が人間だった
頃の名前だ」
【浜波】
「つる‥‥‥あつし‥‥‥温さん‥‥」
【鶴 温】
「‥‥うん?」
『鶴 温』は浜波を見た、『浜波』は顔を正面に
して『鶴 温』を見つめる‥‥‥
【浜波】
「‥‥‥‥‥‥‥‥」
ーーーーーーーーーーーーーーーー
(浜波の回想‥‥)
【浜波】
「あの人‥‥浜波が行ったら‥‥どう思うだろう」
【裏浜波】
「まだそんな事言ってるの?喜ぶに決まってる
でしょ?自分とあの人を信じなさいよ!」
【松平 アンデルセン】
「お嬢ちゃん、あの男の気持ちもお嬢ちゃんと
同じだろうぜ、なら分かるだろう?
てめえの人生も運命も、時には命さえも質に入れ
てまで守り通す、それが『愛』てもんだ」
ーーーーーーーーーーーーーーーー
【浜波】
「温さんと‥‥‥同じ気持ち‥‥」
【鶴 温】
「‥‥俺と同じ‥‥」
【浜波】
「///これが‥‥浜波の‥‥気持ち‥‥///」
(‥‥スウッ‥‥)
(‥‥チュッ❤‥‥)
【鶴 温】
「うむっ!?」
浜波は自分から口づけをした‥‥‥
【浜波】
「///これが‥‥浜波の‥‥答え///」
(ギュウッ❤)
浜波は正面から『鶴 温』に抱き着いた‥‥
【鶴 温】
「‥‥浜波‥‥君!?‥‥」
【浜波】
「‥『浜波』‥‥って‥‥呼んで‥‥」
【鶴 温】
「‥‥‥‥‥‥‥‥」
【鶴 温】
「‥‥浜波」
「‥‥はいっ❤‥‥」
【鶴 温】
「浜波‥‥‥好きだ!」
【浜波】
「///‥‥浜波も‥‥好き!❤///」
【鶴 温】
「‥‥浜波!!」(ギュウッ❤)
【浜波】
「///ふわあぁぁぁ~~❤❤///」
『鶴 温』は『浜波』を少し強く抱きしめた
【浜波】
「///あっ‥暖かい‥‥エヘヘ~♪❤❤///」
【裏浜波】
「‥‥あれ?この娘、こんな性格の娘だっけ?」
本家が裏の想像を超えた瞬間であった
『鶴 温』、『浜波』、共に思う‥‥‥
【鶴 温】
(もうこれで思い残す事はない‥‥そう思って
いた‥‥でもやっぱり駄目だ!
全然足りない!もっと欲しい!
この娘が欲しい!!
もっと生きたい!浜波と一緒に生きたい!!
俺は‥‥俺はどうすればいい!?)
【浜波】
(‥‥やだ‥‥いやだ!‥‥せっかく会えたの
に‥‥別れるなんていやだ!
浜波は悪い娘‥‥こんな我が儘‥‥駄目なの
は分かってる‥‥‥だけど‥‥‥だけど‥‥
温さんが好き!‥‥大好き!!‥‥もう‥‥
離れられないよ‥‥浜波は‥‥何でもします
‥‥どんな事でもします!‥‥‥だから‥‥
お願い‥‥‥この人を連れていかないで!)
