※この作品はR-18です。

へたれ提督と生きる為の鎮守府ー抜錨!チャージマン研外伝   作:六本脚のジャイアンS

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10月30日は『川内』の進水日です

これにちなんで特別回想録を書いて見ようと思いました

二人の過去、特に海軍での立場を棄て脱走に至るいきさつを、今年はどこかで書いてみたいと思っていました

回想録は何編かに分けて投稿する予定で、今回はその一作目です
ストーリーの展開上、品位に欠ける台詞や胸糞シーンも出て来るかもしれません

それをご容赦頂ければ、ゆっくりしていってね



【特別回想録 10.30 】全てを棄て、愛が生まれた日

10月29日

 

もうすぐ日付が変わる‥‥‥

 

 

六本脚鎮守府の埠頭に係留された一隻の艦艇がイルミネーションで飾られ光り輝くオブジェのようになっている

 

今年の初頭に謎の鎮守府の技術屋トリオの手により改装が完了した『リサイクル戦闘艦第46号』である、専用ドックも完成し、回航も完了して、はれて六本脚鎮守府に配備された

 

 

【ホーネット】

「Beautiful、綺麗ね、皆で飾り付けした甲斐があったんじゃない?」

 

【清霜】

「うん♪そうだね」

 

【アンドロメダ】

「提督も気合い入ってたからなぁ~」

 

【清霜】

「これは言ったら『ママ』の分身だもん、パパだって気合い入るよ」

 

【ホーネット】

「早くネームが決まるといいわね」

 

 

今年実施された輸送作戦の最中に救助(ドロップ)され、晴れて六本脚鎮守府の家族の一員となった『ホーネット』とめだきよ姉妹はそんな感想をもらす

 

この『46号』は、あのジュラル星人が海底からサルベージしたかつての軍艦‥‥

『川内型軽巡洋艦』を母体としていた

ジュラル星人がリサイクルして改装したこの『46号』は、謎の提督ヒィッツカラルドにより、もう一隻の『57号』共々強奪され鹵獲された

技術者トリオはこの2隻を現代の最新技術と自身の改装スキルで大改装した訳である、ただし、外観はあくまで母体となった艦艇のスタイルを踏襲したまま、つまり見た目は大きな変化は無くとも中身は全くの別物という事である

 

その『57号艦』改め、特務巡洋艦〈秩父〉は『46号艦』に並んで接港している

同じくイルミネーションに飾られて華やかさを演出していた

 

 

【足柄】

「まあ、悪くはないわね、あいつの進水日を祝うのに飾り付けされたのは妙な気分だけど」

 

【潮】

「良いじゃないですか?あの足柄さん(秩父)も、綺麗ですよ♪」

 

【浜波】

「うん‥‥とっても‥‥綺麗♪」

 

【足柄】

「‥‥まあ、あんた達が喜んでくれるならそれで良いわ」

 

 

因みに『46号艦』の素体は『川内』、『57号艦』こと『秩父』の素体は『足柄』であるとそれぞれ判明している

 

その『46号艦』を眺める、車椅子の少女が一人‥‥‥

 

 

【磯波】

「‥‥とっても‥‥きれい‥‥」

 

 

単純に綺麗な物に感動している‥‥と言うよりは何かを思い出して感慨深くなっている様子であった、そんな友人で同僚の姿に気付いた潮は‥‥

 

 

【潮】

「磯波ちゃん?どうしたの?」

 

【磯波】

「うん‥‥ちょっとね‥‥」

 

【足柄】

「磯波だっけ?、今回は招待を受けてくれてありがとね、潮から話は聞いてるわ、私が言うのも変だけど、潮がお世話になってるわね」

 

【磯波】

「いっ‥いえそんな!私の方こそ潮ちゃんにはお世話になってますから‥‥」

 

【潮】

「もう!足柄さんは私の親ですか?」

 

【足柄】

「あんたが私に甘えん坊だからいけないのよ」

 

【潮】

「///う~~‥‥///」

 

【磯波】

「‥‥クスクス♪」

 

【浜波】

「‥‥クスクス♪」

 

 

足柄と潮そして浜波の三人は、かつて同じ鎮守府に在籍していた過去を持つ古い知り合いであった、その潮の同僚と言う事で、磯波も特別に招待されたのである

 

 

【那珂】

「みんな~♪ありがとう~♪那珂ちゃん日またぎライブ、まだまだ続くよ~♪」

 

【キSE-X07号】

「しゃあ!みんな!もっと那珂ちゃんを盛り上がっていくっす!!」

 

【隼鷹】

「つくづく、あんた本当にジュラルなのかい?」

 

【ゼネラル】

「それを手伝ってる俺達も大概だけどな」

 

【那智】

「踊れるアイドル那智ちゃんの出番なのだ!行くぞ相棒!」

 

【海風】

「はい!♪」

 

【榛名】

「榛名は日付が代わっても大丈夫です♪」

 

【ラビアンローズ】

「ビールにおつまみいかがっすか~♪」

 

【夕立】

「がーるる~♪」

 

 

 

【足柄】

「あっちはあっちで騒がしいわねえ!」

 

【潮】

「凄い‥‥盛り上がりですねぇ‥‥」

 

 

46号艦の艦上ではこのライトアップに便乗して那珂ちゃんミニライブが敢行されていた、各方面から飛び入りで参加してきたバックダンサー達も盛り上がり、小売りで商売してる奴も‥‥‥

 

そんな謙遜とは無関係に‥‥‥

 

 

【磯波】

「本当に‥‥‥きれい‥‥‥」

 

 

明るく装飾された『46号艦』を見て、磯波はもう一度呟く

それを見た足柄は‥‥‥

 

 

【足柄】

「(潮から話を聞いた時はまさかって思ったけど‥‥まさかこんな形であんたに再会する事になるなんてね、磯波、これも運命と縁ってやつかしら)」

 

 

足柄、振り返って執務室のある建物の窓を見る‥‥

 

 

【足柄】

「もうすぐ日付が変わる‥‥か、あの二人は何を想ってるでしょうね」

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

執務室の窓からも埠頭に係留されて光り輝く2隻の艦艇がよく見える

その内の一隻はかつての自分の姿、分身のようなものだ

 

だが、彼女の思考は別の場所にあった

 

 

【川内】

「もうすぐ‥‥あの日になるね、提督‥‥」

 

【へたれ提督】

「ああ、そうたな‥‥毎年この日が来るのは当然だが‥‥こればっかりは気持ちが馴れる事は無いな」

 

【川内】

「アタシも同じ‥‥特別な日だからね‥‥」

 

 

ほんの気持ち程度だが、お祝いの食事と少量のシャンパンが用意されている、今夜は執務室で二人きりでお祝いだ

明日の夜は家族でお祝いとなるだろう

 

 

【へたれ提督】

「日付が変わる‥‥川内、グラスを」

 

【川内】

「‥‥うん♪‥‥」

 

 

二人は少量のシャンパンが注がれたグラスを持ち上げる

と同時に時計が正午を刻んだ

 

 

ウ゛ゥーーーーーーー‥‥‥‥

ウ゛ゥーーーーーーー‥‥‥‥

 

 

船の汽笛が短い時間だけ鳴り響いた

 

日付は『10月30日』になった

 

 

【へたれ提督】  

「川内、誕生日(進水日)おめでとう」(チーーン‥‥)

 

【川内】

「ありがとう提督♪‥‥そして、アタシ達の結婚記念日に」(チーーン‥‥) 

 

 

二人はグラスを交わして一口飲む、へたれ提督は下戸なので後は麦茶でお祝いの続きだ

 

 

【川内】

「綺麗だね、あの船‥‥昔のアタシの姿とは思えないや」

 

【へたれ提督】

「ああ、とても綺麗だ、目の前のお前には劣るがな」

 

【川内】

「///もう!すぐそういう恥ずかしい冗談言うんだから~///」

 

【へたれ提督】

「俺は何時だって本気だぞ?」(キッパリ)

 

【川内】

「///‥‥う~~///」(モジモジ)

 

 

今日は特別に、執務室の机の上に多くの写真立てが並んでいる

想い出の写真からこれまで世話になった人達との写真が収まっていた

 

その中には、二人がまだブロック海軍に所属し、横須賀で奮闘していた時代の写真も一枚だけ存在した、その写真は二人が配置されていた房総半島、勝浦の監視所の前で撮った写真、そこには三人の人物の姿があった

このうち二人は当時のへたれ提督と川内、そしてもう一人は‥‥‥

 

 

【川内】

「‥‥アタシ達ってさ、色んな人達に助けられて今日まで来られたんだね」

 

【へたれ提督】

「そうだな、二人でやっと一人前の俺達がここまで来れたのもそのお陰だ、俺達は運がよかった、だがな川内‥‥」

 

【川内】

「‥‥何?提督‥‥」

 

 

珍しくへたれ提督が真面目な(似合わない)顔をして川内を正面から見つめる

 