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
【松島提督】
「浜波が‥‥あの浜波が‥‥‥いつの間にか
大人の女性になっていたとは‥‥‥
私は浜波を守る為に保護下に置く事ばかり考え
て、提督としても人としても、あの娘の事を
正面から見ていなかったのかもしれない‥‥」
【阿武隈】
「提督‥‥‥」
【松島提督】
「阿武隈、私はとんだ未熟者だったようだ」
【本多 幸雄】
「そう御自身を悲観しないで下さい、貴官が
浜波の事を真剣に愚直に守ってくれていたから
今日の出会いがあったんです
貴官は何も間違っていませんよ」
【松島提督】
「そう言って貰えるとありがたい、いずれにせよ
もう私には、あの『浜波』の提督は務まらない
‥‥‥という事ですね?松平さん、決して悪い
意味ではなく」
【松平 アンデルセン】
「松島提督、お前さんも提督としても男としても
一皮むけたみてえだな♪
さて、これで二人の気持ちは通じ合った、俺達も
二人の気持ちを確かめるが出来た、これで決まり
だな」
【本多 幸雄】
「決まりってどうするんです?ボス、何となく
想像は出来るけど」
【松平 アンデルセン】
「そういう事だサチィ、おめえの例の友達に二人
の事を頼んでおいてくれや、あそこなら擲弾兵
でもやって行ける筈だ、何しろ提督本人が擲弾兵
なんだからな」
【松島提督】
「擲弾兵が提督!?提督という事は何処かの鎮守
府ですか?」
【松平 アンデルセン】
「あんたの嫁さんがよく知ってる『清霜』が居る
鎮守府だよ、『銚子沖』で会った」
【阿武隈】
「あの清霜さんの鎮守府!?確か『海特警』の
‥‥そこの提督って『擲弾兵』なんですか?」
【本多 幸雄】
「ボス!俺もあの二人は助けたいし、あの鎮守府
に行くのが最善策なのは分かる、しかし先方に
も都合があるしホイホイと頼むのは‥‥」
【松平 アンデルセン】
「だからおめえが直接行って頭下げてこい!!
ついでにあの『護衛艦のねえちゃん』にも
会ってこい!!」
【本多 幸雄】
「あんた、それも狙いだったか!!」
ーーーーーーーーーーーーーーーー
六本脚鎮守府‥‥‥
【あきづき】
「‥‥へっくちゅん!」
【パース】
「キュートなくしゃみね♪」
【あきづき】
「///‥‥あっ、どうも‥‥///」
【射命丸 文】
「可愛かったので、もう一回お願いします~♪」
(カメラ構えて)
【あきづき】
「///でっ!‥‥出来ません!!///」
【ラビアンローズ】
「この妖怪の聞屋さん、何か居着いちゃった
みたいですねぇ‥‥‥」
ーーーーーーーーーーーー
【鶴 温】
「‥‥‥‥‥‥‥‥」
【浜波】
「‥‥‥‥‥‥‥‥」
足柄さん‥‥‥
潮ちゃん‥‥‥
浜波には、好きな人が出来ました‥‥
まだ二人に会って謝る事も出来てないのに‥‥
浜波は悪い娘‥‥‥
ごめんなさい‥‥‥
足柄さん‥‥‥
潮ちゃん‥‥‥
二人は今の浜波を見たらどう思いますか?
昨日会ったばかりの人を好きになるなんて
フシダラな女と思いますか?
ごめんなさい‥‥‥
でも‥‥好きなの‥‥この人が‥‥
好きになった事、後悔なんかしない‥‥
足柄さん‥‥‥
潮ちゃん‥‥‥
二人は浜波を許してくれますか?‥‥‥
ちゃんと謝りたいです‥‥‥
ちゃんとお話したいです‥‥‥
浜波の事も、この人の事も‥‥‥
司令や阿武隈さんやかーちゃんやもーちゃん
の事も‥‥‥
会って話したいです‥‥‥
足柄さん‥‥‥
潮ちゃん‥‥‥
もしそんな機会が出来たら‥‥‥
会ってくれますか?‥‥‥
【鶴 温】
「浜波‥‥浜波‥‥好きだ‥‥浜波‥‥」
足柄さん‥‥‥
潮ちゃん‥‥‥
この人が‥‥‥
浜波が愛した人です!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【潮】
「‥‥えッ?‥‥浜波ちゃん?」
帝国海軍所管、艦娘専用療養鎮守府‥‥‥
現在は0358時‥‥‥
謎の鎮守府所属で、かつての同僚『足柄』と
ある任務を共同で遂行する事になった『潮』は
興奮して中々寝付けなかった
それで外に出て夜空を見上げていた訳だが‥‥
ふと何処かから『浜波』の声が聴こえてきた
様な気がしたのである
【潮】
「‥‥いやまさかね‥‥気のせいか‥‥」
ここに浜波は居ない、浜波の声が聴こえる筈が
なかった、足柄との記憶と共に浜波の記憶も
思い返していた影響か?‥‥‥
潮はそう考えた
その時、車椅子が近付く音が‥‥‥
【磯波】
「潮ちゃん?‥‥まだ夜明け前なのに早いね?」
【潮】
「うん、少し興奮しちゃって眠れなくて‥‥‥」
【磯波】
「例の足柄さんとの任務の事?潮ちゃんの憧れ
の‥‥‥」
【潮】
「可笑しいよね♪まだ任務は先の話なのに‥‥」
今回の足柄との任務は潮にとっては特別だった
前のブラック鎮守府では、一緒に出撃する事は
あっても潮は足柄に助けられてばかり‥‥‥
そう考えていた、自分を情けなく感じていた
しかし今回は違う、戦闘任務ではないものの
足柄と一緒になって遂行する任務である
自分の役割も明確になっている、つまり自分に
も果たすべき責務がある!
助けられてばかりの任務ではない!
自分も足柄の為に役に立てるチャンスがある!
それも『人と人の橋渡し』、正に潮にとっては
うってつけの任務といえた
【潮】
「潮もやっと足柄さんと一緒に任務が出来る!
足を引っ張らない、仲間としての‥‥‥そう
考えると今から落ち着かなくて‥‥‥」
【磯波】
「でも潮ちゃん、とっても良い顔してるよ♪」
【潮】
「エヘヘ♪ありがとう♪磯波ちゃんはどうした
の?」
【磯波】
「もうすぐシフト交代の時間なの、事務処理仕事
なんだけどね、そうしたら潮ちゃんが外にいた
から‥‥」
【潮】
「そっかあ‥‥」
【磯波】
「ねえ、『浜波ちゃん』って‥‥‥前に言ってた
以前の鎮守府での‥‥‥」
【潮】
「あっ‥‥聴こえた?」
潮は浜波の事について磯波に話した‥‥‥
【潮】
「私ね、浜波ちゃんの事を思い出したら浜波ちゃん
にも無性に会いたくなって‥‥」
【磯波】
「大切なお友達だったんだよね?」
【潮】
「うん、それでね‥‥何の確証も無いんだけど‥‥
私、今度の任務でもしかしたら浜波ちゃんに会える
んじゃないか‥‥って気がしてるんだ♪」
【磯波】
「そう、会えるといいね♪潮ちゃんは真面目だから
神様が願いを叶えてくれるよ、たぶん」
【潮】
「ありがとう♪‥‥そうだね‥‥会えたらいいな~
‥‥お話したい事が沢山あるもの‥‥‥」
夜明け前の星空を眺めて潮は思う‥‥‥
浜波ちゃん、元気かな‥‥‥
会えたら真っ先にお礼を言おう‥‥‥
潮が今ここに居られるのは足柄さんと
浜波ちゃんのお陰だから‥‥‥
それにしても、私ったらこんなに浮かれちゃって
こんな浮かれた潮を見て‥‥‥
足柄さんはどう思うかなぁ‥‥‥
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
足柄さん、今どうしてるんだろ‥‥‥
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
同時刻、謎の鎮守府‥‥‥‥
(ジュポ!ジュポ!ジュポ!ジュポ!)
【足柄】
「❤ああ~~ん♪❤あお~ん❤‥おっ!