 

【へたれ提督】

「ナレーション!大きなお世話だ!まあそんな事はとうでもいいとして‥‥」

 

【へたれ提督】

「この鎮守府があるのも俺達があるのも大勢の人達に助けて貰った事は間違いないが、俺自身、ここまでこれたのは………川内……何もかもお前のおかげだ」

 

【川内】

「提督………ねえ提督?今アタシ……とっても幸せよ、それは全て、提督がいてくれたから……清霜やメダ子の母親になって……妹達にも会えて……大切な家族が出来て素敵な仲間にも出会えて……それって全部、提督がアタシを愛してくれたから……提督が全てを捨てて、世界中を敵に回す覚悟をしてまでもアタシを選んでくれたから……」

 

【へたれ提督】

「よせやい、俺はそんな大層な男じゃない、ただ自分の本心に素直に従っただけだ、ただ川内と一緒に居たかったから、それでも川内には苦労かけてばかりだったけどな」

 

【川内】

「アタシは提督と一緒に居られて苦労なんて思った事は一度も無いよ?提督はずっと優しくしてくれて、アタシを護ってくれて‥‥‥アタシは少しでもその恩に報いられてるのかな‥‥‥」

 

【へたれ提督】

「お前が常に側に居てくれる事が俺にとって最大の報いだよ」

 

【川内】

「//もう!またそんなはずかしい事言って~!//‥‥でも、提督らしい‥‥フウッ♪❤✨」

 

【へたれ提督】

「‥‥‥‥川内!」

 

【川内】

「✨なあに?提督?✨」

 

 

一瞬見せた、眩しすぎる川内の笑顔を見せられたへたれ提督は思わず‥‥

 

 

【へたれ提督】

「結婚しよう!」(ガシッ!)

 

【川内】

「いやいや!もう結婚してるし!アタシ奥さんだし!」

 

【へたれ提督】

「分かってるけど!お前が可愛い過ぎるからもう一度結婚したくなった!」

 

【川内】

「提督!大丈夫?酔っ払ってない?」

 

 

そういえば、シャンパンを一口飲んだせいか、へたれ提督の顔は少し赤くなっている、アルコールに弱い人間は少量の飲酒でも顔に出てしまうものだ(経験則)

 

繰り返しになるが、へたれ提督は下戸である、ついでに痔持ちである

 

【へたれ提督】

「やかましい!!」

 

【川内】

「提督?さっきから誰に突っ込んでるの?」

 

 

あの『母里 友信』は『福島 正則』から『日本号』を酒の飲み比べで分捕ったというのに‥‥‥

 

 

おつまみ代わりに出された軽食は川内の得意料理『鰯団子』である

それを見た川内は‥‥‥

 

 

【川内】

「‥‥ねえ、提督?最初のキスの事、覚えてる?」

 

【へたれ提督】

「忘れる訳がないだろ?あんな濃い味のキス」

 

【川内】

「だったら~♪‥‥‥(パクっ)」

 

 

あの時と同じように、鰯団子を口にくわえる川内‥‥

 

消耗品扱いされていた一人の擲弾兵に人間の心を取り戻したのは、川内の鰯団子とファーストキスであった

(第六話『ファーストキスは鰯団子の味』参照)

 

 

【川内】

「‥‥んっ♪❤」

 

【へたれ提督】

「んっ‥‥て、おい、あれやるのか?」

 

【川内】

「んっ!❤」(グイッ)

 

 

鰯団子をくわえて口を前に突き出してくる川内は、あの時のファーストキスをおねだりしている‥‥みたいだ

 

 

【へたれ提督】

「まったく‥‥据え膳食わぬは男の恥だな、それじゃ遠慮なく‥‥いただきます!」(パクっ)

 

【川内】

「むぎゅっ!❤」

 

 

へたれ提督は鰯団子ごと川内の唇に食らいつく、そしてそのまま‥‥‥

 

 

(モグモグ‥‥ジュル‥‥ジュルルル‥‥)

 

 

【川内】

「うっ❤️……んぐっ❤️……」

(トロ~~ン❤)

 

 

鰯団子はあっという間に二人の口の中で解れてしまい、今はお互いの舌をからめ合う濃厚なキスに‥‥‥

 

 

【川内】

「‥‥んぐぅ‥‥‥提督‥‥しゅきぃ❤❤」

 

 

横須賀時代の二人の写真に写っているもう一人の艦娘‥‥彼女は写真の中で微笑んでいた、まるで今の二人を見守るように‥‥‥

 

 

BC1923年 10月30日

軽巡洋艦『川内』進水日

 

この日は全ての艦娘『川内』の誕生日として認知されている

 

 

NUC0107年 10月30日

『へたれ提督』と『川内』結婚

 

それは、他に祝う者も誰も居ない、二人だけで永遠の愛を誓いあった日であった

 

そしてその日、二人は海軍を棄てた、そして脱走した

 

二人の愛を貫く為に、世界を敵に回す(かもしれない)道をあえて選んだ瞬間であった

 

 

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【磯波】

「あの日も‥‥こんな夜だったかな‥‥」

 

 

 

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 【特別回想録 10.30 】

 

   《全てを捨て、愛が生まれた日》

 

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NUC0105年 4月1日

 

連邦統合海軍省人事局長『土方 龍』元帥によって、初期の鎮守府制度が復活した

正規軍人と官僚に牛耳られていた『艦娘を指揮する提督』の地位は取り戻された

 

適性ありと判断されれば何者でも、身分も出自も(人間であるかどうかすらも)関係なく提督になれる時代が復活したのだ

 

しかし、ある二人にとってはある意味とんでもないエイプリルフールとなった

 

 

『チェンバロ2号作戦』の大失敗で失った戦力の回復を上位組織である『帝国海軍』から厳命されていた『アジア・オセアニアブロック自治海軍』は、この制度を逆利用して強引な戦力再建計画を強行した

 

何しろ『連邦統合海軍』と『帝国海軍』からある意味『お墨付き』を貰っているのだからやりたい放題とも言えた

 

『帝国海軍』も大きな被害を受けて戦力再建を急いでおり、この制度に便乗していたのは同じであったので『アジア・オセアニアブロック自治海軍』のやり方にあまり口出しする事は無かった

 

『ブロック海軍』は、かつて軍の都合で軍から追い出した者達を強制徴募し、形だけの部隊を編成して各地に配備した

中には海軍の経験が皆無の陸軍兵士や、長年の酷使で身体に異常を負った艦娘も含まれていた、『ブロック海軍』はまともな再訓練も支援も皆無のまま、これらの強制徴募者達を部隊に配備して海軍の体裁を先ず整えようとしたのである

 

同時にこれらの部隊は、本格的な戦力が整うまで深海棲艦からの攻撃を防ぐ為のバリケード、被害担当戦力でもあった

 

こんな状況であったから、強制徴募された内の二人、元擲弾兵の『見習い少尉』(当時のへたれ提督)と、彼に付いて秘書艦となった『川内』の二人にはまともな支援など期待できる訳も無かった、ましてやそこに個人的な私怨も加わったとなれば‥‥‥

 

 

 

NUC0106年

 

横須賀、ブロック自治海軍司令部、艦政本部

 

 

【見習い少尉】

「また配属はお流れですか?」

 

【艦政本部次長】

「君達の監視所に新規配備する予定はそもそも無い」

 

【見習い少尉】

「何故ですか?連日の哨戒任務で我々は復数人の艦娘を海上で救助してきました、しかし、艦政本部に預けた彼女達は誰一人として我々のところには配属されない!何故です!?」

 

【艦政本部次長】

「だから言っただろう!お前達に渡す艦娘なんかいないとな!」

 

【川内】

「‥‥‥‥‥‥‥‥」

 

 

艦政本部は本来、艦船の建造計画や配備計画を担う部署である

 

そんな艦政本部が艦娘の配属(配備計画)を担っているのは、当時のブロック海軍では『艦娘』はあくまで『人』ではなく『人の形をした兵器』であったからだ

 

これが軍人なら人事部の管轄になるのであろうが

 

 

【見習い少尉】

「今の俺達は逆さに振っても二人しか居ないんですよ!それでも命令と任務だけはキッチリやって来る!補給もそうだが戦力が決定的に不足してる状況でもです!」

 

【艦政本部次長】

「そこを何とかするのが君達の仕事だろう!」

 

【見習い少尉】

「限界だから言ってるんですよ!」

 

【川内】

「少尉、落ち着いて」

 

【艦政本部次長】

「我々は海軍を再建する為に戦力整備の最中なんだ!おまえらがここに居られるのもそのお陰なんだぞ!そうでなければ誰が擲弾兵なんか将校にするものか!」

 

【川内】

「‥‥‥‥(ギリッ!)」

 

【艦政本部次長】

「ただでさえ戦力が足りないんだ!お前達に艦娘を回してる余裕は無い!」

 

【見習い少尉】

「だったら何で本部に艦娘達があふれているんだ?」

 

 

艦政本部、というよりはブロック海軍本部には、配属先が決まらない艦娘達が多く待機状態に置かれていた、受け入れる部隊の器がまだ充分整備されていないとの話だが‥‥‥本当のところは見習い少尉にも分からない

 

とは言え、本部が配属先の決まらない艦娘で溢れかえっているのも確かだ

艦娘に余裕が無いという次長の台詞には何の説得力も無い

 

 

【艦政本部次長】

「我々の管轄だ!貴様が口出しする事では無い!!」

 

【見習い少尉】

「どうしても必要だから直談判に来てるんだ!俺達が救助した娘達の中から一人だけでも良い!新規の艦娘を配属させてくれ!俺達も一応は部隊の看板をあげているんだから救助した艦娘の優先配属権はあると思うんだがな?」

 

【艦政本部次長】

「うるさい!!黙れ!!それも含めて我々が決める事だ!!」

 

 

勝浦の監視所に配属されてから、見習い少尉と川内は二人だけで戦い続けていた

 

任務のたびに海上で艦娘を救助(ドロップ)しては艦政本部に届け出を繰り返す日々を過ごしていた

 

本来なら救助した部隊にその艦娘の優先配属権がある筈であったが‥‥

艦政本部からはなしのつぶて、誰一人として艦娘が新しく配属される事は無かった

 

それでも一応部隊の看板を持たされている以上、仕事はキッチリやって来る

それでも今までは何とかなっていた

『ドルフ・ヴァレンシュタイン』との出会いから『Lメタル・ヒュッケバイン社』の援助を受けていたから、補給と装備の補充には最低限の目処が立っていた

 

それでも限界は近づいて来ていた

指揮官一人の他は、艦娘が『川内』一人だけとなればどうしても艦娘の補充は必要であろう

 

もしこのままの状況で、いずれ任務に失敗したともなれば‥‥‥

当然あの男、『三木之 苗夫』が黙っている訳がない

これ幸いとばかりに二人に罪をでっちあげて、二人を始末しようとするだろう

 

それが分かり切っている状況ではなおのこと、艦娘の補充は避けては通れない

 

おそらくこの次長も『三木之 苗夫』の息が掛かっているのだろう

そうでなければ戦力強化にここまで意固地に反対する理由がない 

 

 

【艦政本部次長】

「擲弾兵風情が人間様に口答えするな!!さっさと勝浦に帰れ!!」

 

【川内】

「!!‥‥‥(ギリリッ!!)」

 

【見習い少尉】

「これだけ頼んでも艦娘を配属して貰えんのか?」

 

【艦政本部次長】

「艦娘ならそこに居るだろうが!」

 

 

艦政本部次長は川内を指差した、失礼な男だ

 

 

【見習い少尉】

「川内は確かに優秀だ!しかし一人だけでは負担が大き過ぎる!だから新しい艦娘の配属を頼んでいるんだ!」

 

【艦政本部次長】

「だったら貴様ら二人で倍働けば良いだろう!これ以上文句を言うなら、そこの艦娘も取り上げるぞ!?」

 

【川内】

「!?‥‥そんな!!」(ガシッ!)

 

【見習い少尉】 

「大丈夫だ川内、お前は誰にも渡さん」(グッ‥‥)

 

 

『人間軍人』を信用出来なくなっていた川内は、次長の捨て台詞に過敏に反応した

川内は見習い少尉の腕にしがみつく、見習い少尉は心配するなとその手を握る‥‥

 

 

【見習い少尉】

「次長、川内は俺の大切な相棒だ、誰にも渡す気はない、あんたにもあの男にもな」

 

【艦政本部次長】

「命令違反で軍法会議にかけてやるぞ!!」

 

【見習い少尉】

「俺は人間じゃないんだろ?それとも軍法会議だけは人間扱いしてくれるのかな?」

 

【艦政本部次長】

「減らず口を!!‥‥まあいい!魚雷を撃てない軽巡なんて所詮何の役にも立たん!お前らの好きにすればいい!お似合いのコンビだよ!」

 

【川内】

「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」

 

【見習い少尉】

「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」

(コツ コツ コツ‥‥)

 

【川内】

「‥‥?少尉?」

 

 

見習い少尉は無言で艦政本部次長の前に近づくと‥‥

 

 

【艦政本部次長】

「きっ!?‥‥貴様!何だその目は!?」

 

【見習い少尉】

「あんた‥‥そんなにあのボンボンが恐いか?」

 

【艦政本部次長】

「なっ‥‥何だとぉ!‥‥」

 

【川内】

「少尉!待って!」

 

 

艦政本部次長の川内に対する発言で、見習い少尉の様子は一変した

 

 

【見習い少尉】

「俺の事はいい‥‥だが、あんたの目は節穴だな、川内程の優秀な人材の能力を完全に見誤っているんだからな、よくそれで艦政本部なんか勤まるもんだな?」

 

【艦政本部次長】

「おっ!‥‥おのれ!‥‥」

 

【川内】

「少尉お願い!落ち着いて!」

 

【見習い少尉】

「大丈夫だよ川内、俺はいたって冷静さ」

 

 

見習い少尉は感情を抑えて淡々と話す

川内は理解した、間違いない、彼は怒っている

 

 

【見習い少尉】

「次長、あんたを頼った俺達が馬鹿だった、階級は上の筈なのに三木之の下僕に成り下がったあんたに頼んでも補充は永遠に無理だと理解したよ」

 

【艦政本部次長】

「いっ!!‥‥言わせておけばぁ!!貴様らが三木之中佐に逆らったからこんな事になってるんだろうが!!自業自得だろう!!」

 

【見習い少尉】

「奴が勝手に逆恨みしてるだけだ、自業自得は奴の事だろう?」

 

 

因みに三木之 苗夫(ジャギ)はこの時中佐、艦政本部次長は大佐である

階級は上でも、艦政本部次長は三木之の下僕であった

正確には、三木之の凶暴性と三木之の父親の権力の下僕であった

 

以前、自らの不祥事(作戦失敗)で降格させられ、更に作戦部から補給部に回された事で、三木之は見習い少尉と川内の二人を徹底的に逆恨みしていた

 

それ以来三木之は、二人の足を散々引っ張るだけでなく、勝浦から横須賀に何度も呼び出しては『怨み節』の連呼を喚き散らすのが日常となっていた

 

三木之が怨み憎んでいる相手は二人だけではないので、三木之の憎悪の全てが二人に降りかかっている訳ではない、しかし何か機会があれば見習い少尉達を落しめてやろうとしている事は明らかだ

現に補給部から少尉達への補給はほぼ皆無に等しい

 

 

【艦政本部次長】

「貴様らにやる艦娘は無い!!さっさと出ていけ!!」

 

【見習い少尉】

「分かった、もう頼まんよ、その代わり次に誰かを救助(ドロップ)したら、その艦娘は俺達が貰うからな」

 

【艦政本部次長】

「勝手な事をするな!!」

 

【見習い少尉】

「あんた今言っただろ?俺達の好きにして良いんだよな?補給だって自前で何とかやり繰りしてるんだ、それくらい大目に見られても罰は当たらんさ、それに戦力整備が遅れたせいで実働部隊が結果を出せなかったとなれば、それは艦政本部の責任にもなる」

 

【艦政本部次長】

「責任だと!?」

 

【見習い少尉】

「特に次長であるあんたは、上官からも部下からも全部の責任を押し付けられる可能性が高いだろうなぁ、中間管理職も大変だなぁ、ご愁傷様」

 

【艦政本部次長】

「おっ‥‥おのれ!‥‥」(ヒクヒク)

 

【川内】

「少尉!もうそのくらいで‥‥」

 

【見習い少尉】

「ああ‥‥そうするか」

 

 

今更上役の一人や二人に嫌われたところで、もうどうという事はない

先方が既にそういう姿勢なのだから、こちらが何をやっても無駄だ‥‥

 

そう考えて行動してしまうあたり、見習い少尉は指揮官としてはまだ未熟だったのかもしれない、それでも男には譲れない一線がある

 

 

【見習い少尉】

「俺達は、あんたの大好きな『中佐様』にも呼び付けられているから、これで失礼する、せいぜい達者でな」

 

【艦政本部次長】

「出ていけぇーー!!」

 

【見習い少尉】

「ああ、それとな!」

 

ガシッ!! 

 

【艦政本部次長】

「うっ!?‥‥ウグッ!!」

 

【川内】

「少尉!!やめて!!」

 

 

見習い少尉、突然次長の胸ぐらを掴んで‥‥‥

 

 

【見習い少尉】

「もし今度、川内のことを『役立たず』なんてぬかしてみろ!あんたには死んでもらう事になるぜ!」

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

二人はその足で補給部に直行する、嫌なことはさっさと片付けてしまうに限る

 

 

【見習い少尉】

「御命令により出頭しました、中佐、御用件は何で‥‥‥」

 

ガッシャーーン!!!