‥あっ❤あっ❤おっ❤おっ❤♪」
((ズパン!ズパン!ズパン!ズパン!‥‥))
【足柄】
「おほっ!‥‥ごっご主人様ぁ~~♪❤❤‥
こっ‥この雌犬はぁ♪❤‥‥あっ❤‥うっ❤
‥ご主人様にぃ❤‥‥かっ‥‥完全敗‥‥ぼ
‥‥くっ‥‥しちゃいましたぁぁ~♪❤❤」
(ビクビクビクビク~~‥‥‥)
【ヒィッツ提督】
「グヘヘ~♪あの狼様がこんなだらし無い
アヘ顔してるなんてなぁ~~♪
お前に憧れてるあの『潮』がこれを見たら
どう思うだろうなぁ~~♪」
【足柄】
「いじっ!‥‥いじわる~ん❤‥そんな
恥ずかしいのやめて~~ん❤❤」
現実にはそんな事は起こらない、だからやめて
と言いつつ足柄に嫌がる素振りは無い
【ヒィッツ提督】
「ヤベ!そのアヘ顔で‥‥超興奮してきた‥‥
‥‥よーーっしゃ!!!先ずは最初の発射だ!
行くぞ足柄ぁ!!魂の16連射あぁぁぁーー!!」
(ズドズドズドズドズドズドズドズド!)
(ドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュ)
【足柄】
「あっ!あーーーーー!!❤❤
ごっご主人様のオチ〇ポとせーしで!‥
‥いっ!イクーーーーー!!!❤❤」
(ビクビクビクビクビクビクビクビク!)
MMZNF 特殊衛生任務艦隊‥‥‥
今日の慰安艦隊編成には、昨日に引き続き
足柄が組み込まれていた
今、潮や浜波が足柄の事を考えているなど想像も
していない足柄は凌辱の花園で咲き乱れていた
(パン!パン!パン!パン!パン!)
(ジュブジュブジュブジュブジュブ)
【デストリア】
「❤あにゃあ~♪❤あっ!あっ!あっ!❤
てーとくー♪♪❤❤もっとぉぉ~❤❤」
(バコ!バコ!バコ!バコ!バコ!)
【ガトランティス】
「❤!ぐおおおーー!!ヒィッツぅぅぅ!!
余を!余を癒してくれぇぇぇ~~❤❤❤」
ヒィッツ提督とその分身達も乱れ狂う!
【シュバリエル】
「‥‥デストリア‥‥あの人たち‥‥なんて
体力なの‥‥」(ガクッ)
【ケルゲレン】
「流石に‥‥これ以上は‥‥」(ガクッ)
【EX-178】
「‥おっ‥‥お休みなさい‥‥っす」(ガクッ)
【漣】
「‥ご主人様‥‥は‥‥漣のぉ‥‥」(ガクッ)
日付が変わる前から始まった慰安任務‥‥
もうすぐ午前4時になろうというのに
ヒィッツ提督(分身含む)と足柄、そして
デストリア、ガトランティスは元気いっぱい
だった
ガトランティスだけは先日『清霜』が主催した
お泊りパジャマパーティーに、寝過ごした事で
出席出来なかった事が残念で残念で、逆に
ヒィッツ提督に癒してもらっているのである
そしてシュバリエル、ケルゲレン、イナヤ、
漣の四人は流石に疲れてダウンした
さて、ヒィッツ提督と言えば昨日‥‥‥
あの『多聞 風都』から特高警察に関する
内部情報を得ていた
特高警察が反乱分子や犯罪集団から押収した
武器類のうち、約50人を武装させられる量の
武器が行方不明になっていた
更に特高警察の通信傍受で『吉原』という単語
が多く受信されている事が分かった
『吉原』とは『謎の鎮守府』の特高警察内部で
の隠語である
この武器を使って『謎の鎮守府』又は『海特警』
の関係組織に対する攻撃があるかもしれない‥
‥‥と多聞は予想した、ただし正確な攻撃目標
や日時は今のところ不明である
『多聞 風都』は一両日中に正確な目標を調べ
上げて見せる‥‥と言っていたがヒィッツ提督
本人は楽観していた
油断する気はさらさら無い!