 

言うが早いか、補給計画のリストを束ねたファイルが見習い少尉目掛けて飛んできた、少なくとも人に向かって投げ付ける代物では無い

見習い少尉はそれを避けた、ファイルはバラバラになって床に散らばる

 

 

【見習い少尉】

「おいおい‥‥仕事道具をいきなり投げ付ける奴があるかよ?」

 

【三木之 苗夫】

「てんめぇぇぇーーーー!!!何でまだ生きていやがるんだあぁぁぁぁぁ!!!」

 

【見習い少尉】

「その台詞も聞き飽きたよ、用はなんだ?」

 

【川内】

「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」

 

 

部屋に入ってきて、いきなりこれである

 

まるで気が狂ったように怒り狂う三木之補給部中佐を前にして、見習い少尉は心底ウンザリした顔になって言う、およそ上級の佐官に対してとる態度ではないが、これ以上この男に気を使う必要もあるまい

横須賀に来てから約1年、ずっと続いているやり取りだ、今更何をしたところで変わりはしない

 

 

【見習い少尉】

「あんたの望み通り、新規の艦娘は配属して貰えなかったよ、これで満足か?」

 

【三木之 苗夫】

「うーーるせぇぇぇ!!!!」(ガシャーーン!!)

 

 

三木之は追加のファイルを二人に投げ付ける、二人はそれをかわし、ファイルは床に散らばる

三木之の部下である補給部将校がそれを必死にかき集める、いつもの光景‥‥

 

 

【補給部将校】

「はわわわ‥‥‥」(ガサガサ‥‥‥)

 

【川内】

「‥‥手伝いましょうか?」

 

 

【三木之 苗夫】

「勝手に喋るんじゃねぇぇぇ!!!俺の許可無しで勝手に息を吸うんじゃねぇぇぇ!!!人間の真似なんかしやがってぇぇ!!!」

 

【川内】

「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」

 

【見習い少尉】

「俺達は人間だぞ?それに息を吸って喋るのに何であんたの許可が要るんだ?」

 

【三木之 苗夫】

「俺の許可も許しも無く勝手に生きてるんじゃねえって言ってんだぁ!!!俺がこんな吐き溜めの補給部にぶち込まれたのは誰のせいだ!!!

俺の最高司令官の人生計画がぶち壊されたのは誰のせいだと思ってんだぁぁ!!!」

 

【見習い少尉】

「知るかよ、そんな事、鏡でも見て考えたらどうだ?」

 

【三木之 苗夫】

「ぎいいいいいい!!!!!!」(ガタン!!)

 

【補給部将校】

「ひいいい~~やめて~~!!!」

 

 

何故自分がこんな事になっているかだって?自分のこれまでの所業と今の自分の姿を見てみれば解るだろ?

見習い少尉はそう言いたかったのだが、そんな事に思考が及ぶ三木之ではない

 

三木之は机の引き出しから拳銃を取り出し見習い少尉に銃口を向ける

こんな光景すらも普段のルーチンと化している‥‥‥

 

 

【三木之 苗夫】

「‥‥殺す!!!ぶっ殺してやるぅぅぅ!!!」

 

【川内】

「中佐!!お願いだからもう止めて!!!」

 

【見習い少尉】

「全く!何で誰もコイツを病院に入れないんだよ!」(サッ)

 

 

ガゥーーン!!ガゥーーン!!

 

 

言うが早いか三木之は無茶苦茶にトリガーを引いて発砲した

発砲の瞬間、見習い少尉は例によって川内をかばって盾になる

これもいつもの光景になりかかっている、本当に無茶苦茶だ

 

弾丸の殆どは例によって見当違いの方向に外れた

しかし一発だけ見習い少尉の背中をかすめた、弾丸は背中の筋肉に弾かれて跳弾する

 

 

【川内】

「少尉!!!いやぁ!!!」

 

【見習い少尉】

「落ち着け川内、大丈夫、かすっただけだ、それにもう弾切れだ」

 

 

(ガチッ‥‥ガチッ‥‥ガチッ‥‥)

 

 

【三木之 苗夫】

「バカヤロー!!!弾切れじゃねぇかあぁぁぁ!!!」

 

【見習い少尉】

「当たり前だ、撃てば弾切れになるだろうが、相変わらず下手くそが」

 

【三木之 苗夫】

「おい!!てめぇ弾込めろや!!」

 

【補給部将校】

「中佐ぁぁぁ!!もう勘弁してください~!!これ以上本部建物内で発砲するのは!!流石に御父上もこれ以上フォローは‥‥‥」

 

【三木之 苗夫】

「うるせぇぇぇぇぇ!!!カスがぁぁぁ!!!」(ガキッ!!)

 

【補給部将校】

「ぐえっ!!?」(ドシャァ!!)

 

 

父親の事を口に出されて、かえって逆上したらしい

 

三木之は自分の副官である筈の補給部将校を銃のグリップで殴りつける

言うことを聞かない家畜を殴るように‥‥‥

 

床に殴り倒された補給部将校を見て

あのオッサンに比べたら俺達は間違いなく幸運だな‥‥

心の中で呟く見習い少尉であった

 

 

【見習い少尉】

「‥‥用事は終わったようだな、行こう川内」

 

【川内】

「‥‥はいっ‥‥」

 

【三木之 苗夫】

「勝手に行くんじゃねぇぇぇ!!!」

 

 

大きな窓から日の光が部屋にさし込み、その窓を背景にして荒れ狂う三木之のシルエットが強調されている

 

 

【川内】

「‥‥‥‥‥‥‥‥」(ギロッ!)

 

【三木之 苗夫】

「なんだあぁぁぁ!!?その目はぁ!!!」

 

 

【川内】

(……よくも!……よくも!……少尉を撃ったなぁ!!……よくも!……少尉に銃口を向けたなぁ!!…………許さない!!お前なんか!!もう上官でも何でもない!!お前の助けなんか要らない!!お前はアタシの敵だ!!

アタシの……アタシの力だけで……少尉を護ってみせる!!!)

 

 

 

この経験の後、川内はへたれ提督に銃口を向けた者に対しては一切の容赦をしなくなる‥‥‥

 

 

 

【見習い少尉】

「‥‥‥‥‥‥‥‥」

 

 

三木之を睨みつける川内に対し、見習い少尉は何処か哀れみを感じさせる視線で三木之を見る‥‥‥

 

 

【見習い少尉】

「じゃあな中佐、あんたには無理かもしれんがもう少し部下を労ることをお勧めするよ、その部下はあんたの財産だ」

 

 

見習い少尉は川内を伴って部屋を出て行った、三木之の罵声を完全無視して

 

 

【三木之 苗夫】

「てめえ!!!何だその目はぁ!!!人間様に向かって説教垂れやがったなぁ!!!まちやが‥‥」

 

(バタンッ‥‥)

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

海浜公園のベンチ‥‥

 

 

ブロック海軍本部に居続けていればどんな難癖が追撃してくるか分からない

さっさと退散するに限る

 

 

【川内】

「少尉、背中の傷を見せて、手当てしよ?」

 

【見習い少尉】

「大丈夫だよ、かすっただけだから」

 

【川内】

「いいから!!」

 

【見習い少尉】

「‥‥‥‥‥‥‥」(ガサガサ‥‥)

 

 

公園のベンチに腰掛けた見習い少尉は渋々将校用軍装の上着を脱ぐ

見習い少尉の背中には火傷ににた大きな傷痕がある

見習い少尉はこれをあまり川内には見せたくなかった、余計な気を使わせてしまうから‥‥

 

 

【川内】

「‥‥‥‥‥‥‥‥」

 

 

弾丸がかすめた新しい傷痕に薬を塗っていく川内‥‥‥

 

見習い少尉からへたれ提督に至るまで、彼の背中にあり続けるこの傷痕は、擲弾兵時代にソロモン諸島の戦場で川内を深海棲艦の攻撃から庇った時に付いた傷だ

二人はその時、初めて出会った訳である

二人が横須賀にやって来てから背中の傷痕は数を増やしていた

いずれも三木之の八つ当たりの銃撃から、少尉が川内を庇って出来たものだ

 

「俺が不器用だからこんないらん傷を付けるんだ、気にするな」

 

見習い少尉の口癖である

 

この人は‥‥‥優しすぎる!

 

 

【川内】

「‥‥少尉、もういいよ」

 

【見習い少尉】

「‥‥そうか、ありがとう」

 

【川内】

「(お礼を言わなきゃならないのは‥‥アタシの方なのに‥‥)」

 

【見習い少尉】

「川内、座らないか?話をしよう」

 

【川内】

「‥‥うん」

 

 

見習い少尉は上着を着直す、川内は少尉の左隣に腰掛けた

 

 

【見習い少尉】

「なあ川内、何と言うかその~‥‥」(頭をかく)

 

【川内】

「?どうしたの?」

 

【見習い少尉】

「すまん‥‥またやっちまった」

 

【川内】

「?」

 

【見習い少尉】

「新規艦娘の配属の話もパー、三木之の八つ当たりに付き合っただけで何の成果も出せなかった、タンカを切って先方(艦政本部次長)に憎まれて川内にまた迷惑をかける事になっちまった、俺はつくづく指揮官としては『へたれ』だな」

 

【川内】

「少尉、少尉は何も間違ってないよ、艦娘が必要なのは本当だし、新規配属の申請だってずっと前から出してたのに、相手(艦政本部次長)には初めからその気は無かったんだからどうしようもないよ」

 

【見習い少尉】

「しかし、もう少しやりようが‥‥‥」

 

【川内】

「もういいじゃん、次の艦娘を救助したらアタシ達のところに配属させるって宣言したんだから、その時こそ、その娘をしっかりむかえてあげよう?」

 

【見習い少尉】

「そうだな、後ろや下ばかり見てもしょうがない、切り替えていこ!」

 

【川内】

「それより少尉、アタシまた‥‥」

 

【見習い少尉】

「うん?」

 

【川内】

「アタシを護ろうとしてまた少尉が‥傷付く事になって‥‥」

 

【見習い少尉】

「‥‥‥‥‥‥‥‥」

 

【川内】

「アタシは‥‥少尉にその分‥報いられているのかなぁ‥‥」(ショボン)

 

【見習い少尉】

「なあ、川内?」

 

【川内】

「なあに?」

 

【見習い少尉】

「お前、補給部を出る時、三木之の事睨んでただろ?あの時何を思ってた?」

 

【川内】

「あいつの事?」

 

【見習い少尉】

「まあ、そうなるかな」

 

 

そんな事、改めて誰かに聞かれるとは思わなかった川内は、整理した上で感情を抑えつつも本音を吐露する

 

 

【川内】

「アタシは‥‥あいつを‥‥許せない‥‥あいつが憎い!」

 

【見習い少尉】

「それは当然だな、奴はやり過ぎた、ビンソン計画だか何か知らないが、奴はお前を散々ひどい目に合わせておきながらあの横柄な態度だからな、その結果が今の状況だってのに、奴はそれさえお前のせいにして‥‥」

 

【川内】

「アタシの事はもういいの‥‥だけどあいつは大勢の艦娘を不幸にした、自分の出世の為だけに、それが当然の権利って顔して!」

 

【見習い少尉】

「確かに酷い話だ、全く救いようがない奴だな」

 

【川内】

「三水戦の子達も‥‥神通も‥‥あいつの無策で、その無策を覆い隠す為に軍神なんかに仕立て上げられて!‥‥‥」

 

 

神通は川内型の2番艦、つまり川内の妹であり、同じくソロモン諸島の戦いで行方不明となっていた

 

この時、神通が実は生きている事を川内はまだ知らない‥‥

ましてや後に大角提督の紅輪鎮守府の秘書艦となり同じ海特警の一員として再会する事も(正体は知らないが)、姉の夜戦(意味深❤)を堂々と盗撮する性癖の持ち主となる事など知る由もない‥‥

 

 

【川内】

「それでも‥‥あの時、三水戦の子達や神通に何もしてあげられなかったのは‥‥アタシも同罪だと思ってる、だから三木之が補給部に転属になった時点で‥‥」

 

【見習い少尉】

「‥‥‥‥‥‥‥‥」

 

【川内】

「あいつが海軍軍人の一人として、今の自分の任務を誠実にこなしていれば‥‥‥あいつを許せないにしても、もう忘れようとも思えた、たとえアタシの事を恨んでいたとしても‥‥‥だけど!!」

 

【見習い少尉】

「川内‥‥‥‥」

 

【川内】

「あいつは少尉に銃口を向けた!!少尉に向かって発砲した!!

少尉を傷つけた!!!少尉に処理機に飛び込めって!!!‥‥

‥‥アタシは‥‥‥あいつが憎い!!!」

(ギリギリ‥‥‥)

 

 

心の底に溜まった想いを吐き出す川内、見習い少尉はそれを黙って見守る

 

 

【川内】

「‥‥ゴメンね少尉、アタシはどす黒い女よ、こんな話‥‥聞きたくなかったよね」

 

【見習い少尉】

「いや‥‥話してくれてありがとう、川内」

 

【川内】

「‥‥‥えっ?」

 

【見習い少尉】

「辛かったろうに‥‥もっと早く聞いてあげれたら良かったのに‥‥気付いてやれなくて済まなかった」

 

【川内】

「少尉!‥‥そんな‥‥」

 

【見習い少尉】

「俺の事でそこまで腹を立ててくれる人(女性)が側にいてくれて‥‥俺は本当に幸せ者なんだって実感したよ」

 

【川内】

「少尉‥‥アタシは‥‥アタシは‥‥‥ありがとう‥‥」

 

 

自分が側にいる事がこの人にとっての幸福になっている‥‥

自分の心の中のどす黒い面を吐き出したばかりの川内の心が、少し暖かくなった気がした‥‥

 

 

【見習い少尉】

「川内、俺の気持ちも聞いてくれないか?」

 

【川内】

「うんいいよ、教えて?」

 

【見習い少尉】

「俺も三木之の奴は許せない、許す気もない」

 

【川内】

「それはもちろんそうだよね」

 

【見習い少尉】

「俺は川内ほど出来た人間じゃないから、正直自分にされた事についても奴には腹を立てている、でもそれ以上に、奴が今まで川内にしてきた仕打ちを考えると絶対に奴を許す事は出来ない‥‥‥ただ」

 

【川内】

「‥‥ただ?」

 

【見習い少尉】

「今日奴の姿を見てふと考えた事がある、俺と奴の違いについてだ」

 

【川内】

「少尉と三木之の違い?‥‥それは全く別物でしょ?」

 

【見習い少尉】

「確かにそうだ、俺と奴は全く別の人間だ、だが同時に同じ一匹の男として生まれてきた存在でもある、俺と三木之、この間にある決定的な違いはなんだ?‥‥とね

俺には金も権力もコネもない、それでも俺は最高に幸せだ、だが奴はただのクソガキだ、金も権力も有り余っているのにとても幸福そうには見えない

同じ一匹の男でありながら俺達二人をここまで大きく分けた理由は何だろう‥‥てね」

 

【川内】

「少尉とあいつは何もかも違うよ、少尉は正直で優しくてアタシをいつも護ってくれる、あいつは他人に気を使う事なんか絶対にない

まあ確かに、毎日あんなに喚き散らしているあいつを見てたら、幸せそうには見えないよね、いい気味だけど」

 

【見習い少尉】

「俺もいい気味だと思う、それはそれとして今日奴を見た時強く思った事がある

部屋の大きな窓の明かり、それを背景に怒り狂ってる三木之の姿を見た時、俺と奴の決定的な違いに俺は気付いたんだ」

 

【川内】

「決定的な‥‥違い?」

 

 

見習い少尉、あらためて川内を正面から見つめ直して‥‥‥

 

 

【見習い少尉】

「俺には川内がいる‥‥奴には何もない‥‥てね」

 

【川内】

「‥‥‥‥‥‥‥‥」

 

【川内】

///ボムッ!///

 

【川内】

「///ふっ‥‥ふえええ~~!?///」

(アタフタ、アタフタ‥‥‥)

 

 

珍しく真面目な顔を見せる見習い少尉の一言に、一瞬の間をおいて内容を理解した川内は顔を真っ赤にさせた

 

 

【川内】

「///しょっ!‥‥少尉!からかわないでよ!///」

 

【見習い少尉】

「俺は真面目だぞ、川内」

 

【川内】

「///‥‥う~~‥‥///」

 

 

次の反応にに窮している川内を余所に、見習い少尉は続ける

 

 

【見習い少尉】

「窓の明かりを背景にした三木之の周りには誰も居なかった、何も無かった」

 

【川内】

「‥‥‥‥?」

 

【見習い少尉】

「奴の周りは完全な『無』だ、あの光の中で奴は孤独で一人ぼっちだった、本当の意味で奴を支えてくれる者なんて誰も居ない、奴自身もそれを拒絶している」

 

【川内】

「‥‥‥‥‥‥‥‥」

 

【見習い少尉】

「どういう生き方をすれば、どんな育て方をされたら、あんな人間が出来上がるんだろうな‥‥一度でも誰かに心から抱きしめられた事があるんだろうかあいつは?

もしそれがあったら奴の人生はどう変わっていたんだろうか?」

 

 

少尉はあの男にわずかながら同情心があるのだろうか?

あんな酷い事をされているのに?