しかし、たかが50人前後の通常武器を所持した
武装集団が組織されて襲ってきたとしても
それでどうにかなる様なヤワな鎮守府は
海特警には一つも存在しなかった
それに武装集団を組織するにしてもそれなりの
準備期間と最低限の訓練が必要になる
たとえ武器だけあっても、いきなり今日明日に
動く事は出来ないだろう、それが例え片道切符
だとしても‥‥‥
多聞なら本当に一両日中に正確な情報を送って
来るだろう、自分達ならそれから迎撃体制を
整える事も出来る、その時は存分に返り討ちに
してやろう‥‥‥
【ヒィッツ提督】
「多聞からの情報が上がり次第反撃じゃい!
謎鎮と海特警に喧嘩売った事を後悔させて
やる!こいつは景気づけじゃいーーー!!」
(ズブ!ズブ!❤グチョ!グチョ!❤)
【足柄・デストリア】
「❤あはぁ~ん❤あはぁ~ん❤」
【ガトランティス】
「余を!余を癒してくれぇぇぇ~~❤❤❤」
戦いを前に気合いを入れるヒィッツ提督
しかし戦いは思わぬタイミングで始まった!
≪ダッフィーのダの字は堕落のダァァ…≫
≪ダッフィーのフの字は腐敗のフゥゥ…≫
≪ダッフィーのイの字は異端のイィィ…≫
≪ダァッフィィィィィィ……≫
独特の着信音と共に携帯に電話がかかってきた
【ヒィッツ提督】
「もしもし、夜のお供にヒィッツだが?」
【多聞 風都】
『お楽しみの最中にすまんが緊急事態だ!!奴らの
攻撃目標は『天龍児童園』だ!!』
!!!!!!
その場にいた(目を覚ましてる)全員のモードが
一瞬で切り替わった!
【足柄】
「なんですって!!?」
【ヒィッツ提督】
「‥‥いつだ!?襲撃日はいつになる!?」
【多聞 風都】
『今日だ!!今既に始まってる可能性もある!』
【デストリア】
「そんな!!」
【ガトランティス】
「子供達‥‥‥きよし!!」
【ヒィッツ提督】
「何も準備が出来てないのに襲撃するのか!?」
【多聞 風都】
『例の武器が『豊橋港(愛知)』に運ばれ、直ぐ
に東に移動した事が分かった!
本部のクソ長官を締め上げたところ、適当に人数
だけをかき集めて武器を配っただけの連中を突入
させようとしている、それも今夜だ!!』
【ヒィッツ提督】
「アホかあいつら!?そんな素人連中に武器を渡し
ただけの烏合の衆に成功させられると思ってるの
か!?」
【多聞 風都】
『奴らの狙いは『攻撃を行う』既成事実を作る事
で俺達に警戒感を持たせ、その隙に自分達の足元
を固める、その為の時間を稼ぐ事だ!襲撃の成否
は奴らにはどうでも良い事らしい、襲撃する連中
や児童園の子供達がどうなろうとな!』
【ヒィッツ提督】
「なんてこった!!」
【多聞 風都】
『すまんヒィッツ‥‥奴の‥‥三木之の腐った
思考は俺の想像以上だった!‥‥奴は俺達とは
全く別次元のベクトルで動いていたんだ!
その事を見極めてさえいれば‥‥‥』
【ヒィッツ提督】
「多聞!油断してたのは俺も同じや!後悔は後で
いくらでも出来る!今すべき事は!‥‥‥」
いつの時代も、最も奇襲に適した時間帯は
『0400時』だと言われている
とすると、今の時間は‥‥‥‥
0402時‥‥‥
【ヒィッツ提督】
「お前ら!!このまま今すぐ出撃じゃあ!!」
【デストリア】
「みんなまだ寝てますデスよ!?」
【ヒィッツ提督】
「俺達だけで行く!!」
【デストリア】
「てーとくも私達も真っ裸デスよ!?」
【足柄】
「だったら何よ!?ニップレスを着ければいい
じゃない!!後はこの手でぶん殴る!!」
【ガトランティス】
「きよしや子供達の危機なのだぞ!!そなたは
親友の『ユークス』が心配ではないのか!?」
【デストリア】
「!!‥‥ユークスちゃん‥‥」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【UX-01】
「✨ハイ♪デストリアちゃん♪あ~ん♪❤✨」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【ヒィッツ提督】
「‥‥何なんだ?この回想シーンの光景?‥‥」
【デストリア】
「‥‥‥‥!!!」(ピタッ!ピタッ!ピタッ!)