だとしたら本当にお人好しにも程がある

 

 

【川内】

「少尉、確かにあいつは不幸で孤独なのかもしれない、だからってあいつのしてる事は!‥‥」

 

【見習い少尉】

「川内、どうか勘違いしないでほしい、俺はだからといって奴にこれっぽっちも同情なんかしていない」

 

【川内】

「そうなの?」

 

【見習い少尉】

「当然だ、奴はもう子供じゃない、本人がその気になれば自分の生き方は自分でいくらでも決められた筈だ

だが奴は変わろうとしなかった、変わるつもりがあったなら、少しは補給部の職務に取り組んでいた筈だ

おそらく奴は『自分はこんな筈じゃ無かった』『自分は周りの奴らに不幸にされた』とでも考えているんじゃないかな?

そしてそんな不幸な人生の責任を周りの全ての人間に押し付けている、それは自分の当然の権利だと、少なくとも俺にはそうとしか見えない」

 

【川内】

「そう‥‥かもしれないね」

 

【見習い少尉】

「親父の権力にしても自分が受ける当然の恩恵だと思ってるんだろうよ、つまり三木之という男は『不幸な自分という思い込み』に甘ったれてるだけの、ただのクソガキだ、そんな奴にかける同情心なんて俺には毛ジラミ程も存在しない!」

 

【川内】

「‥‥‥‥‥‥‥‥」

 

【見習い少尉】

「奴は確かに哀れだとは思うが、不幸な人生が本気で嫌なら奴自身が変わるしかないんだ、奴自身で何とかするしかないんだ、奴が自分を不幸と思うならそれは奴自身の責任だから、俺達にはどうする事も出来ないしする気もない」

 

 

見習い少尉の三木之への評価は辛辣だ

それでも二人の関係性を考えれば、少尉はまだ優しい方だろう

あらためてこの人はやっぱりお人良しなんだと川内は思う

 

 

【見習い少尉】

「俺からは奴には何もしない、おれはそんな暇人じゃないからな、だがもし、奴の方から戦争を仕掛けてきたら……俺から大事な者を奪おうとしたら……俺達が生きるのを邪魔するなら……その時は容赦なく叩き潰す!二度と人前に出られないような面にしてやる!奴が子供みたいに泣き叫ぼうとな!」

 

(スクッ‥‥‥)

 

そして見習い少尉はベンチからおもむろに立ち上がった、そして東京湾を眺めながら‥‥‥

 

 

【見習い少尉】

「俺は今日あらためて思ったよ」

 

【川内】

「何を?」

 

 

見習い少尉、川内に振り向いて一言‥‥‥

 

 

【見習い少尉】

「俺には川内がいてくれる、それだけでも俺は世界一幸せな男だってね」

 

【川内】

「///‥‥‥‥///」

 

 

再び顔を真っ赤にさせた川内、川内も立ち上がって‥‥‥

 

 

【川内】

「///んもうっ!よくそんなはずかしい台詞、平気な顔して言えるよね!///」

 

【見習い少尉】

「はずかしいもんか、俺の本心だぞ?」

 

【川内】

「///‥‥‥もう‥‥‥ばかぁ‥‥‥///」

 

 

こんなノロケのやり取りを見ているのは東京湾の海と海鳥(うみどり)だけだ

 

 

【見習い少尉】

「だから報いるとか報いられてるとかなんて心配するな、俺は大満足だ」

 

【川内】

「少尉‥‥ありがとう‥‥あなたについて来て良かった♪」

 

【見習い少尉】

「川内、絶対に俺から離れるなよ!俺はへたれの未熟者だ、お前には俺を支えて貰わないといかん事が山ほどあるからな」(フンスッ)

 

【川内】

「当然!頼まれたって離れないよ、少尉はアタシが一人前にしてみせるんだから!

まあアタシ自身も半人前だから、アタシも頑張らないといけないけどね」

 

【見習い少尉】

「お願いしますよ、夜戦の女王♪」

 

【川内】

「夜戦なんて言葉、久しぶりに聞いたなぁ、任せておいて♪」

 

‥‥‥‥‥‥

 

【見習い少尉】

「‥‥なあ‥‥川内‥‥」

 

【川内】

「//‥‥えっ?‥‥なに?‥‥//」(ドキッ)

 

 

時々思わず出る見習い少尉の真面目な顔に川内はいつもドキッっとする

彼は何を言い出すのか‥‥‥

 

 

【見習い少尉】

「‥‥俺は‥‥‥‥」

 

【川内】

「///(ドキドキドキドキ)///」

 

【見習い少尉】

「‥‥‥‥‥‥‥‥」

 

 

ギュルルル~~‥‥‥

 

【見習い少尉】

「‥‥腹が減った‥‥」

 

【川内】

「//‥‥‥‥もう!雰囲気台なしじゃない!//」

 

【見習い少尉】

「いや‥‥面目ない‥‥」

 

【川内】

「‥‥クスッ♪‥‥ウフフ♪‥‥アハハハ♪」

 

 

【見習い少尉】

(ヤバかった、思わず口に出そうになってしまった‥‥まだだ!今の俺にはまだ、こんな事を言う資格はない!こんな半人前の俺には‥‥‥)

 

 

【川内】

「アハハハ♪‥‥ホントにもう♪‥‥でも少尉らしいよ♪」

 

 

【見習い少尉】

(待っていてくれ川内!俺はお前に恥じない一人前の指揮官になってみせる!

俺の意思ではないとはいえ、こうして海軍に入った以上はお前を失望させない男になって、理不尽に奪われたお前の名誉を必ず取り戻してみせる!

大きくなくてもいい!俺達二人の鎮守府を必ず手に入れるんだ!

そして、それが果たされた時、俺はお前に‥‥俺の気持ちを‥‥伝えるんだ!)

 

 

この当時のへたれ提督には既に海軍への未練はないが、それでもまだ海軍内で立身出世を目指そうとしていた、それはひとえに、川内に恥じない男になる為に‥‥

 

そして、川内を伴侶にむかえるのに相応しい男になる為に‥‥

 

そしてもう一つ、当時のへたれ提督こと見習い少尉には鎮守府への理想があった

 

 

【見習い少尉】

(海軍に編入されて約1年‥‥恥ずかしい話だが、艦娘達がここまで酷い仕打ちを受けているのをあらためて思い知らされた1年だった‥‥こんな事、このままで良い訳がない!

俺は艦娘達が、一人の人間としての誇りを取り戻す事の出来る鎮守府を作りたい!

彼女達が自分の人生を切り開く事が出来る、その手助けをする鎮守府を作りたい!

艦娘達が安心して、笑って明日を迎えられる鎮守府を作りたい!

海軍の上層部はどんな顔をするか分からんが、そんな事知ったことか!

ただの兵隊(擲弾兵)に過ぎない俺だが、やれるところまでやってやる!

川内‥‥こんな青臭い俺だが‥‥これからもずっと側で俺を支えてくれ!)

 

 

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

 

【川内】

「少尉?起きてますか~~?」

 

【見習い少尉】

「‥‥ああ、すまん、腹が減り過ぎてぼーっとしたらしい」

 

【川内】

「それじゃあ、何か食べてから帰ろっか?何がいい?」

 

【見習い少尉】

「そうだなう~~ん‥‥‥『カツカレー』が食べたい」

 

【川内】

「カツカレー?」

 

【見習い少尉】

「今急に思いついた、何か景気づけに良さそうじゃん?」

 

 

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

現在、10月30日の執務室‥‥‥

 

 

【へたれ提督】

「‥‥川内‥‥‥」

 

【川内】

「‥‥提督❤‥‥」

 

 

気付くと、へたれ提督は川内を『お姫様だっこ』していた

 

 

【へたれ提督】

「川内‥‥お前を‥‥犯すぞ?」

 

【川内】

「‥‥うん♪❤‥‥」(コクッ)

 

(‥‥‥ギシッ‥‥)

 

 

執務室には仮眠用のベッドが備えられている、同時に二人が数多くの愛を重ねてきたステージだ

へたれ提督は唇と舌を絡ませたまた、川内をベッドに優しく押し倒す‥‥‥

 

(レロ‥‥ネロッ‥‥)

 

【川内】

「‥‥んっ‥‥んぐっ❤‥‥」

 

(‥‥グニュ❤‥‥クチュッ❤‥‥)

 

【川内】

「‥‥うっ❤‥‥あっ❤‥‥」

(ピクッ‥‥ピクンッ❤‥‥)

 

 

へたれ提督の右手が川内の股間に‥‥‥

パンツ越しに指で軽く挿入すると、愛液が直ぐに染み出してきた‥‥

 

(クチュ❤クチュ❤ピチャ❤ピチャ❤)

 

【川内】

「ん~~ん~~❤‥‥あっ❤‥‥」

(ピクッ‥‥ピクッ‥‥)

 

 

指を振動させると、パンツの小さな布地に愛液が染み渡っていく‥‥‥

 

 

【へたれ提督】

「もうこんなに‥‥‥濡れてる‥‥」

 

【川内】

「‥‥ハアッ❤‥‥ハアッ❤‥‥提督の‥‥エッチ❤‥‥」

 

【へたれ提督】

「ありがとよ♪最高の褒め言葉だ♪」

 

 

(‥‥スルッ‥)

 

 

【川内】

「‥‥はっ❤‥‥手がぁ‥‥ぱんちゅのなかにぃ❤‥‥」

 

(‥‥ズプッ❤‥‥‥ジュブブッ❤‥‥ブシュウッ‥‥)

 

【川内】

「‥‥あっ!❤‥‥あうっ!❤‥‥」

(ビックーーーン!❤❤❤)

 

 

指を直接挿入すると、膣に溜め込まれた愛液が溢れ出した‥‥

 

 

【へたれ提督】

「こんなに溢れ出たぞ?‥‥さては?‥‥」

 

【川内】

「ハアッ❤‥‥ハアッ❤‥‥ごっ‥‥ごめんなさい‥‥ずっと‥‥濡れてた❤‥‥‥」

 

【へたれ提督】

「かぁ~~!!可愛いなぁお前は~~!♪」

 

【川内】

「///かっ‥‥可愛っ!?‥‥///」

(ドキドキ)

 

(グジュッ❤‥‥グジュグジュグジュグジュ~❤)

 

【川内】

「あっ!❤‥‥あああ~~~❤❤❤」

(ビクン❤ビクン❤ビクン❤)

 

 

膣の中で指を掻き混ぜると、次から次へと愛液が噴き出してくる、あっという間にシーツとパンツはびしょ濡れになった

駆逐艦娘よりは高身長とはいえ、こんな細くて小さい身体の何処にこれ程の水分が溢れているのか?とへたれ提督が思ってしまう程に‥‥‥

 

 

【へたれ提督】

「川内!好きだ!‥‥愛してる!」

 

【川内】

「あああ~❤‥提督大しゅきぃぃぃ~❤❤❤」

 

 

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

 

 

【へたれ提督】

(‥‥なあ川内、俺は今でも青臭いへたれのままだ、それでもあの時から比べて、少しはお前に見合う男(提督)になれたんだろうか?‥‥‥

川内、お前はずっと側に居てくれた、ずっとついて来てくれた

『俺の夢』はいつしか『俺達の夢』になって、お前はそれを自分の夢として共有してくれた‥‥まだ道半ばだけど‥‥‥これからもずっと一緒に!)

 

 

【へたれ提督】

「‥‥川内‥‥」

 

【川内】

「‥‥てい‥‥とく❤‥‥いっ‥‥イク❤‥‥」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

【川内】

「‥‥少尉♪‥‥いこっか?‥‥」

 

【見習い少尉】

「おうよ♪」

 

 

NUC0106年  横須賀、海浜公園

 

何気ない見習い少尉の一言で昼食に『カツカレー』を食べに行く事になった二人

 

これがまた、運命的な出会いと縁を演出する事になろうとは‥‥‥

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

同時刻、横須賀のアメ横商店街‥‥‥

 

平日である為、人出は休日に比べて閑散としている

 

だから新聞を見ながら歩いても人にぶつかる事はない

まあ止めた方がいいけど

 

 

【足柄】

「う~~ん、舞鶴は食べ物が美味しいから悪くないけど、太平洋側もたまにはいいわよね~♪」

 

【ヒィッツカラルド大佐】

「おう、そうか?」

 

【足柄】

「だって、日本海に比べると敵がわんさか出て来るんですもの♪それこそ遊び道具には事欠かないでしょ?♪」

 

【ヒィッツカラルド大佐】

「お前は本当に戦闘狂だなぁ、まあそこが魅力的でもあるんだが」

 

 

舞鶴に『帝国海軍第29分遣隊、通称(謎の鎮守府)』が開設されたのは2年前の事だ

 

帝国海軍の元帥にスカウトされた元『ジオン』の大佐が、海軍特別警察隊の司令官として就任し、人類初のイレギュラー艦娘『デストリア』が誕生した

正に存在そのものがイレギュラーの鎮守府である

 

その司令官『ヒィッツカラルド大佐(当時)』と、彼の初期艦にして秘書艦『足柄』が舞鶴から離れた横須賀に居るのには訳がある

 

4年前、ある理由から、海軍上層部から貰った(形ばかりの)勲章と賞状を、質屋に売り払って『カツカレー』の飲食代に充てた事が今更ながら発覚したのだ

 

離島の『防空基地』という名の『掘っ立て小屋』に左遷しておいて!

深海棲艦が攻めてきた時、ろくに救援もしないで! 

勝手に『死亡認定』までしやがって!  

 

そんな自分達の所業を棚に上げて『ヒィッツ』と『足柄』に文句を付ける為だけに二人を呼び出したのである

徳川元帥からは『まあ少しだけ連中の顔を立ててやれ、適当に聞き流していいから』と言われ渋々ながら横須賀までやって来たが迷惑なことこの上ない

 

昨年始め頃の『チェンバロ2号作戦』の大失敗と深海棲艦の反撃で帝国海軍とブロック海軍は凄まじい痛打を被った、その損害から自分達はまだ立ち直れて居ないのに、ヒィッツ大佐の『謎の鎮守府』はほぼ無傷だった

謎の鎮守府はまだ出来たばかりで、規模はまだ小所帯の組織だったがそれでも無傷だった、それもまた上層部のカンに障ったらしい

 

形ばかりの勲章とはいえ、それを速攻で質屋に売り飛ばされて海軍の面目は丸つぶれだったようだ、そんな面目など知ったことでは無いヒィッツ大佐としては、貰った物をどうしようと俺達の勝手だろうが!と思うのだが‥‥‥

 

 

今はその小言を言う連中の下をさっさと退散して帰る途中、折角だから少し観光でもしよう‥‥‥という時であっあ

 

そんな少々迷惑そうなヒィッツ大佐とは裏腹に、足柄はそれなりに上機嫌であった

日本海側に比べて太平洋側は深海棲艦とのエンカウント率が高い

つまり敵がウヨウヨいるのである

足柄の闘争本能に火が付いてここ数日、それなりの戦力の敵を薙ぎ倒し続けていた

 

 

【足柄】

「ねえ、提督?」

 

【ヒィッツカラルド大佐】

「うん?」

 

 

この男と一緒にいると刺激に事欠かない、それに単純にこの男と二人きりでいるのも悪くない‥‥そんな気持ちもあって足柄を上機嫌にしていた

 

 

【足柄】

「さっきから何で歩きながら新聞読んでるわけ?」

 

【ヒィッツカラルド大佐】

「いや、面白い記事が乗っていてね、ここさ」

 

【足柄】

「どれよ?」

 

 

ヒィッツ大佐が示した記事には、最近になって『ソロモン・ニューギニア海域』の制海権と制空権を深海棲艦から(しかも単独で)奪還したある鎮守府の事が書かれていた

何でも『海軍』の鎮守府ではなく『連邦』の鎮守府たのだそう

 

あれ程大きな被害を出しながら『海軍』がついに出来なかった海域の奪還を、ひとつの鎮守府が単独で達成してしまったのだ、『海軍』の衝撃は大きかった

 

 

その鎮守府の名は『リンガ特設連邦鎮守府』

 

その原動力は、この少し前に就役した『紀伊』と呼ばれる巨大戦艦

そしてそこに所属する優秀な艦娘達とその司令官の実力と手腕

 

 

【ヒィッツカラルド大佐】

「実に興味深い、ここの司令官(提督)、ちょっと面白い男かも知れないと思ってな」

 

【足柄】

「あんたが面白いって言うんだから相当の変わり者よねきっと、どんな感じに?」

 

【ヒィッツカラルド大佐】

「いきなり失礼だなぁ、まあそうだな‥‥‥」

 

 

(ギュルルル~~‥‥‥)

 

 

どちらともなく、お腹の虫がなった‥‥‥

 

 

【ヒィッツカラルド大佐】

「‥‥‥腹が減ったな」

 

【足柄】

「それもそうね、じゃあお昼は『カツカレー』ね」

 

【ヒィッツカラルド大佐】

「即断即決かいな?」

 

【足柄】

「海軍といえばカレー、カレーといえばカツカレーでしょ?」

 

【ヒィッツカラルド大佐】

「まあ反対する理由もないか、縁起もいいし、続きは後だ」

 

【足柄】

「そう♪勝利へゴーよ♪」

 

 

妙高をはじめ、他の妙高型姉妹はまだ謎の鎮守府には在籍していない

この頃の足柄にとってはまだ、ヒィッツ提督を独占状態であった

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

同時刻、先程の横須賀海浜公園

 

 

忙しい時間を塗って、男は親友を連れてここまで来ていた

久しぶりに日本に帰国したその親友とゆっくり話もしたかった

 

 

【一条 薫】

「どうだ?久しぶりの日本の空気は?」

 

【五代 雄介】

「いやあ、本当に帰ってきたって感じですよ、色々な国を回ってるとね、感じるんですよ、海の色も、空気の匂いもそれぞれ違うんですよ、それぞれ個性があるんですよ、それって人間も同じなんだな~って」