デストリア、秘部と乳首にニップレスを装着して
一言!
【デストリア】
「てーとくー!!皆さーん!!今すぐ助けに
行きましょー!!ゲートオブガミローン!!」
盟友達と子供達を助けるべく!今ここに
裸の提督とニップレス軍団が立ち上がった!
どうなる!?今日の天気!!
(後半に続く)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ガディキンさん、ヒィッツ提督と足柄達を
ギャグ担当にしてしまいました
申し訳ありません、でもまたお願いします
(この通り!なんつって)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(前半のエピローグ)
時は12時間ほど遡る‥‥‥
豊橋のショッピングモール‥‥‥
【那珂】
「今日のファンイベントは大成功♪きゃは♪✨」
【キSE-X07号】
「今回もバッチリ決まったっす♪流石は
那珂ちゃんっす♪」
【那珂】
「マネージャーさん♪ありがとー♪」
【キSE-X07号】
「喜んで貰えて何よりっす♪」
『那珂ちゃんファンイベントin豊橋』は無事
終了、地に足を付けた地道な活動を続ける、
謎の鎮守府所属『那珂』と彼女のマネージャー
を志願したジュラル星人『キSE-X07号』の
二人は、ショッピングモール内の食堂で軽い
打ち上げをしていた
【那珂】
「ねえ亮ちゃん、那珂ちゃん本当に感謝してる
よ、那珂ちゃんのアイドル活動をここまで
フォローしてくれて♪」
【キSE-X07号】
「俺は『那珂ちゃんファンクラブ』の東海北陸
支部長も兼ねてるっすよ、当然の役目っす♪」
キSE-X07号は、擬態して地球人に変装する時
は『亮太』と名乗っている、だから那珂は彼を
『亮ちゃん』と呼んでいる
【那珂】
「でも良いの?本当に、ジュラル星人ってさ、
地球を侵略しに来たんだよね?那珂ちゃんは
そんな事絶対反対だけど、亮ちゃんはジュラル
なんだし、こんなに地球の艦娘と関わったら
仲間からどんな目で見られるか‥‥」
【キSE-X07号】
「俺はどんな時だって那珂ちゃんファンすよ!
それはこれからも変わらないっす、それに‥
‥‥那珂ちゃんには話すんすけど、俺も地球
侵略には反対っす!」
【那珂】
「そうなんだ、まあ亮ちゃんならそう言うと
思ってたけど‥‥」
【キSE-X07号】
「ジュラル星人も地球人も、姿こそ違っても
同じ人間っす、勿論艦娘のみんなだって人間
っすよ、人間同士で征服だの侵略だの、そん
なの間違ってるっす!」
【那珂】
「そっかあ、ジュラルの人達がみんな亮ちゃん
みたいに考えてくれたらなぁ~」
【キSE-X07号】
「これは俺の理想なんすけど、俺は必ず魔王の
考え方を変えてみせるっす、そして地球侵略
なんて止めさせるっす、俺の直感すけど、そ
れって決して不可能じゃないって思ってるん
すよ」
【那珂】
「そんな事まで考えてるの!?亮ちゃんて
凄いんだね!」
【キSE-X07号】
「そんな事ないっすよ、俺の考えなんすけど
魔王っていつもアホな事ばかり繰り返して
いて、本気で地球侵略する気があるのか疑問
だったんすけど、最近思うんす‥‥
魔王は、進攻や侵略って言葉に隠れて、本当
は地球とジュラルの共存を模索してるんじゃ
ないかって、ジュラル本国の目もあるから
地球進攻中のポーズも見せないといけないし
、中々大変なんだろう‥‥て、まあ俺の勝手
な想像なんすけどね」
ジュラル魔王が率いる地球進攻軍団の主流派
こと『移住派』は、ジュラル星人の中では
穏健派と言ってもいい、ただ残念なことに
『ジュラル特選隊』に代表される『殲滅派』
と比べるとその勢力は圧倒的に弱体であった
ジュラル本国からの方針により、かつて
ジュラル魔王の下にいた軍団の多くが
『殲滅派』の傘下に組み込まれてしまった
地球で凶悪な事件を起こしているのはこの
軍団である
ジュラル魔王は、自身の勢力がどれだけ少な
くなっても方針を変える事は無かった
そして『キSE-X07号』『カサマTU-X04号』
は、そんな魔王に付き従う数少ない部下で
あった
【那珂】
「亮ちゃんらしいね、亮ちゃんてさ魔王さん
の事が好きなんだね♪だから信じてるんだ
ね♪」
【キSE-X07号】
「‥‥まあ、好き嫌いはともかく信じてはいる
っすよ、あの人はみなしごだった俺の育ての親
でもあるっすからね‥‥」
【那珂】
「えっ!?そうなの?」
【キSE-X07号】
「今度詳しく話すっすよ、それよりお腹空いた
んじゃないっすか?何か食べましょう♪」
【那珂】
「うん♪お腹ペコペコ~♪あっそうだ!今日は
那珂ちゃんがおごるからね~♪」
【キSE-X07号】
「えっ!?そんなの悪いっすよ!」
【那珂】
「良いの良いの♪亮ちゃんマネージャーさんに
はお世話になってるし、ファンを大切にする
のはアイドルの基本だからね♪‥‥‥」
【キSE-X07号】
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
【那珂】
「‥‥‥亮ちゃん?どうしたの?」
【キSE-X07号】
「シッ!‥‥静かに‥‥」
亮ちゃんの様子が急に変わった‥‥‥
【キSE-X07号】
「‥‥二つ後ろのテーブルに男が二人‥‥
座ってるのが見えるっすか?‥‥」
キSE-X07号は、声を低くして呟くように
話す‥‥‥
【那珂】
「‥‥うん、見えるけど?‥‥」
【キSE-X07号】
「奴らの話‥‥‥どうも怪しいっす!」
【那珂】
「‥‥えっ!?」
そう言われたら聞くしかない、那珂も
その男達の会話に聞き耳を立てる‥‥
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
【襲撃犯】
「‥‥約束通りの報酬は貰えるんだろうな?
危ない話なのは何となく想像出来るけどよ」
【特高警察隊員】
「仕事をやり遂げたらいくらでも払ってやる
その代わり逃げるなよ!軍隊経験者は少ない
、あんたに抜けられたら‥‥‥」
【襲撃犯】
「金さえ貰えたら仕事は必ずやるさ、こんな
人の集め方してるんだ、どうせまともな仕事
じゃないんだろ?」
【特高警察隊員】
「詮索は不要だ!」
【襲撃犯】
「分かってるさ」
【特高警察隊員】
「今から集合場所に案内する、ここから東に
行ったところだ」
【襲撃犯】
「ここは‥‥山の中じゃないか?」
【特高警察隊員】
「隠し事には好都合だろう?」
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
【那珂】
「‥‥東?‥‥山の中?‥‥」
二人の男達テーブルから立ち上がると
そのまま歩いていく‥‥‥
【キSE-X07号】
「‥‥何か怪しくないっすか?」
あの男達の会話に気付いて聞き取っていた
とは、流石はジュラル!
因みに豊橋から東に向かって、『潮見坂』か
『多米峠』を越えていくと『浜名湖』がある
【那珂】
「‥‥‥川内ちゃん!!」
那珂の脳裏に、彼女の姉とその家族の顔が
浮かぶ‥‥‥
【キSE-X07号】
「追いかけるっすか?」
【那珂】
「もちろん!!」
二人はテーブルを立つと、男達の後を追った
【阿武隈】
「分かったわ、私の説明が必要なのね?
このお話は二次創作でフィクションです
作品中の設定や固有名詞は全て架空なので
どうか本気にしないでください‥‥‥て!
聞いてくださ~~い!」