 

【一条 薫】

「君らしい感想だな、たくさんの笑顔には会えたか?」

 

【五代 雄介】

「人間て強いと思いますよ、世界や宇宙が戦争で悲惨な事にたったけど、それでも人達は生活していて、子供達は笑顔なんです」

 

【一条 薫】

「30年戦争で人類は一度滅びかけているからな、よく生き延びられたもんだと思うよ、でも世界は平和とはお世辞にも言えない、深海棲艦の脅威は現実に存在するし、あの時のような未確認生命体との戦いもまた無いという保証はないからな

君の言う笑顔の子供達がいる一方で、笑顔を失ってしまった子供達も大勢いる

我々警察の仕事は終わる事はない、今ある笑顔を護り、失った笑顔を取り戻す

それが俺達の大切な使命だと俺は思っているよ」

 

【五代 雄介】

「一条さんは本当に熱い人ですね、俺もその笑顔を護りたい、何処に居てもそう思っていますよ」

 

【一条 薫】

「ああ、だが勘違いするなよ雄介、俺は君にまた戦って欲しいなんて思ってない

君はあくまで別の方法でその笑顔を護って欲しい、ここから先戦うのは我々警察の使命だ」

 

【五代 雄介】

「笑顔を護るのに使命も何もないでしょうに?それに俺は関わるなら中途半端は絶対にしませんよ」

 

【一条 薫】

「全く君は‥‥‥」

 

【五代 雄介】

「そんな事を言う為に、俺を横須賀まで連れて来たんですか?」

 

 

かつて未確認生命体との激闘を共に戦ったこの二人

一人の冒険野郎と一人の警察官

二人は今や親友、戦友であった

 

あれから長い年月が経ち、未確認生命体台4号と警察組織の協力による、人間達に害を成す未確認生命体との死闘の経緯を知る者は警察関係者にはもう数える程しかいない

 

 

【一条 薫】

「まあ、本当に未確認生命体が現れると決まった訳でも無いがな、今日は純粋に君と話がしたかっただけだ、それに見たい者もあったしな」

 

【五代 雄介】

「見たい者‥‥ですか?」

 

【一条 薫】

「ちょっと興味本位で見たかっただけだ、それより‥‥‥」

 

(ギュルルル~~‥‥‥)

 

【五代 雄介】

「‥‥‥あっ‥‥」

 

【一条 薫】

「さっきからずっと腹の虫が鳴いてるぞ」

 

【五代 雄介】

「ばれました~♪実は腹ぺこで‥‥」

 

【一条 薫】

「おごってやるよ♪流石にポレポレまでは遠いからな、近所で良いだろう?何が食べたい?」

 

【五代 雄介】

「マジですか?ゴチになります♪そうですねぇ~~‥‥」

 

 

その時偶然にも、海軍関係者と思われる二人組が側を通り過ぎていった

 

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

 

【川内】

「ねえ少尉、『カツカレー』の美味しいお店って知ってるの?」

 

【見習い少尉】

「一軒だけだが、ドルフに教えて貰った店があるんだ、あいつ若いのに日本の事勉強してるみたいだしな、仕事の為なんだろうけど」

 

【川内】

「営業部長さんも大変だね、それじゃあ~、そこにしよ?♪」

 

【見習い少尉】

「頼んでおいて何だが、お金は良いのか?」

 

【川内】

「これでも給料とりだからね♪任せてよ♪大盛りでも好きに注文してね♪」

 

【見習い少尉】

「次は俺がおごるからな、頼りにしてます、財務大臣♪」

 

【川内】

「うむ、任せるがよいぞ~♪」

 

 

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

 

 

【一条 薫】

(あれはおそらく海軍関係者‥‥という事は、あの少女は『艦娘』‥‥‥思ってたよりも普通の少女だな、何処からどう見ても‥‥‥)

 

 

『艦娘』という存在はニュースや情報誌、それに遠くからそれらしい者を見たくらいで、ここまで間近で『艦娘』を見たのは初めての経験の一条であった

 

それは、これまで彼が何処かで描いていた『深海棲艦から人類を護る海の守護神』『戦の女神』といったイメージからかけ離れた者であった

その姿、仕種は人間、普通の少女そのものだ

 

 

【一条 薫】

(我々は‥‥あんな少女達を命懸けで戦わせているのか‥‥)

 

 

艦娘についてまだ詳しい知識がある一条では無かったが、彼が素直に感じた感想であった‥‥‥

 

それに対して雄介は、南の島で艦娘を間近で見た事がある、それは決して美しく楽しい思い出では無かったが‥‥‥

 

 

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

 

【五代 雄介】

「決めた!『カツカレー』にしましょうよ!」

 

【一条 薫】

「おっ?‥‥おう、そうか」

 

【五代 雄介】

「何か分からないけど、俺も食べたくなりました!」

 

【一条 薫】

「それは良いが、長野はともかく俺は横須賀は詳しくない、店は知ってるのか?」

 

【五代 雄介】

「大丈夫、あの二人について行けば良いんですよ♪」

(サムズアップ)

 

【一条 薫】

「‥‥全く!君らしいなぁ!」

 

 

第二の未確認生命体『揚陸侵艦』の脅威はまだ現実化していない

 

一条提督の(新生)石ノ森鎮守府はまだ影も形も存在していない

 

『一条 薫』も今はまだ一人の警察官だ

 

 

 

横須賀の地と『カツカレー』が生んだ奇妙な合致は

この後どのような『運命の出会い』を演出するのか?

 

 

 

【見習い少尉】

「おお、見えてきた、あの店だ」

 

【川内】

「何だかここまでいい匂い、いっぱい食べよ?」

 

【見習い少尉】

「ゴチになります」

 

 

【足柄】

「あの店じゃない?あの時の」

 

【ヒィッツカラルド大佐】

「勲章売り飛ばしてカツカレー食って以来か」

 

【足柄】

「誰か入っていくわね、流行ってるのかしら?」

 

 

 

その時は近い‥‥‥

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

【へたれ提督】

「‥‥川内‥‥川内ぃ‥‥」

 

【川内】

「‥ハアッ❤️‥ハアッ❤️‥‥提督‥提督ぅ❤️‥‥」

 

 

現在、真夜中に灯りがもれる六本脚鎮守府の執務室窓

 

 

あの窓は、足柄が妙高に騙されたり何かの理由で、定期的に破壊して突入する窓でもある

 

今、それを眺める足柄は

 

 

【足柄】

「間違いない、ヤってるわね、あの二人」

 

【潮】

「ヤってる?何をですか?」

 

【足柄】

「あんたは知らなくてもいいのよ」

 

【潮】

「?」

 

【浜波】

「///‥‥‥///」(理解した)

 

 

あの時の思い出を振り返っていたのはへたれ提督と川内だけではなかった

 

 

【足柄】

(あの時、カツカレーを食べに行こうなんて思わなかったら、はたしてあんた達二人に出会っていたのかしら?)

 

 

そしてもう1人、あの時の思い出を振り返る者が

 

 

【磯波】

「良かった‥‥二人とも元気そうで‥‥」

 

 

 

『勝浦の監視所』時代の記念写真

 

その中央に写る、1人の駆逐艦娘

 

写真のなかの彼女は優しく微笑んでいた‥‥‥

 

 

 

《つづく》

 

 

夜戦に平行して語られる過去の物語

 

次回、カツカレーが紡いだ運命的な出会いは発生するのか?

 

見習い少尉ことへたれ提督と川内の運命は?

 

潮の同僚、磯波‥‥彼女は何者なのか?

 

一条・雄介コンビはどう絡むのか?

 

足柄は暴走するのか?

 

ヒィッツはまた誰かに誤解されたりしないか?

 

那珂ちゃんライブはどうなる?(それはいいでしょ!)

 

 

次回をこう御期待!

(本当は話が長くなりそうなので複数話に分ける事にしました

10月30日に投稿出来なかったのも含めて作者の根性が足りませんでした

ごめんなさい)

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

        [出 演]

 

 

 

へたれ提督(見習い少尉)

川内

 

謎の提督ヒィッツカラルド(ヒィッツ大佐)

足柄

 

ゼネラル

隼鷹

 

 

清霜

アンドロメダ

ホーネット

 

ラビアンローズ

浜波

那智

那珂

榛名

夕立

海風

潮

 

三木之苗夫(ジャギ)

 

艦政本部次長

 

補給部将校

 

キSE-X07号

 

磯波

 

五代 雄介

 

一条 薫

 

山県 茂正

 

 

氷川 誠

 

 




【氷川 誠】
「どうも、警視庁の氷川です、この作品は二次創作でフィクションです
作品内の設定及び固有名詞は全て架空のものであり、現実世界の個人及び団体とは一切の関係はありません、その点を御注意ください
ところで‥‥‥『ちび加賀』って何処に行けば会えるんでしょうか?‥‥」

【山県 茂正】
「まだ言っとるのか!?」
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